東 南 ア ジア研 究 24巻2号 1986年9月
資 料 ・研 究 ノー ト
中部 フ ロー レス に お け る神 秘 力 と性
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木
恵 理 子*
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ErikoAoKl*Thispaperaimstodescribethenativetheoryof mysticpowerincentral Flores,easternlndonesia・ Allthedataherederivefrom myfieldworkinthe westernpartoftheLionese-speakingarea・InLio
l
mysticpowerissaidtoberelated,inonewayor another,to sexualintercourse a.nd the genitalia・Toanalyzethenativeconcept,Idealwith not onlymythsandritualsbutalsolingulSticdatasuch asverbal abuse,obscenetalesandseveralgenresof popularsongswhichmigh t,atfirstglance,seem to besecondarytothereproduction ofsociety and
Ⅰ 序 論
神秘力 に関す る民 族 誌 的 報 告 は,mana, manitou,charisma,orendaな ど枚挙 に暇がな
い. 当論考 の 目的の-つ は,神秘力 に関す る 民族誌 の 日録 に,東部 イ ン ドネ シア ・フロー レス島中部 の酉 リオ語地域 の例 を加 え ること であ る。以下 で扱 うデータは全 て フィール ド ワー クに基づ いて いる。1) 酉 リオ語 の bhisa とい う語 は
,
「神秘力 の ある」
「神 秘的 に効果を発揮す る」ことを意味 *東京大学大学院社会学研究科文化人類 学 専 門 課 程 ; Departmentof Anthropology,The Uni・ versity of Tokyo,7-3-1HongoIBunkyo-kuI Tokyo113,JapanCulture,butwhichoffermuchinformationonthe nativeconceptembeddedintherealitywhichthe peopletakeforgranted.
IelucidatethesymbolicandsociologiCal const -r
uctionaswellasthedynamicsofthewestLionese f
olktheoryofmysticpowerandtheconceptofman andwoman・ MycontentionisthatthewestLio
-nesefolktheoryofmysticpowerisparalleltotheir sexualimageandbehaviourandisinterlockedwith tlleCOnCeptOfgender・
す る。2) 例 え ば, 呪文 , 豊儀祈願 の歌,倭 礼 な どが,期待 され る結果 を もた らしたな ら ば,それ らはbhisaであ る。 そ こに近 づ く者 に対 し,禍 い,あ るいは幸運を もた らす場所 は bhisa で あ る。この地域 の人 々は,bhisa な る力 はあ らゆ る力 の根 源であ ると考 えて い る。 西 リオ語地域 の力 の概念 の構成 を理解 し やす くす るために,まず,力 に関連す る言葉 の相互関係 ,および力 の概念領域 における神 1)筆者はすでに,Aoki【19861において呪文との関 連から,青木 【1986]において姻戚関係との関 連から,この地域の神秘力の概念について言及 した。 2)bhisaという語は,フローレス島中部地域全域 にわたって用いられている。その用いられ方, 重要性の度あいは,地域により異なる。別の機 会に,フローレス島中部地域内のbhisaに関す る比較研究を試みてみたい。
東南 アジア研究 24巻2号
秘力 (bhisaな る力)の概念 の位 置づ けにつ い て概観 しよ う。
「力 のある
」
「能力 のある」
「強い」ことと関 連す る酉 リオ語 の言葉 と して,bhisa,ngala,mbE'0,mulE,tegO,bani,memo,negl,maku,
dogaがあ る。 それ ら全 てを 包含す るよ うな 語 ,力一般 をあ らわす西 リオ語 はな い。 これ に対 し 「力 のない
」
「能力 のない」
「弱 い」 こ とに関連す る語 と しては,bhora,tal°,mona,bEbo,bhongo,ta'u,ga乱,kengu,moo,kekuが あげ られ る。3)
上記 の語 のなかで,bhisaと bhora,ngala
とtalo,mbE'0 とbEboとは,それぞれ はぼ 反意語対をなす とみなせ る。bhoraとい う語 はbhisaの欠如 ,崩壊 とい う意味でつかわれ る語 で,bhisaほど頻無 に多様な脈絡 で用 い られない。ngala
(
「で きる」
「可能 な」
「勝つ」
)
は talo(
「で きない」
「不可能 な」
「負 ける」
)
と反意語対 をなす。monaは,対句法表現 に おいて,taloと同意語対をなす語 であ るが, 単独ではつかわれない。4)mbR'0は,
「知 る」
「知 っている」
「で きる」
「や り方 を知 って い る」 などの意味 を もつ動詞 または助動詞 と し てつかわれ ると同時 に, 「賢 い」 と い う意味 を もつ 。 bEboは 「知 らない」
「で きな い」 「や り方 を知 らない」 とい う意味の語 であ る。 bhongo とい う語 は 「愚かな」 とい う意味 の 形容詞であ り,mbE'Oと対照 をな しbRboと 類似す る。 mulEという語 は,
「能力のある」
「力強 い」 こと一般 をあ らわす語 であ る。ngalaと組み あわ されて,mulEngala(
「能力 のあ る」
「能 力」)とい う句を形成す る。 また,mulR'iwa 3)上記の語は,形容詞,動詞,または助動詞であ る。'eoまたは'olaを前置して名詞化できる。 文脈によってはそのまま名詞的に使用される。 4)monaは,Nga'o語 (図4参周)において,負 も一般的な否定語である。対句法表現に近隣地 域の語が用いられるという例は,しばしばみら れる。 tal° kana 'iwa mona(有能であ って不可能 な ことはない) とい う定型的対句表現 におい ては,mulEは,kanaと同意 で,taloおよび mona と反意 と解せ る.5)また,mulE は, 以下 のよ うな脈絡 において,bhisa とい う語 と対席 をなす。 この地域 における最大 の政治 単位 である祭扉巳村 (nua)6)には,それぞれ数 十名の伝統的司祭 (mosalaki)が お り,祭把 村 の統一 を象徴す る儀礼 は彼 らによ って司 ら れて いる。司祭 た ちのなかで も,最 も重要 と 考え られて いる司祭 は 「樹幹 な る司祭」(mosa laki pu'u)と呼 ばれ る。 次 に重要 な司祭 は「長大 な る司祭」(mosalakiriabRwa)と呼 ばれ,儀礼 において 「樹幹 な る司祭」 の補佐 役をつ とめ る。二者 の対照 において,前者 は bhisaでなけれ ばな らないが必ず しも mulE である必要 はな く,後者 はmulEでなけれ ば な らな いが必ず しもbhisaである必要 はない とされ る。この脈絡 においては,bhisa:mulE
-
「聖 な る力」:
「俗 な る力」 と解す ることが 可能であ る。 また,bhisa とmulE の対比 は 「樹幹」 と 「長大」 の対比 によ って とらえ ら れ る.即 ち,bhisaは構造的差異 によ って棲 づ け られた力 に,mulE は程度 の差異 によ っ て棲づ け られた力 に比定 され る。 tegoは 「強壮 な」
「力強 い」
「怒 った」な ど の意味を もつ語 であ る。
「性的能力が高 い」と い う含意 ももつ。
「堅 い」
「力 強 く勃起 した」 ことを表現す る語 であ ることか ら, と くに男 の性的能力 の高 いことを表現す る。 baniは 「戦 いの能力 のあ る」
「勇敢 な」 こ とを表現す る語 であ る。 西 リオ語地域 の歴史 物語 に登場す る戦争英雄 は, いずれ もこの語 によ って形容 され る。baniはまた「攻撃 的な」 とい う意味を もち,人間同様,動物を も形容 5)knnaは,単独で用いられると,
「穀」という意 味をもち,
「能力のある」という意味はもた な い。 6)次章において概説。青木 :中部 フロー レスにお ける神秘力 と牲 す る語 である。「怒 る」という動詞 と して もつ かわれ る。 祭杷村 における儀礼 の重要 な構成要素 と し て,'arEtegoban主('arE:白米)と呼 ばれ る生 煮えの 白米 があ る。7) これは,儀礼小屋 にお いて,司祭 た ちによ って,一般 の男 た ちに分 配 され る。'arEtegObaniは,それを食べた 者 を 「強壮」かつ 「勇敢」にす る効果を もつ 。 家 に もち帰 られた 'arEtegobaniは,女 で も 食べ ることがで き,弱 め られた効果 を発揮す る。即 ち,この脈絡 にお いては,tegoとbani は結 びつ いて,mulEとbhisaの組みあわせ と,以下のよ うな対席 をなす。 tego
+
baれi:mulE十bhisa - 一般人 役職者 - 非制度 制 度 memo(
「整 い」
「堅 固な」
「攻撃 に耐え る」
)
, negi(
「堅 固な」
「耐久力のあ る」
「健 強な」
)
, maku(
「堅 い」
「頑固な」
)
,doga(
「攻撃 に耐 え る」
「不死身 の」
)
な どの語 は,攻撃 に耐え る, あるいは攻撃 され に くい (invulnerable) ことをあ らわす。 これ に対 し,力 によ って克服 された状態, 攻撃 されやすい(vulnerable)ことと関連す る のは,ta'u,ga乱,kengu,moo,kekuな どの語 であ る。ta'u,ga乱,kenguは,いずれ も,
「恐 れ る」
「畏怖す る」
「怖 じ気づ く」 という意味 の語 であ る。 司祭 た ちに対 して一般 の人 が抱 く感情である。 その点 において,mulE およ びbhisaと対席 をなす。 あ らゆ る種類 の攻撃 に屈伏 した状態 をあ らわす ことか ら,tego, baniな どとも対照 をなす。ta'u は最 も頻繁 につかわれ る語 である。gaaは射す くめ られ るよ うな恐怖 に全身が満た され るさまをあ ら わ し,kenguはび くっと して怖 じ気づ くさま をあ らわす。 mooは 「気力 のな い」
「意気喪失 した」
「同 7)詳述は別の機会に譲る。 情 して攻撃意欲 の奮 いお こせない」
「悲 しみ のため に脱力感 に満 たされた」状態 を形容す る語 である。「攻撃 されやす さ」
「攻撃 に屈伏 した」
「攻撃力喪失」 を示す。 kekuは 「柔 らか い」
「心 が和 らいで攻撃 し ない」
状態をあ らわす。mooほど,否定的な 意味を もたない。身体 に対す る形容 として用 い られ ると,
「健康 である」 ことを表現す る。 また,kekllは相手 の攻撃力 に対 して懐柔効果 を及 ぼす力 のあ ることを表現す る語 である。 ことに,kekuは女性 の性的魅力 を叙述す る語 と して使 われ る。 この概念 は, 「柔 な るもの は堅 な るものを支配す る」 とい う彼 らの人生 の奥義 と照応 している。 彼 らは次 のよ うに説 明す る。 「身体 のなかで, 最 も柔 らか い腰 の 肉 (フィレ肉)8)が最 も重要 であ る。これが全 ての休 の力 の源 であ り,骨や筋 な どの堅 い部 分 を支 えて いる。 と くに性的力 は これな しで はあ りえない」。tego,memo,makuはいずれ も 「堅 い」 という意味を もち,keku と対席 をなす。keku という概念 は,力 の概念 の仝 ⊂ ⊃ 強 い類似 - 類似 一 一一 対照 ⇔ 反意帯 図1 力 概 念 の 構 成 8)この場合,彼らは,家畜の解剖学的構造を参考 にして,人休の構造を理解 している。東南アジア研究 24巻2号 I-,'f_:_::二 一一一一・一空間 ._______一一一一一一一一呪物 I-一一一一一一一一一一一財物 二一一一__ 一一一人間型存在 図 2 体構成 を動 的な もの とす る,一 つの旋 回軸 と な って いる。上述 の力 に関連す る語 の相互関 係 は図 1のよ うにな る。 bhisaな る力,即 ち神秘力 は,図 1のよ う に力 の概念 を構成す る一要素 で あ る と 同 時 に,力 の相 関全体 に影響 を与え るものであ る と人 々は考 えて いる (図2参府)0bhisaな る カ は両義的な性格を もつ。 例え ば,bhisaな る力 は生命 ,豊歯性 の増進 に不 可 欠 で あ る が,一方 において,それ らを脅か し破壊 す る もの ともな りうる。 このbhisaな る力 の生成 と作用 に,関与的 であると彼 らが考えて いる事象 と して,言葉, 知識 ,時間,空間,呪物,財物,人間型存在, 儀礼 ,親族 関係 ,性 などが あげ られ る。 これ らの事象 は独立 的であ るわ けではな く,全 て 相 互 に関連 しあ ってい る。 いずれの事象 を論 述 す る場合 に も,言葉 および知識 とい う事象 に言及せず にはすまされない。神秘力 に関す る知識 は,彼 らの知識 の仝体系 において,負 も重要 な部分 とな って いる. 彼 らの知識 の体 系 につ いて考察 す る場合,'ola mbE'o no'o du'a du'a(知識 は人 によ って 異 な る) とい う一般 的知識観 に留意す る必要 があ る。 この 知識観 は次 のよ うな ことを 意 味 す る。 例 え ば,稲刈 りの ときの呪文 の言葉 ,祖先 に対す る祈 とうの言葉 ,儀礼 の解釈 な どが,人 それ ぞれ異 な って いて もよいのである。 どれが正 200 しく, どれがまちが って いるとはいえな いのであ る。 実際,同 じことが らに関す る知識であ って も,個人差がかな り大 き い。 このよ うに して, 知識 には, 無数 のバ リエー ションが 可能である。 bhisa な る知識 に も無数 のバ l)エー ションが可 能 であ るが,その構成原理 は限定 されて いる。 構成原理 の うちの一つが, 「性器 や性交 に関連 している
」
とい うことであ る。9) bhisaな る知識 の多 くを,人 々は夢 か ら得 る。 はかの人 か ら伝 え られ る場 合 も あ る。 いずれ に しろ,知識が性器 や性交 に関連 して いることは, その知識が bhisaであ る とい う主 張を,説得力 あ るもの とす る。例 え ば,次 のよ うな例 があげ られ る。 この地域 に おいては,栽培植物 はある女性 の体 か ら発生 した とい う神話 が一般 に語 られて いる. その 粗筋 は,常識 と して人 口に胎英 して いる。 し か し,細部 の知識 ,例 えばその女性 の名前, 発生 した場所 の正確 な位 置,体 のどの部分か らどのよ うな栽培植物が発生 したかな どの知 識 は,秘義的な知識 に属す る。 ある老人 が彼 の とってお きのbhisaな る知識- 「栽培植 物 の うち最 も重要 である稲 は,その女性 の性 器 か ら発生 した」- 杏, もうひ とりの現地 の人 と筆者 のみ しか いない場 で開陳 した。彼 らふた り, と くに教授者 は荘厳 で得 々た る面 もちであ った。 それ以外 の部位 ではな く,性 器 が関連 して いることによ って, この教授者 の主張が単な る思 いつ きの 知 識 で は な く, bhisaな る知識 であ るという了解 が教授者 と 被教授者 の間 に成立す る。 当論考 は,西 リオの民俗概念 における,秤 秘力 (bhisaな る力)と性 との関係 を考察す る ことを主 目的 とす る。 即 ち, 「神秘力 は性交 の象徴 によ って生 出 され る」 とい う西 リオの 9)そのはかの構成原理については,別の機会に論 述する予定である。青木 :中部 フロー レスにおける神秘力 と性 理論 が,性 に関す る日常 的な概念 および諸慣行 と の象徴論 的社会学的並行 関係 の上 に成立 して いる ことを明 らかに し, さ ら に,神秘力 の概念 とジェ ンダ ーの概念 が相互 に不 可欠 な もの と して結 びつ いて いることを示 したい。 次章 において,民族 の概略 につ いて述べた あ と,Ⅲ章 において
,
「神 秘力 (bhisaな る力) は性交 の象徴 によ って生 み出 され る」 とい う 理論 に適合す る具体例 を提示す る。 Ⅳ章 にお いては,種 々の言語慣行 や 口承伝承 にあ らわ れ る性 に関す る日常的な概念 を提示す る。 そ して,最終章 において,それ 自体 としては 日 常的であ り,陳腐 な ものであ る性交 が, どの よ うに して神秘力 を生 み出す とされ るのかを 明 らかに した い。 また,そのよ うな性交 の象 徴 の構成要素 と しては,男 と女 は補完的対 と して あ らわ され るのに対 し,それ らの象徴 の 操作 に関 しては,男のみが主体 とされ る傾向 が強 いことに着 目 し,その背後 に横 たわ る西 リオ語地域 の人 々のダ イナ ミックな論理を明 らかに したい。 無文字社会 における集合観念 を考察す る場 令,儀礼 や神話 な どを分析 の対象 とす るのが, 一般 的な方法である。 それは,儀礼や神話 が 当該社会 の信仰や権威 と結 びつ き,対象 とな る民族 固有 の観念を表明 して いると考え られ るか らである。 当論考 では,儀礼 や神話 に加 えて,艶笑帝, さまざまな歌謡, 日常的言語 慣行 な どを も考察 の対象 と した。 これ らは, 社会 における信仰 や権威 と直接的 には関係 が な く,その社会 の再生産 にとって必ず しも必 要 でないよ うにみえ る。社会 における権威 に よ って保証 されて いないに もかかわ らず, こ れ らは,世代 か ら世代- と伝承 され,広域 に 流布 し現地 の人 々が当 り前 の こととみな して 図3 いる リア リテ ィに深 く根 ざ して いる。 それゆ え,艶笑雫 ,歌謡 , 日常的言語慣行 な どは, 日常的 に抱 かれている観念 を知 るのに格好 の 材料を提供 して くれ るのであ る。 ⅠⅠ 民 族 の 概 略 イ ン ドネ シアの フロー レス島は,バ リ島か ら束へ連 な る小 ス ンダ列島に位 置す る (図 3 参照)。その中部地域 のエ ンデ県 (Kabupaten Ende)において フィール ドワーク を 行 な っ た。10) 当論考では,言語 区分 によ る民族 区分 の方 法を採用す るo フロー レス島中部地域 の諸言 語 は全 て ア ウス トロネジア語族 の ビマ ・ス ン バ下位 グル ープに属す 【Esser 1938;LeBar 1972:86,90;W urm andHattori 1981:40】
。
言語学者 による現地調査 は 行 わ れ て い な い が, この地域 における言語区分 は,入手 で き た文献 [Greuter 19461および筆者 が現地で 得 た資料 によれば,図4のよ うにな る。 ンガ オ (Nga'o)という名称 は, この言語 の 1人称 単数 か らとった。 この地域 内の言語 は著 しく 多様 で,さ らな る下位 区分が必要 なのであ る 10)エンデ県における筆者の現地調査は,1979年か ら1984年までの間に, 3回,のペ 3年に及ぶ。 うち20カ月は,インドネシア石油教育交流財団 (INPEXFoundation)奨学金の給付を受けた。 この場を借りて,日本の関係各位ならびにイン ドネシア科学研究所 (LIPI),ヌサチュンダナ国 立大学学長 Likadja教授および同大学謝査研 究所所長 Widiyatmikn教授に厚謝の意を表す。東南 ア ジア研 究 24巻2号 I Nga'○籍 2 Ende蕎 a西Endo蘇 b禽Ende蕎 C*Ende# 図4 3 Lio語 a西Lio鮪 b真Lio語 が,文献 および現地で得 られた資料 ともに不 十分 であ るので,下位 区分 は保留す る。第2 地域 ,第3地域 の言語 はそれぞれの1人称単 数 を とって ジャオ (Ja'o)請 , アク('Aku)語 と命 名す ることも可能であ るが,既存 の文献 【Arndt 1933;1939;1945;LeBar 1972: 86
,
90; Sareng Orin Bao SVD 1969; Suchtelen 1921;山 口 1983]が,エ ンデ (Ende), リオ (Lio)とい う用語 を用 いている ので,それ に従 った。第 2地域 ,第 3地域 内 は,図4の どと く下位 区分 され る。 当論考 で扱 うのは,西 リオ語地域 (3a)に 関す る資料 であ る。 西 リオ語地域 は,面積約 870km,約57,000人 の人 口を擁 す る[Kantor Statistik 1982】。 この地域 内は,文化的 に一 様 ではない。全体 にわた る政治的統一,11〉包 括的権威 はみ られない。t礼na.(大地) と呼 ば れ る領域 を もつ nua(村) とい う条把村 が, 最大 の政治単位 とな って い る。nuaの 規 模 は,人 口数百人 の小 さい ものか ら数千人 の大 きい ものまで, さまざまであ る。nuaはさ らに,東 部地域 では sa'o (家),西部地域 で ll)オランダ植民地時代の行政的統一に関しては, Suctltelen【1921】参周。 は 'embu(曽祖父母 , 曽孫)とい う儀礼 的政治単位 に区分 され, お のおのはさ らに,waja(節),また は dhembilulu(側部屋)とい う 単位 に下位 区分 され る。祭杷村同 士,sa'o同士 ,'embu同士,waja 同士,dhembilulu同士 は,儀礼 的,政治的 に相互 に関連 しつつ も, それぞれの集団 内の ことが らに関 しては,相互不可侵 が原則 にな っ ている。 それぞ れ の 集 団 に お け る,帰属 および権威継承 に関す る 規範 ,儀礼 ,儀礼 の解釈等 々は, 相互 に類似性 を示 して いると同時 に,多 くの点 において相違 して い る。 また,各集団の成員 は,それ らの相連 の 一部を意識的に と らえ,集団の独 自性 と して 誇張す る傾 向がある。 ⅠⅠⅠ 神秘力 と性交の象徴 1. 性交 と神 秘力 の生成 西 リオ語地域 の人 々は, 「神秘力 は, 性交 に開運 した ことか ら発す る」 と主張す る。 呪文 な ど,神 秘力 を発拝す る言語表現 の多 くは,対句法 (parallelism)12'構成 である。 対句法 の形式 を もつ言語表現 は, 一 般 に,一olagarEfaino'okaki(妻 と夫 の言葉)また は,lolagarEfaikaki(性交 の言葉)と呼 ばれ る。13)人 々は, 対句法の構成 を,夫婦 の性的 結合 と解 し,それゆえ,bhisaであ ると考え る。 ほとん どの呪文 は,個人 の秘密 であ り, 12)儀礼言語におけるparallelismに関 しては,Fox 【1971b;1977]など参照。 13)faiは 「妻」という意味の名詞であるが, 動詞 としてつかわれると
「
(男が女と)性交 す る」 という意味をもつ。hkiという語も同様に, 「夫」という名詞であると同時に,「
(女が男と) 性交する」という動詞でもある。faikakiは 「性交する (こと)」という意味である。青木 :中部 フロー レスにお け る神秘 力 と性 な かなか知 る こ とがで きな い。筆者 が幸運 に も知 る ことがで きた14)呪文 の多 くは,性 交 の 隠 愉表現 が 中心 テーマ とな って いた. 呪文 な どのbhisaな る知識 は,それ を知 って い るこ と自体 が力 の源 とな る, いわ ば護符 のよ うに 外 在 的 な もの とされ る。 bhisaな る知識 を ほ か の人 に教 え るこ とは,教授 者 に決定 的 な危 険 あ るいは損 失 を与 え る もの と考 え られ て い る。 それ が重要 な知識 で あれ ばあ るほ ど秘 密 性 が高 い。15) こ とに,'inE・ghi16) と呼 ばれ る 呪文 の核心 は,絶 対 の秘 密 とされて い る。 こ の よ うな秘義 的知識 も,次 の よ うな い くつ か の条件 によ って, ほか の人 に教授 され るこ と が あ りうる。 1. 教授者 の被教授者 に対 す る愛情 を前提 と して, a.教 授者 が知識 を 口頭 で教 え る。 b.知識 は言 葉 と して発 せ られ る ことな く以心伝心 の ご と く伝 わ る。 2. 被教授 者 が教授 者 に対 し,金製 品,現金 , 家畜 を与 え るこ とを条件 に,知識 が伝授 され る。
3
.
教授 者 と被教授者 が性交 あ るいは性交 を 象徴 す る行 為 (例 :互 いに相手 の精 液を 飲 む ,抱擁 しあ う,な ど) を行 うことを 14)当論考で提示 した呪文,秘義的な知識のほとん どは,教授者たちの好意により与えられたもの である。蓬かなる国日本で開示するならば,彼 らの社会における秘密性を損なうことがないで あろうという彼 らとの了承はあるとい う もの の,このようなかたちで公開することに対する 迷いは拭えない。もし今後,読者がこれ らの呪 文や秘義的な知識を扱う場合には,以上のこと に十分配慮 していただきたい。 15)彼 らは,知識の秘密性を誇示することによって, その知識の重要性を増すという逆方向の論理を 戦略的に用いる。 16)bhisaなる知識の多 くは,jagh u・gh i(語 りの部 分)と呼ばれる比較的長い前部 と,少数の名詞 の連なりよりなる'inE・ghi(母なる部分)と呼 ばれる後部 とからなっている。'inE-ghiはbhisa なる力の真の源と考え られている。 条件 に,伝授 され る。 以 上 の よ うな条件 は,教授 者 にふ りか か る危 険や損失 を あ る程 度防 ぐととも に, 知 識 の 神 秘力 を保 つ た め に必要 で あ る と 説 明 さ れ る。17) ここで も,性 交 が神 秘力 の生 成 に関与 して い る。 祭 把村 の統一 を象徴 す る儀礼 にお いて も, 性 交 は,神 秘カ と結 びつ いた重要 な象 徴 と し て あ らわれ る。 例 え ば,播種 の直前 に行 われ,旧年 と新年 とを画 す る儀礼 ngguari乱(大儀礼)18'におい て , きた るべ き年 に,女児 と男児 の どち らが 多 く生 まれ るかを 占 う。横榔樹 の実 をつか う 方法 と,儀礼 にお いてすで に実 を と り除 いた ほ うき状 の板 をつ か う方法 が あ る。 実 をつ か う場 合 は,それを縦 に二分 して投 げ あげ る。 断面 を上 に して静止 した ら女 をあ らわ し,下 に して止 ま った ら男 を あ らわす。 つ ま り,二 分 された断片 の両方 ともが断面 を上 に して静 止 した ら女児 が多 く生 まれ,両方 とも断面 を 下 に して静止 した ら男児 が多 く生 まれ る.一 方 が上 向 きで他方 が下 向 きな ら,男児 と女児 が 同 じ くらい生 まれ る とい うことにな る。枝 を用 い る場合 は,儀礼場 で あ る高床式 の家 の 床 を一 部 はず して,技 を下 に お とす。 も し, 凹部 を上 に して静止 した ら新 しい年 には女児 が多 く生 まれ ,凸部 を上 に して静止 した ら男 児 が多 く生 まれ る ことを意味 す る。 も し, い ず れで もな いよ うな位 置で静止 した ら子供 は ふ えな い こ とを意味す る。楕 榔樹 の実 の断 面 が上 にな った状 態 および枝 の凹面 が上 にな っ た状 態 は,kEnga(仰 臥す る),実 の断面 が下 にな った状態 および枝 の凸面 が上 にな った状 17)ここにあげた条件はインフォーマントによって 異なる場合がある。 2の条件を主張 したあるイ ンフォーマントは,3の条件を否定 した。 ま た,3を主張 した別のインフォーマントは,2 を信 じていないようすであった。 18)このような儀礼を行わない地域 もある。 nggua riaの一例が山口 t1983]に概略されている。東南 アジア研究 24巻2号 態 は,kebhE(伏 臥す る)と表現 され,それぞ れ,女 と男 の性交 の体位 をあ らわ して いる。 ことに,kEngaとい う語 は
,
「仰 向 けにな っ て男 を受 け入 れ る」 とい う,あか らさまで卑 摂 な意味で, 日常生 活 において用 い られ る語 であ る。女性 に対 して この語 が つ か わ れ る と,はなはだ しい侮辱 とな る。 ngguariaの期 間 ,またそれ に続 く労働禁 止 の期 間 は,性 的放縦 の期 間であ る。地域 に よ って は,男側 と女側 にわかれて,竹筒鉄砲 で模擬戦 を行 う。 石 ころやガ ラス片 を入 れた 泥塊 が弾丸 と して用 い られ,乳房 や性器 をめ が けて放 たれ る。上期 の期間 中,性 的放縦 を 拒否 す ることはで きない。 それ は以下 のよ う に表現 され る。 leja'atalaki pEla'iwakEa naka'iwanosi 訳 司祭 の 日は, 不 義強姦があ って も騒 ぎ立 てない。 盗 みが あ って も訴 えな い。 その はか に もngguariaには性交 に関す る 多 くの象徴 がつかわれ,ngguariaの神 秘力 を構成 す る重要 な要素 とな って いる。播種 や 除草 の際 の儀礼 において も,性交 を象徴 す る 儀礼行為 が神 秘力 の要 とな って い る。 例 え ば,mosalakipu'uと呼 ばれ る儀礼上 最 も重要 な男 の司祭 が,祭把村 のはかの成員 に先 ん じて,'uma mopoと呼 ばれ る儀礼用 の畑 に,誰 に もみ られな いよ うに播種す る。 その際 ,彼 は妻 を伴 ってゆ き,'umamopoに
て一糸 ま とわぬ姿 で性交 しな けれ ばな らな い といわれて いる。妻 を伴 わな い場合 には,ひ とりで'umamopoにて大地(tanawatu)に対 して性交 しな ければな らな い。 条 帝巳村全体 にかかわ る重大 なで きごと,あ るいは儀礼 の際 には必 ず,tubumusuと呼 ば れ る立石 に対 し,米 な どの供物 が捧 げ られ る。 tubumusuは,kojakangaと呼 ばれ る,よ く踏 み固め られた儀礼広場 の中心 に立 って い る.koja kangaは,ふつ う,石 積 み によ っ て とり囲まれて いる。ngguariaの とき以外 には,koja kangaの除草 や清掃 を行 な って はいけな い とされ ることもあ る。tubumusu の根方 に石 積みがあ り,lodondaaと呼 ばれ る.tubumusu,lodondaa,kojakangaは,秦 杷村 の中心 に位 置 し,条把村 とその鋸域 の統 一 を象徴 して いる。tubumusuとlodondaaは,それ ぞれ男性性器 と女性性器 を表象 し,以 下 のよ うな秘 義的儀礼言語19)で示 され る。
tubumusulodondaa tubu musu mEra lodondaawEa 訳 tubumusulodondaa 赤 い tubu mus° 金 の lodondaa wEaは婚資 ともな る金製 品で,そのかた ちは 女性性器 を表象 して いる。 また,tubumusu
と lodo ndaaは,全体 と して koja kanga
と対 をなす。 この場合,tubu musu プ ラス
lodondaaが男性性器 を,kojakangaが女性 性器 および子 宮を表象 して いる。tubumusu,
lodondaa,kojakanga20' の位 置関係 は性交
を象徴 す る。 以上 の解釈 はいずれ も秘 義 に属
す。bhisaで あ ることのよ って きた るところ は,tubumusu,lodondaa,kqjakangaおよ び上記 の儀礼言語 が表象 す る性交 にはかな ら 19)形式化され,なんらかの意味で儀礼的脈絡にお いてのみ発せ られる言語表現を,Foxの用語に 従い儀礼言語(rituallanguage)と呼ぶこととす る。
20)tubu musllkoja kangaについては,Arndt
青木 :中部 フ ロー レスIこお け る神秘 力 と性 な い と,現地 の識者 は説 明す る。 祭 示巳村 の 統一 に 関す る局面以外 に お い て も,上 と同様の隠聡 が見 出 され る。 以下 に示すのは,秘密 の知識 の伝授 な どに よ る誓約 関係 を結 ぶ場合 ,政治的同盟関係 を 結 ぶ場合 ,そのはか重大 な約束 をす る場合 に 唱え られ る誓言 であ る。 そのなか において, 舌 と口 とが,上記 におけるtubumusu,lodo ndaa,kojakangaの よ うに,男性性器 と女性 性器 の対 ,象徴 的性交 を あ らわ し,誓言 の も つ神 秘力 の源 とな って い ると説 明 され る。 wogamoka koE kati ta'ifakalupa memu kiitembu garE ma'E mbE'o kEkoma'E tEi
temu sibhisino'okobawiwi temu sibhesano'ongalu lena
dowa rewa ghawa soko 'EO Saga boko sawE dowa ghawa kii 'EO derE mEra wiisebegagewo
lemasetokolasE
dowarewano'o'aE hoga sawE reWanO'0'aE ndoR
訳 姐を掘 りお こす。 ミミズを掘 り出す。 ミミズの糞 がかたま りにな る。 kii(植物 名)21)の芽 が出 る。 話 す こと,知 るべか らず。 語 ること,み るべか らず。 口先 で音を立 て るのを止 めよ。 舌先 を鳴 らすのを止 めよ。 21)kiiはインフォーマントによって alang-alang (-1alang: /mperata CyZindr3'ca BEAV 【Poerwadarminta1976】)とインドネシア語訳さ れる,単子葉の雑草。屋根を葺 く材料。 短 いsoko(植物 名)22)のあ る彼方 で全 ては 果 てた。 股 の赤 いkii23)のあ る彼方 で全 ては終 った。 口は1穴 の女性性器。 舌 は1本 の男性性器。 女性性液 とともに全 ては果 てた。 男性性 液 とともに全 ては終 った。24) 以 上 のよ うに,性交 は神秘力生成 の要 とな って い る。 そ こにおいて女性 と男性 は,存在 に とって metonymical[Leach 1976]な関係 にあ る性器 およびその結合一一 性交- によ って表象 され る。 即 ち,bhisa な る象徴 の構 成 において は,女性 と男性 は,優劣 のな い, 相 互 に不可欠 の補完対 と して顕現 して い る。 2. 性交 の象徴 とその操作 の主体 ところが,それ らの象徴操作 とい うレベル においては,男性 と女性 の不均衡 がみ られ る。 bhisa な る知識 を得 よ うと必死 にな って いる のは男であ る。 男 た ちは,神 秘力 を源 と して 他者 に対 して影響力 を発揮す ることを希求 し て いる。確 か に,出産な どに関す る bhisaな る知識 あ るいは呪文 が老女 によ って所有 され て いることもあ るが,一般 に女 は,bhisa な る知識 の獲得 に対 し無 関心 であ る。 祭杷村 の統一 に関す る局面 において,性交 22)人間の背丈より高 くなる単子葉の雑草。インド ネシア語名,学名不明。sokoはみな丈が高いと され,短い sokoなど存在 しないと され て い る。それゆえ
,
「短いsokoのある彼方」とは, 「どこにもないような場所」
「あっても知りえな いような場所」の意。 23)derEは葉と葉がわかれるつけ根。de相 の赤い kiiは存在 しない。「股の赤いkiiのある彼方」 とは 「短いsokoのある彼方」と同意。 24)この誓言の意味はわかりにくい。一般に,西 リ オ語の儀礼言語は多義的であったり,意味不明 であったりするのが,一つの特徴である。イン フォーマント白身 「これは難 しくて明らかな意 味はわからない。だからbhisaなのである」と いって,解釈 しきることを避けた。東南 ア ジア研究 24巻2号
に関す る象徴行為 の主 た る担 い手 と な る の は,男 の司祭 た ちである。ngguariaの占い において横榔樹 の実や枝を とり扱 うのは,男 の司祭 た ちである。
播種 の儀礼 においてmosalakipu'uが tana watu に対 して性交 を行 うとい う例 は,以下 にあげ る例 とともに,象徴化 された性交が, 男を主体 とす るに適 して いることを示 して い る。 ngguaria における祈 とう歌 のなかで も, また後述す る gawi25'と呼 ばれ る踊 りの歌 の なかで も表現 され るよ うに,榔子酒 (mokE) がた くさん とれ ることは,焼畑 の豊作 と対を なす,皇儀性 の象徴 とな って いる。梯子酒 は, 砂糖榔子(mokEまたは pu'umokE)の花梗 に 傷 をつ けて得 られ る汁液か らつ くられ る。汁 液の とれ る量,一つの花梗か ら汁液の出 る期 間 には,大 きな差異 がある。 そのよ うな差異 は,ひ とえに汁液 とりを行 う者 の榔子酒づ く りに関す る知識 と,それに基づ く行為 に依存 して いるとされ る。 その知識 とは以下 のよ う な ことであ る。 砂糖郁子 の木 は女性 である。すでに汁液が とられた ことのある木 は mokEgEIE と呼 ば れ,汁液が1度 もとられた ことのない手 つか ずの木 はmokEtemaと呼 ばれ る。前者 は経産 痛 の,後者 は処女 の隠愉 とな る。mokEtem乱 か らは じめて汁液を とろ うとす るときには, 性交 を許すよ う女 に頼む (rina'atafai)とき のよ うに順序正 しく,次 のよ うな呪文 を所作 にあわせて唱えなけれ ばな らない。 1. 竹 の枝先 を切 りお と して つ くっ た 梯 子 (gera)をか ける。 2. 梯子 に最初 の 1歩 をかけなが ら,次 のよ うに唱え る。
'aku na主tangi (私 は家 の梯子 をあが る。)
25)当論考Ⅳ章の4参府。
3. 葉枝 の ところにきた とき,次 のよ うに唱 え る。
'aku dhajorewatEnda (私 はまずベ ラ ンダ に腰 か けよ う。)
4. 幹 を覆 っている布状 の繊維 を切 りひ らき なが ら,次 のよ うに唱え る。
'akutetErewanaOgamangErE'ikolawo (私 はまず樹皮繊維を切 りひ らこう。 あ
たか も女 の腰布 をま くりあげ るよ うに。)
5
.
汁液 とりの足場 とな るよ う葉枝をお しひ らきなが ら,次 のよ うに唱え る。'akuwElapepasamangErEkagEkega (私 はまず美枝を切 ろ う。 あたか も股を
お しひ らくよ うに。)
6
.
汁液を とろ うと思 う花梗をゆすぶ りなが ら,次 のよ うに唱え る。'aku wErutengusamangErE koosusu (私 はまず花棟をゆすぶ ろ う。 あたか も 乳房をなで さす るよ うに。) 以上の知識 と作法が汁液を得 るのに必須 と され る。上の呪文 に もあ らわれているよ うに, 汁液 とりの行為 と性交,汁液 と乳汁の隠唖が み られ る。26) この隠職 は,以下 のよ うな慣行 と呼応 している。出産 したのに母乳が出な い 場合 ,母乳をひ き出す(kawE'aE SuSu)ため に,砂糖榔子 の汁液またはそれを発辞兼官 し てつ くった榔子酒を飲む。 日常的に行 われ る この慣行 に対 し,砂糖梯子 の木 と女 ,汁液 と 母乳の隠愉関係 が,奥義の どと く示 された り 隠 された りす るのである。 彼 らに とって,梯子酒づ くりは,焼畑耕作 に対比 され る基本的生産活動 であ る。 梯子酒 づ くりに必須の象徴行為 は,上 にみたよ うに, その行為 の主体 が男性 であることを想定 して 26)この隠唖は,性交の結果による妊娠,出産を経 てはじめて乳汁が出るように,上記のような性 交を象徴する呪文と所作の結果はじめて榔子の 汁液が浸出するという彼らの論理に原応 してい る。
青木 :中部 フロー レスにお ける神秘 力 と性 いる。汁 液 とりには じま る郁子酒づ くりの仕 事 は,男 の仕事 だ と考 え られて い る。27)あ る 口承伝承 のなか に, 自分 の山刀で脚 に怪我 を したまぬ けな男 のかわ りに,その妻 が砂糖 榔 子 の木 に登 るとい うモチーフが あ る。 男 はそ れを木 の板 もとにす わ って仰 ぎみて いるが, 妻 の股間を大 きな傷 だ と思 って, あわてて彼 女 を木 か らおろ して家 に連 れ帰 る。 このモチ ー フのなかで,女 が砂糖榔子 の木 に登 るとい う行為 が突拍子 もな い ことと して描 かれて い る。
'inEIEkE,SuSubEWa,longgombenga,tisi feri,fEnggErE'Eな ど28)は,共 同体 にではな
く個人 に関与す る精 霊 であ る。 これ らの精霊 の性質 は語 る人 によ って異 な るが,だ いたい の ところ,出会 った個人 に対 し禍 いを もた ら す とされ る。 あ る人 々によれ ば, これ らの精 霊 は,ひ とりで森 や川辺 を歩 く人 , ひ とりで 畑仕 事を して い る人 の前 に,その恋人 または 配偶者 の姿 を とってあ らわれ る。 あ るいは, 非常 に美 しい異性 の姿 を とって あ らわれ る。 そ して,その人 を性 交 に誘 う。 も しその人 が 異性 の姿 を した精 霊 と交わ った場 合 には,そ の人 は遠 か らず死 んで しま う。別 の人 々によ れ ば, これ らの精 霊 は もっぱ ら女 の姿 であ ら われ,出会 った男 を性交 に誘 い,その結果 そ の男 は死 ぬ とされ る。 また,その名称 の一部 は,即 ち,'inE(母親),susu bEWa(長 い乳 戻) は,それ らの精霊 の女性 的属性 を指示 し て いる。29) ここにおいて も性 交 の象徴 の操作 27) 「女が郁子酒づ くりをやってはいけないという わけではないが,ふつうは男がやる。女が梯子 酒づ くりを したという話は聞いたことがない
」
というのが現地の人々の一般的な意見である。 28)単語の字義どおりの意味は以下のとお りで あ る。'inE:母。IEkE:植物名,蔓植物の一種。 susu:乳房。bEWa:長い.longgo:背中。 mbenga:穴。tisi:裂けた。feri:フタロウの 鳴声,バ ッタの一種。fEnggE:(単独では意味 のない語)0rE'E:悪い。 29)mbenga,tisiという語 も,女性を暗示 している。 にかかわ るのは 男であ るとい う傾 向 を み せ る。 ただ し,関与 した者 は,神 秘力 を獲得す るのではな く,神 秘力 によ って増進 され るべ き生 命 を奪 われて しま うのであ る。 また一般 に,政 治力 ,影響力 のあ る (waka nganga)男 ,従 ってなん らか の神 秘力 を所有 して い ると目され る男 は,性欲 あ るいは性 的 能力 (tego)の過剰 を属性 と して もってい る とされ る。例 え ば,行 政村 長 (kepaladesa)の地位 に あ る,あ る男 は,nuaにおいて は伝統 的な役 職 を もたな いので あ るが,行政 レベル にお い て 同様 ,伝統 的共 同体 の レベル において も絶 大 な影響力 を有 して い る。 それは自他 ともに 認 め るところで あ る。1984年 の祭帝巳村 の儀礼 家屋 の屋根 がえ の際,儀 礼 のあいま に,彼 は, 自己の能力 を誇示 す る bhEa と呼 ばれ る語 り を行 な った。 そのなかで,彼 は自己の性 的能 力 を誇 って次 の よ うにい った。 「俺 は, tubu musu koja kanga の ところで tana watu に対 して3回交 わ った。 その直後 に,家 の う ちで妻 と3回交わ った。 こんな ことをで きる 人間 が はか にいるか」。 この発言 によ り彼 は, 性 的能力 のみ な らず,神秘力 を操作す る力 を も誇示 して い るのであ る。 これを聞 いて いた 聴衆 は, 彼 の力 を認 め るごと く沈 黙 して い た。彼 の影響力 は誰 で もが認 め るところであ る。 しか し一方 において,彼 は姉妹 (weta)と 呼ぶ者 で あろ うと,母 ('inE) と呼ぶ者 であ ろ うと,姉 妹 の娘 ('eda) と呼ぶ者 で あろ う と,娘 ('ana)と呼ぶ者30)であろ うと,意 に 介 さず性交 を いどむ とい う悪評 が常 につ いて まわ って いる。彼 の妻 が不健康 な こと,娘 が 死 んだ ことな ど,彼 にお こる不幸 を,人 々は 陰で彼 の性 的な悪行 のゆえ と説 明す る。 上 に掲 げた例 ほど極端 でな くと も,男 は一 般 に機会 あ らば婚外 の性 関係 を もとうと して 30)全て性関係の禁止されているカテ ゴ リーで あ る。
東 南 ア ジア研 究 24巻2号 い ると彼 らはい うし,実際 そのよ うにみえ る。 婚外 の性交を数多 くこなせ る ことが長寿 や成 功 の秘訣 と考え られ ることもあ る。 日常的出 会 いのなかで性的隠境を こめた会話 を相手 の 女 に しかけ,女 の受 け答 えが肯定 的であれ ば, お りをみて性交を求 め る (rina 'ata fai)と い うのが一般 的な方法 である。 ところが,女 が婚外 の性 関係 を もっ ことは,男 の場合 とは 全 く異 な る意味を もつ 。女 に とって婚外 の性 交 が長寿 や成功 と関係づ け られ る こ と は な い。 む「しろ,周囲の者 か らの軽 蔑,夫 のない女 が父親 とい う養育者 のない子を産 む悲惨 な ど の,否定的な側面が強翻 され ることが多 い. 実際 に婚外 の性 関係 が発覚 した場合 ,性 関係 までのプ ロセス,年齢,状況 その はかの条件 にかかわ らず,男の方 に全責任 が問われ る。 も し女 の夫 (未婚 の場合 は両親 または兄弟) が男 に対 し責任 を追及 した場合 には,男 は必 ず支払 いを しなけれ ばな らない。 また,男が 女 に性交 を求 め るのは当 り前 の こととされ る が,男 に性交 を求 め る (rina 'ata kaki)女 は妖術師 ('ata polo)だ とされ る。性交を求 めないまで も,秋波 を送 る女 は激 しい軽蔑を 受 け, と くに男た ちの中傷 の対象 とな る。
Ⅰ
Ⅴ
性交 と性関係の民俗概念 1. noka(罵倒語) イ ン ドネ シア各地 にみ られ, フロー レス島 の中部地域 ではいた るところで見 出 され る, 英語 の fourlletter word に も一脈通 ず る, 罵倒語 の カテゴ l)-があ る. 西 リオ 語 で は nokaと呼 ばれ る。nokaのカテゴ リーは性器 をあ らわす語 か らな る。 女性 に対 しては koa (女陰),男性 に対 して はli'E(章丸)が最 も 一般 的 につかわれ る語 のよ うであるが,地域 差 および時代的変遷がみ られ る。女性 に対 し ては 「穴」 あ るいは 「裂 け目」 とい った語 , 男性 に対 しては 「突起」
「球状 の もの」 とい った語 も nokaにな りうる。nokaの カテゴ リーは創造性 ,脈絡依存度 の高 い言語 カテゴ リーであ るといえ る。 例えば,mbenga(ま たはmbengga)は,あ る地域 においては明確 に女性 に対す る nokaのカテゴ リーにはいる ので, と くに女性 のいる場 においては口に し てはいけな い語 であ るが,別 の地域 において は 「穴」 とい う一般 的名詞 で しかない。時代 的変遷 の例 と しては,bega(穴) とい う語 の 用法 があげ られ る。初老 の イ ンフォーマ ン ト によると,begaとい う語 は, かつては非常 に重大 な nokaであ った。 しか し現在 で は, 男性 によ ってつかわれ る間投 詞あ るいは単 な る付加語 と して, 日常会話 のなかで頻朱 に聞 かれ る。 さ らにraa(血)を付加 したbegaraa (かつては bloody vaginaの意) とい う語 ち,単な る間投詞 と して男性 によ って非常 に よ くつかわれ る。begaあるいはbegaraaと い う語 を女性 が間投詞 と して用 いることはない。
隠峻的 に性器 をあ ら わ す 語 , あ る い は noka と母音変換の関係 にあ る語31〉- 例 えばmbengaに対 して mbingE とい う語-は,娩 曲な nokaとな る。懐 中電燈 とい った 外来 の名詞 も脈絡 に よ っては 男 性 に対 す る nokaとな りうることは, 前者 の例 と いえ よ う。 後者 の例 と しては,kaaroaがあげ られ る。kaaは 「食べ る」の意,roaは 「まず…...し てか ら」とい う副詞である。それゆえkaaroa の意味 は
,
「まず食べ る」 であ る。 ところが, 前 の単語 の母音 とあ との単語 の母音を入れか え ると,koara乱(bloodyvagina)とな る。 西リオ語 を話す人 々は, このよ うな母音変換 に 熟達 しているので,noka と して, 発話者 が kaaroaといえ ば,聞 き手 は koaraaとい う 意を直 ちに察知す る。roaとい う語 は, ほ と ん ど意味のな い付加語 の どと く文章 のあ とに 31)西 リオ語では nggE'uという。
青木 :中部 フロー レスにお ける神秘カ と性
頻繁 に添 え られ るが,慎重 な話者 は,roa と い う語 が koa とい う語 を連想 させ ると して, 異 音 同義語 の rewa とい う語 を用 いる。
日常生 活 のなかで ,侮辱 や攻撃性 を伴 わず に性 器 を指示 した い 場合 ,pirE gara,'ana mEa,あ るいは 'ola mEa とい う熟語 を用 い る.pirE は禁止 ,禁忌 の意であ る。gara は 儀礼言語 の対句表現 において,pirE と対を なす語 で,単 独 で は用 い られな い語 で あ る。 'ana は小 さい ものの意 であ る。 mEa は恥 じ る (こ と) で あ る。'ola は nominalizerで あ る。pirEgara,'anamEa,'olamEaを意訳す れ ば
,
「禁 じられ た部分」および 「恥 部」 とな ろ う。 一 種 の冗談 関係 にあ る者 同士 の 間 で は, noka を い って も深刻 な結果 を招 かな いばか りでな く,noka を いいあ うことが親 しさの 表現 とされ る。 どの よ うな親族 関係 がそのよ うな冗談 関係 にな りうるか は,西 リオ語地域 内で も地域差 が あ る。32'大 雑把 にいえ ば, (1) 婚 姻可能 な, あ るいは婚 姻 が望 ま しい男女 の 間で, および (2)父 と息子 ,母 の兄弟 と姉妹 の息子 ,妻 の父 と娘 の夫 の関係 を除 く男 同士 の間 で ,成立可能 で あ る。女 同士 には このよ うな冗談 関係 はな いよ うで あ る。 この よ うな 冗談 関係 において は,nokaの応酬,ことに隠 職的 な noka, あ るいは母 音変換 によ る noka の応 酬 が盛ん に行 われ る。 男 の方 が女 よ りも 盛 ん に, この よ うな noka の応酬を行 う。 2. 艶笑 譜 日常生 活 にお いて,狼談 や艶笑帝 の類 も盛 ん で あ る。 繰 り返 し語 られ るその よ うな 口承 伝承 もあ る。 「醜男 の女 だま し」 とい う テ ー マが好 まれて い る。例 え ば次 の よ うな話 で あ る。 32)これは親族組織の地域差が大きいことと関連 し ていると思われる。 LEta Gaga とい う男 は とて も醜 くて, 女 は誰 も相手 に しなか った。 ど うにか して 女 を もの にす る方法 はな い か と彼 は 考 え た。彼 は一 計 を案 じた。 まず川 エ ビをた く さん とって きて,ひ とが あま りゆかな いよ うな沼 に放 った。 それか ら,foIE (砂 糖 郁 子 の実) や landE (雑草 名)や ら,触 れ る と浮 くな る ものを集 めて,その沼 のなか に 投 げ入れ た。 それか ら,彼 が 目星 をつ けて お いた女 10人 に声 をか けた。 「さ っきあ っ ちの沼へ い った ら,川 エ ビが それ はそれ は た くさん いた。俺 は, エ ビを食 うと頭痛 が す るか らだ めだ けど」。 女 た ちは10人 うち 揃 って沼 にい った。 み る とェ ビがた くさん いて水 面 を とび跳 ね て いた。女 た ちは, き っそ く水 のなか- は い って エ ビと りに熱 中 したC熱 中のあま り,体 じゅう水 に濡れ る ことも意 に介 さなか った.foIEや landEが あ ることに も気づ かなか った。 その うち, 女 た ちは体 じゅうが浮 くてた ま らな くな っ て きた。女 た ちが樺 さに身 悶え して い る こ ろあ いを見計 らって,LEta Gaga は沼 の 方 - い って女 た ちに話 しか けた。 「ど うだ, エ ビがた くさん いただ ろ う」。 「エ ビはいた け ど,体 じゅう樺 くて耐 え ら れ な いわ。 この輝 きを お さえ る ことがで き な いか しら」。 「俺 は薬 を もって るよ。 も し 『いい もの』 くれ るな ら治療 して あげ るよ。 とにか く俺 の家 に こな くち ゃ」。 「もう しょうがな い。 『いい もの』
で もな ん で もあげ るか ら」。 女 た ちは LEta Gaga の家 にゆ くことを 承諾 し,ぞ ろぞ ろ と彼 のあ とをつ いて い っ た。家 につ くと LEtaGaga は,ひ とりず つ家 の 中 には いるよ う女 た ちに命 じた。最 初 の女 が家 にはい る と,LEta Gaga は予 め用意 して おいた mokEmii(砂糖 梯子 の 汁液)33)を と り出 して,女 の体 じゅう隈な東 南 アジア研究 24巻2号 く塗 ったあ とで,その女 と性交 した。 この よ うに して彼 は
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人 の女 を一度 にもの に し て しま った。1
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人 が1
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人 とも器量 よ しの女 だ った とい うことであ る。 彼 らは,男 も女 も,性欲 旺盛 な醜男の知恵 に大笑 いす る。 このよ うな話 の語・り手 とな る のは男である場合 が多 い。 濃淡,艶笑帝をす る場合,彼 らは隠愉表現 , 娩 曲表現を好 む。 ことに,
「食」 による 「性」 の隠唖表現 は, 日常会話 のなかに頻繁 には さ まれ,聴衆の笑 いをひきお こす。 3. 隠喰歌合戦 歌 とい う形式 による,性 の隠喰表現34)も発 達 している。 その よ うな歌の応酬 の例を以下 にあげ る。 これ は,ある老人 が記憶 して いた ものである。 かつて,道普請 に村人 たちが駆 り出 された。 そのなか に,中央 山岳地帯 の 'OkaDRdEと い うところか らきた男た ちと,Moniとい う, 南海 岸によ り近 い ところか らきた女 た ちがい た。歌合戦 は自然発生 的 には じま った。Moni の女 たちが口火 を切 った。rEmbiboro'atandu'alonggo rEmbibororundawua'iwabuja
訳
山の人 のboro(梯子科植物)製 の有か け袋 は,
boro製 の肩 かけ袋 は, こす った り,の っけ た り して も,飽 きを知 らな い。
'OkaDEdEの男た ちの応酬
rEmbiboro'ataMoniW ena potoloo'ura'iwamoo
訳 33)逐語訳は 「甘い砂糖伸子 (の汁液)」。蒸留する 前の砂糖榔子の汁液。拝みに効 く。 34)隠峨表現のカテゴ))-はsibisEnaといわれる。
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低地 Moniの人 の boro製肩か け袋 は, 出 し入れ して も,壊 れを知 らな い。 Moniの女 た ちの応酬 'anamokEghalEjalagoIEfuragh aindoongErEndorElogE
訳 西方 の峰 の向 こうの道 の砂糖梯子 の小 さい 木 は, その若 い実 の房がたれ下 が って,ほ とん ど 尻 を越 えそ うだ。 'OkaDRdEの男た ちの応酬
mokEpepagharuweramena sikisebano'okobEleja
訳 向 こうの東 の葉枝の張 った砂糖梯子 の木 は, 日夜汁液 とりが行われて いる。 Moniの女 た ちの応酬 kEukEE'ata'OkaDEdE gllrEkungEEngangE bEu 訳 'OkaDEdEの人 の小横榔樹 は, 実がたわわ にな って離れ よ うと しない。 'OkaDEdEの男た ちの応酬
kEu kEEIataMoniwena tekaru且'aEngErEbur乱
訳 低地 Moniの人 の小横榔樹 の実 は, 二 つ に割 ると,ま るで噴 き出す よ うに水 が 溢れ る。 最後の歌 を聞 くと,Moniの女 た ちは恥 しさ のあま り応酬 を繰 り返す ことがで きな くな っ た。Moniの女 た ちの負 けであ る。 以上 にみた よ うに,即興 的歌合戦 もまた,
青木 :中部 フロー レスにお ける神秘 カ と性
言語遊戯 の一 種 とな って いる。女 た ちの即興 歌 に対 して ,男 た ちは同 じテーマ- 上 か ら 順 に,rEmbiboro,mokE,kB:ukEE- で歌 の応酬 を して い る。35)隠喰表現 を用 いつつ相
手 の性器 ,性行動 ,性欲 を亦掩す る とい う規 則 が両者 に了解 されて いる。 それ によ っては じめて解釈 が可能 とな り,郷旅 の効果 が発揮 され る。 例 え ば, 最初 の二つ の歌 に お い て rEmbiboro(boro製肩 か け袋)では, 1番 目 の歌 では男性性器 ,2番 目の歌 では女性性器 の爆聴 とな って いる.上 の規則 が了解 されて いな けれ ば,二 つの歌 のなかでの隠境 が逆 に 解釈 されかねな い。
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gawiの歌 前章 で触 れたngguariaにおいて,儀 礼用 のヤム イモ と横榔樹 の実 のな った枝 を,儀礼 場 とな る家 に入 れたあ と, その夜か ら翌 日の 夕方 まで,gawiと呼 ばれ る踊 りが,lewulEIE と呼 ばれ る,祭扉巳村 の中心 か らはずれた広場 と,kojakangaにおいて行 われ る.gawi は 歌 を伴 い,ngguaria の賑やか さの極 みを形 成 す る。 gawiにお いて人 々は手 をつな ぎ, C字状 または螺旋状 に連 な る。 人数 が多 い と きには数 重の螺旋 をなす。男 た ちは内側 に一 つの螺旋 を,女 た ちはそれを とり閉む別 の螺 旋 をつ くる。異性 同士 は手 をつ ながな い。踊 りの動 きは足踏 み とつな いだ手 の前 後動 が基 本 とな って い る。 ゆ きつ もどりつ しつつ,坐 体 と しては反時計 まわ りに回転 してゆ く。 踊 りの基本 は男女 とも同 じであ るが,女 の踊 り は棒 立 ちにな った, ほ とん ど動 きのな い もの で あ るの に対 し,男 の踊 りは勢 いよ く手足 を 動 か し全 身 を くね らせ る躍動感盗 れ るもので あ る。男 たち,と くに未婚 の若者 た ちは,この 35)母音を揃えることにより韻を踏むことに努力が なされているoboro/longgo,runda/buja,loo/ moo,mokJS/goIE,pepa/mena,seba/leja,kEE/ DEdE,rEku/bEu,rua/bura.よ うに手 を激 しく前後 に振 ることによ って, う しろで踊 って い る女 た ちの体 に触 れ よ うと い う下心 があ るとい うことであ る。踊 って い る者 た ちに とって も, まわ りで見物 して いる 者 た ちに とって も,gawiの場 は性 関係 の駆 けひ きの行 われ る場 とな って い る。 gawiに はその条 帝巳村 の人 々のみな らず,外部 の誰 で もが参加 で きる。若者 た ちは,条杷村 か ら祭 扉巳村- と gawi をわ た り歩 いて,若 いエネル ギーを発散 させ る。 このよ うに して,gawiの 歌 の歌詞 は,西 リオ語 圏 内 に流布す る。
gawiはまず,lewulEIEでは じま る。 その
は じま り方 は, いか に も自然発生 的 とい った 趣 きであ る。 まず,gawi好 きの者 た ち数人 がは じめ る。 それを聞 きつ け, しだいに参加 者 が多 くな ってゆ く。 この場 は若 い男女 が中 心 とな る。 ここにおいて も,上 の道 普請 の歌 合戦 のよ うな,性 に関す る隠聴表現 の歌 が歌 われ る。歌 は即興 的 につ くられ ることもあ る が, いまではその よ うな才能 を養 って い る人 が減 って,定型的 な ものが歌われ る傾 向 にあ る。 しか も歌 の内容 において上 の歌合戦 と異 な ってい る。gawiの歌 の内容 は, その多 く が,女性 に対す る性 的郷旅 とな って い る。以 下 に例 をあげてみ よ う。 ①jara'ata MotaMala naisobarapa 訳
Mota Mala (地 名) の人 の馬 に, ち ょっとの ってみ よ う。
@bEsimosogh Eta'otolowo la'E pekakoo'aE ngErE WOO 訳
北 の川 の近 くの森 の腐 った カボチ ャは, 触 りも しな いのに,もう水 が溢 れ出す。
東南 ア ジア研究 24巻2号
motagbalEMbombamotaghalEMbomba bebu rEwOkoba 訳 西 の Mbomba(地 名) の へ西 の Mbombaの キ ンマ,西 の Mbomba の キ ンマ, み ご とに茂 って い るの は董 ばか り。 @gh alE KEO
kolighalE KEokolighalE KEo pepambEWurEWO 訳 西 の KEo(地名) の 西 のKEOの ロ-_ンタル榔子 は,西 のKEoの ロ ンタル榔子 は, や た らと無駄 に美枝 が茂 って い る。 ⑤ghalERutE
kowaghalE RutR kowaghalERutE lag五 binodu且 訳 西 の RutE36) (地 名) の 西 の RutEの舟 は,西 の RutEの舟 は, 端 か ら少 しずつ剥れ て きて いる。 @wawiW odaBalu mEmEmengapasu 訳 W odaI∋alu(人 名) の豚 は, ふ っ くらしてみ ばえが いいのは, は っペ だ け。 @'okogh EIESOko ngErEmoringgoro bemagh EIE kela ngErJLkEranggabha
訳 36)フローレス島最西の県マンガライの県庁所在地 Rutengのこと。 丘 の上 のsoko(植物 名)37'にで きた跡 は, ま るで ワニが這 いお りたみた いだ。 丘 の上 の kela(植物 名)38)にで きた跡 は, ま るで亀 が這 ったみ た いだ。
⑧jawapEna39)'ataMbuliNggEla
la'ESekEnataulamulEWa
訳 MbuliNggElaの人 の潰 し トウモ ロ コシは, まだ 1皿 の こって い るけ ど, カ ビが はえ て しま った 。 ① は男性 に対 して も女性 に対 して も成立 しう る性 的抑掩 であ るが, どち らか といえ ば,局 を女性 の隠喩 と解釈 す る方 が一般 的 であ る。 ⑧ ほ明 らか に女性 に対 す る性 的抑稔 で あ る。 先 にあげた歌合戦 の最 後 の歌 (p.210)に酷似 した表現法 で,女性 の性欲 の旺盛 さを抑旅 し て い る。 異 な る ところは, この ⑧ の場合 , bEsi(カボチ ャ) が腐 って い るこ と, および 'oto (森 ) にあ ることか ら,性 的価 値 の低 い 女 の秘密 の禁 じられた 性 関係 を 暗 示 して い る。 ⑧ ,㊨,㊨ ,(釧 ま全 て未婚 の女 が いて, みか けはよ いけ ど, もう男 に体 を与 えて しま って処女 でな い ことを抑掩 ,軽 蔑 して い る。 Mbomba,K且0,RutEは,いずれ も西 T)オ語 圏外 の遠 隔地 で あ る。 と くに これ らの場所 に 意味 はない と思 われ るが,40)いずれ も西方 に あ る ことが興 味深 いO(参の歌 は duE(少 しず つ)とい う表現 によ って
,
「多数 の男 を相手 に して い る,売 れ の こ りの未婚女性」 に対 す る 抑掩 で あ るとい うイ ンフォーマ ン トの言 であ 37)脚注22参照。 38)インドネシア語名,学名不明。単子葉の雑草。 群生する。儀礼言語のなかで青々と_したさまの 表現となる。 39)乾燥 した トウモロコシの粒を水に浸 したあと, 煎 り,熱いうちに右で叩き潰 した食物。 40)これらの地名は韻の上か ら選ばれた の で あ ろ う。.Mbomba/koba,KEo/rEwo,RutE/du五・⑥ の 歌の人名にも嶺あわせがみられる.Balu/pasu.青木 :中部 フロー レスにおける神秘力と性 る。W oda Balu とい う人 名は実在 す る人物 を当て こす って いる.W odaBaluの豚 とは, その人物 の娘を さ している。(むの歌 はややわ か りに くい隠喩であ るが, イ ンフォーマ ン ト によれ ば 「この歌 は,婚外 の性 関係 , ほ とん ど強姦 とい って もよい性 関係 に従 った女 に対 す る当て こす りであ る。 そのよ うな性 関係 を 結んだ場所- 正常 な性 関係 の結 ばれ る場所 ではない場所,sokoや kelaの生 い茂 って い る場所- には, ワニや亀 が這 ったみたいに は っきり跡 がつ いて いて,隠 した ってわか る」 とい うことであ る。 このよ うな性 関係 で当て こす りの対象 とされ るのは, もっぱ ら女性 で ある。(鋸 ま,誰 に も相手 にされないい きお く れの女 の, これ もまた,性 的価値 がな くな っ て いることを当て こす って いる。 すで に触 れた歌合戦 の際 の隠峻表現 の内容 と,以上でみた lewulEIE で行 われ る gawi の隠愉表現 の内容 は,傾 向を異 に して いる。 後者 には前者 にみ られなか った 「両性間の不 均衡」 の観点 が感得 され る。後者 における隠 喩表現 には女性 の性的価値 とい うテーマが繰 り返 しあ らわれて くる。 しか もそれは,その 価値 の下落 または男性 によ る聖損 とい う脈絡 で表現 され る。女性 の性的価値 の聖損者 と し ての男性 は抑摘 ,噸笑,非難 な どの対象 には な らない。 lewulEIE における gawiが賑やか にな っ て多勢 の人 が集 ま って きた ら,gawiの場 は kqjakangaに移 され る。 まず,laiと呼 ばれ る コー ラス形式 の歌 とともに gawiが踊 られ る。'atasodhaと呼 ばれ るソロの歌 い手-例外を除 いて男性- が コー ラスを リー ドす る。 歌 のテ ンポは,は じめはゆ っ くりで, し だ いに速 くな る。lai とい うかけ声が繰 り返 され るので, この部分 は laiと呼 ばれ る。lai のなかでは,豊畿性 が黄え られ,女性 は豊鰻 性 を産み出すため に働 きかける対象 と して表 現 され る。以下 にその例 をあげよ う。 laiEElaiEElai kEwimokE'aE laiEEla主EEla主 gaga'umabo'o la主EElaiEElai penimanu ngEE la主EEla主EElai WestWaWlnuWa la主EElaiEElai dhEndEwalo'JLOgEnE laiEElaiEElai tekawal°'EOtem乱 釈 (か け声) 砂糖梯子 の汁液が溢 れ出 る。 (か け声) 焼畑 をひ らくと,豊作で満腹 にな る。 (か け声) 鶏 に餌をや ると,繁殖 してゆ く。 (か け声) 豚 を飼育す ると,す くす く育 って繁殖力 が増 してゆ く。 (か け声) 丸 くて,かた ちのよい ものを,また叩 い て音を出そ う。 (か け声) 未だ手 つかずの もの に,また傷 をつ けよ
う。
10 10 9行 目までは解説不要 であろ う。 いずれ も彼 らの基本的生 産活動 の豊儀を歌 って いる。1
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行 目,12行 目は,隠聡的表現 であ る。'EOgEnE (丸 くて,かた ちのよ いもの) は,若 い女性 の乳房 とゴ ングの二重の隠聴 とな って いる。 dhEndE(叩 いて音を出す)とい う語 の使用か ら,
「ゴ ングを叩 く」ことが 「女性 に対 して性 行為 をす る」 ことの隠聴 とな って いる.12行 目の 'EO tema は teka (鋭利な もので突 き 刺 して傷 をつ ける) とい う語 とのつなが りか東南 アジア研 究 24巻2号 ら,mokEtema(未 だ汁液 とりの行 われた こ とのな い砂糖 称子 の木
,p.2
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参席) を あ ら わ して い るが,同時 に 「処女」 の隠愉 とな っ て い る。 全体 と しては, 「未 だかつて汁液 と りの行 われた ことのな い砂糖榔子 の木 に傷 つ け,汁液 とりをす る」 ことが 「処女 に対 して 性行為 を行 う」 ことの隠愉 とな って いる. 2 行 目と4
行 目,6
行 目と8
行 目,1
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行 目と1
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行 目とい う対 は定 ま った もので,例 え ば, ソ ロ唱者 が 2行 目を歌 った ら,全員 でその対句 であ る4行 目を コー ラス す るとい うのが lai の形式 であ る。 このよ うに して laiを繰 り返 してゆ くうち に,参加者 がふえ興 がの って きた ら, ソロ喝 者 は ころあいを見 計 らって sodhaと呼 ばれ るソロの即興歌へ と移行 す る。sodhaをす る ソロ唱者 は 'atasodha(sodhaをす る者) と 呼 ばれ る。'ata sodhaの 才能 は 誰 にで も備 わ って いるものではな く,夢見 によ って与 え られ る。 'atasodhaは,ngguariaを行 う条 把村 の司祭集団 によ って選 ばれ る。司祭集団 は,'atasodhaに対 し,金製品一対 を支払 い, gawiの期 間 中の食事 や梯子酒を保証 しなけ れ ばな らな い。現在 では,金製品 ではな く現 金5,
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ル ピア (約1
,
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円) が支払 われ るのがふつ うであ る。評判 の高 い 'atasodhaは遠 くの集杷村 か ら もや と わ れ る。 同時 に数人 の 'ata sodhaがや とわれ る こともあ る。 そのよ うな場合 は交代 でsodha を行 う。sodhaの歌詞 は,ngguariaを主催 して い る条杷村 の司祭 た ちの名,gawiに参 加 して い る人 々の名,定型 的な詩句 ,即興 的 な詩句,それ らの間をつな ぐか け声 な どか ら 構成 されてい る。詩句 の内容 は,罵倒 ,弥掩 , 賞 寮,描写 な どであ るが,表現 はいずれ も隠 愉的であ る。 それ らの詩句が,一見意味 のな いか け声 と混然一体 とな り, イメー ジは立 ち あ らわれ定 ま らぬまま次 のイメージに移 って ゆ くもの と して,聞 き手 に去来 す る。す ぐれ2
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た sodhaは,そのよ うに して聞 き手 を感動 させ ,gawiを活気づかせ る。 踊 り手 の興奮 は さ らに .'ata sodhaの才能 の輝 きを発揮 さ せ る。sodbaと踊 りの相互作用 によ り,gawi の場 の 興奮 は 上昇 の極 みへ とお しあ げ られ る。男 た ちは顔 を輝 かせ,身 を くね らせ,足 を 勢 いい っぱ い踏 み しめ,奇声 を発 して sodha にあいの手 を入 れ る。男 た ちの締 りの列 は, 蛇のよ うに くね りつつ時計 と反対方 向 にまわ る。その螺旋 の先 頭 は'Ekowawi(豚 の尻尾) と呼 ばれ る。 'Ekowawiをつ とめ ることがで きるのは,よほどの踊 り手 であ る。'Ekowawi の踊 り手 は,足 を大 き く踏 み出 し, また大 き くもどる。 それ によ って,列 の先端 はゼ ンマ イのよ うに丸 ま った り,のびた りす る動 きが 与 え られ る。'Ekowawiだ けでな く,踊 り好 きな男 た ちは,腰 をお と し滑 稽な 顔 を つ く り,踊 りの技 を競 いあ う。 この興奮 の渦 中に あ って,女 た ちの踊 りは静的であ り,顔 は依 然 と して無表情を保 って いる。 gawiの興奮 が高 ま るころには kojakangaは踊 る者 た ち で溢 れん ばか りにな って いる。それ に加 えて, 内側 で踊 る男 た ちの列 は,蛇 のよ うに くね る ので,外側 で踊 る女 た ちほ,体 を ほ とん ど直 立 させ ,koja kangaの囲 いの石 凍 み にふ く らはぎが触 れん ばか りにな る状態 で,個性 を 抑制 して踊 る。41)gawiにおける男 の踊 りと 女 の踊 りの対席 は,gawiの歌 に歌 われ る性 の不均衡 と二重写 しにな って いる。 5. はや り歌 gawiに歌 われ る, 女性 の性 的価値 , その 喪失 と男性 によ る貿損 とい うテーマは, 日常 的 に口ず さまれ る歌 のなか に もみ られ る。 こ のよ うな歌 は,誰 によ って,いつつ くられた か はわか らな いが,西 リオ語圏 内 に広 く流布4
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筆者が踊りに参加 したとき,我知らず典にのっ て踊 ったら,
「女はそういう風には踊 らないもの だ」と女たちに笑ってたしなめられた。青木 :中部 フロー レスにお ける神秘 力 と牲
して い る。以 下 に例 をあげ る。
①ko'ofaiMbEmbE'ataNdonaEndE MbEmbR ko'ofaitauruja'utaba'i rujakurE kurEtan mbujuduE mbuju ma'E EngEtau mbE'E
訳 MbEmbEとい う乙女 は,NdonaEndE(也 名) の人 だ。 乙女 MbEmbEがパパ イヤの葉 のあえ もの をつ くった。 あえ ものは とって もおい しい。少 しずつつ まみ食 いす る。 遊 びでつ まみ食 いす るな。本気 でな くちゃ いけな い。
⑧'inEmbanasao'aEteba lopa'ananggoIE ghalEtEnda
丘a孟adeku deduu duu
kolidegh alEKEOpepakaimbEwurEwO
訳 母親 が水 汲み洗濯 にい った。 赤んば は布 に くるまれてベ ランダ にねか さ れて い る。 エア, エア (赤んばの泣声) ドゥク ドゥ ド ウー ドゥ- (か け声)。 西 の KEOの ロ ンタル梯子 は,美枝 が無駄 に生 い茂 って る。 @BobiBobiBobiBobi nebu
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olatu 'emasimongawu gh aa nEa du'a sawE nara 'atE ngangE E bosu Bobigh aadau ngErE kepo 'aE BobiBobiBobiBobi
Bobi nia kaki leka kEmbE nO'o kati Bobinia'analekarawano'o'aa
Bobinianaralekambiri no'o)ata
BobiBobiBobiBobi
'atakn'o'anatau dedu naJa Bobika'o'anamo'Otambatana 'atE nekujedhongaikau kojaroo 'atE neku dhoa ngaikau nggqE baja
訳 ボ ビ, ボ ビ, ボ ビ, ポ ビ。 未 だ幼 い ときに,父親 が婚資 を 受 け と っ た 。 いま じゃす っか りふ けて しま って,相手 と な るべ き男 に嫌 われた。 いま じゃポ ビは水 を握 るみた い に 頼 り な く,ひ とりば っちだ。 ボ ビ, ポ ビ, ポ ビ, ポ ビ。 ポ ビは小 トカゲ と ミミズを夫 のかわ りに し て い る。 ポ ビは山鳩 とカ ラスを子供 のかわ りに して い る。 ボ ビはオ ウム と鷹を兄弟 のかわ りに して い る。 ポ ビ, ポ ビ, ボ ビ, ボ ビ。 はかの人 は子供 を産んで, 自分 の名が語 ら れ るよ うにす るの に, ボ ビは子供 を産ん で,ただ土 をふやすだけ だ 。 私 はかわ いそ うに思 う。 なぜ って, おまえ は腰 が いた いか ら。 私 はあわれ に思 う。 なぜ って,おまえの腹 部 は疲 れて い るか ら。 ① の MbEmbE とい う女性 名は, ご く一 般 的な名であ る。 ここで は特定 の MbEmbE とい う乙女 を指示 して いるわ け で は な い。 Ndonaは南海岸 に近 い 西 リオ 語長 西部 の地 名。EndEは フロー レス島中部 の町であ る。 その名の示 す とお りエ ンデ語圏 に属 す (図4 参照)0 rujaはイ ン ドネ シア語 の rujak,マ レ