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[Studies of Southeast Asian Languages in Europe]

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(1)

ヨー ロ ッパ に お け る

東南 アジア諸言語 の研究 について

西

筆者 は本年 (1963)の五月中頃か ら六月中頃 まで約 一 ケ月間 (正確 には33日間)文部省 よ り派遣 された ヨ ーロ ッパ およびイン ドにおけるアジア ・アフ リカ言語 ・文化研究状況調査団 (団長岡正雄教授) の一員 とし て,欧州各地を旅行 した。 ローマをは じめ,パ リ, ロ ン ドン, ブラ ッセル, アムステルダム, ライデ ン,ベ ル リン,- ンブル グ, コーペ ン-ーゲ ン,モス コ一, レニ ングラー ド, ウィー ン,カルカ ッタの13都市を廻 り, 全体で約

2

4

の研究所, 大学 および 博物館を訪れ た。 しか し,短期間であ り.すでに休暇に入 っている 大学 もあ って, 中には,必要な事柄 さえ も調査出来な か ったところもある。それ らの諸機関の設置形態,施 設 の規模,教育 ・研究の実情 などについては,同教授 の もとで書 きまとめ られ, ttアジア ・アフ リカ言語文 化研究状況調査報告''として刊行 され る予定である(覗 荏, その草稿が池印 されて,一部 に頒布 されている) ここでは,研究状況 の中, と くに東南アジア諸言語 の 研究 に限定 して述べてみたい。 東南 アジア言語研究の現状調査を整理す るにあた っ て,筆者 はつ ぎのような観点をとってみた。 まず第一 にある機関において,どのような言葉が研究および研 修 の対象 として取上げ られているか,そ して,第二 に 研究対象 として取上げ られた言葉 の研究がどの面 に及 んでお り, その教育が どのように な されて いるか, 問題 の核心 となるのは, この 2っの点であろう。 そ し て, は じめの観点 に はさらにつ ぎの 基準を たててみ た。 東南 アジアの全領域で,現在話 されている言葉,過 去 に使われていた言葉を含 めると,正確 には計算 出来 ないけれ ども,概略

1

5

0

種位はあると思 う。 その中, 目下 国語 として通用 している言葉 としては,東か らベ トナム語, カンボジア語, ラオス語, タイ語, ビルマ 語,マ ライ語 の 6ケ国語 がある。 これ らの言葉はいず れ も,外交上,通商上,そのほかあ らゆる面 か ら必須 の対象であ って,各方面か らの要求 によ って,程度の 差 こそあれ,研究 され,また教育 されねばな らないの は,当然の ことであ るO こカ1らの言語が何 らかの形で 教え られていないのがむ しろ不 自然である。 これに対 して,上 にあげたよ うないわば東南 アジアにおける大 言語ではな くて,かな り限定 された地域のみに,ある いは特定の部族のみに通用 している小言語の群れが無 数に存在 している。 たとえば,その中で もかな り大 き いグループに属す る 言葉 と しては, ベ トナムの

Moy

語, タイ ・ビルマ地域 の

Mo

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語 ,

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語, タイ ・ ラオ地域の

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Khme

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系の小言

語や,

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n

系 の小言語,

Mi

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Yao

系の小言語 な

どが顕著な存在である。 ある研究機関において, これ らの小言語 が大言語 と 相 まって研究対象 として取上げ られてい るとい う事情 は,他の研究機関で大言語 のみが対象 とされてい る場 合 に比べて,単 に研究対象の量が多いとい うのみな ら ず,両研究機関の性格の問に,何 らかの質的な相違 が 認 め られて よいよ うに思 う。前者のように,特殊な言 語 の研究 も同時に進 め られてい るとい う状況 は,その 研究機関における東南 アジア言語 の研究が,少 くとも 研究体制 としては,高い水準 に及んでい ることを示す もの と理解 して妨げがないであろう。 第二 に,語学教育 がどのよ うになされ,言語研究が どの分野 に及んでい るかの問題 にはつ ぎの基準をたて た。語学教育 に関 しては,小言語 は,特殊 な条件の も とで しか問題 にな らないのは当然であ って,教育 され る言葉 は,ほとん どが大言語 に限定 され る。か りに, 語学教育 の方法を素朴な段階に分 けると, ① その国の語学者のみが教えている場合 ① 現地人がその国の語学者 と協力 して教えてい る場 合 ① 現地人が中心 にな って,一定期間に集中的に教え る場合

- 6

7

(2)

-a.

何 らの機械を も用いないで教える b. テープコーダーを利用す る (たとえば,現地人 の発音を録音 しておいて, それ らを学生 に自由に 使わせ るなど)

C.

特殊な設備を もった聴覚教室を設 けて,その中 で教 える。 ①

a

の組み合わせはあま り問題 にな らないが,①b, ①bと④ C組み合わせの間には教育方法 としては, は っきりと一線を引 くことがで きると思 う。 研究分野 については概略つ ぎの三つを考え ることが できる。 Ⅰ 記述研究 もっぱ ら現代語 を対象 と して,その音 素体系 とか文法体系 とか,語菓体系 とかを分析 して 記述す る。大言語 の場合は,その語学教育 と密接 に 関係す る。

歴史研究 個 々の歴史文献の研究を中心 に,その 言語の歴史をたどる。 Ⅲ 比較研究 い くつかの言語 の体系を比較 して相互 の関連性 を明 らか に し,言語 を系譜づ ける。 ときに 比較研究 の結果,それ らの言語の共通体を設定す る。 この中,記述研究 と歴史研究 は,基本的に要求 され る分野である。東南 アジアの言語 については, この 2 つの分野 の研究が進 まなければ,第三の分野で信頼 し 得 る結果を出せない と思 う。 さて, ある大学 あるいは研究所で,か りに,ベ トナム 語, タイ語,ビルマ語,マ ライ語 の講義があ り,①b の方法でそれ らの言葉が教え られていて,そ して また, それ らの言葉を含めた記述的,歴史的研究がなされて い るとす る。 このよ うな体制を東南アジア言語研究の現状の標準 線であると一応仮定 してみ る。 これに対 して,たとえ ばある大学 でベ トナム語 とマ ライ語だけが教え られて いるとい った状態であ ったとす ると, たとえその研究 機関でベ トナム・マ ラヤの地域研究が盛んであ って も, 我 々にとっては,その機関において東南 アジアの言語 が本格的に積極的に研究 されているとは云 い難 いので はないだ ろうか。た しかに個 々の言語の研究乃至は研 修が各地域 の全般的な研究のために大 きい役割を もつ ものであ ることは疑 い得 ないが。我 々言語学の観点か らす ると,東南 アジアの諸言語 は,たとえば, タイ地 域 とか ビルマ地域 とい うのではな くて, もっと大 きい 地域一東南 アジア全域を全体的につかむための一環 と して扱われてお らなければ研究体制 と して ととの って い るとは云 い難 いのではないだろ うか。それ故,筆者 は,上 に掲げた最低四つの言語を一組 と見倣すべ きで あ ると思 う。 そ してそれ らの研究 と並行 して,小言語 の研究が進 め られてい るな らば, その機関の東南 アジ ア言語研究の体制が十分 にととの っていると云 い得 る であろう。 このようなま った く外面 的な基準 をたてて 見 ると, この基準を越え る状態 にあるのは (ドイツの 実状 は,筆者 にはよ くわか らないが),パ リの現代東洋

語学校 (L,丘coleNationaledesLanguesOrientales

Vivantes)ロ ン ドン大 学 東 洋 アフ リカ 研 究 学 院

(SchoolofOrientalandAfrican Studies),モス コ- の東洋語学校, アジア ・アフ リカ諸民族研究所

(HHCTHTyT HapoAOB A 3HH IIA中pHKH)である. こ れ以外の研究機関では,一二 の言語が教え られ,す ぐ れた研究者がす ぐれた成果を発表 してお られ るけれ ど ち,東南 アジア言語 の全体的な研究研修体制か ら判断 した場合,やは りその機関は,上記 の機関よ りは,宿 動的でないと認 めざるを得 ないであろう。 パ りの現代東洋語学校の機構 などについては,すで に一般 によ く知 られてい るために, と くに述べ る必要 がないが, ここで教授 されている言葉 の中で,東南 ア ジア研究 に関係す るものをあげると,ベ トナム語, ラ オス語, シャム語, カンボジア語,マ ライ語 (とイ ン ド ネ シア語), ビルマ語 がある。教授方法は,各教室 ごと にフランス入学者 と現地人講師が配置されてい るが, 授業 には特別な設備を もたないで, テープコーダーを 活用す る程度である.つま り,上掲のせ)とbの組み合 わせが採用 されている。筆者 は, その中

2

種類 の講義 (フランス入学者の講義 と現地人講師の講義) を短時 間傍聴 させて もらったのみであるが,正直 にい って, ここでの教授法 よ りは, 日本の外国語大学 の方が秀れ ているとい う印象を受 けた。 周知のように,フランスには習 って極東学院(L, 丘C-′

oleFrangaised'Extr色meOrient)とい う東南 アジ ア研究 の中心が- ノイにあ った。そ して, この機関 自 体 は今 で もコレージュ ・ド・フランスの

2

階の部屋で なお活躍 してい る。 しか しこの研究機関では,残念 な こと乍 ら, 目下 は言語学の面での専 門家 は一人 もお ら ない。パ リにおける東南 アジア言語 の専門家 としては, 現代東洋語学校 でクメール語 とタイ語 を担当 してお ら - 68- . .1 1 1 . ・一 _ --_ .i . JL

(3)

れ る

F.

Mar

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氏, ビルマ語を担 当され る

L Be

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女史,同 じくビルマ語研究家の

D.Be

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氏, その

ほか 東南 アジア言語全般を 扱 って 多 くの論文を 発表 している

A.G.Ha

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氏をあげることができ

oFr

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氏はと くにクメール語 とタイ

語の語法の対照を主 と した研究テーマ として,数篇の 論文を発表 してお り,たとえば,つ ぎの論文があるO

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は東パ キスタン

(

Chi

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で調

査の経験を もってお られ, いわゆ る チ ン語

Khya

ng

とビルマ語方言についてよい資料を提供 された

。(

Le

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Khya

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L

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).

後者の論文 は, ビルマ語

Mar

ma

方言 (これは

Maghi

方言 とよば れた もの) と標準語

(

Rango

o

n

方言)の比較を 目的と しているが,マルマ方言 自体の記述が明確ではな く, 比較の 方法 も秀れて いない と思 う。

A.

G.Ha

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i

-c

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t

氏 は, もともとはタイ語 ・ベ トナム語 を 研究 した が, 現在では 東 南 アジア 全域 に 研究 領域を 拡 げて いる

Le

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L

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9

5

6.

のほか多 くの論文がある。 また

Haudr

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氏 には

Kar

e

n

語 について,

2

つの研究がある

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L

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1

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5

3

.

これは

Kar

e

n

語 の中

,PwoKar

e

n

語 と

Sga

w

Kar

e

n

語を比較 した研究であ って, タイ諸語 のたどっ

た変化か ら類推 して

,Kar

e

n

語 の共通体系を考えよう

とした ものである。た しかにタイ諸語 とカ レン語の変 遷 には,初頭音や声調について顕著な並行性が認 め ら

れ るが, 同氏の資料 とな ったのは

W.

C.B.Pur

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Kar

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2

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o

n

の小冊子のみである。 この 辞典では

PwoKar

e

n

の形の後に括弧に入れて

Sga

w

Kar

e

n

形があげ られてい る。 しか し,共 にカレン文字 を用いてい るので実際にはどのような発音 で あ る の か, この辞典 のみか らではよ くわか らない。筆者は,以 前 にカレン語を調査 したときに,

Ha

udr

i

c

o

ur

t

氏の 掲げている形が,実際 とはかな り違 っているのを知 っ て驚いたことがある。たとえば

H

氏があげ る

Pwoa

n:

Sgaw au

は,実際には現代語では

Pwa

[〇1

,Sga

w

l〇?]であ った

Qe

X

・<足>

Pwo【

k

〇]

,Sgaw l

k

`つつ], <たべ る>

Pwo

[

]

Sgaw

l

〇フ

】(いずれ も高型 ト-ン) 最近東洋言語 の研究が急速 に発展 しつつあるが,東 南 アジア言語 の領域 において も,今 は一つの発展期に さしかか っているのではないか と思 う, フランスにお ける 東南 アジア諸言語 の 研究 は,

Savi

na,Cuaz

,

Mi

got

,Di

gue

t

諸師によ って作 られた年期の入 った

信頼 し得 る資料が次 々と提供 され ることによって大 い に進展 し,我 々の研究 もそれによって,多 くの恩恵を 受 けた。今で もこの種の仕事が発表 されつつある。 た とえば

P.Gui

l

l

e

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I

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9

6

3

.

このよう な資料 の公表 は今なお有難いことではあるけれ ども, 我 々はこの辞典か ら,バ フナル語が どのような性格を もった言葉であるかはよ くわか らない。つ ま り, この 辞典 におけるバ フナル語の記述的研究が,現在の我 々 の要求 とは一致 しないのである。まず対象 とす る言葉 の体系を正確 につかまえる記述研究が何 よりも先行 し てなされねばな らない。 フランスの東南アジア言語研究 は,簡略に云 うな ら ば,は じめに掲げた分野の中, Ⅰ記述研究 とⅢ歴史研 究が貧弱であるが,従来の資料を使 ったⅢ比較研究の 面では多 くの仕事が為 されている点に.特徴があると 云 うことがで きる。 ロン ドンの東洋アフ リカ研究学院

(

SOAS)

の機構 について も一般 によ く知 られているか らここでは省略 した

い。

SOAS

では東南 アジア諸言語 は

De

p

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で担当され, つ ぎの諸言語が教え

られている。 ビルマ語

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gg

諸氏 ,

マ ライ語

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諸氏, 古代 および 現

代 ジ ャワ語

-Ho

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氏,モ ン語

-Sho

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o

氏, クメ

ール語

- J

ac

o

b

氏, タイ語-

Si

mmo

nds

氏,ベ トナ

ム語

- Ho

ne

y

氏 。この

De

p

t.での教授方法は上掲①

(4)

-と

a.

または

b.

の組み合わせである

。SOAS

の特徴 と してはつ ぎの二つをあげ ることがで きると患 う。第一

にはスタ ッフがいずれ も

pho

ne

t

i

c

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に通 じているこ

と,第二 にはモ ン ・クメール語 の研究が と くに活瀞で

あること。 こ の

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であ って,す

ぐれた音声学者 ・言語学者 である。今 までに

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請 , クメール語, タイ語の音声記述 とそれ に もとづい た音素体系 の整理をつ ぎつ ぎに発表 してお られ る。 こ れ らの仕事 は, この方面の研究者 として必読の論文で あ る。 代表的な論文を掲げ るとつ ぎ の ど と くで あ る。

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5

2.

十数年前に発表 された借用語の研究

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)

も必読の論文であ って, いわゆ る

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を どう扱 うかを論 じている。 東南 アジアの諸言語 に共通す る厄介な事実の一つは借 用語の問題であ る。比較研究の場合 には,は っきりと 借用語 とわか る単語 は除外す るけれ ども,記述研究で はその借用語 の処理が極 めて面倒 である

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女史 はこの問題 を

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な観点 か ら見 るべ きであ って,一つの言語 の中に三つの音素体系を考え る必要があると云 うOたとえば タイ語を例 とす ると単 音節の単語

(

c

vv,c

vvcc

は子音 Ⅴほ母音)あるいは単 音節二つの結合か ら成 る借用語

(

c

aC

V

V

,C

aC

VVC

)

は 一般 タイ語の単語 と同 じ形であ るか ら, これ らの借用 語 を形の上 か ら見分 けることがで きない。 この基礎的 な体系を

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ys

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m

という (たとえば

,\r

a:

t

<r

孟j

a>, khr

e:_

di

t<c

r

e

di

t

>

など).これ に対 して,借用語であることはわか るが, と くに目立 って

pr

i

mar

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ys

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m

か ら区別できない形がある。 これ 香

"

Nat

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ys

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m

と い う。

l

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C

V

V

,C

3

C

VV

Cか ら変形 した

Ci

/

uc

vv,c

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/

uc

vvc

の形

pLs

a:

t

モお化け

モku/

s

o

n

も功徳,善行Q.など〕. 最後 にまった く断片 的であ って外来要素であることが 明白な単語があ る。 タイ語では,二音節の単語で初め の音節が

i

.u.

∂以外の母音を もつ場合が これにあた

(

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1

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>

cocvvc)Oこれを

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m

とよぶ。

このようなわけ方 は,大体

,nat

i

ves

pe

ake

r

の意

識 とよ く一致す るもの と考え られ る。筆者 は一つの言 語 を記述す るのにい くつ もの音素体系を認 めるとい う 主張には賛同 した くないが,

He

nde

r

s

o

n

女史 はこの 立場か らタイ語 , クメール語,モ ン語,ビルマ語 にわ た って借用語 の形式を論 じた。 音声学専門家 の

Spr

i

gg

氏 は もともとはチベ ッ ト語

の記述 をされていたが,

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St

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nLi

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9

5

7

)

で ビル マ語の秀れた記述を発表 した。 これは難解乍 ら有益 な

論文である。そのはか広東語を教えている

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°.

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1. は

1

9

5

9

-

6

0

の間 に ラオスの 北西部

Phu Khamt

e

ng Chungl

i

ang

で調査 した癌語の報 告であ る。

SOAS

での

Mo

n-

Khme

r

語の研究は,

Mo

n

語の

Shor

t

o

,Khme

r

語の

J

ac

ob

氏が中心 にな ってい る

。Shor

t

o

氏 はモ ンの

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pi

gr

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な どを研究 してい

たが, 最近は

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n Mo

n

を記述 して

,A Di

et

.

o

fMo

de

r

nSp

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nMo

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9

6

2

を出版 した. これは

現代モ ン語 のす ぐれた辞書であ る。我 々のところで も モ ン語, クメール語を中心 に, この系統 の言語 の専攻 を目指す人達が出て来ているが 目下はやは り

SOAS

の 研究には及ばない。 東南 アジア 言語 の研究で

Mo

n-khme

r

系 の言語 は極めて重要な役割 を果 た している。 極端な云 い方 をすれば, クメール語の研究が進 まなけ れば タイ語の研究 も進み得ない し,モ ン語 の研究が進 展 しなければ, ビルマ語 の研究 もある段階以上 を越え ることがで きないとさえ云 うことがで きる。 このよ う な重要な言語を

SOAS

では 盛んに 研究 して いる。

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氏 には, このほかに

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r

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Pat

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1

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C)があ って

,Pal

aung

言吾

の音素体系 と単語形式 の概観を与え

,J

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o

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氏 は

The

St

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r(

1

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0

)

で,

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angko

r

i

an

angko

r

i

an

の クメール語 の特徴 を説 いている。

SOAS

の学者の仕事 は,当該言語全体に対す る興味 よ りも,音声学上 の興味か らな されている場合 も多い けれ ど も,個 々の言語 の研究を今後 よ り発展 させ るた めの基盤を提供す る点で, この種の記述が東南 アジア 諸言語全体 につ いて, もっと広 い領域 に及んでい くこ

(5)

とを期待 したい。 そ して また,その記述が音韻体系 の みではな く,そのほかの レベル (文法体系 ・語菓体系) につ いて も同様 に扱 われ ることを期待 したい。

SOAS

の研究分野 は

, Ⅰ.

記述 研究 (と くに音声記 逮) が と くにす ぐれて,Ⅲ.歴史研究 も為 されてい る が,それ らに対 して,Ⅲ.比 較研究 は,ほとん ど興味 を もたれて いない と云 うことがで きる。 ソ連で は, どのよ うな言語学者が いて,東南 アジア の言語 につ いて どのよ うな研究にたず さわ って いるの か,筆者 にはよ くわか らない。言語学 の専 門雑誌 や言

語学 の諸問題 Q (BorlPOCIJ 5I3bIKO3HallHSI)には,東南

アジア言語 に関す る論文 はほ とん ど掲載 されず ,アジ

ア,アフ リカの諸民族 (HapoAtJ A3HH A A

pHXH)

に,たまに掲載 され る程度であ る。 この雑誌 (年6回

発行) の 1962年度 には, 1号 に T.T.MxHTapSlIl,

0 pyccKO放TpaHCKpHmlHHn JISIBheTHaMCKOrOfI3tJ

-Xa,(T.T.Mkhitaryan,RussianTranscriptionfor

theVietnameseLanguage),4号 にE・B・ny3叫 KH軌

CIIOpHhleCJTytlaH pyCCKO免 TPaHCKPHnllHH

BHPMaHc-KHX CJIOB(Puzitsky,Disputableproblemsofthe

TranscriptionofBurmeseW ords)の 2篇 ,- いず

れ もロシャ文字 に転写 す る場合 の問題 が扱 われて いる - のみであ る。 しか し, 目下 は急速 に各言語 の研究が 進 め られてい るらし く, 東洋 及 び ア フ リカ 諸外 国語

(只3hIKH 3apy6exHOrOBocTOKaH A申pHKH)と名付

け る言語概説 シ リーズの中に,筆者 の知 る限 り,つ ぎ

の数種類 の東南 ア ジア言語概説が,すでに1960年以来

刊 行 されてい る。

B.帆.CoJIHIIeB.BbleHaMCKH白刃3hIK

1960(ベ トナム言吾) A.C.TeceJIKHH

,

HtIAOHe3Ⅰ川CIくH蕗5I3t,TK 1960(イ ン ドネシア語) Jl.H.爪opeB,Ta蕗cKHfi兄3hIK 1961(タイ語) 10・A・roproHHeB・KxMepCIくH丘刃3bIX 1961(クメール語) r・n.Cep6IOtleltKO,LIxyaHCKH蕗 5I3blK 1961(チ ュア ン語)

A.C.TeceJlKHH,只BaIICKH蕗 只3I,IK

1961(ジ ャワ語) そ して,これ らの言語 の辞典 も数点編纂 されて いる。 辞典 の編纂 は科学 アカデ ミーの出版局 に属す る辞典編 纂所が企画 をたてて,各専門家 に依頼す る。すでに全 体で87カ国 の辞典が完成 し, 出版 されて いる。その中 には, ソ連 国内の民族語が45種類含 まれ るが,東南 ア ジア言語 の辞典 として はつ ぎの数点があ る。 ベ トナム語 ・ロシア語辞典 (36,000語) イ ン ドネ シア語 ・ロシア語辞典 (45,000語) ビルマ語 ・ロシア語辞典 (5,000語) ロシア語 ・ベ トナム語辞典 (24,000語) ロシア語 ・イ ン ドネ シア語辞典 (10,000語) ロシア語 ・ビルマ語辞典 (7,500語) ビルマ語 ・ロシア語辞典, ロシア語 ・ビルマ語辞典 はいずれ も,言吾乗数 は多 い とは云 い難 いけれ ど も,内 容 は非常 に有 用であ る。 1956年 にモス コ-大学 の付属機関 にな ったモス コ∼ 大学付属東洋語大学では,ベ トナム言吾,カンボジア語 , イ ン ドネシア語 , タイ語 , ビルマ語 が教え られている とい うことで あ ったが,実際 の授業 内容 は明 らかでは な い。 レニ ング ラ- ドの大学 には,東南 アジア言語 の専 門

家がい る。 この大学 の ytZeHue 3arlHCKHの No.305

は ≠東方民族 の諸言語o (只3tJKH HapoAOBBocTOlくa)

の特集であ り (1961刊), その中には, ベ トナム語 4

篇 , ビルマ語1篇 の論文が含 まれてい る。後者 の論文

名 を掲 げ ると,

A.

H.

EJ10BKOB,CJIOXHtJerJIarOJltJB6IlpMaHCt(OM

SI3hIXe ≠ビルマ語 における複合動詞 につ いてb

(pp.51-64).

また No.306は 勺東方諸国の文献学≠ (◎HJ10JIOrH兄

mpaIIBOCTOKa) の特集であ り (196:料 ), ベ トナム

語 および ビルマ語 につ いて,それぞれ一第が掲載 され ている。後者 の論文名 は,

A.H.EJTOBKOB,0tlaCT兄Xpet川 B6HpMaHCKOM

SI3bIKe≠ビルマ語 の品詞 につ いて〃 モス コ-のアジア諸民族研究所 には,東南 アジアの 部門 は30名,イン ドシナ部門に50名,ベ トナム(朝鮮 , 蒙古) の部門 に30名,言語学部門に100名の専 門学者が い る由であ ったが (全所員数は500-600人), この中, ここでい う東南 アジア諸言語を専 門 とす る学者が幾人 い るかはは っき りわか らない。 また東南 アジア領域 に 属す る個 々の言語 についての実証的研究 (記述的,磨 史 的,比 較) のす ぐれ た成果 は 目下 の段階で は見 当 ら ない。 しか し, ここ数年 の中には,良 い研究かつ ぎつ -

(6)

71-ぎと発表 されてい くであろうと思われ る。今はその準 備期にあると云えるのではないだろうか。 アメ リカでは,ある言語の専門家であるとばか り思 っていた人が,突然 に別の言語の文法を発表す るとい ったことが珍 しくないと思 うOつ まりアメ リカの言語 学者 は,言語の体系その ものに興味を もって,すべての 言語 に適用で きる技術をまず具えているか らである。 このような早業は ヨーロ ッノヾの学者には好 まれないの であろう

。Khas

i

の報告を書いた

Rabe

l

女史 は

,2

4

0

時間で材料を集め,一冊の書物を作 っている

(

Khas

i

,

ALangua

geofAs

s

am 1

9

6

1

)

。その内容には,いろ いろ批判 され るところがあるが,その言語の概略をか な りの正確 さで手早 くつかめるという点で,それが我 々によ く役 に立つのである。 これに一番近いのは,学 問の方法は異 ってはいるが

,SOAS

He

nde

r

s

o

n

女 史 によって代表 され る一群 の学者であろう。 言語の現地調査 とその結果の記述については.いろ いろの問題があるけれ ども,短期間に手取 り早 く,よい 結果を出すためには,如何に して,手際よ く当該言語 の音素体系を発見することがで きるかにかか っている と思 う。 勿論, その 操作のみでは 当該言語の体系が 解 明できたことにはな らないのは十分 に承知 している が,まず この段階まで到達 しなければ,調査にあた っ ての成果 は何 ら導 き 出せない。 この点

,SOAS

の学 者 には強い技術がある。我 々も, この面を軽ん じるこ とは許 されない。 日本の東南アジア言語 の教育や研究 は,全般的に見 て, ヨーロ ッパ における教育や研究に比べて,決 して と くに劣 っているわけではないと思 う。 ことに教育の 面では, 日本の外国語大学の方がよ り進歩 していると 思われ る。そ して我 々にも実地調査の機会を十分に与 え られ,同時に 日本に滞在す る理解 のある現地人の協 力を受ける機会を多 く得 ることが出来 るな らば,研究 の現状 も一段 と前進す ることになるであろう。

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