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情報処理用高出力半導体レーザ

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Academic year: 2021

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特集 オプトエレクトロニクス ∪.D.C.る21.375.82る.038.825.5:54る.る81′占2′19

情報処理用高出力半導体レーザ

High Power Laser DiodesforOpticaIlnformation Processing SYStemS

光ディスクファイルやレーザビームプリンタなどの光情報処理用の光源とし て,高出力の半導体レーザが不可欠である。日立製作所はこれにこたえるため, GaAIAs系高出力半導体レーザを製品化した。高出力化技術として,活性層の薄 層化による光スポット径の拡大,及びレーザ端面反射率の非対称化を用いた。 製品化した半導体レーザは,発振波長0.78〃m及び0.83/〃nで,それぞれ光出力 20mW及び40mWで安定な横基本モードで高信頼動作し,情報処理用光源に適用 できる。 更に,量子サイズ効果によって動作電流の低減が可能な多重量子井戸構造を GaAIAs系半導体レーザの活性層に導入し,高出力化について検討した。その結 果,光出力100mWの高出力動作が確認できた。 n

言 DRAW(DirectReadAfterWrite),いわゆる追記形光デ ィスクや光磁気ディスクに代表される書換え可能の光ディス クへの応用を中心に,半導体レーザの高出力化に対する要求 がますます強まっている。この理由は,高出力であればある ほど,(1)高速で記録でき,データの転送速度が上げられるこ と,(2)より安定な記録材料が使えること,(3)光学系が簡略化 できコストダウンにつながること,など一段とシステム性能 の向上ができるためである。 半導体レーザの高出力化には,発光スポット径の拡大が必 要である。このため,単一ストライプ構造でのスポット径の 拡大のほか,位相同期形アレー構造1)などによる高出力化の検 討が行われている。情報処理用高出力半導体レーザとしては, 横モードが安定で,発光スポット径の非対称性の小さいこと が重要で,この条件を満足する実効屈折率導波形の単一スト ライフ0構造半導体レーザが情報処理用光源として主に用いら れている。 以下,情報処理用光源として開発した実効屈折率導波形の GaAIAs系高出力半導体レーザの特性,及び信頼性について述 べる。また,多重量子井戸構造の導入による高出力化につい て触れる。 凶

高出力半導体レーザの特性及び信頼性

図1にGaAIAs系半導体レーザの応用分野を,横軸に半導体 レーザの発振波長,縦軸に光出力をとり示す。追記形光ディ スクや光カード応用には15∼20mW以上,光磁気ディスク応用 には30mW以上の光出力が必要とされる。レーザビームプリン タ応用には,感光膜の波長感度特性から短波長ほど有利で, 波長0.78JJmの半導体レーザが用いられている。感光膜の感度 100 50 0 0 0 3 2 言∈) 尺玉米 梶村 俊* 7滋々∬如殉g桝"和 瓜田一幾** 助z〟々JUγオ/α

0光ディスクファイル

光カード

HL7838

9HL8。18

●HL8314

●Hし8312

HL8311 H+7802

レーザビームプリンタ

放言…冒?●●

コンパクトディスク ビデオディスク 760 780 800 820 840 860 発振波長([m) 図I GaAIAs系半導体レーザの応用分野 図中●印は製品化され

た半導体レーザを,0は開発中の多重量子井戸形半導体レーザを表す。

にもよるが,印字速度が毎分A4サイズ用紙で10枚程度以下の 低速プリンタでは,光出力5mWの半導体レーザが用いられる。 印字速度が毎分10∼20枚以上の高速印字には,10mW以上の 光出力が必要である。これらの用途のために製品化した半導 体レーザを,同図中の黒丸で示す。高出力半導体レーザとし *日立製作所中央研究所 **日立製作所高崎二1二場 77

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1074 日立評論 VOL.69 No.1【(1987-11) ては,波長0.83〟mでは光出力20mWのHL8312,30mWのHL 8314,及び40mWのHL8318が,また波長0.78/Jmでは光出力 10mWのHL7802,及び20mWのHL7838がある。 図2にHL8312のチップ構造を模式的に示す。この構造は CSP(ChanneledSubstratePlanar)構造2)と呼ばれるもので, チャネル溝を形成したGaAs基板上にダブルヘテロ構造を形成 することによって作製する。横モード制御は,GaAs基板での 光吸収が溝の有無により異なることによって生じる実効屈折 率差により行われる。ダブルヘテロ構造の形成は,コンピュ ータ制御された液相成長装置によって行われる。このため, 0・06∼0.07/Jm程度の薄い活性層が再現性よく実現できる。活 性層の薄層化によって活性層で発生した光は,隣接する GaAIAsクラッド層に広がり,光スポット径が拡大する。この ため,半導体レーザ共振器内部の光子密度が減少し,20mWの 高出力で安定な横基本モードで高信頼動作する。 半導体レーザの端面反射率は,通常前後面共に約30%と等 しく,前方及び後方端面から放射されるレーザ光の出力は等 しい。後方端面からの放射光はモニタ用に使われるのが一般 的で,光出力は小さ〈てもよい。このため,レーザ端面の反 射率を非対称化し,前方端面から高出力のレーザ光を取り出 す方法が高出力化の有効な手段となる。この例を図3に示す。 半導体レーザチップ端面に形成するコーティング膜の材料, 厚さなどを制御することによって,端面での反射率を非対称 化し,動作電流を上昇させることなく,前方端面からのレー ザ光出力を増加できた。この技術を適用したものがHL8314で ある。図4にHL8314の寿命試験結果の例を示す。環境温度 50℃,光出力30mWで安定に動作していることが分かる。この 条件での素子の平均寿命は約5,000時間である。 波長0.78JJmの半導体レーザは,レーザビームプリンタ応用 のほか,光ディスクの記録密度向上や光学系の低コスト化の 点で波長0.83JJmの半導体レーザに比べて有利であるとされて いる。この波長域ではHL7838が実用化されている。高出力化 のために,波長0.83ノJmの半導体レーザと同様,非対称コーテ 電極 P形 GaAs層 P形GaAIAs クラッド層 GaAIAs 活性層 ∩形GaAIAs クラッド層 ∩形GaAs 基板 電極 図2 HL8312のチップ構造の概略 本構造はチャネル溝を形成し たGaAs基板上にダブルヘテロ構造を形成することにより作製する。 78 0 0 4 3 0 0 2 言∈)○礼尺玉米 40 0 0 0 3 2 (き∈)凸く 只召米 r。= 70℃ 前方

……蕾0

チップ (a)従来品 後方

W C 100 200 300 電 流(mA) ニ 〔ハ ℃ 70 50 30 10

若β

チップ 後方

弓〉

CW (b)高出力化 0 100 200 300流(mA) 注:略語説明 CW(ContmuousWave) r。(測定温度) 図3 半導体レーザ端面の非対称コーティングによる高出力化の一 例 上図(a)が従来品,下図(b)が非対称コーティングの例を示す。非対 称コーティングによって,Lきい値電涜を増加させることなく前方端面 からの光出力を向上できる。 0 0 0 5 2 0 0 0 5 (<∈)喋伊彗裔 ℃州 0 0 5 3 度力 舶出 環光 200 400 600 800 1,000 動作時間(h) 図4 HL83川の寿命試験結果の一例 光出力30mWで定光出力動 作させた。素子が劣化すると動作電涜が増加する。

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イングが行われてお-),CW(Continuous Wave)動作で20 mW,パルス動作で30mWの高出力で安定動作する。非点隔差 (水平横モードと垂直横モードのビームウェストの位置のずれ) も5〝m以下と優れ,レーザビームプリンタや光ディスク応用 に適している。

B

高出力多重量子井戸レーザ

光ディスクやレーザビームプリンタの高速化,光磁気ディ スク応用などのため,半導体レーザのいっそうの高出力化が 望まれている。ここでは多重量子井戸(MQW:Multi QuantumWell)構造3)の導入によるGaAIAs系半導体レーザの 高出力化について述べる。 半導体レーザの高出力化は,主に横モードの不安定化及び 素子信頼性の低下によって妨げられる。横モードの不安定化 は,光出力の増大に伴って半導体レーザ共振器内の光子密度 が増大し,空間的なホールバーニングが顕在化することによ る。素子信頼性の低下は,光子密度の増大及び半導体レーザ 駆動電流の増加によって生じる。したがって,高出力半導体 レーザの実現には,光スポット径拡大による光子密度の低減 と,駆動電流の低減が不可欠となる。 量子井戸レーザとは,半導体レーザの注入発光領域となる 活性層の厚さを,電子のド・ブロイ波長(GaAsで約30nm)以 下の超薄膜(量子井戸層,又は井戸層と呼ぶ。)にしたものを言 う。井戸層が1個の場合を単一量子井戸レーザ,複数個の場 On S A 創 ∂ G 漕 2

8

nm 鎚図5 GaAs及びGaAIAs多重量子井戸構造の透過型電子顕微鏡写真 国中の黒い部分がGaAs井戸層に,井戸層間の灰色の部分がGaA】As障 壁層に相当する。 情報処理用高出力半導体レーザ1075 合を多重量子井戸レーザと呼ぶ。多重量子井戸レーザの場合, 各井戸層は厚さ数ミクロンメートルの障壁層によI),互いに 分離される。量子井戸レーザでは,井戸層のエネルギー準位 が結晶の厚き方向に量子化されるため,キャリアの状態密度 が階段状となり,光学利得スペクトル幅が狭くなる。このた め,レーザ発振に必要な電流(しきい値電流)を従来の半導体 レーザに比べて大幅に低減できる3)。したがって,半導体レー ザの駆動電流を小さくでき,半導体レーザの高出力化のため の有効な手段となる。 高出力多重量子井戸レーザの横モード安定化のための導波 路構造としては,CSPレーザ2)と同様,光の吸収損失によって 生じる実効屈折率差を利用した構造を用いた4)。高出力化のた めのもう一つの重要なパラメータとなる光子密度の低減は, 多重量子井戸層で構成された活性層の薄層化と,ストライプ 幅拡大により行った。 結晶成長は,大面積・高均一成長ができ,超薄膜形成に適 した常圧MOCVD(有機金属熱分解反応)法によって行った。 図5に,この方法で作製した多重量子井戸構造の透過形電子 顕微鏡写真の一例を示す。同国には多重量子井戸構造の低倍 率像と高倍率像が同時に示されている。同図中の黒い部分が 110 100 0 0 ∩ワ 00 0 0 0 7 6 5 (き三 下召米 0 0 4 3 20 10 R.T CW β⊥ -30-15 飢l 100 mW 80 60 40 20 15 30 100 mW 0 0 0 8 6 4 20 0 100 200 【30 -15 0 15 30 電 流(mA) 角 度(deg) (a) (b) 注:略語説明 R.T,(室温) 図6 GaAIAs系高出力多重量子井戸レーザの発振特性〔光出力ー電流 特性(a)及び遠視野像(b)〕(a)は光出力ー電流特性,(b)は遠視野像を示 す。Lきい値電涜は約40mAである。光出力】00mW以上まで安定な横基 本モード動作する。 79

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1076 日立評論 VOL.69 No.【l(1987-1I) GaAsから成る井戸層で,井戸層間の灰色の部分がGaAIAsか ら成る障壁層である。GaAsとGaAIAsヘテロ界面の急しゅん 性としては,1nm以下の値が得られた。 図6に波長0.鮎〟mで動作する高出力多重量子井戸レーザ の光出力ー電力特性例を遠視野像と共に示す6)。しきい値電流 は約40mAである。この値は同じ導波路構造を持つ通常のダブ ルヘテロ構造半導体レーザに比べて約40%低く,量子サイズ 効果による低しきい値電流化の効果が現れている。光出力は l .100 m / / / / / / / / / / ′ 80 ′/ ノ′ ′/ / / / / ′ / 60 / / / / / / / / / / / ノ / ノ′ 40 /′′′/ ′′′′ ′′′′′20

l′′′′′l/′′′

′′′′′1。 ×20 825 830 835 発振波長(【m) 図7 GaAIAs系高出力多重量子井戸レーザの発振スペクトル 発振スペクトルは光出力5mW程度まで縦多モードである。光出力が10mW 以上では縦単一モード動作する。 80 電流に対して,100mW以上まで直線的に増加している。遠視 野像も100mW以上まで安定で,安定な横基本モード動作して いることが分かる。図7に同じ素子の発振スペクトルを示す。 5mW程度の光出力まで縦多モード発振し,光出力10mW以上 では縦単一モード動作する。本多重量子井戸レーザの非点隔 差は1叫m以下であった。これらの素子を環境温度70℃,光出 力40mWで連続動作させた結果,良好な素子では,実用化のめ どとなる1,000時間以上にわたって安定に動作することを確認 した。 GaAIAs多重量子井戸レーザでの発振波長の短波長化は, GaAs井戸層の薄層化による量子準位の上昇を利用する方法 と,井戸層をGaAIAs層にする混晶量子井戸層化の二つの方法 がある5)。薄層化についてはGaAs井戸層の厚さを約3nmまで 薄層化することによって4),また混晶井戸層化についてはAIAs 組成が約10%のGaAIAsを井戸層に用いることによって発振波 長を780nmまで短波長化した。現在,これらの方法によって, 波長780nmで光出力100mWまでの安定な横基本モード動作が 得られている。 巴 結 言 情報処理用光源として用いられるGaAIAs系高出力半導体 レーザの製品化の状況,及び高出力多重量子井戸レーザの開 発状況について述べた。半導体レーザ分野では,情報の高密 度記録や高速処理に向けて,高出力化,発振波長の短波長化, アレー化などの研究が現在精力的に行われている。情報化社 会の発達とともに,光情報処理分野は今後ますます伸展する ものと予想されるが,この中で半導体レーザの果たす役割は いっそう重くなるものと考える。 参考文献 1)D.R.Scifres,etal∴Appl.Phys.Lett‥ 41(2),118(1982) 2)K.Aiki,et al∴IEEEJ.Quantum Electron.QE-t4,89

(1978)

W.T.Tsang二Appl.Phys.Lett.,39,786(1981) K.Uomi,etal∴Appl,Phys.Lett.,45,818(1984)

K.Uomi,et al∴Extended Abstract ofthe16th Conf.on

SolidStateDevicesandMaterials,Kobe,149(19朗) 6)M.Yoshizawa,etal∴Jpn.J.Appl.Phys.,26LI465(1987)

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