プログラムの実行経路の偏りに着目した分岐予測法
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(2) には,式(1)におけるEdjr,E6t6,または,N6pl-edを削減す. 1.まえがき. れば良い.. プロセッサ性能向上手法のひとつに命令パイプラインがある.. 分岐方向予測器とBTBはキャッシュ・メモリと類似した構成. 時間並列性を用いて複数命令を同時実行することでプロセッサ. をとる.そのため,これらへのアクセスにおいて消費されるエ. 性能を向上できる.更なる動作周波数の向上を目的として,高. ネルギーは,キャッシュ・メモリと同様,そのサイズに比例す. 性能プロセッサのパイプライン段数は年々増加傾向にある.一. る[31したがって,分岐予測器の消費エネルギーを削減するに. 般に,フロントエンド・パイプライン段数の増加は分岐予測ミ. は,分岐方向予測テーブルならびにBTBの容量を小さくすれ. ス・ペナルティを大きくする.そのため,このような高性能プ. ば良い(つまり,EdjrとEbtbを削減).しかしながら,この方. ロセッサでは分岐予測精度の向上が極めて重要となる.. 法では分岐予測精度が低下するといった問題が発生する.そこ. 分岐予測精度を高めるためには,複雑かつ大規模な分岐予測. 器を搭載する必要がある.例えば,分岐予測に使用するテーブ. でChaverらは,分岐方向予測器やBTBのサイズを動的に変. 更する方式を提案している[11. ルサイズの増加や,トーナメント方式によるハイブリッド分岐. 分岐方向予測精度を高めるため,トーナメント方式に基づく. 方向予測器の採用などが挙げられる.しかしながら,その結果,. ハイブリッド分岐方向予測器が提案されている[5Ⅱ7)この場. 分岐予測における消費エネルギーが増大するといった問題が生. 合,例えばアルゴリズムの異なる2種類の分岐方向予測器を用. じる.例えば,分岐予測器の消費エネルギーはプロセッサ全体. いて分岐方向予測結果を出力する.そして,過去の分岐予測履. の10%以上になるという報告もある[11したがって,今後よ. 歴等に基づき(信頼カウンタを用いる等),何れの分岐方向予測. り高性能かつ低消費エネノレギーなプロセッサを実現するために. 結果を用いるか決定する.この場合,常に複数の分岐予測器が. は,高精度かつ低消費エネノレギーな分岐予測器が必要不可欠と. 活性化されるため多くのエネルギーを消費する.そこで,プロ グラム実行の振舞いに基づき,必要となる分岐予測器の能力を. なる.. そこで本研究では,プログラム実行経路の偏りに着目した新. 調整する.具体的には,分岐予測が容易な場合には従来と同様. しい分岐予測器を提案する.またベンチマーク・プログラムを. に1つの分岐予測器のみを活性化する.分岐の容易性に関して. 用いた定量的評価を行い,その有効性を議論する.多くのプロ. はプログラム実行におけるフェーズの推移を利用している.. グラム実行においては,高頻度で実行される命令列(ホットパ. 通常のスーパスカラ・プロセッサでは同時に複数命令をフェッ. スと呼ぶ)が存在する.例えば,最も頻繁に実行される上位20. チするため,命令キャッシュへのアクセスはライン単位で行わ. 個のホットパスは,プログラム全実行の約76%を占める場合も. れる.例えば,1命令が32ビット,キャッシュライン・サイズが. ある.各ホットパスには多くの分岐命令が存在し,これらの各. 32バイトの場合,1個のキャッシュラインには8命令(32バイ. 分岐命令は高確率で同じ振る舞いをする.提案手法はこの特徴. ト/4バイト)が格納されており,プロセッサは最大で8命令を. を利用する.具体的には,ホットパス中の各分岐命令のアドレ. 同時フェッチ可能である多くの場合,ある分岐命令から次分岐. スならびに分岐先アドレスを小容量メモリに格納する.ホット. 命令の実行までの間に,10個以上の命令が存在する.これは,. パス実行中にはこの小容量メモリを参照することで分岐予測を. フェッチ対象キャッシュ・ライン内に分岐命令が存在しない場. 行う.. 合がある事を意味する.そこでParikhらは,PPD(Prediction. 以下,第2節では従来の分岐予測器の低消費エネルギー化技. ProbeDetector)を用いて分岐以外の命令フェッチにおける不. 術について説明する.次に,第3節では提案手法の概要と実装. 用な分岐予測を回避(つまりUV6Predを削減)する方法を提案. 方法について述べ,第4節で定量的評価を行う.最後に第5節. した[4}通常,分岐予測は命令フェッチ時に実施されるため,. でまとめる.. Nbpredの値は命令フェッチ回数と等しくなる(つまり,全ての 命令に対して分岐予測を実施する).これに対し,PPDを用い. 2.関連研究. た方法では,キャッシュライン内に分岐命令が存在しない場合を. 本節では,これまでに提案された分岐予測器の低消費エネル. 検出して分岐予測を中止する.この方式により,分岐予測器の. ギー化技術に関して説明する.一般に,動的分岐予測を行う. 消費エネルギーを40%から60%削減することに成功している.. ためには,分岐成立(Tnken)か不成立(Not-Eken)かを決定. 3.実行経路の偏りに着目した分岐予測法の提案. するための分岐方向予測器と,分岐先アドレスを得るための. 3.1ホツトパス. BTB(BranchI泡rgetBuflCr)が必要となる.そして,これ. 本研究で提案する分岐予測法では,プログラム実行における. らは多くの場合SRAMによって実装される.分岐予測器で消. ホットパスに着目する.ここで,. 費されるエネルギー(EBPRED)は以下の式で近似できる. EBpRED=(Edjr+E6tb)xjVbpred. 分岐命令アドレスー分岐先アドレス>0. (1). ここで,EdjrならびにEbt6は,それぞれ,分岐方向予測器な. となる分岐命令を後方分岐命令と呼ぶ.バスとは,ある後方. らびにBTBでのアクセス当たりの平均消費エネルギーである.. 分岐(Bi)の分岐先命令(Bi-tQmet)を先頭とし,次に実行され. また,N6predはプログラム実行において発生する総分岐予測. る後方分岐命令(町)を終端とする静的な命令列である.また,. 回数を表す.分岐予測器の低消費エネルギー化を実現するため. ホットパスとは,高頻度に実行されるパスを示す.なお,本稿. -2-.
(3) ホットパス実行時間が全実行時間に占める割合刑. 00000000000 0987654321. 1. ホットバステーブル 《ス. ■. 分岐命令 アドレス. 分岐先 アドレス. A 終端. C 先頭. C 終端. E 先頭. E 終端. A 先頭. …鐘歳鞠鰯'蛾聯:!!;:::;:竈。 ペンチマークプログラム. 図2動作原理. 図1ホットパス実行時間が全実行時間に占める割合. では,プログラムの全実行時間に占める割合が最も多い上位X. 個(xは自然数)のパスをホットパスと見なす.多くのプログラ ムにはホットパスが存在することが知られている[61.幾つかの SPECベンチマーク・プログラムの実行において,ホットパス. 実行が全実行時間に占める割合を図1に示す.なお,実験環境 の詳細は第4.1節で説明する.図1より,上位10本のパスに 着目した場合は平均で約60%,上位20本のパスに着目した場 合は平均で約76%の実行時間がホットパス実行によることが分 かる.. 静的なエントリ登録の場合,プログラム実行の振舞いが入力. データに強く依存するアプリケーションには対応できない、こ れに対し,動的なエントリ登録の場合はホットパス推定機構が. 必要となる[21[6} 3.3内部構成 本節ではHPBP予測器の詳細を説明する.図3にHPBP 予測器の内部構成を示す.PCはプログラムカウンタである.. HPBP予測器は以下のハードウェアで構成される. ・ヘッドテーブル:各ホットパスに対応する「ホットパス. テーブル」への参照アドレスを格納するテーブル.各エントリ. 3.2ホットパス分岐予測法. 各ホットパスには多くの分岐命令が存在し,これらの各分岐. 命令は高確率で同じ振る舞いをする.この特長を利用した高 精度かつ低消費エネノレギーな分岐予測法としてホットパス分岐. 予測(HPBP:Hot-Path-b懇edBranchPrediction)法を提案す る.ここでは,説明を簡単にするため,分岐予測の対象とする ホットパスは1本と想定する.複数本のホットパスに対する提 案方式の実装方法は次節で説明する.本手法では,あるホット. パス中の各分岐命令に関し,「分岐命令アドレス」と「分岐先ア ドレス」を小容量メモリに保存する.このメモリを「ホットバ ス・テーブル」と呼ぶ.そして,ホットパス実行中にはホット パス・テーブルを参照することで分岐予測を行う.図2にその. 概略を示す.左図は実行フローを表す.A~Fは基本ブロック. であり,ACEがホットパスであるとする.したがって,基本ブ ロックA,C,E,A,OE,A・・と連続して実行される可能. は「ホットパスの先頭アドレス」と「ホットパス・テーブルへ のポインタ」で構成される.. ・ホットパステーブル:ホットパス中の分岐命令アドレス. と分岐先アドレスを登録するテーブル.各エントリは「分岐命 令アドレス」と「その分岐先アドレス」で構成される.本テー ブルの読み出しにおいては,先頭エントリから順次行われるた めアドレス入力は必要としない.また,本テーブルへのアクセ スは前述したヘッドテーブルのポインタを用いて行う.よって,. ヘッドテーブル・エントリ数と同じ数のホットパステーブルが 必要となる.. ・ルックアップテーブル:ホットパス・テーブルから読み. 出した分岐命令アドレスならびに分岐先アドレスを格納するレ ジスタ.ホットパス実行中は本レジスタに格納された値に基づ き分岐予測を実施する. 3.4動作. 性が高い.よって本手法では,Aの終端の分岐命令はCの先頭 に,Cの終端の分岐命令はEの先頭に分岐すると予測する. 本方式では,ホットパス・テーブルの各エントリに対し,ホッ. トパス中の各分岐命令実行結果(分岐命令アドレスと分岐先ア ドレス)を設定する必要がある.そして,設定方法としては以 下が考えられる.. ・静的なエントリ登録:事前にプロファイル情報を採取し, ホットパス・テーブルに格納すべき内容を決定する.. ・動的なエントリ登録:プログラム実行中にホットパス検. 出と分岐命令抽出を行い,ホットパス・テーブルに格納すべき 内容を決定する.. 本節では,HPBP法の動作を説明する.HPBP分岐予測器. では,ホットパスに含まれる分岐命令のみが予測対象となる.. そのため,ホットパス以外の分岐命令実行に関しては分岐予測 を実施できない.そこで,HPBP予測器とは別に従来型分岐予 測器を搭載する.つまり,ホットパス実行中はHPBP予測器を. 使用し,それ以外では従来型の分岐予測器を使用する.HPBP 法に基づく分岐予測器は以下2つの動作モードを有する. ・通常実行モード:従来の分岐予測器のみを用いて分岐予 測を実施. oホットパス実行モード:ホットパス・テーブルに格納さ れた分岐予測結果に基づき分岐予測を実施.. -3-.
(4) ミニEi]=芸簔二睾票二言i=彗烹E蕊. F涌匠素7屏二Wii国. 消費エネルギー削減率. 醜噸噸魍躯繩噸. ヘッドテーブル. 100%. ルックアップテーブル. 読み出し. 牢獺I. 脇脇脇 21. ヒットしなかった増合 従来型分岐予測器を使用. 勺. --7. /ワ. 〆/▽. =〆▽. /▽. 一忽F. =〆々〆. /幻「. 7=三. IIロロ. 0%10%20%30%40%50%60冊70%80%9脇100% ホットパスの実行時間が全実行時間に占める割合. 図3内部構成と動作. 図4低消費エネルギー削減効果の定性的評価. また,HPBF分岐予測法では以下のように動作する.なお,. 初期状態は通常実行モード(つまり,ホットパス以外のコード を実行)とする. (1)通常の分岐予測と同様にPCを用いて従来型分岐予測. 器にアクセスする.また,これと並列に,現PCを用いてヘッ. ドテーブル内の対応するエントリを検索する. (2)もし,上記1にてヘッドテーブル内に対応するエント リが存在する場合,これはホットパス実行の開始を意味する. そこで,ホットパス実行モードに状態を遷移する.下記4へ. (3)もし,上記1にてヘッドテーブル内に対応するエント リが存在しない場合は上記1を繰り返す.. (4)ヘッドテーブルのエントリを読み出し,対応するホッ トパス・テーブルにアクセスする.そして,第1エントリの値. を読み出し,分岐命令アドレスならびに分岐先アドレスをルッ クアップ・テーブルに格納する.. (5)分岐予測時には,「現PCの値」と「ルックアップ・テー ブルに格納された分岐命令アドレス」を比較する.一致してい れば分岐成立と予測して分岐先アドレスをPCに設定する.ま. た,ホットパス・テーブルより次エントリを読み出し,ルック. ここで,2KエントリのGshare分岐予測器とHPBP法を比. 較する.HPBP法に関しては,ヘッドテーブルは32エントリ, ホットパス・テーブルは50エントリ,通常モード時に使用す る分岐予測器は2KエントリのGshare分岐予測器と仮定する. なお,これらの構成は第4節で実施する定量的評価と同じ値で ある.以下,メモリアクセスの消費エネルギーはアクセスする. メモリサイズにほぼ比例する[3]と仮定し,消費エネルギーを 活性化メモリ容量で近似する.. HPBP分岐予測器では,通常実行モードで動作する場合に. は,従来型Gshare分岐予測器における消費エネルギー,なら びに,ヘッドテーブルアクセスによる消費エネルギーが発生す. る.一方,ホットパス実行モードで動作している場合,活性化. されるメモリ容量(テーブルサイズ)は従来型Gshare分岐予測 器のそれと比較して約2%程度である.したがって,提案手法 の消費エネルギーは,通常実行モードでの分岐予測回数に大き. く依存する.つまり,ホットパス実行モードでの実行割合が大 きくなるほど,消費エネルギー削減効果が高くなる.この関係 を図4に示す.. アップ・テーブルに保存する.不一致の場合は本ステップを繰. 4.評価. り返す.. 4.1実験方法. (6)ホットパス実行モードにおいて,分岐予測ミスが発生. する,または,ホットパス・テーブルの全エントリを分岐予測 に使用した後には,通常モードへと状態を遷移して上記1へ制 御を移す.. 第3節で述べたHPBP法をマイクロプロセッサ・シミュレー. タであるSimpleScalar[8]に実装し,分岐予測ミス率ならびに 消費エネルギー削減率を評価する. プロセッサの構成情報を表1にまとめる.ベンチマークプロ. 3.5定性的評価. HPBP法の消費エネルギーはEhpbpは以下の式で求めるこ とができる.. グラムはSPEC2000smallinput[91を用いる.評価対象モデル は以下4つである.. ・BASE:Gshare分岐予測器. Ehpbp=(Ejit×Mt)+(Ehp`xMpt) +(Elutx1VM+EBpRED. ●HPBP8,HPBP16,HPBP32:50エントリのホットパ. ステーブルと8/16/32エントリのヘッドテーブルを持つHPBP. (2). 。E'8t:ヘッドテーブル・アクセス当りの平均消費エネルギー. ・Ehpt:ホットパス・テーブル・アクセス当りの平均消費 エネルギー. ・Ejut:ルックアップ・テーブル・アクセス当りの平均消 費エネルギー. ・EBPRED:式(1)で示した従来分岐予測器での消費エネ ルギー. 分岐予測器.通常実行モードはBASEと同じGshare分岐予測 器を使用一. また,本評価ではホットパステーブルの活用による予測ミス 率ならびに消費エネルギー削減率の向上効果を明らかするこ とが目的である.そこで,ホットパス検出ならびにホットパス テーブルヘの登録はプログラム実行前に完了していると仮定す る.このホットパス事前検出においては,評価実行時と同一入. -4-.
(5) 表1プロセッサ設定 00000 76543. (cc:clockcycle(s. 命令発行方式. エネルギー削減率均. lアウト・オブ・オーダ. 分岐予測器. 2レベル(Csharc,2Kエントリ). Type BTBサイ BTBサイズ. 512エントリ,4ウエイ. RAS. 32. 命令発行幅. 4命令/cc 4命令/cc. 命令デコード幅 RUUサイズ. 128エントリ. IFQサイズ LSQサイズ. 8エントリ. 64エントリ. 20. キャッシュ・メモリ. L2共有キャッシュ レイテンシ L1キャノン L1キャッシュ. 2cc. L2キャノン L2キャッシュ. 10cc. 土、垣 土顧憧. 250CC. メモリバンド幅. メモリポート数. 00. L1命令キャッシュ. 64KB(32B/エントリ 2ウエイ,1024エントリ) 64KB(32B/エントリ, 2ウエイ,1024エントリ) 1MB(64B/エントリ, 4ウエイ,4096エントリ). 1. L1データキャッシュ. 狗鐙戯鞠鰯'蛾'聯:1$::::lilILo ペンチマークプログラム. 図6消費エネルギー削減率. 8B 2. 4.2.2消費エネルギー削減率. BASEモデルに対する消費エネルギー削減率を図6に示す.. く. 予測三一ス率均. 11111. 8642086420. ヘッドテープルのエントリ数が8,16,32それぞれにおいて,全 ベンチマークでの平均消費エネルギー削減率は,33%,44%, 49%であった.消費エネルギー削減率が第3.5節で示した定性. 的評価を下回った原因として,予測ミス率の増加によって総実 行命令数が増加し,それにより分岐予測回数が増加したことが 挙げられる.また,前節で説明したように,先頭アドレスが等 しいパスを複数登録できないため,ホットパス実行モードでの 実行時間が短くなったことも原因である. 4.3考察. 鞄&:1重蕊馬:蝿蝋聯翰.~. 実行頻度の高いパスの先頭アドレスが等しいものが多い場合. ペンチマークプログラム. と少ない場合の二通りで,どのようなパスがホットパスとして. テーブルに登録できたかを表2に示す.表は実行時間が長いパ. 図5予測ミス率. スを順に20本示している.登録の欄に○が付いているものは. テーブルに登録でき,HPBP法に利用できたパスであり,○が. カデータを用いる.. 付いていないものは先頭アドレスの重複のよりテーブルに登録. 4.2実験結果. できず,HPBP法に利用できなかったパスである.割合Aは. 4.2.1予測ミス率. 予測ミス率の結果を図5に示す.予測ミス率はGshare予測 器のみの場合と比べ,ヘッドテーブルのエントリ数が8の場合. に平均約20ポイントの増加(性能低下)となり,エントリ数 が16の場合に平均約25ポイントの増加,エントリ数が32の. 場合に平均約2.5ポイントの増加となった.予測ミス率が増加 した原因として以下のことが考えられる.. 今回実装した手法では,通常実行モードにおいてヘッドテー. プルを検索することでホットパス実行中か否かを判定する.ヘッ. ドテーブルには,複数ホットパスの先頭アドレスが同一の場合, その中から高々1個しか登録できない.実際,先頭アドレスが 同一であり,かつ,異なるパスを形成している場合には正しい. 分岐予測を行うことができない(つまり,異なるパスでの分岐 情報を用いて予測することになる)よって,実行頻度の高いパ スの中に先頭アドレスが等しいパスが複数あった場合,分岐予. そのパスの実行時間が全実行時間に占める割合を,割合Bは登 録できたパスの実行時間の合計が全実行時間に占める割合を表. す.164gziplgredgraphicは,先頭アドレスの重複により登録 できなかったパスが多く存在し,また,登録できたパス上位8 本の実行時間は,全実行時間の389%しか占めていない.その. ため,gziplgredgraphicは予測ミス率,消費エネルギー削減 率の両面であまりよい結果が出ていない-方mcfrefinは, 登録できなかったパスが少なく,また,登録できたパス上位8. 本の実行時間は全実行時間の59.2%を占めている.その結果, mcfrefinは予測ミス率,消費エネルギーの両方でよい結果が. 出ている.したがって,実行頻度の高いパスのうち,先頭アド レスが等しいものが少なく,また少ないパスで多くの実行時間. を占める,つまり実行経路の偏りが大きいものがHPBP法で 予測するのに向いていると考えられる.. 測ミスが頻発することになり,結果予測ミス率が増加したと考 える.. -5-.
(6) 表2実行頻度の高いパス l64gzipIgred・graphic. した.しかし,ホットパスを実行中でも,過去のグローバルな. l81mcfrefin. 分岐履歴によってHPBP予測器とGshare予測器のどちらを使. 膳罐 登録. 割合A. 割合B. 登録. 割合A. 割合B. 1. ○. 10.3%. 10.3%. 1. ○. 29.1%. 29.1%. うか選択する手法や,実行頻度の高いパスに同じ先頭アドレス. 2. ○. 5.5%. 15.8%. 2. ○. 8.1%. 37.3%. を持つパスが複数ある場合の対策として,同じ先頭アドレスを. 3. ○. 8.1%. 45.3%. 複数登録できるようにし,どのホットパスを予測に使用するか. No.. 5.4%. 3. No.. 4.5%. 4. ○. 5.3%. 21.1%. 4. 5. ○. 5.3%. 26.4%. 5. ○. 3.5%. 48.9%. 6. ○. 3.2%. 52.0%. 7. ○. 2.7%. 54.7%. 本論文を執筆するにあたり,多大なるご協力を頂いた九州大. 8. ○. 2.5%. 57.2%. 学大学院システム情報科学府の小宮礼子氏に感謝します.ま. 4.8%. 6. 7. ○. 3.9%. 30.2%. 31%. 8. を分岐履歴によって選択する手法も考えられる. 謝辞. 9. ○. 3.0%. 33.3%. 9. ○. 2.1%. 59.2%. 10. ○. 2.9%. 36.1%. 10. ○. 2.1%. 61.3%. 11. ○. 2.7%. 38.9%. 11. ○. 1.9%. 632%. テムLSI研究センターならびに安浦・村上・松永・井上研究室. 12. ○. 1.8%. 650%. の皆様に感謝します.なお,本研究は一部,科学研究費補助金. 2.6%. 12. 13. ○. 2.5%. 41.3%. 1.8%. 13. 14. 2.2%. 14. ○. 1.8%. 66.8%. 15. 2.2%. 15. ○. 1.8%. 68.6%. 16. 22%. 16. ○. 1.7%. 703%. 17. 2.2%. 17. ○. 1.7%. 72.0%. 18. ○. 20. 20%. 43.3%. 1.9%. 19. ○. 1.7%. 45.1%. た,本研究を進めるにあたり,共にご議論頂いた九州大学シス. (学術創成研究費:課題番号14Gs0218,若手研究A:課題番号 17680005)による.. 文献. (l1DanielChaver,LuisPinuel,ManuelPrieto,FYancisco Tirado,MichaelC、Huang,“BranchPredictionOnDemand: anEnergy-EflicientSolution''Pages:390-395international. 16%. 18 19. ○. 1.3%. 73.3%. 20. ○. 1.2%. 74.4%. symposiumonLowpowerelectronicsanddesigncitation 2003,Seoul,KoreaAugust25-27,2003. {2]EDuestenwaldandVBala,``SoftwareProfilingfbrHotPath Prediction:LessisMore,,,Prooofthe9thInternational ConferenceonArchitecturalSupportfbrProgrammingLan-. 5.おわりに. guagesandOperatingSystems(ASPLOS2000),pp202‐. 5.1まとめ. 211,Novenber2000. 本稿では実行経路の偏りに着目した分岐予測法を提案し,予. (31M.BKamble,andKGhose,"AnalyticalEnergyDissipation. は高頻度で実行される命令列に含まれる分岐命令とその分岐先. ModelsFbrLowPowerCaches,,,Procofl9981ntematilnal SymposiumonLowPowcrElectronicsandDesign,pp,143148,AuguStlg98. をメモリに格納しておくことで分岐予測器の低消費エネルギー. l41D・Parikh,K・Skadron,YZhang,M・bardella,andMstan,. 測ミス率と消費エネルギーの観点から評価を行った.提案手法. 化を狙いとした.評価の結果,予測ミス率は平均約2.2ポイン. ト増加したが,消費エネルギーは平均約40%削減することがで. “PoserlssueRelatedtoBranchPrediction''’1nInternaP. tionalSymposiumonHigh-PerfbrmanceComputerArchitecture,pages233-244,Cambridge,MA,Fbvuruary2002. l5IASeznecandPMichaud,“De-aliasedHybridBranchPre‐. きた.. dictors,,,TbchnicalReportNo3618,InstitutNationalde. 5.2今後の課題 5.2.1オンライン・プロファイリングによるホットパス推定. 今回は事前に実行するプログラムのトレース情報を取り,ホッ トパスを検出した.そのため完全に正しいホットパスを利用す ることができた.ホットパスを動的に検出する手法を用いた場 合のHPBP法の予測ミス率,消費エネルギーはこれからの研 究課題である. 5.2.2Gshare予測器の学習. 今回HPBP予測器で予測した場合には,Gshare予測器の分. 岐予測テーブルを更新しなかった.これを更新するようにする. ことで,予測ミス率の改善が期待できる.その結果,更新にか かるエネルギーは増加するが,予測ミスによるオーバーヘッド は減少するので,消費エネルギーの改善効果も見込める. 5.2.3ホットパス情報の更新. 今回は事前に検出したホットパス情報を,プログラム実行前 にテーブルに登録し,またその情報を更新することはなかった.. しかし,HPBP法で予測したもので頻繁に予測ミスを起こすも のがある場合に,その予測を変更する手法も考えられる. 5.2.4グローバルな分岐履歴の利用 今回はホットパス実行中は必ずHPBP予測器によって予測. -6-. RechercheenlnfOrmatiqueetenAutomatique(INRIA),. Fbbruaryl999. [61江島和仁,吉松則文,曽我武史,村上和彰,“動的システム 最適化技術SysteMorphの性能評価,,,情報処理学会研究報告, 2006-ARC-166,pp、19-24,2006年1月. [7]斉藤史子,北村健志,山名早人,“ハイブリッド分岐方向予測機構 の性能比較,',情処研報(ARC),VOL2002,N0112,pp8994, 2002年11月. (8)SimpleScalarLLC, http://wwwsimplescalarcom/ (91StandardPerfbrmanceEvaluationCorporation, http://www・specbench・org/.
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