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アジアを知る上で忘れてはならないこと

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Academic year: 2021

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 北陸大学東アジア総合研究所では、2006年5月にホームページ(httpl//www.hokuriku u.acjp/ ieas/index.html)を立ち上げました。その中で[研究所紹介]、[ニュース]、[研究活動]、[学生セミナー]、 [イベント]を紹介していますが、もう一つ、[コラム]のコーナーを設け、東アジア総合研究所関係者 の東アジアに関する短評を載せています。以下は、2006年度中に掲載されたコラムです。[編集部]

アジアを知る上で

忘れてはならないこと

column 1(2006年5月)

北陸大学東アジア総合研究所所長

叶 秋男

 東アジアでは中国、南アジアではインドが本格的な高度経済成長期に入ったと言われる。  両国の成長は、周辺諸国はいうに及ばず、先進国経済をも牽引する勢いである。今世紀前半はまさし く「アジアの世紀」となりそうである。ところで、今日の興隆は、過去との決別の成果と受け止められ ているが本当にそう言い切っていいものだろうか。  かつて低開発問題に挑んだG.ミュルダールは、この問題を政治的、社会的、文化的背景から切り離 して純経済学的問題として扱うことを批判して、因果律と累積原理を応用して①産出高と所得、②生産 条件、③生活条件、④態度、⑤制度、⑥政策の六つの範疇からなる「社会システム」の要因相互の関係 について分析するという先駆的な貢献をした。彼はその際、「態度」と「制度」の役割について強調す るとともに、発展が起こるためには、社会システムの全面にわたる「計画的な」ビッグ・プッシュが必 要であろうと指摘した(『アジアのドラマ』、この著書は1966年までの研究に基づいている)。  ミュルダールの研究からほぼ40年が過ぎ、改めて中国やインドで今はお蔵入りしている「社会主義」 の果たした役割を考えると、それが正しく今日に繋がるビッグ・プッシュであったといえよう。京都大 学の大西広教授の研究が示すように、一見混沌としていた毛沢東時代の中国も資本蓄積面では大いに前 進していた。その結果、先進国の企業は、それらの経済に大量の良質で安価な労働力と優秀な頭脳を見 いだし、挙って資本の輸出を図っているわけである。 アジアの現状と未来に関する研究がさかんな今日、過去についての丁寧な分析と総括も忘れてはなら ないだろう。

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