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8 根本孝 根本隆夫 水によるかけ流しの流水下で 尾ずつ収容して行った 実験の開始前 日間いずれの区画も水温 でワカサギを馴致させた うち 区画は対照として実験期間中, 水温を で一定とした いずれの区画もわずかに配合飼料を投与した へい死魚の計数は 日 回午前 9 時に行い, あわせて所定の温度上

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Academic year: 2021

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茨城内水試研報 44 7~11 (2011) 7

2010

年夏季

年夏季 の

年夏季

年夏季

の霞

霞ヶ

ヶ浦

浦における

におけるワカサギ

における

における

ワカサギ

ワカサギのへい

ワカサギ

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のへい

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ワカサギ

ワカサギ

ワカサギ

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の生存可能

生存可能

生存可能

生存可能な

な上限水温

上限水温

上限水温の

上限水温

の推定

推定

推定

推定

根 本 孝 ・根本 隆夫

Occurrence of dead pond smelt, Hypomesus nipponensis in Lake Kasumigaura

in August 2010 and estimation of

maximum survival water temperature

Takashi NEMOTO, Takao NEMOTO

Abstract

Japan's average temperature from June to August 2010 was recorded the highest since 1898. In Lake Kasumigaura, water temperature also lasted high unusually in this summer. Moreover, dead fish of pond smelt was confirmed in August, which had not seen much in recent years. Field survey was conducted to clarify the relationship between water temperature and fish death. And experiment in tank estimates the maximum survival water temperature for pond smelt.

Under the experiment, water temperature in three tanks with 5 individuals of pond smelt in each tank was changed between 25°C and 31°C. Each temperature was holded for 24 hrs. Each day, water temperature was raised by 2°C and it holed for 1 day. Results showed all pond smelt in tanks was survived under 25 and 27°C, and 8 individuals died in 29°C, but one had survived for 48 hrs in 31 °C. Then lethal temperature of pond smelt was estimated to 29.1 °C as TLm50.

Field survey suggested that death of pond smelt in Lake Kasumigaura was followed by almost 30 successive days in August under 29 °C of water temperature as the lowest during a day, and 3 and 10 sucessive days under 31°C and over of water temperature as the highest during a day. In addition, the maximum of water temperature in Lake Kasumigaura was recored 33.5°C on 25th August 15:00 at the monitoring site located on center of the lake.

These results suggest pond smelt in Lake Kasumigaura died of lethal higher water temperature for almost 30 successive days. Key Words: Hypomesus nipponensis, Lake Kasumigaura, water temperature, heat shock, death

はじめに 2010年( 平成22年)6月か ら8月 の夏 の日 本の 平均 気温 は 我 が 国 が 気 象 統 計 を 開 始 し た1898年 以 降 で 最 も 高 い 値 を 記 録 し た 。 こ の 期 間 の 日 本 の 平 均 気 温 の 過 去30年 平 年 差 は+1.64℃ ,特 に8月 は+2.25℃ とな り, どち らも 過去 最高となった(気象庁, 2010)。霞ヶ浦でも2010年の夏季 は例年にない高水温がつづいたほか,近年見られることの なかったワカサギのへい死が確認された。そこでこの時期 の ワ カ サ ギ の へ い 死 事 例 と 高 水 温 の 関 係 を 明 ら か に す る ため,霞ヶ浦の現地調査を行った。また,飼育実験により ワカサギの高水温時の生存可能範囲を推定した。 方 法 2010年8月25日,ワカサギのへい死魚が浮いているとの 通報をかすみがうら市在住の漁業者から受けて,その状況 の聞き取りを同日漁業者から行った。あわせて,ワカサギ のへい死状況を確認するため,通報のあった地点の霞ヶ浦 湖岸(かすみがうら市牛渡地先)を踏査するとともに,投 網(目合40節)による魚類の採捕も試みた。霞ヶ浦の水 温および溶存酸素量(DO)は,確認現場付近のかすみが うら市牛渡地先霞ヶ浦で測定した網いけす養殖施設桟橋 での測定値(YSI製Model55使用)を用いたほか,湖心観 測所での水質自動測定値を参照した(国土交通省関東地方 整備局霞ヶ浦河川事務所, 2010)。また,茨城県内水面水 産試験場で継代飼育しているワカサギを用い,水槽実験に より生存可能な上限水温の推定を行った。 水槽実験には,屋外コンクリート池において霞ヶ浦の湖 水 お よ び 地 下 水 の 混 合 水 を 注 水 し て 給 餌 飼 育 し て い る ワ カ サ ギ を 用 い た 。 水 槽 実 験 は ,4つ の ガ ラ ス 水 槽 ( 区 画1 から区画4,各水槽の容積60リットル)に,地下水の微注

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8 根本 孝・根本隆夫 水による かけ流しの流水下で5尾ずつ収 容して行った。実 験 の 開 始 前 4 日 間 い ず れ の 区 画 も 水 温25℃ で ワ カ サ ギ を 馴致させ た。うち1区画は対照として実 験期間中,水温を 25℃ で 一 定 と し た 。 い ず れ の 区 画 も わ ず か に 配 合 飼 料 を 投与した 。へい死魚の計数は1日1回 午前9時に行い,あ わせて所定の温度上昇の操作を行った。区画毎の水温の操 作 は 水 槽 内 の ワ カ サ ギ が 全 て へ い 死 し た 時 点 で 終 了 と し た。へい死魚はその都度水槽から取り除いた。なお,区画 毎 の 水 温 変 化 は 次 の と お り と し た 。 区 画 1 は24時 間 毎 に 2.0℃ずつ上昇させ,27℃,29℃,31℃の水温帯を設定し た。区画2は区画1と同様の昇温を行ったうえで,31.0℃ まで設定した後,連続してその水温を72時間維持させた 。 区画3は区画1と同様の昇温を行い,途中29.0℃を96時間 継 続し た後 ,水 温を0.5℃ 上昇さ せ29.5℃を24時間 ,その 後1.0℃上昇させて30.5℃を24時間維持させた。 結 果 霞ヶ浦におけるワカサギへい死の状況 聞き取り調査の結果から,2010年8月中旬頃から湖岸 の船溜(牛渡漁港な ど)の静穏域を中心に,へい 死して水 面に浮いているワカサギが見られるようになった。へい死 尾数は概ね1視野で1尾から2尾程度で,水面に漂ってい るのが湖岸から確認された。ワカサギのへい死は8月中旬 以降,連日確認された。2010年8月25日の朝には,そ れ ま で に な く 多 く の へ い 死 魚 が 漂 っ て い る の が 湖 岸 か ら 確認された。このときワカサギのへい死魚は1視野で 10 尾程度ずつのまとまりで漂っていた。 8月25日午前10時にかすみがうら市牛渡付近の霞ヶ浦 湖岸域の現地調査を行った。その時点の湖岸の水温,溶存 酸素量は,表層で30.8℃,11.2mg/l,底層(水深1.2m) で29.9℃,10.2mg/lであった。このとき水面を漂流して いたワカサギを採捕したところ,7尾が採集され,それら はへい死 魚 6尾とひん死魚1尾であった。へい死したワ カサギの体長は45mmから60mmの範囲にあった。いず れの個体も腐敗や鮮度の低下は認められず,死後硬直が認 められた。なお,ワカサギ以外の魚種で漂流しているもの はなかった。 同時に湖岸から投網を行ったところ,4回の投網でワカ サギ33尾が採捕された。体長はへい死魚と同程度であっ た。いずれも活魚であったが,数尾には尻鰭基部に発赤が 認められた。この投 網ではワカサギの他,モツゴ ,シラウ オ,クルメサヨリ,ヌマチチブも活魚で採捕された。 2010年8月の霞ヶ浦の水温,溶存酸素量の推移 内水面水産試験場が養殖業者の協力を得て,かすみがう ら市牛渡地先の網いけす養殖施設で夏季3ヶ月間,毎日午 前6時に測定している表層(水深0.5m)と底層(水深4.0 m )の溶存酸素量記録のうち8月の推移を図1に示した。 なお,この測定位置は距岸距離で約150mの位置にあり, ワカサギのへい死を確認した現場付近に位置している。そ の結果,魚介類に生理的変化を引き起こす限界濃度とされ る溶存酸素量3.0mg/l(日本水産資源保護協会, 2006)を 下回る測定値は底層で3回測定されたが,表層の溶存酸素 量は常にそれ以上で推移していた。 湖 水 温 の 日 周 変 動 は 日 中 正 午 頃 が 最 高 水 温 と な る こ と から,国土交通省霞ヶ浦河川事務所湖心観測所で1時間毎 に連続自動測定される表層の水温測定値を参照した。そこ から2010年(平 成22年)8月の日中最高水温と最低水 温の推移を図2に,また最高水温と最低水温の日中較差の 推移を図3に示した。その結果,8月1ヶ月間の推移は, 日 別 の 最 低 水 温 は 平 均 29.4±0.3℃ , 最 高 水 温 は 30.9± 1.1℃ , 日 間 較 差 は 1.5±1.0℃ と な っ て い た 。 さ ら に ,8 月16日以降は最高水温 が31.0℃を下回ったのは2日間の みであり,8月25日15時にはこの夏の最高水温33.5℃ に達した。このとき日間較差は4.1℃に達した。一方,8 1 11 1 3 33 3 5 55 5 7 77 7 9 99 9 8 / 1 8 / 18 / 1 8 / 1 8 / 1 18 / 1 18 / 1 18 / 1 1 8 / 2 18 / 2 18 / 2 18 / 2 1 8 / 3 18 / 3 18 / 3 18 / 3 1 D O ( m g / l ) D O ( m g / l ) D O ( m g / l ) D O ( m g / l ) 表 層 表 層 表 層 表 層 底 層底 層底 層底 層 図 図 図 図 1. か すみ がう ら市 牛渡 地先 網い けす 養殖 施設 におけ る溶存酸素量の推移. 2 8 2 8 2 8 2 8 2 9 2 9 2 9 2 9 3 0 3 0 3 0 3 0 3 1 3 1 3 1 3 1 3 2 3 2 3 2 3 2 3 3 3 3 3 3 3 3 3 4 3 4 3 4 3 4 1 11 1 3333 5555 7777 9999 1 11 11 11 1 1 31 31 31 3 1 51 51 51 5 1 71 71 71 7 1 91 91 91 9 2 12 12 12 12 32 32 32 3 2 52 52 52 5 2 72 72 72 7 2 92 92 92 9 3 13 13 13 1 8 8 8 8 月月月月 W T W T W T W T      (((( ℃℃℃℃ )))) 最 低 値 最 低 値 最 低 値 最 低 値 最 高 値最 高 値最 高 値最 高 値 図 図 図 図 2. 霞 ヶ 浦 湖 心 観 測 所 の 自動 水 温 測 定 値 の 日 別 最 高 最 低水温の推移. 図 図 図 図 3. 霞 ヶ 浦 湖 心観 測 所 の自動 水 温 測 定 値の 日 中 較 差 の 推移 0 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 0 0 . 5 0 . 5 0 . 5 0 . 5 1 . 0 1 . 0 1 . 0 1 . 0 1 . 5 1 . 5 1 . 5 1 . 5 2 . 0 2 . 0 2 . 0 2 . 0 2 . 5 2 . 5 2 . 5 2 . 5 3 . 0 3 . 0 3 . 0 3 . 0 3 . 5 3 . 5 3 . 5 3 . 5 4 . 0 4 . 0 4 . 0 4 . 0 4 . 5 4 . 5 4 . 5 4 . 5 1 11 1 3333 5555 7777 9999 1 11 11 11 11 31 31 31 31 51 51 51 5 1 71 71 71 71 91 91 91 92 12 12 12 12 32 32 32 32 52 52 52 52 72 72 72 7 2 92 92 92 93 13 13 13 1 8 88 8 月月月月 較 差 較 差 較 差 較 差      ΔΔΔΔ W T W T W T W T      (((( ℃℃℃℃ ))))

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霞ヶ浦におけるワカサギのへい死と生存可能水温 9 月の最低水温は8月14日,15日の未明に記録した28.8℃ であった。 また,網いけす養殖施設で毎日午前6時に観測している 表 層 と 底 層 の 水 温 は そ れ ぞ れ 平 均 29.9±0.6℃ と 29.8± 0.7℃ で推移 して いたこ とか ら,8 月 にお いて は湖岸 付近 における表層と底層の水温差はほとんどないといえた。 水槽実験 2.0℃間隔で温度変化区を設定したのは,2010年(平成 22年)8月の霞ヶ浦の水温変化が日間較差で平 均1.5℃, 最高4.1℃にも及んだことから,現場条件に近い状況を再 現しようとしたためである。区画ごと24時間ごとの経過 水温とその間のへい死尾数を表1に示した。また区画ごと の水温変化と累積へい死数の経過を図4に示した。 供 試 魚 の 大 き さ は 体 長 の 平 均 ± 標 準 偏 差 は 82.2± 12.3mm,体重で平均±標準偏差は5.2±2.3gである。水 温を変化させた区画1から区画3ではいずれも ,水温27℃ まではへい死はみられなかったが,水温を27℃から29℃ に昇 温したと ころでい ずれの区画 でもへい 死が発生 した。 そのときのへい死は29℃へ昇温後24時間以内に,区画1 では5尾すべてがへい死,区画2では5尾中1尾がへい 死,区画3では5尾中2尾がへい死した。 その後,区画2は,31℃へ昇温後24時間以内にさらに 3尾がへい死した。区画2は残る1尾となったところで , 昇温せず水温31℃を持続させたところ,その個体は48時 間目までは生存していたが,72時間目まで にへい死した。 区画3は,残る3尾となったところで,昇温をせず水 温29℃を96時間経過させたところすべて生存していた 。 し か し そ の 後 昇 温 幅 を 違 え て ,29.5℃ に 昇 温 し た と こ ろ 24時間以内に1尾がへい死し,さらに30.5℃に昇温した ところ24時間以内に残る2尾もへい死した。なお,水温 25℃で一定とした区画4は9日間へい死はなかった。 この結果を,区画毎に所定の水温の経過時間を違えてい るが,経過時間を考慮せずに水温とへい死の関係をみると , 水温27℃では水温変化区の全15尾にへい死はなく ,29℃ で8尾へい死 ,29.5℃で1尾へい死 ,30.5℃で2尾へい死, 31.0℃で4尾へい死となった。また,経過時間と生存の関 係をみると,29.0℃ で96時間生存した個体と,31.0℃で 48時間生存した個体があったことがわかる。 こ こ で , 水 温 に 関 す る ワ カ サ ギ の 半 数 致 死 水 温 (TLm (℃)) を推定す るため, 全区画の 毎日の観 察時点に おけ る生存率と水温をもって,ダードロフの方法(農林水産省, 1965)を用いて対数上の直線関係に当てはめた(図5)。 そ の結 果, 片対 数上の 50%生 残 率を 半数 致死水 温と して 回帰式から算出するとTLm(℃)は29.1℃となった。 経過日数 水温 尾数 水温 尾数 水温 尾数 水温 尾数 1日目※ 25.0 0 25.0 0 25.0 0 25.0 0 2日目 25.0 0 25.0 0 25.0 0 25.0 0 3日目 27.0 0 27.0 0 27.0 0 25.0 0 4日目 29.0 5 29.0 1 29.0 2 25.0 0 5日目 31.0 3 29.0 0 25.0 0 6日目 31.0 0 29.0 0 25.0 0 7日目 31.0 1 29.0 0 25.0 0 8日目 29.5 1 25.0 0 9日目 30.5 2 25.0 0 ※ 1日目は試験開始時点の数値を示している。 区画1 区画2 区画3 区画4 表 表 表 表1. 過去24時間中の水温とその間のへい死尾数の推移 0 00 0 1 11 1 2 22 2 3 33 3 4 44 4 5 55 5 1 1 1 1 2222 3333 4444 5555 6666 7777 8888 9999 経 過 日 数 経 過 日 数 経 過 日 数 経 過 日 数 累 積 累 積 累 積 累 積 へ い へ い へ い へ い 死 数 死 数 死 数 死 数 2 5 2 52 5 2 5 2 6 2 62 6 2 6 2 7 2 72 7 2 7 2 8 2 82 8 2 8 2 9 2 92 9 2 9 3 0 3 03 0 3 0 3 1 3 13 1 3 1 3 2 3 23 2 3 2 水 温 水 温 水 温 水 温      (((( ℃℃℃℃ )))) 0 00 0 1 11 1 2 22 2 3 33 3 4 44 4 5 55 5 1 11 1 2222 3333 4444 5555 6666 7777 累 積 累 積 累 積 累 積 へ い へ い へ い へ い 死 数 死 数 死 数 死 数 2 5 2 52 5 2 5 2 6 2 62 6 2 6 2 7 2 72 7 2 7 2 8 2 82 8 2 8 2 9 2 92 9 2 9 3 0 3 03 0 3 0 3 1 3 13 1 3 1 3 2 3 23 2 3 2 水 温 水 温 水 温 水 温      (((( ℃℃℃℃ )))) 0 00 0 1 11 1 2 22 2 3 33 3 4 44 4 5 55 5 1 1 1 1 2222 3333 4444 累 積 累 積 累 積 累 積 へ い へ い へ い へ い 死 数 死 数 死 数 死 数 2 5 2 52 5 2 5 2 6 2 62 6 2 6 2 7 2 72 7 2 7 2 8 2 82 8 2 8 2 9 2 92 9 2 9 3 0 3 03 0 3 0 3 1 3 13 1 3 1 3 2 3 23 2 3 2 水 温 水 温 水 温 水 温      (((( ℃℃℃℃ )))) 図 図 図 図4. 飼育水温と累積へい死尾数の推移 (上: 区画1,中: 区画2,下段: 区画3). y = - 6 6 2 . 9 5 L n ( x ) + 2 2 8 4 . 9 y = - 6 6 2 . 9 5 L n ( x ) + 2 2 8 4 . 9y = - 6 6 2 . 9 5 L n ( x ) + 2 2 8 4 . 9 y = - 6 6 2 . 9 5 L n ( x ) + 2 2 8 4 . 9 R R R R 2 2 2 2 = 0 . 7 5 5 7 = 0 . 7 5 5 7 = 0 . 7 5 5 7 = 0 . 7 5 5 7 0 0 0 0 2 0 2 0 2 0 2 0 4 0 4 0 4 0 4 0 6 0 6 0 6 0 6 0 8 0 8 0 8 0 8 0 1 0 0 1 0 01 0 0 1 0 0 1 0 1 01 0 1 0 1 0 01 0 01 0 01 0 0 W T W TW T W T      (((( ℃℃℃℃ )))) S u r v i v a l r a t e S u r v i v a l r a t e S u r v i v a l r a t e S u r v i v a l r a t e      ( % ) ( % ) ( % ) ( % ) 図 図 図 図5. 水温と24時間後の生存率の関係

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10 根本 孝・根本隆夫 考 察 へ い 死 し た ワ カ サ ギ を 確 認 し た 地 点 付 近 の 湖 水 の 溶 存 酸素量の推移から判断すると,溶存酸素量の状況がワカサ ギのへい死の要因ではないと考えられる。それは,毎午前 6時の溶存酸素量は底層では一時期3.0mg/lを下回ったも のの,表層の溶存酸素量が3.0mg/lを下回ることはなく貧 酸素水塊の形成はなかったことから,この期間の溶存酸素 量 が ワ カ サ ギ に 生 理 的 に 大 き な 影 響 を 与 え た と は 考 え に くいことと,ワカサギの遊泳力を考えれば,より好適な場 所への移動は容易とみられることもある。 同 時 に 測 定 し た 表 層 と 底 層 の 水 温 に つ い て も 水 深 間 に 差はほとんどみられていなかった。一方,参照した湖心観 測所の位置は,霞ヶ浦の中心で水深7m付近にある。これ は 流 入 河 川 な ど 陸 域 か ら の 新 た な 流 入 水 が 付 近 に な い 条 件ならば,同時刻の湖岸の水温は湖心観測所の観測値より 高くなるといえよう。したがって,この夏の湖岸の最高水 温 は 基 本 的 に 湖 心 観 測 所 の 観 測 値 よ り も 高 か っ た も の と 推察される。また,その高水温帯は湖岸ほど表層から底層 まで及んでいたと考えられる。よって生存したワカサギの 多くは,高水温を忌避し,わずかな温度差であっても比較 的低温の層に分布していたものと考えられた。 霞 ヶ 浦 の 水 温 変 化 の 推 移 と 水 槽 実 験 の 結 果 を 比 較 す る と,2010年8月に入って以降,連日最高水温と日間較差 が上昇し,8月8日 に水温31.0℃という最高水温の一つの ピークをむかえていることから,その頃にはへい死が始ま っ て い た と 推 察 さ れ る 。 熊 丸 (2003) は 水 槽 実 験 に よ る ワカサギの呼吸量の測定から 26℃以上で代謝異常を起こ し ,28℃ で へ い 死 す る と し て い る こ と か ら も , 天 然 水 域 でもその温度付近でへい死が発生したものと考 え ら れ る 。 また,漁業者の情報によるへい死魚の数量が一段と増加 したのが8月25日であったことと,最高水温を記録した 日が一致したことも興味深い。事実,8月21日以降の霞 ヶ浦の最 高水温と日間較差の上昇幅は 8 月上 旬の動きよ りも一段と大きいものとなっていたことから,その間の昇 温の刺激により8月25日までのへい死魚が増加したとい えよう。また,8月25日以降は最高水温が低下に転じ, 日間較差も小さくなったことから,8月25日に生存して い た ワ カ サ ギ は 水 温 に よ る へ い 死 は 減 少 し た も の と 推 察 される。 水槽実験からは半数致死水温(TLm(℃ ))は29.1℃と 推定されたが,魚類の温度耐性はその時点における水温変 化 の 状 況 に よ っ て 変 化 す る と い え る の で 一 義 的 に は 求 め られないともいえる。また,水温変化に対する耐性が,そ れ ぞ れ の 生 息 水 温 の 経 過 時 間 の 長 短 に よ っ て も 変 化 す る ことは水槽実験の区画2と3の経過から明らかである。し かし,このTLm値は,水槽実験で示された29.0℃でへい 死魚がみられはじめたことと,31.0℃で48時間生存した 1個体がみら れたことによるものであり,また松原・落合 (1955)はワカサギの生存可能範囲の上限温度を30℃と していることも考慮すれば,少なくともワカサギにとって 29℃ 台 の 水 温 は 致 死 的 な 水 温 帯 で あ る と い え る で あ ろ う 。 しかし,今回の水槽実験で,同一水温でも区画によって生 存率が大きく異なったことは,区画の収容尾数と区画数の 多 寡 が 影 響 を 及 ぼ し た も の と 考 え ら れ る 。 よ っ て ,TLm 値の精査には,ワカサギの天然水域における分布密度を考 慮 し た 水 槽 収 容 密 度 の 設 定 や 水 槽 収 容 に 伴 う 個 体 間 の 干 渉 作 用 の 有 無 に つ い て も 再 検 討 を 加 え た 上 で 区 画 を 増 加 させた実験が必要となろう。 この夏の霞ヶ浦の水温の推移は,最低水温でもTLm値 や 30℃を上回る日数が多かったが,ただちにへい死魚が みられることはなかった。また,水温の推移から推定され る へ い 死 時 点 と へ い 死 魚 が 実 際 に 発 見 さ れ る ま で の 時 間 差がみられた。さらに,へい死魚の発見と同時にその付近 で生存しているワカサギも採捕された。このことは,霞ヶ 浦 は 常 に 一 様 の 水 温 で は な く 生 存 可 能 な 水 温 帯 の 水 域 が 形成されていたことを示唆しているほか,日間最低水温が 29℃ 台 で 推 移 し て い る 中 で 局 地 的 に 急 激 な 温 度 変 化 が 生 じた刺激によるへい死の発生も示唆している。 これらから,2010年8月の霞ヶ浦でみられたワカサギ のへい死の発生要因は,湖心部の表層における測定値で日 中の最低水温が 29℃を越えるような,ワカサギにとって 致死的な水温環境が長期間継続したことに加え,湖心の測 定値で最高水温が 31℃を超えるような日中の急激な水温 上 昇 に よ る 水 温 刺 激 が 引 き 金 と な っ て 発 生 し た も の と 考 えられた。 要 約 (1)2010年(平成22年)6月から8月夏の日本の平均気 温は1898年以降で最も高い値を記録し,霞ヶ浦では8 月に,近年見られることのなかったワカサギのへい死が 確認された。 (2)漁業者によれば,2010年8月中旬から湖岸の静穏域で ワカサギのへい死魚が連日散見されるようになり,8月 25日朝にはその数量が一段と多くみられた。 (3)2010年8月の霞ヶ浦の水温は,国土交通省霞ヶ浦河川 事務所湖心観測所の表層の水質測定値によれば,日中の 最低水温は平均±標準偏差で29.4±0.3℃ ,最高水温は 30.9±1.1℃,日中較差は 1.5±1.0℃で推移した。8 月 25日15時にこの夏の最高水温33.5℃を記録し,この とき日中較差は4.1℃であった。 (4)15尾のワカサギを5尾づつ収容した3つの水槽の水温 を25℃から31℃まで24時間毎に2.0℃づつ昇温させた 結果,水温を29℃へ昇温開始後24時間以内ではじめて 8尾がへい死 した。しかし水温29℃中で96時間,31℃ 中で48時間生存した個体もあった。 (5)水 温 と ワ カ サ ギ の 生 存 の 関 係 を , 半 数 致 死 水 温 (TLm℃)として推定すると29.1℃となった。 (6)霞ヶ浦で2010年8月にみられたワカサギのへい死要因 は,8月の月間最低水温が28.8℃にとどまり,ほぼ1ヶ 月間,日間最低水温が29℃台で推移したことに加えて ,

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霞ヶ浦におけるワカサギのへい死と生存可能水温 11 最高水温 31℃以上の期間が,連続して 3日ないし 10 日 続 い た 高 水 温 環 境 が 長 期 間 継 続 し た こ と に よ る も の といえた。 謝 辞 霞 ヶ 浦 漁 業 協 同 組 合 の 安 部 秀 男 氏 に は 詳 し い ワ カ サ ギ の へ い 死 状 況 の 報 告 や 現 地 調 査 に 際 し 多 大 な る ご 協 力 を いただきました。こ こに厚く御礼申し上げます。また,同 漁協鈴木幸雄氏には,網いけす養殖施設における霞ヶ浦の 水 温 と 溶 存 酸 素 量 の 測 定 に 多 大 な る ご 協 力 を い た だ き ま した。心より感謝申し上げます。 文 献 気象庁(2010):平成22(2010)年夏の日本の平均気温につ いて. 平成22年9月1日付け報道発表資料. 熊 丸 敦郎(2003): 霞 ヶ浦 に おけ る 近年 の ワカ サ ギ資 源 変 動要因について. 茨城内水試調研報, 38, 1-18. 国土交通省関東地方整備局霞ヶ浦河川事務所 (2010):霞 ヶ浦速報,水質雨量水位(オンライン). http://www.kasumi.ktr.mlit.go.jp/scripts/real/index. html. 参照日2010年9月6日. 農林水産省(1965):魚類に対する毒性試験法,昭和40年 11月25日付け40農政B第2735号農政局長通達. 松 原 千代 松 ・落 合 明(1955): 魚 類 学( 下 ),水 産 学全 集 , 19,恒星社厚生閣,東京. 日本水産資源保護協会(2006):水産用水基準(2005年版), 16-19,東京.

参照

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