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[卒業研究要旨]ソフトテニスのユニフォームに関する研究ー素材の物理特性とパターン形状に着目してー

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Academic year: 2021

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生活環境学研究 No.8 2020

ソフトテニスのユニフォームに関する研究

ー素材の物理特性とパターン形状に着目してー

キーワード:ソフトテニス,ユニフォーム,機能性,KES,アパレルCAD,ポリエステル

北川 万裕

[指導教員:武庫川女子大学准教授 末弘 由佳理]

1. 研究の背景と目的  スポーツを行う際に着用する衣服をスポーツウエアと呼ぶ1) 昭和時代のスポーツウエアの素材は,吸水性に優れた天然繊 維である綿が主流であった。しかしながら,天然繊維は乾き にくい性質であるため,生地が身体に張り付いて生み出す不 快感,大量に汗をかく場面でウエアが重くなることでのス ポーツパフォーマンスの低下,汗によっての身体の冷えなど を解消するために,近年では新機能ポリエステル素材などを 使用することが主流となっている2)  このようにスポーツウエアには,様々な身体動作に追随 し,身体の動きを妨げることのない素材が求められ,スポー ツウエアは進化を遂げてきた。本研究では,様々な進化がさ れている中でも,自身が6年間ソフトテニスを行った経験か ら,ソフトテニスのユニフォームに着目した。世の中に展 開されている各ブランドの製品を比較検証し,スポーツパ フォーマンスの向上をサポートすることを目的としている。 2. 研究方法  ソフトテニス経験者が実際に着用していたユニフォーム のブランド,機能性,デザイン性の満足度を知るため, Googleフォーム3)を用いたアンケート調査を実施した。ま た,アンケート調査から得た結果をもとに,アパレルCAD を用いたパターンの作成,実際にユニフォームを用いて機能 性に関する実験を行った。 3. アンケート調査 3-1 調査内容  調査対象はソフトテニス経験者の女性とし,年齢,職業, 現在の活動状況と頻度,ソフトテニスのユニフォームに対す るブランドイメージ,実際に着用していたブランド,形態, 色味,満足度,機能性(速乾性,吸湿性,伸縮性,軽い,重 い,やわらかい,あたたかい,厚い,しっとり,肌触り)に 関するアンケート調査を実施した4) 3-2 調査結果及び考察  ソフトテニスのユニフォームとしてイメージの強いブラン ドは,ヨネックス,ミズノ,ゴーセンの順であった(図1)。 実際に着用していたブランドにおいてもイメージ調査と同 じ結果を得た。この結果,実際に着用していたことによって イメージが強くなっているということが考えられる。また, 実際に着用していたブランドという質問項目では12個のブ ランドの中から,ヨネックス,ミズノ,ゴーセン,アディ ダス,スリクソン,ルーセントの6個のブランドに絞られた (図2)。この結果から,絞られた6種のブランドはソフト テニスに関する商品の展開が多いため,着用者が多いという 関係があると考えられる。実際に着用していたユニフォーム の形態に関しては,トップスはポロシャツ,パンツはハーフ パンツが最も多く,満足度も共に満足であるという結果で あった。  実際に着用していたユニフォームの機能性に関する調査で は,算出した相関係数から,速乾性,吸汗性,伸縮性,軽い, やわらかいの項目が肌触りと関係しているという結果を得た。 ミズノ 26.3% ヨネックス 71.9% ゴーセン 1.8% ヨネックス 52.9% ミズノ 32.9% ゴーセン 7.1% スリクソン 1.2% ルーセント 3.5% アディダス2.4% ヨネックス 47.4% ミズノ 38.2% ゴーセン 6.6% スリクソン 1.3% ルーセント 3.9% アディダス 2.6% 図1 最もイメージの強いブランド     (1)トップス      (2)パンツ 図2 実際に着用していたブランド 4. パターン 4-1 パターン作成  アンケート調査の結果から得た,全6種類のブランド(ヨ ネックス,ミズノ,ゴーセン,ルーセント,スリクソン,ア ディダス)の,ポロシャツ,パンツそれぞれ12枚をコピー機 を用いてコピーし,コピーしたものをスキャナーでパソコン に取り込み東レ株式会社のPatternMagicⅡ5)でトレースを 行った。 4-2 結果及び考察  構成面について,トップスではLU(ルーセント)が最も 寸法が大きい分,ゆとり分量が多く,体の可動域が広いた め動きやすいということが分かる。また,GO(ゴーセン) 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 32 04_卒業研究要旨.indd 32 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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生活環境学研究 No.8 2020 のユニフォームがすべての項目に関して寸法が小さいため, ゆとりが少なく身体と布との密着度が高いということが分か る。パンツに関しては股上,わたり幅,裾幅が広い分ゆと りをもってゆったりと着こなせるという利点からLU(ルー セント)が最も動きやすいということが分かる。また,SR (スリクソン)に関しては,わたり幅,裾幅の寸法が小さい ことから,身体と布との密着度が高く体の可動域が小さいた め,動きにくいのではないかと考える。 5. 実験 5-1 実験方法  アンケート調査の結果から,機能性に関係している速乾 性,吸汗性,軽い,やわらかいの項目に関係した摩擦特性, 通気抵抗,圧縮特性,最大熱流束,引っ張り特性,せん断特 性,吸水性の実験を実施した。実験の測定条件は測定標準条 件1)で,引っ張り特性に関しては高感度測定条件である1) 5-2 実験試料  アンケート調査で実際に着用していたブランドについて 問うた項目に対して12種から絞られた6ブランド(ヨネック ス,ミズノ,ゴーセン,アディダス,スリクソン,ルーセン ト)のトップス,パンツ共に白地のユニフォーム20×20cm を用いて実験を行った。試料の組成はすべてポリエステル 100%である。ユニフォームのトップス,パンツ共に全6種に 加え,アディダスのトップスに関しては前と後ろの布が違う 種類であったため,計13枚の試料を用いて実験を行った。 5-3 実験結果及び考察  実験の結果は表1に示した。通気性の良いものはLUT (ルーセントトップス),ADT後(アディダストップス 後)が最も良いという結果であった。圧縮特性では,初期特 性の柔らかいものがMZP(ミズノパンツ),柔らかいものLUT(ルーセントトップス),回復性の良いものがADP (アディダスパンツ)であった。最大熱流束(qmax)で は,最も冷たく感じるものがLUP(ルーセントパンツ), ADP(アディダスパンツ)であった。引っ張り特性では タテヨコに大きな違いは見られずLUT(ルーセントトップ ス),GOT(ゴーセントップス)が柔らかいという結果を 得た。伸びの良いものはMZT(ミズノトップス)であり, 回復性の良いものはGOP(ゴーセンパンツ),ADP(ア ディダスパンツ),MZP(ミズノパンツ)であった。せ ん断特性ではGOP(ゴーセンパンツ)が剛くなく,GOP (ゴーセンパンツ),YOP(ヨネックスパンツ)が弾力が あるという結果であった。曲げ特性に関しては,ADT前 (アディダストップス前),GOT(ゴーセントップス), ADT後(アディダストップス後)が剛くなく,ADT前 (アディダストップス前),ADT後(アディダストップス 後),SRT(スリクソントップス)が弾力があるという結果 であった。摩擦特性に関してはADP(アディダスパンツ) が最も摩擦を感じないということが分かった。吸水性では, YOT(ヨネックストップス)が最も吸水性が良く,MZP (ミズノパンツ)が最も吸水性が悪かった。 表1 各実験まとめ P U L T U L P R S T R S P D A 後 T D A 前 T D A P O G T O G P Z M T Z M P O Y T O Y 名 料 試 タテ 0.675 0.706 0.708 0.734 0.563 0.765 0.669 0.582 0.842 0.631 0.680 0.547 0.689 ヨコ 0.712 0.802 0.753 0.862 0.625 0.810 0.766 0.729 0.886 0.724 0.736 0.646 0.828 タテ 1.763 0.584 1.940 0.656 0.735 0.633 1.358 0.765 0.266 0.886 1.211 1.079 0.498 ヨコ 3.309 1.711 4.422 1.641 1.639 1.588 3.197 2.862 1.960 2.622 3.048 2.075 0,275 タテ 53.8 57.6 51.0 71.2 58.5 76.1 55.5 50.1 34.9 47.9 53.3 58.9 60.8 ヨコ 50.1 77.4 50.4 82.0 58.9 81.3 40.8 45.6 84.6 44.5 48.5 60.1 56.7 タテ 41.02 32.03 45.51 24.72 38.21 21.91 36.52 37.65 38.77 36.52 39.33 37.09 59.00 ヨコ 32.03 21.35 43.27 21.91 33.15 21.35 36.52 21.47 30.90 32.03 35.96 32.03 54.50 タテ 2.29 1.23 2.36 0.76 1.34 0.57 1.73 1.92 2.27 1.89 2.29 1.41 1.80 ヨコ 1.97 0.40 2.41 0.59 0.98 0.53 2.32 2.00 1.10 2.06 2.32 1.36 1.25 タテ 1.429 4.040 3.756 3.661 1.134 2.059 1.164 1.376 10.621 1.474 1.605 1.893 2.579 ヨコ 1.468 6.747 1.899 4.063 1.151 3.991 0.435 0.736 2.210 0.755 1.026 1.167 9.055 タテ 0.135 0.309 0.369 0.174 0.109 0.152 0.100 0.129 1.057 0.142 0.137 0.168 0.133 ヨコ 0.104 0.368 0.143 0.209 0.091 0.163 0.055 0.062 0.179 0.059 0.070 0.088 0.689 LC 0.661 0.622 0.668 0.578 0.618 0.644 0.662 0.643 0.671 0.602 0.636 0.684 0.589 WC 0.165 0.167 0.186 0.182 0.128 0.130 0.137 0.154 0.040 0.180 0.112 0.207 0.116 RC 55.1 58.6 58.8 57.9 66.0 60.4 57.0 59.2 94.1 59.7 64.3 59.7 63.2 タテ 0.064 0.065 0.048 0.059 0.048 0.058 0.056 0.057 0.040 0.060 0.042 0.047 0.054 ヨコ 0.071 0.071 0.063 0.059 0.063 0.063 0.074 0.062 0.054 0.080 0.065 0.065 0.056 タテ 0.004 0.012 0.007 0.005 0.009 0.009 0.002 0.003 0.002 0.003 0.008 0.008 0.011 ヨコ 0.006 0.012 0.005 0.007 0.011 0.003 0.005 0.005 0.002 0.007 0.015 0.015 0.008 タテ 1.53 5.47 3.24 2.42 3.80 5.15 0.81 2.96 0.88 2.25 2.57 2.10 12.51 ヨコ 3.17 1.97 3.90 2.60 6.60 1.14 3.28 2.72 1.18 3.91 3.13 5.43 3.63 最大熱流束(qmax) W/㎡ 1250 1370 1063 1363 1347 1687 1173 1247 1743 1013 1350 1070 1817 通気抵抗 0.070 0.328 0.073 0.448 0.023 0.752 0.167 0.039 1.587 0.044 0.058 0.019 2.713 吸水 min 0.50 1.02 15.43 600.00 1.10 1.21 1.86 4.88 2.12 0.74 1.05 0.71 4.93 kpa・s/m 曲げ B 2HB 圧縮 摩擦 MIU MMD SMD 引っ張り LT WT RT せん断 G 2HG 1番目にスポーツウエアとして性能が高い値 2番目にスポーツウエアとして性能が高い値 1番目にスポーツウエアとして性能が低い値 2番目にスポーツウエアとして性能が低い値 6. 結論及び今後の課題  LUT(ルーセントトップス),LUP(ルーセントパン ツ)共に構成面ではゆとり分量が多いため,動きやすいと いうことが分かる。しかしながら,パンツの素材面に関して LUP(ルーセントパンツ)は伸びが悪くゴワゴワする,ま た凹凸が多く通気性が悪いということから,すべての項目に 関して良い製品であるとは言えない。ADP(アディダスパ ンツ)に関しては,引っ張り特性,曲げ特性でスポーツウエ アとしての性能が低い値であるが,回復性が良く,使用時に 冷たく感じ,摩擦特性の数値がスポーツウエアとしての性能 が高い値であるため,肌に対して刺激の少ないものであるの ではないかと考える。トップスについてLUT(ルーセント トップス)に関しては,通気性がよく,構成面においてもゆ とり分量が多いため,運動時の体温上昇に最も適応でき,動 きやすいということが分かる。しかしながら,ADT前(ア ディダストップス前)の素材面において,ゴワゴワが少なく 弾力があり,また,凹凸が少なくザラつきが少ないことか ら,素材面に関しては良いものであるということが分かる。  以上のことから,比較を行った6種のブランドの製品すべ てにおいて一概にどの製品が最も良いかということは言えな いという結果であった。どの製品においてもそれぞれに優れ ている特性があり,本研究で得た結果をもとに,使用者の用 途や体質によって使い分けるということが最も良いのではな いかと考える。 参考文献 1) 田中照子,小柴明子,平田耕造:衣環境の科学,建帛社,2016 2) テイジン公式サイト,https://www.teijin.co.jp (最終閲覧日:2019/11/22) 3) Googleフォーム,https://docs.google.com/forms/u/0/?tgif=d(最 終閲覧日:2019/11/22) 4) 伊東梨紗,平本真梨:「しっとり」に関する研究―布に対する感 覚評価を中心に―(生活環境学科卒業論文),2016 5) 東レACS株式会社公式サイト, https://www.torayacs.co.jp/products/creacompo2/patternmagic2/ (最終閲覧日:2019/11/22) 卒 業 研 究 要 旨 ( 論 文 ) 04_卒業研究要旨.indd 33 04_卒業研究要旨.indd 33 2020/12/07 11:462020/12/07 11:46

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