非財務指標研究の回顧 と展望
二吉樹
建佐直
酸政田
安乙福
財務情報に過度に依存 した経営によるさまざまな弊害が,先行研究において しば しば指摘されてきた。 この弊害に対する解決策の一つとして,業績管理 システムに 非財務指標を組み込むことが重要視 されている。本稿では,まず,非財務指標をめ ぐる論点として,非財務指標が財務業績に対する先行指標になる可能性,および, 戦略の実現に向けて経営者 。管理者の意思決定や行動に影響を与える可能性の二つ を取 り上げ,非財務指標研究を業績管理 システム研究の流れの上に位置づける。次 に,非財務指標の可能性に関連する実証的証拠を検討する。最後に,今後の非財務 指標研究の方向性を示す。
キー ワー ド 非財務指標,財務指標,業績管理 システム
1 は じ め に
業績管理 において用 いるべ き情報 は,会計 システムを通 じて生 み出され る財務 的 な情報 に 限定 されず,会計 システム以外か ら生 み出 され る非財務 的な情報 も含むべ き ことは,教科書 で も論 じられている考 え方 である (例 えば
,At ki ns o n e ta
l. ,1 9 97 )
0しか し
,Bhi ma nia ndBr o mwi c h( 1 99 2)
やBr o mwi c ha ndBhi ma ni( 1 9 9 逢)
によれば,伝統 的に用 い られた業績管理 システムは,財務数値 へ過度 に依存 した形 でデザイ ンされていた とい
い う。 その結果,業績管理 システムが生み出す財務情報 は,企業 の戦略行動 の結果 として集 約 されす ぎてお り
( t o oa g g r e g a t e d)
,経営意思決定 に利用す るには生 み出され るのが遅す ぎる
( t o ol a t e )
と しば しば批判 され るようにな った。財務数億 に依存 した業績管理 システムへの批判がな され る中,一つの解決策 と して,非財 務指標 を業績管理 システムに組み込 む ことが提 唱 されている。例 えば,バ ラ ンス ◎スコアカ ー ド
( Ba la nc e dSc o r e c a r d;
以下,BSC)
では,財務業績 に影響 を与 え ると考 え られ る諸変数 を,非財務指標 と して測定対象 にす るよ う提 唱 されてい る( Ka pl a na ndNo r t o n,且 99 6,2001 )
0 財務指標 だけでな く非財務指標 を も測定対象 とす るよ うな業績管理 システムによって,戦略の実行状況がタイム リーにモニターされた り,必要な場合 には戦略の見直 しにつなが った り す るような情報 を生み出すよう期待 されている。
ここで9非財務指標 は,大 き く二つに分類可能であることに留意 してお く必要があろう。
一つは,財務数値への影響が論理的に説明可能な指標である。例 として,工場での生産数量 を挙げることができる。生産数量 は工場の効率性を示す指標 として しば しば利用 される一方, 原価計算を通 じて原価情報へ と反映されると同時に,貸借対照表における棚卸資産の額 に も 影響を与える。俺 にも,在庫数畳や在庫 日数 は,在庫管理の状況をモニターす る指標 として 利用 されると同時に,流動資産の変動 に反映 され, ひいては資産利益率 に影響を与える。
このような性格を持つ非財務指標 は,オペ レーショナル 。コン トロール (
Ant ho ny,1 96 5)
において しば しば利周 される。オペ レーシ ョナル ◎コン トロールの対象は個 々のタスクであ る。個 々のタスクを対象 とす るがゆえに,オペ レー ショナル ◎コン トロールの適用範囲は自 ず と限定 され,個 々のタスクの効率的な遂行をモニターす るのに最適な指標を個別に選択す ればよい。そのため,財務的に集約 された指標ではな く,財務数億へ と変換 され る以前の各 種の非財務指標が伺い られるのである。一方で,財務数倍 に与える影響を論理的に説明できない非財務指標 も存在す る。例えば, 予算 と実績 との差異分析を行 って も,あるいはデュポンチャー トをたどっていって も,顧客 満足や従業員満足 による財務数億への影響を説明す ることはできない。それゆえ,顧客満足 や従業員満足 といった非財務指標は,財務数億 との論理的な関係か らではな く,財務業績 と 何 らかの関係があるはずだという戦略的な判断に基づき利用 され ることになる。
本稿での関心は,主 に後者 に属す る非財務指標にある。 このような性格を持つ非財務指標 を組み込んだ業績管理 システムには,企業業績をよ り多元的に測定 し,戦略や財務業績の変 動 に関する情報をよ り多 く提供す ることが期待 されているためである0
本稿の 目的は,非財務指標研究の現状 を考察す ると同時に,将来へ向けた研究課題を提示 す ることにある。 この 目的を達成す るために,第
2
節 において,非財務指標が重視 されるよ うになった背景を踏 まえた上で,非財務指標 に何が期待 されているのかを明 らかにす る。特 に,非財務指標が持つ,財務業績の先行指標 になる可能性,および,経営者 ◎管理者の意思2)
決定や行動 に影響を与える手段 としての可能性 に注 目す る。第
3
節では, これ ら二つの可能 性 に関連す る主要な実証研究を検討す る。第4
節 においては,非財務指標研究をさらに発展 させるための研究課題を示す とともに, 日本企業を対象 として非財務指標 に関す る研究を行 う場合の課題を提示す る。非財務指標研究の回顧と展望
81
2 伝統的な業績管理 システムが抱える諸問題 と非財務指標
2 。 1
伝統的な業績管理 システム管理会計 システムには
,
「情報 システム」 としての側面 と 「影響 システム」 としての側面 がある (鹿本,1 9 8 6 )
。管理会計 システムの一部 としての業績管理 システムに も,当然ながら,情報 システムとしての側面 と影響 システムとしての側面が備わ っている。
情報 システムとしての業績管理 システムには,戦略立案や資源配分 に関す る意思決定 に有 周な情報を提供す ることが期待 されている。例えば,事業部制組織 における資源配分 には,
RO 支( r e t u r no ni nve s t me nt )
をは じめとす る資本効率 に関す る会計情報が欠かせない。業績 管理 システムはこのような会計情報を提供す る。一方で,影響 システムとしての業績管理 システムには,戦略の実現 に向けて経営者 ◎管理 者の意思決定や行動に影響を与えることが期待 されている。例えば,戦略 目標の達成度 と報
酬を連動 させる業績管理 システムは,戦略の実行を確実な ものにす るために周 い られる。業 績管理 システムを通 じて9業績の 目標値 と実績値 との定量的な比較が財務的見地か ら可能 に なると同時に,部門や部署 といった細分化 された組織単位 と会計責任を連動 させ ることによ り,組織内の諸活動が定量的な方法で統合可能 になるか らである
( Ot i e ya ndBe r
ry,且 98 0)
。しか し,財務情報 に大 き く依存 した業績管理 システムは,情報 システムとして も影響 シス テム と して も,以下 のよ うな点で批判 され るよ うになる (例えば
,Ha ye sa ndAbe r l l a t l
ly
,1 98 O; J o hns o na ndI く a pl a n,1 987;Go o l da ndQui nn,1 9 90:Hr e bi ni a ka ndJ o yc e.1 98 6;Sc hr e yo gg a ndSt e i ma n n,1 9 87;Ch a kr a va r t h ya ndLo r a n ge,1 991;Ec c les .1 9 91;Ka pl a na ndNo r t on,1 9 9 6)
O2 .1 .1
情報 システムとしての業績管理 システムの諸問題財務指標は経営活動の成果を表す ことは事実だ として も,過度に集約 された指標である。
どのような経営活動が財務的成果を生み出 したのかを情報 として含んでいない。例えば,企 業経営 における無形資産
( i nt a ng ib 旦 ea s s e t s ,i nt a ng i bl e s )
の重要性が,近年,多 くの文献 で 指摘 されている (Bla i ra ndWa l l ma n,2OOl;Da mo d a r
an,2 0Ol;Le v,2001;
伊藤 ・加賀谷,2 0 01 )
O 無形資産の典型的な例 は, ブラン ド,品質,評判,顧客満足であるが, これ らは会計 システ ムでは捉え られない非財務的な性格を備えている。さらに,過去の経営活動の成果 として財務情報がフィー ドバ ックされたとして ち,戦略の 修正や見直 しにとっては遅すぎることも指摘 されている。製品ライフサイクルの短縮化や技 術の急速な進歩が常態化 した経営環境 において, ブイ‑ ドバ ックの遅 さは情報その ものの経 営戦略上の価値を失わせ る。
財務数値は過去の活動結果を示す ことには長 けているものの,将来の業績の予測 には有用
ではない
( Ec c l e s ,1 9 9 1 , p . 1 3 2 )
O事実,1 9 8 0
年代を通 じて,米国企業の製品品質や顧客満足 の低下,外国企業の参入 によるマーケ ッ トシェアの低下 によって,米国企業の財務業績は急 速 に悪化 した。 この原因の一つは,業績管理 システムが財務業績 に過度 に依存す る形でデザ イ ンされる一方,品質,顧客満足,マーケ ッ トシェアといった戦略上重要な非財務指標が シ ステムに組み込 まれてお らず,モニターの対象 にな っていなか ったためだ といわれている( Ⅰ く a p l a na n dNo r t o n ,1 9 9 6 ) 0
2 . 1 . 2
影響 システムとしての業績管理 システムの諸問題監0Ⅰや予実差異分析 をは じめとす る財務数値 による管理 は,通常,年度を単位 とす るため, 管理者 の近視眼的な行動を促進す ると批判 される。近視眼的な行動 とは,短期的な財務 目標 を達成す るために,ゲー ミングや利益操作が行われることを指す。例えば,管理者が,必要 な設備投資の抑制を通 じて監0Ⅰを高 めるような意思決定を した り,必要な研究開発費の削 減 によって短期的な財務 目標を達成 した りす るような行動である。 また,伝統的な業績管理 システムが管理者の近視眼的な行動を促進 した結果,経営情報 としての財務業績 自体の信頼 性 も低下することにつなが った といわれている
( Ec c l e s ,1 9 9
1)02 . 2
非財務指標への期待上記のような批判の背後 には,伝統的な業績管理 システムは,戦略の実行や競争優位の獲 得 といった戦略的な問題を考慮 してデザイ ンされていなか っただけでな く,組織の戦略的な 意思決定や行動 に深刻な悪影響を与えたという認識があるといえよう0
非財務指標を業績管理 システムに組み込む ことは,財務数値 に依存 した業績管理 システム 3)
が抱える問題を解決す る一つの方法 として提唱されている。特 に,非財務指標には,次の二 点が期待 されている。
2 . 2 . 1
先行指標 としての非財務指標非財務指標への期待は,第1に,財務業績の先行指標 となることに向けられる。非財務指 標が財務業績の変動 に関す る説明力を持つ可能性に注 目しているのである。例えば,顧客か
らのクレームは,値引きや補償費用,将来の収益の減少 に反映 される可能性がある。 しか し, 財務数値 によって把握 されるのは,収益や費用の増減 に関す る情報 のみである。会計上記録
される収益や費用の増減か らは,その増減に影響を与えた要因を特定できない。 そのため, 値引き,補償費用の発生,将来の収益 といった財務情報
と
,顧客か らのクレームのような非 財務的な情報を結び付 けることによって,財務数値の変動 に関 して豊かな洞察を得 られ る可 能性がある。非財務指標研究の回顧と展望
8 3
非財務指標が財務業績の変動 に対 して説明力を持つな らば,非財務指標を業療管理 システ ムに組み入れ ることによって,過去の経営活動の成果 としての財務業績 と,将来の財務業績 を予見す る先行指標を同時にモニターす ることができる。
非財務指標を組み込んだ業績管理 システムは,戦略に関す る情報や財務業績 の変動 に関す る情報をよ り多 く提供する情報 システムとして期待 されている。
2 .2 .2
経営者 ◎管理者の意思決定や行動 に影響を与える手段 としての非財務指標非財務指標への第
2
の期待は,管理者の近視眼的な行動を抑制 し,戦略課題 の達成に管理 者を誘導す ることである。非財務指標を通 じて 目標設定を行 い, 目標達成度 と報酬 を連動 さ せることによって,管理者の関心が,短期的な財務業績の達成だけではな く,将来の財務業 績 に影響を与える戦略的課題の遂行 に誘導 されると考え られている。例えば, ライフサイクルの成長期 にある事業の管理者 に対 して,市場 シェアや新規顧客の 開拓数を 目標 として設定 し,インセ ンティブ ◎システムに組み入れることは,近視眼的行動 を抑制 し,将来的により大 きな利益 を獲得す るよう管理者 の意思決定や行動 に影響を与え る有効な手段であると考え られてい る
( Gu pt aa l l dGo vi n d a r a j a n,1 98 4:Go vi nd a r a j a
ll ,1 98 8;
Wa r d,1 9 9 2;Sha nka ndGo v ind a
ra
jan.1 9 9 3) C
3
非財務指標をめ ぐる実証的証拠前節において,非財務指標を組み込んだ業績管理 システムを,情報 システムとしての側面 と,影響 システムとしての側面か ら考察 してきた。本節では,それぞれの側面 に関する実証 的証拠を検討す る。情報 システムとしての側面では,①非財務指標が財務業績の先行指標 と なるか どうか,(参非財務指標の利用によって経常意思決定の改善がなされているか どうかに 実証研究の関心が向か っている。影響 システムの側面では,③非財務指標を組み込んだ業績 管理 システムの利用が,経営者 ¢管理者の行動 にどのような影響を考えているかに関心が向
けられている。
3 .1 .1
先行指標 としての非財務指標‑ 非財務指標が持つ情報量‑先行指標 としての非財務指標への関心は,非財務指標が将来の業績を予見す るような情報 4)
をどの程度含んでいるかという,す ぐれて実証的な問題 として扱わねばな らな
い。
放t ne ra ndLa r c ke r( 且 9 9 8)
は,非財務指標が先行指標 として機能す るか どうかという問題 意識 に基づいて実証研究を実施 している。研究の関心 は次の三点である。すなわち,1)顧 客 レベルに注 目した場合,顧客満足度が顧客の定着や売上高の変動 にどのような影響を与え ているか,2 )
事業単位 レベルに注 目した場合,顧客満足度 は事業単位の財務的成果にどのような影響を奪えているか,3)企業 レベルに注 目した場合,顧客満足度 は株価で測定 され る企業価値 にどのような影響を考えているかである。
分析結果 は次の とお りである.i)顧客 レベルにおいて,顧客満足度 は顧客の定着や売上 高の変動 に対 して正の影響を与えるものの,顧客満足度がある水準を超えると,その影響 は 消滅す る,2
)事業単位 レベルでは,顧客満足度は財務的成果へ正の影響を与えている ,3)
企業 レベルにおいては,顧客満足度は企業価値 に正の影響を与えている。次 に,Ba
nke Te t al 。( 2000)
は, あるホテルチ ェー ンの 6年間にわたるアーカイバルデー タの分析か ら,顧客満足度が財務的成果の先行指標 とな っているか どうかを検証 している。当該 ホテルチェー ンでは
,
「顧客か らの苦情件数」 と 「顧客の再来の見込み」 とい う二つの 非財務指標が報酬 システムに組み込 まれた。Banke r e ia l . ( 2 0 0 0 )
はこれ ら二つの非財務指 標 と財務指標 との関係を分析 している。結果 として,収益の大 きさを被説明変数 とす る分析 では,顧客の再来の見込みが正の効果を持 っていることが示 された。収益の変化率を被説明 変数 とした場合,顧客の再来の見込みが正の効果を,顧客か らの苦情件数が負の効果を持 っ ている。費周の大 きさを被説明変数 とす る分析では,いずれの非財務指標 とも有意な関係を 見出す ことはできなか った ものの,費周の変化率を被説明変数 とした場合,顧客か らの苦情 件数の変化が,費周の変化 に対 して負の効果を示 した。利益を被説明変数 とす る分析では, 顧客の再来の見込 みが利益 に対 して正の効果を持 っていた.Banke r e ta i . ( 2 0 0 0 )
は,分析 結果か ら,顧客満足 に関連す る非財務的な指標 は,将来の財務的な成果を予測す る上で有周 であると結論付 けている。3 . 1 . 2
非財務指標 による経営意思決定の改善非財務指標の利周 によって経営意思決定が改善 し,組織成果へ とつなが っているか どうか について も実証的関心 は向けられている。
I t t ner ,La r c ker ,a ndRa nd a l l( 20O 3)
は, 米国の金融企業のデー タを剛 、て,① 多様な指標 の利用,②戦略 ⑳バ リュー ドライバー との統合 という二つの戦略的業績測定 に見 られるアプ ローチと,業績管理 システムに対す る満足度や経済的業歳 との関係を検証 している。 この結 栄,財務指標 と非財務指標を広範囲にわた って利用 している企業が, より高 い業績管理 シス テムに対す る満足度や年次の株式 リター ンを得 ることを示 した。 ただ し,Ro且,売上 の増 大,3
年間の株式 リター ンといった経済的業績 に対 して有意な関係を見出せなか ったことを 報告 している。sa i d e ta l . ( 2 0 0 3 )
は,米国企業のデータを用いて,経営者の報酬契約 に含 まれる非財務指 標が現在および将来 (1年後)の業績 に与える影響を検証 している。結果 として,次の二つ を得ている。第 1は,報酬契約 における非財務指標の利用 は将来の ROAおよび現在 。将来非財務指標研究の回顧と展望
85
の株式 リター ンに好影響を与えることであるo第2は,企業の業務環境や競争環境 に適 した 非財務指標の利周を したときに業績が最大 になることである。
Br ya nt e ta
l.
(2004)は,経営者報酬 の算定 に財務指標 のみを用 いる企業 と,財務指標 ◎ 非財務指標の両方を周 いる企業を対比 させて, どちらのタイプの企業がよ り高い財務業績を あげているかを米国企業を対象に調査 している。結果 として,企業が顧客満足 もしくは新製 品開発をめ ぐって競争す る場合,経営者報酬の算定 に財務指標 と非財務指標の両方を利周す る方が,より多 くの会計上の利益を もた らす ことを示 している。Che nha l i( 2004)においては,オース トラ リア企業 を対象 として,財務指標 と非財務指標
の両方を経営者 に提供す るようデザインされた業績管理 システムが,組織の競争優位性の向 上をどのように支援するかについて質問票調査が行われている。分析の結果,業績管理 シス テムとしての特性である,戦略 とオペ レーションの統合,顧客志向,サプライヤー志向が, 生産活動 との戦略的統合および組織学習を媒介 として,低 コス ト9柔軟性,デ リバ リーといった組織成果につながることが明 らかにされている。
3.1 . 3
先行指標としての非財務指標 に関す る実証研究の レビュー結果非財務指標の利点 は,指標を通 じて経営活動の成果が直接測定 される点 にあるといわれる
( Sha nka ndGo vi nd a r ' l j a n,1 99 3
,邦訳第 9章)。実証研究の結果は,非財務指標が財務業績の 先行指標 として機能することを示 している。 これは,非財務指標の測定を通 じて将来の財務 業績 に影響を与える経営活動の実施状況が, リアルタイムでモニター可能であることを示唆している。
また,実証研究の結果は,非財務指標の利周 によって経営意思決定が改善 され,組織成果 へ と結びつ くことを概ね示 している。 これは,非財務的な情報が,経営意思決定 にとって有 周であることを示唆 しているといえよう。
3 . 2 .1
非財務指標を通 じた意思決定や行動への影響経
営者 ◎管理者の行動や意思決定 に影響を奪えるために,財務指標だけではな く非財務指 標が管理者の業績評価 に欄い られ る場合がある。実証研究の関心は,非財務指標を薬療評価 に利用することが.管理者の意思決定や行動 にどのような影響を与えるのかに向け られてい る。まず,前述の
Ba nke r e ia
l.
(2000)は,非財務指標を含めた業騰評価の問題 も検討 してい る。調査対象 となったホテルチェー ンでは,管理者のボ‑ナス査定が利益のみに基づ く方式 か ら,利益 と顧客満足 に基づ く方式へ と変更 されたO顧客満足の上昇 と利益の上昇 との間に はおよそ 6ヶ月のタイムラグがある中で,利益 と顧客満足の双方が上昇 し始めたのは新 しいボーナス査定方式 に移行 した後であった。顧客満足 に関す る情報 は以前か ら提供 され,その 重要性 も認識 されていた。それにもかかわ らず,管理者たちはなぜ顧客満足 に関する情報 を 無視 し続 けたのか とい う疑問が生 じる。 このような疑問に対 して
,Ba n ke r e ta
l.
(2000)は, 顧客満足が利益を もた らすのに要す るタイムラグや,得 られる利益の大きさに関する具体的 な知識がなければ,顧客満足によるベネフィッ トを管理者 は認識できないか もしれないと指 摘 している。次 に,非財務指標を業績評価の対象 に含めた場合,複数の指標をどのように扱 うかが問題 にな る。 複数 の指標 の間 に公 式 的 な ウ ェイ ト付 けを行 う業績 評価 につ いて は
,I t t n e r
,La r c ke r ,a l l dMe y e r( 2 0 0 3)
が調査を行 っている。調査対象 とな った金融会社は もともと利 益 に基づいたボーナス ◎プランを実施 していた。9 0
年代の財務的業績の悪化 に伴い,戦略的 な方向性を評価す るために,非財務指標を含む複数の指標を公式的にウェイ ト付 けす る報酬 制度が導入 された。 しか し,数多 くの指標を反映 させることによって公式 は次第 に複雑 にな った。管理者は数字 によるゲー ミングを行い,財務的な成果を もた らさず ともボーナスを得 ることができた。このため,指標間のウェイ トを評価者が主観的に決める報酬制度へ と移行 した.それで も, 5)
評価の不透明さか ら,新 しい報酬制度への管理者の不満は高 まった。最終的には,収益のみ に基づ く公式的なボーナス ◎プランを優先 して,評価者の主観 に基づ くボーナス ◎プランは 中止された。Itt
l l e r ,La r c ke r ,a n dMe ye l ・( 2 0 0 3)
の金融会社の事例は,報酬 システムのデザ イ ンの困難 さを示 している。最後に,
Li p ea l 一 dSa l t e r i o( 2 0 0 0)
は. トップの情報処理能力 とい う観点か ら事業単位管 理者 の業績評価 に関す る研究を行 っている。Li p ea n dSa l t e r i o( 2 0 0 0 )
は,実験室実験 の結 果か ら,複数の管理者 を評価す る際に事業単位 に固有の指標 (主 に非財務指標) は軽視 され, 事業単位間で共通の指標 (通常 は財務指標)が重視 されることを示 している。それは, トップの認知上の限界か ら,共通の指標 によって比較を行 う方が容易なためである。共通の指標 が重視 されると,事業単位の管理者 は共通の指標の達成 に集中す ることになる。 これは,事 業単位 に固有の戦略問題が管理者 に軽視 されることにもつながることを意味 している。
3 . 2 . 2
非財務指標を通 じた意思決定や行動への影響に関す る実証研究の レビュ‑結果 非財務指標 に基づいて業績評価を行 うことで,経営者 ◎管理者の行動や意思決定 に影響を 与える手段 として非財務指標を利用す ることが提唱されている。 これに関連す る実証研究は 十分 には行われていないが,実証研究の結果か らは,非財務指標を業績評価 に用いることは それほど容易ではないといえよう。これにはい くつかの原因が考え られる。第
1
に,非財務指標を含むさまざまな業績指標を非財務指標研究の回顧と展望
8 7
考慮 して業績評価を行 う場合 の情報処理能力の限界を指摘できる
( Li p ea n dS a l t e r i o ,2 0 0 0 )
O 第2
に,非財務指標 と財務指標の関係 において, タイムラグや関係の強度 に関す る知識 がなければ,管理者 は非財務指標を重視す るに値す る指標 として認識 しないか もしれない( Ba n k e r e ta l . , 2 0 0 0 ) 。
第
3
に,財務指標だけでな く非財務指標を含む複数の 目標を管理者 に与える場令,非財務 指標を改善するためにどれだけの費用をかければよいか という トレー ドオ フ問題に管理者 は 直面す ることになる( S h a n ka n dGo v 主 n d a r a j a n ,1 9 9 3
,邦訳第 9章)。 この場合,複数 目標間 の トレー ドオ フを同時に解決す ることは困難であることが指摘 されている( J e n s e n ,2 0 0
1)。第 射 こ,米国においては,経営者が短期的な財務業績を達成す る圧力 にさらされているた め,管理者の業績評価 に際 して財務業績を強調せ ざるを得ないことも考え られ る。例えば,
RO
Eや予実差異分析のような手法が経営の近視眼的な行動を助長す るとして も,短期的な利 益追求は業績管理 システムが生み出 した現象ではない。経営者の短期志向は,短期的な利益 を重視す る資本市場か ら生 じている( Br o mw ic ha n dBh i l T l a n i ,1 9 9 4
,邦訳p p . 1 7 9 ‑ 1 8 0 )
。 した が って,株主の代理人である経営者が業績管理 システムを利周する限 り,非財務指標を組み 込みさえすれば経営の短期志向が解消 されるというような単純な問題ではないであろう。4
非財務指標研究の課題4 . 1
先行指標 としての非財務指標 に関す る今後の研究課題仮 にある非財務指標が財務業績の先行指標 になるという関係が実証 されたとして も,非財 務指標を通 じて測定 される経営活動が財務業績へつながる論理を,研究課題 として問い続 け
6)
る必要がある。 ある非財務指標が財務業績 と関係を持つ ことは,経験的に観察 された現象で あって法則ではないか らである。実務 において非財務指標 と財務指標の関係を問 う意義は, 経営活動の測定の適切 さを確保 した上で戦略の有効性を検証す ることにある。学術研究にお いては,経営活動が財務業績へ と変換 されてい く過程 における非財務指標の役割 に関心を向 けることになる。
4 . 2
非財務指標を通 じた意思決定や行動‑の影響 に関す る今後の研究課題業績評価 における非財務指標の利用 は,経営者 ◎管理者の近視眼的な意思決定を抑制 し, 長期的な利益を もた らすような意思決定を促進す ると考え られている. しか し,実証研究の 結果を見 る限 り,業績評価への非財務指標の利周か ら効果を得 ることは,文献で提唱されて
いるほど容易ではないといえよう。
非財務指標への期待 と実証研究の結果 とのあいだにギ ャップが生 まれる背後には,非財務 指標の提唱者たちが業績評価のあ り方 に影響を与えるさまざまな要因を考慮 していない可能
性があることを指摘できる。前述 したように,評価者の情報処理能力,非財務指標 と財務指 標 との関係におけるタイムラグや強度の大 きさに関する知識,複数 目標の同時達成の困難性, 資本市場か らの財務業績達成への圧力 といったさまざまな要園が業績評価のあ り方 に影響を 与えている。
それゆえ,非財務指標を通 じた意思決定や行動への影響に関する今後の研究課題 は,非財 務指標がなぜ重視 された り無視 された りす るのかに関 して,業績評価のあ り方に影響を与え
る要因を究明す ることにあるといえよう。
4 . 3
日本企業を対象 とした非財務指標研究の方向性本稿を終えるにあた り, 日本企業を対象 に して非財務指標研究を展開する場合の課題 につ いて述べた
い
。 田本企業を念頭 に置 くと,非財務的な要素を経営の成果 とす ることへの抵抗 は米国企業 に比べるとはるかに少ないと考え られるか らである。4 . 3 。 1
日本企業 における非財務指標欧米の管理会計実務では,非財務的な情報が財務的な情報 とあわせて収集 され報告 される ことはほとん どないといわれ る
( Br o l l l w ic ha ndBhi ma ni ,1 9 9 4)
。一方で, E]本の管理会計 実務の準では, 非財務情報 は財務情報 と同時に処理 され報告 されることが しば しば観察 される。
例えば, 日本企業が提唱 し発展 させてきた原価企画 に目を向けてみようO原価企画 は 「製 品の企画 ◎開発 にあた って,顧客こ‑ズに適合す る品質 ◎価格 ◎信頼性 ◎納期な どの 目標を 設定 し9上流か ら下流 に及ぶすべてのプロセスでそれ らの目標の同時的な達成を図る総合的 利益管理活動 (日本会計研究学会
,1 9 9 6)
」である。原価企画 においては財務的な成果のみ が強調 されているわけではない。 また,原価企画のプロセスに目を向けると,原価の機能別 割付やV監 ( va 旦 uee ngま ne e T i ng)
は,消費者が求める機能性 に関す る非財務的な情報 を製品 設計 に反映 させ る役割を持 っている。つま り, 非財務情報 と財務情報が製品開発のプロセス の中で同時に処理 されるのである。日本企業 においては,経常 目標の設定 に非財務指標が利周 されていたことも見逃 してはな らない.加護野 ほか
( 1 9 83 )
の 日米企業の比較調査 によれば,米国企業が最 も重視 していた 指標 は配0
Ⅰであ り, これに株価上昇率,市場 責有率 と続 いていた。一方, 日本企業が最 も 重視 していた指標 は市場 お有率であ り, これ に盈
0互,新製 品比率 と続 いていた ことが示 さ7)
れている。星野
( 1 99 4)
の調査で も, 日本の製造企業が,財務指標の他 に,市場 シェアの伸 び率, 目標達成 (努力)皮,売上高成長率予測,製品品質,生産計画の達成度のような非財 務指標 を重視 しているという結果を得ている。俺 に,経済同友会( 1 9 9 9 )
が行 った経営指標非財務指標研究の回顧と展望
8 9
の調査では,財務指標 としては,売上高,経常利益,営業利益, コス ト削減が,非財務指標 としては,顧客満足度,組織および事業改革,品質が,それぞれ重視 されていることが明 ら かにされている。
経営 目標に関する既存の調査結果か ら, 日本企業は伝統的に,財務指標 に過度 に依存す る 8)
ことな く,非財務指標を経営管理 に利用 してきたといえよう。 また, レビューを通 じて も, 日本企業における行き過 ぎた財務数値 による管理の弊害を指摘す る文献を発見す ることはで きなかった。
4 。 3 . 2
日本企業を対象 とした非財務指標の研究課題日本企業のこのような状況を念頭に置けば, 日本企業を対象 に非財務指標を研究す る場合, 財務数値に依存 した業績管理 システムが生み出す弊害への処方篭 として非財務指標を扱 うこ
とは適切でないといえよう。それゆえ,第 1の研究課題は, 日本企業が非財務指標 にどのよ うな役割を求めているのかを解明することである。
日本企業 においては,例えば
,BS C
のような戦略的に重要な業績指標間の因果連鎖 を重 視す る経営管理の発想が普及する中で,財務業績の先行指標 として非財務指標 に改めて関心 が向けられ始 めているのか もしれない。 また,小倉( 2 0 0 6 )
によればタ迅SCの導入事例 に9)
目を和 j・ると
,BS C
の戦略伝達機能を重視す る傾 向が高 くな っているとい う。方針管理 を1 0 )
実践す る企業で も, トップレベルでは方針が定性的に表現 されるため,下部組織の 目標 との 整合性を図れない場合 もある (乙政
,2 0 0 5 )
。 そのため, 日本企業 は非財務指標を通 じて戦 略を具体化 し伝達 しようとしている可能性 もある。 このように,非財務指標 に期待 される役 割は一つに限定 されない 。 どのような状況 において非財務指標 にどのような役割が期待 され ているのかを,記述的に特定する必要がある。第 2
の研究課題 として, 日本企業が非財務指標 と財務業績 との関係をどのように捉えてき たのか,あるいは, どのように捉えているのかを考察す る必要がある.本稿では,財務業績への影響を論理的に説明できる非財務指標 と9財務業績 との関係を戦 略的に判断 した上で利周 される非財務指標の二つを概念上区別 して考えている。それは,オ ペ レ‑ションの管理 に非財務指標を周 いることが有周であるとす る管理会計の伝統的な議論 (例 えば,An払ony
,且 9 6 5 )
と,戦略的な意思決定や戦略実行のモニタ リングに非財務指標 を周 いるべきだとす る今 日的な議論を区別 し,後者 に考察の焦点を当て るためである。後者の非財務指標に関連 して,西居
( 2 0 0 7 )
の調査結果は, 日本企業の トップ階層 におい て,戦略の進捗管理や戦略の修正のために多様な非財務指標が利周 されていることを示 して いる。 また, 日本企業の経常 目標 に関す る調査結果が示すように,戦略的な判断に基づ くと 考え られる顧客満足度や品質などの非財務指標 も実際 に重視 されている。しか し, 日本企業 において非財務指標 が経営管理 に利用 されて きた とはいえ,現場 の品質 改善活動 が収益性 の改善 に どの程度貢献 して い るのか に関 して不 明確 であ る ことは問題視 さ れ て いた とい う (暦本
,2 0 01 ,p. 1 6 3 )
。 田中( 2 0 0 2 ,p . 1 4 )
もまた,
「日本企業 の非 財務指 標 は財務指標 と りわ け株主価値 との閑適付 けが ほ とん どな されていな い。 また, ‑ (中略)‑戟 略 の実行 とも関連付 け られて いない
」 と指摘 して い る。 それ に も関わ らず,河合( 2 0 0 4 )
の 日本 の製造業 に対 す る調査結果 は,非 財務 的 な 「品質」に関連 す る業績 が,
「財務」 に関連 す る業績 よ りも依然 と して重視 され る傾 向が あ ることを示 してい る。 これ らの研究 か らは, 非財務指標 を重視す る一方 で,非財務指標 と財務業績 を明確 に関連付 けて いない 日本企業 の 姿 が浮 か び上 が る。本稿 が関心 を向 けて きた非財務 指標 は, そ もそ も財務業績へ の影響 を論理 的 に説 明で きな い指標 であ る。 それ ゆえ に,予実差異分析 やデ ュポ ンチ ャー トには表 れな い非財務 指標 と財 務業績 との関連付 けを, 日本企業 は どの階層 (もし くは会議体) において どの よ うに行 って きたのか, あ るいは,行 って い るのかを明 らか にす る必要 が あ る。財務業績 との関係 を戦 略 的 に判断 しな けれ ばな らない非財務 指標 に関す る 日本企業 の認識 を把握す る ことは,高 品質 に裏付 け られた高 い競争力 を持 つ一方 で収益性 の水準 は低 いままで あ った (藤本
,2 0 0 3 )
と い う日本企業 に見 られ る現象 が なぜ生 じたのかを説 明す ることに もつ なが ろ う。注
1)業績測定情報は組織 目的の達成度を予測 。測定す る情報であるのに対 して,業績評価情報は管 理責任者の関心を喚起するような業績評価基準によって示 される動機付け情報である。それゆえ, 業績測定情報 と業績評価情報 は概念的に別個 に確立 されるべきである (小林
,1 9
酌,p . 1 0 )
o し か しなが ら,本稿では,業績測定情報および業績評価情報を扱 う業績測定 ◎評価 システムを,後 述するように情報 システムの側面 と影響 システムの側面か ら検討する上で,混乱 と言葉の冗長性を避けるため,業績管理 システムとして一体で表記する。
2 )
本稿では考察の対象外であるが, この他 にも,非財務指標の可能性 として,企業価値の変動に 対する説明力 (いわゆる価僑関連性)が調査 されている.非財務指標の価値関連性に注 目した研 究 としては,例えば,Ami ra n dLe v( 1 9 9 6 ) ,Ri l e y e ta
l.
(2003)を参照 されたい。3 )
他の解決策 としては,キ ャッシュフローへの注 目が挙げ られるoEc c l e s( 1 9 9 1 )
によれば,会 計処理の影響を受 けないキ ャッシュフロー情報は,期間業績を適切 に測定 しないとはいえ,会計 操作の影響を受 けることのない指標 として注 目されるようになったという。4 )
非財務指標が財務指標の先行指標 となるかどうかについては加登 。河令 ( 2 0 0 2 )
において詳細 な実証研究の レビューが行 われている。BS C
をは じめとす る価値創造モデルにおける非財務指 標の利用可能性については,As h t o n( 2 0 0 7 )
が レビューを行 っている。 これ らの文献 もあわせて 参照されたい。5 )I t t n e r
,La r c k e r ,a n dMe y e r( 2 0 0 3 )
は,指標間のウェイ トを評価者が主観的に決 めるボーナス。プランにおいて, さまざまなタイプの業績指標が どのようにしてウェイ ト付けされるのかを検
非財務指標研究 の回顧 と展望
91
証 している。 その結果,次のような経験的証拠 を得 ている。 それは,①上位者 は多 くの業績指標 を無視 し,財務的な業績がボーナスの主要な決定要素 にな ること,②業績評価 の際にスコアカー ドに記載 され る指標以外の要素 を取 り入れ ること,③期 間 ごとに評価基準が変 わ ること,④将来 の財務業績 を予測す る指標を無視す ること,⑤望 ま しい結果を予測 しない指標 にウェイ トを置 く
ことである。
6 )
た とえば,S&P500の株価指数 の値 を最 も正確 に予測す る指標 は,バ ングラデ ィッシュのバ
ク‑生産量 だ という90
年代半 ばの調査結果を受 けて,バ ター生産量 に注 目して投資を行 う人 はい ないであろう( Ma u bo u s s i n,20 06,c ha p. 28)
.7) もっとも,近年,状況は変化 している。例 えば,生命保険協会 の 「株式価値 向上 に向けた取 り 組みに関す るア ンケー ト (平成1
9
年度版)」 ( ht t p: / / www. s e i ho. o r . j p / i nd e x. ht m
l)や令野( 2 003 )の
調査結果では,市場 占有率 は,経営 目標 として重視 されな くな っていることが明 らかにな っている。
8 )乙政 ( 2 00 3)の質 問票調査 によれば,財務指標 のみを経営 目標 に利用す る会社 は回答企業 の 7. 5%にす ぎないことが判明 している
9 )実際,伊藤 ほか ( 2 0 0
1)や柴 山ほか( 2 0 0
1)が記述す るBSC導入事例 においては,BSCの導
入成果 として戦略の浸透を挙 げることが多い。1 0 )方針管理 は 「
経常 目的を達成す るために①会社 の社是 (経常基本理念)◎経営戦略 に もとづ き, 最 中中期経営計画,年度経営計画 と して策定 された統一 ある方針 。計画 の展開 (実施 ◎チ ェック。改善 のためのアクション) を通 じて,②経営 の主要資源 (人 ◎物 ◎金) を活属 し,質 ◎畳 ◎コ ス ト◎タイ ミング (納期) の最適の結合 をはか ることによって,③企業 の総合戦 略を高め,会社 の総力 を結集 して,絶えず業績を向上す るための システム」 (赤尾,1
98 8,p. 且 8)
と定義 され る。参 考 文 献
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2 00 5)「わが国企業のバ ランス 色スコアカー ド導入 における促進 ◎阻害要因に関す る研
究‑A
社 のケースを通 じて‑ 」『原価計算研究』第29
巻第1
号,58‑7 3
蕗.加護野忠男 。野中郁次郎 。榊原晴朗 ◎奥村昭博
( 1 9 83 )『E
]米企業の経営比較』 日本経済新聞社.加登豊 。河合隆治
( 2 0 02 )「
管理会計 における非財務情報の活用」『国民経済雑誌』第186巻第 1号,
7 ト8 8
真.河合隆治
( 2 0 0 4 )
「日本 における業凍指標測定 の現状」
『桃 山学院大学総合研究所紀要』第2 9
巻第3
号,3
9 ‑ 5 4
亙.経済 同友会
( 1 9 9 9 )
「第1 4
回企業 自書 "個" の競争力向上 による日本企業 の再生‑ 経営者 の能力 が問われ る時代‑ 」社 団法人経済 同友会.小林哲夫
( 1 9 8
1)
「管理会計 における業績測定 と利害調整」
『企業会計』第3 3
巻第5
号,4 ‑
11頁.柴 山慎一 。正 岡車伸 争森沢徹 。藤 中英雄
( 2 0 0
1)
『実践バ ラ ンス ◎スコアカー ド』 日本経済新聞社.田中隆雄
( 2 0 0 2 )
「戦略の実行 と業績評価‑ 戦略的マネ ジメン ト◎システムに関連 して‑ 」『会
計』第
1 61
巻第4
号,卜1 4
頁.西居豪
( 2 0 0 7 )
「わが国製造業 における非財務指標の利用‑ 質問票郵送調査 による基礎分析‑ 」
『専修商学論集』第
8 4
号,1 0 7 ‑ 1 2 6
頁.日本会計研究学会
( 1 9 9 6 )
『原価企画研究 の課題』森 山書店.鹿本敏郎
( 1 9 8 6 )
「わが国製造企業 の管理会計‑1
つの覚書‑」
『ビジネス 。レビュー
』第3 3
巻 第4
号,6 4 ‑ 7 7
真.鹿本敏郎
( 2 0 0
1)
「変革時代 の管理会計‑ABC
とバ ラ ンス ト◎ス コアカー ドー」
『企業会計』第
5 3
巻第1号,1 6 0 ‑ 1 6 8
頁.藤本隆宏
( 2 0 0 3 )
『能力構築競争』 中央公論新社.星野優太
( 1 9 9 4 )
「わが国製造企業 の業績管理 システムの分析一 実態調査 に基づいて‑ 」
『弘前大学経済研究』第