ダyビyグに於けろ儂格形成入八
ダ ン ピ ン グ に 於 け る 償 格 形 成
手 塚 壽 郎
O器欝口国δ昌敷授が云つてゐるやうに︑﹁現代のアメリカ維濟學者︑少くともく①ぴ﹃昌の追随者と見られ得べ
く︑≦・ω庁団Ω櫛蹄]藁零げ巴の周園を今廻ぐる大多数の経濟學者︑例へば日自σQ≦①詳匂︒言]≦碧浮︒Ω舞﹃08お8
0︒︒三ρ◎︒ロヨロ巽自・o︒浮洋︒H等は︑從來の経濟學原論に説かれてゐる一般的理論とこれらが種々なるモノグラヒー
に現はれてゐる態用との間に驚くべき絶縁のあるのに愕然としてゐる︒例へば聯邦準備銀行組織や産業の分布
や關税制度を論じたるモノグラヒーのうちに︑共著者がかつてO母く巽や目碧︒・︒︒凶﹃qの敏室で敏へられた債値に
關する果しない抽象的吟昧の何ものが残つてゐるだらうか︒殆んど何一つ残つてゐないと云つてよい︒事實に
接すれば︑此らの推論N註8剛昌昌︒霧は煙となつて飛び去つて仕舞ふ︒﹂(註)か玉る事情の下には︑何物と錐︑今
更︒︒集槻ヨ§や↓鎚ψ︒︒置に聴くべき必要はないかも知れない︒けれども︑ダンピングに於ける債格形成に就いて︑
此ら二誉宿が極端に背反した所読を大謄に表明した人々であることは︑否定ぜらるべくもない︒私は先づ二脅
宿の所論を引用して︑私の問題の所在を明らかにする︒
(註)9型δ〜ピ︑ロ罠まヨ費駐舜5や臆轟ヂ
︒︒①凋ヨ鎚の所読は中冨邑①ωo{国8昌︒巳︒︒・も7卜︒竃iO(]コO昌斤ゲ国α蹄一〇口)に見ることが出來る︒﹁一事業が商口叩
の一種類以上を生産する場合には︑副生産物と同檬の物がある︒現代の企業に於ける最も困難なる事の一つ
は︑生産者が其生産物の各輩位又は各種類に封して︑結合生産費申の其當該部分を割當てることである︒鐵道
維費の場合には︑此困難は最大に達する︒か玉る場合には︑個々の生産物の債格は其れ自身の生産費とは殆ん
ど無關係である︒た讐生産物一切の領格が結合生産費によりて決定される︒鐡道は︑同一の債額の石炭が同一
債額の生糸より遙かに多くの生産費を要するに拘らす︑後者に多くの運賃を課す︒債格は︑こ﹂では︑生産費
叉は用役の生産費によつて決定せらる﹂に非すして︑用役の債値によつて決定される︒生糸の慣値は石炭の債
値より甚だ大であり︑從つて高い費用を員捲することが出來る︒石炭と生糸に封して同一の賃率が課せらる玉
ならば︑石炭にとりては賃率は肩︒露ぴ三く︒となり︑石炭は少しも運搬せられないであらう︒而して石炭の賃率
が軍なる牽引費用より高ければ︑生糸の賃率は︑然らざる場合より低いであらう︒用役の債値の原則は限界利
用原則の他の表現に過ぎすして︑それは︑生産費それ自腿が債値の最絡の規定者に非ることを示してゐる︒そ
れと同様に︑國内生産者が︑生産過剰部分を外國に向つて國内に於てより低廉なる債格を以てダンピングによ
ダンピングに於けろ債格形成入九
ダソビyグに於けろ債格形成九〇
り規則的に虚分するときに︑外國の債格が低廉にせられても︑國内便格が突自ぴ冨三となるとは限らない︒低
廉な債格を以て縫績的に外國に費るは︑工場を運轄せしむる主たる方法であり得べく︑從つて國内便格は︑國
内部分に封して生産の全費用を課する場合より低廉な債格となり得よう︒生産費は釜々結合生産費を意味する
こと玉なり︑與へられたる生産物の債格は箇々の生産費とは遠い關係をもつのみである︒L此叙述は望ましき
暮§審を以てなされてゐないとは云へ︑ダンピングの債格形成を結合生産に於ける債格形成と見る見解を含ん
でゐるのは確かである︒
↓碧︒・︒・剛σQは︑︒︒・崎ヨきの此見解を豫想しつ曳︑ダンピングの償格形成の性質が結合生産に於けるそれに非るこ
とを明らかにする︒﹁甚だ大なる固定資本が唯一の目的にではなく種々なる目的に用ひらる︑場合には︑結合
生産費の原則の作用が現はれる︒此例の最も著しいものは鐵道賃率の制定に見られる︒大なる固定設備が同一
性質の財を生産するに用ひらる﹄所では︑結合生産費の特色ある敷果は︑勿論︑現はれ得ない︒もしか﹂る固
定設備が猫占叉は猫占に準するものであれば︑同一の一生産物の諸部分が夫々異れる慣格に費られる場合があ
り得よう︒即ちダンピングがあり得よう︒然し此ダンピングは︑結合生産費下の便格現象とは著しく異れる現
象である︒L(註一)﹁猫占によりて諸の買手に異れる債格を課し得る可能こそが︑ダンピングなる現象の読明と
なる︒猫占が無ければ︑即ち生産者が自由に競争してゐるとすれば︑何れの買手も同じ債格にて商品を得よ
う︒生産者は供給の一部を低廉に︑淺りの部分を高く費りて︑全醗として利釜が得られる︒市場の條件が不利
釜であつて︑全供給が有利なる條件で販費し得られないときには︑かやうな策略に依るべき強い誘惑を感す
る︒然し何れの生産者も他の生産者の利釜のために自らを犠牲にせぬであらう︒他の者に利釜を得せしむるた
めに︑自己のストツクの一部叉は全部を廉費せぬであらう︒だがもし総ての生産者が自らの供給の一定部分を
犠牲とすべき協定をなせば︑目的を蓮することが出來る︒これに封しては︑一の障碍があり得る︒即ち低廉な
る領格にての買手が︑高い慣格を強いられてゐる人々に費り戻し得べき可能性がある︒然し低廉なる便格にて
の買手が外國人であり︑輸入に封する高率關税があつて︑ダンピングされた商品を國内市場に逆逡することが
妨げられてゐる場合には︑此障碍は取り除かれる︒國内便格は高く維持せられ︑此源泉からの利釜は︑外國へ
のダンピングによりて生する損失を償つて鯨りある︒特に︑需要の弾力性が小であつて︑國内市場に於ける
供給増加が債格を著しく下落せしむるが如き商品に於て︑然りである︒L(註二)↓鍵給黄によれば︑ダンピング
に於ける債格は︑販路の一部が猫占であり︑他の部分が自由競争の支配を受けてゐて︑一種の望︒・鼠ヨ言豊轟
蜜︒ぎロ︒な下に於ける債格である︒
(註一)目聾蓄蒔午ぽo首﹃︒・亀薗8琴ヨ8♂<oピど℃.鵠H.(註二)H甑2℃℃・い=1い・
こ玉での私の問題は︑ダンピングに於ける債格形成が︑︒︒践﹃qヨ彗の云ふが如く結合生産物のそれであるの
か︑それとも↓碧鞍㈹.の云ふが如く差別猫占O舞・霞の所謂猫占下の︒.H一く紙︒器日︒冨筈8..であるのかを見極
ダンヒングに於けろ償格形成九一
ダyヒyグに於けろ便絡形成九二
めようとするにある︒然し此問題はダンピングのあらゆる場合に提起され得べきものではない︒或種類のダン
ピングは債格形成の理論的研究の限界外にある︒私は先づ︑此問題が提起せられ得べき限界のうちにあるダン
ピングの概念を明らかに七なければならぬ︒次いで結合生産の概念と差別猫占の概念を明瞭にし︑此らを以て︑
問題に樹する解答を導き出したいと思ふ︒
一一
ダンピングなる言葉は今や世界の各國語に其ま﹂取入れられてゐるが︑其流行は一九〇三︑四年頃英國に於
て關税問題が朝野の論議の申心をなした頃に始まる︒(註一)其語源に就いては︑歎年前佛蘭西學界に於て︑細
密なる詮索が試みられた︒9ビ6翫昌ユ目︒によれば︑ダンピングは英語の9日ロから來てゐるのであり︑含ヨ噂は
三器︒︒ωρ8欝昌8密を意昧してゐる︒外國の競孚者によりてなさる製投費的廉債なる輸入のために︑國内の生産
者が感する所の悲哀の大なるに由りて︑外國への投費的輸出をダンピングと呼ぶに至つたと云ふ︒また9因㌣
ヨ錺の詮索によれば︑Ugヨ噂ぼσqは英語のき需から來れる語である︒魯9は︑競馬に際して出場の馬に興奮
捌を與へて︑それを刺激することを意味するのであるが︑同様に︑投費は輸出を刺激する故を以て︑︼)︒竈ぎσq
と呼ばれ︑韓じてUgヨ風茜と呼ばる瓦に至つたと云ふ︒叉或學者によれば︑曾ヨ℃は︑獲山に於て探掘し︑
トロツコにて搬出された薩石を所定の場所に室けることを意味し︑ダンピングは此語から來てゐる︒ダンピン
グは外國に商品を打ち散くことを意味するからであると云ふ︒(註二)
(註一)}.<ぎoさU錫ヨ℃ぎαQ鱒諺甲o¢oきぼH導①琶曽鉱8巴目﹁巴o鳩℃●H・
(註二)国・包陣8冨括ピo幽ロ目℃ぎげq8二Φ二信o︾℃・い噂
此らの語源の詮索の何れが眞であるか︑U︒B①茜器は此問題は英語學が寧ろ答へ得ないものであると云つて
ゐる︒(註)私もまた此らの何れが眞であるかを知らない︒此語が意味する所の内容こそ私の當面の問題には重
要である︒
(註)囲鑓畠①捧o℃.9£で・N●
一九二二年の國際聯盟維濟委員會報告書に於て︑国器臣と翼︒$とは︑亥の三條件が具備せられる場合にの
みダンピングがあるとしてゐる︒
一︑外國の債格より低廉なる債格にて︑此外國に商品を費ること︒
二︑喩出國の債格より低い債格にて外國に商品を費ること︒
三︑輸出國の生産費以下の債格にて︑即ち損失を蒙りつ﹂外國に商晶を費ること︒
此定義は可成り嚴密であり︑僅少の場合を例外とすれば︑殆んど総ての場合に通する可成り包括的なる定義
である︒
之に反し︑円・国●O器伊qo蔓は♂8⑦な定義をとり︑普通の用語にては︑ダンピングが次の四つの場合の何れ
ダyヒングに於ける儂格形成九三
ダンビyグに於けろ債格形成九四
かを意昧してゐると云つてゐる︒
.◎の巴o彗弓ユo①ωげ90類{o目o貫旨目魯誌魯腎8窃・
トっ.o自﹄o暮弓鼠08≦謬げ≦ゴ一魯{自鼠σq昌8言窟簿o冨o碧昌o叶8需●
QQ●◎o巴o舞唱汀8夢8巴妄ぴ一畠碧⑦♂宅巽昏き8貰B酋ぎ日o箕ドo︒︒.
爵o自隅げ暮冒臨8ωqヨoヨ自昌⑦鎚ユく06昏⑦︒︒亀①量(註一)
だが此らの各がダンピングであると云ふは適當ではない︒輸入國の市場贋格以下の償格にて此國に費ること
は︑必すしも塗畠巴な販費であるとは限らない︒又外國の生産者が競争し得ないやうな債格にて此國に販費を
なすことも︑また亀畠巴な販費ではない︒また國内慣格以下に外國に輸出することもダンピングの誰線とはな
らない︒外國への輸出量が大であるため︑其支彿條件の有利なため︑商品引渡しの期限が遽いため︑外國への輸
出慣格が低廉であり得る場合がある︒或ひはまた︑外國市場の生産條件の改良によりて生じた慣格下落に︑與
へられた市場に於て︑追随しなければならぬ場合にも同檬である︒此らの場合は何れもダンピングではなくし
て︑8昌︒舞器昌8ξ幕である︒(註二)それどころか︑これと反封な場合にさへ︑ダンピングがあり得る︒﹁國
内債格と外國に行はる玉便格の等しきこと︑否︑前者が後者より低廉であることさへも︑ダンピングが存在し
ない誰擦にはならない︒生産費以下で︑即ち損失して外國に費る産業は︑明らかにダンピングをしてゐる︒け
だし此場合は︑経濟要素⁝の通常の働きによつて読明し得ない隅舞β器であるからである︒ところが︑此産業