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一非行少年の時間的 - ∴∴∴∴主 ∴

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(1)

∴ ∴∴ ∴ 主 ≡ … ∴

一 非行少年の時間的 展望 につ い て ‑

種 山 成 ⑳神 田 信 彦

問 題

時間的展望 ( t i mepe r s pe c t i ve ) とは,そのとき9 その ときにおいて個 人が未来 とい うものを どの よ うに見,経験 して い るのか, また過去 について ど うい う見方 を して い るのか, それ らの総体 であ る ( Le wi n 1 95 1 )。この 方面 の研究 は古 く, Le wi n, K.

( 1 9 42) は場 の理論 の 中 で時間的展望 を,生 活空 間を成 り立 たせて い る重 要な一面 と して位 置づ け, 個 人 の生活空間が現在 だ けでな く,未来や過去 を

もその中 に含 んで い ると考 えた。 そ して集団や個 人 のモ ラル,粘 り強 さ,要求水準 (目標設定),お よび リーダ‑ シ ップな どが時間的展 望の あ り方 と 強 く関係 して い ることを指 摘 して い る そ の 後 1 9 5 0 年代 に入 って時間的展望 の構造や意味 を明 ら か に しよ うとす る実証的な研究 が多 くな され るよ うにな った 。

えば,人生満 星度 との関係 ( ' Le s s ‑

i

ng 1 9 7 2 ) ) , 学 業 成績 との関係 ( Te ahan 1 9 5 8), Loc usofc ont r ol との関係 ( Pl at 上& Ei s e nman 1 9 6 8) , 精神病 との関係 ( Wal l ac e 1 9 5 6 ) な ど,そ の領域 は多岐 に わた って い る 。

都築 ( 1 9 82 ) は こ うした従来 の研 究 を展望 して , 時間的展望 の研究領域 のなか には認知 的な側面 と しての狭義 の Ti mePe r s pe c t i ve と,情緒的な意 味 での t i meor i e nt at i on や t i meat t i t ude が 含 まれ る とい うことを指摘 して い る 。 認知 的側面 とは個 人が 自己の過去や未来 にどの よ うな 出来事 を想起 あ るいは予想 す るか とい うことに関す る側面 であ り, e xt e ns i on ( 概 念 化 され た未 来 の 時 間 的範 囲 の長 さ), de ns i t y ( 個 人が未 来 に 予想 す る出来事 や,経験 の数), C ohe r e nc e ( 概 念 化 された未来 の

中 におけ る組織化 の程度 ), di r e c t i on ( 過 去, 覗 荏 ,未来 の三つの時間的領域 の中で, どの領域 に 対す る志 向性 が強 いのかということ)な どの概念 に よ って と らえ られ る)。一 方 の情 緒 的側 面 とい う の は個 人が 自己の過去や未来 に対 して どの よ うな 感情 を持 って いるか, とい うことを問題 にす る。

これ に属す るの は t i mer e l at e dne s s (過 去,現在 , 未来 が どの程度 関連性 を もって と らえ られ,か つ 統合 されてい るか) , di r e c t i onal i t y ( 現在 の瞬 間 か ら未来‑ と移行す る感 覚) ,t i meat t i t ude ( 時 間 に対 す る不 安 , 評 価 な ど) ,pe r s onalt i me pe r s pe c t i ve ( 現在 と過去 ,現在 と未来 との問の主 観 的評価 の差) とい った概念で あ る こ うした時 閑的展望 の各側面 の相互的 な関連性 は,因子分析 的な研究 によ って議論 されて い るが一致 した見解 は得 られて いない。

ところで,青年期 は時間的展望の発達が著 しい時 期 であ る。人生 のうちの他のどの時期 よりも, この 時間的展望が重 要な役割 を演 じてお り,青年個 人 また は青年集団の行動 や態度 は時間的展望のあ り 方 に強 く影響 されて い ると考 え られ る それゆえ, 青年期 の不適応行動 の一 つであ る非行性 について 時間的展望 との関係が注 目されて きた。

Bar ndt & Johns on ( 1 9 5 5) は, 自由 に 物 語 を 作 らせ る物 語 完 成 法 (s t or y‑c ompl e t i ont e c h ‑ ni que ) を少 年 院 に収 容 され て い る 2 6 名 の非行少 年 に行 い9正常少年 ( 無非行少年) と比 較 した。

報告 された物 語の中 に包含 された時間の長 さによ って得点化 した結果,非行少年 の構成 した物 語 は 正常少年 の もの よ りも未来 の e xt e ns i on が 有 意 に

‑ 6 3‑

(2)

時間的展望に関する研究

(1)

短 い こ とが 示 され た また Davi ds , Ki dde r &

Re i c h ( 1 962) は男 子 の み で はな く女子 を も加 え て同様 の追試 を行 い,非行少年 は性

に関係 な く 正常少年 よ りも現在志 向的で あ ることを報告 して い る。正常少年達 はタ よ り未来志 向的で あ った.

同様 の結果 は Si e gman ( 1 9 61 ) に よ って も得 ら れて い る 。

一方

,

小宮 山 ◎屋 ⑳高橋 お よび 川 田 ( 1 976) は

非行少年 の時間的な次 元 に 関す る情 緒的 な側面

質 問紙調査 によ って調査 した。対象 は家庭裁判所 で保護観察 の処 分が下 された高校生 と有職 少年9 お よび対照群 ( 非行歴 のない高校生 と有職 少年) であ った。結果 と して高校生 について は非行群 に

「 卒業後の予定 の不 明確 さ」 ヲ「 未来 の希 望 のなさ」

等 の ネガテ ィブな時間的展望 が多 くみ られ る一方,

「 未 来 の展 望 の 明 るさ 」 においてはタ正常少年より もポ ジテ ィブな時間 的展望がみ られた。有職少年 で は非行群 と正常少年 の群 との間 に有意差 の認 め られた ものは 「未来 の幸福感」9「 未来 の希望 」 9

「 将 来 の生 活 目標」9「 未 来展望の明 るさ」9 「 未 来 の楽観性 」 等で あ り , 前 三者 は正常少年 の特徴 でタ その他 は非行少年 の特徴 で あ った。 この よ うに高 校生群 , 有職少年群 を問わず,非行少年 は将来 の 異体的な展望 において は暗 いに も関わ らず 夕全体 的 には明 る くみ る とい う傾 向を しめ して い る 。 勝 俣 ⑳篠原 お よび村上 ( 1 9 82) が9少年鑑別所 に収容 された非行少年群 と非行歴 のない男子高校生 か ら な る対照群 に対 して質問紙調査 を実施 した結果 に おいて もタ非行少年 は両面価値 的な時間的展 望 を 示 した。非行少年 は過去

,

現在 および未来 の時間 的次元 に 対 して不快感や不安 を抱 いて い るに も関 わ らずタ未来 に 対 して は楽観的で もあ ったので あ る 。

この よ うに,非行少年 には未来 におけ る賞罰 に は無関心 で 「今 ここ 」 とい う現在 のみ に縛 られて い るタ e Xt e nS i on の短 い時間 的 展 望 が み られ 9 ま た情緒的 には未来 に対 して全体 的 には楽観 的 な態 度 を持 ってい るとい う傾 向が多 くみ られ る こ う

した傾 向を生 み 出 して い る原 因 について はほ とん

ど研究 されて いな いが, 勝 俣 ⑳篠 原 お よ び 村 上 ( 1 9 82) は9 非 行 少 年 の 時 間 的 な連続性 ( t i me r e l at e dne s s ) の 認 知 と い う もの に注 目 し, 彼

らは現在 や過去か ら切 り放 して未来 を見て い るの で はないか と考察 して い る 。 す なわ ち 9 現在 の行 動 ( 努力) が未 来 の 達 成 に 結 び つ くとい うこと

につ いての認知 がないため 9 非行少年 は未来‑ の e xt e ns i on の長 い時 間 的展 望 を持 てず9 したが っ て剃邪 的 ⑳現在志 向的 な時間的展望 の性質 を示 し て しま うので はないだ ろ うか, とい うことで あ る。

そ こで本研究 で は時間的な連続性 の認知 に主眼点 を置 き,非行 少年 の時間的展望 と正常少年 の時間 的展 望 との比較 を行 うこととす る。

きき [ ' r ' : ・ i

時間的展望 の ス ケ‑ルによ り , 現在 ◎過去 ◎未 来 の時間的次元 に 対 す る評価9 お よび過去 と現在 と未来 の間の時間的な連続性 の認知 におけ る非行 少年 の特徴 につ いて検 討す る。

方 法 榊 調査対 象者

非行少年の群 につ いて は埼玉県 内の教 護院 に入 院t て い る中学生 63 名 ( 男子 5 4 名夕女子 9 名 ) ,料 照群 の正常少年 は東京都 内の市立 中学 の 1‑ 3 年 生 2 84 名 ( 男子 1 4 0 名夕女子 1 44 名)で あ る 。

( 釘 調査時期 と実施 方法

調査 は 1 991 年 1 2 月上旬 ‑下旬 に非行少年 夕 正常 少年 とも授業 中 に 実施 した。

仁1 I 阜 l " . ! : ( ・ 両・ L : ̲ , ' ・ ・ ; 〜

今 回作成 した時間的展 望 を測定す るスケール は9 3 つの時間次元 ( 過去 ◎現在 ◎未来 ) それぞれ に 対す る評価 ( t i mee val uat i on) , 志 向性 ( t i me or i e nt at i on) 9時間的な連続性 ( t i mer e l at e dne s s ) の認知 に関す る項 目9 そ して その他 の項 目か ら成

る 1 4 項 目で あ る。項 目の回答形式 は 「ま った くそ の通 り 」 か ら 「ま った くらが う 」 までの 5 段 階評 定尺度 法 を採用 しタ それぞれの応 答 に対 して 5 点 か ら iJ 責までの得点 を与 え る。

‑ 64 ‑

(3)

杉山 成 ⑳神 田信彦

結 果

榊 時間 的展望 スケ‑ル によ る判別 分析 非行 少年 と正常少 年 の時間 的展 望 に 差異 が あ る ので あれば, 時間的展望 の ス ケール に対 す る反応 に よ って非行 少 年 と正常 少年 とを判別 で きるで あ ろ う 。 そ こで今 回使 用 したス ケ ールへ の反 応 ( 塞 的 デ ー タ) を独立変数 ,非 行 少 年 か 正 常 少 年 か ( 質 的 デ ‑ 夕) を従 属 変数 と して判 別 分析 を行 っ た。 その結果 が Tab幅丹 頂で あ る 。 判 別 分 析 は まず 線形 判 別 関数 を導 出 し, その関数 に よ って 2 群 の 判別 を行 う . ( 独 立 変 数 の 投 入 は一括 投 入方式 ) この判 別 関数 は 0 . i%水準 で従 属 変数 を有意 に説 明す る もので あ った。

Tabl e.1 判別 の的中状況

判 別 結 果 汁 正常少年 非行少年

実警

!正常少年 蔓

群 月巨 ∫ i 行少年 2 0 7 人 7 7 人 2 8 4 人 ( 7 2 . 9) ( 2 7 . 1 ) ( 1 0

0

.

0 )

1 6 人 4 7 人 6 3 人 ( 2 5 . 8) ( 7 4 . 2) ( 1 00. 0) ( )内%

また,独 立変 数 によ る従属 変数 の説 明が実質 的 に意 味 の あ る もの であったかどうかは,判別 の的中 率 を検 討す れば明 らか にな る 。 今 回 の分析 で は的 中率 は Ta捌e月 の とお りで あ った。 表側 は実 際の 従 属変数 の値 ( 群 ) を表 し,表頑 は予測 の結果 を 表 す。判別 の的 中率 , つ ま り予 測 と実 際の群 が一 致 した比率 は,非行 少年 で 74. 2%, 正 常 少 年 で 72. 9 % で あ り,全 体 で は 73.1 %であ った。項 目 数 や サ ンプルの数 を考 慮 す ると,今 回使用 した時 間的展 望 の ス ケ ールが非行少年 と正常 少年 とを判 別 す る力 は比 較的高 い といえ るで あ ろ う 。

( 望) 時間 的展望 スケ ‑ル各項 目の平 均値 の検定 時 間的展 望 ス ケール各項 目にお け る非行少年 と 正常 少 年 それ ぞれの平均値を i検定 したのが yab書 凱 翌で あ る 。 それぞれの時間的次 元 にお け る評価 に つ いて,過去 の評価 ( 項 目 7 「これ まで あ ま りい い こ とがなか った」) ,現在 の評価 ( 項 目 1 「 毎 日 が楽 しい 」 ) につ いて はそれぞれ 正 常 少 年 群 の方 が ポ シテ ィブな内容 で あ り, (ど ち ら も 5% 水 準 で有 意 )一 方 ,未 来 の評価 ( 項 目 1 3 「自分の将 来 の見通 しは明 るい」) につ いて は有 意 差 はな い も のの非行群 の方が ポ ジテ ィブな傾 向 を示 して い る 。

Tabl e.2

各 項 目の群別

平均値

項 目 正 常 非

ま 値

1 毎 日が楽 しい 3 . 5 6 ( 1 . 1 6) 3 . 2 7( 0 . 9 6 ) 2 . 0 6 * 2 ちょっとしたことで,未来に希望が もてな くなる 2 . 5 7( 上2 5 ) 2 . 6 3 ( 1 . 3 3 ) 0 . 7 5 3 ‑ 冒,一 目が長い 2 . 4 0 ( 1 . 2 9) 2 . 4 8 ( 1 . 4 5) 0 . 6 7 4 小学生の頃のことをよく思い出す 3 . 1 3 ( 1 . 3 3 ) 3 . 1 6( 1 . 41 ) 0 . 8 6 5 自分の目標のために努力 している 3 . 2 0 ( 1 . 2 0) 3 . 7 7 ( 1 . 0 9) 3 . 6 5 * q ' * 6 自分の今やつていることが,自分の将来に影響する 3 . 3 8 ( 1 . 1 8) 3 . 6 0 ( 1 . 3 7) 1 . 1 7 7 これまであまりいいことがなかった 2 . 7 0 ( 上1 9) 3 . 1 3 ( 1 . 3 4) 2 . 3 2 * 8 はや く大人にな りたい 2 , 8 6 ( 1 . 3 6) 3 . 7 7 ( 1 . 3 5 ) 4 . 8 2 * * * 9 小さいときに頑張 ったことが,今,役に立 っている 3 . 0 2 ( 1 . 2 0) 2 . 8 5 ( 1 . 3 7 ) 0 . 3 7 1 0 不満なことがた くさんある 3 . 2 7 ( 1 . 3 3) 3 , 1 0 ( 1 . 2 61 ) 0 . 3 3 1 1 もう一度小さい頃に戻 ってや り直 したい 3 . 3 5 ( 1 . 41 ) 4 , 0 8 ( 1 . 3 1 ) 3 . 9 3 * * * 1 2 実現 しそうもないことばか り考える 3 . 4 2 ( 1 . 2 6) 3 . 2 6 ( 1 . 2 1 ) 0 . 3 6 1 3 自分の将来の見通 しは明るい 2 . 8 6( 0 . 9 9) 3 . 0 2 ( 上l °) 1.00

1 4 1 9 9 6 年はずいぶん先のことだ 2 . 8 4 ( 1 . 3 1 1 ) 3 . 0 0 ( 1 . 4 3) 0 . 4 4

* * * p( .0 0 1 * * p( .0] * pく .0 5 ( )内 標準偏差

‑ 65 …

(4)

時間的展望に関す る研究( 冒

また,未来‑の志向性 を問 う項 目は項 目5 ( 自分

の目標のために努力 している 」) と項 目 8 ( 「はや く大人 にな りたい 」) で あ るが, これ らの項 目で も非行少年の方が平均値が有意 に高 く ( 0 , 1 %水 準)非行少年の未来‑の強い志 向性 というものを 示 してい る。 ところが 「ちょっと した ことで未来 に希望が持てな くな る 」 とい う項 目 2 にも非行少 年 は有意 に高 ぐ肯定 してお り,非行少年の未来志 向は正常少年群よりも強 いものであるがタ同時 に不 安定な もので もあ るとい うことが うかがえ る 。 そ して さらに過去‑の志向を示すだ ろう項 目 1 1 ( 「も う一度小 さい増に戻 ってや り直 したい 」) に関して も非行少年 は有意 に高 く反応 してお り9非行少年 の時間的志向性が未来 と過去の両方向に延びてい るものだ とい うことが示唆 され る

今回の主眼点である時間的な連続性 に関す る項 目の結果 としては,過去の経験が今 の 自分を形成 してい るとい う意識を問 う項 目 9 (「 小 さい と き に頑張 った ことが今,役 に立 っている 」) では並 常少年の方が高 く,一方,現在 と未来の連続性を 問 う項 目 6 (「自分 の 今 や ってい ることが 自分の 将来 に影響す る 」) で は逆 に非行少 年 の方が得点 が高か った。 しか しどち らの項 目に も両群問に有 意 な差 はない。

( 3) 各時間的次元の評価問の相関

次 に非行少年 における冬時間次元の評価 と時間 的連続性 との関連性 について検討す るため,非行 少年夕正常少年別 に項 目間の Pe ar s on 積率相関係 数を求めた。Fi g.胃はその結果を図式化 した もの である . Fi

g.

巧におけ る 「 未来の評価 」 には項 目 1 3 ,「 現在の評価

」 に

は項 目 1をその まま使 用 し,

「過 去 の 評価 」 には項 目 7 の得点を逆転 させて採 用 した。 また , 時間的な連続性 に関す る概念 とし て 「 過去の努力が報われた経験

」 に

は項 目 9 ,「 現 在 と未来の連続性 」 には項 目 6 を採用す る 。 そ し て未来‑の働 きか けの指標 として 「 努力 」 とい う ものを想定 し,項 目5を使用 した 。 巨i g.胃には相 関係数の絶対値が 0.15 以 上 の ものだけ記載 し,

0 . 3 以上 の ものを太線で示 した。

Fi g.‖ こもとづいて各時間次元の評価 と時間的 連 続 性 との 関 連 を み てみ ると, まず は 「過去の 努力が報 われた経験 」 と各時間次元の評価 との関 連が正常少年 と非行少年 との間で異な ってい るこ とが注 目され る。正常少年 にとって は 「 過去の努 力が報われた経験 」 は過去 は もちろん現在や未来 の評価 とも関連があ るのに9非行少年 にとって ほ どの時間的次元 とも関連 を持たないのであ る ま た非行少年 においては現在 の評価が過去の評価 と 結びついておらず,現在の評価 と未来の評価 との関 係 について も , 正常少年が高 いのに対 し,非行少 年 においてはかな り低 い もの とな っている 。 この ように非行少年においては,各時間次元の評価が正 常少年 よりもかな り低 い関連 しか持 っていない傾 向がみ られ る 。

・ ‑ : A . ∴t : :

冬時間次元の評価 に関 して,非行少年 は現在や 過去 については正常少年 よ りもネガテ ィブな傾 向 を示 したが,未来の評価 については逆 にポ ジテ ィ ブな傾 向を示 した。全体的な未来の評価 について の非行少年の楽観性については,既に小宮山ら ( 1 9 76) によ って報告 されて お り,現在 と未来 との時間的 な連続性の認知 との関係が考 え られた。そこで 「自 分の今や っていることが 自分の将来 に影響す る 」

とい う項 目を設定 したのだが,現在 と未来の時間 的な連続性 の認知 に関 して は両群 に有意な差がな く,傾 向的 には非行少年の方が高か った。 これ は 勝俣 ◎篠原および村上 ( 1 9 82) と反す る傾 向であ る また 「自分の 目標のために努力 している 」 や

「 早 く大人 にな りたい 」 とい う非行少年の未来志 向性 は正常少年 よりも高い ものであ ったが, これ ら,非行少年 は現在志 向的で未来の賞罰 には関心 がな いタ とい う Da vi ds ,Ki dde r & Re i c h( 1 962) をは じめ とす る多 くの先行研究 と矛盾す る結果で あ る 。

それでは本研究の非行少年 はなぜ正常少年 よ り も現在 と未来 との連続性 を認知 していると答 え, 未来 に対す る高い志 向性 を示 したのであろ うか。

ー 66 ‑

(5)

杉山 成 ◎神 田信彦

Fig.1

各時間次元 の評価 と時間的連続性 との相 関 1.正 常少年 ( N‑2 8 4 )

2. 非 行少年 ( N‑6 3)

まず一つの原因 と して,今回山質問紙の性質 が 挙げ られ る 。

すなわち今回の質問項 目の うち , 「自分の 目標 の

た めに努力 してい る 」 や 「自分の今や って い るこ とが 自分の将来 に影響す る 」 とい う項 目はかな り 規範的な内容 を含んでお り,そ うい った項 目に非 行少年 たちが模範的に回答 した とい う可能 性が考 え られ るのであ る 麦 島 ( 1 9 7 6) は,非行 少年 は 善悪の判断をす る場合 に既存の大人社会の 論理 を 当てはめ る傾 向があ ることを指摘 してい るが,本 研究で は非行少年たちの場合, さらに教護院に入 院 してお り,他者 の監視 を受 けて い るという状況 にあ る そのため彼 らの回答 には社会的 に望 ま し い と思われ る方向にバ イアスがか け られたので は

ないだろ うか。

また彼 らは確かに非行歴を持つ少年達なのだが, 現在 は非行 を行 っていた環境か ら離れて矯正の教 育 を受 けている 。 その事実か らは教護院 におけ る 矯正教育の効果 とい うもの も考 え られ るだ ろう 。

非行少年の時間的展望が固定的な ものではな く, カ ウンセ リング等の介入によ って変化 させ うるも のであるとい うことは,非行少年の短 い 未来の e x ‑ t e ns i on

対 して カ ウンセ リングによる介入を試 みた Ri c ks , U h l bar gar &Mar k ( 1 9 6 4) によ って 示 されている 。 彼 らは非行少年 を 2 群 に分け,莱 験群 には 1 1 ケ月間の職業セ ラピーを行 い,その間 何 も行 わなか った対照群 と比較 した。結果 として カウンセ リングの効果が認め られ,非行少年の時間

‑ 67 ‑

(6)

時間的展望に関す る研究( 1)

的展望 は長 くな った と彼 らは報告 してい る。 本研 究での非行少年 も矯正教育の効果で未来 に目を向 け るよ うに変化 したのか も知 れない。 この考 えは 非行経験 の有無の ほか に施設収容 の期間 も変数 と して考慮す る必要があ るとい うことを示唆す るも のであ る。 ただ し厳密 には, Ri c ks ら ( 1 96 4) の 対象 は e xt e ns i on であ って,本研究での時間的志

向性 と同次元 に扱 うことはで きないか もしれ ない。

それゆえ, この点 について立証す るには今後の研 究を待 たな くて ほな らないで あろう。

次 に非行少年 における各時間次元の評価 と時間 的連続性 との関連性 について検討す るためタ非行 少年 , 正常少年 別 に項 目間の Pe ar s on 積率相関係 数を求めた。その結 乳 正常少年 において は 「過去 の努力が報 われた経験 」 が各時間次元の評価や現 在 の努力 と関連 を持 ってお り9‑万9非行少年 に おいて はそれ ほどの時間次元 とも関連 を持 ってい なか った。 また Tab‡ e . 望にみ られ るよ うに両群の 平均値 の検定 の際には非行少年の群 の方が 「もう 一度小 さい壇 に戻 ってや り直 したい」 とい うタ過 去 との断絶 の上 に新生 を期待す る傾 向が強か った。

これ らの結果 は正常少年 と非行少年 それぞれに と っての 「過去 」 の持つ意味の違 いを示 してい るも の として把 え られよ う 個人の行動 における認知 的な過程 を重視す る研究の分野で は,過去の努力 が報 われた経験 は , 個人の主観的な統制 感 (p er‑

c e i ve dc ont r o l ) を養成 し,高 め る もの とされて い る 主観的統制感 とは, 自分が望んだ とき (そ の気 にな った とき) に自分の欲す る結果が得 られ る可能性 についての期待 ( 樋 口◎鎌原 ◎ 大塚 1 9 83) であ る 。 過去 に環境 を コン トロ‑ルで きた経験 を してい ると タ 個人 は統制感の信念 を高め , 未来 の 成果獲得 を 目指 して現在 の行動 を律す ることがで きる もしも統制不可能事態 に陥 った と して も9 す ぐに主観的統制感 を失 うことはない。 ところが 主観的統制感が未獲得であ った り,弱 い もので あ ったために統制不可能事態で喪失 してしまった場合 には,未来の成果獲得 を望めず,計画性のない不 適応行動 に陥 って しまうであろう。 このよ うに正常

少年 に とっての過去 は,現在 の 自分 を確立 した, 自分 の行動 の基準 と しての意味を持 って い るのだ が9非行少年 に とっての過去 は,未来の 自分 に対 す るポ ジテ ィブな意味を持 たない とい うことが考 えられる。そのため非行少年達 は,過去 に立脚 した 現在 の評価や,現在 に基づいた未来展望 を持 つ こ とがで きず に,過去や現在か らの時間的連続性 の 断絶 の上 に明 るい未来 を想定す るので あろ う 項 目 2 に対す る反応か らは非行少年の未来展望が不 安定な もので あ るとい うことが読み取れ るが, そ の不安定 さもここに原因があ るので はなか ろ うか。

登校拒否児の時間的展望について検討 した勇仁 田 ( 1 9 90) はタ登 校拒 否 児 におけ る自他 の過去 に対す る受 け入れの不 足 とい うことについて指摘 し 9 「 過 去 」 を過去 と して受 け入れ られ るよ うに働 きか け る ( 過去 に対す る意味の再発見の仕事)のが カウ ンセ ラ‑の役割だ と述べてい る 本研究 の結果か ら見 る限 り9非行少年 に も同様 の ことが い え るで あろ う 。

〔 付記〕

本論文 を作成す るにあた り,御指導頂 きま した 立教大学一般教育部教授水 口穫治先生 に深 く感謝 いた します。

・ i : 畑巨・ ・ 融

Bar ndt ,R. J , ,& Johns on,D, M.1 955Ti meo r i e nt at i oni nde l i nque nt s8Jour nalofAbnor m alandSoc i alPs yc hol ogy,51,343‑3458 Davi ds ,A り Ki dde r ,C り & Re i c h , M。1 962Ti me

or i e nt at i oni nmal eandf e mal ej uve ni l ede l i n‑

que nt s・Jour nalofAbnor malandSoc i alPs y ‑ c hol ogy,64,239‑240

.

樋 口‑辰 ⑳鎌 田雅彦 ⑳大塚雄作 1 9 83 児童 の学 業達成 に関す る原因帰属 モデルの検 討 教育心 理学研究, 31 ,1 8‑27.

勝俣嘆史 ◎篠原 弘章 ⑳村上 み ど り 1 9 82 非行少 年の時間的展望 熊本大学教 育学部紀要, 3 上

267‑277。

‑ 68 ‑

(7)

小宮 山要 ⑳屋悦子 ◎高橋和雄

川 田三夫 1 9 7 6 非行少年 の生活意識 に関す る研究 科学警察研 究所報告,防犯少年編 1 7 ,83‑93。

Le s s l ng , E , 監 1 972 Ext e ns i onofpe r s onalf ut ur e t i mepe r s pe c t i ve,age ,andl i f es at i s f ac t i onof c hi l dr e nandadol e s c e nt s ,De ve l opme nt alPs y‑

c hol ogy ,6,457‑468p

Le wi n ,K・1 942 Ti mepe r s pe c t i veandmor al e。

Ne w Yor k:Houg

h

t onMi f f i l

in。

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69 ‑

杉山 成 ⑳神 田信彦

Ge ne t i cPs yc hol ogy ,79,1 2ト 1 28.

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参照

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