日 高 昇
On the Collision of Fishing Boats
Noboru HITAKA
Basing on the decisions of the Marine Accidents Inquiry Agency during from 1950 to
1958, I investigated the causes and the condition of weather or sea about the collisions of fishing boats.
Many collisions of fishing boats occurred without good look-out, in winter and
before dawn, especially on the fishing-grounds or in ports.
第2表屯数別衝突件数
一一一
地区別
総屯数
函横神門合 館浜戸司計
5,v 9 ユ0〜ユ9
22
11 4 13
108 25 18
20N29
50 38 is9
P16 20
6 951
30.v49
45
3411 45 135
50,v99
44
25
7 50126
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4 11 2 2 19
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第1図に衝突場所とその件数を 図示した。漁船殊に沿岸漁業にお いては,魚群を求めて多数の漁船 が狭い漁場に蝟集し,しかも漁携 に熱中のためややもすると他船の 見張りをなおざりにする傾向があ るので,漁場における衝突が最も 高い割合を占めている.即ち全衝 突の31%は操業中の事故で,漁場 への往航時の21%,復航時の26
%,回航その他の22%を上廻って いる.津軽海峡・恵山岬附近のい か釣り船,東北沿岸のサンマ棒二 二,対馬附近海域のイワシ・ア ジ・サバの旋網船の衝突多発は それらを物語っている。又海が狭 く船の交通の多い港の内の衝突件 数も多い。即ち全衝突件数の24%
のエ40件は港内で起きている.第 1雪中地名を記入しているのは,
多くの港内の衝突を起している町 名である.昭和23年 》28年の海難 審判裁決録の集計によると日本全 船舶の衝突件数の約44%は港内で 起きていると海難防止と救助(浅 井著)には述べているが,漁船の 港内の衝突はかなりそれよりは低 率を示していることは興味深いこ
とである.
5 衝突の時季について
衝突の月別発生件数を第2図に
示した.その傾向はll月の94件を
最高に冬に多く,6月の28件を最
低に夏分に少ない.これは乗り揚
げの場合と同様な傾向である.天
気風力の影響については後述のようにさほ ど影響はないので,船の交通量と気温の寒 暖が発生件数を大きく左右しているものと 思われる.同説に港内の衝突件数を図示し たが,殆ど全体のカーブと同様な凹凸を示
している.
第3図に衝突の時刻別発生数を示した.
全体的には午前6時頃の夜明け頃に急に:増 大し,午後工○時頃やや増え正午頃最低の発 ほ 生件数を示している.夜明けまぎわに急に 増大しているのは,魚獲物の市場揚げの時 間に制肘されて,この頃港内及びその附近 に漁船の交通量の最も激しい時間であるた めであろう.同国には併せて港内の衝突件 数を図示したが,全体の傾向と殆ど同じ傾 向を示していて,全船舶の港内衝突統計は 昼間は多く夜間に少ない傾向にあるのと異 にしている.
4 衝突時の気象海象について 衝突時の気象と海象との関係を表示した
ものが第3表である.漁船の衝突の85%は 晴天ないし曇天の時に起きていて,又同様 に85%は風力3以下の平穏な時に起きてい る.従って天気・風力は漁船の衝突には余 り関係がないように推察される.尚潮時に ついては,落潮時の中期に最高を示してい るが,それも余り著しい増大ではなく,潮 時についてもさして関係ないように考えら
れる.
5 衝突の原因について
漁船の衝突原因について審判が過失なし とするものは15%で,1%は不可抗力又は
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第2図月別発生件数
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り8 20 22 2ら第3図 時間別発生件数
第3表気象・海象と衝突の関係
区 別1
記 事
風解 脚数
天件 気数
潮 寺
日
o
94
il
126 2 189
3 92
4 48 b
296 bc
︐21 cl
i90i r
2ユ
干潮時
長汚 潮初雛中剃末期
f
51満潮時
5 16
6 7
s
10
7 2
潮 落 1瑚醐繍
8〜ユ2 3
不明 8
不明5
不 明
件
数i 92 4 4 7 4
15 8
35
5 18.
16ユ79
原因不明となっている・衝突の直接原因中,一般航行中の運航上の過失と指摘しているものは次の通りであ
る.
(1)見張り不良……ユ58件(23%)
衝突防止に最も必要なことは見張りを充分に行なうことであるのは論をまたない.早目に他船の存在と動 静を知り,他船との相対関係を判断して,はじめて衝突を避ける適切な運航に移れるものである.然るに衝 突原因中この根本的な見張り不十分と断定されているのが最高の23%の高率を占めている.漁船の本質から 特に沿岸漁業において漁場では多数の船が集まり,かつ強力な集魚灯・標識灯に妨げられて非常に複雑危険 な状態にあるのが普通であり,殊の外見張りを厳重に行なうべき時機であるが,乗組員は全部漁携に熱中 し,操舵と見張りを一人で兼ねることが多い漁船ではむしろ見張り力は低下している現状が多い.その結果 他船を発見できず,或は発見が遅れて衝突回避の動作に移る時間的場所的余裕のないのが多数の事例であ
る.
(2)部下に放任又は監督不十分……48件(7%)
衝突の起り易い場所で,操船を部下に委ねる時は部下監督には一層留意すべきであるに係らず,何らの指 示も注意も与えないで操船を部下にまかせ,或は当然自ら操船に当らねばならない海面にあってもこれを放 任し,又は部下が船長に報告すべき事項の報告を怠り独断で事を処し,大きな事故をひき起している事例が 多い.又ある事故では船長が疲れ過ぎていることが間接原因と考えられる場合もあり,船長自ら又他の乗組 員も充分に配慮すべき事柄と考える.更に漁掛長と船長の職務の分限が不明瞭のため,その責任と実行が伴 わず,船長を窮地に追い込み,ひいてはそれが漁船事故の遠因となっていると指滴されている事例も多いこ とは,漁船の労務管理上重要な課題であろう.
{3)他船に無関心又は他船の行動のおく断……51件(7%)
(4)避譲のぞちを講ぜず……34件(7%)
(3)(4)は共に(1)と少なからず関連があるが,如何に相手船を早く認めていても我れ関せずで自船の行動のみ
にとらわれていては衝突は避け得ない。特に操業中においては,相手船も華船と同様に魚を追ういわば輿奮 状態にあることに思いを算し一層冷静確実にその動静を判断し,そこに希塁内字副を加えることは極めて危 険である・鯨船の輻駕する漁場漁港等における他船との関係は単に相手船との二隻に限られることは少なく 複雑を極め,往々にして行き脚を止める等の協力動作に急ぎ移行すべき事態が多いことは漁船操船者の常に 心掛けておくべきことと考える.
(5)不当運;航又は無理運航・・…・37件(6%)
不当運航又は無理運航或は過大速力による運航上の過失と断定されているのは,殊に漁場において多い.
一般に漁船の操船は派手で減速をちゅうちょしがちであるが,まして魚を追う時は懸命でややもすると速力 過大或は無理な運航も敢えて行ないたいのは人情だが,自らそこには限界があり,衝突のおそれのある際は 魚獲の執念を即座に船と人命の安全保持へと切り換える適切な判断と決断力を養ってこそ優秀な漁船耳蝉と 考える.又密漁中監視船に発見され逃走中の不当運航で衝突を起している事例もこの中に含まれるが,これ
らは論外である.
⑥ 風潮流の影響を考慮せず……15件(2%)
(7)海上衝突予防法違反……222件(32%)
第ユ条/v第ユ1条(船灯規定等)………45件 第15条
第16条 第18条 第19条 第21条 第24条 第25条 その他
(霧中信号)………・…・・…44件
(霧中速力)………・…・…・36件
(行き合い船の航法)…………・或1件
(横切り船の航法)………31件
(針路速力の保持)………IO件
(追い越し船の航法)………10件
(狭水道における航法)…………22件
………・…・・………・……・…・… P3件
海上衝突予防法違反で最高を示しているのは第1条〜第!l条の船下形象物等の規定違反で,作業灯・標識
灯の法第工条第2項後段に違反すると指摘されているものも含まれている.
第15条・第16条の規定違反は北海道沿岸のいか釣り船に最も多く, 4節衝突時の天候調べ中,霧の時の事 故件数51件に,法第15条違反44件の接近した件数を出しているのは,漁船の霧中信号の励行が極めて消極的 であることをあらわしている.
航法中第19条違反が多く,これは特に夜間漁場において多く,集魚灯等の見張りの妨げが遠因となってい ると考えられるものが多く含まれていて,第25条違反は本節②項に関連が多い.
(8)港則法違反