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学術情報媒体の潮流  

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Academic year: 2021

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(1)

学術情報媒体の潮流  

インターネットの普及により︑学術情報は紙媒体から電子媒体に急速に移行して  います︒  

冊子から電子媒体へ   

大学における学術情報の収集・発  

信といった場合︑十年ほど前までは  

紙媒体の資料の収集・発信を意味し  

ていましたが︑インターネットの普  

及後は電子資料の収集・発信がそれ  

に取って代わりつつあります︒   

従来︑冊子体で発行されていた学  

術雑誌は︑電子ジャーナル︵巨J︶  

としてWebサイト上で閲覧・利用  

されることが当たり前となりました︒  

各大学で発行している紀要・報告書  

等にもインターネット上で利用でき  

るものが多くなってきました︒自然  

科学系では﹁ネット上になければ存  

在しないのも同じ﹂という吉葉があ  

るくらいです︒受付︑配架︑製本が  

不要といった点は図書館員にとって  

も大きなメリットがあります︒その  

ため︑冊子体を中止して電子ジャー  

ナルのみの購読に切り換えるケース  

も出てきています︒大学図書館にお   ける資料収集・発信については電子  資料抜きには考えられない時代にな  りました︒   

そういう意味で電子資料の利用環  

境を整備することは大学図書館の最  

重要の仕事の一つと言えます︒   

電子資料の整備に関する問題点   

利用者にとって最重要な情報であ  

るということは︑高額であるという  

こととほぼ同義です︒大学によって  

異なりますが︑中規模大学でも年間  

一千万円以上のEJを購読している  

のが普通です︒その分︑冊子体雑誌  

の購読金額は激減しています︒そう  

いう時代になったのです︒DBも同  

様に高額です︒   

このことは学内の予算配分の利害  

の問題に関係することを意味します︒  

EJとDBの契約担当職異にとって︑  

この予算の確保の問題がいちばん大  

変な仕事です︒図書館長や管理職が   動いてくれないと実現できない大き  な仕事です︒そのため︑予算獲得の  時期になると︑どの大学でも学部や  財務部を説得するための詳細な資料  を準備することになります︒   

従来︑日本の大学では︑冊子体の  

学術雑誌は大学内の各学部・各教員  

に配当された研究費で個々に購読さ  

れる形が普通でした︒それがサイ  

トエフイセンスで全学の誰もが平等  

にアクセスできる巨Jに取って代わ  

られると状況が変わってきました︒  

特定出版社の全タイトルをパッケー  

ジで利用することも普通になってき  

ています︒一人の教員が予算を負担  

して一人の教員が利益を享受する受  

益者負担の発想では限界が生じ︑E  

Jは︑電気代・水道代などと同様に  

学内のインフラとして︑全学共通経  

費で負担しましょうという発想への  

転換が求められてきています︒しか  

し︑共通経費化はこれまで個々の教   電子ジャーナル︵EJ︶  Webサイト上で利用する  雑誌︒通常︑論題などの書  誌事項までは無料で閲覧で  きるが︑全文を表示させる  場合には当該大学で契約し  ている必要がある︒全文は  Pロ﹇ファイルで表示する  タイプが多い︒オンライ  ン・ジャーナルと呼ばれる  場合もある︒利用形態とし  ては︑冊子体にm﹂が付属  しているものとm﹂のみの  ものとがある︒契約を行う  場合は︑次のようなポイン  トを確認しておく必要があ  る︒  ①バックナンバーの利用可   

能性︒利用できる場合ロ   

ーリンク︵利用可能年が   

動く︶ するのか︑  

②キャンセルした場合︑利   

用権は残るのか︑  

③サイトライセンスで利用   するのか−D/パスワー   

ド方式で利用するのか︑  

④どういうプラットフォー   

ムから利用するのか  

電子ジャーナルは︑パッケ  

ー ジされて販売されること  

が多い︒提供者によって次  

のように分けられる︒   

(2)

第4章 総合的な学術情報の発信  

表3 主要電子ジャーナル  

:‥エ芸だ■′ ミ′≡J  ;、、ゝ′       ルと′ぶ、;∴  ぎ   〉 

BEackwellSynergy    BlackweLl社発行の全雑誌のEJパッケージ。医学・科学系(STM)と人   文・社会系(HSS)の2つのパッケージがある。  

CUP(CambridgeUniversityPress)  CUP発行の全雑誌のEJパッケージ  

Elsevler Sclence Dlrect  外国雑読最大手EIsevier社発行の雑読のEJパッケージ。全タイトルを  

利用できるFreedomCo‖ection、個々のタイトルのEJを講読するLimited   Co‖ectionなどいくつかのコレクションがある。  

KargerOnline    Karger社発行の全雑誌(医学系中心)のE」パッケージ   出版社系  

LWWFixedlOO   

LWW社発行の医学系の主要雑読のE」パッケージ  

Nature   

Nature及びNature柿妹雑読のEJ  

OUP(OxfordUniversityPress)    OUP社発行の全雑誌のEJパッケージ  

Science   

AmericanAssociationforrtheAdvancementofScience発行のScienc9  

のEJ  

SpringerLink    Springer社発行の全雑誌のEJパッケージ。近年、Kluwer社を統合した。  

Wlley lnterSclence  Wiley社発行の全雑誌のEJパッケージ    ACM=AccociationforComputingMa−  

Chine「y   

ACS(AmericanChemicaLSociety)  ACS(アメリカ化学会)発行の雑誌のEJ(化学系)  

APS=AmericanPhysicsSociety    APS発行の雑誌のEJ(物理学系)  

B弓00ne   

米国生物科学学会発行の雑読のEJ(生吻学系)。SPARC支援EJ  

学会系  

lEEE∈−E」   

lEEE(lnstituteofElectrical&ElectronicsEngfneers)発行の定期刊行  

物、会議録、規格のEJ(電気・電子系)  

lEEE=CS=ComputerSociety    lEEE−CS発行の雑誌、会議録のEJ(コンピュータ系)  

10P=1nstituteofPhysics    lOP(英国物理学会)発行の雑誌のEJ(物理学)  

J−STAGE    科学技術拒輿事業団(JST)作成の国内学会のEJ、予稿集・要旨集   

EBSCOhost   

EBSCO社の提供する各分野のEJパッケージ。  

HighWire    スタンフォード大学が運営するEJサイト。Science,ProNASといった有   力議の他、無料詰も数多く含んでいる。  

アグリゲ一夕系      」STOR    JSTOR(メロン財団のバックアップの元に設立された非営利団体)提  

供の主要雑誌のバックナンバーを集めたパッケージ。分野ごとにバッケー   ジが分かれている。  

ProQuest    ProQuest社の提供する各分野のEJパッケージ。分野ごとにパッケージ  

が分かれている。   

①出版社系︑  ②学会系︑  ③アグリグータ系︒  ①は特定の出版社のタイト  ルを利用できるもの︑②は  特定の学会のタイトルを利  用できるもの︑③は複数の  出版社︑学会のタイトルを  集めて提供するもの︑であ  る︒①③は幅広い分野をカ  バーしていることが多く︑  ②は特定の分野に偏ってい  る場合が多い︒  サイトエフイセンス  ソフトウエアのライセンス  を組織単位で購入する方式︒  

大学で導入する電子ジャー  ナルの場合︑キャンパス内  ならば自由にアクセス可能  

という利用形態︒通常︑+・・・  

Pアドレスで利用範囲を指  

定する︒   

(3)

電子ジャーナル購読に係る問題点  

高額なEJをどう整備していくか︑予算上の観点も含めて問題点を示します︒  

異に配分されていた予算の削減を意  

味します︒国立大学などでは法人化  

を機に個々の教員の研究費は大きく  減らされています︒外国雑誌の世界  では未だに価格の高騰が続いていま  

すので︑研究費の中に占める外国雑  

誌の金額は年々増加しっつあります︒  こういった中でEJを購入するため  

の予算を﹁教員個人の予算から共通  

経費化=図書館が使える予算﹂へと  

転換していくことは︑学内のEJ環  

境を整備していくための最重要課題  

と言えます︒   

ビッグ・ディールの世界へ   

この共通経費化の必要性について  は︑次のような背景もあります︒   

出版社単位のEJパッケージにつ  いては︑次のような誤解がされるこ  とがよくあります﹁冊子体雑誌を全  

部中止してしまって︑その代わり∈  

Jパッケージを購入すれば良い︒そ  

の方が安いだろう﹂︒しかし︑実際   には﹁EJパッケージを導入するに  はこれまで冊子体として買っていた  金額をそのまま維持して下さい﹂と  いう条件が付くのが普通です︒この  点が教員からなかなか理解されない  点です︒   出版社も単純に利益を減らすよう  な商売をするはずはありません︒  ﹁昨年買っていた分と同じだけ買い  続けてください︒その上にほんの  数%分上積みして頂ければ︑買って  いない分も含めてわが社の全EJを  見せてあげましょう﹂というのがE  J販売の基本的な考え方です︒この  ﹁ちょっと追加すると全部見られる﹂  というのをビッグ・ディール︵B面  Dea一︶と呼んでいます︒出版社側  から見れば利益を維持でき︑図書館  側から見れば閲覧できるタイトル数  が増加するといった﹁どちらも損し  ない﹂ウイン・ウイン・ゲームがE  J取引の前提となっています︵ただ  し︑﹁不要な雑誌も含まれている﹂   ﹁オール・オア・ナッシングなので︑  抜けられない﹂﹁価格抑制になかな  かつながらない﹂といった批判もあ  ります︶︒   国立大学では︑73ページにある  ような大手出版社のEJ購読につい  ては︑国立大学図書館協会電子ジャ  ーナルタスクフォースが窓口となっ  て価格や購読条件についての交渉を  行っています︒国立大学では共同購  入のような形で参加館を募って︑よ  り良い条件で購読しようという考え  方をとっていますが︑こういう形態  をコンソーシアムといいます︒各大  学ではこの条件を理解した上で︑場  合によっては大学全体の予算構造を  変えて︑購読するための学内の条件  を整える必要があります︒   この予算の問題については別の項  目でも触れられるでしょう︒私自身︑  EJの契約の仕事をまだ一年間しか  していない初心者です︒ここで触れ  てきたのは︑この一年で私が実感し   ビッグ・ディール ︵Big  ロea一︶  辞書的には﹁大きな取り引  き﹂ という意味︒EJにあ  てはめた場合︑ある出版社  が刊行するEJ全タイトル  をパッケージで提供するこ  とを意味する︒  コンソーシアム  l般的には組合という意味︒  EJの購読に当てはめた場  合︑EJをより良い条件で  導入するための複数図書館  の連合体という意味になる︒  具体的には︑購入経費軽減︑  アクセスできる資料の拡大  といった有利な利用条件を  獲得することが目的︒日本  では2002年煩から国立  大学図書館協会電子ジャー  ナルタスクフォースが出版  社と交渉に当たり︑主要出  版社の電子ジャーナルにつ  いてコンソーシアムを成立  させてきている︒  FTE ︵¶∪ニ↓鵬∃e﹇quT  <a一eコt︶  大学の規模を表すための指  標となる数値︒教員の定員  数などを指すことが多い︒  この数字によってEJの金  額が異なってくることが多  い︒  DDP ︵Deep口許cOUコt  P﹁首e︶  特別割引価格︒EJを購読   

(4)

第4章 総合的な学術情報の発信  

た学内の電子情報環境を整備し︑そ  

れを維持していくための基本的考え  

方です︒   

EJ契約に関する補足または覚  

悟   

これからの大学図書館にとってE  

Jが最重要な資料であることは間違  

いありません︒しかし︑これまで述  

べてきたように︑何から何までやや  

こしい上︑日々状況が変動していま  

す︒ここに書いたこともすぐに陳腐  

化するでしょう︒また︑続々と出て  

くる意味不明の用語も覚悟して下さ  

い︒特に﹁三文字省略語﹂・が続出す  る世界です︒FTE︑DPF︑PD  FといったEJ関連用語︑ACS︑  APS︑A−Pといった学会関係の  省略形︑CUP︑OUP︑LWWと  

いった出版社の省略形︑さらにはJ  

BC︑JCB︵別の雑誌です︶とい  

った個々の雑誌名まで省略されるこ  

とがあります︵各誌名は用語解説欄  

をご覧下さい︶︒アーカイブ︑□−  

リンク⁝など列国雑誌を扱っている  

だけに︑横文字がどんどん出てきま  

す︒私もいまだに戸惑っていますが︑   利益を維持しようとする出版社と安  く購読し利用範囲を広げようとする  図書館側との間の対話のためのジャ  ーゴン ︵仲間内の言葉︶としてある  程度慣れる必要があるでしょう︒   現在のところ︑EJ︑DBともに  海外製品が主流ですが︑今後︑国内  発行の雑誌についても同様の流れが  出てくることでしょう︒  C口−ROM/DVD−ROM   

ここまではWebサイト上で雑誌  

そのものを利用する電子資料につい  

て書いてきましたが︑それ以外にも  

電子的な資料があります︒その代表  がCD−ROM/DVD−ROMとい  

った光ディスクです︒ディスクとい  

う形がある点では冊子体と共通して  

いますが︑中に入っているのが電子  

情報ということで︑冊子体とWeb  

サイトの中間的位置づけの資料とい  

えます︒管理する側からみれば︑内  

容が新しくなるたびにディスクを更  

新する必要がありますので︑図書館  

側が何もしなくても内容が更新され  

るWeb利用にとって変わられつつ  

あります︒    これらのディスクをサービスとし  て提供するには︑ディスクを入れる  ハードを準備し︑維持を続ける必要  があります︒図書館閲覧室の利用者  用パソコンのCD−ROMドライブ  にディスクを入れて検索してもらう︑  というのが初期の利用形態でしたが︑  その後︑ディスクをCD−ROMサ  ーバにセットし︑それを学内LAN  を通じて検索してもらうという形が  主流になりました︒ただし︑こうい  う形で利用するには︑サーバーの設  定を行う必要があります︒また︑ネ  ットワーク利用を行うには通常より  高い料金を払うのが普通です︒ディ  スクが増えてくるとCD−ROMチ  ェンジャーなどを用意する必要もあ  ります︒そうなってくると︑Web  利用と金額的に大差がないというケ  ースも出てくるでしょう︒   CD−ROMは︑雑誌などの付録  としてよく使われますが︑今後はそ  ういう個人利用用またはEJのバッ  クデータなどを保存する媒体として  使われ︑図書館サービスとして使わ  れるケースは少なくなっていくので  はないかと思います︒ ︵橋 洋平︶   すると冊子体が大きく割引  されるような場合に使われ  る︒現在購読している全タ  イトルをEJ購読に切り替  えれば︑通常の25%の価  格で冊子体を購入できると  いうような例がこれに当た  る︒  PDF︵POユab一eロOCU・  ∃eコt¶0﹁∃at︶  AdObe Sys︷e∃S社が開  発した電子文書用フォーマ  ット︒EJの全文を表示さ  せる場合︑このフォーマッ  トを使っていることが多い︒  表示させるにはAcrOba︷  Re餌de﹁︵無料ソフト︶が  必要である︒  ACS  A∃e﹁古山コ Che∃首a一  SOCお︷y  APS  A∃e﹁古山⊃ Phys首a一  SOC訂︷y  A−P  A∃e﹁首餌つ一⊃S±︷u︷e Of  Phys首s  CUP  na∃b﹁己ge U⊃ぞers芹y  Press  OUP  OXfOrd UコZers;y  Press   

参照

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