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Academic year: 2021

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(1)

非定型統合失調症治療薬は、統合失調症の陽性および陰性症状に有効であり、

錐体外路症状を引き起こしにくいことが特徴である。一方で、非定型統合失調 症治療薬の中でも olanzapine をはじめとする多元受容体標的化抗精神病薬は、

その慢性的な服用により体重増加や糖代謝異常を引き起こすことが問題になっ ている。しかし、olanzapineが糖代謝異常を引き起こす機序に関しては未だ不明 な点が多い。

近年、エネルギー代謝や肥満、糖尿病発症に関わる重要なシグナル伝達分子 として 5’AMP-activated protein kinase (AMPK) が注目されている。AMPKは細胞 内のエネルギーレベルの低下により活性化するシグナル伝達分子であり、全身 のエネルギーセンサーとして知られている。特に視床下部における AMPK は、

低血糖時や運動負荷などにより活性化され、エネルギー代謝の恒常性維持に重 要 な 役 割 を 果 た す こ と が 明 ら か に な っ て い る 。こ れ ま で に 、 視 床 下 部 で の AMPK の活性化が、肝臓での糖産生機構を増強することが示されていること から、中枢の AMPKの活性化が olanzapine による糖代謝異常の発現に関与して いる可能性が考えられる。そこで本研究では、olanzapineによる糖代謝異常の発 現機序解明の一環として、視床下部の AMPKを中心とした血糖上昇機構を検討 した。

Olanzapineが糖代謝に及ぼす影響

ま ず 、olanzapine が 糖 代 謝 に 及 ぼ す 影 響 を グ ル コ ー ス 負 荷 試 験 に よ り 検 討 し

C e n t r a l  m e c ha n i s m s  o f  o l a n z a p i n e - i n d u c ed  hy p e r g l y c e m i a :   R o l e   o f   h y p o t h a l a m i c   A M P K   i n   t h e  g l u c o se   h o m e o s t a s i s  

Olanzapine

による視床下部

AMPK

を介した血糖上昇機構の解明

池上 (朝戸) めぐみ (Asato-Ikegami, Megumi)

(2)

た。その結果、olanzapineを末梢投与することにより、グルコース負荷後の血糖 値 の 上 昇 の 用 量 依 存 的 か つ 有 意 な 亢 進 、 す な わ ち 糖 代 謝 異 常 が 認 め ら れ た 。 Olanzapineの脳室内投与でも同様の反応が認められたことから、olanzapineは中 枢 を 介 し て 糖 代 謝 異 常 を 引 き 起 こ す こ と が 明 ら か に な っ た 。 次 に 、olanzapine による糖代謝異常の発現に中枢の AMPK が関与するかを検討した。その結果、

olanzapineによる糖代謝異常は、AMPK阻害薬のcompound Cを脳室内に前処置 することにより抑制された。さらに、AMPK活性化薬の AICARを脳室内投与す ることによっても糖代謝異常が発現し、この反応は compound C の前処置によ り抑制された。これらの結果から、olanzapine は中枢の AMPK の活性化を介し て 糖 代 謝 異 常 を 引 き 起 こ す こ と が 示 唆 さ れ た 。 次 に 、olanzapine が 視 床 下 部 の AMPKに与える影響を検討した。その結果、olanzapine投与後の視床下部におい て、AMPK のタンパク質量に変化は認められなかったが、そのリン酸化体のタ ンパク質量は有意に増加した。AMPK はそのリン酸化により活性化することか ら、中枢に作用した olanzapineは視床下部の AMPKを活性化させることが明ら かとなった。さらに、グルコース負荷試験と同様の条件下において、olanzapine は血中のグルカゴンならびにインスリン量に影響を与えなかった。

以上の結果から、olanzapine は中枢、特に視床下部において AMPK を活性化 させ、糖代謝異常を引き起こすことが示された。

Olanzapineの血糖上昇作用における視床下部AMPKを介した肝糖産生の関与

Olanzapine が血糖値に与える影響を検討するため、非絶食下ならびに絶食下

において olanzapine による血糖値の変化を測定した。非絶食下では、olanzapine

の末梢投与により血糖値は有意に上昇した。絶食下においても olanzapine によ り 血 糖 値 は 上 昇 し た も の の 、 そ の 効 果 は 非 絶 食 下 と 比 較 し て 小 さ か っ た 。

Olanzapine の脳室内投与を用いて同様に検討を行ったところ、非絶食下では血

糖値は有意に上昇し、絶食下ではその反応は認められなかった。絶食下ではグ リコーゲンのほとんどを消費していると想定されることから、olanzapineは肝臓 での糖産生を介して血糖値を上昇させている可能性が考えられる。そこで、肝 臓での糖新生能を反映するピルビン酸負荷試験を行ったところ、ピルビン酸に よる血糖値の上昇は、olanzapine の投与により有意に亢進した。このことから、

olanzapineにより肝臓での糖産生が亢進することが明らかとなった。肝臓におけ

る糖産生はそれらを触媒する酵素によって調節されていることから、次に、解 糖系酵素である glucokinase (GK) および phosphofructokinase type liver (PFKL)

(3)

糖新生系酵素である glucose-6-phosphatase (G6Pase) および phosphoenolpyruvate carboxykinase (PEPCK)、ならびにそれらの転写因子として知られる peroxisome proliferator activator γ coactivator 1α (PGC1α) お よ び PGC1β の 肝 臓 に お け る mRNA発現量の変化を検討した。その結果、olanzapine の投与によりG6Pase mRNA発現量のみ増加が認められた。これらのことから、olanzapineは中枢を介 して肝臓における G6Paseの発現量を増加させ、肝糖新生を亢進させることが示 唆された。

Olanzapine は視床下部の AMPKを活性化させることを明らかにしていること

から、次に、脳内での AMPKの活性化が肝臓での糖産生に関与するかを検討し た 。AICAR を 脳 室 内 に 投 与 し 、 肝 臓 に お け る 解 糖 系 な ら び に 糖 新 生 系 酵 素 の mRNA 発現量の変化を測定したところ、olanzapine 投与時と同様に G6Pase mRNA発現量のみ増加が認められた。このことから、脳内の AMPKの活性化に より肝臓での糖産生が亢進することが示唆された。糖産生は交感神経の活性化 に伴った肝臓のアドレナリンβ受容体刺激により亢進することが知られている。

そこで、olanzapineならびに AICAR の血糖上昇作用に対するアドレナリンβ

容体の関与を検討したところ、アドレナリン β 受容体阻害薬である propranolol を前処置することにより、olanzapine ならびに AICARによる血糖値の上昇は有 意に抑制された。これらのことから、olanzapine は視床下部の AMPK を活性化 し、交感神経の興奮を介して肝糖産生を亢進することが示唆された。

血糖上昇に関わる脳内神経系の検討

中枢を介した全身のエネルギー代謝の恒常性維持には、様々な神経系が関与 することが明らかになっている。例えば、ヒスタミン H1 ならびにドパミン D2

受容体の作動薬は肥満マウスの糖代謝異常を改善することが報告されている。

また、セロトニン 5-HT2A受容体の拮抗薬はグルコースクランプ試験時にインス リンの効果を減弱させることが明らかになっている。Olanzapine は、ドパミン 受容体やセロトニン受容体のほか、ヒスタミン受容体やアドレナリン受容体な ど多くの受容体に拮抗薬として働くことから、これらの神経系を介して全身の エネルギー代謝に影響を及ぼし、糖代謝異常を引き起こす可能性が考えられる。

そこで血糖調節に関わる脳内神経系を明らかにするため、特に olanzapine が高 い親和性を示すことが知られているヒスタミン H1、ムスカリンM1、セロトニン 5-HT2A、ドパミンD2ならびにアドレナリン α1受容体に着目し、各受容体の拮抗 薬が血糖値に与える影響を検討した。その結果、ヒスタミンH1 (chlorpheniramine)

(4)

ドパミン D2 (l-sulpiride) ならびにα1アドレナリン (prazosin) 受容体の拮抗薬の 脳室内投与により、濃度依存的かつ有意な血糖値の上昇が認められた。一方、

ムスカリンM1 (dicyclomine) ならびにセロトニン5-HT2A (M100907) 受容体の拮 抗薬は血糖値に影響を与えなかった。これらのことから、olanzapine は主にヒス タミン H1、ドパミン D2ならびに α1アドレナリン受容体の拮抗作用により血糖 値 を 上 昇 さ せ て い る 可 能 性 が 示 さ れ た 。 さ ら に 、 血 糖 上 昇 作 用 を 示 し た chlorpheniraminel-sulpirideならびに prazosinは、olanzapine と同様に視床下部 におけるリン酸化 AMPKのタンパク質量を有意に増加させた。これまでの検討 により、視床下部での AMPKの活性化は血糖値を上昇させることを明らかにし ていることから、ヒスタミン H1、ドパミンD2α1アドレナリン受容体の拮抗薬 は視床下部におけるAMPKの活性化を介して血糖値を上昇させることが示唆さ れた。以上の結果から、olanzapine はヒスタミン H1、ドパミン D2 ならびに α1 アドレナリン受容体を拮抗することにより視床下部において AMPKを活性化さ せ、血糖値を上昇させる可能性が示された。

本研究の結果から、olanzapine は中枢、特に視床下部における AMPK の活性 化を介して糖代謝異常を示すことが明らかとなった。さらに、視床下部におい て活性化した AMPKは交感神経を興奮させ、肝臓での糖産生を亢進させること により血糖値を上昇させることが示された。また、この olanzapine による視床 下部の AMPK を介した血糖上昇作用は、ヒスタミン H1、ドパミン D2ならびに α1 アドレナリン受容体の拮抗により引き起こされる可能性が示された。これら の検討により統合失調症治療薬で引き起こされる血糖上昇の発現機序が明らか になることは、中枢を介した糖代謝メカニズムの解明につながり、さらには肥 満や糖尿病といった代謝性疾患による糖代謝異常の理解に新たな知見をもたら すと考えられる。

(5)

学 位 授 与 機 関 星薬科大学

イケガミ

池上 めぐみ (東京都)

学 位 の 種 類 博士(薬学)

学 位 記 番 号 乙 第206号 学 位 授 与 年 月 日 平成26年3月15日 学 位 授 与 の 要 件

学 位 論 文 の 題 名 氏 名 ( 本 籍 )

学位規則第4条第2項該当者

Central mechanisms of olanzapine-induced hyperglycemia:

Role of hypothalamic AMPK in the glucose homeostasis

(6)

論文審査の結果の要旨及び担当者

氏    名 池上(朝戸)めぐみ

主 査   教 授

論文審査担当者 副 査  教 授

副 査   教 授

亀井淳三   ∴印∴

鈴木 勉 成田 年

題  目 Centralmechanisms ofolanZaPlneーinduced hyperglycemia:

RoleofhypothalamicAMPKintheglucosehomeostasis

非定型統合失調症治療薬は、統合失調症の陽性および陰性症状に有効であり、錐体外 路症状を引き起こしにくいことが特徴である。一方で、非定型統合失調症治療薬の中で もolanzapineをはじめとする多元受容体標的化抗精神痛薬は、その慢性的な服用により 体重増加や糖代謝異常を引き起こすことが問題になっている。しかし、olanzapineが糖 代謝異常を引き起こす機序に関しては未だ不明な点が多いo近年、エネルギー代謝や肥 満、糖尿病発症に関わる重要なシグナル伝達分子として5,AMP−activatedproteinkinase

(AMPK)が注目されている。AMPKは細胞内のエネルギーレベルの低下により活性化 するシグナル伝達分子であり、全身のエネルギーセンサーとして知られている。特に視 床下部におけるAmPKは、低血糖時や運動負荷などにより活性化され、エネルギー代 謝の恒常性維持に重要な役割を果たすことが明らかになっているoこれまでに、視床下 部でのAMPKの活性化が、肝臓での糖産生機構を増強することが示されていることか ら、中枢のAMPKの活性化がolal1ZaPineによる糖代謝異常の発現に関与している可能 性が考えられるoそこで申請者は、Olanzapineによる糖代謝異常の発現機序解明の一環

として、視床下部のAMPKを中心とした血糖上昇機構を検討した。

olanZapineを末梢投与することにより、グルコース負荷後の血糖値の上昇の用量依存 的かつ有意な克進、すなわち糖代謝異常が認められている。また、olanzapineの脳室内 投与でも同様の反応が認められたことから、olaⅢapineは中枢を介して糖代謝異常を引 き起こすことが明らかにしたo一方、Olanzapineによる糖代謝異常は、AMPK阻害薬の compoundCを脳室内に前処置することにより抑制された。さらに、AMPK活性化薬の AICARを脳室内投与することによる糖代謝異常もcompound Cの前処置により抑制さ れたことから、olanZapineは中枢のAMPKの活性化を介して糖代謝異常を引き起こすこ とを示唆したo事実、olanzapine投与後の視床下部において、AMPKのタンパク質量に 変化は認められなかったものの、そのリン酸化体のタンパク質量は有意に増加すること を明らかにし、oianzapineは視床下部においてAMPKを活性化させることで、糖代謝異 常を引き起こすことが示した。olanzapineの脳室内投与による血糖値への影響を検討

(7)

したところ、非絶食下では血糖値は有意に上昇するものの、絶食下ではその反応は認め られないことを明らかとしたo絶食下ではグリコーゲンのほとんどを消費していると想 定されることから、olanzapineは肝臓での糖産生を介して血糖値を上昇させている可能 性を示唆した。そこで、肝臓での糖新生能を反映するピルビン酸負荷試験を行ったとこ ろ、ピルビン酸による血糖値の上昇は、oianzapineの投与により有意に克進することを 見出し、olanzapineにより肝臓での糖産生が克進することが明らかにした。また、

olanzapineおよびAlCARの解糖系酵素、糖新生系酵素の肝臓におけるmRNA発現量の 変化を検討したところ、G6PaseのmRNA発現量のみが増加することを認め、oian2=aPine は視床下部のAMPKの活性化を介して肝臓におけるG6Paseの発現量を増加させ、肝糖 新生を克進させることを明らかにした。また、アドレナリンβ受容体阻害薬である propranololを前処置することにより、olanzapineならびにAlcARによる血糖値の上昇 は有意に抑制された。これらのことから、olanzapineは視床下部のAMPKを活性化し、

交感神経の興奮を介して肝糖産生を克進することが示唆された。

ヒスタミンHi(chlorpheniramine)ドパミンDi(l−Sulpiride)ならびにα1アドレナリン

(prazosin)受容体の括抗薬の脳室内投与により、濃度依存的かつ有意な血糖値の上昇を 認めたo一方、ムスカリンMl(dicycl。mine)ならびにセロトニン5−HT2A(MlOO907)受 容体の括抗薬は血糖値に影響を与えなかったことから、olanzapineは主にヒスタミン Hi、ドパミンD2ならびにα1アドレナリン受容体の桔抗作用により血糖値を上昇させて いる可能性を示唆した。血糖上昇作用を示したchlorpheniramine、l−sulpirideおよび prazosinは、視床下部におけるリン酸化AMPKのタンパク質量を有意に増加させたこと から、ヒスタミンHi、ドパミンD2、期アドレナリン受容体の括抗薬は視床下部におけ るAMPKの活性化を介して血糖値を上昇させることが示唆し、olanzapineはヒスタミン Hi、ドパミンD2ならびにα1アドレナリン受容体を措抗することにより視床下部におい てAMPKを活性化させ、血糖値を上昇させる可能性を明らかにした。

本研究の結果から、申請者はolanzapineが中枢、一特に視床下部におけるAMPKの活 性化を介して糖代謝異常を示すことを明らかとした。さらに、視床下部において活性化

したAMPKは交感神経を興奮させ、肝臓での糖産生を克進させることにより血糖値を 上昇させることを示した。また、このolanzapineによる視床下部のAMPKを介した血 糖上昇作用は、ヒスタミンHl、ドパミンD2ならびにα1アドレナリン受容体の括抗によ

り引き起こされる可能性を明らかにしたo

これらの結果は、統合失調症治療薬で引き起こされる血糖上昇の発現機序が明らかに し、中枢を介した糖代謝メヵニズムの解明につながり、さらには肥満や糖尿病といった 代謝性疾患による糖代謝異常の理解に新たな知見をもたらすと考えられ、本分野におけ

る貢献度も高い。また、これらの内容は正確に表現されているo したがって、本論文は 博士(薬学)に値するものと判定する。

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