音声 認識手 法 に よる自動車 の故 障識 別 の試 み*
宮尾芳一 馬場幸美
Fault Detection of Automobiles Using A Speech Recognition System
Yoshikazu MIYAO Yukimi BABA
Muchoftheexaminationandfaultdetectionforautomobileshavebeenmadeby humanfeeling.Anoperatorbesideanautomobilelistenstothe operationalsounds
,
thatcontainalotofinformationaboutthestateoftheautomobile,whichtheope・ratorextradtandrecognize.Inthisstudy,insteadofdependingonhuman feeling
,
1weemploytheisolatedwordrecognition techniquein ordertorecognlZetheope・
'ration sounds.Thismethodisas follows. In the training phase, Various sound patternsarestoredinthestandardpattern丘le.Intherecognitionphase,thesound patterniscomparedwiththestandardpatternsbyusing patternmatching techni・ ques,andtllemostSimilarstandardpatternisselected.Asaresult,wecandisting・
uishoneenginefrom another,andanydeviationinthenumberofrevolutionsthro・
ughthissystem.Thissystem showsthestateoftheautomobile.
1. ま え が き
,
.最近の コソピュークの急速な発達に より,種々の産業分野において人間が今まで行なって きた行為が コソピ, . ‑タやセソサ及び機械により行なわれ, 自動化がかな り進んで きた.
本研究は,音声認識手法を用いて 自動串の整備点検の分野における一部の自動化を試みた ものである.我々は, 自動車運転中にエソジン音な どに異常を感 じて, 自動串を停止させ点 検 し整備工場に持 って行 くことがあ る. このように運転者は音を一つの情報 として利用 して いる. また,熟練整備士はエ ソジソ音など自動車か ら発生す る音で故障箇所 の推定をし修理 を している・ さらに,音はエ ソジソ内部の 目に見えない部分の情報を含んでお り有用である.
しか し,その昔を聞いて どこが故障 しているかを判断す るにはかな りの経験が必要であ る.
熟練者を除いて人間に よる判断は不正確 ・不確実である.最近の自動車整備において,炭酸 ガス量など測定値で表現できる分野では機械化されてきたが,多 くの箇所では整備士の経験 にた よっている.そ こで本研究は,近年のデジタル処理技術 と専用
LSIの進歩に よ り手軽に 手に入 る市販 の音声認識装置を応用 し, 自動車か ら得 られる種々の条件の音 の認識実験を行 なった.そして本手法では自動串の故障識別にどの程度の認識能力があるかを調べた.
* I'・ + * *
昭和6
2年
3月 事
2日 日本校械学会,北陸信越学生会
約16回卒業研究発表会にて発表 機械工学科 講師
機械工学科 元技官
原稿受付 昭和6
2年
9月
30日
54
宮尾芳一 ・馬場幸美
2. 自動車の整備点検
図
1は, 自動車整備工場等で使用されている定期点検整備記録簿である. これ より自動車 の定期点検 され る項 目はおお よそ次のように分類で きる.
1 ) 測定値に より判断す る項 目
例.ブレーキライニング残厚 ・排気ガスの
CO の濃度 ・ノ ミッテ リーの比重
2)経駄により判断す る項 目
感触で判断 例.‑ ソ ドルの操作具合 ・駐車 ブレーキのきき具合 ・ベル トのゆるみ 視覚で判断 例.ギャボ ックスの油洩れ ・クラッチの液量 ・エンジンオイルの汚れ 聴覚で判断 例.原動機の異音 ・弁す き間 ・締め付け部 ・ファンベル トのゆるみ このように自動車整備の分野において,特 に点検のときに人間の五感すなわち勘にた よる 部分が多い. このため異常箇所 の発見には,整備士 の経験がかな り影響すると思われ る
.1)の測定値により判断す る項 目はかな り自動化が進んできた.2) の経験に より判断する項 目は 自動化すべ き余地がかな りある. この うち感触で判断 している項 目は検査治具等の工夫によ り容易に横桟化が行なえる.図
1で●印は,多少な りとも聴覚で判断すなわち音を情報 とし て判断 している項 目を示す. これ らはエンジン音 など運転中に発生 している音 と,色々な検 査す る箇所をテス ト‑ソマでたたき音を発生 させ,その昔に より故障識別を行な うものに大 別 される. また,音だけで 自動車の状態を判断す る項 目と,手の感触 と併用 し音を判断の‑
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図 1 定 期 点検整 備記録 蒋
四 二 の 絶 叫 叫
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部に使用す るなど程度の差はあるが,音を判断材料 としている項 目はかな りあ る. また,エ ソジソのかか り具合やェソジン内部の弁すき間など, 目には見えな く他の方法では判断 しに くい項 目も多い・そこで本研究は, これ らの音を利用 して自動串の状態を判断 している項 目 杏,音声認識手法を用いて故障識別が可能であるかを調べた.
図
2に実験 システムを示す.
秒間隔に区切 り,音声認識装置 に音響パターソとして登録 して お く.そ して検査す る自動串か ら発生 した音 の音響パターソが, すでに登録 してあるどの状態の 音響パターソに一番近いかを選 び出力す ることで,串の状態を 判断す る.
図
3は音声認識処理の流れを 示す.マイクロホンより採取 し た音をデータレコーダに入れプ リ
エソファシス等の前処理を し た後
,16チャンネルの,{ソ ドパ スフィルタ‑迷 られる.周波数 帯域は
200Hzか ら
7KHzであ ち.各チャンネル ごとに
8ビットのデジタル信号値の音響バク
‑ソとな りメモ 1 )部に格納され る.認識時には同様の方法で音 響パターソが作 られ,線形マ ッ チソグお よび動的マ ッチ ングに より,入力バク ‑ ソと登録パタ ーソの琉似性を示す距離を算出 す る.その距離 より認識結果を 判定 し,結果を出力する.
3.実験 システムヽ
まず 自動車か ら発生す る正常音や故障者など種 々の音を
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図2 実験 システム
立
正訴 芸 忍
7..%図 3 認識処理の流れ
4.実 験 結 果 4‑1
エンジン昔の識別
4‑1‑1
異な った種類のエンジン昔の識別
まず,表
1に示す ように
5種煩の自動車の
エソジソを低速および高速で駆動 させ,その と
きに発生す る音を音声認識装置に基準音 として登録する.続いて同じ条件の音を順次認識 さ
せ, どの程度識別できるかな調べた.その認識実験 の結果を図
4に示す. ここでTは認識が
56
表1
登録パターン 回転 l車 名 Jエンジン名
ア ス ト ロ ソ 8 0 0 H C 2 0 0 0
÷ 「 纂 J f 誓 言 ̲ 汁 : . , : i
÷ 恩
宮尾芳一 ・馬場幸美
07 ノOLn ,●PJ 丑蛸 怒鞘
2 3
4 5 6 7 8
認 識集件
図
4種々のエソジ1 /音の認識
正 しく, 口は誤認識を表わす.
これにより, このようなェソジンの認識実験での正解率は約8
5%とな り,本手法によりエ ンジンの撞煩がかな り識別で きることがわかる.
4‑1‑2
エンジンの回転数の識別
次に,同一のエ ソジソで回転数を
1000,2000,3000,4000rpmと変 え,その ときに発生 す る音による認識実験を前実験 と同様な方法で行なった.その結果を図
5に示す.
これ より,エ ソジソの回転数を
1000rpmずつ変 えた場合の正解率は約65
%とあまり良 く ない. しか し誤認識 された場合は,近い回転数の音 と間違えていることがわかる.すなわち, 本手法では回転数の異なる音 を完全には識別できないが,エソジンがお よそ低速回転が高速 回転かの識別はできそ うである. また他の車種においても同様な結果が得 られた.
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1000 20uO 3DOC)
苫忍 吉宅毛固 唾云 狂女
図5 回転数の認識
4‑1‑3
自動車の故障音の識別
次に, 自動車が正常な場合 とファンベル トがゆるんでいる場合お よびタペ ットが摩耗 して い る場合の, 自動車か ら発生す る音の認識実験を行なった.その結果を図
6に示す.
これ より, このような自動車の故障 と正常な場合 とは,ほぼ確実に識別ができた.またマ
フラーが破損 した場合, ウォータポンプが故障 した場合 も正常 な場合 と識別がで きた.
L J . ■l
̲∫
『‑ I ・ホンダシビック
13 0 0cc
正常 ファンベ ル トの試 み '}ペツrOH.鵜
苫忍 忘態
灸
イ牛図
6故 障 の 認 識
プ ア ニ ノ
ペ JL,,トの 紀 とみ
タ ペ ッ ト の 天声f色2
00
PT漬放 くHヱ)10000 200
何故拙 くttz)10000 200 Pl 汝
放 く托王)1 ・ 0000
図
7故障者の音響バターンの比較
図
7は, この実験におけ るそれぞれ の昔 を周波数分析 し,一定 の周波数域 ご とにスペ ク ト ルの大 きさの平均 を表 した図である. これ は認識装置内で処理 され る音響 バ ク‑ ソと似 てい る. この よ うに, これ らの条件ではバ ター ソの特徴がかな り異な っているので,認識装琴で ・ は確実な認識 がで きた と思われ る・
別 の認識実験で, このバ ク‑ ソが似 てい るときに誤認識 が多 い・本実験に用 いた認識装置 は音声用 であるので, 自動車音 に適 した周波琴域 のスペ ク トルで比較すれば認識率は向上す る もの と期待で きる.
4‑2
締め付け部の良否 の判断
自動車はエ ソジ ソの他に も色 々な装置に より構 成 されてお り, それ らも確実に作用す る と 共 に確実に固定 されている必要 があ る・整 備工場 での これ らの点検は,その部分 を ‑ ソマで たた き, その昔に よ り締め付け状態 を判断 してい る・その一例 として
,Uボル ト シャソク
ピソ .タイ ロッ ト
エソ ドのゆ るんでい る場 合 と締 め付けた場合に‑ ソマでその部分をたた き・
その ときに発生す る音 に よ り締 め付けの良否 の判断を試 みた実験結果を図
8に示す・
宮尾芳一 ・馬場幸美
り訂
十此mW曽剃I . .i
;
り 芸
1 1= ・‑ n̲̲‑⊂LD̲̲̲̲⊥̲̲̲̲工Ⅰ:Ⅰ:Ⅰコ̲̲」コ「ー ■ ■
「「「▼「小 t l I
○ ヽ 書 希
【⊃‑ ■ ‑
■1
∧
iI
t ヽ
+1I.. ヽ iZ
g.iオ
e〜‑
‑<
¥ .;⊃ 旬らと令立中
■ ー ‑ ‑
【⊃扶 み 指
め
付け 提 み 締め付け 捉 み 締め
11 け吉忍 盲敬≦案=イ牛
図
8
締め付け部の判断これ より,識別は完全ではないが,ゆるんでいる場合 と正常な場合 とを誤認識することは 無か った.
5.考 察
自動車の点検において,今まで人間は音に よりかな りの状態を判断 している.そこで,普 声認識手法により自動車の故障識別の試みを提案 し,その認識能力を調べた.その結果次の
ことがわかった.
1 )
エソジソ音を認識 させ ることに より,エソジソの撞頬をかな り識別できる.
2)
同一エ ンジンにおいて,回転が低速か高速かの相違はほぼ確実に識別で きる・
3)
エ ソジソの故障に関 して も識別できそ うである.
4)