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貸借対照表の用語及び様式について

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(1)

軍37巻第1号   

貸借対照表の用語及び様式について  

−イ ーー  

高 木 康 雄   

昭和18年改正南緯施行法第49条ほ,「株式会社ノ財産目録,貸借対照表,損   益計算書ノ記載方法其ノ他ノ様式ハ命令ヲ以テ之ヲ定ム」と規零している。し   かし,こゐ命令は制定されないまま,鮨年を経過した。   

他方,証券革引法欝19∂条の委任紅基づいて、昭和25年9月「財琴諸表等の   用琴,様式及び作成方法に関する規則」(以下財務諸表規則と略称する)が,続い  

て昭和26年3月,同取扱要領が制定せられた。財務諸表規則は,投資家に・投資   のための価値判断資料を提供することを直接の目的とし,下記の財務諸表に適   用される。  

1.券面額(無額面株式については発行価額)の総額5,000万円以上の株式  

又は社債を発行しようとするとき(発行しようとする有価証券の券面額の   総額が,その募集開始前1年以内に発行した同一・種類の有価証券の券面額   の総額と併せて5,000万円以上となるときも同様),大蔵大臣に提出する   財務諸表   

2.上記該当会社が,事業年度ごと紅大蔵大臣に提出する財務諸表    3.証券取引所紅上場されている有価証券の発行会社が,事業年度ごとに当   

該■証券取引所に提出する財務諸表   

財務諸表規則の直接の目的咋.上記のとおりであるが,この規則は,実践規範   たる企業会計原則の考え方を基盤としたものであって,わが国企業会封制度の   改善統一・のために大きな役割を果してきた。   

昭和37年,株式会社の計算紅関する商法の規定が大幅に改正され,昭和38年  

4月1日から施行されたことと関連して,法務省令「株式会社の貸借対照表及  

び損益計算書に関する規則」(以下商法頒則と略称する)が制定され,同じく4   

(2)

貸借対照表の用語及び綴式について   ー β −  

月1日から施行された。いうまでもなく,こ・の規則は,株式会社が商法にした   がって作成する財務諸衷に適用される。   

r・ご一一一−−㌣  ̄−一州 

−商法及び商法規則も企業会計原則の主張を相当大幅にとりいれたのである   が,その程度が財務諸表規則はどではなかったため,両名の間に矛盾抵鰍する   部分が生じた。両者はそれぞれの目的と適周される場合を異にすると如、え,ひ  

としくわが国の法令であるものが二元化していることは,好ましいことでほな   い。そこで,こ・の間の調整を主な目的として,昭和88年1り]27日,財務諸表規  

雇   則が,続いて:12月28日,同取扱琴領が改正せられた。これによって,商法の強行  

規定に・反する事項は,すべて商埠の規定に合せて改正されたのであるが,なお   未調整の部分が残されている。   

本稿は,貸借対照表に関する商法規則の規定と財務諸表規則の規定を比較検   討し,主要な問題点に二ついて論究しようとするものである。(損益計静香及び剰   余金計罫書についてほ次号で述べる予定である。)  

2 貸借対照表に関する商法規則の規定と   財務諸表規則の規定  

貸借料塵表庭関する商法規則の規定と財務諸表規則の規定の主要な相異点を   対照表示し,簡単な説明を加えれは,つぎのとおりである。  

財務諸表規則   尊書対照表の区分  

Ⅰ資産の部   tl)流動資産  

(2)固定資産   川 有形固定資産  

(ロ)無形固定資産   H 投資  

(3J繰延勘定   丑 負債の部    商法 規則  

Ⅰ 資産の部  

(1)流動資産    t2)固定資産   

(イ)有形固定資産   

回 無形固定資産    M 投資  

(3)繰延資産  

Ⅱ 負債の部  

(3)

第37巻 第1号  

tl)流動負偵   L2j 固定負偵  

− 6 −・   

(量)擁動負偵  

(2)固定負怯  

(31引当金  

Ⅲ 資本の部  

(1)資本金  

(2)法定準備金  

(3)剰余金  

皿 資本の部  

(1J資本金  

(2)資本剰余金  

(3)利益剰余金  

無形固定資産の内容  

長期前払費用を含まなし、。  

長期前払費用を含む。  

繰延資産と繰延勘定の内容  

繰延資産ほ長期前払費用を含まない。   繰延勘定は長期前払資由と商法規則の繰延  

資産からなるd  

法人税住民税等充当額    その決界期の所得に.対して賦課される法  

人税,住民税等は,その年魔の損失に封上   するとともに,その充当額を流動負債の蔀   に掲げなければならない。こ.れらを損失と   しないで,のちに利益処分によって納税引  

その決鈴規の所得に.対して賦課される法   人税,住民税等ほ,利益処分項目とするこ   とを原則としているようであるが,これら   を損益計卸商庭計上するとともに,貸借対   照表に流動負債として計上するととも認め   当金をとることほ許されない。   る。  

負債性引当金の取扱   

すべての負偵性引当金を,それぞれの性   質にしたがって,流動負債又は固定負俵の   部匿掲げる。ただし,商法第287粂の岳に  定める引当金に該当すると認められるちの   ほ,固定負偵のつぎに,特定引当金という   別の区分を設けて,記載することができ  

る。   

負偵性引当金を,法律上の債務であるも   のと,そうでないものとに区分する。前著   ほ,当然負儀であるから,それぞその性質   にしたがって,流動負偵又ほ固定負俵の部   に掲げる。後者は,本来の負債とは.認めら   れず引当金の部に記威される。労働協約が   ない場合の退職給与引当金,修感引当金の   ように,商法第287条の2にいうところの,  

特定の支出又ほ損欠紅備えるための引当金   がこれにあたる。  

(4)

貸借対照表の用語及び様式について   剰余金の区分  

ー 7 −−  

会計学上の剰余金をつぎのように区分する   伽 法定準備金  

(イ)資本準備金  

(ロ)利益準備金    レう 再評価秩立金  

(ニ)その他法律で積滋を要求する準備金   

(例えば保険巣法第86条の評価換等に   よる準備金)  

12)剰余金(又は欠損金)  

(イ)任意穣滋金  

(1)資本剰余金  

(イ)資本準備金  

(ロ)再評価秩立金   

←う その他の資本剰余金  

12き 利益剰余金   

川 利益準備金  

(ロ)任意積立金   

日 当期末処分利益剰余金又ほ当期末処   理欠損金  

(ロ)前期繰越利益(又ほ前期繰越損失1    これは,繰越利益剰余金期末残高又ほ繰    H 当期利益又は当期損失   越欠損金期末残高と当期純利益又は当期純  

損失に区分することができる。  

商法規則の前期繰越利益と財務諸表規則の繰越利益剰余金期末残高    前期の株主総会で次期に繰越された利益  前期の株主総会で次期に・繰り越された末  

(未処分利益剰余金)。   処分利益剰余金に,当期の臨時異常損益及   び過年度損益修正額を加減した金額。  

別の当期利益と財務諸表規則の当期純利益   

包括主義による損益計静の結果で,その  当期業績主義による損益計静の結果で,  

決静期の所得に対して賦課される法人税, その決算期の所得に対して賦課される法人   住民税等を控除後の金額。   税,住民税等を控除しない金額である0こ  

れらの税を控除した後の金額であれは,法   人税等引当額控除後当期純利益として.掲記   する。  

子会社,親会社,関係会社,役員等に対する資産,負債の区分表示   

A会社がB会社の発行済株式総数の2分  関係会社とほ,つぎのいずれかの関係に   の1をこえる株式を所有するとき,   ある会社である。  

A会社からみてB会社ほ子会社であり,B (イ)商法規則のいう了会社,満会社   会社からみてA会社ほ親会社である。    (ロ)C会社がD会社に対し,発行済株式総   

(5)

第37巻 第1号  

・β・叫  

数又ほ出資総額の100分の10をこえる株    式又ほ.出資を所有し,かつ,事業活動の    主要部分に.ついて,継続的かつ緊密な関    係を維持することにより支配している関    係にあるとき,両社は相互紅関係会社で   

ある。  

tl)関係会社株式,関係会社社偵,関係会    社出資金ほ,∵叔巧株式,祉伎,出資金   

と区別する。  

(2)関係会社に対する長期貸付金ほ,−・般    の最期貸付金と区別して\「関係会社長   

期貸付金」という科目で掲記しなけ叫ば    ならない。  

(1)子会社株式,親会社株式,子会社出資    金等は,−一・般の株式,出資金と区別す   

る。  

(2)子会社,親会社等に対する長期金銭偵    権は,その金銭債権が属する科目ごと    に.,他の金銭債権と区別して記載しなけ    れほならない。ただし,各科目羊■とに又    ほ.2以上の科目に.ついて十−・托して注記し   

てもよい。  

(3)子会社,親会社等に対する長期金銭俵    務ほ,その金銭債務が属する科白ごとに    他の金銭偵務と区別して記載しなければ    ならない。ただし,各科目ごと紅又ほ.2   

以上の科目紅ついて−・括レて一往記しても   

よい。  

t4J子会社,・親会社等に対する受取手形及   び売掛金の取扱ほ,(2)の長期金銭供臓に    準ずる。  

(3)関係会社からの長期借入金は,−・般の    長期借入金と区別して,「関係会社長期    借入金」という科目で掲記しなければな  

らない。  

執陛係会社に対する受取手形及び売掛金    の合計額が資産の総額の100分の1をこ    える場合にほ.,一・般の受取手形及び売掛    金と区別して,「関係会社受取手形」,   

「関係会社売掛金」・という科目で掲記し    なければならない。ただし,関係会社に    対する受取手形又ほ売掛金のいずれかの    金額が,資産の総額の100分の1以 ̄F−で    ある場合には,「挟Ⅰ係会社受取手形及び   

(6)

貸借対膿表の用語及び様式について   ー 9 −   売輯金.」という科計千丁挿して掲記する   

ことができる。  

(5J関係会社に対する支払手形及び買鯛金    の合計額が負偵及び資本の合計額の100    分の1をこえる場合には,−・般の支払手    形及び鼠掛金と区別して,「関係会社支    払手形」,「関係会社員掛金」という科    目で掲記しなければならない。ただし,   

関係会社に対する支払手形又ほ買掛金の    いずれかの金額が負債及び資本の合計額    の100分の1以下である場合に偲,r■関    係会社支払手形及び買掛金」という科目   

で一括して拍記することができる。  

16Ja 関係会社に対する資産,免税で上記    以外のものは,各科目ごとの金額が,そ    れぞれ,資産総額又ほ負債及び資本の合    計額の100分の1をこえるものについて    ほ,関係会社に対するものである.ことを    示す科目で各科目男畔掲記しなけれほな   

らない。  

(6)b 区分拇記されなかった関係会社に.対    する資産の合計額又は免償の合計額が,   

それぞれ,資産総額又は負偵及び資本の    合計額の100分の1をこえる場合には,   

その旨及びその金額を貸借対照表に注記    しなけれはならない。  

(7)a 株主,役員又は従業員把対する長期    貸付金は;他の長期貸付金と区別して,   

「株主,役員又ほ従業員に・対する長期貸    付金」という科目で掲記しなければなら    t5)子会社,親会社等紅対する支払手形及   

び買準金の取扱は,(3Jの嘩期金銭債務に    準ずる。  

(6)子会社,親会社等に対する金銭櫨権及    び金銭偵務で上記以外のものも,上記の    金銭債権及び金銭債務紅準じで取扱われ   

る。  

し17)取締役叉隠監査役との間の取引による   

取締役文ほ監査役に対する金銭債樅及び    金銭債務は,それぞれ,その総額を注記   

しなけれはならない。注記を要するのは  

(7)

第37巻 第ユ号   10  

−−J♂一・・・−・  

債権総額及び債務総額であって,役員ご   ない。  

とに又は長期と短期に.区別する必要はな (7)b 株主,役員又は従菜員に対する短期   債権で,その金額が資産の総額の100分   の1をこえ.るものについては,その内容   を示す科目名で抱記しなければならな  

い。  

(7)c 株主,役員又ほ従兼貞に対する長期   又は短期の負偵で,その金額が負債及び   資本の合計額の100分の1をこえるもの   についてほ,その内容を示す科目名で掲   記しなければならない。  

金銭債権の取立不能見込額の表示  

い。  

(1)短期金鉄債権に対する貸倒見積高ほ,   

当該各資産科目に対する控除科目とし    七,貸倒引当金の科目で掲記しなけれほ    ならない。ただし,これらの資産科目に    対する控除科目として,貸倒引当金の科    目で〜・托して掲記することもできる。   

(貸倒見廣高を控除した残額のみを記載    すると.とはできない。)  

(1)短期金銭債権についで取立不能のおそ    れがある場合には,各科目どとに,取立    不能の見込額を控除する形・式で記載する   

ことを原則とする。取立不能の見込額を    控除した残額のみを記載することもでき    るが,この場合ほ,、取立不能の見込額を   

注記しなければならない。また,取立不   

能の見込額は,2以上の科目について− 

持しで記載することもできる。  

(2)長期金銭債権紅対する取立不能見込額   

の表示方法も上に準ずる。  

(2)長期金銭慌楓に対する貸倒見積高の表   

示方法も上に準ずる。  

有形固定資産の減価償却額の表示    有形固定資産の減価償却額は,各科目ど  

とに控除の形式で記載することを原則とす   る。減価償却額を控除した残額のみを記載   するこどもできるが,この場合ほ,減価償   却額を注記しなければならない。また,減   価償却額ほ,2以上の科目について−・托し   

有形固定贋産の減価償却額ほ,当該各資   て産科目紅対する控除科目として,減価償却  

引当金の科目で掲記しなけれほならない。  

ただし,当該各資産科目に対する控除科目   として掲記することが困経である場合に   は,これらの資産に対する控除科目として   

(8)

貸借対照表の用語及び様式について   ーJノ ー−  

11   

て記赦することもできる。   ー・托して掲記することができる。(減価   償却額を控除した残額のみを記戯するこ  

とほできない。)  

貸借対照表の形式  

報告式でなければならない。  

報告式でも勘定式でもよい。  

科目の配列法  

流動性配列法でも固定性配列法でもよい。 流動性配列法によらなければならない。  

継続性の原則   

継続他の原則は要求されていない。会計  会計処理の原則及び手続ほ正当な理由が   処理の方法を変更したときは,この変更が なければ変哀してほならない。正当な理由   軽微なものでないかぎり,注記すべきこと  によって変発したときはその旨,変更の理   な要求しているのみである。   由及びその変更が財務諸表に与えている影  

響の内容を注記しなければれはならない。  

財務諸表の表示方法も正当な理由がなけ   れは変更してはならない。正当な理由によ  

って変更したときほ,その旨及びその内容   を注記しなければならない。  

下竃己の資料によって,商法規則による貸借対照表と,財務諸表規則紅よる貸   借対照表を作成すれば,別表の通りである。  

昭和39年3月31日現在の決算整理記入後諸勘定残高(単位方円)  

現金及び預金   受取手形   売掛金   短期貸付金鵜1   繰越商品   毎期前払費用   建物   備品  

売掛金に対する貸倒引当金   300  

建物減価償却引当金   了,000   備品減価償却引当金   2,200   8,000   

13,00()   

15,0つ0   

1,000    20,000  

300    21,500    5.000  

支払手形嶋l  

貫揖金†5  

無期借入金瑚  

預り金≠7  

長期借入金絶島  

12,500    9,500   

12,000   

1,650    5,000   

(9)

鮨37巻 第1号   12  

帽・Jク ー  

営業権    借地権    長期前払費用    投資有価証券ヰ2    長期貸付金♯8    新株発行費    開発費    仕入  

退職給与引当金≠9  

修繕引当金   資本金   肇本準備金   利益準備金   碍評価積立金   別途横立金  

線地利益剰余金輿0  

売卑   官兼外収益   固定準産売却益  

〇. 〇  〇  ︵U  ∧>  0  0  0  0  0  0 〇. 〇  〇  〇  ▲U O O  5  0  0  5  

0  5  0  0  ︵U O  9  4  0  2  

0   0  1  3  2  5  3  

300   400   500    1,600    1,000  

501ド  650    48,000  販売費及び−・般管理費   8,150   営菜外費用   1,600  

水害損失   200  

*1このうち,B会社に対するもの800。  

*2、こ.のうち,A会社に対するもの1,000,  B会社に対するもの400。  

B会社紅対するもの200。  

B会社に対するもの500,C会社に対する   B会社に対するもの400,C会社に.対する  

*3 このうち,A会社に対するもの700,  

*4 このう、ち,A会社紅対するもの700,  

もの1,300。  

*5 このうち,A会社に対するもゐ300,  

もの800。  

*6 このうち,C会社より1,000。  

*7 このうち従業員より1,300。  

*8 このうち,役員より1,000。  

*9 労働協約に基づくものである9  

*10 前期の株主総会で繰り越された額。  

付記事項  

1当鱒は,A会社の発行済株式総数の51%を所有している。   

2 当社は,B会社の発行済株式総数の15%を所有し,事業活動の主要野分について,  

紘続的かつ緊密な関係を維持している0。   

3 C会社は,当社の発行済株式組数の18%を所有し,事業活動の主要部分について,  

紘続的かつ緊密な関係を維精している。   

4 当期の利益に対して納付すべき法人税,住民税の合計額は,当社の計静によれば,  

950方円である。   

(10)

貸借対照表の用語及び様式について   酎雷対照表t=.ゞ・jこい・・÷∴.;・  

昭和39年3月31日現在  

−J3   13  

資   産   の   部   負  債 }め 部  

36,600   12,500   9,500   12,000   950   1,650   8,000   5,000   3,000   

500   500  

Ⅰ 流 動 負 債   支 払 手 形   買  掛  金   短期借入金   法人税等引当金   預  り  金  

Ⅱ 固 定 負 債   長期債入金   退職給与引当金  

Ⅲ 引  当  金   修辟引当金  

Ⅰ流 動 資 産   現金及び預金   受 取 手 形   売  鱗  金   短期貸付金   商  

前 払 費 用  

Ⅱ 固 定 資 産   1有形固定資産  

建   物   備  

2 無形固定資産   営  菜  権   借  地  頼   長期前払費用    3 投   琴   投資有価郵券   子会社株式   長期貸付金  

Ⅲ 繰 延 資 産   新株発行費   開  発  費   合   計  

資  本  の 部  

20,000   8,000   1,000   3,000   2,000   7,700   5,900   450   1,350    7$,800  

Ⅰ 資  本一 金  

Ⅱ 法定準備L金   資本準備金   利益準備金   再評価積立金   皿 剰  余  金  

別途積立金   前期繰越利益   当 期 利 益   合   計  

注1  売掛金は,取立不能見込額300万円を控除してある。   

2 有形固定資産の減価償却累計額 9,200万円。   

3 長期金鉄債権のうら子会社分   700方。   

4 短期金銭債務のうち子会社分  1,000万円。   

5 長期金銭債務のうら役員分    1,000万円。   

(11)

第37巻 第Ⅰ号  

ーーヱ4−   14  

注のうち,有形扇定資,鱒期金銭債務等の総括的な名称の代りに,科目名を別記するこ   とができる。また,各科目ごとに金額を示すこともできる。   

注の部分を本文に入れ,詳細な記載方法にすれば,下記のよう になる。  

(1)売  掛  金   15,000  

壬葦倒引 当金   300   14,700   

(2)建   物   21,500   減価償却引当金  7,000  

備   5,000  

減価償却引当金 _些些  

(3)長期貸付金   子会社長期貸付金  

(41支 払 手 形   子会社支払形手   買  掛  金   子会社買掛金  

(51長期債入金  

役員からの長期債入金  

14,500  

0  0  0  0  0  0  0 0  0  0  0  0  0  ︵U 8  3  7  8  7  2  3   

1  9  

1  

日本公認会計士協会東京支部事業部が,証券取引所に株式を上場して−いる会社のうち.  

6ケ月を1会計期間とし,昭和38年10月に・決算を行った116社全部について調査したとこ   ろに.よれば,本文記磯方式よりも注記方式,それもー・括注記方式をとった会社が圧倒的に   多い。例えば,下記のとおりである。  

子会社,親会社(大株主)に対する短期又ほ長期の金銭債権又は依務   本文に区分して掲記したもの   8,4%  

科目別に注記したもの   96  

−・括   〃   82.0  

有形固定資産の減価償却累計額  

本文中で科目別に楼除したもの   l‖7%  

〝  −・括   か   95  

科目別に注記したもの   0  

−・指   〝   888   

(12)

貸借対照表の用語及び様式について    ・−J5−  

15  

貸借対照表  (財務諸表規則による)  

昭和39年3月31鉦現在   資 産 の 部  

Ⅰ 流 動 資 産  

預 金 及 び 現 金   受  取  手  形  

掛   金   貸 倒 引 当 金   短 期 貸 付 金   関係会社短期貸付金   商  

前  払  費  用   流 動 資産 合 計  

Ⅱ 固 定 資 産   1有形 固 定 資産  

57,000  

物   減価償却引当金  

ロ   ロロ   減価償却引 当金   有形固定資産合計  

5,000   2,200  

2 無形 固定 資産  

営   業   権   借   地   権   無形固定資産合封  

資   3 投  

投 資 有 価 証 券   関係 会社 株式   長 期 貸 付 金   関係会社長期貸付金  

投  資  合   固 定 資産  

Ⅲ 繰 延 勘・定  

討引   

合   20,600  

長期 前 払   新 株 発   開   発  

費  

封∵計  

合  合  用費費産  

行  次月  

紋資   延   1,200  

78,800   

(13)

第37巻 欝1弓  

…ヱ6−   16   

負 債 の 部  

Ⅰ 流 動 負 債  

支  払  手  形   関係会社支払手形  

掛   金   関係会社買掛金   矩 期 借 入 金   関係会社短期借入金   預   り   金   従業員 預 り 金   修r 絆 引 当 金  

流動 負債 合 計  

Ⅱ 固 定 負 債  

長 期 借 入 金   役員からの長期借入金   退職給与引 当金  

固:走 免償   負  侠  合  

封封  合  

資 本 の 部  

Ⅰ資  本  金   

(授権株数   1,000万株)   

(発行済株式数  400万株)  

Ⅱ 資本剰余金    資 本 準 備 金    再評 価税 立金  

資本剰余金合討  

Ⅲ 利益剰余金    利 益 準 備 金    別 途 積 立 金    当期末処分利益剰余金  

繰越利益剰余金期末残高   当 期 純 利 益  

利益剰余金合計   資  本  合  計  

負 侠 資 本 合 計   78,800  

(14)

ーーJ7−・  

貸借対照表の用語及び様式について  

5 長期前払乗用と繰延資産  

商法規則は,前払費用を,決算期後1年.以内に費用となるものと,決算期後   1年をこえた後佐賀用となるものとに区分し,原則として,前者を流動資産と   し,後者を無形固定資産とする。ただし,「当初1年をこえた後紅費用となる   ものとして支出されたものは,無形固定資産の部に記載することができる」と   いう緩和規定があるので,無形固定資産として記載される長期前払費用のなか   には,純粋の長期前払費用のはか紅,流動資産の部に記載されなかった短期前   払準用が含まれる。商法規則が流動資産の部と固定資産の部を区分する理由  

(1)  

が,流動比率,同定比率,流動資産対固定資産比率等の把握のためであるとす   れば,金額が僅少である場合を除き,決算期ごとに,その後1年以内に費用と   なることになった部分を,流動資産の部に移すこととすべきセあろう。   

長期前払費用に関する最も重要な問題点柊,商法規則がこれを無形固定資産   め部に記載しなけれぼならないと規定しているのに対して,財務諸表規則がこ  れを繰延勘定として掲記しなけれほならないと規定している点である。   

企業会計原則注解注15によれば,前払費用ほ,一・定の契約に従い,継続的に   役務の提供を受ける場合,未だ提供されていない役務紅対する対価である。企   業会計原則は,こ・の前払費用のうち,1年以内に費用となるものほ,流動資産   に属するものとし,1年をこえた後に∴費用となるものほ,繰延資産とともに繰   延勘定として記載するものとしている。   

財務諸表規則も,企業会計原則と同じ立場をとっている。ただし,改正前の   規定は,長期前払費用紅ついて−,「■繰延勘定として記載しなければならない」  

と定めているのに対し,繰延資産についてほ.,「繰延勘定として記載すること   ができる」と定め,その取扱を異に.して:いる。その理由は,前払費用が明らか紅   資産性(反対給付を受けるものとして)を持つものと解せられるに対し,繰延  

(2)  

資産は消極的な意味に.おい・てこれが認められるからである,とされている。こ   

(1)法務省民事局第四課長 味村治r 株式会社の貸借対照表及び損益計算書に関する規則    の解説」企業会計第15巻第5弓94頁  

(2)大蔵省理財局経済課 浅地芳年「財務諸表規則逐条詳解」昭32,107…108頁   

(15)

第37巻 第1号  

−∴徳 一  

の両者なともに繰延勘定として記載する理由として,両者ほいずれも,費用配   分の原則によって資産として記載されるのであるから,会計的立場からほ両者   を区別する必要lはない,と説明されて−いる。つぎに掲げるのはその−一例であ    る。「両者はともに経営目的達成のための努力を表わすものであり,現在は収   益に対応される費用ではないとしても,やがてはそれが収益に対応されるべき   運命紅ある。換言すれば未来の収益に.対応されるべき目的のもとに繰延される  

(こ;、  

未来の費用である点は,少しも異なるところがない。」   

商法規則が,長期前払費用を繰延資産と.厳然と区別して無形固定資産の部に   記載すべきものと定めたのは,つぎの理由による。すなわち,長期前払費用は  本来の資産であって,必ず貸借対照表に計上することを要し,資産でほないが   商法が特紅資産として計上すること.を認めた繰延資産とは,その本質を異にす  

く4)  

るからである。   

詳説すれば,長期前払費用の法的性格は,一億の役務の給付を請求する債梅   であるから,その資産性には疑問がなく,法律上の権利として貸借対照表資産   の部紅計上するこ.とほ当然である。87年改正商法に前払費用に.関する特別の規   定が設けられていないのほ,そ・の貸借対照表能力は,韓の規定をまつまでもな   いからである,と解されている。これに反し,繰延資産は,企業維持のための   実務上の要請に応え,商法が,特に純粋の資産に準じて資産の部に掲げること   を認めた擬制資産である,と考え.られている。こ.のように両者は資産性を異に   するから,長期前払費用ほ,繰延資産と厳に区別しなければならない,といわ   れている。   

前述のよう紅,財務諸表規則は,改正商法及び商法規則との矛盾を調整する   ため,昭和88年11月に改正されたのであるが,長期前払費用の取扱について   は,旧規則以上に,商法規則に対し鋭い対立を示すようになった。すなわち,  

改正規則において犠,長期前払費用も,商法規則のいう繰延資産も,同様に,  

13)黒沢満編 会討学 昭和29年68貫  

(41味村拾 前掲98,99頁   

(16)

貸借対照表の用語及び様式紅ついて   − ヱ9−  

19  

「繰延勘定に属するものとする」という表現に改められ,両者を全く同一・祝す   るという態皮を示している。   

わが国の財務諸表規則紅相当の影響を与えていると思われるアメリカの財務   諸表規則では,前払費用ほ.,その他の繰延項目と同一・のグル・−プに属するもの  

とせられ,「ただし,1年以内に受け入れるべき役務の前払は,第7項(その  

しTl)  

他の流動資産)に含ませてもよい。」と定めており,わが商法規則との距離ほ   更に遠い。アメリカでほ,古くから,前払費用を短期長期の別なく,繰延資産  

と同一・グル・−プに.入れる慣行があり,サンダー.ス・ノ\ットフィ・−ルド・モ・−ア  

(6)  

は,これを望ましい慣行であるとみている。比較的近年になっても,例えばマ   クファーランドほ,「前払費用は,企業の負債の返済にあてるべき現金をもた  

(7)  

らすものでほないから,繰延資産の分類のもとにおくことが望ましい。」と述   べて:いる。   

しかし,アメリカに於ても古くからこれと反対の意見を述べるものもあっ  

く8)  

た。例えば,デー・ラーー及びミラーである。彼等は,繰延資産という項目のなか   紅,あらゆる前払費用と,設立費,社債発行差金その他を含ませる方法が確立   され,一・般に固執されており,広く用いられることによって権威づけられてい   るようであるが,それが論理的であることを証明することは困難である,とい   う。彼等ほ,前払費用を概して短期のものと考え.て−いたようで,それは現金の   必要を少なからしめ,現金の必要を少なからしめることは,現金に転換し得る資   産と同等であるから,前払費用を流動資産のグループに入れることが望ましい  

と論じて−いる。ぺ−・トン・リットルトンも,繰延資産のなかに異質の項目を含   ませることを批判し,前払保険料,前払地代家賃等は,繰延資産と区別し,流  

(9)  

動資産又ほ半流動資産とすべきである,と論じている。アメリカ公認会計士協  

(5)Sec Regulation S−ⅩArticle5Rule5.02Balance Sheet17  

(6)Sanders.Hatfield and Moore,A Statement of Accounting Practice,Reprinted   in1959by American Accounting Association,p 77 

(7)GA・MacFaIland,Accounting Fundamentals,1947,p,15 

(8),.B.Taylor and H・C…Mi11er,Intermediate Accounting,1938pp.125−126  

〔9)NhA。Paton and A.CLittleton,AnIntroduction to Corporate Accounting    Standards,1940,p.74 

(17)

第37巻 第1号   ー、2り一  

会の会計原則も,前払費用を流動資産のなか紅含ませ,つぎのように・述べてい   る。「前払費用は,現金に転換されるであろうという意味において二流勤角藤なの   ではなくて,もし劇払されていなければ経営循環期間中に流動資産の使用を必  

(10)  

要とするであろうという意味において流動資産である。」   

以上のように,アメリカでほ,長年月に.わたって,短期長期を問わず,すべ   ての前払費用を繰延資産に含ませていたの■であるが,やがて,そのうち短期の   ものほ流動資産濫移されるようになり,長期前払費用は,通常極めて限られた  

L  

範囲のもの紅なるという事情もあって,特に取り上げて論ぜられるこ.ともな   く,繰延資産のなかに取り残された形である。わが財務諸表規則の立場は,こ   れに倣ったもののように思われる。   

長期前払費用を無形固定資産に所属せしめる処理は従来の一般慣習に.反し,  

(11)  

会封の−−・般概念を混乱せしめるおそれがある,という意見がある。しかしなが   ら,いたずらに旧来の慣行を勺てるのみでは進歩がない。正■しい理論の支持があ   れば,多年の慣行といえどもこれを改めるべきである。すでに,すべて繰延資   産のなかに∴包含されてごいた前払費用のうち,短期のものが流動資産に移された  

ところ紅その実例がある。とらわれない立場に.立って,長期前払費用の本質を   究明し,他の諸資産との比較を試むぺきであろう。   

ここで,まず明らかにしなければならないのは,商法学的資産概念と会計学   的資産概念との相違である。従来の商法学の多数説によれば,商法の計理体系   は財産法の原理に立脚するとし,貸借対照表の資産の部に.は,厳密に換価資産   価値を有する資産,すなわち,常識的な意義での資産のみ計上すべぎである,  

とされている。改正商法紅よって繰延資産の範囲が拡張せられる以前から,大   体つぎのように説明せられていた。「いわゆる繰延勘定を承認しているのは,  

これらは真実の資産ではなく,その実質は損失紅はかならないが,−・時に,こ   れを償却せしめたのでは,利益配当を困難ならしめるので,これを,とくに資  

(10)AICPA,Accounting ResearchandTerminologyB1111etins,FinalEditton,1961,   

pリ20.  

仙 井上達雄「新商法規則の問題点をめぐって」企業会計第15巻策6号27異   佐藤孝一イ法務省規則の若干項目について」同   60吏   

(18)

貸借対照表の用語及び様式紅ついて   ー2J−→  

21  

(12)  

産の部に計上することを認めるのである。」   

これに対し,近代会計学紅おける資産概念及びその貸借対照表価額は,用役   可能性概念,費用収益対応の原則及び費用配分の原則との関連において考えら   れている。古くは,1928年,スプレ」−グに.よって,「ある面からみれば,す   べての資産は,前に卑えられた用役の具現であり,また別の面からみれば,そ  

(1S)  

れは.,受け取られるべき用役の貯えである。」と論ぜられている。1940年,  

ぺ−−トン・リットルトンは,「勘定の背後にある重要な要素は,用役,すなわ   ち,交換されるとぎ,企業に他の用役可能性をもたらすところの用役可能性  

(一寸)  

(service−pOtentialities)である。」と論じている。更に数年後,ヴァツタ」− 

に.至ってつぎのように.なった。「資産ほ,将来における欲望満足を用役可能性  

(service potentials)の形で具現化したものである。このような用役可能性   は,将来において,変形,交換またほ貯蔵することができる。かかる資産を測   定するに.あたってどのような手続ないし方法が用いられようとも,資産は,用  

l1こ・)  

役可能性であって,有体物でも,法的権利でも,また,貨幣論求権でもない。」  

この見解は,1957年のアメリカ会計学会「会社財務諸表のための会計及び報告  

(18)  

基準.トにおける資産の定義のなかにとりいれられ,また,多くの会計学者によ   って支持されている。   

以上の意味における資産の原価のうち,費消せられた部分は費用となり,未   費消の部分は資産として.貸借対照表に計上せられる。−・期間の費用とすべき部   分と資産として次期以降に繰越すべぎ部分を決定する紅あたってほ,∵一・会計期   間の損益計算上,比較さるべき費用と収益との間に.は直接間接の凶果既係が存   在しなければならないという費用収益対応の威別に基づき,合理的に費用配分   

(1劾 石井照久「南畝」昭和26年350異  

同趣旨 松本誰治「増補.出師株式会社法」昭和24年169貫  

(13)ESpIague,The Philosophy o董Accounts,1923,p25  

(14)Paton and Littleton,OplCit・・,p 13  

(15)W.JlVattel■,The Fund Theory of Accounting andItsImplications Lor Fiq    nancialRepo工tS,1947,p,17  

t161AAA,Accounting and Reporting StandaIdsior Corporate Financial} State  ments,1957Revision,Section】Ⅱ,(Accounting Review,Oct.1957,p一538)   

(19)

第37巻 第1号    22  

ー 22 −  

を行なわねはならない。   

商法学的資摩概念と会計学的資産概念を比較するとき,債権者保護という商   法の目的を考慮するとしても,商法の資産概念は妥当でほないと思う。なんと   なれほ,債権者にとって重要なのほ,現在における企業の債務弁済能力ではな   くて,将来各債権の期限が到来したときに.おける債務弁済能力である。そして   債権者がそのことを判断するにあたっては,企業の収益力及びその動向こそ最  

も重要な資料となる。損益計算を公正ならしめるために・は,会計学的資産概念   を導入することが必要である。改正.商法が,資産評価の原則として原価主義を   採用したことは,継続企業を前提とし,上述のような会計学的思考紅つながる  

ことでなければならない。清算を前提とした上での債務の担保力を重視するな   らば,資産評価は,従前のとおり,時価以下主義によるべきはずであるからで   ある。   

ともあれ,長期前払費用は本来の資産であり,繰延資産はそうでないから,  

両者を厳然と区別するという商法規則の考え方に対し、財務諸表規則を支持す   る人たちからの批判の第1は,期間損益計算の立場からみれば両者は何等異る   ところはなく,1年を超しての費用配分である,ということである。しかしな   がら,この論法をもってしてほ,長期前払費用ほ繰延資産と同一・の区分におく   べしという主張は.なし得ても,長期前払費用と無形固定資産とを区別しなけれ   ばならないということにはならない。1年を超しての費用配分である点ほ.,無   形固定資産も全く同様であるからである。更に,有形固定資産も大体におい  

て−,1年を超しての費用配分項目であるから,流動資産,固定資産とならんで   繰延勘定という区分を設けること自体が矛盾であり,非貨幣的資産は,費用と  

して配分せられる期間の長短濫応じ,流動資産と固定資産の二つに区分すれば   よいことになる。また、前払費用をも含めた繰延勘定には、山・般の流動資産・  

園定資産とは木矧 内に全く興る特質があるというのであれば,短期前払費用を   も繰延勘定に属せしむべきである0前払費用は,期間の長短によって,その本   質に差異があるわけではない。One year ruleを適用して,これを流動資産と  

固定資産に区分するのであればよいが,短期前払費用ほ流動資産であるが,長   藍   

(20)

貸借対照表の用語及び様式について   ー23−  

23  

期前払費用ほ固定資産ではない,という多くの会計学者の主張は,甚だしく理   論の一骨隆を欠ぐものと思われる。   

資産に関する筆者の定義は,「企業が将来において受けうる用役の原価,な   らびに,このような原価に転換し得う諸要素の総称」ということである。ここ   紅いう「用役」は,役務よりは意味が広く,致益といったような意味であり,  

「受けうる」というのは,受ける可能性があるという意味である。したがって  線延資産の資産性を認める。こ.の点,商法規則とは見解を異にする。に.もかか   わらず,長期前払費用に関する財務諸表規則の取扱紅も反対である。 / 

資産のなかには,種々本質を異にするものが含まれている。これらを貸借対   照表に表示するにあたってほ.、それぞれの本質に応じ適当に区分しで表示する  

ことが,明瞭性の原則にかなうJ所以である。長期前払費用と繰延資産とが,そ   の本質においで大いに異るところがあれば,、当然,両者を区別して表示すべき   である。   

資産の定義に将来とか,可能性という意味を含ませたのは,資産はある程度   の不確実性をもつということを表現するためでもある。この資産としての確実   性という点紅おいて,前払費用と繰延資産では,大きな差異がある。   

例えば,ある企業が,経営上必要とする建物を、借地の上紅建て,地代ほ月   50万円,5ケ年分前払という条件で,ある会計年度末に3,OCO万円を支払った  

とする。この場合,この前払費用のうち,600万円は流動資産であり,2,400万   円は固定資産であり,かつ,′その資産としての確実性ほ,他の如何なる流動資   産・固定資産にも劣らないものと考えることができる。これによって,その後  

5勾三間,遺加支払を必要とすることなく,確実にその土地を使用し得るのであ   るが,このことは,そ・の土地の使用が絶対に必要であるとすれは,1年以内に   現金化し得る資緒600万円と,その後4年間,1年ごと紅現金化し得る資産各   600万円引2、400万円を所有することにひとしい。(後払の場合の地代ほ,月50万円  

よりも高くなるであろうがその問題ほ別として)   

これに反してニ,株延資産のなかには,その資産としての確実性において大い   に劣るもの,ないし,それから期待し得る歎益が疑問である場/告が少なくな   

(21)

24   第37巻 第1号   

−−ヱJ1−  

い。例えば,同額の社債を発行するにあたって,A礼はB祉の10倍の社債発行   費を要したとして−も,これ紅よってA祉の得た資金が,B社の得た同額の資金   の,10倍の経済的数益をもたらすことにほならない。株式発行費・設立費等に二   ついても同様である。試験研究費・開発費等も,結果的に,はとんど経済的救   益をもたらさないということがあり得るであろう。   

以上のように,資産としての本質において相当異るところがあるから,前払   費用ほ、繰延資産と区別し,それが費用として配分せられる期間によって,流   動資産と固定資産に.区別すべきである。   

固定資産が,有形固定資産・無形固定資産・投資紅8分類されている場合,  

長期前払費用を,そめいづれに属せしめるぺきかということになれば,無形固   定資産が適当である。無形固定資産をどのよう軋定諭するか軋もよるのである   が,無形固定資産に対し長期前払費用を包含し得ないような定義が与えられる   ならば,投資の次に第4の項目として長期前払費用を加えてもよいであろう。  

しかし,営業権が無形固定資産と認められるならば,それ以上紅確実な資産性  

(17)  

をもつ長期前払費用は.,当然,無形固定資産に属せしむべきであろう。   

「固定資産は設備であり,無形固定資産も無形ではあるが設備的意味をも  

(18)  

つ」あるいは,「固定資産は設備として役立つものであり,前払費用は時の経  

(19)  

過によって費用紅転化するものである。」との理由をあげて,長期前払費用を   鱒形固定資産とするこ.とに反対,ないし,疑問を示す意見がある。   

筆者の見解に.よれ畔,流動資産と固定資産の分類は,資産の流動性を基準と   するものである。設備的意味をもつということが,固定蟄藤の条件であるとは   考え.ないのであるが,かり起それを認めるとしても,例えば,期間2年の預金   が設備であって,5年分の前払地代が設備ではない,ということにはならない   であろう。また,時の経過によって費用に転化することは,前払費用紅かぎら   ず,通常の無形固定費蕗でも,土地を除く有形固定資産でも,同様である。   

㈹ 同説 山村忠平「新商法規則の問題点匿ついて」企業会計第15巻節6号   11甜 井上達雄 前掲論文  

㈹ 太田哲三「貸借対照表および損益計算書の法定様式」企業会計第15巻第5号123真   

(22)

貸借対照表の用語及び様式について   ・−2∂−   

25  

かくして,長期前払費用は,繰延資産と区別し,無形固定資産に属せしむぺ   きであるという結論紅到達した。結論においては,商法規則の規定と⊥一致する   のであるが,前述のとおり,論理の過程を異にする。財務諸表規則も同一の立   場をとり,結果的に商法規則に一致することを希望する。それは,財務諸表規   則の目的からみても,決して後退ではなく,むしろ前進であると考える。  

4  

引  当  金  

商法第287条ノ2は,「特定ノ支出又ハ損失二備フル為二引当金ヲ貸借対照表   ノ負債ノ部ニ・釘上スル」ことを認め,これと関連して,商法規則において,負   債の部は,流動負債・固定負債及び引当金の各部に区分しなければならないこ  

と,および,商法第287粂ノ2紅規定する引当金は,引当金の部に記載しなけれ   ばならないことが定められて−いる。ここであきらか紅しなければならないの   は,企業会計原則・財務諸表規則および従来の会計慣行が,負債の部を流動負   債と固定負債叱二・分するのに対し,商法および商法規則が何故に別に引当金中  

継を設け,そこに.どのような内容のものを記載せしめようとしそいるかという   こと,鱒よび,それに対する批判である。  

(20)   

法務省関係者の説明に.よれば,ここ.紅いう引当金は,評価性引当金を含ま   ず,負債性引当金のみを指すものとされ,修繕引当金・価格変動準備金・特別   償却引当金・準水準備金・創業40周年記念事業引当金等が例示されている。   

しかし,実は,ここにいわゆる引当金は,会討学上の負債性引当金とはその   内容な異にする。サーなわち,第1の相違点は,会計学上の負債性引当金のう  

ち,商法のいわゆる本来の負債に相当するもの,すなわち,,納税引当金,労働   協約による退職給与引当金等の法律上の債務は,流動負債の都又ほ陸定負債の   範に記載せられ,引当金の縄には記載されない。このことほ,法務省関係者の   つぎの説明によってこあきらかである。  

「負債の縄に記載すべきものほ,負債と商法第287粂ノ2紅規定する引当金   に限られる。負伐とは,およそ他人に対して糾iユする債務であって,条件什で   渕 上田明信,吉田局,味村治 株式会社の計算25貢,59頁   

(23)

第37巻 第1号  

ー26一一   26  

あると否と,期限が確定していると否とを問わない。従って,当期の利益に.対   する法人税,労働協約等により支払義務を負っている退職給与金等も負債紅属  

し,貸借対照表の負債の部に封上しなければならない。しかし,商法第287粂   ノ2に規定する引当金ほ.,負債でほなく,貸借対照表紅計上す−ると否とは任意   であるから,負債の部ほ,本来の負債を記載する流動負債の部と固定負債の  

(21)  

恥 負債でない引当金を記載する引当金の郭紅区分されたのである。」   

商法の引当金と会計学上の負債性引当金との相違点の筍2は,前者の内容が,  

さきに引用した法務省関係者の説明のとおりであるとすれは,そのなかにほ会   釘学上の負債性引当金にほ該当しない項目が含まれていることである。例え.ば  

さきに/例示されている引当金のうち,価格変動準備金・特別償却引当金・渇水   準備金等は,会計学上負債性引当金とは考えられないものである。   

本来,負債性引当金は,金額または支払先,もしくほその両者が確定してい   ないが,将来支払を必要とする原因となるぺき事実がすでに発生している場   合,期間損益計算を公正ならしめるため,費用収益対応の原則に基づき,各年   度の負担すべぎ額を費用紅計上するととも紅設けられるものである。   

価格変動準備金・特別償却引当金等ほ,決して上の条件をそなえるものでは   なく,単なる税法上の特典として,その設定が認められるに過ぎない。その実   質は利益剰余金というぺきであろう。渇水準備金は,電力会社において,公益   事菓令紅基づく命令によって,豊水期で利益の増加する年度に,渇水期にそな   え/てこ設定する引当金である。渇水準備金紅繰入れた金額ほ損金紅算入し,渇水期   で費用の増加する年度に益金に戻入れる。ある年度紅降雨恩が多く利益が多額   であったという事実をもって,将来多額の燃料費の支払を必要とする原因とな   るぺき事実とはいえないから,これは,負債性引当金というよりは,むしろ,  

利益平準化のための損益調整勘定したがって利益剰余金の叫・揮というべきであ  

(:〜2)  

ろう。このことは,筆者が,つとに,指摘したところであるが,企業会計原則   が,これを流動負債としていたことは,遺憾であった。しかし,昭和38年11月   

ほ1)上田,吉田,味村 前掲苔57真   t22)拙著 会封学新講 昭和36年   

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