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英語科教育分科会

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Academic year: 2021

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英語科教育分科会

 咋年は「教科内容の研究」をめぐる問題点なり,研究方向として,6新しい言語理論と 英語教育,⇔心理学からのアプローチ,㊨教室における実践的研究,鵬母国語,母国語教 育との関連,岡研究体制の問題(言語教育としてのグルーピング)をとりあげたが,本年度 はこの中の特に⇔に焦点をあて,付属校を中心とする多年の実証的研究の成果こそ,「教 科内容」を考察する上での基本的な視点である,という考え方に立って討議を進めてきた。

 付属屈側から提出された中心テーマは,能力差に応ずる指導の徹底を標榜する改訂学習 指導要領にもとずき,指導計画作成にあたって「指導内容をいかに精選するか」という問

題である。 The success of the iesson depends upon the teacher s skiU in the selec−

t1on of the mat erial, in the methods employed, in providing suitable activities,

and in getting the pupils to pu亡fefth their greatest effort.  という Theodore.

Huebenerのことば(Hew. to Teach Foreiga Language Effecti▽ely)をかりるまでも なく,指導内容の選択は学習指導の成否を決する重要な鍵の一つである。ましてや能力差 に応ずる指導計画の立案にあたっては,いかに指導内容を精選するか,また精選された内 容をどのように拡大し,どこまで発展させるかが追求されねばならない。もちろん,指導 計画に盛られる内容としては,言語材料の選択と配列のみにとどまらず,それをどのような si亡uationの中で与えていくかという場面構i成,さらにはどのような学習活動を通して指 導するかという言語活動の選択と構成もふくまれるわけであるが,本稿では「言語材料」

のみについて精選のための基本的立場や具体的な手続きなど,討議の要点を記して分科会 の報告にかえたい。

 (一)教材の構造化と精選

 ここ数年来,現場の授業改造に大きな方向づけを与えているものに,広岡亮蔵氏を中心 とする「教材の構造化」理論がある。教材の構造化という場合,大別すれば,プつの教材

(単元)内の操作に限る微視的な立場と,広く教育内容全体について統一的構造を求めよう とする巨視的な立場とがあり,後者はむしろ「教育内容の現代化」としてとらえるべきで あろうが,両者に共通することとして驚異的に進歩発展する現代科学技術に伴う知識や教 材の大量化に対応する「教材の精選」というねらいをもっことに注目したい。広岡氏によ れば,教材構造は教育内容の現代化につながる問題であるとして,現代化の立場に立って 単位教材をながめる。そしてまず,その核心をなすものをできるだけあざやかな姿でとり

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だすときに,これをその教材の「中心観念」と名づける。つぎに,この中心観念の照明の もとに,教材内容の主要な諸脈絡を洗いだして,これをその教材の「基本要素」とする。

こうして中心観念と基本要素からなる根幹的な仕組みが教材構造なのだ,としている(「授 業改造」明治図書)。 たとえていえば,教材構造とは中心観念なる根と,基本要素なる幹 とによって構成された,学習内容の立体的骨格であるとし,英語科における具体例として は次のようなものをあげている(同書)。

 単元「一般動詞とWhen」(中学1年)……例When does he ski?

  中心観念……時をたずねる疑問副詞にひきいられた文   基本要素……1. 文型決定要素〜時をあらわす疑問副詞         2.基本文型〜疑問副詞+助動詞+主語+動詞

        3. 具体文型〜人称(1.2.3人称),数(単数,複数),時制(現在)

 能力差に応じた言語材料を精選するにあたっては,このような構造化の考え方も一つの 背景として参照しながら,さらに付属校独自の基本構想をうちだしていく必要がある。

 (二) 言語材料精選のための基本的観点

 言語材料といえばふつうには音声・文・文型。語および連語e文法事項・文字および符 号があげられるが,これらを精選するにあたっては,少くとも次のような観点から基本的 に検討されねばならない。

① 系統性

 能力差に応じ,特に学力の劣る者に対しては,言語材料を思いきって取捨選択し,枝葉 末節を遠慮なく切り捨てる操作がなさるべきであるが,そうして洗い出されたessentialsと essentialsとの闘に,なんらの関連も発展もみられないような,いわゆる系統性までをも消 失させてしまう危険をじゅうぶん警戒する必要がある。あるLessonの中の3つの新出文型 を1つにしぼって与えることだけでは精選したことにはならない。それを次のLessonにど う関連づけ,いかに反覆させるかということが,指導計画作成のポイントになってくる。

② 難易度

 言語材料の配列について「易から難へ」ということがよく言われる。簡潔なもの,規則 的なもの,一般的なもの,具体的なもの,などを先にし,複雑なもの,不規則なもの,特 殊なもの,抽象的なもの,などをあとまわしにするという意味では大事な原則ではあるが 難易度というのはあくまで学習者の受けとめ方にかかわる問題である。教師側が易しいと 判断した文法事項に意外と抵抗があったり,難しいと思う語いがあっさり受けいれられる 場合もある。能力差に応ずる言語材料を選択する際は,特にこの難易度の判定には慎重を

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期し,生徒の実態を適確に把握することとあわせて,言語材料の頻用度とgradationの関 係を検討せねばならない。

③興味づけ

 精選した内容が無味乾燥で,学習者の生活経験や知的レベルとかけはなれたものであっ てはならない。限られた語い,文型の中で,どうしたら生徒の興味関心をひきつける内容 を盛りこむことができるか,生徒の心理に鋭く迫る指導内容はどうあるべきか,がくふう されねばならない。数個の独立した短文を暗唱させた場合と,構文を変えずにその短文を 相互に関係づけて,1つのまとまったstoryに書きかえて暗唱させた場合とでは,後者の 方がはるかに記憶の持続時間が長いという実験例もある。言語材料の精選は,魅力ある内 容構成という方向へ進められねばその意義を失う。

 (三) 言語材料精選のための基本的手続き

① 新指導要領における教材系列の把握

 改訂された「中学校学習指導要領」の基本方針の中で, D指導内容を基本的事項に精 選集約すること,2)生徒の能力適性に応ずる教育の徹底を図ること,の2点は大いに注

日されるところである。あわせて,外国語に関しては,D選択教科である,2)授業時 数は各学年105を標準とし,弾力性をもたせる,3)学習内容を精選する,ということなど が示された。こうして誕生した新指導要領には,言語材料がいかに選択配列されているか を,構造的に把握しておくことは不可欠な手続きの一つである。

 D音声 従来の,標準的な発音,文の抑揚,語のアクセントに加えて,あらたに文の くぎり(breath grouping)と文の強勢(sentence stress)が加えられ,かつ,国際音標 文字が従来第2学年で「みて発音できるようにさせる」こととなっていたのに対して,「読 み方を指導してもよい」と改められた点に注目したい。これらは能力差に応ずる指導の実 際場面において,教育機器の利用と関連づけることによって計画化せねばならぬし,発音 記号も,あらためてその体系的な指導の手順をくふうする必要がある。

 2)文 第1学年は単文が原則となり,感嘆文が第2学年に移され,疑問文のうち助動 詞で始るものを,Can, DoおよびDoesで始るものに限定している。第2学年では,疑問 文のうち助動詞May, Mustなどで始るものや,命令文のうちBe動詞およびDon tで始る

ものが第1学年から移され,感嘆文はHowおよびWhatで始り,動詞の現在形で終るもの および文の後半が省略されたものとなっている。第3学年では,付加疑問文を除いてその 他の定めが削除されている。指導計画の作成に際しては,このような学年配当の変更なり 削除なりを一つの示唆として,付属校の実態に応じた発展的系列を織りこんでいきたい。

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 3)文型 指導計画を考ズるにあたって,基本文型とそれにもとずく文例の精選が,能 力差に応ずる重要な足場となってくる。従って,たとえばS+V+Cの文型では,(1年)

S+V(be)+C(noun, pronoun, adjecti▽e)一→(2年)S÷V(be以外)+C(noun)

一〉(3年)S+V(be以外)+C(adjective)のごとく,5種36類から5種28類に精選 された文型のそれぞれについて,発展的な配列を図式化して把握しておく必要がある。

 4)語および連語 従来の新語の総数1,100〜1,300語が950〜1, 100語にへり,必須語い の520語が610語になった。特にこの必須語いについては,3ケ年聞でproductionまでにも

つていくものと考えれば,使用教科書とにらみあわせて,その1つ1つについて提出時期 と頻度を検討し,いつ,どこで反覆練習の機会を与えるかを,文型との関連において計画 化せねばならない。

 5)文法事項 あらたに接続詞の項が追加されて,その学年配当が示されたこと,受け 身の形の完了形・仮定法が削除され,分詞構文ab話法も文型としてはその基本的なものを 取扱えるが,文法事項からは姿を消したこと,ここでも学年段階の傾斜をゆるやかなもの にしようとする配慮がみられること,などが特色であろう。特に第3学年の※印の取扱い は,文型・語いと並んで,学習の遅れがちな生徒にどこまで要求するか,現場での実践的 研究こそ,その到達度を決定するものである。

 6)文字および符号 符号の学年配当に,やはり計画的な指導のねらいがうかがえる。

② 使用教科書の分析と再編成

 現行教科書のどれをとりあげてみても,言語材料の選択と配列には細心の注意がはらわ れており,かつ,系統的発展もかなり:考慮して,少くとも一つのLessonの中にあれもこれも 盛りこむような総花的編集は影をひそめている。Basic Expressionsなi) Key Sentencesが Lessonの前面に押し出され,本文にも限られた語いの中で学習者への心理的配慮にもと つくstoryの展開がくふうされ, Exerciseにはvarietyをもたせ,各種chartから付属教材ま で至れりつくせりである。にもかかわらず,教科書の過密化が叫ばれ,教材精選の声はま すます高まりつつあるのが現状である。能力差に応ずる指導計画の立案にあたっては,新 指導要領にもとつく新教科書の出現を待つまでもなく,前述の基本的観点に立って,新要 領の示す方向をふまえながら,使用教科書の分析とその結果にもとつく再編成の仕事にと

りかからねばならない。

 1)能力別再編成をめざす各Lessonの分析

 能力差に応じて,かりに上・中。下位グループ別にLessonの内容を分析するとなると,

次のような角度から再編成されよう。

(a):Lessonのねらい,(b)本文に先立つ導入部分,(c)本文(言語内容,題材内容),(d)練習

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問題,(e)さし絵・脚注・Review・巻末付録,(f)以上を総合した教材全体の分量,分節区 分,系統性など。

 2)minimum essentialsの洗い出しと取扱いの軽重.

 生徒の実態、や教材の使用頻度を考慮して,付属校独自の基本文型集や必須語い集の作成 にすぐ取組むが,その際これらをさらに能力別に細分化してその到達度を設定すると同時 に,どの段階にproductionを要求し,どの段階をrecognitionにとどめるかを明確にしてお

く。例を文型にとって,Junior Cr◎wn, Book ll, Lesson 3の場合, He wiH live in Greenfield for one year. I won t talk abeut Christmas. Sha11 we go to the movies〜Will you take Tom to the parade?などは全員対象のproduction文型とし Who are we going to have?は上位のみにproductionを要求し,中。下位はrecognition にとどめる,というようにおおよそのめやすを設定する。

 その他,3)本文再編成の方法,4)教材配列の変更と補充教材の問題,などが討議され たが省略する。

 以上のような討議をとおして,精選集約された点心材料を,実際の授業の中でどのよう に活かしていくか,実演授業を中心にした共同研究を企画していたが,諸行事錯綜のため 本年度はその機会を失した。「移行期における教科教育」をテーマとする付属二二の来年 度の実証研究を期待したい。

      (英文研究室 仁平有孝)

参照

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