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新潟県の郷土食に関する研究(第8報)*

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(1)

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新潟県の郷土食に関する研究(第8報)*

佐渡の飯,餅だんごについて(その2)ダンゴ,マキ類(2)

本間伸夫,渋谷歌子,石原和夫,佐藤恵美子

        (1980年6月16日 受理)

Foods and Meals in Niigata Prefecture (VIII) 

Dango and Maki in Sado Island (2) 

Nobuo Honma, Utako Shibuya, Kazuo Ishihara, Emiko Sato

      緒     言

 前報1)に引き緯き,佐渡のダンゴ及びマキ類についての調査のうち,製造のための材料及び方法に ついてまとめた結果を報告する。

      調 査 方 法

 前報1)と同時た行ったもので,調査項目は前報第1表に記載してある。調査方法,その他,すべて 前報と同一である。

      結果及び考察

 調査結果を第1,2,3表に示した。

1)解  答  数

 質問カードに示したNo.1〜20のダソゴ・マキ類について,その解答は前報1)では,名前を知って いるのは延べ241,作り方も知っているは延べ199であった。第1表に示した如く,更に具捧離な鉾

り方の解答は延べ186,平均31.0%で更に減少した。

 その他のダソゴ・マキ類については100%製造方法の記載があった。

2)原 料穀 粉

 ほとんどが米粉であるが,葡麦粉,黍粉,小麦粉も使われている。米紛もシぜナなどΦ不良米や玄

*前報は文献1)。

(2)

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(3)

新潟県の郷土食に関する研究(第8報) 一12ヱー 米の粉も使われている。雑穀類や不良米を使用したものはすべてダンゴ類であり,その大部分はおや つ及び節米のために食されている。

 モチ米粉はマキ類(5,6,7,21,24,26),オコシガタ,ヤセウマ類(9,20),迎えダソゴに

使鳩すべてウルチ米粉と飴して飾訪ている・その伽ヤメダソ弍グキダソブ唖使わ

れている。概してモチ米粉は祭り事や祝い事のためのダンゴ・マキ類の原料となっている。

 枕ダンゴは色が白い方のは好まれない1) 2) 3) 4)ので主として玄米粉でつくられる。この習慣は広く 行われており,越後でも認められている4 5)。

 悪い米と一してまとめてあるのは,シイナ米や砕け米などである。、メカスダソゴ及び黒米ダソゴはシ イナダソゴの別名であるという前報1)の結果はこの事と関連がある。

3)餅一草.な.ど

 餅草類は全般にあまり使用されていないが,国仲地区でkキ類にかなり入れられている(第1表)。

越後で多量に作られる笹ダソ,ゴにもち草は不可欠である。その他ヨモギダンゴ6),田植えのコビルダ ンゴ6)にも使われている。

 山ごぼうの葉の使用例が認められたが,越後の笹ダソゴにも主として中越地方でかなり使用されて

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4)ア  ン  類

 質問カードには粒アンと漉しアンと区別したが,多くの鯉答で両者の区別演明確でなかったので一 緒にして示した(第1表)。アンを中に入れるのは,オコシガタ,ゴロマキ,タイゴロウ,シンコウ であるが,入れない場合もある。雑穀や不良米を用いるダンゴ類はアンを入れたり,まぶしたり,キ ナコをつけたりで一定ではない。アヤメダンゴには葛アンをまぶすという特徴がある。

 これらアン等を全然用いない事が明瞭なのは,クジラダンゴ,ヤセウマ,枕ダンゴ,迎えダンゴで

ある。

5).包む,敷くなどの材料と方法

 結果を第2表に示した。包む・敷く材料で最も多いのは椿の葉29(38.7%)であり,次いで茅の葉 20(26.7%),笹の葉18!24.0%)であった。その他柏の葉5(6.7%o),インミラの葉,蘭の葉も用い

られている。蘭の葉はどんなものか不明である。

 椿の葉を用いるのは佐渡の特徴であらて∫ 薪潟県全体について先に行った調査6)では,越後で椿の 葉を用いる例はなかった。佐渡は比較的暖かく椿の大木が多いので,身近かで容易に入手でき得るた めと考えられる。

 茅の葉の多いのも特徴的で・越後側でのダンゴ・マキ類に用いられる例をみない6)。越後での包装 材料はほとんど全部が笹の葉であるといって良い。

 椿の葉は主としてオコシガタとシンコウに用いられており,茅の葉はマキ類にのみ用いられてい る。笹の葉は広く種々のダソゴ・マキ類に用いられている。

 包む・敷くなどの方法をみると・包む・敷くなどをするのは合計77で,この内容は包んでしばるが

(4)

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(5)

新潟県の郷土食に関する研究(第8報) 一123一

33(42.9%),挾む1(1.3%),敷く39(SO. 6e.1),串にさす4(52%)で,敷く場合が多いのが特 徴である。包まない,敷かないの合計が121で全体の61.1%を占めている。

 敷く場合39のうち椿の葉が29(74.4%),笹の葉10(25.6%)である。椿の葉はすべてが敷くのに 用いられているのは,その形や硬さのためと考えられる。笹の葉は55.6%が敷くのに用いられ,残り はすべて包んでしばるのに用いられている。

 柏の葉は5例のうち1例が敷く(キビダソゴ)に用いられ,他は包んでしばるに供されている。い ばら*の葉は挾むと敷くに用いられており,この葉は椿の葉より柔かいので挾む形で使えるものと考 えられる。

 串さしはアヤメダンゴにのみ認められた。

6)形,デザインなど

 結果を第3表に示した。全合計170のうち丸形は131(77.6%),長三角形8 (4. 7%),正三角形 3(1.8%),四角形1(0.6%),その他27(15.9%o)でっあた。長三角形はマキ類にのみ見られ,こ れに類似した形のその他に分類されている長楕円体(ゴロマキ,タイゴロウ),卵形(タイゴロウ),

半円形(タイゴロウ)を合わせると22(12. 9%)となりすぺそマキ類である。この事からマキ類は長 楕円体形(長三角形などを含む)が普通の形である逆,その他に丸形,正三角形,四角形も少数派な がら存在していることになる。

 丸形は最も多いが,この中には球形,球を潰した形(丸平形)及び低い円柱形が含まれている。調 査では明確ではないが,球であると考えられるのはアヤメダンゴ2)及び枕ダンゴである。枕ダソゴは 球形のダソゴを16ケ死者の枕元に供えるものである2)。丸平形があるのは蕎麦粉ダソゴ,黒米ダン ゴ,ミヤゲダンゴ等であるが,前二者には焼く場合があるので,球をかなり潰した形と考えられる。

 低い円柱形は円板形とでも云うべきもので,長円柱から切り出す場合(クジラダンゴ,ヤセウマに その例が見られる)には当然の事ながらこの形となる。調査では明確ではなかったが,クジラダンゴ

とヤセウマの丸形はすべてがこの円板形であると考えられる。

 オコシガタは押し型を使う独得なものであるが,シンコウもまた押し型を使う場合がある。押し型 の模様は花,果実,魚等であるが他にも稚々のものがあると考えられるので大変興味深い。形の他に 食用色素で彩色し,椿の葉を敷くなどの演出があるので,見るだけでも楽しくなるダンゴではないか

と考えられる。

 クジラダソゴもヤセウマもまた大変ユニークでかつ楽しくなるものである。図案の一例を第1図に 示した。

7)加熱,ねせる

 結果を第3表に示した。各種加熱の他に生のままがあり,全合計199のうち,ゆでる70(35.2%),

蒸す118(59. 3%),焼く7(3.5%),生のまま4(2.0%)であった。ゆでる割合の高いのはフブキ

*さるとりいばらSmiiax China,ユリ科の落葉低木,長さ3〜12㎝,巾2〜10㎝の円形,広卵形,広鶯楕円形

 のi葉をつけるS)。

(6)

第1図 お新子(しんこう,ヤセウマ)の図案(畑野町,土屋窓氏による)

ダジゴ,枕ダンゴ,蕎麦粉ダソゴ,黍ダンゴである。焼くのは蕎麦粉ダンゴと黒米ダンゴにみられ,

その大部分はホーロクを用いる。生のままは枕ダソゴにみられ,玄米を用いるなどと共に独得なしき たりと云える。

 ねせるはマキ類で行われ,2〜4日間室温又は暖かい所に放置した後蒸すもので,表面に生えたカ ビなどにより着色し,甘くなり,独得な風味が生ずるものと考えられる。

       ま  と  め

 前報に引き続き,佐渡のダソゴ・マキ類について調査したもののうち,製造方法に関する事項をま とめて報告した。

 27種類のダンゴ・マキ類の原料穀粉としては大部分が米粉であるが,その他に小麦粉,蕎麦粉,黍 粉も使われている。米粉はモチよりもウルチが多かった。更にシイナ,玄米なども使用されている。

 餅草などはマキ類に用いられているが,全体としては多くない。アソ類としては,小豆アソの他 に,葛アソ,塩味アソ,キナコ,味噌なども使われている。

 包む,敷く材料や方法に特徴があり・椿の葉及び茅の葉がよく用いられ,用い方としては敷くが最 も多く,包んでしばるより多かった。敷くには椿の葉と笹の葉などが用いられた。

(7)

一125一

新潟県の郷土食に関する研究(第8報)

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(8)

形は,マキ類では大部分が長楕円体或いはそれに類する形であった。いわゆるダソゴ類は球形,潰 した球形,円板形であった。押し型を用いるものも多かった。

 加熱は蒸す,ゆでるが大部分であったが,一部で焼くがあり,特殊なケースとして,枕ダソゴでは 生のままというのがあった。

 マキ類の一部では加熱する前2〜4日間ねせる場合があった。

 報告を終るに当り,本調査に御回答を寄せられた方々,調査に協力して頂いた佐渡出身本学卒業生 及び在学生に深謝致します。        、

      文     献

1) 頭間伸夫,渋谷歌子:県立新潟女子短大研究紀要,No. 17,105(1980)

2) 山本誠之助 :佐渡ρたべもの,食品衛生協会佐渡支部,相川(1973)

3)浜ロー夫:佐渡の味,野島出版,三条(1979)

4) 新潟県大百科寮典,新潟日報事業社,新潟(1977)

5) 山口賢俊,日本の民族一新潟,第一法規出版,東京(1976)

6) 渋谷歌子,本間伸夫,佐藤恵美子,石原和夫:県立新潟女子短大研究紀要,N(). 16,153(1979)

7)渋谷歌子,本間伸夫,佐藤恵美子,石原和夫:県立新潟女子短大研究紀要,No.16,143(1979)

8)世界大百科事典,平凡社,東京,(1965)

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