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平 元 泉* 石 井 範 子* 高 橋 美砂子**

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原 著 :秋 田大学医短紀要 7 :41‑47,1 999.

デモ ンス トレーシ ョンの方法 による基礎看護技術 の到達状況の比較 一 臥床患者の足浴 を通 して ‑

A Compar at i veSt udy oft heLear ni ng Nus i ng Ski l l s on Me t hod ofDemons t r at i on ;Pr ac t i c eofFootBat h

平 元 泉* 石 井 範 子* 高 橋 美砂子**

佐 藤 ヨ シ** 難 波 はつ子 ***

I z umiHI RAMOTO * Nor i ko l sH I I * Mi sako TAKAHAS HI **

Yos hiSATO ** Ha t s uko NANBA * * *

Ⅰ. はじめに

われわれは先 に,看護技術 の校内実習 におい て,効果的なデモ ンス トレーシ ョン ( 以下,チ モ)の方法 を検討 した。学生への説明 を中心 と す る従来の方法 と,患者への説明が中心の方法 の二つの方法 について,学生の到達度の比較 を 行 った。その結果,基本動作 の到達度 には差が ない ことや,患者への説明が中心のデモ を実施 した学生の方が,患者への配慮 のための言語数 が多いことか ら,効果的なデモの方法であると の示唆 を得た 1 ) 。 また,進学課程の学生 を対象 に,「 洗髪」 の校 内実習で情意的側面の到達状 況 を,患者 に対 して発 した言語数 として評価す ることを試みた。その結果,准看護婦養成所 出 身者 ( 以下,准看)が,高等学校衛生看護科出 身者 ( 以下,街着) より,患者‑の配慮のため

の言語数が多い ことが明 らかになった

2)

。 そこで,効果的なデモの方法 をさらに検討す るため,「 足浴」 について も同様 の調査 を行 う ことに した。 また,准看や街着 とい う進学課程 入学前の教育背景 によって,デモの効果 に違い があるかについて比較 を行 った。

Ⅱ. 方 法

1.対象 :秋 田県内A 看護学校 2 年課程 1 年 生44 名 ( 女子42 名,男子 2 名)

2.方法 : 「 清潔」の単元で講義終了後 に校 内実習 を行 った。

1) 実 習項 目は 「臥床 患者 の足 浴」 と し,

「 臥床患者の清拭」 と組み合わせて実施 した。患者 は 「 2 0 歳女性,ベ ッ ド上安静 が必要 な患者」 と設定 した。

秋田大学医療技術短期大学部

*看護学科

**秋田県立衛生看護学院看護科

***今村病院

Ke yWor ds: 基礎看護技術 , デモ ンス トレー シ ョン,足浴

‑ 41‑

(2)

2 )対 象 を無作 為 に 22 名 ず つ 2 グルー プに分 けて, 別 々の時 間 に校 内実習 を行 った。

3 )校 内実 習 の際 には,学生 の実施前 に教 員 が デ モ を行 った。 デモ の方法 は二 通 りと

した。一 つ は,学 生へ 説 明 をせ ず ,患者

‑ の対 応 を中心 とす る方 法 ,他方 は従 来 通 りに学生 に対 す る説 明 を行 い,患者 へ の対 応 を適宜 入 れ る方法 と した。患者 へ の対 応 を中心 と したデモ を行 った学生 を 患 者 中心群 ,学 生 の説 明 を中心 と したデ モ を行 った学生 を学 生 中心群 とす る 。両 群 の学 生 には,予 め配布 してい るチ ェ ッ ク リス トを参 考 にデモ を見学 す る ように 指示 した。足 浴 のチ ェ ック リス トは準 備 4 項 目 ・実施 1 2 項 目 ・後始 末 3 項 目,令 計 19項 目と した ( 資料

1 ) 。

資料 1 足浴 の チ ェ ック項 目

4 ) デモの見学 後 ,学生 は 2 人 1 組 で患 者役 と看護婦 役 を交代 で実施 した 。1 2 ベ ッ ト を用 い, 4人の教 員 は 3ベ ッ ドを受 け持 ち,学生 の実施状 況 を観 察 ・評価 した。

観 察 の際 にはチ ェ ック リス トを用 い た。

チ ェ ック リス トは,学生 に配布 した 1 9 項 目に, デモ の際 に教 員 が患者 に対 して説 明や 問いか け を した言 葉 を各項 目の横 に 記 述 した もの を用 い た 。1 9 項 目につ い て は, 「で きた」 「で きない」 の 2 段 階 で評 定 した。学 生 が患者 に対 して発 した言語 は, チ ェ ック リス トの教 員 の言 語 と同 じ 内容 に○ をつ け,新 た な もの は書 き加 え た

5 ) 学生 が実施 した後 に,不足 な点 につ いて 教 員 が助言 を した。

1) 必要物品を準備 したか0 2) 温湯の温度は適切か.

3) 温湯の量は適切か。

4) 環境を整えたか ( 室温、すきま風の調整等) O 1) 患者にわか りやす く説明 したか。

2) スクリーンまたはカーテンをしたか。

3) 必要物品を適正な位置に配置したか。

4) 綿毛布をかけながら、掛け物を足元に扇子折 りにしたか。

5) 綿毛布を下腿の中間部まで折 り返 し、膝を屈曲させ綿毛布 の端を交差させ、折 り返 し部分を差 し入れたか0

6) 足元にゴムシーツ、バスタオルを敷いて洗面器を置いたか 7) 洗面器に足を入れ、指間、足底、足背部を洗ったか。

8) 新 しい湯ですすいだか。

9) 水分を十分拭きとったか。

1 0) 寝具を汚さなかったか。

l l ) ボディメカニクスはよいか。

1 2) 患者の反応を確認 しながら行ったか。

1) 患者を元の位置に戻 し、寝衣 ・寝具を整えたか。

2) 物品の後始末ができたか。

3) 正 しく記録できたか。

42

(3)

泉 ・石 井 範 子 ・高 橋 美砂子 ・佐 藤 ヨ シ ・難 波 はつ子 ( 43 )

3. 分析方法 :

1)学生の背景 について,患者中心群 ・学生 中心群で x 2 検定お よび t 検定 を用 いて

比較 した。

2 )チェックリス トの項 目毎 に 「 で きた」者 を患者 中心群 ・学生 中心群 について x 2

検定 を用いて比較 した。

3)患者 に対す る言語 について,一つの文 を 言語数 1として数値化 し,患者 中心群 ・ 学生中心群 について t検定 を用いて比較

した。 また,デモの方法 ( 患者 中心群 ・ 学生中心群) と,出身較 ( 准看 ・衛看)

について二要因の分散分析 を行い,言語 数 を比較 した。

表 1 対象の背景

Ⅲ. 結 果 1.学生の背景

対象 とした学生 44 名 を患者 中心群 と学生中心 群の 2 群 に分け,出身較,臨床経験 の有無 ,清 拭 と洗髪の経験 の有無お よび経験 回数,洗髪の 校内実習時の患者‑の平均言語数 について比較

した結果 は,表 1 の通 りであった。

出身校 は,全体で准看2 8 名,街着1 6 名で,准 看の割合が多いが,両群の差はなかった。臨床 経験がある者 は患者 中心群 3 名のみであった。

全体の平均年齢 は,准看 2 0. 9 歳 ( ±1. 1 ),衛看 1 8. 6 ( ±0. 6 )歳 であった。 2 群の平均年齢 は, 患者中心群 1 9. 2 歳 ( ±3. 9 ) ,学生中心群 1 9. 9 歳

( ±1. 5 )であった。

清潔 に関する実習項 目について,臨床実習 に おける経験の有無 と回数 を事前 に調査 した結果, 清拭 は全員が経験 を有 していた 。 5 回以上の経

患者 中心群 学生中心群

総数 n=2 2 n三22 n=4 4

出身較 准 看 1 5 1 3 28

衛 看 7 9 1 6

臨床経験 あ り 3 0 3

な し 1 9 22 41

清拭 の軽験 の 有 無 お よ あ 5回未満 り 3 1 4 び経験 回数 5回以上 1 9 21 40

な し 0 0 0

洗 髪 の 経 験

の 有 無 お よ あ 5回未満 り 7 1 0 1 7 び経験 回数 5回以上 1 3 1 2 2 5

な し 2 0 2

年 齢 平 均

1 9, 2 1 9. 9

( 標準偏差 ) ( 3. 9) ( 1 . 5) 洗髪実習時

平 均

1 3. 9 1 4. 6

‑ 43‑

(4)

験 を有す る者 が患者 中心群 1 9 名,学生 中心群 2 1 名 であ った。洗髪 では,経験 が ない者が患者 中 心群 2 のみであ った 。 5 回以上 の経験 が ある者 は患者 中心群 1 3 名,学生 中心群 1 2 名 で差 はみ ら れ なか った。

洗髪の校 内実習時の患者へ の言語数の平均 は, 患者 中心群 1 3. 9( ±7. 5 ) ,学生 中心群 1 4. 6( ± 7. 1 ) で両群 に差 はなか った。

2. 実習項 目 「 足浴」 の到達状況 1 ) チ ェ ック リス トの項 目について

チ ェ ック リス ト 1 9 項 目の うち,準備 か ら実施 までの動作 1 2 項 目につ いて 「で きた」 と評価 さ れた者 は表 2 の通 りであ った。

表 2 足浴 実施時 の到達状況

準 備 の項 目につ い て は, 「 清拭 」 に続 けて実 施 したため, 「必要物 品 の準 備 」 は両 群 とも全 員 が で きた。 同様 に, 「ス ク リー ンまた は カー テ ン を す る 」 に つ い て も患 者 中 心 群 2 1 名 ( 9 5%) ,学生 中心群 2 2 名 ( 1 0 0%) であ った。

ただ し , 清拭 の際 に使用 した温湯 は 5 0 ℃以上 の 熱 さであ るため,足浴 の際 には 4 0‑4 2 ℃ の患者 の好 みの温度 に準備す る必要が あ る。適切 な温 度 に調 整 で きた者 は,患 者 中心 群 1 4 名 ( 6 4 %), 学生 中心群 2 1 名 ( 9 5%) で患者 中心群 が有意 に 少 なか った (p<0. 0 5 ) 。 また , 温湯 の量 も, 清拭 の場合 と異 な り,足 を入 れ るため洗面器 の

%程度 の量 にす る必要が あ る。 この ように適切

項 目 患者 n=22 ( 中心群 %) 学生 n=2 ( 中心群 %) 2

① 必要物品を準備 したかo (1 22 0 0 ) ( 1 22 00)

②温湯の温度は適切か○

*

( 1 6 4) 4 ( 21 95)

③温湯の量は適切か○ ( 7 1 7 7 ) ( 1 86) 9

④スクリーンまたはカーテンをしたか◇ ( 21 9 5) ( 1 0 22 0)

⑤必要物品を適正な位置に配置 したかC ( 21 9 5) ( 21 95)

⑥綿毛布をかけながら、掛け物を足元に扇子折 り 21 22

にしたか○ ( 9 5) ( 1 00)

⑦綿毛布を下腿の中間部まで折 り返し、膝を屈曲さ 21 20 せ綿毛布の端を交差させ、折 り返 し部分を差し入 ( 9 5) ( 9 1) れたか○

⑧足元にゴムシーツ、バスタオルを敷いて洗面器を 21 22

置いたか ( 9 5) ( 1 00)

⑨洗面器に足を入れ、指闇、足底、足背部を洗つたか ( 20 91) (1 22 00)

⑯新 しい湯ですすいだか○ ( 21 9 5) ( 86) 1 9

⑪水分を十分拭きとつたかo ( 1 2 0 0 ) 2 ( 21 95)

⑫寝具を汚さなかったかO ( 1 22 0 0 ) ( 1 22 00)

‑4 4

(5)

平 元 泉 ・石 井 範 子 ・高 橋 美砂子 ・佐 藤 ヨ シ ・難 波 はつ子 ( 4 5 )

な量 を準 備 で きた者 は患者 中心 群 1 7 名 ( 7 7 %), 学生 中心群 1 9 名 ( 8 6%) で,両群 に有意 な差 は 認 め られ なか ったが,他 の項 目に比べ る と到達 度 は低 か った。

実 施 の項 目につ い て は, 「綿 毛 布 を折 り返 す」患 者 中心群 21 名 ( 95%) ,学 生 中心群 2 0 名 ( 91 %), 「ゴムシー ツ,バ ス タオル を敷 いて洗 面 器 を置 く」患者 中心群 21 名 ( 95%) ,学生 中 心 群 22 名 ( 1 00%) , 「 洗 面 器 に足 を入 れ,指 間, 足 底,足 背 部 を洗 う」患 者 中心 群 2 0 名 ( 91%), 学生 中心群 2 2 名 ( 1 00%) , 「 水 分 を拭 き取 る」

患 者 中 心 群 2 2 名 ( 1 0 0%) , 学 生 中 心 群 21 名 ( 95%) , 「寝 具 を汚 さない」 両 群 と もに 22 名 ( 1 0 0%) , とほ とん どの項 目につ いて 9 0% 以上 の者 が で きてい た。 ただ し,足 を洗 った後 にか け湯 をす る行為 を忘 れ る者 が お り, 「 新 しい湯 です す ぐ」 とい う項 目は,患 者 中心 群 は 21 名 (95% ) で あ っ た が , 学 生 中 心 群 は 1 9 名 ( 86%) で 9 0% を下 回 った。両群 に有意 な差 は み られ なか った。

3. 患者‑ の配慮 のための言語

患者 に対 す る説 明や 問い か け を, 「 患 者へ の 配慮 のための言語」 と して数値化 した結果 は, 表 3 の通 りで あ った。 「実施前 の説 明」, 「実施 中の動作毎 の説 明」, 「 患者 の反応 の確 認」 に分

表 3 患者 への配慮の ための言語数 ( デモの方法別)

内 容 患者 中心群 ( 頼準偏差) ( 学 生 中心群 標準偏差) t 検定

実施前の説明 ( 0. 0, 9 3) ( 0. 0 . 6 5) +

実施 中の動作毎の説明 ( 4. 3. 2) 1 (1 1 . . 6 8) * *

患者の反応 の確認 ( 2. 1 . 0) 8 (1 1 . . 0 3) n. S.

+ p< 0. 1 0 ' * p< 0・ 0 1

類 し, デモの方法 別 にそれぞれの平均言語 数 を 比較 した。 「実施 前 の説 明」 は 「これか ら洗面 器 に足 を入 れて洗 い ます ね」 な どで,患者 中心 群 0. 9 ( ±0. 3) ,学 生 中心 群 0. 6 ( ±0. 5 ) で, 患 者 中心 群 が多 い傾 向 にあ っ た (p<0. 1 0)0

「実施 中の動作 毎 の説 明」 は, 「 足 に石 けん を つ け ます」, 「お湯 をか け ます」 な どで,患者 中 心 群 4. 1 ( ±3. 2) , 学生 中心 群 1. 6 ( ±1. 8) で, 患者 中心群が有意 に多か った (p<0. 01 ) 。 「患 者 の反応 の確 認」 は 「お湯 の温度 はいかが です か」 な どで,患 者 中心群 1. 8 ( ±2. 0) ,学 生 中 心群 1. 0 ( ± 1. 3) で両群 の差 は有意 で はなか っ た 。 3 項 目の合計 の平均言語 数 は,患者 中心群 6. 8 ( ±4. 9) ,学 生 中心 群 3. 1 ( ±2. 8) で,患 者 中心群 が有意 に多 か った (p<0. 01 )0

患者へ の配慮 の ための平均言語数 をデモの方 法別 の 2 群 と出身校 別の准看 ・衛 着 で算 出 した 結果 は,図 1に示 す通 りであ った。患者 中心群 の准看 は 8. 4 ( ±4. 9) ,衛 着 は 3. 3 ( ±2. 7) で あ った。学 生 中心群 の准看 は 3. 2 ( ±2. 8) ,宿 着 は 3. 1 ( ±2. 8) で あった。分散分析 の結果, 交互作用 が有 意 であ った ( F( 1 ,4 0 ) ‑4. 46, p<

0. 05) 。 デモ の方 法 の単純 主効 果 を検 定 した と ころ,准 看 が 1% 水 準 で有 意 で あ った (F

(1)

‑9. 5 6) 。街着 で は有意 で はなか った ( F< 1)0

1 5

平均 昔 指 数

1 0

患者 中心 群 学生 中心 群 図 1 患者 への配慮の ための言語 数

‑ 4 5‑

(6)

また,出身校 の単純主効果は,学生中心群では 有意ではなか ったが ( F < 1),患者 中心群 に おいて 1 %水準 で有意であった ( F

(1)

‑9. 0 8) 。

Ⅳ. 考 察

基礎 看護技術 の 「清 潔」 の単元 にお い て,

「 臥床患者の足浴」の校 内実習 について,効果 的なデモの方法 を検討 した。以下,学生の到達 状況 について述べ る。

1.チェックリス トの項 目の到達状況 につい て

今 回評価 した1 2 項 目の うち,両群 ともに 90%

以上が 「で きた」のは 9 項 目であった。前回の

「 清拭」 と同様 に,到達度が高い結果 となった。

「 清潔」 に関する項 目は,准看養成所での校内 実習率が高い 3 )と言 われてい る。 また,今 回 の対象 となった学生の事前調査では,臨床実習 における 「 清拭」や 「 洗髪」の実施経験 を有す る者の割合が多かった。「 足浴」 の経験 の有無 は調査 していないが,清潔の援助 として同様の 経験 を有 していると推測 される。 これ らの実施 経験が,到達度の高 さに表れた と言 えよう。

到達度が90%以下の 3 項 目は,「 温湯の温度」

「 温湯 の量」 「 新 しい湯 でのすす ぎ」 であった。

温湯の温度や量 は,準備の段階の項 目である。

特 に温度 については,患者‑の対応 を中心 とし たデモを見学 した学生の到達度が低かった。学 生への説明を中心 としたデモの場合,温湯の温 度 については注意 を喚起 させ るところである。

温度計 を用いて温度 を確認す る動作 を示すだけ では不十分であることが明 らかになった。必要 物品の準備 について,デモの実施前 に説明す る などの対応が必要であろう。温湯の量 について は,「 洗面器 に足 を入れ る と量が増す」 ことを 考慮 した準備がで きなかった と考 えられる。デ モの方法 による差 はなかったことか ら,口頭で 説明 をして も行動 に結 びつかない項 告ともいえ るので, よ り強調 した説明が必要である。「 新 しい湯でのすす ぎ」 については 「 かけ湯」 を忘 れる者が多かったため と推測 される。単 なる手 順 としてではな く,患者への配慮 としての重要 性 を強調す る必要があろう。

2.患者への配慮のための言語

基礎看護技術 の校内実習 において,情意領域 の 目標 は,「 患者 に援 助 を行 う前 に説明 し,忠 者の反応 を確 かめなが ら援助で きる」 などの よ

うに表現 されている4 ) 。患者への配慮 は, プラ イバ シーの保護や相手の好みに応 じた温度の温 湯 を準備するなどの動作 として表現 されるもの と,説明などの言語 として表現 されるものがあ る。動作 の場合 は,「で きた」「 で きない」 と評 価が容易 である。 しか し,「 患者 の反応 を確 か めなが ら援助する」 ことについて,一連の動作 について 「いつ」「どの ように」言葉 をかける のかなど,手順 のように明 らかに表現す ること はで きない。 したがって,教員がデモなどの場 面で,具体的に提示 してい く必要がある。今回 の調査 において,患者への対応 を中心 としたデ モ を見学 した学生 は,患者への配慮のための言 語数が多い ことがわか った。 これは 「 清拭」 に ついて調査 した前回 と,同様 の結果であった 5) 0

しか し,患者 に対する言語の内容 を分類すると,

「 実施前 の説明」や 「 実施中の動作毎の説明」

については言語数が多 いが,「 患者の反応 の確 認」 には差がなかった。すなわち,看護者か ら の一方的 な説明は しているが,「 患者 の反応 を 確 かめなが ら援助する」 までには至 っていない と言 える。 この点 について,学生 自身に気づか せ るような関わ りが必要 と考 えられる。

さらに,出身校別 に比較す ると准看の言語数 が多 か った とい う調査結果

6)

か ら, デモの効 果 を准看 と街着で比較 した。その結果,患者へ の対応 を中心 としたデモの効果が認め られたの は,准看であることが明 らかになった。今回の 対象 は,臨床経験がある者 は少 なかったことか ら,臨床経験が影響 しているとは言 えない。臨 床実習での 「 清拭」や 「 洗髪」の実施経験 につ いて も差 は明 らかではない。つ ま り,准看の言 語数が多かったことは,臨床経験 や実習項 目の 経験の有無 とは関係があるとは言 えない。衛着 は准看 よ りも臨床実習時間が少な く,患者 との 接触経験 も少ない と推測 される。

また,1 8 歳 と 2 0 歳 とい う2 歳の年齢 は,発達 段階において成熟度 に違いがある とも考 えられ

‑ 46‑

(7)

平 元 泉 ・石 井 範 子 ・高 橋 美砂子 ・佐 藤 ヨ シ ・難 波 はつ子 ( 4 7 )

る。梅津 7 )に よる と青年期 は青年前期 ( 1 3‑

1 5 歳),青年 中期 ( 1 5‑1 8 歳) と青年後期 ( 1 8

‑22 歳) に分類 されている。そ して青年期の社 会的発達 は,社会的行動や社会的態度の面で飛 躍的に変化 し, もっとも顕著 な ものは青年の 自 我意識の発達 と対人関係の発達であるとしてい る。 したが って,1 8 歳か ら 2 0 歳では社会 的発達 において成熟度が異 なると考 えられる。 これ ら のことか ら,准看 の方が,患者への対応 を中心

としたデモを通 して,患者への対応の必要性 を 認識 し, 自分 自身の言葉 として表現することが で きた と解釈で きる。

今 回は進学課程 の学生 を対象 と した調査 で あったが,高校卒業後 に入学す る 3 年課程では, 今回の衛着 と同 じ年代 の学生が対象 となる。背 景は異 なるが,社会的発達 とい う点では,同様 であると推測 される。 したがって,校内実習 に おけるデモの方法 については, これ らの学生の 背景 をふ まえて さらに検討が必要であると考 え

られる。

Ⅴ. 結 論

足浴の校 内実習で,患者への対応 を中心 とし たデモ ( 患者 中心群) と,学生への説明 を中心 としたデモ ( 学生中心群) を実施 し,到達度 を 比較 した。

1.チェ ックリス トの項 目については,1 2 項 日中 9 項 目において,両群 とも 9 0% 以上 が到達で きた。温湯の温度 は,患者 中心 群が学生 中心群 より到達で きた者が有意

に少 なかった。

2. 患者への配慮のための言語数は,患者 中

心群が学生 中心群 より有意 に多かった。

また,患者 中心群では,准看が衛着 より 有意に多か った。

Ⅵ. おわ りに

これまでの調査 は , 2 年課程の学生 を対象 と して実施 して きた。校内実習 における効果的な デモ ンス トレーシ ョンの方法 を検討す るために は, 3 年課程の学生 を対象 に した調査 を実施す る必要があると考 える

引用文献

1 )平元泉,石井範子 :基礎看護技術 の校内実 習 におけ為効果的なデモ ンス トレーシ ョン の検討‑臥床患者の清拭 を通 して‑, 日本 看護学教育学会誌 7( 3 ),29‑ 3 6,1 997.

2 )平元泉,石井範子,高橋美砂子そのほか : 進学課程の学生 における基礎看護技術 の情 意的側面の到達状況‑ 臥床患者の洗髪 を通 して‑ ,秋 田県看護教 育研 究会誌 ,2 2 , 30‑ 3 4.1 99 8.

3 )鎌 田美智子 :評価機能 を重視 した指導の実 際, 2 年課程での展開,看護教育,35( 1 3) , 1 066‑ 1 073,1 99 4.

4)吉田時子 :看護学の教授 ・学習計画 と展開, 47 ,医学書院,1 9 89.

5 )前掲 1) p. 3 3 6 )前掲 2) p. 32

7)梅津耕作,大久保康彦,大島貞夫そのほか :教育心理学,臨床心理学的アプローチ, p. 47 ,サイエ ンス社 ,1 9 89.

‑ 4 7

参照

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