高校生のアルバイトの就業実態とそれによる生活行動・意識の変化
大谷 尚子*・河野美佐子**
(1990年9月14日受理)
Actual Conditions of H藍gh School Students Part−time Jobs and Their Effects on Their Way of Life and Thinking
Hisako OTAM and Misako KAwANo
(Received September 14,1990)
は じ め に
高校生のアルバイトは, 「アルバイトで深夜帰宅,喫煙・飲酒も覚えた高一」 「高校退学を誘う アルバイト(バイク,CDやビデオなど高価な商品を借金して購入し,その返済のためにアルバイ
、
gを始めた。そして,数科目にわたって落第点… )」など,新聞紙上の教育相談コーナーや読 者投稿コーナーで,高校生に与えるマイナスの影響が指摘されることが多い。
しかし一方,「アルバイト先では見違えるほど生き生きしている」「学校で得られない充実感を働 き先で得ることに魅力を感じているようだ」1)と教師に言わしめるようなプラス面もある。このプ ラス面は現行の教育制度の歪みや影があるために浮き上がってきたものである。上記のようなこと のみのプラス作用を理由に,高校生のアルバイトが推奨されることは,学校教育に関わる者にとっ ては甚だ遺憾とするところであるが,現状はそのような理由(学校教育の代替作用)も少なくはな いであろう。また,そのほかに高校生のアルバイトが積極的に推奨される理由もある。それは,高 校生のアルバイトが社会的生産労働への参加(生産労働の実習)の場面となり「労働の教育」の一 環にも位置づけられ得るからである。しかし,わが国とアメリカの高校生のアルバイトを比較して,
わが国の場合には,アルバイト経験が労働教育とあまり結びついていないという指摘2)がある。
これから先,高校生のアルバイトは減ることはないであろう3)。学校側が一方的にアルバイトを 規制するだけであるのであれば,生徒を隠れてするように追いやり,結果的に生徒を悪条件下で働 かせたり,健康状態に悪影響を及ぼしかねない。なんとか打開策を見つけていかなければならない であろう。そこで本研究では,高校生のアルバイト実施状況とアルバイトに対する認識を把握する とともに,アルバイトが高校生の生活行動や意識にどう影響しているのかを明らかにしていきたい。
そしてそれらの結果をもとに,高校生にとってアルバイトがプラスとなるためには,周囲の親や教
*茨城大学教育学部教育保健講座。
**{崎県立飯野高校.
師はどう対応していけばよいかを考える手がかりとしたい。また,アルバイトが及ぼす健康障害の 実態を明らかにすることにより,彼らに対する養護教諭の対応のあり方についても検討したい。
研究対象と方法
1 調査対象 , 表1 調査対象の概況 茨城県に所在する高校(普通高
校,女子高校,工業高校,商業高
校および農業高校,各2校ずつ) 養護教諭 アルバイト
の1〜3年生。各校,.各学年2ク 学校種別 学校名ラスずつで生徒の総数は2,300名。
回答者 i生徒数)
からみた Aルバイト ノよる健康
に関する
ツ別アド
対象校の概況および対象者内訳は 障害状況 バイス
表1の通りである。 A 217 あ り
養護教諭が保健室からみた生徒 普通高校
B 252 少しある あ り の健康障害は過半数の学校に見ら
C
黷髀 況である。また・そのよう 女子高校 268 少しある あ り
な学校においては,養護教諭によ D 239
る個別的なアドバイスが実施され E 215 少しある あ り
商業高校ていた。
F 260 少しある あ り
G 228 2 調査方法 工業高校
質問紙調査。調査期間は1987年 H 235
11月。回収率は80.4%。 1 189 少しある あ り
農業高校
」 197 少しある あ り
3 調査内容
①生徒自身の生活(小遣い,学
校生活の充実感等) ②アルバイト経験の 表2 アルバイト経験の状況
有無③アルバイト経験者;職種アルバ
イト経験が生活や考え方に影響を及ぼした 男 子 女 子 かどうか④定期アルバイト実施状況⑤ 「一一一一一※※一一一
アルバイトを始めてからの躰の稠の有 叢
ウ。 有
定 期 繼L以外
搬:::;}(61359.1):lla;:1職)
鑛
級ハと考察 奮
今後希望有り
望なし
lll:ll:;臨)綴3::1臨)
※印:X2検定により有意差あり(※:5%危険率,
※※:1%危険率,※※※:0.5%危険率)1 アルバイトの実施状況
1)アルバイト就業率
表2は,アルバイトの就業状況を示す。男女とも6割弱がアルバイトの経験を持つ。長期休業期 間(夏休みなど)ではない調査時点で,定期的にアルバイトをしていると回答した者は2割弱であ
り,女子の方が男子より高率に(危険率1%で有意差あり)実施していた。なお,これらの数値は,
先行調査結果4)5)と比べて若干 少なくなっていた。これは,対 象地区の差(大都市ほど経験者 は高い)や調査時期の差(3月 (%)
(男 子) (箔) (女 子)
の方が累積された経験率は高く 50
、《 50
なる)によると思われる。 / \
男女別に学校種別学年推移を 30みたのが図1である。工業高校
竢落q高校の生徒の率は学年の
@何に係わらず低くなっていた。 1°
/ \
Y/N踊・ 3°
^ご☆・ll;・・
ノk\湾儀)
A1響1
^/\㌔、女)
その他の学校種においては,学 0 0
1年 2年 3年 1年 2年 3年
年差や男女差がみられた。高校 3年生女子の場合には,定期ア
・ 図1 アルバイト実施率の校種別学年推移 ルバイトの就業率は30%にも及
んでいる。
2)職種
今までに経験したアルバイトの職種を選択式で挙げてもらったところ,表3のような結果となっ
表3 経験したアルバイトの職種
(複数回答,数値は%,○の数値は多い順序を示す)
性別比較 学年別比較 高校種類別比較
男子 女子 1年 2年 3年 普通 女子 工業 商業 農業 nニ613 n=730 nニ320 n=517 n=506 n=241 nニ250 nニ262 nニ307 n=283
食品店・スーパー ①29 ①42 ②23 ①37 ①44 ①42 ②33 ①29 ②34 ①37
飲 食 店 ③20 ②40 ①29 ②33 ②30 ②30 ①35 14 ①38 ②35
ファーストフード店 9 ③14 9 ③13 ③12 ③16 ③15 9 11 9 肉 体 学 働 ②22 1 ③11 10 11 7 3 ③19 ③12 ③12 郵便・新聞配達 16 4 3 12 11 6 7 ②23 7 4
た。男子は多様な職種に分散しており,スーパー・食品店以外に肉体労働や新聞・郵便配達も就業 率の高い職種であった。それに比べ,女子はスーパー・食品店や飲食店に集中していた。新聞・郵 便配達は,1年生の末頃より始めるようである。また,スーパー・食品店は学年を追うに従い,経 験者の割合が増加していることが注目される。なお,学校の種類により経験した職種が多少異なっ ていることがわかる。
3)働く時間
現在定期アルバイトに就業している者の週当りのアルバイト日数とアルバイトからの帰宅時刻は
% ←−r9兇子 n屋隆41 %
か一一〇女子 n茜222 ←一●男子 n朧141
aO
@ 20
30
Q0
o−−o女子 n冨222
!0 Io
0 0z 2 3 4 5 6 7(日) −7 〜8 〜9 〜io 1ト(時)
図2 アルバイト日数 図3 アルバイト帰宅時刻
図2・図3の通りである。週6日勤務が最も多く,特に男子にその傾向が強い(25%)。週5〜7日 勤務の体制をとっている職種は,新聞・郵便配達(70%),スーパー・食品店(62%)および肉体 労働(50%)であった。飲食店は1〜2日の勤務が最も多く(40%)なっていた。
帰宅時刻についてみると,女子は9時迄に帰宅するようであるカ㍉男子は9時以降の帰宅者が多 く,11時以降の帰宅者も少なからずみられる。飲食店,肉体労働は,ともに就業者の50%が9時以 降帰宅者であり,勤務終了時刻の遅い職種と言えよう。
働く高校生を保護する建前から,週1回の休日や午後10時以降の深夜業務の禁止が労働基準法に 定められているわけだがこれらの規定に違反して就業させられている者も少なからずみられるこ
とがわかる。
4)賃金
1万円以下35 1〜2万円 2〜3万円 3−4万円 4万円以上 NA
男子
黹P月のアルバイト料は男子が女子より n= 141 135 19」 234 220 18.5
やや多く,平均約3〜4万円であった(図 女子 n冨222 6B 22.1 22.5 180 180 12.6
4参照)。3万円以上を取得している者は 0 50 玉00(%)
肉体労働,スーパー・飲食店および新聞・
X便配達に従事している者に多かった。い 図4 アルバイト料
ずれもアルバイト日数の多かった為と言えよう。アルバイト料の使い道としては,「全額自分で使 っている」者が64%を占めていた。
5)職場環境
現在定期アルバイトをしている者の職場環境についてまとめると,表4の通りである。仕事場で 頼られている(自分がいないと職場の
人が困る)と思える者が7割以上を占 表4 職場環境(定期アルバイト者について)
めていた。自分の存在感を意識できる ことがアルバイトを継続していく上で
重要なことであろう。男子と比べ女子 男子 女子
の方が,職場を楽しいと受け止めてい 項 目 : 内 容
n=141 n=222 るようである。職場環境そのものより
受け止め方の性差かもしれない・ 職場の雰囲気:「楽しい」 % %R6.9 56.8 ・
なお,ファーストフード店の場合は
「仕事中の会話あり」という者が8割 共 働 者:「気が合う」 46.8 55.0 を越え,他の職種より会話のある職場
のようである。 会 話:「あ る」 52.5 63.1
職場で頼られ 「頼られて :ているか いる」
70.9 78.0
2 アルバイトによる健康上の問題 1)ケガ・体調不良の有無と内容
現在定期アルバイトをしている者で,アルバイトに起因すると思われるケガの経験は14%,体調 不良の経験のある者は20%であった。男女差,学校種類差はなかった。
ケガ,体調不良の内訳は表5の通りである。ケガは切り傷・擦り傷など軽微なものと思われる種 類のほか,勤務の往復途上での交通事故によるものもみられた。内科的なものは,多くは過労や生 活リズムの夜型化による症状である。
図5は勤務形態との関連をみたもの
表5 ケガ・体調不良の内容である。アルバイト日数が週4日を越 (定期アルバイト者について)
すとケガ・体調不良が多くなり,10〜
11時の帰宅の場合には体調不良が,11
時以降の帰宅の場合にはケガがそれぞ ケガあり 52 体調不良 71 れ30%を越えて多くなることがわかる。 %リり傷 46.2 睡 眠 不 足 52.1%
健康状態に好ましくない勤務形態と言
すり傷 34.6 内 朝起られない 47.9
なお,新聞・郵便配達生は体調不良 やけど 25.0 倦 怠 感 23.9 の訴えは皆無であったことが注目され 訳 打 僕 15.4 訳 胃 腸 障 害 22.5 る。健康によいアルバイトと言えよう。
交通事故 IL5 手荒れ等の皮膚炎 22.5
2)保健室来室状況
ケ ガ あ り 体調不調あり アルバイトが原因の
一 一
ケガや体調不良があっ ア ノレ
1・2・3日(n冒128) 8.6 14.8 た時に,「保健室に(診 ↑
卜 4 ・5日(n昌96) 18.8 24.0
てもらいに〉行く」と 日 数
P
答えた者は36%,「行 ( 6 ・7日(n冨92) 22.8 30.4
日
) ゥない」と答えた者は 0
U0%であった。保健室 帰 〜8時(n=107) 14.0 17.8
に行かない理由として 宅
8−10時(n=133) 16.5 23.3 は,「行くほどでもな
時「行っても仕
10〜11時(n=51) 17.6 31.4 かった」
方がない」等が挙げら 刻 11時以降(n=13) 30.8 23.1
れた。
0 10 20 %0 10 20 %
定期アルバイト就業
図5 勤務形態と健康状態との関連
メのうち学校の教師に (定期アルバイト者について)
知られることを警戒し ているかをみるために,
「担任に知られているか。知られたら困るか」と質問したところ,「今は知られていないが,知ら れても構わない」35%,「既に知られていると思うがそれで困らない」27%という状況で,「知
られては困る」者は17%と意外に少なかった。このような結果からみると,アルバイトによる傷病 者が保健室に行かないのは,秘密保持のためではないことがわかる。学校外で発生したケガやアル バイトによる体調不良等の処置は保健室の圏外のことと受け止め,生徒はそのようなことを保健室 に期待していないと言える。
養護教諭が生徒の健康情報を把握したり,アルバイトによる健康障害を予防するための保健指導
・ガイダンスをするためには,保健室で待っているのではなく,保健室から積極的に働きかける必 要がある。また,知られたくないと思っている生徒への対応は,真正面から調査するような対応は 避けなければならない。
3 アルバイトが及ぼす生活行動・意識への影響 1)生活行動・意識の変化の有無
アルバイトを始めてからの変化の内容を30項目の中から選択してもらい,各側面別にプラス・マ イナスに分けてまとめたものが図6である。
また,回答者ごとに総合判定してみると,表6の通りである。プラス・マイナス両面を挙げた者 が最も多いが, 「プラス」のみを挙げた者も3割強と多い。特に女子高校と工業高校の生徒は他の 高校生より有意に多かった。両高校はアルバイトの就業率は少ない(図1参照)が,就業した者は アルバイトによるプラス作用を強く体験していることになる。そして,そのことが「高校生のアル バイト」に対する賛成意見を多くしている(賛成率68%)のであろう。「マイナス」のみを挙げた 者は少なく,特に男子に比べ女子に少なかった。
アルバイトによるプラス効果 は,特に金銭面,労働面,社会 面において認められていた。一 方,高校生活面に関しては,プ ラス回答よりマイナス回答の方
が多くなっていたことは注意を %
要する。高校生は学校生活には ζ80 74.4
79.6 81.0
76.8
ス 66.1
アルバイトによるマイナス作用 髪60 62.0
(弊害)があると認めているの 砦
39.2 男 女
り 40 n=613n=731
である。しかレ,自己の成長を 32.6 21.7 21.4
促進させるなど他の面でのプラ 20 ス面を大きく評価しアルバイト o
肯定していると言えよう。
自 己 高 校 ゥ現面 社会面, 金銭面 労働面 生活面 0
なお30項目のうち選択率の高 マ イ 20
14.7121
かった内容を表8に示す。特に 亥 に 40「お金を稼ぐことの大変さ」「働 籍
30.5 36.0
32.3 34.0
31.035.1
くことの大切さ」および「社会 曽60 、
フルールの学び」については50 %
%以上の高選択率であった。そ 図6 アルバイトによる生活行動・意識の変化の有無
の他,多くのアルバイトによる 影響を認めることができた。
表6 アルバイトによる影響の総合判定
総 数 性別比較 学校種類別比較
男子 女子 普通 女子 工業 商業 農業
n=1344
n=613 n=731 n=241 nニ250 n=262 nニ307 n=283
% % % % % % % %
プラス影響のみ回答 31.3 30。8 31.6 23.7 39.6 40,1 28.7 25.1
マイナス影響のみ回答 2.3 3.8 1.1 2.5 0.4 2.3 2.9 3.2
プラス・マイナス
@ 両回答あり 60.4 57.9 62.5
66.4 56.0 49.6 61.2 68.2
表7 アルバイト経験により変化したことがら(選択式回答)
総 数 男 子 女子
n=1344 nニ613 n=731
自己実現
プ更 充実感ややりがいを感じた 27.8% 25.1%※30.1%
ヘつらつとした気持になった 19.7 17.3 ※21.7 ●
プ 社会のルールなど学ぶものがあった 50.7 46.2 ※燃54.6 社 更
学校以外の友人を増やすことができた 43.8 36.7 ※※※49.7
ム 面 年上の人など悩みを相談できる人ができた 16.3 10.0 ※※※21.6
菖
マイ 大人社会の醜い部分やずるい部分を知った 26.3 24.8 27.6 面 ナ
喬 人間関係で嫌な思いをした 18.1 16。0 19.8
金
プ翼 お金を稼ぐことの大変さを知った 71.8 72.3 71.4 ィ金の大切さを知った 42.9 41.9 43.8 銭 面 お金を計画的に使うようになった 16.3 13.9 ※18.3
マイ 金使いが荒くなった 20.7 21.4 20.1 面 ナ
孟 ほしい物はすぐ買うようになった 19.1 17.5 20.4 プ 働くことの大切さや大変さを知った 58.5 53.0 ※棘63.1 労
ラ 職業を選ぶことの大切さを知った 27.7 28.1 27.4 働 ス 働くことに喜びや楽しさを感じた 21.7 20.9 22.3 面 自分にあった仕事・自分の長所をみつけられた 14.1 12.1 15.9 面 ナマ
Xイ 働くのは嫌いだと思った 13.2 15.2 11.6 ご 規則正しい生活をするようになった 11.8 13.4 10.4 古 ス
同
生活が不規則になった 15.3 16.0 14.8 校 マ
勉強する時間がなくなった 11.5 13.2 10.0 生 イ 勉強の意欲がわかなくなった 8.2 9.3 7。3
ナ 活 ス
部活動をやめたいと思った,やめた 6.6 7.2 6.2 面 面 友人とのつきあいが少なくなった 6.4 5.9 6.8
学校生活がつまらなくなった 4.5 5.5 3.6
※印は性別比較で有意差がみられたことを示す
2)アルバイトによる影響の有無に関連する要因
もし,高校生がアルバイトをするのであれば,アルバイトによる弊害をできるだけ少なくし,
逆にプラス効果を高めることが望ましい。そこで,アルバイトによる影響の有無に関連する要因を
表8 アルバイトによる影響一意識・生活行動面の変化に作用する要因一
影響の プラス回答の多い群 マイナス回答の多い群
種類 (回答例) (回答例)
自 充 生徒:普通校以外 己 実 職場環境:
実現
感あり ※※※ 選楽※
yしい 共働者と気が合う o会話あり・頼られている・
※※※ ※※※
社
社会 生徒:普通高校生,女子,2年生 ル 職場環境:
ム 1 ※※※ ※濠
五 面
峯ぶ o会話バ楽しい 共働者と気が合う
※楽※
金
金使 生徒:農業高生 ニ庭生活:
い ※※※ ※
銭
が荒 oアルバイト料〜全部自分で使う小遣いもらってない 足りない
く ※※
な 学校生活:おもしろくない
面 る ※※
Aルバイト形態:週2日以上の勤務
労働面 わの働
ゥ大く
@さと髏リこ
※※※
カ徒:女子 思は働、嫌く
[ 楽※w校生活:おもしろくない ※※※
E場環境:楽しくない
高校生 生規
?・ノ正
アルバイト形態:新聞・郵便 ※※※
@ 配達
則生ノ活 ネが
生徒:農業高生 ※※※
Aルバイト形態:帰宅時刻が8時以降
活面 な し
驕@い る不
@規 ※瀬注N状態への影響:体調不良あり
総ム のプ ※※※ ※※※
カ徒:女子高生, 工業高生 ※楽豪
口 答ス 学校生活:充実している
判定 のみ ※※※
Aルバイト形態:郵便配達
上記中に記載されている群は,他群と比べて有意に回答が多かったことを示す。
※印の付していないものは,※印1ケ(5%危険率で有意差あり)を示す。
探るために,個人・家庭生活(生活,小遣い,進路),学校生活(充実度,担任との関係),周囲 の意向,アルバイトの開始理由,定期アルバイトの勤務形態・労働条件およびアルバイトによる健 康障害について,クロス集計・検定をしてみた。その結果,男女共に有意な差があったものは,表
8の通りである。
高校生のアルバイトが小遣いや学校生活に対する不満により開始されることも少なからずみられ たが,表8によると,そのような者はアルバイトをして良い成果を得ているわけではない。かえっ て「金銭面」 「労働面」でマイナスの影響を受けていることがわかる。逆に,小遣いや学校生活に 巳
梠ォ感を持ちながらアルバイトをしている群は,アルバイトによる弊害(マイナス)を挙げること よりプラス面のみを挙げていた。家庭・学校生活が1央適で満足を感じる状況であるならば,高校生 がアルバイトを行うことによって多くの収穫(プラス作用)を得ていると言えよう。
また,「自己実現」や「社会面」のプラス作用はアルバイトの職場環境が良好である場合に期待 できることであることがわかる。
アルバイトに起因する体調不良の経験を持つ群は,アルバイトをすることによって高校生活が乱 れたりマイナス作用を受けることとなると回答していた。自分の健康を壊してみて初めてわかるこ となのではないだろうか。
ま と め
1県の高校生(10校)を対象に,アルバイトの実施状況とそれによる健康への影響および生活行 動・意識への影響を調査したところ,つぎのような知見を得た。
1)高校生のアルバイト職種はスーパー・食品店,飲食店が多かった。男女差や学校種類別の差が みられた。
2)週に5〜6日の勤務者が多く,帰宅時刻は女子は9時以前,男子は9時以降が多かった。職種 により勤務形態は異なっていた。
3)職場環境は約半数の者が居心地のよい様子であった。職場で自分が頼られている存在と思って いる者は7割強を占めた。
4)アルバイトに起因して切り傷・擦り傷あるいは交通事故等のけが,睡眠不足や胃腸障害などの 体調不良がみられた。
5)アルバイトに起因する健康問題が発生した時に,「保健室に行く」と答えた者は4割弱であっ
た。
6)アルバイトによる自己の生活行動・意識の変化を捉え,プラス面のみを挙げアルバイトを全面 的に評価した者は約3割であった。
7)職場の環境条件が明るく和やかな雰囲気である場合には,アルバイトによる良い影響(プラス の教育効果)を受けていた。逆に,小遣いや学校生活に対する受け止め方に不満感が強い場合 には,アルバイトによって「金銭面」や「労働面」に関してマイナスの教育効果が認められた。
注
1)農林中金研究センター「高校生のマネー感覚調査」 『朝日新聞』1987.5.19日付。
2)総理府青少年対策本部「青少年の職業指向一日本,米国の青少年の比較調査」 (青少年問題研究調査報 告書,1980)
3)坂本秀夫『「校則」の研究』 (三一書房,1986),pp.176−181.
4)農林中金研究センター,前掲書。
5)総理府青少年対策本部,前掲書。
なお,本論文の一部については,より詳細を, 「学校保健研究」 (日本学校保健学会,学会誌)に掲載いた します。