• 検索結果がありません。

【研究要旨】

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "【研究要旨】 "

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

423

平成 29~30 年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(循環器疾患・糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業) 報告書

人間栄養学研究における系統的レビュー・メタ・アナリシスの論文数の推移

研究代表者 佐々木敏

1

1

東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野

【研究要旨】

食事摂取基準の策定に、複数の研究の結果を統合した系統的レビューまたはメタ・アナリシスを 用いることは有用であると考えられる。そこで、食事摂取基準が科学的根拠として用いる研究分野 である人間栄養学の研究を対象として行われた系統的レビューならびにメタ・アナリシスの論文数 の推移について、dose-response meta-analysis も含めて、明らかにすることを目的とした。人間栄 養学分野における系統的レビュー・メタ・アナリシスの論文数は 1990 年ごろから論文が増加し始 め、2005 年以後増加速度が上昇し、2010 年を過ぎるとさらに加速し、2018 年末の合計論文数は 23843 論文であった。食事摂取基準の策定においても有力な科学的根拠を与えてくれるものと期 待された。目標量の策定を試みた栄養素を扱った論文も最近急増していた。これら論文をどのよう に積極的かつ正しく活用していくかが、少なくとも、生活習慣病の一次予防(発症予防)ならびに重 症化予防を図る上で鍵となることが示唆された。将来の食事摂取基準の策定において、この分野 の研究者、専門家の育成と組織づくりが不可欠かつ急務であることが明らかとなった。

A. 背景と目的

医療の領域において、ガイドラインの作成は 科学的エビデンスに基づくものとされ、そのた めの資料を提供する方法として、各個論文に 加えて、それらを定性的または定量的に統合 した系統的レビューならびにメタ・アナリシスが 積極的に用いられるようになっている。これは、

食事摂取基準の策定においても理論的には 同様であるはずである。すなわち、各種栄養 素と健康との関連を検討した系統的レビュー ならびにメタ・アナリシスから得られた結果は、

今後の日本人の食事摂取基準の作成に重要 な役割を果たすものと考えられる。

そこで、食事摂取基準が科学的根拠として 用いる研究分野である人間栄養学の研究を対 象として行われた系統的レビューならびにメ タ・アナリシスの研究動向を論文数の推移を指 標として明らかにすることを目的とした。

また、近年、量反応関係を扱う

dose-response meta-analysis も数多く行われる

ようになってきた。食事摂取基準は他の多くの 医療系ガイドラインと異なり、定性的ではなく、

定量的な記述を求められるガイドラインである。

すなわち、たとえば、「カリウムの摂取が求めら れる。」という記述ではなく、「カリウムの目標量 を○○mg/日以上とする。」といった記述である。

この目的には従来のメタ・アナリシスの結果は 使いにくく、dose-response meta-analysis の結 果が有用である。そこで、dose-response meta-analysis の論文数の動向も扱うことにし た。

さらに、経験的には、人間栄養学における 系統的レビューならびにメタ・アナリシスは、不 足の回避に関する領域(つまり、推定平均必 要量の算定)や過剰摂取に関する領域(つまり、

耐容上限量の算定)よりも、生活習慣病の一

次予防ならびに重症化予防の領域(つまり、目

標量の算定など)で積極的に試みられている

ようである。そこで、食事摂取基準で目標量が

算定される予定の栄養素に限って、栄養素別

(2)

424

にも論文数の推移を検討することにした。

B. 方法

文献検索のデータベースには PubMed を用 いた。検索語は、基本文として、(dietary OR intake OR consumption) AND (meta-analysis OR "systematic review") を用いた(これを[文 A]とする)。なお、経験的ではあるが、(dietary OR intake OR consumption)で検索すると、栄 養素や食品等の経口摂取を扱った論文をほ ぼ網羅的に抽出できることがわかっている。

次に、dose-response meta-analysis を抽出 する場合には、[文 A] AND "dose-response"と した。

栄養素別に抽出する場合には、[文 A] AND [文 B]とした。ここで、[文 B]は栄養素ごとに次 の語(または文)とした。

たんぱく質: protein 脂質: fat

飽和脂肪酸: (saturated AND (fat OR “fatty acid”)

コレステロール: cholesteol 炭水化物: carbohydrate ナトリウム: (sodium OR salt) カリウム: potassium

検索年は雑誌掲載年が 2018 まで(2018 年 を含む)すべての年とした。

C. 結果ならびに考察

C-1. 人間栄養学に関する全論文

図1(左)に全論文数の推移(累積数)を示 す。初出は 1975 年であったが、1990 年ごろか ら論文が増加し始め、2005 年以後、増加速度 が上昇し、2010 年を過ぎるとさらに加速したよ うすがわかる。2018 年末の合計論文数は 23843 論文であった。

図1(右)に、この中で dose-response meta-analysis を行った論文数の推移(累積 数)を示す。初出は 1988 年であったが、2000 年ごろから論文が増加し始め、2005 年以後、

増加速度が上昇し、2010 年を過ぎるとさらに加 速したようすがわかる。2018 年末の合計論文 数は 1237 論文であった。

図2(左)に目標量の算定が試みられた8種 類の栄養素を扱った論文数の推移(年間掲載 数)を示す。また、図2(右)に目標量の算定が 試みられた8種類の栄養素を扱った論文数の 推移(累積数)を示す。

それぞれの栄養素を扱った論文の初出は 1990 年前後であるが、2000 年ごろから増え始 め、2010 年から加速しているようすがわかる。

栄養素別に見ると、たんぱく質がもっとも多く、

続いて、炭水化物、脂質、コレステロールと続 いている。しかし、たんぱく質、炭水化物、脂 質はそれぞれに含まれるより詳細な栄養素を 扱った論文でも登場する名称であるため、この 数の解釈は慎重であるべきであろう。一方、コ レステロールは血中コレステロールを扱った論 文も抽出してしまう検索式であったために過剰 に抽出してしまった恐れがある。つまり、コレス テロール以外の栄養素や食品の摂取と血中コ レステロールを扱った論文も含まれてしまう恐 れが強い。上記に比べると、食物繊維、ナトリ ウム(食塩でも抽出した)、カリウムを扱った論 文数はほぼ真値に近いのではないかと考えら れる。この3種類の栄養素のなかでは、食物繊 維を扱った論文数が 2012 年以後他の2種類 の栄養素を扱った論文の数よりも増加が著し いのが注目された。

D. 結論

人間栄養学分野における系統的レビュー・

メタ・アナリシスの論文数は 1990 年ごろから論 文が増加し始め、2005 年以後、増加速度が上 昇し、2010 年を過ぎるとさらに加速しており、

2018 年末の合計論文数は 23843 論文であっ た。これは、医療、健康科学の多領域と同様に、

人間栄養学でも、近年、系統的レビュー・メタ・

アナリシスが急増していることを示しており、食

事摂取基準の策定においても有力な科学的

(3)

425

根拠を与えてくれるものと期待される。一方、こ

の領域における日本人または在日本の研究 者の寄与は極めて乏しく、将来の食事摂取基 準の策定において、この分野の研究者、専門 家の育成と組織づくりが不可欠かつ急務であ ることが明らかとなった。

また、目標量の策定を試みた栄養素を扱っ た論文でも全論文数の推移よりもやや時代が 遅れたものの、最近、その数は急増しており、

これら論文をどのように積極的かつ正しく活用 していくかが、少なくとも、生活習慣病の一次 予防(発症予防)ならびに重症化予防を図る 上で鍵となることが示唆された。将来の食事摂 取基準の策定において、この領域においても、

この分野の研究者、専門家の育成と組織づく りが不可欠かつ急務であることが明らかとなっ た。

F. 健康危険情報 なし

G. 研究発表 1. 論文発表 なし 2. 学会発表 なし

H. 知的所有権の出願・登録状況 1. 特許取得

なし

2. 実用新案登録 なし

3. その他

なし

(4)

426

図1 人間栄養学に関する系統的レビューまたはメタ・アナリシスを扱った論文数の推移

用いた検索式は本文参照のこと。横軸は西暦年。縦軸は論文数。

(左)全論の累積掲載論文数。

(右)上記のうち、dose-response meta-analysis を行った論文数(累積数)。

図2 目標量の算定が試みられた8種類の栄養素を扱った論文数の推移

(左)年間掲載数。 (右)累積数。 用いた検索式は本文参照のこと。

横軸は西暦年。縦軸は論文数

参照

関連したドキュメント

こうした背景を元に,本論文ではモータ駆動系のパラメータ同定に関する基礎的及び応用的研究を

 介護問題研究は、介護者の負担軽減を目的とし、負担 に影響する要因やストレスを追究するが、普遍的結論を

機械物理研究室では,光などの自然現象を 活用した高速・知的情報処理の創成を目指 した研究に取り組んでいます。応用物理学 会の「光

「心理学基礎研究の地域貢献を考える」が開かれた。フォー

となる。こうした動向に照準をあわせ、まずは 2020

例えば、EPA・DHA

需要動向に対応して,長期にわたる効率的な安定供給を確保するため, 500kV 基 幹系統を拠点とし,地域的な需要動向,既設系統の状況などを勘案のうえ,需要

3 ⻑は、内部統 制の目的を達成 するにあたり、適 切な人事管理及 び教育研修を行 っているか。. 3−1