第６学年 算数科学習指導案
平成２８年１２月１日（木）第５校時 宿毛市立宿毛小学校 ６年Ａ組 児童数２４名 指導者 安田琴美 学習指導要領 【Ｄ 数量関係】 (５) 具体的な事柄について、起こり得る場合を順序良く整理して調べることができるようにする。 １ 単元名 並び方と組み合わせ方 順序よく整理して調べよう（東京書籍６年） ２ 単元について ○単元観 本単元で扱う並べ方と組み合わせ方は、学習指導要領における【Ｄ 数量関係】(５)「 具体的な事 柄について、起こり得る場合を順序良く整理して調べることができるようにする。」に位置づけられてい る。第５学年での分類整理して考える活動の上に、第６学年では、起こり得るすべての場合を適切な観 点から分類整理して、順序よく列挙できるようにすることをねらいとしている。本単元で学習する、起 こり得るすべての場合を順序よく整理して調べることは、中学校数学の「資料の活用」における確率の 学習につながる。確率を求めるには、同様に確からしいと考えられる起こり得るすべての場合を、まず 正しく求める必要がある。本単元の順序よく整理して正しく数え上げる学習や、樹形図などに表す学習 は、中学校で学習する確率の素地となる。起こり得るすべての場合を思いつくままに挙げていくのでは 落ちや重なりが生じる。そこで数えあげるときには、１つを固定するなど調べる上でのきまりをつくり、 表や図、基本図形などに表して見やすくするなど、工夫しながら順序よく調べていくことが必要である。 指導にあたっては、結果として何通りの場合があるということを求めるだけでなく、落ちや重なりがな いように工夫して調べる過程に重点を置く。 ○児童観 本学級は、自主学習として既習事項を振り返ったり、次時の課題に対して積極的に取り組んだり できる児童が多い。また、授業での自分の考えを説明できるようにノートに書き表したり、友達の 考えを付け加えたりすることもできるようになってきている。しかし、全体の場で、前に出て発表 するとなると、自信が持てず、消極的になってしまうことが課題である。この単元導入に際して行 った「レディネス問題」の結果では、「並び方をすべて書き出す問題は４３％」「じゃんけんの組み 合わせ方をすべて書き出す問題は３５％」の正答率であった。本時で扱うような、係活動の組み合 わせを考えるとき、一部の児童で組み合わせ方の案が出ると、自分で組み合わせ方を考えようとし ていない児童もいて、意欲や学力に差がある。学ぶ意欲を高めるように、思考や表現のよさを認め 合い、みんなで学び合い、高め合うような学級になるよう、取り組んでいる。 ○指導観 第１小単元では、順列について、起こり得るすべての場合の数を次のプロローグと２つの段階を 追って学習を進める。まず、遊園地で４つの乗り物に１回ずつ乗る順序にはどんなものがあるか、落ちや重なりなく調べる方法を考える。その時に起こり得るすべての場合を並べて数え上げるので はなく、特定の１つを固定する工夫ができるようにしたい。次に、並べ方を考える場面のバリエー ションとして、４枚のカードの中から２枚を用いて２桁の整数をつくる問題、メダルを３回投げる ときの表と裏の出方を調べる問題に取り組ませる。ここでは、今まで学習したことを生かして表や 樹形図を用いて順序よく整理して考えるようにしたい。 第２小単元では、組み合わせの問題について、起こり得るすべての場合の数を調べる学習をする。 Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの４つのチームで１回ずつ総当たりでバスケットボールの試合をするとき、どんな 対戦があるかを調べる。順列の問題と同様に、順序よく調べて、落ちや重なりがないように工夫し て数えていく方法を考える。順列での学びを生かして考える中で、児童が重なりを見つけ出し、順 列との違いをとらえることを大切にしたい。さらに、表現のよさを考えさせることから、１つを固 定することや規則的に並べて調べるといった順列との共通点と順列を考えないことや重なりを１つ とみなすといった組み合わせだからこその整理の方法を理解させていきたい。 なお、新聞活用は年度当初から日常的に行ってきているが、本単元の指導に入る前には、興味を 持った試合等の記事を集めさせる。そうすることによって、対戦方法についての基本的な知識を得 たり、関心が広がったりするだろう。また、本単元の終盤には、自らが選んだ新聞記事をもとに学 んだことを生かす場を設定したい。 キャリア教育の視点としては、自力解決により児童が考えた図や表について、その考えを話し合 わせる活動を通して、「人間関係形成能力（かかわる力）」を育てていきたい。また、本単元で扱う 並び方と組み合わせ方を使って、学級活動や学校行事の縦割り班活動に活用できるようにしていき たい。 ３ 単元の目標 ・具体的な事柄について、起こり得る場合を順序よく整理して調べることができるようにし、筋道 立てて考えを進めていこうとする態度を身につける。 ４ 単元の評価規準 算数への 関心・意欲・態度 数学的な考え方 数量や図形についての 技能 数量や図形についての 知識・理解 ・順列や組み合わせについ て、図や表などを用いて 工夫しながら、落ちや重 なりがないように、順序 よく調べようとしてい る。 ・順列や組み合わせについ て、落ちや重なりのない ように図や表を適切に用 いたり、名称を記号化し て端的に表したりして、 順序よく筋道立てて考え ている。 ・順列や組み合わせについ て、落ちや重なりのない ように、起こり得る場合 を順序よく整理して調 べることができる。 ・順列や組み合わせに ついて、落ちや重な りのないように調べ るには、ある観点に 着目したり、図や表 などにかき表したり するとよいことを理 解している。 ５ 本単元の学習の関連と発展 ４年 折れ線グラフと表 ・資料を整理すること ・二次元表の表し方・読み方 ６年 並べ方と組み合わせ方 ・場合の数の調べ方 ・順列・組み合わせの素地 中学２年 ・確率
◇学習の流れ ◇意識の流れ ６ 単元構想図 単元を貫く思考・表現 （活動） 具体的な事柄について、起こり得る場合を順序よく整理して調べよう 第１小単元 ○絵を見て、乗る順序への関心をもつ。 ○順列について落ちや重なりのないように、順序よく 整理して調べる方法を考える。 ○順列について、落ちや重なりがないように調べる方 法についての理解を深める。 ○組み合わせについて落ちや重なりのないように調 べる方法を考える。 ○組み合わせについて考える時には、落ちや重なりが ないように図や表などを用いるとよいことを理解 する。 ○新聞から並べ方や組み合わせ方が使える場面をみつ ける。 ○図書の本の貸し出しの順列を考え、月６冊以上の目 標が達成できるようにする。 第２小単元 まとめ 単元で付けたい力 ・落ちや重なりがないように順序よく整理して調べる力 ・並べ方や組み合わせ方を友だちに伝わるように表現する力 【児童の実態】 ・数量や図形について基礎的な知識は あるが、日常的に見通しをもち、筋道 を立てて、表現する能力に差がある。 ・乗る順序はたくさんあるなあ。 ・乗り方を全部みつけるのは大変。 ・まず、１番目に乗るものを決め てみよう。 ・全部名前を書くのは面倒だなあ。 ・ ・組み合わせ方で同じ対戦相手が できた。どうしよう。 ・表に表すことができないかな。 ・他に間違いがない書き方はでき ないかな。 ・身の回りから、並べ方や組み合 わせ方を考える場面をみつけ てみよう。 ・１月のもちつきの順序は班で何 通りあるか、考えてみよう。
７ 指導と評価の計画（全６時間） 単 元 時 主な学習活動 評 価 関 考 技 知 ・評価規準 （評価方法） キャリア教育 でつけたい力 １ １ ・落ちや重なりがないよ うに４つの乗り物に乗 る順序を考える。 ・乗り物を記号化して考 え る と よ い こ と を 知 る。 ○ ・順列について、落ちや重なりが ないように工夫して順序よく 調べようとしている。 （ 行 動 観 察 チ ケ ッ ト カ ー ド 発言） ２ 本 時 ・順列について、落ちや 重なりのないように表 や樹形図を用いた調べ 方について考える。 ・３つの数字で３桁の整 数が何通りできるか調 べる。 ○ ・具体的な事柄（順列）について 整理する際、落ちや重なりのな いように、図や表を適切に用い たり、名前を記号化して端的に 表したりして、順序よく筋道立 てて考えている。 （行動観察 ノート 発言） 人間関係形成能力 （かかわる力） 実際にチケットカ ードを並べたり、 乗りたい順序を話 し合ったりするこ とで順列の方法は いろいろあること を伝えている。 ３ ・４つの数字で２桁の整 数が何通りできるか調 べる。 ・メダルを３回投げたと きの表と裏の出方が何 通りあるか調べる。 ○ ・順列について、落ちや重なりが ないように順序よく整理して 調べることができる。 （行動観察 ノート 発言） ２ ４ ・４チームの総当たりの 場合の、試合数の調べ 方を考える。 ・表や図を用いて考える。 ・多角形の辺や対角線を 使って調べる考えを取 り上げる。 ・それぞれの考えについ て話し合う。 ○ ・組み合わせについて、落ちや重 なりがないように、図や表を用 いて、順序よく筋道立てて考 え、調べている。 （行動観察 ノート 発言） 人間関係形成能力 （かかわる力） 組 み 合 わ せ に つ い て 友 だ ち と 自 分 の 考 え を 伝 え 合 っ て いる。 ５ ・５種類のアイスクリー ムから２つを選ぶとき の 組 み 合 わ せ を 考 え る。 ○ ・順列や組み合わせについて、落 ちや重なりがないように調べる には、図や表などを用いるとよ いことを理解している。 （行動観察 ノート 発言）
・新聞から並べ方や組み 合わせ方が使える場面 をみつけ、活用する。 ３ ６ ・しあげ問題に取り組み、 学習を振り返る。 ・図書の本の貸し出しの 順列を考え、月６冊以 上の目標が達成できる ように考える。 ○ ・基本的な学習内容を身につけて いる。 （行動観察 発言 ノート） ８ 本時の指導（２／６） （１）目標 順列について、落ちや重なりのないように調べる方法を考えることができる。 （２）評価規準 考具体的な事柄（順列）について整理する際、落ちや重なりのないように、図や表を適切に用い たり、名前を記号化して端的に表したりして、順序よく筋道立てて考えている。 B 概ね満足できる状況 ◇具体的な事柄（順列）について整理する際、落ちや重なりのないように、図や表を適切に用 いたり、名前を記号化して端的に表したりして、順序よく筋道立てて考えている。 A 十分満足できる状況 ◇具体的な事柄（順列）について整理する際、順序よく筋道立てて考え、図や表を用いたり幾 通りかの調べ方をしたり、考えた方法を説明したりしている。 （３）キャリア教育でつけたい力 実際にチケットカードを並べたり、乗りたい順序を話し合ったりすることで順列の方法はいろい ろあることを伝えている。【人間関係形成能力（かかわる力）】 （４）学習の展開 学習活動と主たる発問（☆） 指導上の留意点（○）と評価規準（□） キャリア教育の視点（◆） 支援の必要な児童（※）
（５）準備物 乗り物のチケットカード、ヒントカード 導 入 ５ 分 導 入 展 ３ ５ 分 １．前時までの学習を想起する。 ２．本時の課題を知る。 ○前時の学習で、組み合わせ方でこまったことを発表させる。 ○場面を理解し、解決の見通しを持たせる。 展 開 ３．落ちや重なりなく乗る順序を全 部調べる方法について考える。 ４.考えを発表し合う。 ○乗り物が４つの場合を想定して、どれから乗るか考えさせる。 ※並べ方がわからない児童には、チケットを並べてみようと助言 する。 ○乗る順序を大切に落ちや重なりがないように全部調べる方法 を考えさせる。 ※見通しが立たない児童には、ヒントカードを準備しておく。 ※手がつかない児童には実際にチケットを使うことを知らせる。 ○自分と友だちの考えを関連づけながら、調べる方法を明確 にさせる。（共通点・相違点） 考具体的な事柄（順列）について整理する際、落ちや重なり のないように、図や表を適切に用いたり、名前を記号化し て端的に表したりして、順序よく筋道立てて考えている。 （行動観察 ノート 発言） ◆実際にチケットカードを並べたり、乗りたい順序を話し合 ったりすることで順列の方法はいろいろあることを伝えて いる。【人間関係形成能力（かかわる力）】 ま と め ５．表や樹形図を用いた調べ方につ いてまとめる。 ６．適用問題をする。 ７．本時を振り返り、次時の予告を する。 ※カードを使ってもよいことを知らせる。 【次時の予告】 この中にみんなに配ろうと思っていた大切なもの が入っています。ただ、鍵がかかっていてパスワード がわかりません。数字を１回ずつ使うとして、何通り の方法があるのか考えてきてください。 落ちや重なりがないように調べる方法を考えよう。 ジェットコースター、観覧車、ゴーカート、メリーゴーランドに、 １回ずつ乗ります。 乗る順序には、どんなものがあるか調べましょう。
（６）板書計画 ９ 参観の視点 ・目標は、達成できたか。 ・子どもの主体的な学びとなっていたか。 ・カードを並べたり、乗りたい順序を話し合ったりすることで、お互いの考えを友達と伝え合って いたか。（キャリア教育の視点） 問題 めあて ジェットコースター・観覧車・ゴーカート 落ちや重なりがないように調べる方法を考えよう。 メリーゴーランドに１回ずつ乗ります。乗 る順序には、どんなものがあるか調べまし ょう。 まとめ ・最初を決めて、記号におきかえてかくとよい。 振り返り ・表や図に表してぬからないように調べる。 ・樹形図がわかりやすい。 【学習方法に関わる工夫】 ・児童が、単元の学習全体の見通しをもち、順列や組み合わせについて落ちや重なりのないよう に調べるというゴールイメージをもって1 時間 1 時間を主体的に取り組めるようにしている。 【学習内容と生活・社会とのつながりを意識した工夫】 ・並び方や組み合わせ方の書き方を知るきっかけに表や図に表しているものを掲示し、参考にし ている。 ・本単元で「順序よく整理して調べよう」について学んだことを生かして、体育やレクリエーシ ョンの組み合わせなど、筋道を立てて思考したことを、みんなにわかるように自分たちで表現 していく。 【本時で重点に「つけたい力」の育成に向けた工夫】 ・本時の学習については、前時で児童が自分で乗り物に乗る順序を自由に考え、ノートに記録し、 どうすればよいかわからなくなった点や改善点などをもとに、児童の興味・関心を大切にする。 ・名称を記号化して端的に表したりして、順序よく筋道立てて考えたのか、友達にわかるノート 作りをしたり、自分の言葉で説明ができるようにする。 キャリア発達を促す探究的な授業の実践ポイント ジ－か－ゴ－メ ジ－か－メ－ゴ ジ－メ－か－ゴ ６×４＝２４ ジ－メ－ゴ－か ジ－ゴ－メ－か ジ－ゴ－か－メ Ｃ Ｄ Ｂ Ｄ Ｃ Ａ Ｃ Ｂ Ｄ Ｄ Ｂ 同じように他に Ｄ Ｂ Ｃ ３通りできるから Ｃ Ｂ ６×４＝２４
分科会の記録（６年生）
【授業者より】
・普段から自学で予習や復習など、次の授業に必要なもの を意識して取り組ませており、この日も予習をしてきて いた子は授業に生かされていた。 ・悩むように想定して臨んだ前時の授業では、正解者は三 分の一程度だった。 ・ヒントカードがあっても答えまでたどり着けない児童も いるが、少しでも自分で考えることを大事に日々の授業 に取り組んでいる。【参観者より】
・学習規律がしっかりできており、聞くことを大事にして学級経営をすすめているのがわかる。 ・教師の話し方も、普段はしっかりと、時にはユーモアを交えてメリハリがある。 ・児童の意見の取り上げ方がうまい。わからなかったことが整理されていった。 ・時間配分やスピード感を意識して参観した。考える時間は十分にあるが、時間内には終わっていて、 スピード感がある。 ・ねらっていた考えが出たように見えたが、家庭学習でどの程度やっていたのか。 →日々自分でめあてを立てて１ページ充実させるように指導している。日付、めあてがなければ評 価しないことにしており、この日それができていた児童のうち算数の予習をしていた児童は９名 いた。 ・２４人で授業する上で、ペアやグループをどう取り入れているか →自力解決を大事にしているので、考える時間の確保は意識している。その時間の中では、ペアや グループを区切らず、自力解決の中で自由に動くことをさせるようにしている。・前に出た５名はどう選んだのか。間違った子はいなかったのか →途中でわからなくなったら×を書いて、全体で確かめたりする。今日はノートに途中までしか書 いていなくても前に書いてもらった子もいた。普段はこの時点で共通点なども子どもから出てく るが、今日は少し緊張もあった。 ・前に出た５人とも６×４の×４が出ているのがすごい。全種やってみないとわからないという子は いないのか。 →ノートには全通りやっていたが、前で説明する時はどうまとめて伝えるかを考えて発表するよう にしているので省略していた。前を見て気付いてほしいと思う５人を出したので、見ている子の 中には全通りないとわからない児童もいたかもしれない。９月からレクリエーションとして○○ 選手権などで組み合わせを考えたりしてきてはいるが、今日の学習に生かされていたかどうかは わからない。 ・まとめはどのようにしているのか →本校としては、まとめは児童の言葉でというのを前提にしている。 【助言者より】 ・前時でいかに困らせて、もっている課題から考えたい気持ちにさせているかが大事。予習も含め、 主体的に考えようとすることにつながった。 ・振り返り、適用問題でどれだけの子ができるようになり、どこでつまづいているかがわかる。 ・わからない子が、助言をもらい、できるように書き足している姿が主体的になる。自分でノートを 作れている。 ・前に出た子は６×４という計算で２４通りを出せる力があるが、落ちや重なりがないように意識さ せるためには、わかりにくい子に対しては、本当なの？というところを確認する必要があった。 書いたノートをＩＣＴを活用して見せることも有効である。まずは表で整理し、樹形図へと段階を 上げていくことが必要。 ・家庭学習につながる次時の予告も良かった。
