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漁業協業化と集団的漁場利用の社会経済的意義に関する研究

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2017 年 2 月 7 日

漁業協業化と集団的漁場利用の社会経済的意義に関する研究

―八雲町漁協地区,寿都町歌棄地区,寿都町寿都地区を事例として―

共生基盤学専攻 共生農業資源経済学講座 水産経営経済学 本多秀成

1. 背景

近年,多くの漁村において漁業者数の減少が顕在化しており ,地域漁業は再編局面 を迎えている。再編の結果として構築される地域漁業生産の 在り方について,生産主 体を個別経営に限定させず,協業化(作業や経営の共同化など)という手法を組み込むこ とも合わせて広く検討する必要があろう。しかし ,漁業協業化の効果については経済 合理性の発揮という側面で分析されることが多く ,その本質的な意義に関しては定ま った評価がなされていないのが現状である。

2. 目的

本論文では,漁業者数の減少が明らかな地域において実践されている協業化につい て取り上げ,その取り組みの成立背景や漁業者の協業化への評価を明らかにする 。そ のうえで,各地の協業化に共通して存在する本質的意義を検討することを 目的とする。

なお,事例地区は漁業者数減少が著しい中で協業化の取り組みが展開した八雲町漁 協地区,寿都町歌棄地区,寿都町寿都地区の 3地区とした。

3. 結果

八雲町漁協地区では,生産性に劣る小規模漁家に 共同作業の導入することで,労働 力の補完を通した小規模漁家の底上げが目指されていた。他方 ,寿都町歌棄地区では 地区内正組合員全てを構成員とする協業体を結成し ,ダイバーへアワビ及びナマコ採 捕を委託するという体制が築かれていた。さらに,歌棄地区の協業体の中心を占める ナマコ事業による配当金は新規参入者を含め平等に分配されている。この点に関して,

漁業者らには若手漁業者が地域にとって必要な存在との 認識があり,平等配分に対す る不満は見受けられなかった。つまり ,漁業者数維持のために協業体による配当金と いう形で漁家所得の下支え,若手の漁村への定着を図ろうとしたものといえる 。また,

寿都町寿都地区においても漁業者数の減少という他地区と共通する背景の中で残存漁 家の育成が目指されていた。そして,近年著しく価格が上昇したナマコ資 源をめぐる 漁業者間の格差を是正し,地区内全体の底上げが目指されていた。

以上より,事例地区とした 3 地区の協業化において共通して重視されているのは,

地区内漁業者の全体的な底上げや ,所得均衡という社会的な役割にあるといえる。し たがって,今日の漁村において展開する協業化の目的は ,有力漁家の更なる規模拡大 を通したスケールメリットの追求にあるわけではなく,その本質的意義は脱漁家の抑 制や新規着業者の定着を図る条件整備であるとみなすことができる。

参照

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