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〈判 例 研 究 〉
週刊誌 の記事が名誉殿損 に当た る場合 にお いて、 出版社 の代表取締役の任務解 怠責任 が認 め られた事例
東 京 地 判 平 成21年2月4日
(平17(ワ)27188号 、 損 害 賠 償 等 請 求 事 件 、 一 部 認 容 ・41N棄 却 [控 訴])
加 賀 譲 治
目 次 1事 案 の概要
2判 旨
(D本 件 各 記 寓 の 内容 が 名 誉殿 損 に該 当 す るか につ い て
(2)本 件 各 記 事 にお け る名 誉殿 損 部 分 の 違法 阻 却 事 由等 の有 無 につ いて (3)被 告 佐藤 の 旧 商法266条 ノ3に 董 つ く責 任 につ い て
3批 評
(D従 業 員 の違 法 行為 に よ る取 締 役 の 対 第三 者 責 任 を認 めた他 の判 例 (2)取 締 役 の コ ン プラ イ ア ンス体 制 整 備 の責 任
(3)従 業 員 に よ る名誉 殿 損 に基 づ く出 版 社取 締 役 の対 第 三 者 責 任 (4)本 判 決 の意 義
1事 案 の 概 要
本 件 は 、 元 横 綱 で 貴 乃 花 部 屋 を運 営 す る原 告 甲野 二 郎 、 妻 で あ る原 告 甲野 松 子 が 、 週 刊 誌 「週 刊 新 潮 」 を発 行 す る被 告株 式 会 社 新 潮 社(「 被 告 会 社 」)、代 表 取 締 役 で あ る被 告 佐 藤 隆 信 、週 刊 新 潮 編 集 長 で あ る被 告 乙 山 春 夫 に対 し、 週 刊 新 潮 に原 告 らの名 誉 を殿 損 す る内 容 の記 事 を掲 載 した こ とに よ り損 害 を 被 っ た と主 張 して 、 被 告 乙 山 、 被 告 会 社 に対 し民 法709条 、715条 、719条1項 に基 づ き、 被 告 佐 藤 に対 し旧 商 法(平 成17年 法 律 第87号 に よ る改 正 前 商 法)266条 ノ
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3第1項 に基 づ き、 損 害 賠 償 を求 め、 被 告 会 社 に対 し民 法723条 に基 づ き謝 罪 広 告 の掲 載 を求 め た の に対 し、 被 告 らが 、 名 誉 殿 損 該 当性 を 争 い 、 また 、 違 法 阻 却 事 由 等 を主 張 し、 被 告 佐 藤 が 代 表 取 締 役 と して の 任 務 解 怠 を争 っ た 事 案 で あ
る。
大 関 貴 ノ花 で あ った 甲 野 太 郎(「 二 子 山 親 方 」 と も呼 ば れ る。 以 下 、 「太 郎 」 とい う。)は 、 現 役 引退 後 、藤 島部 屋(そ の 後 の二 子 山部 屋)を 開 い た。 元 妻 で あ る丙 川 花 子 との 間 に、 長 男 一 郎 、 二 男 原 告 二 郎 の 二 子 が あ り、 一 郎 は 横 綱 若 乃 花 とな り、 原 告 二 郎 は横 綱 貴 乃 花 とな っ た。 太 郎 は、 平 成17年5月30日 、 死 亡 した。 原 告 二 郎 は 、 平 成15年 、力 士 を 引 退 し、 平 成16年2月 、 二 子 山部 屋 を 承 継 して貴 乃 花 部 屋 と改 め 、 貴 乃 花 親 方 と して 同部 屋 を運 営 して い た 。 原 告 松 子 は、 原 告 二 郎 の 妻 で あ る。 丁 原 竹 夫 は 、 マ ン シ ョ ン建 設 、 販 売 、賃 貸 等 を主 た る業 とす る株 式 会 社 戊 田 の代 表 取 締 役 で あ り、原 告 二 郎 の 有 力 な後 援 者 で あ る。 被 告 佐 藤 は、 平 成12年6月 か ら、 被 告 会 社 の代 表 取 締 役 で あ る。 被 告 乙 山 は、 平 成13年 か ら、 週 刊 新 潮 の 編 集 長 で あ る 。
問 題 とな っ た記 事 は、 週 刊 新 潮 平 成17年2月17日 号(本 件 記 事1)、 同年6 月16日 号(本 件 記 事2)、 同 年6月23日 号(本 件 記 事3)、 同 年6月30日 号(本 件 記 事4)、 同 年7月14日 号(本 件 記 事5)に 掲 載 され た もの で あ る。
本 件 記 事 内 容 は後 述 の 判 旨 に お い て詳 述 され て い るが 、 まず 名 誉 殿 損 に関 し て 、 被 告 ら は、 次 の よ うに反 論 した。 原 告 二 郎 は 、 相 撲 界 で 横 綱 貴 乃 花 と して 一 時 代 を築 い た名 力 士 で あ り、 引 退 後 も貴 乃 花 親 方 と して 活 躍 し、 将 来 の 相 撲 協 会 理 事 長 との呼 び 声 も高 い 「公 人 」 で あ る。 また 、 太 郎 も、 一 郎 と原 告 二 郎 の 二 人 の子 供 を横 綱 に 育 て 上 げ 、 相 撲 協 会 に お い て も事 業 部 長 と して 大 き な 力 を有 して い た 「公 人 」 で あ っ た 。 本 件 各 記 事 は 、 単 な る相 続 争 い で は な く、 原 告 二 郎 が承 継 した 二 子 山 部 屋(貴 乃 花 部 屋)の 存 続 や 原 告 二 郎 が 片八 百 長 を認 め た 発 言 に つ い て 記 載 した もの で あ り、 一 般 国 民 の 関 心 も高 か っ た か ら、 公 共 の 利 害 に 関 す る もの で あ る。 ま た、 原 告 松 子 に 関 す る部 分 は 、 相 撲 部 屋 の 「お か み さ ん 」 と して 、 部 屋 の 存 続 、 維 持 の た め、 原 告 二 郎 と とも に行 っ た 行 為 に 関 す る もの で あ るか ら、 公 共 の 利 害 に 関 す る もの で あ る。 本 件 各 記 事 は、 原 告 ら の行 為 の 不 当性 を訴 え る内 容 で あ り、 被 告 らは 、 専 ら公 益 を図 る 目的 で 本 件 各 記 事 を 掲 載 した もの で あ る。 本 件 各 記 事 の 内 容 は真 実 で あ る か ら、 本 件 各 記
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}1」の 掲 載 に違 法 性 は な い 。仮 に、本 件各記事 の内容 につ き真実 と認 め られ ない 部 分 が あ る と して も、 被 告 ら は、 甲 田 夏 夫 を始 め とす る フ リー ライ ター や 元 二 子 山 部 屋 関係 者 等 に対 す る取 材 に基 づ き、 本 件 各 記 事 の 内 容 が 真 実 で あ る と確 信 して 本 件 各 記 事 を作 成 した もの で あ り、 本 件 各 記 嘉 の 内 容 が 真 実 で あ る と信 ず る につ き相 当 の 理 由 が あ っ た。 した が っ て 、 被 告 らに 故 意 又 は過 失 は な い 。 これ に対 して 、 原 告 ら は次 の よ う に主 張 した 。 原 告 二 郎 、 太 郎 が 「公 人 」 で あ る こ とは 争 う。 一 郎 と原 告 二 郎 との 間 に相 続 争 い は な か っ た し、 仮 に あ った と して も、 重 要 な もの で は な か っ た か ら、 社 会 の 正 当 な 関 心 事 とは い え ず 、 本 件 記 事 が 公 共 の 利 害 に 関 す る とい う こ とは で き な い。 本 件 各 記 事 は 、 公 共 の 利 害 に関 係 が な く、 社 会 に 伝 え る必 要 の な い7実 を伝 え る も の で あ るか ら、 専 ら 公 益 を図 る 目的 が あ っ た とい う こ とは で きな い。 本 件 各 記 衷 の 内 容 は、 真 実 で はな い し、被 告 らに は 、 真 実 で あ る と信 ず る相 当 の理 由 も な い 。
次 に、 被 告 佐 藤 につ き 旧商 法266条 ノ3に 基 づ く責 任 に つ い て 、 原 告 ら は この よ う に主 張 した 。
「株 式会 社 の 取 締 役 は、 会 社 の 活動 に よ り会 社 外 の第 三 者 に損 害 を 与 え る こ と の な い よ う注 意 すべ き義 務 を 負 い 、 と りわ け 代 表 取 締 役 は、 従 業 員 に よ る違 法 行 為 を 防 止 す べ き注 意 義 務 を 負 う。 出版 、 報 道 とい っ た 企 業 活 動 は、 性 質 上 、 他 者 の名 誉 を殿 損 す る危 険 性 を 常 に伴 うか ら、 出版 、 報 道 を主 要 な業 務 とす る 株 式 会 社 の 代 表 取 締 役 は、 業 務 を執 行 す るに 際 し、 出 版 、 報 道 行 為 に よっ て 、 第 三 者 の権 利 を侵 害 しな い よ う注 意 し、 第 三 者 の権 利 を侵 害 す る結 果 を 防 止 し 得 る社 内 体 制 を整 備 、 構 築 す べ き義 務 を 負 う。
被 告 佐 藤 は、 被 告 会 社 の代 表 取 締 役 と して 、 上 記 注 意 義 務 を 負 っ て い た に も か か わ らず 、 上 記 体 制 の 整 備 、構 築 そ の他 の 措 置 を 何 ら講 ず る こ とな く、 原 告 らの 名 誉 を 殿 損 す る本 件 各 記 事 を掲 載 し、 又 は、 結 果 的 に 、 掲 載 を漫 然 と放 置 した もの で あ る か ら、 任 務 を 悪 意 又 は 重 大 な 過 失 に よ り僻 怠 した もの と して 、 旧商 法266条 ノ3第1項 に よ り、 原 告 らに対 し、 被 告 乙山 、 被 告 会 社 と連 帯 して 損 害 を賠 償 す る義 務 を負 う。
な お 、 被 告 らは 、 編 集 権 の 独 立 を主 張 す るが 、 社 内 的 に経 営 と編 集 が 分 離 さ れ て い る と して も、 会 社 業 務 全 般 に つ き責 任 を負 うべ き代 表 取 締 役 の 第 三 者 に
り
対 す る 責 任 が 免 除 され る こ と に は な らな い 。」
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これ に対 して 、 被 告 ら は次 の よ うに反 論 した 。
「我 が 国 の メ デ ィア で は 、伝統 的に経 営権 と編集権 を分 離 させ、報道 内容、編 集 内 容 に関 して は 、 経 営 陣 が 編 集 側 に対 して 一 次 的 な 命 令 権 、 指 示 権 を 行 使 し な い とい う 『編 集 権 の独 立 』 の ル ー ル が 確 立 され て い る。 週 刊 新 潮 に お い て も、
内 容 に関 わ る こ とは編 集 長 が 決 め る こ と と され 、 経 営 陣 が 関 与 す るの は 、 人 事 面 や 経 営 面 に 限 られ る。
被 告 佐 藤 は 、 編 集 実 務 の 経 験 が豊 か で 、 か つ 、 法 律 面 か ら も的確 な 指 導 、 助 言 を す る こ との で き る者 を 週 刊 新 潮 担 当 取 締 役 に 選 任 し(本 件 各 記 事 掲 載 当 時 は 乙野 秋 夫)、 毎 週 原 稿 の チ ェ ッ ク を させ る と と もに 、 記 事 の 違 法 性 の有 無 等 に つ き、 編 集 長 と検 討 させ て い る。 ま た 、例 外 的 な 場 合 に は、 同取 締 役 を通 じて 、 経 営 陣 が、 編 集 側 に対 し、 二 次 的 に指 示 、 命 令 権 を行 使 す る途 も残 され て い る。
週 刊 新 潮編 集 部 で は 、 本 件 各 記 事 の掲 載 当 時 か ら、 編 集 長 を 責 任 者 とす る縦 の チ ェ ッ ク体 制 の ほ か 、 記 者 同 士 の 横 の チ ェ ック体 制 が 構 築 され 、 違 法 な 取 材 や 記 事 掲 載 の 抑 止 が 図 られ て い る。 ま た、 編 集 長 は 、 記 者 や デ ス クか ら衷 情 を聴 取 し、 違 法 性 の 有 無 等 につ き検 討 した上 、 記 事 の掲 載 を決 定 して お り、 判 断 が 微 妙 な場 合 に は 、 上 記 の とお り、 週 刊 新 潮 担 当取 締 役 と相 談 し、 同取 締 役 の 了 解 が 得 られ な い と きは 、 記 事 を 掲 載 しな い こ と と して い る。 した が っ て 、 被 告 佐 藤 は 、週 刊 新 潮 の 取 材 、 報 道 に関 し、 違 法 行 為 が発 生 す る こ とを防 止 す る に 足 りる管理 体 制 を整 えて い た か ら、被 告佐 藤 に任務 解 怠 は な く、 旧商 法266条 ノ
'L)
3に よ る責 任 を 負 わ な い 。」
2判 旨
(1)本 件 各 記 事 の 内 容 が 名 誉 殿 損 に 該 当 す る か に つ い て
「本 件 記 箏1は 、 原 告 二 郎 を冷 血 漢 と罵 る もの で あ り、 具 体 的薯 実 と して 、 璽 い病 気 を お して 弟 子 の 断 髪 式 に参 加 した 父 親 太 郎 を無 視 す る態 度 を とっ た 背 景 に 、原 告 二 郎 が 、 父 親 太 郎 に無 断 で権 利 証 を 持 ち 出 した 事 実 が あ る と摘 示 す る もの で あ っ て 、 登 記 済 権 利 証 を無 断 で 持 ち 出 す 行 為 は、 父 親 の もの で あ ろ う と、
窃 盗 に 当 た る行 為 で あ るか ら、 原 告 二 郎 の社 会 的 評 価 を傷 つ け る もの とい うべ
3)
く、 本 件 記 事1が 名 誉 殿 損 に該 当 す る こ とは い う まで もな い。」
週刊誌の記事が名誉鍛損に当たる場合において、出版社の代表取締役の任務i解 怠責任が認められた事例/SS
「本 件 記 事2は 、原 告松 子 を一 郎 と原 告 二 郎 の不 仲 の 元 凶 と非 難 す る もので あ り、 具 体 的 事 実 と して 、太 郎 か ら 『松 子 は赦 せ な い 』 と恨 まれ る よ う に な っ た 原 告 松 子 が 、 病 床 に あ る太 郎 に対 し、 『親 方 が 協会 の理 事 で い られ る の も、 ウ チ の親 方(貴 乃 花)が 頑 張 っ た か らで す よね 。 だ か ら、 後 は 私 た ち の 好 き な よ う に させ て くだ さ い。』 と言 っ た と具 体 的 に摘 示 し、 また 、原 告 二 郎 が 相 撲 協会 内 で の勢 力 拡 大 に繋 が る年 寄 株 を 手 放 した くな い とか 、 太 郎 の 遺 産 全 部 を欲 しが っ て い る との事 実 を摘 示 し、 さ らに 、 原 告 二 郎 が 太 郎 の遺 体 引 取 を拒 ん だ 事 英 、 原 告 二 郎 が 太 郎 の 遺 骨 の搬 入 を拒 ん だ 事 実 、 前 記 権 利 証 持 出 の 衷 実 、 太 郎 が原 告 ら に対 し 『お 前 らに は 部 屋 は任 せ られ ん 。 相 続 も考 え 直 す と怒 鳴 りつ け た 』
との 車 実 を摘 示 す る もの で あ る。 相 撲 部 屋 の後 継 者 の妻 で あ る原 告 松 子 が 、 同 相 撲 部 屋 の設 立 者 で あ る原 告 二 郎 の 父 親 太 郎 に 対 し、 上 記 発 言 を した との事 実 は 、 一 般 読 者 を して 、原 告 松 子 が 『相 撲 部 屋 の 女 主 人 』 と して 相 応 し くな い と の 印 象 を抱 か せ る も の で あ り、 ま た 、 前 記 権 利 証 持 出行 為 が 窃 盗 行 為 に 当 た る こ と は前 示 の とお りで あ る し、 子 が 親 の 遺 体 の 引 取 や 遺 骨 の 引 取 を 拒 む こ とが 社 会 通 念 上 異 常 な 出来 事 で あ り、 普 通 の 読 者 が 普 通 の読 み 方 を す れ ば 、 子 の 人 格 に 問 題 が あ る と受 け 止 め る こ と も明 らか で あ る。 さ らに 、 相 撲 協 会 内 で の 勢 力拡 大 の た め 、 年 寄 株 や 太 郎 の遺 産 全 部 を独 占 しよ う と して い る との 琳 実 は 、 一 般 読 者 を して、 原 告 二 郎 が 相 撲 部 屋 の 親 方 と して 相 応 し くな い との 印 象 を 抱 かせ る も の で あ るか ら、 原 告 らの社 会 的 評 価 を 傷 つ け る こ とは 明 白 で あ り、本
4)
件 記 事2は 名 誉 鍛 損 に 該 当 す る。」
「本 件 記 事3は 、原 告 二 郎 が 多 数 の 嘘 を つ い て い る と非 難 す る もの で あ り、 具 体 的 事 実 と して 、 前 記 権 利 証 持 出 のkY実 、 太 郎 が 一 郎 らに 山 響 株 を 預 け た こ と を知 りな が ら、 相 撲 協 会 に山 響 株 の 紛 失 届 を提 出 した箏 実 、 原 告 二 郎 が 病 院 入 院 中 の 太 郎 に 対 し、 太 郎 が 藤 島株 を売 却 した こ と な どに つ いて 、 約 束 が 違 う と 食 っ て か か り、 見 舞 い に も行 か な くな っ た との 事 実 、太 郎 を順 天 堂 医 院 に入 院 させ 、 携 帯 電 話 を取 り上 げ、 外 部 との 連 絡 を遮 断 す る な ど して 、 太 郎 の 財 産 を 独 占 しよ う と した との 事 実 を摘 示 す る も の で あ り、 前 記 権 利 証 持 出 行 為 が 窃 盗 行 為 に当 た る こ とは前 示 の とお りで あ る し、病 気 の 父 親 と外 部 との 連 絡 を遮 断 して 財 産 を独 占 しよ う と した との 記 載 、 虚 偽 の 箏 実 を述 べ て い る との 記 載 が 原 告 二 郎 の 社 会 的 評 価 を傷 つ け る こ とは 明 白 で あ るか ら、 本 件 記 事3が 名 誉 殿 損
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5)
に該 当 す る こ とは 明 らか で あ る。」
「本 件 記 事4は 、原 告 二 郎 が 片 八 百 長 を した との 事 実 を摘 示 す る もの で あ り、
か つ て 横 綱 で あ り、 本 件 記 事4掲 載 当 時 、相 撲 部 屋 を運 営 す る原 告 二 郎 の 社 会
c)
的評 価 を傷 つ け る こ とは 明 白 で あ って 、 本 件 記 事4は 名 誉 殿 損 に 該 当 す る。」
「本 件 記 事5は 、原 告 二 郎 が 多 額 の借 金 を 負 って お り、 貸 主 に は 暴 力 団 関 係 者 が い る との事 実 、 興 行 の 利 権 を巡 る トラ ブ ル に 原 告 二 郎 が 自 ら関 わ り、 暴 力 団 関 係 者 と と もに 引 退 相 撲 の 印刷 済 チ ケ ッ トを 奪 取 し よ う と した との 凄 実 を 摘 示 す る も の で あ り、 原 告 二 郎 の社 会 的 評 価 を傷 つ け る こ と は明 らか で あ っ て 、 本
の
件 記 事5は 名 誉 殿 損 に 該 当 す る。」
「本 件 各 記 事 に は 、上記各 事実摘示 に際 し、本件 記事1で は、 『出席 してい た 旧 二 子 山部 屋 後 援 者 』、 『居 合 わせ た 相 撲 記 者 』、本 件 記 事2で は、 『旧二 子 山 部 屋 の 後 援 会 幹 部 』、 『相 撲 記 者 』、 『あ る相 撲 ジ ャ ー ナ リス ト』、 『ス ポ ー ツ 新 聞 の 解 説 委 員 』、 本 件 記 事3で は 、 『太 郎 の相 談 役 だ っ た 人物 』、 『ス ポ ー ツ紙 の 相 撲 担 当 記 者 』、 『二 子 山部 屋 の 内情 に 詳 しい 関係 者 』、 本 件 記 事4で は 、 『貴 乃 花 を 入 門 当 初 か ら見 続 け 、個 人 的 に も親 しい ベ テ ラ ン の相 撲 記 者 』、 『整 体 師 ・丙 山 梅 夫 』(た だ し、 過 去 の週 刊 新 潮 の 引用 で あ る。)、本 件 記 事5で は 、 『旧 二 子 山 部 屋 の 後 援 会 関 係 者 』、 『事 情 通 』 が 述 べ た こ とを伝 聞 と して 記 載 す る とい う方 法 が と られ て い る が 、 他 人 が 述 べ た こ とを 引 用 す る形 式 を とっ た り、 形 式 的 に は 、 断 言 せ ず 、 人 か ら聞 い た こ とで あ る と して 、 疑 問 を残 す か の よ うに 書 い た
8)
か ら とい っ て 、 名 誉 殿 損 該 当性 が 否 定 さ れ る も の で は な い。」
(2)本 件 各 記 事 に お け る名 誉 穀 損 部 分 の 違 法 阻 却 事 由 等 の有 無 に つ い て 本 件 記 事1〜5に お け る名 誉 殿 損L実 に つ い て は 、 い ず れ の 事 実 も これ を真 実 と認 め るに 足 り る証 拠 は な く、 供 述 自体 に推 測 が 多 く、編 集 部 で裏 付 取 材 が され た 形 跡 もな い もの で あ り、 上 記 事 実 摘 示 に よ る名 誉 殿 損 行 為 は 違 法 で あ り、
被 告 会 社 に は、 同 記 事 を掲 載 した こ とに よ り原 告 二 郎 が 被 っ た 損 害 を 賠 償 す る 責 任 が あ る と した 。 な お、 被 告 ら は 、他 の 週 刊 誌 等 に本 件 各 記 事 と同 旨 の記7 が あ る と も主 張 した が 、 他 の週 刊 誌 等 に 記 載 が あ る こ とが 、 真 実 と信 ず る こ と の 相 当 の 理 由 とな る も の で は な い と判 示 され た 。
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(3)被 告 佐 藤 の 旧 商 法266条 ノ3に 基 づ く責 任 に つ い て
「株 式 会 社 で あ ろ う と、出版 を業 とす る企業 は、 出版 物に よる名誉殿損等 の権 利 侵 害 行 為 を可 及 的 に 防 止 す る効 果 の あ る仕 組 、 体 制 を 作 って お くべ き もの で あ り、 株 式 会 社 に お い て は 、 代 表 取 締 役 が 、 業 務 の 統 括 責 任 者 と して 、 社 内 に 上 記 仕 組 、 体 制 を構 築 す べ き任 務 を 負 う とい わ な け れ ば な らな い。
す な わ ち 、 出 版 業 を 営 む 株 式 会 社 の 代 表 取 締 役 は 、 第 一 に、 記 箏 の 執 筆 に 関 与 す る従 業 員 に対 し、 名 誉 殿 損 等 の 違 法 行 為 の 要 件 や そ の あ て は め 等 に 関 す る 正 確 な法 的 知 識 、 名 誉 鍛 損 等 の違 法 行 為 を 惹 起 しな い た め の意 識 と仕 事 上 の 方 法 論 とを 身 に つ け させ て お か な けれ ば な らな い とい うべ きで あ る。 そ の た め の 方 策 と して 、 例 え ば 、 弁 護 士 等 の 法 律 家 に よ る講 義 や 事 例 研 究 等 に よ る研 修 、 更 に は、 出 版 物 に 記 載 しよ う とす る事 実 に つ い て の 真 実 性 確 認 の 方 法 と して の 取 材 の あ り方 、 裏 付 取 材 の あ り方 等 に つ い て の 研 修 を 行 うな どの 方 法 に よ り、
従 業 員 を して 、名 誉 殿 損 等 の権 利 侵 害 行 為 の 違 法性 に つ い て 十 分 な認 識 を もた せ る と と も に 、名 誉 殿 損 等 の 権 利 侵 害 行 為 を惹 起 しな い取 材 、 執 筆 、編 集 活 動 を行 う意 識 を啓 発 し、 慎 重 な 取 材 、取 材 結 果 の検 討 、 裏 付 調 査 、 執 筆 、 編 集 を 自 ら行 う こ とが で き るだ け の法 的知 識 、 事実 の 有 無 と根 拠 に つ い て の 判 断 能 力 、 慎 重 に 記 事 を 作成 す る姿 勢 を もたせ る こ とが考 え られ る。 また 、 第 二 に、 出版 物 を公 刊 す る前 の 段 階 で 、 相 応 の 法 的 知 識 、客 観 的 判 断 力 等 を有 す る者 に 、 記 事 内 容 に名 誉 殿 損 等 の違 法 性 が な い か を チ ェ ッ ク させ る仕 組 を社 内 に作 り、権 利 侵 害 行 為 を 惹 起 す る記 事 が そ の ま ま発 行 さ れ て 不 特 定 多 数 人 に流 布 さ れ る こ
とを 防 止 す る仕 組 、 体 制 を整 え る こ とが 考 え られ る。 さ ら に、 第 三 に、 出版 物 を公 刊 した後 の段 階 で 、 客 観 的 な意 見 を提 示 し得 る第 三 者 視 点 を もった 者 に よ っ て構 成 さ れ る委 員 会 等 を 置 い て 、 記 衷 内容 に 名 誉 殿 損 等 の 違 法 性 が なか っ た か を 点 検 させ 、 記 者 や 編 集 責 任 者 等 、 直 接 取 材 に関 わ る者 との間 で 、 協議 し、 討 論 させ る な ど して 、 既 に 発 行 した 出 版 物 中 の 記 事 の適 否 を検 討 、協 議 し、 名 誉 殿 損 等 の権 利 侵 害 行 為 に該 当 す る記 事 が あ る場 合 に は 、 そ の原 因 を探 究 し、 同 様 の 権 利 侵 害 行 為 が再 び 惹 起 され る こ とを 防 止 す るた め 、 法 的 知 識 を確 認 した り、 原 因 とな っ た取 材 方 法 の 欠 陥 を是 正 す る方 策 を研 究 、 考 案 す る な どの 方 法 が 考 え られ る。 これ らの 仕 組 、 体 制 の整 備 は 、 個 々 の 出 版 企 業 の 実 情 に 応 じて 具 体 的 に検 討 さ れ るべ き事 柄 で あ るが 、 い ず れ に して も、 出版 を業 とす る株 式
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会 社 の 代 表 取 締 役 は、 出版 物 に よ る名 誉 殿 損 等 の権 利 侵 害 行 為 を可 及 的 に防 止 す る た め に有 効 な 対 策 を講 じ て お く責 任 が あ る とい うべ きで あ り、 殊 に 、 週 刊 誌 を発 行 す る 出版 社 に あ っ て は 、 しば しば名 誉 殿 損 が 問 題 とさ れ る こ とが あ る か ら、 上 記 対 策 は 、 代 表 取 締 役 と して 必 須 の任 務 で あ る と い うべ く、 い や し く もジ ャー ナ リス ト と称 す る以 上 、 当 該企 業 が 、 専 ら営 利 に 走 り、 自 ら権 利 侵 害 行 為 を 行 った り、権 利 侵 害 行 為 を容 認 す る こ とが あ っ て は な ら な い こ とは明 ら
の
か で あ る。」
「上記 見 地 か ら被 告 会 社 内 で と られ て いた 仕 組、 体 制 を検 討 す る に、 証 人 乙野 秋 夫 の 証 言 、 弁 論 の全 趣 旨 に よ る と、 一 般 的 研 修 体 制 と して は 、 週 刊 新 潮 編 集 部 で 、 弁 護 士 を交 え て 名 誉 殿 損 等 の 勉 強 会 を開 き、 編 集 部 員 全 員 を 出席 させ て い た もの の 、 そ の頻 度 は 、2年 に1回 程 度 に す ぎ ず 、 その成果 は、 『何 らか の 認 識 が 深 ま る程 度 』 に と ど ま っ て い た こ と、 また 、 出版 物 発 行 前 の チ ェ ッ ク体 制 と して は、 発 行 雑 誌 毎 に 担 当 取 締 役 を定 め 、 担 当 取 締 役 が 各 編 集 部 を監 督 す る 体 制 を とっ て い た が 、 週 刊 新 潮 の 記 事 に つ い て は、 本 件 各 記 事 掲 載 当 時 、 週 刊 新 潮 担 当 取 締 役 で あ る 乙野 秋 夫 に一 任 され て お り、 乙野 は、 毎 週 、 週 刊 新 潮 の 原 稿 に 目 を通 し、 ま た 、 日常 的 に編 集 長 と話 し合 っ て い た も の の 、 個 々 の 記 事 の 内容 の 正 否 、 当 否 の 判 断 は、 塞 本 的 に編 集 部 が す べ きで あ る と考 え、 編 集 長 の 説 明 に対 し、 い くつ か 質 問 を す る程 度 に と ど ま って い た こ と、 そ れ 以 外 に は、
被 告 会 社 に は、 名誉 殿 損 惹 起 を防 止 す べ き仕 組 、 体 制 は作 られ て い な か っ た こ
io)
とが 認 め られ る。」
「前 示 の とお り、 本 件 各 記 事 に つ い て は 、 十 分 な裏 付 取 材 が行 わ れ て お らず 、 一 方 に お い て、 甲 田 は 、 自 らを 情 報 提 供 者 と位 置 づ け、 編 集 部 が 裏 付 取 材 を す る と して 自 らは十 分 な取 材 をせ ず に情 報 を提 供 し、 他 方 に お い て、 編 集 部 で は、
甲 田 か らの 情 報 な の で 正 しい と安 易 に判 断 して 、 記 事 と した もの と認 め られ 、 原 告 らの名 誉 を殿 損 す る本 件 各 記 事 が 週 刊 新 潮 に掲 載 され 、 発 行 され る に至 っ た の は、 雑 誌 記 事 の執 筆 、 編 集 を担 当 す る記 者 、 編 集 者 等 の 名 誉 殿 損 に 関 す る 法 的 知 識 や 裏 付 取 材 の あ り方 に つ い て の意 識 が 不 十 分 で あ っ た こ と、 また 、 社 内 に お け る権 利 侵 害 防 止 の た め の慎 重 な検 討 が 不 足 して い た こ とが 原 因 で あ る とい うべ き で あ り、 この よ うな結 果 を惹 起 した の は 、被 告 会 社 内 部 に 、 これ を 防 止 す べ き有 効 な対 策 が と られ て い なか っ た こ とに原 因 が あ る と い わ ざ る を得
週刊誌の記慕が名誉殿損に当たる場合において、出版社の代表取締役の任務癬怠責任が認められた事例15g
な い 。 そ うす る と、 被 告 佐 藤 に は 、前 記 任 務 を 少 な く と も重 大 な過 失 に よ り慨 怠 した もの と して 、 旧商 法266条 ノ3第1項 に基 づ く費 任 が あ る と解 す るの が相 当 で あ る。
被 告 ら は 、被 告 会 社 で は 『編 集 権 の 独 立 』 を 尊 重 して い る と主 張 し、 これ を 被 告 佐 藤 の責 任 が な い こ との 根 拠 と して 主 張 す る よ うで あ るが 、 出版 を業 とす る株 式 会 社 の 代 表 取 締 役 に 自社 の 出版 物 に よ る名 誉 殿 損 等 の 権 利 侵 害 行 為 惹 起 を 防 止 す べ き責 任 が あ る こ とは、 前 示 の とお りで あ り、 代 表 取 締 役 が 上 記 資 任 を果 た す た め に は、 上 に 例 示 した よ う な社 内 の 仕 組 、 体 制 を整 備 す る義 務 が あ る と い うべ きで あ り、 同 義 務 が 履 行 され る こ と と被 告 らが 主 張 す る 『編 集 権 の 独 立 』 な る もの とは 、 必 ず し も対 立 、 背 反 す る もの とは 解 す る こ と はで きず 、 被 告 の 上 記 主 張 は、 被 告 佐 藤 の責 任 を否 定 す る論 拠 とは な らな い。
な お、 被 告 ら は、 本 件 各 記 事 の 掲 載 当時 、 原 告 らが週 刊 文 春 等 の 週 刊 誌 や テ レ ビ等 の メ デ ィ ア を介 して 論 争 を して い た と して 、 メ デ ィ ア を介 して 応 酬 す れ ば足 り、 訴 訟 に よ っ て 損 害 賠 償 を 請 求 す る こ とが 権 利 の 濫 用 に 当 た る な ど と主
II)
張 す るが 、被 告 ら主 張 の 事 情 に よ って 本件 請 求 が権 利 濫 用 とな る もの で は な い 。」
3批 評
本 判 決 は 、 第1に 、 従 業 員 が 行 っ た違 法 行 為 に つ い て 取 締 役 の 第 三 者 に 対 す る責 任 が 認 め られ た 点 で 、 第2に 、 週 刊 誌 の 記 事 が 名 誉 殿 損 に 当 た る場 合 に出 版 社 の代 表 取 締 役 の任 務 解 怠 責任 が 認 め られ た とい う点 で 、 きわ め て特 徴 的 な 判 例 で あ る。
(1)従 業 員 の 違 法 行 為 に よ る 取 締 役 の対 第 三 者 責 任 を 認 め た他 の 判 例
従 来 、従 業 員 の 違 法 行 為 に つ い て 、 取 締 役 の 第 三 者 に対 す る責 任 が 認 め られ た 判 例 と して は、 最 判 平 成20年2月12日 商 事 法 務1825号56頁 ・大 阪高 判 平 成
18年6月9日 判 タ1214号ll5頁 ・大 阪地 判 平 成16年12月22日 判 タ1172号271頁
iz)
(い わ ゆ る ダ ス キ ン事 件)、 東 京 地 判 平 成19年12月13日 証 券 取 引 被 害 …1到1例セ レク ト31巻375頁(証 取 法 に よ る登 録 を受 け な い会 社 の 従 業 員 の違 法 な勧 誘 を受 け て 未 公 開 株 式 の購 入 を した者 に よ る代 表 取 締 役 ・取 締 役 等 に対 す る不 法 行 為 な
160
い し旧 商 法266条 ノ3に 基 づ く損 害 賠 償 請 求 が 認 め られ た 判 例)、 東 京 地 判 平 成 19年8月24日 証 券 取 引被 害 判 例 セ レ ク ト30巻393頁(未 公 開 株 式 購 入 に よ り損 害 を被 っ た と して 、 購 入 行 為 当 時 の 代 表 取 締 役 ・取 締 役 に対 し不 法 行 為 な い し
旧商 法266条 ノ3に 基 づ く損 害 賠 償 請 求 が 認 め られ た 判 例)、 東 京 高 判 平 成18年 9月21日 金 判1254号35頁(従 業 員 に よ り外 国為 替 証 拠 金 取 引 を勧 誘 され た顧 客 に よ る代 表 取 締 役 ・取 締 役 に対 し不 法 行 為 な い し旧商 法266条 ノ3に 基 づ く損 害 賠 償 請 求 が 、 当該 取 引 が 賭 博 に 当 た り公 序 良 俗 に 当 た る こ と を前 提 に 認 め られ た 判 例)な どが あ る。 本 判 決 は 、 この よ う な近 年 の 判 例 の動 向 の 中 に 位 置 づ け られ る もの で あ り、 会 社 の従 業 員 の違 法 行 為 に つ い て 、 取 締 役 が 被 害 者 で あ る 第 三 者 に 損 害 賠 償 責 任 を負 うべ き こ とを 認 め る裁 判 所 の 傾 向 が 見 て取 れ る。 た だ し、 従 業 員 の違 法 行 為 が あ れ ば取 締 役 の 対 第 三 者 責 任 が発 生 す る とい う単 純 な 論 法 で は な い。 そ の 取 締 役 責 任 の 根 拠 は 、 次 に述 べ る法 令 遵 守(コ ン プ ラ イ
ァ ン ス)体 制 の 整 備 に あ る。
(2)取 締 役 の コ ン プ ラ イ ア ン ス 体 制 整 備 の 責 任
内 部 統 制 シ ス テ ム 、 リス ク管 理 体 制 ま た は法 令 遵 守(コ ン プ ラ イ ア ンス)体 制 の構 築 義 務 は 、 わ が 国 に お い て は ほ ぼ21世 紀 に入 っ て 以 降 、 会 社 経 営者 に課 せ られ て きた 。 まず 、 内 部 統 制 シス テ ム の構 築 義 務 を は じめ て 明 言 した 裁 判 例 は 、2000年 の大 和 銀 行 ニ ュ ー ヨー ク支店 代 表 訴 訟 事 件(大 阪 地 判 平 成12年9月 20日 判 タ1047号86頁)で あ る。2002年 に は、 ア メ リカ で1990年 代 〜2000年 代 初 頭 に お け るエ ン ロ ン事 件 、 ワ ー ル ドコ ム事 件 な どの不 正 会 計 問 題 の頻 発 が 契 機 とな って 、 「SOX法 」(上 場 企 業 改 革 お よ び投 資 家 保 護 法)が 制 定 され た 。 そ して 、 わ が 国 で は、2002年(平 成14年)の 商 法 改 正 に よ る委 員 会 等 設 置 会 社 の 導 入 の 際 に 、 委 員 会 等 設 置 会 社 に 内 部 統 制 シ ス テ ム構 築 の 義 務 化(一 部 導 入) が 行 わ れ 、2005年(平 成17年)会 社 法 制 定 に お い て 、株 式 会 社 全 般 に 内 部 統 制 シ ス テ ム構 築 義 務 が 導 入 され た 。2007年(平 成19年)9月30日 、 金 融 商 品 取 引 法 が完 全 施 行 さ れ た が 、 同 法 第24/4/4に 有 価 証 券 報 告書 お よ び 内部 統 制 報 告 書 の 国 へ の 提 出義 務 が 明定 され 、2009年(平 成21年)3月 期 決 算 か ら、 内 部 統 制 報 告 書 の提 出 が 上 場 企 業 ・連 結 子 会 社 に適 用 され て い る。
会 社 法上 、法 令 遵 守 体 制 の整 備 の 義務 を取 締 役 会 に課 して い るの は、 第362条
週刊誌の記事が名誉殿損に当たる場合において、出版社の代表取締役の任務1解 怠責任が認められた事例161
4項6号 で あ り、 委 員 会 設 置 会 社 に お け る取 締 役 会 の 同義 務 は第416条1項1号 ホで あ る。 ま た、 会 社 法 施 行 規 則 第100条1項4号 は、 代 表 取 締 役 ・取 締 役 の任 務 と して 「使 用 人 の 職 務 の執 行 が 法 令 及 び 定 款 に適 合 す る こ とを確 保 す る た め の 体 制 」 を挙 げ て い る。
こ れ まで 内部 統 制 シ ス テ ム 、 リス ク管 理 体 制 また は法 令 遵 守(コ ン プ ラ イ ア ン ス)体 制 の 構 築 義 務 違 反 の 有 無 が 争 点 とな っ た判 例 は 、先 に あ げ た ダ ス キ ン 事 件 、 大 和 銀 行 ニ ュー ヨー ク支 店 代 表 訴 訟 事 件 の ほ か 、 三 菱 商 事 衷 件(東 京 地 判 平 成16年5月20日 判 時1871号125頁)、 雪 印 食 品1'件(東 京 地 判 平 成17年2 月10日 判 時1887号135頁)、 ヤ クル ト本 社 事 件(東 京地 判 平 成16年12月16日 判
タll74号150頁 、 東 京 高 判 平 成20年5月21日 判 タ1281号274頁)、 日本 シ ス テ ム技 術 事 件(東 京 地 判 平 成19年ll月26日 判 時1998号141頁 ・金 判1321号43頁 、 東 京 高 判 平 成20年6月19日 金 判1321号42頁 、 最 一 小 判 平 成21年7月9日 金 判 1321号36頁)な どが あ る。
本 判 決 が 「株 式 会 社 で あ ろ う と、 出版 を 業 とす る企 業 は 、 出 版 物 に よ る名 誉 殿 損 等 の権 利 侵 害 行 為 を可 及 的 に防 止 す る効 果 の あ る仕 組 、 体 制 を作 っ て お く べ き もの で あ り、 株 式 会 社 に お いて は 、 代 表 取 締 役 が 、 業 務 の 統 括 責 任 者 と し て 、 社 内 に 上 記 仕 組 、 体 制 を構 築 す べ き任 務 を負 う とい わ な けれ ば な ら な い。」
と述 べ て コ ン プ ラ イ ア ン ス体 制 構 築 の義 務 を明 確 化 し、 本 事 案 に お い て 「被 告 会 社 に は 、 名 誉 殿 損 惹 起 を 防止 す べ き仕 組 、 体 制 は 作 られ て い な か っ た こ とが 認 め られ る」、 「出 版 を 業 とす る株 式 会 社 の代 表 取 締 役 に 自社 の 出 版 物 に よ る名 誉 殿 損 等 の権 利 侵 害 行 為 惹 起 を 防 止 すべ き責 任 が あ る こ とは 、 前 示 の とお りで あ り、 代 表 取 締 役 が上 記 責 任 を 果 た す た め に は、 上 に 例 示 した よ う な社 内 の 仕 組 、 体 制 を 整 備 す る義 務 が あ る と い うべ き で あ 」 る と した の は 、 これ ら一 連 の
コ ン プ ラ イ ア ンス 体 制 構 築 義 務 を 積 極 的 に認 め る判 例 の 流 れ の 中 に あ る。
(3)従 業 員 に よ る 名 誉 穀 損 に基 づ く出 版 社 取 締 役 の 対 第 三 者 責 任
さて 、 本 件 は 、 出版 社 の 従 業 員 の 書 い た記 事 が 名 誉 殿 損 に 当 た り、 記 專 に よ り名誉 を傷 つ け られ た被 害 者 が 出版 社 の 取 締 役 に対 して 損 害 賠 償 責 任 を追 及 し た事 案 で あ るが 、 同様 に 、 従 業 員 の 名 誉 殿 損 に 基 づ く損 害 賠 償 訴 訟 で 、 出版 社 の取 締 役 の 損 害 賠 償 責 任 が 争 点 とな った 判 例 と して 、 フ ォー カ ス 事 件(大 阪 地
162
判 平 成14年2月19日 判 タllO9号170頁 、 大 阪 高 判 平 成14年ll月21日 民 集59巻 9号2488頁 、 最 判 平 成17年ll月10日 民 集59巻9号2428頁)お よ び フ ライ デ ー 審 件(東 京 地 判 平 成21年3月13日 判例 集 未 登 載)の2件 、 つ ま りいず れ も写 真 週 刊 誌 に 関 す る事 件 が あ る。
まず 、 フ ォ ー カ ス 事 件 は 、 和 歌 山 の毒 物 カ レー 事 件 の刑 事 被 告 人 が 、 写 真 週 刊 誌 「フ ォー カ ス 」 に掲 載 され た 法 廷 内 写 真 を主 体 とす る記 事 に よ り肖像 権 を 侵 害 さ れ た な ど と して 、 代 表 取 締 役 と写 真 週 刊 誌 の 編 集 長 に 対 し、 慰 謝 料 等 の 支 払 等 を求 め(第1事 件)、 第1事 件 の 訴 え を提 起 した後 の 写 真 週 刊 誌 に掲 載 さ れ た 被 告 人 の イ ラス ト画 と同人 を椰 楡 す る内 容 の 記 事 に よ り 肖像 権 を 侵 害 され 、 名 誉 を殿 損 さ れ た な ど と して 、 代 表 取 締 役 らに 対 し、 慰 謝 料 等 の支 払 等 を 求 め た(第2事 件)事 案 で あ る。 控 訴 審 に お い て、 第1事 件 に 係 る控 訴 人 ら の控 訴 を棄 却 し、 第2事 件 に お け る記 事 は被 控 訴 人 を侮 辱 す る と とも に そ の 名 誉 を 殿 損 す る もの で あ り、 被 控 訴 人 の精 神 的苦 痛 を慰 謝 す るに は200万 円 が 相 当 と して 原 判 決 を 変 更 した 。 フ ォ ー カ ス事 件 の 被 告 は 、 本 件 事 案 と同 じ新 潮 社 で あ る。
控 訴 審 判 決 は 、 「控 訴 人 会 社 は 、 書 籍 及 び雑 誌 の 出版 等 を 目的 とす る株 式 会 社 で あ る と こ ろ、 前 記 の よ うに 特 に本 件 写 真 週 刊 誌 の 取 材 ・報 道 行 為 に 関 し少 な か らざ る違 法 行 為 が な さ れ て き た もの 、 す な わ ち 、 控 訴 人 会 社 の 本 来 の 目 的 の 遂 行 そ の もの に 関 して 違 法 行 為 が 繰 り返 され て きた もの で あ る。 した が っ て 、 控 訴 人 会 社 と して は 、 社 内 的 に この よ う な違 法 行 為 を繰 り返 さ な い よ うな 管 理 体 制 を取 る必 要 が あ った もの とい わ な けれ ば な らな い。」 と出版 社 の コ ン プ ラ イ ア ンス体 制 構 築 の 義 務 を明 示 す る と共 に、 「控 訴 人 と して は、 控 訴 人会 社 の 代 表 取 締 役 と して、 本 件 に至 る まで に 、、肖像 権 の侵 害 等 を 防 止 す るた め に従 来 の 組 織 体 制 につ き疑 問 を持 っ て これ を再 検 討 し、 肖像 権 の侵 害 や 名 誉 殿 損 とな る基 準 を 明確 に把 握 して 、 本 件 写 真 週 刊 誌 の 取 材 や報 道 行 為 に関 し違 法 行 為 が 発 生 し そ の た め 当該 相 手 方 等 に 被 害 を生 ず る こ と を防 止 す る管 理 体 制 を整 え るべ き義 務 が あ っ た とい うべ きで あ る。」 と代 表 取 締 役 の 法 令 遵 守 体 制 の整 備 義 務 を明 確 化 して い る。 そ の上 で 、 「そ こで 、上 記 の よ う に本 件 写 真 週 刊 誌 の 取 材 ・報 道 行 為 に 関 し違 法 行 為 が繰 り返 さ れ て い る こ とか らす る と、 従 来 か ら本 件 当 時 ま で の本 件 写 真 週 刊 誌 に 関 す る管 理 体 制 は不 十 分 で あ っ た とい わ ざ る を え な い。」、
「控 訴 人 の重 過 失 は 、社内的 に本件写真週 刊誌 の取材 や報道 行為 に関 し違法行 為
週刊誌の記寧が名誉殿損に当たる場合において、出版社の代表取締役の任務解怠責任が認められた事例i63
の 発 生 を防 止 す る管 理 体 制 を整 え な か った 点 に あ 」 る と して い る。
次 に、 フ ライ デ ー事 件 は 、 被 告(講 談 社)が 発 行 す る週 刊 誌 に お いて 、 原 告 らの 名 誉 を殿 損 す る記 事 を掲 載 し、 また 原 告 らの プ ライ バ シ ー権 な い し肖像 権 を侵 害 す る写 真 を撮 影 及 び 掲 載 した と して 、原 告 が 被 告 ら に対 し損 害 賠 償 及 び 謝 罪 広 告 の掲 載 を求 め た 事 案 で あ る。 フ ラ イ デ ー 事 件 の 原 告 は 、 本 件 の 原 告 と
同 じ元 横 綱 貴 乃 花 で あ る。
フ ライ デ ー 判 決 もま た、 「出 版 、 報 道 とい う企 業 活 動 は、 その 性 質 上 、他 者 の 社 会 的 評 価 、 プ ラ イバ シ ー を侵 害 す る危 険 性 を 常 に有 して い る と こ ろで あ るか ら、 出 版 な い し報 道 を主 要 な業 務 とす る株 式 会 社 の 取 締 役 は、 そ の 業 務 を執 行 す る に際 して 、 自社 の 出版 ・報 道 行 為 が 会 社 外 の 第 三 者 に対 す る権 利 侵 害 を 生 じな い よ うに 注 意 すべ き義 務 を 負 い 、報 道 を行 う出版 社 の代 表 取 締 役 と して は 、 出版 な い し報 道 に よ る権 利 侵 害 行 為 を可 及 的 に 防 止 す る効 果 が あ る仕 組 み や 体 制 を構 築 すべ き義 務 を 負 う も の と解 され 、 これ に悪 意 又 は璽 大 な 過 失 に よ り違 反 した場 合 は、 取 締 役 個 人 も損 害賠 償 責 任 を負 う と解 され る。」 と述 べ て 、 出 版 社 の 取 締 役 の コ ン プ ライ ア ン ス体 制 構 築 義 務 を 明 らか に して い る。 しか し、 こ の判 決 で は、 「被 告講 談社 は、 編 集 長 が 謝 罪 を す るな ど した 嘉 実 や 経 緯 が 必 ず し も、社 内 に周 知 徹 底 さ れ て い な か った との状 況 が 推 認 され る。 しか しな が ら、
この こ とは、 個 別 事 象 に つ い て の 対 応 との一 面 を有 す る一 方 、 被 告 講 談 社 が フ ライ デ ー編 集 部 につ い て、 前 記(2)ア の とお り取 らせ て い た チ ェ ッ ク体 制 に つ い て 、 これ が 、 体 制 と して 求 め られ る水 準 を 欠 くも の で あ っ た と まで は認 め る に足 りる証 拠 の な い こ とに 鑑 み る と、 被 告Ylに つ い て 、 悪 意 又 は 璽 大 な過 失 に よ る体 制 構 築 義 務 の 慨 怠 が あ っ た とは 認 め られ な い。」 と して 、 出版 社 の取 締 役 の 責 任 を否 定 した。 す な わ ち 、元 横 綱 貴 乃 花 が 提 起 した 出 版 社 の 取 締 役 の 損 害 賠 償 責 任 追 及 訴 訟 の うち 、 本 件 に お いて は 、 代 表 取 締 役 の 対 第 三 者 責 任 が 認 め られ 、 他 方 フ ラ イ デ ー 事 件 判 決 で は これ が否 定 され た こ とに な る。 同 じ従 業 員 に よ る名 誉 殿 損 に基 づ く代 表 取 締 役 に対 す る訴 訟 に お い て 、 この よ うに結 論 が 分 か れ た の は な ぜ で あ ろ うか 。
(4)本 判 決 の 意 義
本 判 決 に は、 次 の よ うな 意 義 が 認 め られ よ う。 第1に 、 関 連 す る諸 判 例 に つ
164
い て 前 述 した が 、 本 判 決 は 、取 締 役 の コ ン プ ラ イ ア ン ス体 制 整 備 の 責 任 が 根 拠 とな って 、 従 業 貝 の違 法 行 為 に よ る取 締 役 の 第 三 者 に対 す る損 害 賠 償 責 任 が 認 め られ る判 例 の 傾 向 の 中 に位 置 づ け られ 、 出 版 社 の 取 締 役 の 損 害 賠 償 責 任 も そ の 例 外 で は な い と して い る。
第2に 、 出 版 業 を 営 む 株 式 会 社 の 代 表 取 締 役 は 、 記 事 の執 筆 に関 与 す る従 業 員 に 対 し、名 誉 穀 損 等 の 違 法行 為 の 要 件 や その あ て は め等 に 関 す る正 確 な法 的 知 識 、 名 誉 殿 損 等 の違 法 行 為 を 惹 起 しな い た め の意 識 と仕 事 上 の 方 法 論 とを 身 に つ け させ て お か な け れ ば な らな い こ とを 明 らか に し、 具 体 的 な方 策 を 示 した こ とで あ る。 例 示 と して 、 「弁 護 士 等 の 法 律 家 に よ る講 義 や 事 例 研 究 等 に よ る研 修 、 出 版 物 に 記 載 し よ う とす る事 実 に つ い て の 真 実 性 確 認 の 方 法 と して の 取 材 の あ り方 、裏 付取 材 の あ り方 等 につ いて の 研 修 」 「出版 物 を公 刊 す る前 の 段 階 で 、 相 応 の 法 的知 識 、 客 観 的 判 断 力 等 を有 す る者 に、 記 事 内 容 に 名 誉 殿 損 等 の 違 法 性 が な い か を チ ェ ッ ク させ る仕 組 を社 内 に 作 り、 権 利 侵 害 行 為 を惹 起 す る記 事 が そ の ま ま発 行 さ れ て 不 特 定 多 数 人 に流 布 され る こ と を 防止 す る仕 組 、 体 制 を 整 え る こ と」 「出 版 物 を公 刊 した後 の段 階 で 、 客 観 的 な意 見 を提 示 し得 る第 三 者 視 点 を も っ た 者 に よっ て 構 成 され る委 員会 等 を置 い て 、 記 事 内 容 に名 誉 殿 損 等 の 違 法 性 が な か っ た か を点 検 させ 、 記 者 や 編 集 責 任 者 等 、 直 接 取 材 に 関 わ る者 との 間 で 、協 議 し、討 論 させ るな ど して 、 既 に発 行 した 出版 物 中 の 記 衷 の 適 否 を 検 討 、 協 議 し、 名 誉 殿 損 等 の 権 利 侵 害 行 為 に該 当 す る記 事 が あ る場 合 に は 、 そ の 原 因 を探 究 し、 同様 の 権 利 侵 害 行 為 が再 び 惹 起 され る こ とを 防 止 す るた め、
法 的 知 識 を確 認 した り、 原 因 とな っ た取 材 方 法 の 欠 陥 を是 正 す る方 策 を研 究 、 考 案 す る な ど の方 法 」 を挙 げ た こ とは画 期 的 で あ る とい うべ きで あ る。
第3に 、 同 じ原 告 に よ る 同様 の 訴 訟 で 、 フ ラ イ デ ー判 決 で は講 談 社 の 代 表 取 締 役 の責 任 が 否 定 され たが 、 本 判 決 で新 潮 社 の代 表 取 締 役 の 責 任 が 肯 定 さ れ た こ とで あ る。 「少 な く と も本 件 で は 、Ylが 名 誉 殿 損 を繰 り返 して き た た め 、 そ
13)
れ に即 応 した シ ス テ ム構 築 が 求 め られ た の か も しれ な い」 とい う意 見 が あ るが 、 た しか に本 判 決 中 「殊 に、 週 刊 誌 を発 行 す る 出版 社 に あ っ て は、 し ば しば名 誉 殿 損 が 問題 とさ れ る こ とが あ るか ら、 上 記 対 策 は 、 代 表 取 締 役 と して 必 須 の 任 務 で あ る とい うべ く、 いや し くも ジ ャー ナ リス ト と称 す る以 上 、 当 該 企 業 が 、 専 ら営 利 に 走 り、 自 ら権 利 侵 害 行 為 を 行 っ た り、 権 利 侵 害 行 為 を 容 認 す る こ と
週刊誌の記事が名誉殿損に当たる場合において、出版社の代表取締役の任務慨怠責任が認められた事例165
が あ っ て は な らな い こ とは明 らか で あ る」 との 判 示 に 、 新 潮 社 にお け る コ ン プ ライ ア ン ス体 制 の不 備 、 また は法 令 遵 守 の精 神 の 欠 如 が 読 み 取 れ る。 ち な み に 、 判 例 検 索 で 、 「新 潮 社 」 と入 れ て検 索 す る とい い。 驚 くべ き ほ どお び た だ しい判 例 が 出 て くる。 同社 に 対 す る提 訴 の 多 さ を 見 る と、 同 社 が 決 して コ ン プ ライ ア ンス 体 制 を 整 備 して い る とは 言 い 難 い と思 うの は筆 者 だ け で あ ろ うか 。
注
1)判 例 時 報2033号6頁 。 2)判 例 時 報2033号6頁 。 3)判 例 時 報2033母7頁 。 4)判 例 時 報2033号7頁 以 下 。 5)判 例 時 報2033号8頁 。 6)判 例 時 報2033号8頁 以 下 。 7)判 例 時 報2033号9頁 。 8)判 例 時 報2033号9頁 。 9)判 例 時 報2033号10頁 。 10)判 例 時 報2033号11頁 。 11)判 例 時 報2033号11頁 。
12)加 賀 譲 治 「 会 祉 の ク ラ イ シ ス マ ネ ジ メ ン トの 法 理 」 創 価 法 学38巻1号29頁 、 同 第38巻 2号31頁 参 照 。
13)弥 永 真 生 「 週 刊 誌 に お け る名 誉 殿 損 と取 締 役 の 貴 任 」 ジ ュ リ13793;53頁 。
(本学法 学部 教授)