洗淨力試驗に関する研究
Studies on the Detergency Evaluation Dai Ishizaki
石崎だい(家政学科被服学教官)
(昭和30年11月28日受理)
緒言
xRの管理限界内にある再現性の高い寸票準木綿人
工汚染布の調製法は一応満足すべき結果を得たので, その汚染布を用いFatty Acid SoapsとFattyal‑
cohol Sulfatesとの洗浄jjを検討したo
筒洗剤の配合効果が主としてSynergismとして 最近珠に注目をあぴているので,実用に関連した洗 浄効果に及ぼす影響を検討するため行った実験の‑
宣虎を圭Pv菩・する(
実験方法
〔A〕標準木綿人工汚染布の調製及洗浄試験法 の試布は晒金巾(2003番糊技毛羽煉したもの)をlO
X 15cm 17枚をILotとする。 (実際の洗浄試験に かける時!ま, 5×10cmに切るので10×15cm 1枚で3 枚の汚染布が出来る事となり51枚がILotとなる)
湿気が汚染布の汚染性,洋浄性の再理性を左右す る大きな要因の一つである事がわかったので湿気の 影響を防ぐため試布は1050Cで3時間乾燥した後, 予めCCl,及び乾燥空気の充満した其空デシケ‑メ
←中に入れる。許こいで真空ポンプで20‑30mmHg になるまで排気し,CCLを通‑た乾燥空気を用いて デシJJ‑‑タrを常圧にし,デシケ‑メ‑より試布を 一枚づゝ耽り出し汚染浴に入れ汚染す。
(り汚染浴組成及び汚染方法 汚染浴組成
Carbon Brack (玉川圧縮C級0.5g Olive oil (局方品, l.V.100.5, S.V.199.6,
A.V.2.19) 0.2g CC14 (Na2SO,脱水後精謡,沸点77王10c) 400g 局方流動パラフィン(B.P.200‑260‑cA‑5mm
Hg) 0.4g 乳鉢にCarbon Brack Olive Oilパラフィンを入 れCC1,を少量注ぎCarbon Brackの粒子が細か
くなるまで乳棒でよくすりつぶし,残りのCC1,を
全部入れてよくまぜ,写真用バットに流し込み汚染 浴とするOデシケ←タ‑に入れている試布を1枚づ ゝ取り出し汚染浴に入れ1分間汚染す(15秒毎に反 伝)後自然乾鰻し1枚の試布を5×10cm 3枚に切離
し反射率を測足す。
@反射率測定法
Photovolt, CO製Photovolt Reflection Meter Model ♯610 (光電池光源フィルタトを夢置した反射 率測定器)を用い5 × 10cmの汚染布の表裏5ヶ所 の反射率を緑色フィルターにより予めlCI釆明度を 直接表示するように調製した電流計の指針によって 直読し,その平均値を求め汚染布の反射率とする。
汚染布の反射率が3C±2%のものを洗浄試験にかけ るのでその管理限界内にあるもののみを塩化カルシ ウ‑ムのデシケ‑タ可,こ24時間保存し洗淨試験をす
蝣i."1O
筒携淨効率Dを次式によゥて算出する。
ハU
nUX
⁝幅
+D
Ro ‑麻布反射率 Rs汚染布反射率 Rw・‑洗浄布の反射率
④洗浄試験機及洗浄法
ATLAS社Launder‑O,neter類似の構造をも ったもの即ち
21‑
恒温槽浴量 801
洗浄試験枠 (木製真鍮金具付)30×21×58cm
硝子玉6mmφ409
洗浄試験壕 7Cφ×140mm lO本 回転数16・5r・p・m(20sec毎に逆転)
洗浄液は各洗剤を所定の濃度温度に予め調製して 10本の洗浄曝に入れ,その中に汚染布1枚づ工入れ
る。次に恒温槽を所定の温度にあげ,洗浄試験枠に 洗浄屡を取り付け30分洗浄する。洗浄完了後試布を 取り出しピーカーに入れ100CCの蒸溜水で順次2圓 振りすエぎして自然乾燥をする。乾燥後洗浄布の反 射率を測定し,前記の方法で洗浄効率Dを算出す。
〔B〕洗剤の洗浄力試験 a洗浄試験にとりあげた因子
①洗剤の種類…………D D1………Fatty Acid Soaps D2…・一…Fatt y alcohol sulfates
②洗剤使用濃度…………C
C1……0.05%C2……0.1%C3……0.3%
C4ゆ 一・。0.5%
以上二因子につき繰返し二元配置法(繰返し数3)
により実験計画をたて24枚の汚染布をランダムに割 り付け洗浄試験を行った。筒洗浄温度は40士10C洗 浄時間:30分。
b実験結果
前記の実験計画に基いて洗浄試験を行い洗浄効率 を算出した結果は次の表一1の通りである。
表一2分散分析表 要因
濃度間 洗剤間
交互作用
誤 差 全変動
変 動
Sc SD
Sσ×D
SCD SE So
663.92
400.工7 132.19
!l96.28 34.64
1230.91 ψ
3
1 3
716
23
不偏分散
221.3工 400.工7 44.0δ
工70。89
2.16 分散比
1−02.ε撒
185.2蘇 20.4滞
」
畷考:釜拐 Fl61繍
表一2の分散分析によると濃度間,洗剤間共に高 度に有意差が認められた。筒交互作用も高度に有意
と認められるが,その不偏分散は濃度洗剤の不偏分 散に比べると遙かに小さく誤差項と一緒にしても,
濃度間洗剤間ともに有意と認められた・
次に濃度洗剤の主効果を求め夫々の平均縫の差の 信頼限界を計算して洗浄効率を判定すると次の通り であるo
表一3 濃度の主効果 濃 度
表一1 Fatty Aci(1Soaps&Fatty Alcohol Sulfatesの洗浄試験結果
洗浄効率
C量
44.9 C2
50。7 C3 57.4
C4
57.6
試
Dl
D2
C1
49.8 60.2 51.2 39。8 38.0 40。5
C2 56.1 57.6 57.2 44。8 44.7 43.6
C3・
61.9 62.1 61.1 52.9 52.0 54.1
C4 57.5 58.O
平均値の差の信頼限界:3.4(1%水準)2.2(5%
水準)これより判定するとC・とC・の間には差なく それらとC2は1%水準で有意差があり更にC1は1%
水準でC2と有意差がある。即ちC3=C4》C2>C1 表一4 洗剤の主効果
58.0
57.4 洗 剤
58.3 56.6
洗浄効率 D1
56.7
D2
48.6
表一1の洗浄効率より分数分析表を作成し各要因の 不偏分数と誤差の不偏分数との比を求めFischerの 検定にかけると表一2の通りである。
平均直の差の 信頼限界:1.9
(1%水準)1.3
(5%水準)即ち
D1の脂肪酸石 鹸がD2の高級アルコールの硫酸エステル塩より1
%水準で有意である事が判定される。D1}D2・
〔C〕無機洗剤の洗浄力と洗剤に配合した場合 の洗浄力に及ぼす影響
一22一
実験に供した無機洗剤はNa2CO3Na2So4 NaH2PO4 C.M.C(Carboxy Methyl Cellulose)
で濃度0.3%温度40±10Cとし,同一洗浄試験を8回 行い4回を1組として洗浄効率の平均を出した。そ の結果を表一5に示すo
表一6の分散分析を求めると表一7の通りである。
表一7分数分析表 要因
表一5 無機洗剤の洗浄試験結果 洗剤INa2C・・『Na£9・INaR鵡ic・M・C 洗浄効率
%
42.143.0 41.742.3 44.2 44.0
添加物間
洗剤間
交互作用
44.ε
46.5 級間変動
誤 差
表一5の結果無機洗剤そのものは洗浄力が非常に 低く,C。M.C,NaH2PO4は梢よい洗浄力を示して
いるo
次にFatty Acid Soaps,Non ionic surface activ agentsにNa2SO4,C.M.Cを添加した場 合と無添加の場合の洗濠・試験結果を表一6に示す。
(同一実験を8回行い4回を一組として平均した洗浄 効率である。)筒洗浄条件は次の通りである。
洗剤……D
D璽……Fatty Acid Soaps l何れも D2,._。N。ni。nicSurfaceactivagents/・,2%
添加物……S O.1%
/\
S1…一・無添加 S2…Na2SO4S3…C.M.C 洗浄温度:40±10C 洗浄時間:30分
全変動
変 動
Ss SD Ss×D
SDS SE So
2工.4t 13.66
0,88 33.95
2.29 38.24
φ
2 1 2 5
6
ll
不偏分散
10..71
13.66
0.44
7.ユ9
0。38 分散比
27.6蜷 35.9蜷 1.2
表一6 添加物有無の洗浄試験結果
寵」sl l s2
6012 61.3
63.5 63.1
∫鉱
65.3 63.8
Fllとli器)
D1
D2 63.763.6 64.865.2 66.865.9
Flglξる1)
分数分析の結果添加物間,洗剤間ともに高度に有 意差が認められた。次に添加物間の主効果を求め平 均値の差の信頼限界を求めると次の通1)である。
添加物の主効果 S1……62・2 S2…●064・2 S3・・一・・65。2
平均値の差の信頼限界:1%水準飢7射 5%水 準0.435で之より判定すると最も洗浄効率の高い S3とS2の間には1%水準で有意差があり,S2とS1
との間も1%水準で高度に有意差のある事が認めら
れた。
洗剤間の主効果 D1……62。9D2…一・65.0でこ の平均値の差の信頼限界:1%水準0・455%水準 0.29でこれより判定するとD2の非イオン活性剤が D2の脂肪酸石鹸より1%水準で高度に有意差のある 事がわかったo
考 以上01ミ験:によりFatty Acid SoapsとFatty alcohol Sulfatesとの洗浄力、まFatty Acid Soaps の方が優わている。之はFatty alcohol Sulfates は中性洗剤であるため油性汚垢の乳化分散力が劣る ためでアルカリに強い綿布の洗浄にはFatty Acid Soapsを用いた方が有効である。濃変に於ては0.05
%のよ5な低濃度では洗浄力極めて低く03%〜0.5
%に於て最も高い。之はその濃斐附近に於て並列分
察
子鎖が互に凝集整向し強固なミセルを形成するもの と思われる。
Na2CO3Na2SO4NaH2PO4C.M.Cの無機
洗剤そのものは洗浄力が極めて軽微であるが,洗剤 に添加すると洗剤単味の時より高い洗浄能を示した。
(Na2SO4C.M.C添加実験により)之等は洗剤に 添加する事により界面活性剤の表面活性を増大し,
ミセル臨界濃度を低下し洗浄能を高め,C.M。Cは
一23一
油性汚垢の乳化を促し,繊維上えの再洗蒼を防止す るためと思われる。之等の効果により両洗剤は所謂 Synergisticに効く事がわかったQ筒Anion Active DetergentsのFatty A5id Soapsより極性基を有
しないNon ionic Surface activ agentsの方が 高い洗浄力を示したが之は無極性のため汚垢の種類 によりイオンを喰われる事がなくすべてが有効に表 面活性をあらわすためと思われる。
総 ①Fatty Acid SoaPsとFatty alcohol Sulfates
との洗浄力はFatty Acid Soapsの方が遥がかに 高い洗浄力を示したo
②両洗剤に於ては洗浄力の濃度特性が異り,
Fatty Acid Soapsでは0.3% Fatty alcohol Sulfatesでは0。5%に洗浄力の山があるo
③Na2SO4 C.M.C の配合により洗剤は単一成 分の洗浄力より高いZ先浄力を示しSynergisticに
括
効く事がわかった。筒Na2SO4はその塩析的効果に よってH.L.Bに影響し,Fatty Acid SoaPsの溶 液に対しては加水分解を抑え界面活性度を増大し,
C。M.Cは油性汚垢の乳化を促し洗浄能を向上せし めるo
本研究に当って御懇切な御指導を賜ったお茶の水 女子大矢部章彦先生に厚く感謝の意を表する。
1)
2)
3)
4)
文 矢部,西村 油脂化剤協会誌 矢部,小野,石崎 同 上 矢部,石崎 同 上
丁.H.Vaughn7M.G. Kramer,J。Am 獣
1.124 (1952.)
3.18 (1954)
3.79 (195も)
oil chemists Soc28.31.7(1.951)
Studies on the Detergency Evaluation
I)ai Ishizaki
1) Fatty Aci(1Soap with Polar factors at the end of the molecular construction is far stron・
gef than that of Sa1P虹uric ethyl salt.
2) The cleansing Power is different accor(1ing to the density of each:
The maximum of Fatty Acidsoap is O.3%and that of Fatty Alcohol Sulfate is O.5%
3)It has been Pτoved that adding Na2SO4,C.M.C.these compound cleansing materials have stronger power than a single component. It seems the reason that Na2SO4gives an in・
fluence on H.LB by the effect of(1issolution of salt an(1in the liquid of Fatty Acid Soap it does not allow bor water to disolve and increases the degree of active Power on its surface。
C.M.C Promotesthe emulsifing of oily dirt and risesthe effect of cleansing.
一24一