奈良教育大学学術リポジトリNEAR
ヒマワリ及びコスモスの肥大と組織構造に及ぼす重 力の影響
著者 佐藤 一郎
雑誌名 奈良学芸大学紀要
巻 2
号 2
ページ 143‑145
発行年 1953‑03‑25
URL http://hdl.handle.net/10105/5140
143
ヒマワリ及びコスモスの肥大ご組織構造に及ぼす霊力の影響
佐 藤 郎 (生物学教室)
(1952年10月20日受領)
I 緒 言
直立性草本作物の主軸の肥大と粗雑の構造に及ぼす重力の影響に関し菊科作物の代表としてヒマ ワリ及びコスモスを選んで述べる。本論に入るに先だち御指導並びに御校閲を賜わった京都大学教 授香川多夫、今村駿一一・郎両博士並びに芦田譲治博士に対し深謝の意を麦する。
l ヒマワリについて 1実験材料と実験方法
実験材料として第一邸問が伸長しつ1ある幼苗25本を産地に於て地際から水平に倒しその胚軸を u字形の針金で抑え2日間(5月10日−5月17日)固定し、その中央部の横断切片について、肥大状
況並びに組織構造を直立胚軸のそオ=こ比較対照した○組織観察は主として塩化亜鉛沃度並びにサフ ラニンとへマトキシリンとの2重染色によった。処理個体はすべて同棲の傾向を示し、例外的変化 は認めなかった0
2 実 験 結 果
(1)直立胚軸と水平胚軸との肥大の比較
肥大状況を比較するに当り、対照個体(第1図A)に就いて説明する。
ヒマワリの胚軸の横断面は円形をたすが、中心桂は略々6角形をたし、その相対する2つの頂 点には小形の維官束(Ⅴ)を残り4つの頂点には大形の離宮束(Ⅴ)を夫々配置する。各堆宮東の外側 には、飾部繊維組概、更にその外側には、組轍を包囲して数個の乳管(r)が関口する0飾部塙維組 織は大たる繊管束のもの(h)の方が小なる維管東のもの(f2)より稽小さい。倍大なる維管束の織 堆組戯は同じ側を占める2つのもの同志が互に接近し合うかのように夫々師部の一方に偏在する。
叉、大なる維管束の初生木部も同一側面のもの同志が互に響曲して向い合っている(px)。維管束 問には数ケの新維管束を形成しつゝある(W)0髄細胞は略6角形をなし、小さな細胞間陳を示す。
水平胚軸は直立胚軸に比し、肥大が甚だ旺盛であって、処理個体の大多数の横断面は対照と同倍 率で桧鏡しても視野の外に出る。第1囲Bは処理個体中、肥大変が低く、祓野に入り得る ものを選 んで、第1図Aと同倍率に示してある。又処理個体の皮暦は明かに下側に肥大を友し、一見した所、
トウゴマの水平胚軸りと同様の肥大型に属するもののようであるがその横断面は比較的に円に近 い形となる。而して水平操作前に形成された維管束の大さには、上下両側共殆んど差がない。然
し、操作後に形成された新維管束は、上側に多く見られ、且つその木部も、下側のものの方が上側 のものよりも梢大きい。髄では別に述べるコスモスの場合及びトウゴマの場合1)等と同様に、中 央部よりも楯下方に偏した部分の細胞から上側のものはど次第に上方に向って細長く伸びる。又、
上牛部に於ける維管束問の形成屠帯(第1図B,Ca)は外方に稽轡曲する。これらの点からみれば 水平胚軸の蹄は明かに上側に向って肥大する傾向をもつと考えられる。
以上によりヒマワリの水平胚軸では皮暦が下側に向って肥大をなすが、髄は逆に上側に肥大する ことが顛著であり、両者相殺の結果、横断面は略円形をたすものと考えられる。叉、上記のように.
、水平線作開始当時既に形成されている維管束には、上下両側に於ける増大に相違を認めないが、
その後、新たに形成される維管束の状態からみれば,木部も上側よりもむしろ下側に於て一層肥大 するものと認めてよい。
(2)直立胚軸の解剖的構造
表皮及皮瘡一表皮は(第2図A,ep)は1暦・の細胞からなり、その膜壁が可なりに厚い。皮唐は略
奈良学塾大学紀要 第2巻第2号 1953年(昭和28勾三)2月1日
(144) 佐 藤 一一 郎