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マイクロコンピュータ利用による計算技能の研究  −わり算の場合−

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(1)

奈良教育大学学術リポジトリNEAR

マイクロコンピュータ利用による計算技能の研究 

−わり算の場合−

著者 重松 敬一, 今澤 均

雑誌名 奈良教育大学教育工学センター研究報告

巻 7

ページ 63‑75

発行年 1984‑03‑16

その他のタイトル A Study of Computational Skill by

Microcomputer −A Case Study of Division−

URL http://hdl.handle.net/10105/4598

(2)

‑ わり算の場合 ‑

重 松 敬 一・今 津   均

(数学教育学教室) (附属小学校)

A Study of Computational Skill by Microcomputer

‑ A Case Study of Division

Abstract There are two aspects of learning in computation.

(1) Understanding (2) Skill

We have attempted the improvement of computational Skill by Microcomputer (Sharp MZ‑80B).

We have made clear the following two aspects.

(1) the improvements of Skill: accuracy, speed.

(2) the effect of Microcomputer for Sk山」earning.

I 研究の目的

今日、 「数学的な考え方」が重視され、理解にウエイトを置いた授業が推奨、展開される一方 で、依然として計算力を向上させるためのドリル指導に力が注がれている事実には、実践現場の次 のような意識が働いているものと思われる。

① やたらに複雑な計算まで手でする必要はないが、電卓がいくら普及したと言っても、基本的 な計算ぐらい基本的教養である。

項)基本的な計算もできなければ、後の算数、数学の学習など考えられない。

しかも、実践現場の期待している計算力というものは、いくら時間がかかってもできればよい というものではなく、ある程度のスピードを持った計算力であるO即ち習熟されたものでなけれ ばならないのである。 R.M.GagnOま、これを自動化された計算技能と呼んでいる。1)

確かに、理解重視で一定の域には到達するものの、自動化された技能という域にはなかなか達

63

(3)

重松敬一・今澤 均

しえない。手続きの合理性を理解することと、その手続き(計算アルゴリズム)に慣れることと

では、学習の質、仕方が違うからであろう。Gagneはこのことについてつぎのように述べている。

『計算のルールは、ただ学ばれるのではなく、また習得されるのでもなく、自動化(習熟)さ れるべきである。練習が現在のところ自動化を達成するための唯一の方法だ』

本稿は、彼が『この分野では、コンピュータを使うとよいだろう。ことによると初等教育で のコンピュータの使用法の中で、最も有用なものかもしれない。』とも述べていることも踏まえ て整数の四則の終着点とも言えるわり算の筆算を題材に、計算技能指導におけるマイクロコン

ピュータ(以下、マイコンと略す)の可能性についての考察を行うものである。

マイコンを使った技能練習は、従来までのペーパーでの練習に対して、どのような効果がある のか、あるいはどのような点が問題となるのかを試し、併せて、この分野でのマイコンの特性と いったものを明らかにするために、次章に述べる方法によって諸テストや実験を実施した。

Ⅱ 研究の方法

マイコンとしては、シャープMZ−80B(64KB)を5台活用し、以下に述べるような方法に よって実験した。

1.プログラムについての説明

実験の方法について述べる前に、実験の中心となるマイコンのプログラムについて述べておく 必要があろう。このプログラムは、わり算の筆算を自動化する指導法の1つとして開発したもの である。

現時点では1クラスのすべての子どもに同時に実施できるものは考えていない。むしろ、授業 を補い、子どもの自主的活動を援助するものとして位置づけている。

学習内容として、次の3項目を選択できる。

(I)仮商の位置決定の学習

(∬)仮商の位置決定から筆算の実行の学習

(Ⅲ)筆算の実行の学習

これらの選択は、子どもの学習目的に応じて行う。

この3つの学習内容のいずれにも、次の条件が共通している。

(日 間題の構成は、乱数に従っている。

(ii)問題数は自由に選択できる。

旋)(2位数)÷(1位数)から、(5位数)÷(3位数)までの6通りのケースがある。

(iv)各問題の解答時間が記録できる。(計時をはずすこともできる。)

屈 誤答個所とその回数、訂正箇所とその回数が記録できる。

2.予備実験とその示唆

今回の本実験に先がけ(2位数)÷(2位数)学習直後の子どもに対し、予備実験を試みた。

(1)実施目時 :昭和58年6月7日 15:30〜16:00

(2)実施場所 :奈良教育大学数学教室

(3)被験者 :奈良教育大学附属小学校 4年生 5名(A,B,C,D,E)

(4)

(4)実施方法:④ マイコン操作の練習として、前述の学習内容(Ⅱ)

(2位数)÷(1位数)  10問

⑧ 学習内容(∬)

(3位数)÷(1位数)   5問

③ 学習内容皿)

(3位数)÷(2位数)   5間

④ ③が早くできたA,B,Cの3人に、自分の好きなケースを選ばせる。

学習内容(m

Aは(4位数)÷(2位数)   5間 B,Cは(3位数)÷(1位数) 5問

(5)結 果   :省 略

(6)子どもの様子:③では、D,E2人はやっとのことで5問を終えた。

④では、Aは暗算ができなくなり、下敷に鉛筆で計算を始めた。

この実験から、次のことが示唆された。

(1)子どもの、マイコンに対する興味、関心は非常に強い。しかし、興味が持続するかどうかは わからない。

(2)問題が無作為にしか出てこないため、使用にあたって少し配慮がいる。

(31キー操作には、子どもの思考とずれる部分がある。

(4)子どもは、1問を短い時間でできることに喜びを感じる。

(5)暗算(特にかけ算)に苦労する。

このような予備実験の結果を踏まえて、本実験を開始した。

3.本実験の対象

予備実験と同様、奈良教育大学附属小学校4年生 5名(F,G,H,1,J)を対象とした。た だし、メンバーは全く異なる。なお児童は(3、4位数)÷(2位数)、(4位数)÷(3位数)

の学習を終えて4カ月余り経っている。

4.本実験の方法

(1)実施場所:昭和58年11月2日15:00−16:00 同  7日 15:00〜16:00 同  9日 15:00〜16:00 同 10日 14:00−15:30 同 11日 15:00〜16:00

(2)実施方法:

11月2日(㊤ ペーパー事前テスト(3位数)÷(2位数)iO問

⑧ マイコン操作の練習として 学習内容(∬)

(3位数)÷(1位数)    5問

③ 学習内容㈲(3位数)÷(2位数) 5問

④ 同(3位数)÷(2位数)  5問 11月7日 ① 学習内容(Ⅱ)

(5)

重松敬一・今渾 均

(3位数)÷(2位数)   5問

(勃 同(3位数)÷(2位数)  5問

(彰 同(3位数)÷(2位数)  5問

④ ③が早くできたF,G,Hの3人に、学習内容佃)(3位数)÷(2位数)

を各自好きなだけさせた。

F lO問、G 5問、H 5問

11月9日 ① 興味の持続をはかるため、マイコンゲームをさせた。

⑧ 学習内容(∬)

(3位数)÷(2位数)   5問

③ ⑧が早くできたF,G,Hの3人に学習内容(Ⅱ)(3位数)÷(2位数)を 各自好きなだけさせた。

F lO問、G 7問、H 5問

④ ペーパー事中テスト(3位数)÷(2位数)10間 11月10日 ① 学習内容(∬)

(3位数)÷(2位数)   5問

⑧ 同(3位数)÷(2位数)  5問

③ 同(3位数)÷(2位数)を各自好きなだけさせた。

F 20問、G 5問と10問、H 7問と5間、I 3問

④ ③が早くできたF,G,Hの3人に学習内容冊)(4位数)÷(2位数)を 各自好きなだけさせる。

F 2問、G 3問、H 2問と2問 11月11日 ① 学習内容(∬)

(3位数)÷(2位数)   5問

⑧ F,G、Hには学習内容周)

(4位数)÷(2位数)   5問 Iには学習内容(∬)

(3位数)÷(2位数)   5問

㊥ F,G,Hに学習内容(別で、6つのケースの好きなものを好きな数だけさ せた。

④ ペーパー事後テスト(3位数)÷(2位数)10問

⑥ アンケート

Ⅲ 実験結果と考察 1.実験結果

(1)ペーパーテストの結果(表1)

(注)実施採点の際、次のような処理をした。

① 解答時問は、10問を解くのに要した時間を記録した。

⑨ あり切れる問題では、最後のかけ算、ひき算が省略されてあっても、商が正しければ正答

(6)

とした。

③ わり切れない問題では、商だけでなくあまりも正しい場合を正答とした。

(2)マイコンでの結果(表2、3、4)

(注)集計の際、次のような処理をした。

① 所要解答時間の向上度を数値化するために、(3位数)÷(2位数)の共通問題の範囲で 1問についての所要時間が、0〜30秒の場合は0点、31〜60秒の場合は5点、61秒以上の場 合は10点を与え、実験日ごとの得点を合計し、あわせてその日の5問あたりの平均得点を出

した。(5題1セットで実験してきたため。)

⑨ 正確さの向上度を評価するために、商の位置(MR)での誤りに3点、商の値(Ml)での 誤りに5点、商の値(M2)での値に3点、かけ算(Nユ,N2)での誤りに3点、ひき算(Ll,

L2)での誤りに3点を与え、実験日ごとの得点を合計し、あわせてその日の5問あたりの 平均得点を出した。

③ 訂正についてもNlでの訂正、つまりMlのミスを訂正するためのバックには5点で、他 の箇所での訂正には3点を与え、実験日ごとの得点を合計し、併せてその日の5問あたりの 平均得点を出した。(図1)

④ 商の位置(MR)、商の値(Ml,M2)、かけ算(Nl,N2)、ひき算(Ll,L2)

のどの部分での誤りが多いか、MR〜L2それぞれの誤答回数を合計した。また、実験を重 ねるにつれ、誤る部分が移り変わっているのかを見るために、実験日ごとに整理した。

⑤ 商の位置(MR)、商の値(Ml,.M2)、かけ算(Nl,N2)、ひき算(Ll,L2)

のどの部分での訂正が多いかMR〜L2それぞれの訂正回数を合計した。また実験を重ねる につれ、訂正する部分が移り変わっているのかを見るために、実験日ごとに整理した。

2、考  察

(1)子どもの状況について

(i)解答時問の向上について

① マイコンでの回答時問の向上

11月2日、7日、9日、10日、11日のそれぞれの日の、5問あたりの平均点の推移は表2 のようになった。

この結果を、5−15点を上位、15.1〜35点を中位、35.1−45点までを下位として整理し てみると表5のようになる。

F,G,Hの3人については途中、変動、停滞はあるが、最終的には1ランクないし2ラ ンクの向上である。しかしIの場合は向上が見られない。

⑧ ペーパーテストでの解答時間の向上

F,G,H,Iの4人の子どもの事前、車中、事後テストを解くための所要時間の推移を 見ると表1のようになっている。

差はあるにせよ、4人すべて向上している。Fについては向上していないと判断するのは 正しくなく、これ以上、向上することは不可能に近いと判断せねばならない。Fはスピード の面では本実験前にすでに自動化の域に達していたと見られる。

他の3人についても、Gについては1問平均8,4′′、Hは17.5′′、Iは19.6〝 のアップで

かなりの伸びである。

(7)

重松敬一・今澤 均

これを、2′15′′〜3′35〝までを上位ランク、3′36′′〜6′15′′までを中位ランク、6′16′′〜7′35′′

までを下位ランクとして、事前、事中、事後の各人の推移を整理してみると、表6のように なる。

ここで、マイコンでのタイムの向上度と、ペーパーテストでのタイムの向上度を比較して みよう。

Fについては、マイコンで練習を始める前に既に自動化の域に達していたのであるから、

マイコンで練習したことが、ペーパーテストに効果があったとは言えない。むしろ、マイコ ンで練習を始めた日のマイコンでのランクは中位だったし、マイコン練習の方がかえって難 しかったとも言える。G,Hについては、マイコンでのランクの向上とペーパーでのランク の向上はほぼ比例しており、マイコンでの学習が、ペーパーテストに効果があったと言える。

このことから、マイコンを使わずに、ペーパーでの学習を繰り返すだけでも同様の効果が上 がるのではないかとの反論も考えられる。これに対しては、マイコンでの練習とペーパーで の練習のどちらがより有効かという議論が必要であるが、今回は残念ながら検証できなかっ た。

Iについての結果は興味深いものがある。というのは、マイコンでのランクは向上してい ないのに、ペーノ1−テストでのランクは1段階向上している。また、マイコンでの向上得点 は最高で10点、最低で5点で、被験者の内で一番低い向上度にもかかわらず、ペーパーテス トでの向上時間は、被験者の内最高で、3′16′′も向上しているからである。これは、Iにと ってはペーパーとは違う形式、マイコンの操作、加えて暗算などが、かえって障害となった ことに原因がある。事実、画面上に指でしきりに数字を書き計算していたし、ついには紙を はしがった。また、一度紙で最後まで計算して、キーで入力という2度手間の場面もあった。

ただ、マイコンでの練習が、かけ算、ひき算の暗算練習になったから、ペーパーテストでの タイム向上につながったとは言えそうであり、この意味では、マイコン練習の効果があっ たとも言える。

(ii)正確さの向上について

① マイコンでの向上

5日間の正確度得点(誤答得点+訂正得点)の推移は、表7のようになった。

この結果を、0−11点を上位、11.1〜33点を中位、33.1〜44点を下位として5日間の各 被験者の推移を整理すると表8のようになる。

Fは5日間ずっと上位ランクを維持し、7日〜11日と得点も少なくなってきている。

G,Hは得点がバラついており、最終日では初日よりGは1ランクダウン。Hは同ランク に戻る。

Iはばらつくものの9日〜11日と得点が減少し1ランクアップした。

② ペーノ定一テストでの向上

事前、事中、事後テストの誤答数の推移は表1のようになった。

Iだけが、マイコンでの学習を重ねるにつれ、ペーノヾ−テストでの誤答数がふえている。

これは、回りの3人の速さに焦りを感じたとみられ、マイコンが阻害したとは言えないと考 えられる。

ペーパーテストでの結果とマイコンでの結果を総合してみると表9のようになる。4人とも

(8)

マイコンでの正確さの向上と、ペーパーテストでの正確さの向上は比例していない。G,H の場合、ペーパーテストでは書くことによって誤らない計算でも、マイコンでは暗算の必要 があり、そのためにミスをして正確度得点に影響している。ペーパーテストでは安定向上し ているのに、マイコンでは不安定になっている。実際、G,Hの不安定さは特に訂正得点が大 きくひびいている。Fはタイムと同様、正確さも実験前からある一定の域に達していたから、

マイコンでの得点が少ししか減少していないと考えられる。Iのペーパーテストでの結果に ついては先に述べた。マイコンでは、誤り、訂正ともに多く、ほとんど減らないことが影響

している。

以上述べたように、マイコンとペーパーテストでの正確度を同レベルで考えられず、本実 験では、マイコンでの練習が、ペーパーテストへ及ぼす効果は考察できないと考える。

(iiD 誤答のパターン

MR〜L2までのどこでの誤りが多いかを見るために、5日間の誤った回数を合計して整 理してみると表3のようになった。

H Iについては、(3位数)÷(1位数)の計算の第1段階と言えるMR〜Llでの 誤りの回数が多いことに気付く。Hは実験を重ねるにつれMR〜Llでの誤りがなくなった のに対し、Iはなくならない。Hはタイムのランクが2ランクあがったのに、Iは上がらな かった原因の一つであると考えられる。(本プログラムは、誤るとその箇所まで戻るよう になっている。)また、F,G,Hは、実験を重ねるにつれ、MR〜Llでの誤りから、M2

〜Llでの誤りへと移行している。Iには、あまり変化がなく、MR−L2の至る所で誤り がみられた。このことからも、Iについてはマイコン学習の効果はなかったといえるかもし れない。

(iv)訂正のノヾターン

Fはただ1回、L2で訂正しているだけである。G,H,Iは、MR,N,Lでの、特にN での訂正回数が多い。このことは、わり算では商の値を決めるのが非常に難しいことを意味 している。G,Hは、MRでの訂正はなくなり、Nlでの訂正も減少している。Iはなくな らないで、至る所で訂正している。IのMでの訂正が7回という記録は、商のたち始める位 置が充分に習得できていないことを物語っているように思えるが、ペーパーテストではその あらわれがない。ここでもペーパーとマイコンのずれが出ている。

(Ⅴ)意識調査

① 興味・関心

実験を始めた11月2日の終った後の感想 F 思ったよりおもしろい。画面が見にくい。

G おもしろい。プリントの方がむずかしい。

H おもしろい。

I おもしろいがボタンを押すのが面倒で紙の方がよい。

4人ともおもしろいと言っているが、問題を解くことよりも、音への関心が強かった。

7日(2回目)になると、5問−5問一5問の共通問題の後、Fはさらにユ0問、G,Hはも う5問やりたいと言い出した。また、4人とも1問を何秒でできるか注目し始めた。

10日(4回目)では、F,G,Hは単なる興味から解く喜びへと変化し、Iは画面上での

(9)

重松敬一・今澤 均

計算から、紙を使って計算し出す。とにかく商をたてるのが遅い。

11日(5回目)では、F,Gは(4位数)÷(3位数)に挑戦した。Fはここで紙をほし がった。Hは(2位数)÷(1位数)から(3位数)÷(2位数)へ進む。Iは(2位数)

÷(1位数)から(4位数)÷(2位数)へと進んだが、途中で解けなくなり、終了させた。

¢) アンケート

名前 ( G )

EIコンピュータを使って、もっと、わり算のひっ算の勉強を続 けたいですか。

㊤  いいえ

それは,どうしてですか。

○コンピュータだったら楽しいし、おもしろいし、よくわ かるから。

○音楽がおもしろく楽しいから。

○まちがえの場所もおしえてくれて、とってもいい。

匡】今日まで5回勉強してきて、「こんなところがよくわかった。」

「こんなところがよくできるようになった。」ということを書いて 下さい。

04ケタわる2ケタや4ケタわる3ケタなどの計算が、早 くできるようになった。

○いつも、どこをまちがえるかがわかってきて、気をつけ るようになった。

団わり算のひっ算が、前よりもうまくなったと思いますか0 0  いいえ

どうして、そう思いますか?

○ まえよりも、まちがいが少なくなったから。

○ 早く計算できるようになった。

圧】コンピュータを使って勉強した感想を書いて下さい。(よか ったことだけでなくよくなかったこともあれば書いて下きい。

○コンビニL・一夕を使うと、わり算がすさになりました。

○コンピュータでするとき、3ケタわる2ケタばかりでな く、やさしいのからむつかしいのまで、いろいろやって ほしい。

70

アンケート      名前 (I ) 巨]コンピュータを使って、もっと、わり算のひっ算の勉強を続

けたいですか。

◎  いいえ

それは、どうしてですか?

○コンピュータのこうぞうがおもしろいから。

[釘今日まで5回勉強してきて、「こんなところがよくわかった。」

「こんなところがよくできるようになった。」ということを 書いて下さい。

01問はやいので20秒でできるようになった。

匡】わり算のひっ算が、前よりもうまくなったと思いますか。

(9  いいえ どうして、そう思いますか?

01問のはやさがはやくなったから。

○多いのでまちがうかいすうがすくなくなったのでよかった。

匡】コンピュータを使って勉強した感想を書いて下さい。(よか ったことだけでなくよくなかったこともあれば書いて下さい。

○ぱくがかいてすることがでてくれないからいやたった。

(10)

(2)マイコン自体の問題について

この実験を通して、マイコン及び本プログラムのメリット、デメリットが明らかとなった。

(D メリット

白)ゲーム性、興味、関心がある。

沌)自分のペースに合った学習ができる。

周 誤りの場所が指摘されるので、自分の誤りは自分で訂正できる。

(iv)記録性がある。診断の僑正、難しい問題の分析、小刻みな診断に利用できる。

亘)デメリット

眉 目に悪影響があるかも知れない。

沌)キー操作とペーパー上での計算のギャップがある。

値)ランダムな出題なため、かえって難しくなる問題が出てしまう。

(iv)1問にかかる時間以外に子どもの目標がない。

(Ⅴ)今の時点では、集計にかえって教師の手間がかかる。

Ⅳ 結  語

本研究は、計算技能指導の分野におけるマイコンの効果ならびに問題点、さらには、この分野 でのマイコンの特性を明らかにしようとするものである。整数の四則の終着点であるわり算を題 材に、(1)解答時問の向上、(2)正確さの向上、(3)誤答・訂正のパターンを実験項目とし、小学校4年

の児童を対象として実験を実施した。

これらの実験から明らかになったことは次のことである。

1.技能向上について

(1)解答時間の向上

事前のペーパーテストで上位、中位であった3名は、マイコンでの練習の効果はペーパーテス トでの向上につながった。しかし、下位であった1名にとっては、マイコンはかえって難しいも のであった。特に暗算をしなければならないことが大きな障害となった。

(2)正確さの向上

被験者4人とも、マイコンでの結果とペーパーテストでの結果は比例しなかった。マイコンで の計算と、ペーノヾ−テストでの計算ではその手段が暗算と筆算という大きな違いがあるため、マ イコンでの正確度と、ペーパーテストでの正確度を同レベルでは考えることができない。

(3)誤答・言丁正のパターン

(3位数)÷(2位数)の計算の初めの部分(商の値、かけ算)での誤りは、解答時間に大き く影響する。訂正回数が多いと、言いかえるなら暗算が弱いと正確度に響く。

(4)子どもの意識

実験の初期では、マイコンの外見や音への関心が強かったが、後期になると3人は解く喜びへ と深化した。また、1問をできるだけ短かい時間で解くことに熱意を燃やした。

2.マイコンの問題

(1)メリット

自己学習のための教具の手がかりを与えてくれた。

(11)

重松敬一・今津 均

(2)デメリット

ペーパー上での計算とのギャップがある。

上記のように、本実験ではペーパーでの向上に充分な効果のあることは検証できなかった。し かし、最終的には、ペーパーでの向上に寄与することを考えている。

(付 記)

1・本研究に際し、格別にお世話いただいた、奈良教育大学附属小学校 菱田道代教諭に対して 厚くお礼を申し上げる。

2・本実験でのマイコンのプログラム作成に当っては、本学学生(当時)武田美香が大変な努力 を払ってくれた。感謝の意を表する。

3・本実験の実施に当って、本学学生(当時)麻野伸夫、小川尚子、埋田真由美、徳丸久峰子、

西田真弓、松本美佐枝、その他の御協力を得た。感謝の意を表する。

4.最後に、喜んで実験を引き受けてくれた10人の子ともたちに、厚くお礼を述べたい。

参考文献

1)R.M.Gagn6:SomeIssuesinthePsychologyofMathematicsInstruCtion:JRME14−1,1983(7M

18).

2)岡田樟碓:小・中学校における数式指導について往,西日本数学教育学会発表,1983.

3)L.B.Resnick&W.W.Ford:ThePsychologyofMachematicsforlnstruction,LEA,1981.

4)K.B.Hamrick&W.Mckillip:How ComputationalSkills ContributetotheMeaningfulLearningof Arthmetic,NCTM,1978,yearbook.

5)小川庄太郎&重松敬一:練り下がりのある減法の思考の考察(11,奈良教育大学紀要31−2,1982(5−22).

6)平林一栄:理解と技能の関連についての注意,数学教育研形己要9号00−3カ,西日本数学教育学会,1983 7)1.Washsmuth:SkillAutomaticityinMathematicslnstruction:AResponsetoGagn6,JRME14−3,

1983(204−209).

8)L.P.Steffe&R.N.Balke:Seeing Meaningin the MathematicsInstruction:AResponsetoGagn6,

JRME14−3,1983(210−213).

9)R.M.Gagnd:A Reply to Critiques of SomeIssuesin the Psychology ofMathematicslnstruction,

JRME14−3,1983(214−216).

(12)

表1 ペーパーテストの結果

事   前 事   中 事   後

F

2 ′2 0 が 2 ′15 〃 2 ′1 8 ′

0 1 0

G

4 ′3 0 ′ 3′  2 0′ 3′0 6 ′

0 0 0

H

6 ′0 8 ′ 3 ′3 0 タ ぎ 1 3〃

2 2 1

l I

7 ′3 5 ′ 7 ′0 5 が 4 ′1 9 が

0 1 3

J

4 ′5 5 ′ 0

注1.上段:解答時間  注2,′ …分 下段:誤答数      ′′…秒

表2 解答時間の向上度

1 1 /2 1 1 /7 1 1 /9 1 1 /10 1 1 /1 1

F

5 0 4 0 2 5 1 5 1 0

2 5 13 . 3 2 5 7 . 5 1 0

G 隼

3 7 . 5

4 5 2 5 1 5 5

1 5 2 5 7 . 5 5

H 9 0 5 5 2 0 5 1 0

4 5 1 8 . 3 2 0 2 . 5 1 0 I

l

9 0 1 30 4 5 6 0 4 0

4 5 4 3 . 3 4 5 3 0 4 0 J

l

7 5 6 0 3 7 , 5 2 0

注 上段:1日の合計得点 下段:5問あたりの平均得点

表3 誤答得点と誤答のパターン

M R

M N L 恰 計

上 点 5 問 あ た りの 平 均 点

1 2 1 2 1 2

1/ 2 j l 】 1 1 9 恒 j

[ 5 .7

!7 ヨ 1 i 3 1 1 7

!9 1 3 3

′ /10 1 】 3 1.5

′ /丘 r

0 0

舎 _ 計 1 1 2 」」 3 2 3 2 1 4 . 7

】 ヨ

iM R ll

M U 2

N L 合 計

点 5 問 あ

「 平 均 点 た りの 1 2 1 2

11/2 2 6 3

/7 1 ユ 6 2 1

/9 l 0 0

/10 2 1 1 6 3

/11 1 0 0

合 計 18 8

M R M N L 合 計

点 5 問 あ た りの 平 均 点

1 2 1 2 1 2

1 1 /2 1 2 13 6 . 5

/7 1 1 1 1 1 3 . 7

/9 2 1 9 9

/1 0 1 1 6 3

/1 1 0 0

合 計 2 3 1 3 2 3 9 2 2 , 2

M R M N L 「 合計

!点 5 問あ たりの 1 2 1 2 1 2 平均点

11/ 2 1 3 1 21 10. 5

/7 3 1 1 21 7

/9 2 1 9 9

/ 10‖ 1 1 3 3 29 14. 5

/ 11 0 0

合計 2 7 2 3 5 3 80 41

M R M N L 合計

点 5 問あ たりの ヽ ′   ニ 1 2 1 2 1 2

11/ 2 0 0

/7 1 1 6 2

/9 l

/1q l

/ 11

合計

(13)

重松敬一・今澤 均

表4 訂正得点と訂正パターン

M R M N L 合 計

点 5 問 あ た りの 平 均 点 1 2 1 2 1 2

11/2 0 0

/7 1 3 1

/9 0 0

/10 0 0

/11 O r 0

合 計 1 3 1

M R M N L 合 計

点 5 問 あ た りの 平 均 点 1 2 1 2 1 2

11/2 0 0

/7 2 2 8 7 6 1 20 . 3

/9 1 5 5

/1 1 i 2 11 5. 5

/11 1 3 14 14

合 計 2 5 つ 1 i 9 91 44. 8

M R M N L 合 計

点 5 問 あ た りの 平 均 点 1 2 1 2 1 2

11/2 3 1 6 2 48 24

/7 2 6 1 39 13

/9 1 1 8 8

/10 0 0

/‖ ユ 3 14 14

合 計 5 1 14 4 3 109 5 9

M R M N L 合計

点 5 問あ たりの

、 ′ 均点 1 2 1 2 1 2

11/2 5 1 1 3 1 3 48 24

/7 5 2 5 2 1 55 18. 3

/9 1 1 4 3 35 35

/ 10 3 2 3 2 36 36

/ 11 2 2 16 16

合計 14 6 1 17 4 7 ;3 190 129. 3

M R M N L 合計

点 5 問あ たりの ユ 2 1 2 1 2 平均点

11/ 2 2 6 3

/ 7 1 1 8 2. 7

/ 9

/ 10

/ 11 合計

上   位 中   位 下   位

F (7 ) F ( 10,11)

G ( 7 ) G ( 10,11)

H ( 10,11)

F ( 2 ) F ( 9 )

G ( 9 )

H ( 7 , 9 )

G ( 2 )

H ( 2 )

I ( 2 , 7, 9 10, 11)

(カッコ内は実験日)

(14)

表 6 表 8

  位   位   位 F (前,中,

後)

G (中,後)

H (中,後)

G (前)

H (前)

I (後)

I (前,中)

上   位 中   位 下   位

F (2 ,7 ,9 , 10,11)

G (2 ) G (7 )

I (2 ) I (9 ) G (9 ,10)

H (10)

G (11)

H (2 ,7 ,9 ) H (11)

I (7 ) I (10,11)

1 1 1 /2 1 1 /7 1 1/9 1 1 /10 1 1 /1 1

F 白 . 5

4 . 5 5 . 7

】 6 . 7

3 3

1. 5 1 . 5

0 0

0 0 0 0

G 3

3 2

2 2 . 3 0

5 3

8 . 5 0

14

0 2 0 . 3 5 5 . 5 14

H 6 . 5 24

3 0 . 5 3 . 7

1 6 . 7 9

17 3 0

3

0 I

14

13 8 14

I 1 0 . 5

3 4 . 5 7

2 5 . 3 9

4 4 堕 ・ 巨

18 3 2 . 5 −

0 16

2 4 1 8 . 3 3 5 16

図1 エラー内容の記号 卜1コ

M1.…I、l・

000亘・・円コ

I:二霊1Iコlコrl

N:I.

L.1

卜」_ニ:

ペ ー パ ー テ ス ト マ イ コ ン

F ほ ぼ 安 定 少 し 向 上

G 安   定 不 安 定

H 向   上 不 安 定

I ダ  ウ  ン や や 向 上

MR ….仮商

ER. 「‥・エラー合計

緋:T…けバック合計

表 6 表 8 上   位 中   位 下   位 F ( 前, 中, 後) G ( 中,後) H ( 中,後) G ( 前)H (前) I ( 後) I ( 前,中) 上   位 中   位 下   位F(2 ,7 ,9 ,10,11)G(2 )G(7 )I (2 )I (9 )G(9 ,10)H(10)G(11)H(2 ,7 ,9 )H(11)I (7 )I (10,11) 1 1 1 /2 1 1 /7 1 1/9 1 1 /10 1 1 /1 1 F 白 .5 4 .5 5 .7 】 6 .7 3

参照

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