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食品の加熱処理液中のアミノ酸含量に関する研究?
魚類の加熱処理液中のアミノ酸含量について
著者 矢吹 ユキ
雑誌名 奈良学芸大学紀要. 自然科学
巻 13
ページ 67‑71
発行年 1965‑02‑27
その他のタイトル Studies on the Amino Acid Content in the Hot Water Extract from Food Material(II) ―On the Amino Acid Content from Fish―
URL http://hdl.handle.net/10105/3400
食品の加熱処理液中のアミノ酸含量に関する研究Ⅱ
魚類の加熱処理液中のアミノ酸含量について
失 ・ir ユ キ (奈良学芸大学食物学教室)
昭和39年9月1日受理
Studies on the Amino Acid Content in the Hot Water Extract from Food MateriaK∬1 0n the Amino Acid Content from Fish‑
Yuki YABUKI
(Department of Food Science. Nara Gakugei University, Nara, Japan) Received September 1, 1964
In the previous paper the amino acid content in the hot water extract from meat was investigated. In the present work the amino acids from fish material have been analyzed. The fish (a kind of bream, Akashidai) was divided into three parts, namely head, flesh and bone. The amino acids were extracted from
each part with the hot water under the similar condition to that of practical cooking, and then examined respectively by paper chromatography and photometric method.
The ammo acids identified from the three parts of the fish were as follows : 1) From flesh : glycine, alanine, leucine, glutamine, glutamic acid, valine, serine,
histidine, threonine and tyrosine.
2) From head part : asparatic acid, glycine, alanine, leucine, glutamine, gtutamic acid, valine, serine, histidine, threonine, tyrosine, asparagine and proline.
3) From bone : asparatic acid, glycine, alanine, glutamine, glutamic acid, histidine, threonine and asparagine.
緒 岩
食品の加熱処理に際しては,それに含まれている蛋白質及びアミノ酸のうちで,温浸液のなか に溶出するものがある.これらの種類及び含量は,栄養上からみても,また調理の上からも,秩 討する必要があるが,従来の研究の多くは total amino acid,または冷浸液についておこな われ,加熱処理液中のそれらについてのものは,あまりみあたらない.第1報(I)においては牛肉 の加熱処理液中に潜出したアミノ酸について報告したが,本報では魚類について,その加熱処理 液中に済出したアミノ酸を,魚体の部位別に比較検討したのでその結果を報告する.
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実験お よび結果 1.試 料
試料としては市販のマダイ(当地方では通称明石鯛と呼ばれている)を用いた.このものを 1)肉部, 2)頚部, 3)骨,尾部及びひれ部,に分割して実験に供した.購入時期は昭和39年6月23 日魚体はおよそ30cm,鮮度良好のものであった.
2.試料の調製
マダイの1)内部, 2)頭部, 3)骨,尾部及びひれ部を夫々IOOg宛秤量し, 1000mlの水で20分間 煮沸し,純水を加えて全量を1000mlとした.これを漬過後,液液100mlを秤取し,エーテル100 mlと共に分液ロ‑トで振逸して放置,脂肪を分離した.この操作を数回くり返して完全に脂肪 を除去した.この液を前報と同様に10%中性酪酸鉛, 10%塩基性酪酸鉛で除蛋白し,硫化水素で 除鉛した櫨液をAmberlit工R‑120 (H十型)に通してアミノ酸を吸着せしめた. 5%アムモニア 水100mlで溶出せしめた溶出液を低温で減圧濃縮し,純水を加えて10mlの試料液を調製した.
3.標準アミノ酸溶液の調製
純粋アミノ酸19種をもって,試料液作製と同様の操作をほどこして,標準アミノ酸液を作った.
4.アミノ酸の定性
展開用渡紙;東洋波紙No. 51, 40×40cm.
一次元展開用溶媒 15%含水フェノール液.
二次元展開用溶媒;ブタノール,酷酸,水(4:1:2) 発色剤 0.2%ニンヒドリン溶液.
温 度;室温29‑C.
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第1図 マダイ内部の加熱処理液中におけるアミノ酸のペ‑パ‑クロマトグラム 一次元展開溶媒,・フェノ‑ル,水, (15%含水フェノ‑ル).
二次元展開溶媒;プクノール,醇酸,水, (4: i: 2).
発色剤; 0.2%二ンヒドリン溶液.
温 哩:室温29"C.
標準アミノ酸液,及び試料液についてのRf値は,数回測定して平均値を求めた.また,文献 値(2)(3)も参考として,試料液のアミノ酸を同定した.試料液の展開結果は,第1, 2, 3図の通り である.
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Glu,.r‑¥Cフ,0 oGlu‑‑ThrIAla O<‑H>
p^oQGlu/蝣OHis GufMH.\
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(二つ
一 次 元 第2図 マダイ頭部の加熱処理液中におけるアミノ酸の
ペーパークロマトグラム
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蝣
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一 次 元
第3図 マダイ骨,尾部及びひれ部の加熱処理液中における
アミノ酸のペーパークロマトグラム
5.アミノ酸の定量
Awapara(4)の呈色斑点抽出比色法によって定量した.前報(5)同様にして,呈色斑点抽出を行 ない,光電光度計(日立FPW‑4型)の570m/iでの吸光度を測定した.同様の方法で作製した純粋 アミノ酸の標準曲線(6)によって,試料液中のアミノ酸の濃度を求めた.測定結果は第1表の通り である.
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第1表 マダイの加熱処理液中のアミノ酸含量
アミノ酸の種類 l 内 部 t 頭 部 ∴一一∴ 二、"!'..!蝣 αアミノNmg/lOOg
Aspartic acid Glycine Alanine Leucine Glutamine Glutamic acid Valine Serine
Histidine Threonine Tyrosine Asparagine Proline 未 確 認
34・60
20・41
45‑63 21‑89
12・35
16・80
23・66
g:
+
+
αアミノNmg/lOOg 18‑36 29‑92 20‑41
27・04
+ 11‑40
αアミノNrag/lOOg 29‑07
22・44
+
第2表 数種食品の加熱処理液中のアミノ酸含量の比較
アミノ酸の種類 ] 鯛 肉 部 l 牛 肉 l 鶏 肉
Glycine Alanine Leucine Glutamine Glutamic acid Valine Seriue Histidine Threonine Tyrosine Asparatic acid Proline Lysine Arginine
26・1
+
考 察
第1表に見られる通り,内部,頚部,骨部の頓に溶出量が多く,第2表に示した通り肉類(午 内CT)鶏肉(8))よりも多かった.実験の部でも記した通り,試料調製は鯛の調理時の条件に近く するた砂20分間の加熱処理であり,第2表の牛肉及び鶏肉は同じく調理時の処理方法に近くする ため60分間の加熱処理を行ったものである.この結果によれば,魚類は短時間処理でさえも相当 多量のアミノ酸が溶出する事が明白であり,あまり長時間の加熱処理は味覚を損ずるおそれがあ ると思われる.魚をゆでれば,アミノ酸の損失量が多いから,このゆで汁の利用はゆるがせにすべ きではないと考えられるO又,スープをとるには,やはり内部が最も溶出アミノ酸の量が多く, うまみの点でもすぐれていると考えられる.然しながら,頚部の溶出アミノ酸は総量では少ない が,その種類は内部よりも多く,栄養上でも,調理面でも重要な部位であることが認められる.
叉,骨,尾部及びひれ部においても,なおアミノ酸の溶出が見られ,種類もかなりあることを思 えば,これらの部位を利用せずに廃棄することは,栄養上の損失が多いといわねばならぬ.他の 食品に比して,魚類は廃棄部分が多いことを考え合せれば,蛋白資源の面からも,その利用法に ついて検討の必要があると考えられる.今後,他の魚類についても,検討をつづけたい.
要 約
1)マダイの加熱処理液中に溶出した遊離アミノ酸について,ペ‑パ‑クロマトグラフイ‑に よる定性をおこなった(第1‑3図)
2) Awapara のペーパ‑クロマトグラフイ‑を用いる呈色斑点抽出比色法によってアミノ酸 の定量をおこなった.
3)その結果, 10数種のアミノ酸が,加熱処理液中に溶出していることが認められた(第1表).
本実験にあたり,御指導をたまわり,御校閲を頂いた佐賀大学農学部農芸生産化学教室の榎本 則行博士に深甚の謝意を表する.
文 献 (1)矢吹ユキ:奈艮学芸大学紀要, 12, 78 (1964).
(2)佐竹一夫1.クロマトグラフィー, 105,共立出版(1961).
(3)蒲田久輝:実験栄養化学, 597,いずみ書房(1961).
(4) J. Awapara : J. Biol. chem., 178,113 (1949).
(5)矢吹ユキ'.奈良学芸大学紀要, 12,80 (1964).
(6)矢吹ユキ:栄葦と食糧, 15,289 (1962).
(7)矢吹ユキ:奈良学芸大学紀要, 12,80 (1964).
(81矢吹ユキ:栄養と食糧, 17,277 (1964).