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甫 3 階病棟における患者一看護婦間の信頼度の実態調査

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Academic year: 2021

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(1)

3

階病棟における患者一看護婦間の信頼度の実態調査

一結核病棟の特殊性とエリクソンの発達段階による分析一

3階病棟

0竹 内 志 江 植 田 み さ よ 藤 本 恵 子 米 田 智 美 和 美 西 浦 真 千 代

はじめに

当病棟は結核病棟であり平均 4~6 ヶ月と長期にわたる隔離環境下での療養生活を余儀無 くされるため、無断外出・飲酒・患者閣のトラブルなど問題と思われる行動が時としてみられ る。私達はこれらの行動を非効果的個人コーピングと受け止め、その原因としてセリエ1)のス トレス分類(表1)の中でも情動的・社会的要素が入院生活において影響が大きいのではない かと考えた。この情動的・社会的要素は、年代によっても生活背景などから有意差が生じると 思われた。

このストレスに対し効果的な援助在行うには、より細かな情報を得るための基盤作りとして、

患者一看護婦聞の信頼関係の確立が必要であると思われた。

そこで岡谷2)の患者信頼スケール(以下PTSと略す)を用いて、田島ら3)の「患者一看護職 者間の信頼関係の検討」の結果である"信頼関係は年令に関与している"ことを仮説とし、患 者一看護婦間の信頼度の謂査を行った。エリクソン4)5)の発達段階を用いて分析を行った結果、

田島らの研究に準ずる結果が得られた。また病棟の特性と合わせ日頃私達が行っている患者と の関わりにおいて傾聴する技術の重要性について改めて認識で、きたので、ここに報告する。

研究方法 1.対象

入院後1週間以上経過し20歳以上で見当識障害がなく、研究の主旨に同意された当病棟 入院中の患者26名を対象に調査を行った。

平均年令は62.35歳、平均入院日数は 129.58日であった。(表2) 2.調査方法及び調査期間

岡谷のPTSi2用いて、平成1394日一斉配付による無記名自己記載アンケートを行っ た。(表3)記入したアンケート用紙は配付した封筒に入れ病棟内に設置した回収ボックス に入れてもらい、 2日後に回収したo

PTS5つのサブカテゴリー(一貫性、尊重、知識・技術への確信、安心感、見通し)に よる計28項目の質問により構成される。 28項目それぞれの賀問に(1)全くそう思わない、

58‑

(2)

(2)少しそう思う、 (3)かなりそう思う、 (4)非常にそう思うの4段階評価で、それぞ れの回答について 1~4 の数字をそのままスコアリングして得点し、総得点が 28 ~ 112 となる。明確な評価基準は発表されていないが、得点が高くなるほど信頼が高くなるよう得 点化されている。

3.分析方法

1) T Sのスコアリングの総得点を信頼度の指標とし、エリクソンの発達段階により青 年期 前成人期 (20~ 38歳)、成人期 (39~ 59歳 入 老 年 期 (60歳以上)に分類し Microsoft Excel version2002を使用して信頼度の検定を行った。

2)  P Sのスコアリングについてサブカテゴリー別に分類して算出し、清末ら6)の「外 科病棟における患者と看護婦の信頼関係の評価」の結果から病棟全体の平均を割り出し、

各サブカテゴリーについて比較検討した。

3)発達段階別患者群においてサブカテゴリー別のスコアリングを算出し、検討した。

なお2) 3)については、サブカテゴリー毎の質問数が異なることから、得点ではなくパー センテージによる表示とした。

川 結 果

今回の回収率は 25名で96.15%、全患者のスコアリング総得点の平均は 87.60点であった。

1)総得点在用いての検定の結果は表4に示すとおりである。この結果から、仮説にある 成 人期の信頼度が最も低い"ことが確認できた。ただし今回の調査では標本数が少ないため、

統計学的な信湿性はきわめて低いものである。(図1)

2)サブカテゴリー別信頼度を外科病棟での調査結果と比較したところ「技術・知識への確信」

6.86%の有意差で当病棟が低いという結果が出た。(図2)

3)サブカテゴリー別信頼度を発達段階毎に比較した結果全体的に成人期が最も低値を示し、

特に「安心J["見通し」において前成人期・老年期共に有意差が得られた。(図3)

IV  考察

1)総得点の平均値では、成人期が82.00点と最も低値を示した。これは、田島らの研究結 果に準ずる結果であり、看護婦がどれだけ患者に働きかけることができるかに影響されるこ

とを示している。私たちも、このことから成人期の関わりが難しいと感じた。

2) ["技術・知識への確信J では、清末らの調査結果の平均85.46%と比較すると平均 78.60%と全体でも低値を示している。これは、当病棟が内科病棟であり技術的処置が少な いことに影響されていると考えられる。

3)以下で述べるサブカテゴリーの定義は表5に示すとおりである。

「技術・知識への確信」では中でも成人期では 74.50%と低値を示し、患者との関わりの 頻度にも影響されているととがうかがえる。

‑59 

111 

l l

 

(3)

「安心感Jと「見通し」でも、成人期が最も低値を示した。成人期の患者は、長期入院によ り家庭や社会における役割を障害され、周囲の人をも含めた問題が生ずる。また自尊心が傷つ くことを恐れ、「どうせ相談しても仕方がない」と看護婦との関わりを持たなくなることから、

患者のニーズに合った働きかけが困難となる。これらのことから←私達は「安心jr見通し」

が低値を示したと考えた。

エリクソンによると、成人期の発達課題は「生殖性対停滞」であり、「生殖性」すなわち「第 1に親として子供を育てる事、第2に仕事、研究においても新しいアイデアを生み出しそれを 育てる事、第3にもっと広い意味で人々を指導していく事である」と述べているように、当病 棟のような長期に及ぶ踊離環境下での入院生活は、生殖性が阻害され停滞の感覚を発達させる。

家族や社会からの孤立を強く体験することにより、成人期の患者に対する働きかけは困難を有 し、日々看護婦は頭を悩ませている。しかし、岡谷は「患者の話を真剣に聞く態度によって、

患者は自分が看護婦に受け入れられているという思いを持つことができて安心感が生まれ、人 を頼ってもいいという気持ちになれる」と述べている。また、白井7)は「どのような心理療 法をする時にも、傾聴するということは最も基本的で大切な方法である」と述べている。看護 婦が上手に傾聴することで、患者は望ましい変化を信じ病気に立ち向かう勇気が持てるように なる。患者が自分の力を信じ、自分で病気や状況をコントロールしていけるような心理的アプ ローチを提供することが必要である。

まとめ

成人期における信頼度の示す結果から、患者一看護婦問の信頼関係は看護婦がどれだけ患者 に働きかけることができるかに影響されるといえる。それに加え、当病棟は内科病棟であり、

技術的処置が少ないことで患者との直接的な関わりが平均的に少ないことも影響している。そ れら在改善するためには、看護婦一人一人の観察力と傾聴する技術の向上に努めるとともに、

各チームに問題を提供しカンファレンスに反映させていくことが今後の課題であり、今回の実 態調査に次いでストレスの内容を具体化させるための研究の一環であると考えている。

文献

)セリエ.H: r現代社会とストレス原著改訂版j(杉靖三郎訳), 334 ~ 355, 1956 

2)岡 谷 恵 子 :r患 者 一 看 護 婦 関 係 に お け る 信 頼 度j,ナーシングトウディ, p6 ~ 111995.5

3)田 嶋 文 他 :r患者一看護婦問の信頼関係の検討 エリクソンの人開発達段階の特徴に おける考察j,看護管理, p143 ~ 145, 1997.29

4)岡 崎 素 子 :rエリクソンの発達倫理j,ナーシング, p22 ~ 26, 1999.1

5)森 谷 寛 之 他 :r医療・看護のための心理学jp91 ~ 104, 1991 

6)清末 陽 子 他 :r外科病棟における患者と看護婦の信頼関係の評価j,看護官理, p143 

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(4)

~ 1451997.28

7 ) 白 井 幸 子 :1看護にいかすカウンセリング 臨床に役立つさまざまなアプローチ」

92 ~ 1001987. 

8)土 屋 香 代 子 他 :'l慢性看護J, ~ 121997. 

9)岸 良 範 他 :1ケアーの出発 援助のなかでの自分が見えるJ, 35 ~ 411994.  10)井上幸子:看護学大系 121成人の看護J, ~ 4~ 421997.2

 

p o  

(5)

1 セ リ エ の ス ト レ ス 分 類

生 物 学 的 要 素 病 原 体 、 感 崇

科 学 的 要 素 薬 、 毒 薬 、 ト キ シ ン 、 麻 酔 薬 、 異 種 蛋 白 、 血 液 反 応 、 電 解 賀 、 不 均 衡

情 動 的 ・ 社 会 的 要 素 不 安 、 恐 怖 、 痛 み 、 怒 り 、 無 力 、 抑 欝

身 体 的 要 素 熱 さ 、 寒 さ 、 通 気 、 知 覚 認 知 、 車 調 さ 、 過 負 荷

生 理 学 的 状 態 火 傷 動 か な い こ と 、 睡 眠 不 足 、 手 術 、 外 傷

2

対象

20歳 以 上 の 見 当 語 障 害 が な く 研 究 の 主 旨 に 同 意 さ れ た 当 病 棟 入 院 中 の 患 者26 性 別 男 性18名 ー 女 性8

年 齢 一 平 均62.4歳(28‑92量)

エ リ ク ゾ ン 呈 達 段 階 別 ' 前 虚 人 間(20‑38歳)3 (男性3 女 性O名) 成 人 瑚(39‑59歳)5 (男性4名 ー 女 性1名) 老年期(60歳 以 上)17 (男性11名 女 性6名)

. .  

方法

岡 苦 の 患 軒 言 頼 ス ケ ー ル(pT 5)を用いて、 膏 配 布 に よ る 無 記 名 自 己 記 載 ア ン ケ 卜を行った。

1)  T Sの 総 得 点 を 信 頼 度 の 指 襟 と レ エ リ ク ソ ノ の 発 達 段 階 に よ り 分 類 し 平 均 点 を 比 較 し た 。 2)  T Sの ス コ ア り ン グ に つ い て サ ブ カ テ ゴ リ 別に分顕して算出し、検討した。

琵 達 段 踏 別 患 者 群 に お い て サ ブ カ テ ゴ リ 別のスコアリングを算出し、検討した。

3患者ー看護婦関係における信頼に関するアンケート(岡谷の患者信頼スケール)

こ こ に は 患 者 さ ん と 看 護 婦 と の 闘 係 を 言 い 表 す 項 目 が 挙 げ て あ り ま す 。 各 項 目 を 読 ん で あ 立 た が ど う 思 っ て い る か に つ い て 、 項 目 白 右 側 の 最 も 当 て は ま る 番 号 ! こO印 を つ け て 下 さ い 。 迷 う 項 巨 も あると層、いますが、1か ら4ま で で 、 あ な た の 今 回 覧 持 ちr=番 近 い 番 号 を1つ だ け 選 ん で 下 古 い 。 も し あ な た の 受 け 持 ち 看 護 婦 が は っ き り 決 ま っ て い る 場 合 に は 、 そ の 看 護 婦 と の 関 係 を 思 い 浮 か べ て 答えてください。

1者霞婦1ま自分,<引き受けたことは必ずして〈れる.

Z病線の宥聾婦は信でも私のことや私の世話についてよく 知って~;

3署琵婦は私の好日与や意見を取り入れながも世簡をして〈れる.

4自分のことはできるだけ自分でしたいという私の気持ちをわか って〈れる圃

5ナースコールを押すとすぐこ対応して〈れる.

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"将来の見返しが立たない跨は看護揚に相設してみよラという 到こなる晶

2l私は看護婦H二大事こされているなと感じる.

表4t‑検定:分散が等しくないと仮定した検定

前 成 人 期 成 人 期

平均 分 散 慢 則 数 仮説平均との蓋奥 自衛度 円 " 司 片 側 t境界値片側 P(K司)両側 t境界値両側

8 n  

2 5 5  

8

成 人 潮 老 年 期

平均 分 散

5 0 m

340

援 淵 数

仮設平均との差異 自由度 T("'tJ片側 t境界値片側 P(T(=心前倒 tlj電界値両側

0.164044  1.812461 :

nL  

nh u 

(6)

知融・技術への確信とは

5

看護婦の力量や能力が信用できるということ。

安心とは

確かな証拠がなくても看護婦が患者のことを気遭って〈れていると感じられ 心配や不安がなくなって心が安らぐということ。

見通しとは

人生の価値や意絡が実現される犠として未来が信頼できるという感覚を意味し、

看護錦の働きかけにより病気の経過や変化に対して明るい見返しを持てること。

4 2  

8

区益田

制法人糊 成人細 考年期

尊 重

図 1 発達段階別PTSスケールの平均値

見通し

安心

後 術 知 総 へ のE重信

E

歪 雪

貫性

2 サブカテゴリー別信頼度の外科病棟での調査との比較

尊重 見過し

3玄術銅版へのF音信

3 サブカテゴリー別信頼度の発達段階による比較

一貧佳

63 

表 1 セ リ エ の ス ト レ ス 分 類 1  生 物 学 的 要 素 病 原 体 、 感 崇 2  科 学 的 要 素 薬 、 毒 薬 、 ト キ シ ン 、 麻 酔 薬 、 異 種 蛋 白 、 血 液 反 応 、 電 解 賀 、 不 均 衡 3  情 動 的 ・ 社 会 的 要 素 不 安 、 恐 怖 、 痛 み 、 怒 り 、 無 力 、 抑 欝 4  身 体 的 要 素 熱 さ 、 寒 さ 、 通 気 、 知 覚 認 知 、 車 調 さ 、 過 負 荷 5  生 理 学 的 状 態 火 傷 動

参照

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