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(1)

平成

28

年 度 修 士 論 文

木質ノミイオマスと地域内経済循環

−岡山県真庭市を事例として−

三重大学大学院人文社会科学研究科 社会科学専攻地域経営法務専修

115M252 

伊藤嘉浩

指 導 教 員 豊 福 裕 二

(2)

目次

はじめに………...・H ・−−………...・H ・−−………...・H ・−−………...・H ・−−…・・

1章 地域分散型エネルギーシステムとしての再生可能エネルギー………...・H31節 大規模集中型エネルギーシステムとしての日本の電力供給………32節 地域分散型エネルギーシステムと地域経済循環・…………HH ・−……・・…...・H5

2章木質バイオマス発電の現状と課題………....・H ・−………...・H ・−−…・…...・H ・−…71節 木質バイオマス発電の概要とその普及…・……...・H ・−………...・H ・−−……....・H7 )木質バイオマス発電の概要... ( 2) FIT制度と木質バイオマス発電・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・日 第2節木質バイオマス発電の課題………HH ・−………....・H ・−−−……...・H12

)木質ノ〈イオマス発電の現状…・12 )日本の林業・製材業の現状22

3章 岡山県真庭市における木質バイオマスの活用・……HH ・−………...・H・−…・…....・H291節 真庭市における木質バイオマス利用の歩み…・…....・H ・−…………...・H ・−−………29 第2節真庭市の木質バイオマス事業...39  真庭バイオマス集積基地…・・…・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 ( 2) 銘建工業−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−ー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・必 ( 3)真庭バイオマス発電...44  (4)その他の取り組み………・…・………...・H ・−…………46 第3節 木質バイオマスと真庭市の地域経済・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ー・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・必

4章 木質バイオマス発電と地域経済循環・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 第1節 真庭市の成果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・55 第2節 FIT制度と木質バイオマス発電の課題....・H ・………HH ・−−………...・H ・−−…58

おわりに……・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・61

(3)

はじめに

近年、日本においてエネルギー供給の在り方が見直されつつある。 20127月に固定価 格買取制度(FeedinTariff :以下回T) が実施されたことを皮切りに、 20144月には 新しいエネルギー基本計画が示され、 2016年からは、小売り電力が完全自由化となる電力 自由化が始まった。こうしたエネルギ一政策の改革を加速させる契機となったのは、 2011 年 3月に生じた東京電力福島第一原子力発電所の原子力事故である口事故が起きた翌年の 2012年には、原子力発電による電力量は国内総電力量の2%にまで減少し、それを補う形 で火力発電の比重が増大した。しかし、火力発電では、化石燃料が必要とされ、それに伴 い二酸化炭素排出量も他電力に比べて多いことが指摘されており、 C02排出量による地球 温暖化問題などの環境問題への関心が高まっている日本においては、火力発電に頼った電 力供給体制には、批判的な意見もある。さらに、原子力事故では、機能停止時のリスクと いう火力発電や原子力発電などの大規模集中型電源に依存することの問題点も浮き彫りに なった。こうした背景をもとに、その多くが分散型電源である再生可能エネルギーに注目 が集まることとなった。

再生可能エネルギーの特徴は、利用されるエネルギー資源が地域的に偏在していること である。それゆえ、これらのエネルギ一利用には「地域性」を活かし、地域単位でその普 及が促される必要がある口近年、日本ではご当地電力と称して各地でそれぞれの地理や風 土に合わせた再生可能エネルギーの利用が行われている口その取り組みには、地域の自治 体をはじめ協同組合や民間会社などさまざまな主体が関わっており、こうした地域内での エネルギ一利用は、本来のエネルギ一利用の目的を超えて、地域住民の意識の変化や地域 内産業の発展、雇用の増加といったさまざまな効果をもたらしている。そして、これらの 取り組みにおいて、鍵となるのが地域内経済循環の実現である。地域の人材を雇用し、地 域の地理や風土に合った資源を利用する。また地域内のファンドの設立や地域金融機関に よる資金の利用によって経済活動は地域において循環する。つまり、大規模集中型システ ムから分散型エネルギーシステムへのエネルギー利用の転換は、エネルギー供給システム の変化のほかに、東京一極集中のもとで衰退が著しい地方経済の活性化という日本社会が 抱える課題克服の1つの策となる可能性を有しているといえる。

このような再生可能エネルギーの中で、本稿では木質バイオマス発電を取り上げたい。

木質バイオマス発電の燃料となる木質燃料は林業および製材業から発生するため、木質バ

(4)

イオマス事業の燃料の安定調達には地域における林業および製材業の生産活動が必要とな る。このことは、木質バイオマス発電における燃料需要が林業および製材業に生産の誘発 をもたらすことを意味している。それゆえ、過疎化の進む中山間地域において、林業を再 活性化し、かつ新たな雇用を生み出しうる事業として、木質バイオマス発電への期待は大 きく、全国各地で事業化が進みつつある。その中でも、とくに先進的な地域の 1つとされ ているのが、岡山県真庭市である。真庭市は、域内に多くの製材業者を有し、林業も盛ん な土地として知られており、地元企業をはじめ行政や森林組合など多くの主体が協力して バイオマス発電事業に取り組んでいる。また、岡市を視察に訪れる人を対象に観光ツアー を組み、新たな観光産業の育成を図るなど、バイオマス発電を起点としたまちづくりを進 めており、多くの研究者が注目するところとなっている。

こうした真庭市のバイオマス事業に関する先行研究として、中村・柴田[2013]や多国 [2014]、原田・小竹[2016]などがある。中村・柴田[2013]では、産業連関表を用い て、バイオマスエネルギーの地域利用がもたらす経済効果を分析している。そこでは、木 質燃料部門の地域内の生産誘発効果および移入代替効果、移出効果などから真庭地域にお けるバイオマス利用の経済効果を明らかにしている。また多国[2014]においても同様に、

真庭市におけるバイオマス事業の経済効果を試算しているが、生産誘発効果を前方連関と 後方連関に区別し、より具体的にどの産業に影響を及ぼすかを明らかにしている口一方、

原田・小竹[2016]では、その事業形成のプロセス自体に注目し、バイオマス事業におけ る主体やその関係性から真庭市における地域ネットワークの形成過程について考察してい る。これらの研究は、いずれも真庭市におけるバイオマス事業の取り組みを高く評価する ものである。しかし、その時期的制約もあり、最近稼動したバイオマス発電事業それ自体 については、立ち入った考察は行われていない。バイオマス発電が持続的に地域内経済循 環の起点になるためには、発電所の燃料が地域内のバイオマス資源によって安定的に確保 され、かっそれによって事業採算性が担保されなければならない。真庭市の取り組みを評 価するためには、この点の検証が不可欠である。

実際、木質バイオマス発電の持続可能性や事業採算性を巡っては、さまざまな問題点が 指摘されている。例えば、泊[2014]は、木質バイオマス発電における未利用木材の供給 量および費用を課題として挙げ、木質燃料の副産物利用や発電のコージェネレーションを 事業採算性確保の方策としている。また柳田[2016]は、木質燃料の含水率や発電所の規 模別によって燃料の消費量を試算し、大規模な発電所では大量の燃料を消費することから、

(5)

バイオマス発電の安定的な稼働には燃料の安定的な調達の仕組みを構築する必要があると 指摘している。さらに、熊崎[2016]は、木質バイオマス発電における日本とドイツのFIT

を比較することによって、日本のFITの制度的問題点を指摘している。

これらの先行研究をふまえて、真庭市におけるバイオマス発電事業の成果を検証し、そ れが地域活性化の核となりうるための課題を明らかにすること、さらに、こうした地域の 取り組みを支え、バイオマス発電を持続的なものにするための、FITを含めた国全体の制度 的課題を明らかにすることが、本稿の課題である。

以下では、まず第 1章で、電力供給を主としたエネルギーシステムについて、大規模集 中型と地域分散型のそれぞれの特徴を述べ、地域分散型エネルギーシステムの構築が地域 内経済循環を達成する可能性を有していることを確認する。第 2章では、 FITのもとでの指 摘される木質バイオマス発電の課題に加え、木質燃料の供給主体となる林業・製造業の現 状を整理する。第3章では、筆者がおこなったヒアリング調査をもとに岡山県真庭市にお ける木質ノくイオマス事業の中心となっている真庭バイオマス集積基地、銘建工業、真庭バ イオマス発電所の3つについて考察し、木質ノ〈イオマスが真庭市の地域経済においてどの ような効果をもたらしているか述べる。第 4章では、木質バイオマス発電が地域経済循環 を果たしうるかという観点から真庭市の成果と課題および木質バイオマス発電における FITの課題を述べる。

第 1章 地域分散型エネルギーシステムとしての再生可能エネルギー

第 1節 大規模集中型エネルギーシステムとしての日本の電力供給

日本の電力産業は、 1883年に東京電燈が設立されたことに始まる。明治時代、日本には 多くの電力会社が存在し、電力市場は激しい競争状態にあった。その後、戦時期に入るこ ろには、寡占化が進み、電力市場は東京電燈、東邦電力、宇治川電気、大同電力、日本電 力の5大電力会社に集約された。しかし、戦時中はエネルギー源の国家管理を目的として これら 5大電力会社は統合され、日本発送電という国策会社が設立された。これにより発

(6)

電設備や送電網は 1つの国策会社が所有することとなったlo

戦後、日本発送電の所有する施設や設備、水利権などは日本各地に新設された9つの新 たな電力会社に移管されることとなった口こうして、 1951年に設立された北海道電力、東 北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力によ る電力供給体制を 9電力体制と呼ぶ。その後の沖縄返還に伴う、沖縄電力の加入により現 在 10電力体制と呼称することもある。これら 10社は電気事業法において一般送配電事業 者とされ、電力の安定供給を目的として地域独占が認められている。こうした電力体制の 特徴は、発電源の大半が大規模なものであることである2

大規模な電源を用いた電力供給におけるメリットは、設備の効率化、安定供給、規模の 経済性にある。大規模な電源を用いるということは電源を集中的にすることで過剰な設備 建設を避けることができ、発送電網を少なく、設備を効率化することができる。また、発 電の電力量を大きくし、それを調整することで利用者への安定的かっ安価な供給が可能と なる。これは電力需要の伸びに比べて支出の伸びが抑制されるという規模の経済性がはた らくためである。こうした理由のもと、これまで日本では、大規模集中型電源による発電 と配送電すなわち、大規模な火力発電や原子力発電による発電が大きな割合を占めていた。

そして、増加し続ける日本の電力消費量をまかなうために、その発電量も増加し続けるこ ととなった口しかし、大規模発電にもデメリットがある。それは、資源量、環境容量、機 能停止時のリスクである。火力発電の資源は、石炭や石油、天然ガスといった枯渇性の資 源と呼ばれる資源である。今後の情勢や人口動向によっては採掘量の減少や消費量の増大 の可能性があり、これら枯渇性エネルギー資源の利用には、枯渇リスクが存在し、エネル ギー資源の可採年数は石油で 50.7年、天然ガスで 52.8年だといわれている3。また、エネ ルギ一利用によって発生する環境問題には、大気汚染、酸性雨、海洋汚染などがあり、な かでも気候変動は重大な問題である。気候変動の要因と考えられている温室効果ガスにつ いては、削減目標が各国で定められている。日本においても、温室効果ガス排出量を2030 年度に 2013年度比−26.0%という目標を国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局へ提出

している。さらに、 2011年に生じた原子力発電所の事故は、原子力による災害のほかに電 力危機をもたらし、大規模集中型のエネルギーシステムの災害時におけるリスクを表面化

1高橋[2011、] 4950ページ。

2高橋[2011、] 51ページ。

3植田[2016、] 1ページ。

(7)

させた。平時においては、その大きな発電量によって多くの需要に安定的な供給を満たす 大規模電源であるが、災害時には安定的な供給が広範囲においてできなくなるといったリ スクを抱えている40

第 2節 地域分散型エネルギーシステムと地域経済循環

大規模集中型エネルギーシステムが広範囲の電力需要をーか所の発電源によってまかな うのに対して、地域分散型エネルギーシステムでは、限定的な範囲での電力需要を比較的 近い場所での発電によってまかなうものである。高橋洋によると地域分散型エネルギーと は、「分散型エネルギーを主要な構成要素とし、それ自体が分散型の特徴を有し、地域との 親和性が高いエネルギー需給の仕組み」であるとし、地域分散型エネルギーは省エネルギ ーと再生可能エネルギーの2っから構成されるとしている50

省エネルギーに関しては、デマンド・レスポンス(demandresponse:以下DR)や住宅 の省エネ基準などがある6DRは時間帯別に電気料金設定を行う、ピーク時に使用を控え た消費者に対し対価を支払うなどの方法で、使用抑制を促し、ピーク時の電力消費を抑え、

電力の安定供給を図る仕組みのことである。従来、ピーク時において消費者が適切に電力 消費を抑えることは難しいと考えられてきたが、スマートメーターとよばれるデジタル式 の電力計測器の導入によってそれが可能になると考えられている。また、住宅の省エネ基 準では、断熱化や冷暖房の効率化を図ることで省エネルギーを達成している。

再生可能エネルギーの代表例には家庭用太陽光、洋上風力、中小水力、バイオマス、地 熱などがあげられる。大規模な発電所は電力会社が所有、運営していたのに対して、こう

した再生可能エネルギー施設の所有者には、電力会社のほか、事業者、家庭、農業団体な ど多様な主体が存在する。再生可能エネルギーはエネルギー基本計画[2014]において2030 年度に国内電源の9.4%を占めるという目標が設定されている。また 2012年に開始された FITでは、いくつかの課題点を抱えつつも電力事業に参入する電気事業者の数を飛躍的に増 加させ、市民の関心向上に一定の成果を挙げている。こうした政策的後押しや運用主体の 多様性を理由として水力を除く再生可能エネルギーの国内発電量に占める割合は2013年度

4植田[2016、] 78ページ。

5植田[2016、] 17ページ。

6植田[2016、] 22ページ。

(8)

には2.2%2014年度4.4%と上昇しており7、全国各地で利用主体は増えている。

再生可能エネルギーには、地域との関わりが深いとしづ特徴がある。その理由の 1つに、

地域資源を利用する際に考慮する必要がある「賦存量Jと「期待可採量」という再生可能 エネルギーの性質がある。「賦存量Jとは、それぞれの地域における自然条件そのものが持 つ可能性をさし、「期待可採量j とは、技術的問題や土地利用経済性などの制約条件を考慮、

して、活用できる可採量をさす。これらを正確に把握することで、その地域においてどの 再生可能エネルギー資源を利用することが最適かとしサ選択が可能となる。 20169月末 までの聞に新設され、 FIT認定を受けた再生可能エネルギー発電設備の導入状況によると、

酪農が盛んな北海道ではバイオ(メタン発酵ガス)発電設備が 32件(80)、風状に恵まれ た秋田県では 20kW以上の風力発電設備が 13件(84)、農業用水の利用や地理的利点があ る長野県では200kw未満の水力発電設備が 14件(168)とそれぞれ地域の地理や風土を活 かした発電を行っている(カッコ内は国内の総件数を示している)80

このように分散型エネルギーの利用には、その地域性から地域の持つ役割と地域にもた らす効果が付随することとなる。効果とは地域内での経済活動を循環させ発電事業が生み 出す利益を地域に還元し、地域の活性化につなげることである口その効果を得るためには、

分散型エネルギーの利用はあくまで地域主導で行われる必要があるD 外部の資本の参入に よる経済活動では、利益の大半は域外に流出する。利益を地域内にとどめるためには地域 内の主体がリーダーシップを発揮し、地域内での経済活動の循環を意識する必要がある。

それは、エネルギーの域内利用、地域人材の雇用、事業資金の市民ファンドや地域金融機 関からの融資などにとどまらない。木質バイオマスやバイオガスによる熱供給事業では、

域内の林業や畜産業にも経済的な波及効果があるえ分散型エネルギーによる地域循環はエ ネルギ一利用の問題をこえて、地域経済活性化の可能性を秘めているのである口

7経済産業省[2016、] 186ページ。

8固定価格買取制度 情報公開ウェブ 「都道府県別認定・導入量(平成289月末時点) J 

9諸富[2015、] 12ページ。

(9)

第2草 木質バイオマス発'd:iの現状と課題

1節 木質バイオマス発泊の概要とその特及

)本質−バイオマス発屯の概要

バイオマスは、動植物などから生まれた生物資源の総称を指し、法律とは エネノレギ−

~hl として永続的に利用することができると認められるものj として、太陽光、風ノJ、水力、

地熱、太陽熱とならび再生可能エネルギーに規定されている10。水質バイオマスは、木質資 源、を燃料として屯力利用、熱手IJJ刊に前川されるエネノレギーであり、カーボンニュートラノレ の考えから、大気r1Iの C02のi訟を削減させないエネルギーとして知られているII ドイツ をはじめとする EUでは、主裂な再生可能エネノレギーとなっている。 EUでは、 ・次エネル ギー消却 の 8 %を再生可能エネルギーが抑1っており、そのうちの 5't~Jを木質バイオマスエネ ノレギーが内めているとて、今後の利用拡大に向けて期待されている(図21。)

21 EUにおける再生可能エネルギーの分野別構成比(2008)

水 力 19% 

風 力

# 木 質 系 バ イ オ マ ス

22% 

!thをJi.

4 %   太 陽 光 ・熱

1

木 質 系 ハ イ オ マ ス

47

(梶山2011)228へージより唱者作成)

10  fエネルギー供給事業者による非化訂エネノレギー源の利用及ひ 化石エネノレギー原料の有 効な利用の促進に関する法律Jにもとづく。

11カーボンニュートラルとは、生産活動によるC02の増減が生まれないことを指す概念で ある。

(10)

木質バイオマス発 屯は、木質バイオマスを燃やしてタービンを|口|して発屯する仕組みで ある。発電方法は2稀 類あり、製材端材や木質チップをl直接燃焼させて蒸気タービンを回 す 「直接燃焼方式J と木質バイオマスをガス化してタービンを回す「熱分解ガス化方式J に分かれる。木質バイオマス発電の燃料となる木質資源は、未利用木材、 一般木材および 建築資材廃棄物の3種類からなり、 FIT発足時に経済産業省によって未利朋木材は「森林に おける立木竹の伐採又は間伐に由来する未利用の木質バイオマスj、一般木材は「木質バイ オマス又は農作物の収穫に伴って生じるバイオマスj、建築資材廃棄物は「建築資材廃棄物j

と告示された。なお、これらの定義については議論があるが、この点は後述することとし たい。当H寺、 一般木材は、工場内の燃料や製紙等の原料としての利用が進んでおり、建設 資材 廃乗物は建設リサイクル法によって利用が進んで、いた。そのため、これらのなかで発 '

f[燃料として期待されたのが未利用木材であり、その利用によって、次の効果が生まれる と考えられた。第lに森林の多面的機能の維持である。 林 地残材の放置は木材の品質悪化 や土壌の劣化を生むとされるが、未利用 材として活用されれば、森林の適切な環境が維持 できる。第2に地 域の所得機会の増大である。 地域の森林にll武存する資源が燃料と して地 域内で調達されることにより、 地 域への利 雄の泣元が生まれる。またそれに伴い、関連 産 業に雇用が創出される12。こう した木質バイオマスの燃料,と しての評価やFITの|銅始により、

FITが施行された2012年7月以降、木質バイオマス発電の認定数は大幅に増加している(図 22。)

図2‑2 FITによる木質バイオマス発電の新規認定件数の推移(累積)

くイ斗〉 200  150 

100 

so 

2 6

〆 〆

2013 

124 

/ 

6 9  

2014  2015  201<6rr) 

(出所 :固定価 格買取制度情報公開ウェブより筆者作成)

12梶山 [2011]、228ページ。

(11)

円本にあるバイオマス発電施設のうち、 FITの認定を受けている施設は、 20169月 末 時点で691件存在しているが、稼却J件数は186件に留まっている。同様に、認定容量は517kwに達しているが、稼動蒋品は182kwである (表21)。

21 FIT におけるバイオマス発'1'IJ:稼~YJ ・ 認定状況

( 単位 :

kw)

メタン

料貯同オ 寸会和材 寸怒藻 物

廷勢実 勢 オ

農作防長さ オ頃妙 ト 発 動 1 ス 2 , c m k v l 漏出 2 , ( X X )

l

以上

務 勧憎 女

00 

5  2 8   1 7   2 

54 

1 8 6   認超特女 2 0 3   2 9   5 2   1 2 9  

~

2 4 1 1   6 9 1  

手籍槍霊

kw 

3 3 , 5 0 0   9 , 2 7 8   2 7 2 , 4 2 1   3 0 乙 5 6 9 3 4 1 , 2 1 6   お 4 , 5 7 4

1,823,638 

菰 毘 窪

kw 

7 乙 5 1 6 3 1 , 5 6 1  

40538: 

3 , 3 5 0 , 7 0 1  

368,紙 倒

6 , 2 1 75 , 1 7 5 , 2 4 9  

1)認定件数、認定容量の項目に|泊しては、来rr脱認定分と移行認定分の導入件数、容量を加算し た数値と した。 f新規認定分J とは、 FIT

I

鍋始後に新たに認定を受けた設備を指し、「移行認 定分J とは、再エネ特 惜法施行のIlにおいて既に発電を開始していた設備であり、 FIT開始 後に認定を受けた設備を指している。

2) 容 量 は、混焼の非ノくイオマス分を除いたバイオマス比率を考慮した数値と した。

(II I所: 凋定価 棉貿取制度情報公開ウェブより作者作成)

このうち、 木質ノ〈イオマス発 心の数値は、認定件数 は244件、稼動件数は52件、認定蒋 盆 は415kw、稼動容量は92kwとなっている。認 定件数に対する稼働 件数の割合は、

木質バイオマスを除いたバイオマス発電が30%、木質バイオマス発電が21%となり、認定 容量に対する稼 動容量の割合は、木質バイオマスを除いたバイオマス発唱が 88%、木質バ イオマス発電が 22%となっている。同じ再生可能エネノレギーを利用した太陽光発電の認定 件数に対する稼 動 件数 の吉1]合 は、lOkw未満は86%lOkw以上は42%1,000kw以上が 36%であることからすると、木質バイオマス発1・6が認、定された設備が稼動していない割合が 高いことがわかる。

(12)

経産省資料、事業体HP、報道資料等よりバイオマス産業社会ネットワークが制査したデ ータによると、20163J1時点で、 計画段階のものを合み、圏内の木質バイオマス発電事 業 130件のうち、発屯規模が2,000kw以下が23件、 2,0005,000kwが8件、 5,000kw7,000kw38件、 7,00010,000kwが5件、 10,000kw以上が35件、不明が21件だった

(図23)。園内のバイオマス発電所は、5,0007,000kw規模のものが多い。これは、調達 制if格等算定委員会がモデ、/レプランと したのが、5,000kw規模の発屯胞訟で、あったことや規 模の経済性を考慮したものと考えられる。

23 木質バイオマス発電の発国規模別割合(20163月)

16%

4 %  

18%

・ 〜

2000kw

6% 

29% 

2,0005,000kw  5,0007,000kw  7,00010,000kw 

10,000kw

不明

(山所:バイオマス産業社会ネッ トワーク[2016より筆者作成)

10 

(13)

2)  FIT制度と木質バイオマス発電

FITは、再生可能エネルギーで、つくった電力を、法定の固定価格で買い取るように、電力 会社に義務付ける制度である。再生可能エネルギーの普及には、エネルギーごとの買い取 り価格の設定が不可欠である。日本では、長年、一般電気事業者の地域独占による電力供 給が行われてきた。その供給電源の中心は、火力発電をはじめとする大規模なものが多く、

lkwあたりの生産費用は新規参入者がつくる再生可能エネルギーの生産費用では実現で、

きないものとなっている。 FITのもと再生可能エネルギーを普及させるために、 20118 月「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(以下、再エネ 法)が成立した。再エネ法で、は、買い取り価格や期間は決められず、制度の大枠を示すも のにとどまった 具体的な価格や期間を決定したのが、 20123月から議論を開始した調 達価格等算定委員会である。委員会の決定した買い取り価格や期間のもと同年、 7月には FITが施行された。当初の木質バイオマス発電の買い取り価格は、間伐材等由来の木質バイ オマス(間伐材、林地残材等の未利用バイオマス)が 2,000kW以上で32円/kWh、一般木 質バイオマス(製材端材、輸入材、輸入パームヤシ殻等)が 24/kWh、建設資材廃棄物

(建築廃材、その他の木材等)が 13円/k\\司となっており、買い取り期間は一律で20年と 定められた。

FITでは、毎年、買い取り価格の見直しが行われており、各種エネルギーに関して、 2012 年と比較すると価格は低下を続けている。しかし、木質バイオマス発電では値段の変更は なく、 2015年度より間伐材等由来の木質バイオマス発電が 2,000k\\市未満の場合、 40/kWhでの買い取り価格が追加された。発電所によっては、いくつかのd性質の燃料を利用し ている施設もあることから、経済産業省が売電の認可を下す際に、一般木材、未利用材、

国産材、輸入材など木質燃料のそれぞれの由来を考慮して、価格が決定されているとしづ。

FITにおける木質バイオマス発電はいくつかの課題があげられている。第1に、買い取り 価格が規模別に設定されていなし、点である。 2015年度より一部には設けられたが、発電施 設の大規模化を想定したもので、はなかった。発電施設の大規模化による発電コストの削減 が進むと、買い取り価格と発電コストが事離していくため、その差額分の賦課金が上乗せ された電気料金を国民が支払うことになり、国民負担が増大するといわれている。第 2に、 資源調達が困難な FIT認定が増加している点である。本論でも上述したように、木質バイ オマス発電の FIT認定は加速度的に増加している。しかし、発電所の稼動率は他の発電施

(14)

設と比較しても低くなっており、その原因の一端として、資源調達が困難であることが考 えられよう。木質バイオマス発電の普及には、国内に豊富にある未利用木材の需要を担う

という期待もこめられていたが、カスケード利用13を損ね、安い民伐により森林環境を悪化 させることが懸念されている一面もある140

第 2節 木 質 バ イ オ マ ス 発 電 の 課 題

)木質バイオマス発電の現状

一般的なバイオマス発電の諸元には、資本費(建設費、接続費用、廃棄費用)、運転維持 費(人件費、修繕費、諸費、業務分担費、土地貸借量)、燃料費(燃料価格、燃料諸経費、

必要な燃料量)、租税(固定資産税、事業税)、その他(出力、設備利用率、所内率、法定 耐用年数、稼動年数、割引率)がある150発電コストは、その他の数値を加味し、資本費、

運転維持費、燃料費、租税の総費用を発電電量で除して求められる口これらの項目は、発 電規模によって大きく変化する特徴を持つ口三菱UFJリサーチ&コンサルティング[2016] によると「資本費や運転維持費は規模が大きくなるほどスケールメリットにより単価が低 減する。一方、燃料費については、規模が大きくなるほど発電効率が向上することで必要 燃料量が低減するが、集荷範囲が拡大することから、燃料単価が増加する可能性がある」

と指摘している16。また、農林水産省[2015]では、発電規模別の原価構成比を示している

(図24)。これによると 5700kwの発電所において燃料運搬費の構成比が大きく、ほかの 2つの発電所では、運転維持費の構成比が高いという特徴がみてとれる。また、大谷包014] では、発電規模5,000kWのバイオマス発電事業におけるコストの内訳について試算してお

り、それによると燃料価格を 10,000円/トン、耐用年数15年、設備利用率90%の場合、発 電に必要となるコストの約64%が燃料費用となっている170このことからも、木質バイオマ ス発電の事業採算性において安価で安定的な燃料資源の確保が必要となり、さらに、安定

13カスケード利用とは、資源を利用した際に、品質の下がった資源をその品質に応じ、繰 り返し利用すること。木材の場合は、建築部材や家具材の使用から構造用材、紙ノ《ルプ、

最後に木質バイオマスとして利用される。

14バイオマス産業社会ネットワーク[2016。]

15三菱UFJリサーチ&コンサルティング[2016、] 61ページ口

16三菱UFJリサーチ&コンサルティング[2016、] 59ページD

17大谷[2014、] 6ページ。

12 

(15)

的で持続的な仕組みとするためには、 地域に合った規模とすることが重要で、あることがわ iJ、るs

図24 木質バイオマス発屯 発電規模別原価構成比

(%〉

100  80  15 

.~6 16 

資 本 貨

60  迎l 中'l; ~:tE +寺 w

43 

36  ・ 燃 料J:Zi(加工等〉

40 

t~ 燃 料 貸 ( 運 搬 〉

20  11 

ぷ 斗 4ιt 幼!\*41'?(I息長(斗〉 lt

2,000kw  ガ ス 式 l,SOOkw lドijitf}}'~、 5,アOOkw fi

発千t.~

(出所j長林水産省 2015]、8ページ)

木質バイオマス発1・6所の安価な燃料調達は燃料供給コス トの低減により可能になる。木 質チップを燃料と仮定した燦の燃料供給コス トは、原料搬出コスト、原料運搬コスト、チ ップ加工コスト、チップ運搬コス トからなる。 1トンの木材をチップ工場でのチップ化のコ ストは、原料搬出コストが3,844円、原料運搬コストが2,761円、チップ加工コストが 1,812

円、 チップ運搬コストが2,793円で、あった (図25。)

(16)

図25 チップ化工場でのチップ化のコスト

2,793 円

25% 

16% 

3,823 円

34% 

25% 

原:roi1噴出コスト

原判遅i段コスト

・チップ加工コス卜

・チップ迩搬コスト

丸太+端材をフォワーダで搬出し、連材トラックでチップ工場まで運搬し、チップ化後、

発電所まで運搬した場合の平均値。

(出所:三菱UFJリサーチ&コンサノレティング 2016、] 73ページより筆者作成)

円本木質エネルギー協会が2013年度に実施した調査によれば、燃料供給コストは、丸太

のみが 10,426円、丸太と端材が 12,755円、丸太と端材と枝葉が 13,747円となっており、

向調査での民い取り価格が 9,400円パ、ンで、あったことを考慮すると、燃料供給者は赤字で

あったということになり、 日本における木質チップの製造コストは極めて向い。一方、欧 州での燃料チップ価格は、フィンランドが3,800円/トンで、ドイツが6,300円/トン程度と なっている日本における木質燃料がrf:jコストである要因として、第1が、機械の性能が 低いということ、第2が、現地でのチップ化が普及していないということがあげられる。

木材の搬出、木質チップの加工において使用される機械には、木材を荷台に積んで、運ぶ フォワーダ、木材を粉砕するチッパー機、破i1判幾などがある。欧州産のチッパー機には、

360 rrf /hの処理能力を持つものもあり、作業効率が而い。ただし、こうした高処理機能を 14 

(17)

持つ機械は高額なため、事業量を確保しなければ、投資額を回収することが困難になる可 能性がある。また、欧州|では、チップ化を現地で行うことで燃料チップの低コスト化を実 現している180ただし、欧州、|と日本における素材生産体制は能力や方法が異なっている。そ のため、日本での燃料チップ価格を低減するためには、こうした欧州の事例を参考にする

とともに素材生産体制を大きく変化させなければならない。

FIT導入以降、木質バイオマス発電所は 5,000kw規模の発電所の導入が進んでいる。調 達価格等算定委員会が、 5OOOkw級の事業計画をモデルプラントとしたことや研究機関が 実施した調査により、国内の森林資源をできるだけ多く活用し、事業採算性を成り立たせ ることが可能な最少規模が 5OOOkwであると結論づけたことが要因であろう。また、事業 計画の多くが発電燃料としての木質燃料を未利用材に位置づけている。これまで、主伐材 や間伐材を伐採する際に発生する林地残材や切捨間伐材の大半は利用されずに放置されて いた。今後増加する発電所向けの新たな需要に対して、放置されていた未利用材を利用す ることが考えられ、その利用は、林地残材などが引き起こす森林の荒廃を防ぐことにもつ ながると期待されている。これ以上の規模であれば、資源の必要量からリサイクル木材や 輸入チップを活用した発電事業でも実施可能であり、間伐材等の未利用木材を使用する必 要性が少なく、 5OOOkw以下の規模であれば事業採算性が厳しくなると指摘されているD

未利用木材の利用の際に、素材生産業者から廃棄物処理費を徴収することで利益が上がる 構造として未利用木材の利用を進める例もある。

三菱 UFJリサーチ&コンサルティング[2016]によると、未利用材の需要量は、 2015

2018年頃の集中的な発電所稼働に伴い、約 393万トン/年まで拡大する見通しとなって いる。また林野庁が 20165月に策定した「森林・林業基本計画」では、 2025年にお ける燃料用等のパルプ・チップ用材の利用目標を600万rrHこ設定している190含水率50%

を想定し、この値を 0.7t/ぱで換算すると 420万トンとなり、需要を賄う供給量があるこ とが想定されている。燃料用等のパルプ・チップ用材の利用は、 2015年が約210万トンで あり、 420万トンは2015年比の2倍に当たる量であるが、 2014年が約 135万トンと 1年 で約 75万トンの利用増があるように20、木質燃料の需要にあわせ、供給量も急速に増加し ている。

18三菱UFJリサーチ&コンサルティング[2016] 74ページ。

19農林水産省[2016、] 17ページ。

20農林水産省「木材需給表」。

(18)

しかし、こうした木質燃料の利川の噌加は、いくつかの懸念すべき事態が考えられてい る。第1が、 木質バイオマス発電所の使用燃料を海外の木質燃料に依存することにより安 定調達が不安定となることである。UFJリサーチ&コンサルティング[2016]では、 2015

2018年のFIT認定発電所の使用する木質燃料を経済産業特提供資料より示している。こ れによると、認定発電所の木質燃料のうち、未利用木材が 393万トン、圏内の一般木材が

221万トン、 愉入材(チップ、ベレッ ト)が 417万トン、 PKS21が334万トンとなってい る(岡26)。

図26 認定されたバイオマス発電所のj点料利用予定表

輸 入 材 レ ッ 31% 

︐ 

~

(山所: 三菱UFJリサーチ&コンサルティング[2016、] 7ページ)

認定発屯所の本質燃料のうち、圏内産バイオマスの割合は合わせて 45%となっており、

残りの55%は輸入バイオマスが利用される見込みとなっている。

輸入バイオマスはPKSとチップやペレットの輸入材がある。国内で利用されている PKS はインドネシア、マレーシアからの輸入が大半を占めており、それぞれの固から!愉入量は 増加傾向にある(図27)。

21  PKSパームヤシ殻

16 

(19)

127 PKSの国別輸入量推移(単位:トン)

180α 160α 140,000  120α 100,000 

80,000  60,0α3  40,000  20,000 

2010勾三 2011201220132014

(同所:滝沢2015、] 29ページ)

現地では、ヤシの実の稲の中身からパーム油を抽出しており、その|探に油にならない殻 の部分がPKSと呼ばれる。 PKSの輸入に関して、生産国であるインドネシア、マレーシア においても今後多数のバイオマス発屯が計画されており、日本に安定供給されるかどうか 疑問があるという指摘や22、アジアでのパームヤシ農場が熱帯雨林を伐採して拡大され、現 地では生物多様性問題や、地元民民が生所変更を余儀なくされるとしづ社会的問題も指摘

されている23。また、 PKSの輸入価格も上昇している。PKSlトン当たりの平均輸入側格は CIF側格で、 2012年が9200円、 201511三には13,200円となっている。こうした背放を考 慮すると、 PKSが持続的に円ノドに供給されることは難しいだろう。また、輸入による運送 の過程ではC02が排出されるが、木質バイオマス発電のC02排出盆には合まれない。CFP の考えが広がりを見せているなかで24、木質バイオマス発電が優位性を持つ環境性能が劣る 可能性がある。

次の関は、全凶木材チップ工業辿:合会の資料より国内外別に木材チップの価格の推移を 年別にまとめたものである(図 28)。この図から次の特徴が読み取れる。第14つの品

22バイオマス産業社会ネッ トワーク「バイオマス白書 2016J

23藤井良広 「木質バイオマス発電の f盲点J輸入パームヤシ殻依存で、環境社会リスク を無視」。

24 CFPとは、カーボンフットプリントとは商品の一生(原料制達から!廃棄リサイクノレ)

までに排山される C02hl:を商品に表示する仕組みのこと。

(20)

日において、全体的に価格は上昇傾向にある。第2に輸入材の価格は国産材と比較した際 に高く推移を続けている。第3に国産の木材チップは価格の変動が小さい。これらの特徴 から以下のことが推測できる。第1に木材チップの橋要が高まり、価格が上昇しているこ と。第2に輸入材と国産材で、は、 輸入材のほうが供給量の変動があること。また、木質バ イオマス発電所が多く建設され、木材チップの需要が噌している状況で、国産材の価格の 変動が少ないというは、圏内の一般木材の利用率がすでに 90%超えていることを考慮する と、圏内の木材チップが自社て場で利用され、市場に流れていないということが推測でき る。

図28

円/rn

26,000  24,000  22,000  20,000  18,000  16,000  14,000  12,000  10,000 

木材チップ年度別価格推移

2006  2007  2008  2009  2010  2011  2012  2013  2014  2015  針葉樹チツフ(輸入) 広葉樹チップ 輸入)

ー,.針葉樹チップ(国産) 広葉樹チッフ 国産)

(出所:全国木材チップ工業連合会 「木材チップ価格市況Jより筆者作成)

木質燃料の利用の噌加による懸念、として、第 2 が、木質燃料の価格が r•,',•j)]悲し、マテリア ノレ利用との競合が生じることである。木材需要の高まりは、木材価格によっては既存用途 に使用される木材が発屯所向け需要に流れ、マテリアル利用との競合が生じることが懸念 されている。次の図はパルプ糾が製造される|擦に使j甘される針葉樹丸太の価格推移を示し たものである(図29。)

1

(21)

29 針葉樹丸太の価格

円/m 6,000  5,500  5,000  4,500  4,000 

2007 2008 2009 2010  2011 2012  2013 2014 2015  2016

(出所出林水産省木材制Ii絡統計調査より筆者作成)

従来樹木を伐採した場合、幹の太いところを製材用丸太、合板用丸太、パノレプ原木とし

て順に利用し、小径丸太や梢端、枝葉、端材などは低質材として燃料利用してきた。しか し、木材需要の哨加による燃料価格の尚まりによってマテリアル利用を優先とするカスケ

ード利用の必然性が薄まり、すでに木質燃料とパルプ原木との|首lで価格の競合が発生して いる。熊崎は、その原因として、FITが定める未利用材の定義が明確でないことを指摘して いる。「未利用木材」の定義はFITにおいて 「森林における立木竹の伐採又は間伐に由来す る未利加の木質バイオマスj とされており、林野庁の『木質−バイオマス発屯・証明ガイド

ライン Q&A』では、「伐採されながら利用されずに林地に般位されている未利用間伐材や

主伐残材といったもの」と回答している25。一般に未利用材は製材

m

丸太や合板用丸太など

を伐り出した後に残る、小後丸太や梢端、枝葉、端材などの低質材 「林地残材jを指すと

されている。しかし、林地残材だけだと発,~u:燃料として集められる盆もそれほど大きくは

ならないため、現状では山から出てくる丸太や残糾ーのチップはすべて未利用木材扱いにな

25農林水産省[2012、] 8ページ。

(22)

りつつあるとしている260

カスケード利用を達成するためには、燃料の「副産物」利用が望ましい。燃料資源は主 に間伐材や林地残材などの未利用材と製材過程で発生した一般木材があり、FITにおける発 電の買取価格はそれぞれの材料の由来によって変動する。また、それぞれの木材における 含水率は発電効率を左右し、その規模を変動させるため、燃料の含水率も考慮しなければ ならない。さらに、発電規模に応じた燃料をどのように安定的に確保するかも木質バイオ マス発電の事業にとって重要である。未利用材は、伐採後乾燥されていないため、含水率 が高いといわれている270対して一般木材は、木材を乾燥して使用する製材過程によって生 じるため、含水率を低く保つことができる。燃料の含水率では、一般木材のバイオマス発 電利用が優れているといえる。発電規模を安定させるためには、含水率を考慮、して燃料の 買い取り価格を決定する必要がある。木質バイオマス発電における燃料はおもに木質チッ プであるが、含水率50%の木質チップでは、 5,000kWの発電所では年間8万トン以上の燃 料が必要となる。一方、乾燥された含水率 30%の燃料であれば、年間6万トン未満の燃料 で足りる280また、一般木材は製造コストも未利用木材より安い。未利用木材は木材の搬出、

加工、チップの加工、運送に費用がかかるが、一般木材では、木材の搬出、加工への費用 が発生しない。このように、発電燃料としては、製造業の副産物として生まれる一般木材 の利用が好ましい。ただし、一般木材の利用率は国内で90%を超えており29、新たな燃料需 要に対して、十分な供給は難しいと考えられるD さらに、発電所の立地場所の近隣に製材 業者が存在しなければならないといった問題がある。

木質チップ同様に、代表的な木質燃料として木質ペレットがある。木質ペレットの含水 率は 10%程度となっており、木質チップよりもエネルギー密度が高く、燃料利用した際の 熱量が大きいため、効率的な発電が可能とされている。しかし、木質ベレットは木質チッ プと比較した際に、製造コストが高く 2倍近い価格となる。このため発電燃料としては適 していなし\0 運搬、貯蔵が容易という性質があることから木質ストーブや、施設暖房、給 湯、温水プール、温泉加温、農業施設ハウスなどのボイラー利用に適している。木質ベレ ットの生産量は、年々増加している。ただし、樹皮やプレナー屑を木材乾燥施設の燃料と して利用する製材業者が増え、木質ペレットの原料調達が困難になっている。

26熊崎[2015、] 2122ページ。

21 YI自[2014、] 86ページ。

28柳田[2016、] 24ページ0

29農林水産省HP「木質バイオマスとは」。

20 

(23)

バイオマス発電の木質燃料の持つエネルギーを電力に変換する変換効率は 25%、これに 対して石炭火力は 40%の変換効率といわれている。このように木質燃料は化石燃料と比較 すると発電効率で、は劣ってしまうが、熱の生産では比較的安いコストで良質な熱が生産で きるとされているD 木質バイオマス発電の燃料調達が難しい現状において、燃料の持つエ ネルギーを最大限に活かす必要がある。木質バイオマス発電では、熱主導の熱電供給 (Combined Heat &Power :以下、 CHP)がエネルギーの高効率利用を可能にすると注目 されている口発電施設の多くは、タービンを回すために蒸気を発生させており、その際に 排熱を行っている口この排熱の利用によって総合的なエネルギー効率の向上が可能となる。

ただし、排熱供給は特性として、熱電併給プラントは熱需要の近くに立地する必要があり、

大規模集中型の電源であれば、大規模な熱需要が近隣にないと成立しないため適さない。

また、熊崎[2015]によれば、 CHP方式を次の3つに大別で、きるとしている。第1が、電 気出力2,000kw程度の蒸気タービンによる発電方法である。この規模のプラントであれば、

通常の蒸気タービンによる熱電併給が可能である。ただ発生する排熱の量も相当に大きい から、まとまった熱需要があることが必須の条件となる。第 2がオーガニック・ランキン・

サイクル(ORC)システム30である。数百kwから 1,500kw規模の範囲内で利用され、発 電効率は 20%に届かないが、運転コストが比較的安く、安定した熱需要があれば、一定の 収益性は確保される。第3が、小型ガス化発電のシステムである。数百kw以下の規模で、

木質チップや木質ペレットをガス化してガスエンジンで発電する。小型ながら発電効率は 2530%と比較的高く、熱を含めた総合効率は 6080%に達する。このうち、蒸気タービ ンと ORCでは大型のボイラーが使われているため、さまざまなタイフ。のバイオマス資源を 燃やすことができる。これに対して小型ガス化発電のシステムでは、含水率の低い良質の

チップ、や木質ベレットが必要となる310

近年、欧州、|では、小型CHPの新設が多く見られている。特に発電の効率化を進めている ドイツでは、地域熱供給などによる街づくりを進めている。和田[2013]によると、 2011 年の再生可能エネルギー2946kwhのうち、電力が 41.1%、熱が 45.0%、燃料が 11.6% の割合になっており、熱としての利用量が最大である。また、熱利用全体に占める再生可

30発電所などが使っている蒸気サイクル(ランキンサイクルシステム)の作動媒体を、一 般的な水から、それぞれのシステムの最適な物性を持つ媒体(低沸点媒体、フロンガスが 以前はよく使われていた)に交換し、水では沸騰させられない小温度差エネルギーで、も蒸 気を発生させて、タービンを回すもの。

31熊崎[2015、] 1920ページ。

図 2 ・ 5 チップ化工場でのチップ化のコスト 2,793 円 25%  16%  3,823 円34%  25%  ・ 原 : r o i ‑ 1 噴出コスト・原判遅i段コスト ・チップ加工コス卜・チップ迩搬コスト 1  )  丸太+端材をフォワーダで搬出し、連材トラックでチップ工場まで運搬し、チップ化後、 発電所まで運搬した場合の平均値。 (出所 : 三菱 U FJリサーチ&コンサノレティング [ 2016 、 ] 73 ページより筆者作成) 円本木質エネルギー協会が 2013 年度に実施した調査によ
図 2 ・ 9 針葉樹丸太の価格 円/ m 6,000  5,500  5,000  4,500  4,000  2007  2008  2009  2010  2011  2012  2013  2014  2015  2016 年 (出所出林水産省木材制 I i 絡統計調査より筆者作成) 従来樹木を伐採した場合、幹の太いところを製材用丸太、合板用丸太、パノレプ原木とし て順に利用 し、小径丸太や梢端、枝葉、端材などは低質材として燃料利用してきた。しか し、木材需要の哨加による燃料価格の 尚まりによってマ
図 2 ‑ 12 集成制 の供給盆の推移 ( hm' )  300  250  200  150  100  50  。 1999 2000 20012002 2003 20042005 2006 2007 2008 2009 201020 1 12012 2013 2014 ( 年) ・ 回定符 ・ 国 皮 { , j ;
図 3 ・ 2 点 : 庭市の人口推移 { 人 6 0 0 0 0  5 8 0 0 0  5 6 0 0 0  5 4 0 0 0  5 2 0 0 0  5 0 0 0 0  4 8 0 0 0  4 6 0 0 0  1 9 9 0  1 9 9 5  2 0 0 0  2 0 0 5  2 0 1 0  2 0 1 5  ( 年) ( 出所 :総務省 『国勢調査』より筆−者作成) こうした豊富な木質資源、や産業が根付いているのには歴史的な背景がある。真庭市近域は、 古代から 中世にかけては豊富な木材
+3

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