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ドキュメント内 −岡山県真庭市を事例として− (ページ 34-56)

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(出所 :総務省 『国勢制査』より筆者作成)

岡山県、 真庭市両者の全産業、林業、木材・木製品製造業の事業所数、従業員数を比較 すると、 ti庭市において林業、 木材 ・ 木製1f~1製造業は他地域よりもそれぞれの比率が高い ことがわかる。以下の表3・2は、林業、木材・木製品製造業における事業所数および従業員 数の全体に占める割合を表したものである(表3・2)。

表 3・2 林業、木材・木製品製造ー業における事業所数、 従業員数比率

林 業 木 材 ・ 木 製 品 製 造 業

岡 山 県 真 庭 市 岡 山県 真 庭 市 事 業 所 数 0 . 1 %  0 . 6%  0 . 2 6 %  1.5% 

従 業 員 数 0 . 1 %  0 . 84 %  0 . 3%  3 . 3 6 % 

(出所: 総務省 『経済センサス』より筆者作成)

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以上のように、真庭市の経済活動においては林業、製材業が相対的に大きな比重を占める 一方で、多様な気候風土や歴史ある街並みを活かした農業や観光業も盛んである。農業に 関しては、市内北部の蒜山高原で国内最大の頭数、約 2,000頭のジャージー牛が飼育され ており、さまざまな乳製品や関連製品の製造、販売が行われている口また、真庭市中部に 位置する勝山では、勝山町街並み保存地区を形成し、一体感のある景観を保存している。

勝山では毎年10月中旬にだんじり同士をぶつけ合う「勝山喧嘩だんじり」が行われ、市内 外から多くの人々が毎年訪れるイベントとなっている。

中国地方に位置する真庭市の交通網としては、中国山地の山聞を通るローカル線の JR姫 新線が通っているほか、中国自動車道、米子自動車道、岡山自動車道と 3つの高速道路、

5つのインターチェンジが整備されている。そのため、大阪や広島といった都市圏へのア クセスに優れている。こうした優良なアクセス条件により、 2010年に行われた国勢調査に よる昼夜間人口比率では98.4%と100%を下回っており、地元住民にはストロー現象により、

市内産業の流出を懸念する声も多い。

こうした産業の衰退の危倶から、現在の銘建工業代表の中島浩一郎氏が中心となって 1993年、地域のさまざまな業種の若手経営者が集まる「21世紀の真庭塾(以下、真庭塾)」

としづ組織が立ち上げられた。本組織は「町並み景観保存」と「循環型地域社会の創造」

という 2つの主要テーマを持ち、このテーマを実現するために他地域からさまざまな専門 家を呼び、意見交換などを行う勉強会を定期的に開催した。 1997年には「環境まちづくリ シンポジウム」を開催し、「町並み景観保存」をテーマにした「街並み再生部会」と「循環 型地域社会の創造」をテーマにした「ゼロミッション部会Jが結成された。以後、これら のテーマに沿った活動を続け、 2002年にはNPO法人格を取得している。

真庭塾の活動としては、まず1つめのテーマで、ある「町並み景観保存」に関連して、 1985 年に「町並み保存地区」に指定されていた勝山地域の景観の整備を行っている口勝山地域 は、兵庫県姫路市を始点として、島根県松江市に至る古くから使用されてきた出雲街道の 要衝として繁栄していた地域である。そのため、土蔵や白壁、格子窓といった古い町並み が残されていた。こうした街並みの保存に努めるとともに、「勝山だんじり祭り」といった 伝統的なお祭りや19世紀から続く勝山竹細工といった伝統産業の担い手や資源を活かした 着地型観光の担い手の育成を行っている。ほかにも、町おこしの一環として、飲食店の誘 致や家々が軒先にそれぞれ雛人形を飾るひなまつりの企画、商業施設それぞれのイメージ

にあった暖簾の作成といったイベントを行っている。

2つ目のテーマとした「循環型地域社会の創造」では、真庭としづ地域で盛んな木材産 業の副産物として年間約 7万8000トン生産される廃材を資源に転換することが目指され た。さらに、真庭塾では、廃材を資源に転換することを最終の目標とせず、それが産業と

して成立することを目指した。この目標のもとで、銘建工業は 1998年に毎時l,950kwhの 発電規模のバイオマス発電所を自社工場内に建設した。発電所の燃料は、自社の製材過程 で生産されたおが屑やチップのほかに域内の製材業者や木材業者が持ち込むものを燃料と した。銘建工業の自社での発電は 1984年から行われていたが、当初は、夜間に木材の乾燥 室で使用する電力分を自家発電で賄うというもので、あった。それと比較して 1998年に建設 した発電所では規模も大きくなり、昼間に3,000kwh消費する自社工場の電力の一部を賄う ことが可能となった。また、夜間には生産した電力を中部電力に販売している。

真庭塾で掲げられた「循環型地域社会の創造」という目標は、真庭の多量の廃材を豊富 な資源と捕らえることでこれ以外にもバイオマス事業として多くの成果を挙げていく。そ の1つが、真庭塾に所属する経営者が中心となってさまざまな製品の生産、研究が行われ ていることである。まず、銘建工業が生産、販売している木質ペレットは発電燃料やスト ーブの燃料として利用されている。通常、木質ベレットの生産では、まず未利用材を確保 し、それを破砕、選別し均質化した後、含水率を下げるために乾燥処理をし、ペレットに 加工して、製品として出荷するという工程をたどる。しかし、銘建工業は、乾燥処理を終 えた段階のプレーナー屑が自社工場での集成材の生産過程において副産物として入手でき るため、ペレットに加工するだけの処理で済み、他社よりも安価なベレットの生産が可能 となっている。集成材メーカーの強みを活かした事業といえる。この他にも、真庭塾に所 属する経営者が出資してできた「真庭バイオマテリアル有限会社」からも製品が販売され ている。それは、木片を混ぜたて形成される木質コンクリートである口木質コンクリート は、強酸性土壌斜面の植生を可能にすることで、高速道路の斜面緑化に利用されているD

さらに、真庭市内に工場を有する事業者が製品化したバイオマス商品のなかに一般家庭向 けに多く普及したものもある。それは、ペット用品の「ネコ砂」というもので、生産者は ヒノキの消臭効果に着目し、ヒノキのおが屑から「ネコ砂Jを技術開発、製品化した。

銘建工業の木質ペレットの例を見るとわかるように製品を安価に生産するためには、木 材の製材の副産物を利用することが不可欠である。したがって、これらのバイオマス製品 の生産、販売やバイオマス事業全体を持続的に維持、進展させるためには、域内での木質 資源の円滑な循環が必要となる。そこで、真庭塾では、域内で木質資源が循環する仕組み

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を築くために、行政との連携を強め、その結果、 2000年に「木質資源活用産業クラスター 構想」が策定されたc 市から発表されたこの構想では、「真庭地域から発生する木質系廃棄 物を活用して、広域的な産業連携を図る仕組みを構築し、地域内に新産業を創出する」と いうスローガンの下、木質資源の循環の構図を川上から川下へ具体的に提示した。この構 想は、真庭塾が掲げていたバイオマス資源による「循環型地域社会の創造」を地域内での 合意とする効果をもたらした。

真庭市が9つの町村と合併した 2005年には、 NEDOが実施するバイオエタノール実証 実験の場所に岡市が選出された41aNEDOが実施するこの事業は、バイオマスエネルギー の導入促進を図るために地域毎の特性に適合したトータルシステムの実験事業を実施する もので、真庭地域における実験は「真庭市木質バイオマス活用地域エネルギー循環システ ム化実験事業Jと呼ばれ、 5年間という期間のもとで実証実験が行われた。実験は、森林 の荒廃につながるとされる山林の切り捨て間伐材や風倒木及び伐採された木材や林地残材 は未活用であった。また、製材業の副産物として生まれる樹皮は産業廃棄物として有償で 処理されていた。さらに、ペレットは含水率が低いものの、焼設備を含むコスト面等の問 題から、利用先の拡大が進まず、その優位性が活かされていなかった。技術的・システム 的な問題から、製材所では、依然として化石燃料が多く使用されていた。こうした背景の 下、収集運搬システムおよび、エネルギ一転換システムの構築が図られたD 具体的な方針と して示されたのが以下の方法である。収集運搬システムに関して、第1に山林から、切捨 て間伐材や林地残材をチップ化し低コストで搬出する。第2に従来、自社内燃料としてい たプレーナ屑を低コストでペレット化するため、樹皮を発電用ボイラの燃料として地域内 で使用する。第3に、地域内の製造業、商業施設、農業施設等で木質バイオマス資源を燃 料として利用するために、地元石油販売店等と連携し効率よく運搬及び廃回収を行う。次 にエネルギ一転換システムに関して、第1に木質ノミイオマスのみによるおが屑乾燥用ボイ ラの自動運転化を図り、夜間使用の重油焚乾燥用ボイラの稼動を中止し、重油消費の削減 を行う。第2に商業施設にバイオマス温水ボイラと熱交換機を組み合わせた冷暖房対応型 システムを導入し、木質バイオマス資源の活用先の拡大を図る口第3に製造事業所にバイ オマス蒸気ボイラを導入し、重油消費量の削減を行う。第4に農業施設にバイオマス温水・

41新エネルギーおよび、省エネルギー技術などの開発をおこなう経済産業省所管独立行政法 人。[エネルギー・環境問題の解決」および「産業技術力の強化」をミッションとし、圏内 外において実証実験事業を行っている。

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