研究題目
「知的障害児・者の地域における余暇活動と QOLに関する研究」
− 知的障害児・者サッカーの活動に焦点を当てて −
研究科
弘前大学大学院教育学研究科 専攻 学校教育専攻
専修 学校教育専修 分野
障害児教育分野 学籍番号 08GP107
氏名 木 村 讓
修士論文研究テーマ
「知的障害児・者の地域における余暇活動とQOLに関する研究」
ー知的障害児・者サッカーの活動に焦点をあててー
KEY WORDS
知的障害児・者,余暇,障害者スポーツ,QOL,アンケート調査
要 旨
障害者に限らず余暇活動やスポーツ・レクリエーション活動は豊かな生活を送るために重要であ る。これまで知的障害児・者の余暇の実態調査や余暇教育に関する研究が行われてきた。しかし,
余暇活動やスポーツ・レクリエーション活動をしていく中で知的障害児・者の生活にどのような効 果が見られるのか検証した研究は少ない。本研究では,青森県をはじめとした東北地域の知的障害 児・者のサッカーチームならびに福祉施設に所属する知的障害児・者の余暇活動とQOLの実態を 記述するために,末光らが作成した「日本版 QOL 質問紙簡易調査用紙」をもとにアンケート調査を 実施し,年齢,活動期間,地域間におけるQOLの比較,分析を行った。
その結果,QOLの下位領域である仕事活動,自立自由で「7~12歳」と「19歳以上」の年 齢間に有意な得点差が見られたのに対し,QOL得点や他の年齢間の得点に差は示されなかった。
居住地域とQOL得点について有意な差が示されず,居住地域によってQOL得点は影響を受ける とする古荘(2009)の報告と異なった。年齢とQOL得点でも,年齢に伴うQOL得点の低下が見ら れず,QOLは年齢の影響を受けるとする福田(2001)の報告と異なるが,新開ら(2006)のQOLに 生活年齢による差が見られなかったとする報告と同様の結果が得られた。
活動地域によるQOL得点の差が見られなかったこと,知的障害児・者のQOL得点の低下抑制 に仕事活動,自立自由領域が影響することから活動場所や活動プログラムの重要性が考えられた。
障害児教育分野2年 08GP107 木村 讓
〈目次〉
序 章 問題と目的
第
1
節 問題の所在と研究の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1第2章 研究の方法
第1節 調査対象 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
第2節 調査手続き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
第3節 調査内容 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第3章 結果
第1節 調査対象者の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
(1) 調査対象者の属性と実態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 1) 対象者の所属
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 2) 所属と対象者の男女の割合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4 3) 対象者の所属と各年齢区分の割合 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 4) 居住形態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 5)居住地域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5 6)記入者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 7)代筆者 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6 8) 回答形態 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 9)休日状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7
10
)活動期間 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 811
)活動のきっかけ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8 第2節 QOLと下位領域 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9(1) 満足度領域について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
(2) 仕事活動領域について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12
(3) 社会参加領域について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 14
(4) 自立自由領域について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16 第3節 知的障害児・者の生活の質(QOL)との関係 ・・・・・・・・・・・・ 19
(1)知的障害児・者の所属とQOL得点
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
1)知的障害児・者のQOL得点と下位領域得点の相関 ・・・・・・・・・ 19
2)サッカークラブに所属する知的障害児・者のQOL得点と
下位領域得点の相関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
3)福祉施設に所属する知的障害児・者のQOL得点と
下位領域得点の相関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
4)所属とQOL得点と下位領域得点について ・・・・・・・・・・・・・ 20
a
)所属によるQOL得点と下位領域得点(t検定)b
)青森県内における所属とQOL得点と下位領域得点(t検定)(2)知的障害児・者の年齢とQOL得点
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
1)7~
12
歳でのQOL得点と下位領域間の相関・・・・・・・・・・・・ 22
2)
13
~15
歳でのQOL得点と下位領域間の相関・・・・・・・・・・・・ 22
3)
16
~18
歳でのQOL得点と下位領域間の相関・・・・・・・・・・・・ 23
4)
19
歳以上でのQOL得点と下位領域間の相関・・・・・・・・・・・・ 24
5)年齢とQOL得点と下位領域間の分散分析
・・・・・・・・・・・・・ 25
(3)知的障害児・者の居住地域とQOL得点 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
1)青森県内の知的障害児・者におけるQOL得点と下位領域間の相関
・・ 27
2)東北地区のサッカークラブに所属する知的障害児・者における
QOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
3)関東地区のサッカークラブに所属する知的障害児・者における
QOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28
4)居住地域間でのQOL得点と下位領域得点の分散分析 ・・・・・・・・ 28
(4)回答状況とQOL得点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
1)回答状況とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 29
a
)自己回答とQOL
得点と下位領域間の相関b
)代筆回答とQOL
得点と下位領域間の相関c
)回答状況とQOL得点と下位領域間の相関(t検定)2)代筆回答とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 30
a
)確認回答とQOL
得点と下位領域間の相関b
)推測回答とQOL
得点と下位領域間の相関(5)活動期間とQOL得点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
1)半年以内とQOL得点と下位領域間の相関
・・・・・・・・・・・・・ 31
2)
1
年以内とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 323)
3
年以内とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 324)
5
年以内とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 325)
5
年以上とQOL得点と下位領域間の相関 ・・・・・・・・・・・・・ 326)活動期間とQOL得点と下位領域間の分散分析 ・・・・・・・・・・・ 33
第4章 考察
(1)余暇と活動状況について
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(2)活動に参加するきっかけについて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(3)知的障害児・者の所属とQOLについて ・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(4)年齢とQOL得点と下位領域得点について ・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(5)居住地とQOL得点について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35
(6)調査の記入状況とQOL得点について ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
(7)活動期間とQOL得点と下位領域得点について ・・・・・・・・・・・・・ 36
終章 まとめ
(1)総合的考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
(2)研究の意義 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
(3)今後の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37
文献
38 謝辞
40 資料
資料
1-1,2
予備調査①②(フェイスシート) ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41資料
1
−3
予備調査①質問項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43資料
2
予備調査②質問項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45資料
3
予備調査③ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46資料
4
−1
本調査(フェイスシート) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 47資料
4
−2
本調査質問項目 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48資料
5
予備調査結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50資料
6
−1
分散分析(年齢とQOL得点・下位領域の得点) ・・・・・・・・・・ 52資料
6
−2
分散分析(居住地とQOL得点・下位領域の得点) ・・・・・・・・・ 52資料
6
−3
多重比較(年齢とQOL得点・下位領域の得点) ・・・・・・・・・・ 53資料
6
−4
多重比較(居住地とQOL得点・下位領域の得点) ・・・・・・・・・ 54資料
7
−1
多変量解析1
(サッカークラブに所属する知的障害児・者のQOL) ・ 55活動期間
/
年齢区分/
QOL得点資料
7
−2 多変量解析2
(サッカークラブに所属する知的障害児・者のQOL) ・ 56年齢区分
/
居住地域/
QOL得点資料
7
−3 多変量解析3
(サッカークラブに所属する知的障害児・者のQOL) ・ 57年齢区分
/
自己回答・他者回答/
QOL得点資料
8
下位尺度の内的整合性について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 58資料
9-1
分散分析1(サッカークラブに所属する知的障害児・者の年齢とQOL得点)
・・ 60
資料
9-2
分散分析2
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61資料
9-3
分散分析3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62資料
9-4
多重比較(サッカークラブに所属する知的障害児・者の年齢とQOL得点) ・・ 63
資料
10-1
分散分析(サッカークラブに所属する知的障害児・者の活動期間とQOL得点) ・ 64
資料
10-2
多重比較(サッカークラブに所属する知的障害児・者の活動期間とQOL得点) ・ 65
序
章 問題と目的
第 1 節 問 題 の 所 在 と 研 究 の 目 的
知 的 障 害 児・者 と そ の 家 族 は ,楽 し く 健 康 的 な 生 活 を 求 め ,よ り 充 実 し た 生 活 を 望 ん で い る 。 2002 年 4 月 に ス タ ー ト し た 学 校 完 全 週 休 5 日 制 以 降 ,障 害 児 の 放 課 後 や 休 日 ,長 期 休 業 中 の 余 暇 の 過 ご し 方 , Quality of Life( 以 下 , Q O L と 略 す ) の 向 上 が 本 人 , 保 護 者 に と っ て 大 き な 課 題 で あ る 。 放 課 後 や 休 日 , 長 期 休 業 中 の 障 害 児 と そ の 家 族 へ の 余 暇 支 援 は 十 分 で は な く
12)13)29), 休 日 の 過 ご し 方 や 卒 業 後 の 生 活 に 関 心 が も た れ , 実 態 を 知 る た め 様 々 な 報 告 ・ 調 査 が
進 め ら れ て き た 2)5)7)10)15)19)23)27)32)33)34)。 知 的 障 害 児 ・ 者 の 多 く が 余 暇 を テ レ ビ や ビ デ オ を 見 て 過 ご す こ と ,あ る い は 何 も し て い な い こ と が 多 い こ と ,ま た ,そ の 余 暇 の 時 間 を 一 人 で 過 ご す か 家 族 と 過 ご し て い る こ と , 社 会 体 験 の 少 な い こ と や 情 報 不 足 が 指 摘 さ れ て い る 9)29)。 知 的 障 害 児 ・ 者 の 健 康 面 で は , 体 重 増 加 や 肥 満 の 増 大 が あ げ ら れ ,学 校 を 卒 業 し た 後 の 食 生 活 ( 間 食 の 習 慣 化 )と と も に 家 庭 に お け る 運 動 や ス ポ ー ツ をす る 習 慣 が 存 在 し な い こ と が 指 摘 さ れ て い る ( 高 畑 ・ 武 藏 , 1997: 242-244)。
知 的 障 害 のある人 が余 暇 を利 用 し文 化 ,レクリエー ション,スポー ツなどに参 加 することは,
自 ら の 生 活 を 豊 か に す る こ と は も ち ろ ん ,社 会 参 加 を 促 進 し 一 般 社 会 の 理 解 を 深め る こ と に も つ な が る (小 林 : 2003)。 知 的 障 害 児 ・者 が レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 や ス ポ ー ツ を す る こ と に よ っ て ,自 信 や 意 欲 を 持 つ と と も に ,モ チ ベ ー シ ョ ン を 高 め ,結 果 と し て 生 活 に も 良 い 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る ( 小 山 ,2007)。 Schalock,R.L.(2002)は , レ ク リ エ ー シ ョ ン ・ 余 暇 活 動 は Q O L の 構 成 領 域 で あ り ,測 定 基 準 と し て 適 切 な 基 準 と し て し ば し ば み な す こ と が で き ると し て い る 。Q O L は 保 健 医 療 分 野 で 研 究 が 進 め ら れ て き た が ,最 近 は 介 護 や 高 齢 者 の 健 康 な ど 保 健 の 現 場 に お い て も Q O L 研 究 が 行 わ れ て き た 1)3)25)26)30)31)。
知 的 障 害 児 ・者 の 余 暇 と Q O L に お け る 研 究 で は ,新 開 ら(2006)が ,「 W H O
Q O L -2 6 」
の 内 容 を も と に 質 問 紙 を 作 成 し ,肢 体 不 自 由 と 知 的 障 害 を 併 せ 持 つ 重 度 の 学 齢 障 害 児 の Q O L を 評 価 し た 。知 的 障 害 の 軽 度 の 群 と 重 度 の 群 で は ,Q O L 得 点 に 差 が 認 め ら れ た が 肢 体 不 自 由 の 程 度 に よ る 差 は 認 め ら れ な か っ た こ と ,コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の 能 力 の 違 い が Q O L 評 価 に 影 響 を 与 え る こ と を 報 告 し て い る 。南 條 ら (2004) は ,末 光 ら (2000)が 作 成 し た 質 問 紙 を 用 い て ,知 的 障 害 児 ・者 の Q O L の 向 上 に , ス ポ ー ツ ・レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 が ポ ジ テ ィ ブ に 影 響 を 及 ぼ し て い る こ と ,知 的 障 害 児 ・者 の Q O L は ,性 差 に よ る 違 い が な い こ と,居 住 形 態 が 知 的 障 害 児 ・者 の Q O L に 影 響 を 及 ぼ す こ と を 報 告 し て い る 。 同 じ く 古 荘 (2009)は , 子 ど も 版 Q O L 尺 度 (Kid-KINDL)を 開 発 し 調 査 を 行 っ た 結 果 ,居 住 す る 環 境 に よ っ て Q O L 得 点 が 変 化 す る と 報 告 し て い る 。末 光 ら (2000)の 作 成 し た 質 問 紙 を 用 い た 金 子 ら (2007)は ,知 的 障 害( 児 )者 の ス ポ ー ツ・レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 の 活 動 群 と 非 活 動 群 に お い て , 活 動 群 の Q O L に高 い 有 意 差 が 認 め ら れ た と し て い る 。
余 暇 と し て ス ポ ー ツ ・ レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 が 注 目 さ れ る6)18)背 景 に は , 興 味 を 広 げ さ せ , 職 業 選 択 の 際 に 役 立 つ ( Robert L.S.,2002) だ け で は な く , 健 康 維 持 増 進 や 体 力 の 向 上 , 活 動 す る こ と で 得 ら れ る 満 足 感 や ス ポ ー ツ を 通 し た 交 流 , 社 会 経 験 の 拡 大 , 自 立 な ど を 図 る 8)17)こ と に よ っ て ,Q O L の 向 上 が 期 待 で き る と 考 え る か ら で は な い だ ろ う か 。し か し ,こ れ ま で の 研 究 に お い て ,知 的 障 害 児・者 ス ポ ー ツ ク ラ ブ を 対 象 と し て ,活 動 と Q O L に 関 す る 報 告 は 見 ら れ な い 。
本 研 究 で は ,Q O L を「 生 活 の 質 」と 解 釈 し て ,知 的 障 害 児・者 の ス ポ ー ツ・レ ク リ エ ー シ
ョ ン 活 動 と Q O L に 焦 点 を 当 て ,筆 者 が 定 期 的 に 活 動 を 行 っ て い る 青 森 県 H 市 C ク ラ ブ と 東 北 地 域 で 年 間 を 通 し て 活 動 し て い る 全 て の 知 的 障 害 者 サ ッ カ ー 団 体 ,比 較 対 象 と し て 青 森 県 H 市 周 辺 の 福 祉 施 設 と 関 東 地 区 で サ ッ カ ー ク ラ ブ に 所 属 し て い る 知 的 障 害 児・者 を 対 象 と し て Q O L の 実 態 調 査 を 行 っ た 。本 調 査 で 使 用 す る 質 問 項 目 選 定 の た め に ,新 開 ら( 2005)の 作 成 し た Q O L 質 問 項 目 と 江 草 ( 1998) の Q O L 質 問 項 目 を も と に 質 問 紙 調 査 を 行 っ た 。
本 研 究 の 目 的 は ,江 草 (1998),南 條 ら(2004)の 研 究 で 使 用 さ れ た「 日 本 版 Q O L 質 問 紙 簡 易 調 査 用 紙 」を 参 考 に ,知 的 障 害 児・者 自 身 が 記 入 で き る よ う に 著 者 が 作 成 し た 調 査 紙 を 用 い て , 地 域 に お け る 余 暇 の 状 況 を 把 握 し 余 暇 支 援 の あ り 方 を 考 え る 。余 暇 は Q O L の 構 成 要 素 で あ る
20)21)22)こ と か ら ,余 暇 と し て ス ポ ー ツ・レ ク リ エ ー シ ョ ン 活 動 を 考 え ,Q O L 調 査 か ら 活 動 に 参
加 し て い る 知 的 障 害 児・者 の 年 齢 ,活 動 期 間 ,居 住 地 域 が Q O L に お よ ぼ す 影 響 を 分 析 す る こ と を 目 的 と す る 。
第2章 研究の方法
第 1 節 調 査 対 象
本 研 究 の 対 象 者 は ,青 森 県 H 市 を 中 心 と し て 活 動 し て い る 知 的 障 害 児・者 の た め の サ ッ カ
ー ク ラ ブ( C ク ラ ブ )の 会 員 と 保 護 者 ,H 市 周 辺 の 東 北 地 域 で 活 動 し て い る サ ッ カ ー ク ラ ブの 会 員 と 保 護 者 , 福 祉 施 設 を 利 用 す る 知 的 障 害 児 ・ 者 と 保 護 者で あ る 。
対 象 と し た サ ッ カ ー ク ラ ブ は ,2008 年 東 北 障 害 者 サ ッ カ ー 交 流 大 会 に 参 加 し たク ラ ブ( 青
森 県 ,宮 城 県 ,福 島 県 )会 員 と 保 護 者 で あ り ,ま た ,そ れ ぞ れ の ク ラ ブ の 代 表 者 と は 障 害 者
サ ッ カ ー に 関 し て 情 報 交 換 を 行 っ て い る 。
H 市 周 辺 の 福 祉 施 設 は , 利 用 者 と 保 護 者 を 対 象 と し 2009 年 4 月 に 代 表 者 を 通 じ て 調 査 の
依 頼 し 5 月 に ア ン ケ ー ト 用 紙 を 配 付 し た 。 こ の 地 域 の 特 別 支 援 学 校 卒 業 後 の 進 路 先 で あ り ,
C ク ラ ブ の メ ン バ ー が 利 用 す る 施 設 も 含 ま れ る 。
調 査 対 象 者 の 属 性 に つ い て は 第 3 章 調 査 対 象 者 の 概 要 に 記 す 。
第 2 節 調 査 手 続 き
・ 調 査 期 間
2009 年 4 月 に 調 査 協 力 の 依 頼 を し , 2009 年 5 月 に 調 査 を 実 施 し た 。 調 査 用 紙 は 青 森 県
H 市 周 辺 の 福 祉 施 設 お よ び C ク ラ ブ に は 持 参 し 東 北・東 京 の 各 ク ラ ブ 代 表 者 に 宅 急 便 で 発
送 し た 。 調 査 用 紙 は 2009 年 6 月 に 宅 急 便 を 利 用 し 回 収 し た 。
回 収 率 (145/155)93.5%で あ っ た 。
・ 質 問 紙 調 査
本 調 査 で使 用 する質 問 項 目 選 定 のため,2008 年 4 月 から 5 月 にかけて予 備 調 査 を行 った。
予 備 調 査 は ,先 行 研 究 を 参 考 に 2 種 類 の 質 問 調 査 項 目 を 用 い C ク ラ ブ の 会 員 を 対 象 と し
質 問 紙 調 査 を 行 っ た 。
本 調 査 は , 予 備 調 査 の 結 果 を 参 考 に 江 草 (1998)の 質 問 調 査 項 目 か ら 30 項 目 を 用 い , 知
的 障 害 児・者 自 身 が 記 入 し や す い よ う に質 問 項 目 に ル ビ を ふ り フ ォ ン ト を 大 き く す る な ど
加 筆 修 正 し 用 い た 。
分 析 に は 統 計 解 析 ソ フ ト PASW Statistics
17.0 を 使 用 し た 。
3
第 3 節調 査 内 容
本 調 査 の 質 問 紙 を 資 料 4 に 示 す 。質 問 紙 は フ ェ イ ス シ ー ト と Q O L 調 査 項 目 か ら 構 成 さ れ
て い た 。フ ェ イ ス シ ー ト は ,性 別 ,年 齢 ,居 住 形 態 ,居 住 地 域 ,調 査 記 入 形 態 ,休 日 の 過 ご
し 方 ,現 在 の 活 動 状 況 ,活 動 期 間 を 把 握 す る た め の 項 目 で あ る 。Q O L 調 査 は ,江 草 (1998)
で 用 い ら れ た 日 本 版 Q O L 質 問 紙 簡 易 版 項 目 か ら Table 1 の 下 位 領 域 と Table 2 に 示 し た 3
0 項 目 を 採 用 し 3 件 法 で 回 答 を 求 め た 。
Table 2 Q O L 調 査 項 目
48 資料4−2 本調査質問項目
「2.クラブ・教室・会の友達と」に○をした人だけ、こたえてください。
2.1その活動をはじめて、どれくらいになりますか。
1.半年以内 2. 1年以内 3. 3年以内 4. 5年以内
2.2現在の活動をはじめた「きっかけ」は何でしたか。
1.父・母親の すすめ 2. 友だちの
紹介 3. チラシや パンフレットを 見て
4. 新聞記事を 見て 5. 先生の
紹介 6. その他
( )
!この調査について、ご意見などありましたら自由に書いてください。
1.家族と
★5.休みの日(土曜日や日曜日、長期休暇中)は,誰と過ごしていますか。
5. 5年以上( 年)
4.その他 3. 学校・施設・職場の 友達と 2. クラブ・教室・会の友達と
質問
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をよんで,「イ」「ロ」「ハ」から1つえらんで、○をつけてください。
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1.満足度(Q1~Q10)
2.仕事活動(Q11~Q15)
3.社会参加(Q16~Q20)
4.自立自由(Q21~Q30)
Table 1. QOLと下位領域
49
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男性女性 第3章 結
果
第1節
調査対象者の概要
まず調査対象者及び調査記入者の属性(所属団体,性別,対象者の年齢,居住形態,
地域)について示す。
(1)調査対象者の属性と実態
1)対象者の所属
対象者の所属・団体について回答を求めたところ,サッカークラブ所属者
101
名(70%),
福祉施設利用者44
名(30%)
であった。(
資料6)
2)所属と対象者の男女の割合
対象者の性別について回答を求めたところ,男性
122
名(84%)
,女性23
名(16%)
であった。
サッカークラブと福祉施設に所属する男女の割合を
Fig.1
に示した。サッカークラブに所属する男性
94
名(93
%),女性7
名(7
%),福祉施設に所属する男性28
名(64
%),女性16
名(36
%)であった。サ ッ カ ー ク ラ ブ
福 祉 施 設
Fig.1
サ ッ カ ー ク ラ ブ 及 び 福 祉 施 設 に お け る 男 女 の 割 合3)対象者の所属と各年齢区分の割合
対象者の年齢について回答を求めたところ,
7
~12
歳17
名(12%)
,13
~15
歳20
名
(14%)
,16
~18
歳28
名(19%)
,19
歳以上80
名(55%)
であった。サッカークラブと福祉施設に所属する各年齢の割合を
Fig.2
に示した。サ ッ カ ー ク ラ ブ
福 祉 施 設
Fig.2
サ ッ カ ー ク ラ ブ 及 び 福 祉 施 設 に お け る 年 齢 区 分サッカークラブに所属する
7
~12
歳17
名(17%)
,13
~15
歳19
名(19%)
,16
~18
歳
24
名(24%)
,19
歳以上41
名(41%)
であった。福祉施設に所属する
13
~15
歳1
名(2%)
,16
~18
歳4
名(9%)
,19
歳以上39
名(89%)
であった。
4)居住形態
居住形態について回答を求めたところ,自宅
117
名(81%)
,施設12
名(8%)
,グループホーム
10
名(7%)
,通勤寮4
名(3%)
,学校の寮や寄宿舎1
名(1%)
,その他1
名(1%)
であった。サッカークラブと福祉施設における居住形態の割合をFig.3
に示した。本調査の回答では,サッカークラブに所属する知的障害児・者の
95
%が自宅であるのに対して,福祉施設に所属する知的障害児・者が自宅
48
%,施設23
%,グループホーム
20
%,通勤寮7
%であった。サ ッ カ ー ク ラ ブ
福 祉 施 設
Fig.
3 サ ッ カ ー ク ラ ブ 及 び 福 祉 施 設 に お け る 居 住 形 態5)居住地域
居住地について回答を求めたところ,青森県内
50
名(35%)
,東北地区(青森県以外)
46
名(32%)
,関東地区(東京)49
名(36%)
であった。さらに市町村では,区46
名(32%)
,市92
名(63%)
,町4
名(3%)
,村1
名(1%)
であった。その内,サッカークラブに所属する知的障害児・者の居住地域を
Fig.4
に示した。Fig.4
サ ッ カ ー ク ラ ブ の 知 的 障 害 児 ・ 者 に お け る 居 住 形 態!"#
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$&"#
青森県内 東北地区 関東地区
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サッカークラブ 福祉施設
自己回答 他者回答
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サッカークラブ 福祉施設
子供 父親か母親 その他
6)記入者
記入者について回答を求めたところ,自分で書いた(以下,自己回答)
66
名(48%)
, 自分で書いてない(以下,他者回答)71
名(52%)
であった。サッカークラブと福祉 施設ごとの回答方法の割合をFig.5
に示した。福祉施設において自己回答が
60
%であったのに対し,サッカークラブでは自己回答の割合が
44
%であった。(%)
Fig.5
所 属 と 回 答 方 法7)代筆者
記入者の項目で他者回答の場合の記入者について回答を求めたところ,子供
6
名(8%)
,父親か母親52
名(70%)
,その他16
名(22%)
であった。福祉施設において職 員が88
%であったのに対し,サッカークラブでは保護者(父親・母親)が90
%で あった。(%)
Fig.6
他 者 回 答 に お け る 代 筆 者 の 割 合!"##
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サッカークラブ 福祉施設
意見確認 意見推測
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サッカークラブ
福祉施設 家族と
クラブ・教室・
会の友達と 学校・施設・職 場の友達と その他 複数選択