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まえがき アスリートが少しでもよい競技成績をあげるために できることは何でもやりたいと考える気持ちはよく理解できます 競技の前に士気を高める目的でカフェインの入っている飲みものを飲んだり 筋力を効率よく増強させるために ウエイトトレーニングの直後にたんぱく質やアミノ酸を多く摂取したりといったことは

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知っておきたい

アンチ・ドーピングの知識

2018 年版

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まえがき

アスリートが少しでもよい競技成績をあげるために、できることは何でもやりたいと考える気持ちはよく理 解できます。競技の前に士気を高める目的でカフェインの入っている飲みものを飲んだり、筋力を効率よく増 強させるために、ウエイトトレーニングの直後にたんぱく質やアミノ酸を多く摂取したりといったことは、日 本でもよく行われています。しかし、度を超してしまうと、スポーツで公平な勝負ができなくなってしまうの みならず、アスリートの心身に悪影響を及ぼします。実際、これまでに多くのアスリートがドーピングの副作 用に苦しんだり、命を落としたりしています。そこで、競技力を高める作用のある物質の中から、競技者の心 身に悪影響を及ぼしたりスポーツの公平さを失わせたりするような物質を規定し、それらの使用を規制するア ンチ・ドーピング活動が行われるようになったのです。 現在ではアンチ・ドーピングに関する規則が厳密に定められ、厳正な検査が行われています。検査数も増え てきて、尿検査のみならず、血液検査も行われることが多くなってきましたが、このような体制が整備されて きたのはかなり最近になってからであり、アンチ・ドーピングに関する知識はまだまだ浸透しているとは言え ません。 また、最近外国における組織ぐるみの不正が疑われる事例が摘発され、大きな問題となっていますが、我々 はクリーンなアスリートであることを誇りに、スポーツの場で公平な勝負をしていきましょう。日本の大多数 のクリーンなアスリートにとっては、アンチ・ドーピング規則違反を犯した海外のアスリートの大量の摘発は、 むしろ今後は公平な勝負ができるという意味において好ましいことかもしれません。 ただ、クリーンなアスリートであっても、アンチ・ドーピングに関する知識不足から、そうとは知らずに禁 止物質を摂取してしまう危険性があります。実際、薬局で簡単に手に入る薬の中には禁止物質を含むものも多 く、知らずに服用してドーピング違反に問われる、いわゆる「うっかりドーピング」が後を絶ちません。日本 アンチ・ドーピング機構(JADA)や日本陸上競技連盟では、ホームページを利用したり冊子を作ったり、ま た競技会時に会場内にブースを設けて多くの競技者や関係者に対してアンチ・ドーピングに関する教育、啓発 活動を行う努力をしています。 公益社団法人日本学生陸上競技連合でも、この「うっかりドーピング」をなくすことを主眼に置いて、2008 年9 月に「知っておきたいアンチ・ドーピングの知識」の初版を発行しました。しかし、アンチ・ドーピング に関する規則は毎年見直され、改定されますので、本書もそれに合わせて毎年改訂しています。今回も、2018 年1 月 1 日より発効となる新しいアンチ・ドーピングに関する規則に合わせて 2018 年版を作成しました。今 回は大きな変更点はありませんが、2017 年と比較して変更された主な点については、「昨年から変更された主 な点」としてまとめて記載しました。また、昨年からの変更点を踏まえたうえで、競技者や指導者の一人一人 に知っておいてほしい最低限のことについては、昨年までと同様、コピーして配れるように「注意すべき点(抜 粋)」として1 ページにまとめました。本書を学生競技者および指導者の方々に大いに活用していただければ 幸いです。 (編集人)

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目次

(1)アンチ・ドーピング活動の推進について

p.3

1.ドーピングとは

p.3

2.ドーピングはなぜいけないのか

p.3

3.アンチ・ドーピング活動の流れ

p.3

(2)アンチ・ドーピングに関して知っておきたいこと

p.4

1.禁止物質等について

p.4

2.市販のかぜ薬やせき止め、鼻炎用内服薬に要注意

p.5

3.漢方薬について

p.5

4.似たような名前の薬に要注意

p.6

5.利尿薬について

p.6

6.喘息の薬について

p.7

7.治療使用特例(TUE)について p.8

8.発毛剤やニキビの薬について

p.11

9.サプリメント等について

p.11

10.競技会検査のみにおいて禁止されている薬物は、いつまでに服用をやめれば大丈夫

p.12

11.静脈注射、点滴について

p.13

12.糖質コルチコイド(ステロイド)を含有する皮膚外用薬について

p.13

13.点眼薬、点鼻薬、口内炎の薬などについて

p.13

14.糖質コルチコイド(ステロイド)について

p.14

15.花粉症などのアレルギーの薬について

p.14

16.糖尿病の治療薬について

p.14

(3)使用可能な一般用医薬品(大衆薬)の例

p.15

(4)使用してはいけない一般用医薬品(大衆薬)の例

p.17

(5)昨年から変更された主な点

p.19

(6)注意すべき点(抜粋)

p.20

(7)薬剤に関する質問用紙

p.21

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(1)アンチ・ドーピング活動の推進について

1. ドーピングとは

ドーピングとは、競技能力を高めるために薬物などを使用したり、その使用を隠蔽したりすることです。 簡単に言えば、「勝つためにズルをする」ということです。

2. ドーピングはなぜいけないのか

ドーピングは、スポーツのフェアプレー精神に反し、競技者の健康を損ね、薬物の習慣性などから社会 的な害を及ぼすばかりか、人々に夢や感動を与えるスポーツそのものの意義を失わせ、国民の健康的な生 活や未来を担う青少年に対して悪影響を及ぼすと考えられます。

3. アンチ・ドーピング活動の流れ

国際的には、1999 年、各国のスポーツ関係者と政府関係者の協力のもと、国際的なアンチ・ドーピン グ活動に関する教育・啓発活動等を行うことを目的とする世界アンチ・ドーピング機構(WADA)が設 立され、世界的なアンチ・ドーピング活動の推進体制の整備が行われています。 アンチ・ドーピング活動の基本となっている世界アンチ・ドーピング規程は2003 年 3 月 5 日にコペン ハーゲンで採択され、2004 年 1 月 1 日に初回のものが発効しました。2015 年に改定されたものが発効さ れましたが、これを遵守することがアンチ・ドーピング活動の原則です。 我が国においては、2001 年 9 月に財団法人(現公益財団法人)日本アンチ・ドーピング機構(JADA) が設立され、世界アンチ・ドーピング規程に基づいて、ドーピング検査やアンチ・ドーピングの普及・啓 発を実施しています。2015 年の世界アンチ・ドーピング規程の改定に合わせて、日本アンチ・ドーピン グ規程も改定され、同様に2015 年 1 月 1 日から発効となっています。 国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)では、ドーピングの撲滅を目指して、2005 年 10 月に開催され た第33 回ユネスコ総会において、WADA を中心とした国内レベルおよび世界レベルでの協力活動におけ る推進・強化体制の確立を目的としたアンチ・ドーピング条約とも言うべき「スポーツにおけるドーピン グの防止に関する国際規約」が採択されました。2006 年 12 月に日本国政府としてこれを受諾し、2007 年2 月 1 日より我が国でも同条約が発効されました。さらに、これを受けて文部科学省は 2007 年 5 月に 「スポーツにおけるドーピングの防止に関するガイドライン」を策定しました。2011 年 8 月から施行さ れた「スポーツ基本法」の中でも、ドーピング防止活動の推進が明文化されています。 このように「世界的にみてドーピングを許さないというアンチ・ドーピング活動が活発になってきて おり、日本も国を挙げて協力していく流れになっている」のです。 日本学生陸上競技連合としても、日本インカレ等の競技会においてドーピング検査を実施し、この流れ に協力していますが、今後ますます検査を活発に行っていくなどして、アンチ・ドーピング活動に協力し ていくことが求められています。そのためには、まず競技者や指導者の方々一人一人に、アンチ・ドーピ ングに関する正しい知識を身につけていただくことが重要であると考えて2008 年 9 月に本書の初版を発 行し、1 年ごとに改訂してきました。今回、2018 年 1 月 1 日より発効となる新しいアンチ・ドーピング 規則に合わせて2018 年版を作成しました。各人が必ず一度はこの資料に目を通していただきたいと考え ています。

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(2)アンチ・ドーピングに関して知っておきたいこと

ドーピングとは、競技能力を高めるために薬物などを使用したり、その使用を隠蔽したりすることです。薬 物には副作用があり、ドーピング行為は危険を伴います。ドーピングは簡単に言えば「勝つためにズルをする」 ということですが、危険な行為でもあるのです。 しかし、その一方で、故意に使用したわけではなく、不注意によるうっかりミスで検査にひっかかってしま う場合もあります。市販のかぜ薬や胃腸薬、鼻炎用内服薬などには禁止物質を含むものが少なくなく、「かぜ 気味だから」とか「胃の調子が悪いから」などで安易に使用するとドーピング違反と判断され、その結果、 重い罰則を科されてしまうことがあるのです。 そこで、競技者および指導者が、アンチ・ドーピングに関して知っておいたほうがよいと思われることにつ いて記載しましたので、参考にしてください。

1.禁止物質等について

ドーピング禁止物質のリストは年1 回改定されます。毎年のように変更点がありますので、たとえば「ある 薬を使用しても大丈夫かどうか」については、必ず最新のものを基に判断しなくてはなりません。その意味で は、たとえば「インターネットで調べたら大丈夫だと書いてあった」としてもそれをそのまま信用してはいけ ません。情報が古いかもしれないし、インターネットには結構いいかげんな情報が書かれています。 2018 年における禁止物質に関しては、2018 年 1 月 1 日より発効となる「2018 年禁止表国際基準」に基づ いて判断しなくてはなりません。2018 年禁止表国際基準には、これまでと同様にⅠ. 常に禁止される物質と 方法(競技会前や期間中のみならず、常時禁止されているもの)、Ⅱ. 競技会(時)に禁止される物質と方法 (普段は使用したりしても大丈夫だが、競技会の前や期間中は禁止されるもの)、Ⅲ. 特定競技において禁止 される物質(これに関しては、陸上競技においては特にありません)があり、さらに、検査で検出されても現 段階では違反には問わないが、乱用を防止するために分析は行って、乱用されていることが疑われれば将来禁 止される可能性がある「監視プログラム」も記載されています。 2017 年からの主な変更点は、後述する「(5)昨年から変更された主な点」(P. 19)を参照して下さい。 2018 年禁止表国際基準の日本語訳については、日本アンチ・ドーピング機構(JADA)のホームページか ら見ることができます。ただ、この禁止表を見ても、一般の方が実際に薬を服用したりするときに「何がダメ で何は大丈夫なのか」がわからないと思います。病院から薬をもらって普段服用している方は、必ずアンチ・ ドーピングのことに関して詳しいスポーツドクターやスポーツファーマシストに大丈夫かどうかチェックし てもらってください。禁止物質を含む薬が処方されている場合には、後述するTUE 申請が必要になります。 薬局で買える市販薬や、家族の職場の健保組合から支給されるような「家庭用置き薬」の中にも、禁止物 質を含んでいるものはたくさんあります。たとえば、「エフェドリン」や「メチルエフェドリン」、「プソイド エフェドリン」などは市販の総合感冒薬や鼻炎用の薬の多くに含まれているため、これらを含むものは競技会 前や競技会の期間中は服用しないように注意しなければなりません。「トリメトキノール」を含む薬は競技会 時だけではなく、常時禁止されています。薬局で買える市販薬の中で、ドーピング禁止物質を含まない薬の代 表例と、禁止物質を含む薬(つまり競技者が服用すべきでない薬)の代表例を後述しましたので、参考にして ください。ただし、2019 年 1 月 1 日からはまた新しい禁止リストが発効になり、禁止物質も変更される可能

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- 5 - 性があるため、あくまでもそれまでの期間のみ有効なものと考えてください。また、参考にする場合は必ず薬 剤名が完全に一致することを確認してください。少しでも違うと成分が異なることがあります。さらに、別記 したリスト以外にも薬はたくさんあり、この表以外でも使用可能な薬も多くありますし、逆にこの表以外でも 使用してはダメな薬もまだたくさんあります。日本薬剤師会等による「薬剤師のためのドーピング防止ガイド ブック」(インターネットで見ることができます)には、病院で処方される薬に関しても使用可能な薬剤の例 が記載されていますので、参考にしてください。そのさい、最新の情報であることを確認する(つまり 2018 年1 月 1 日から 2018 年 12 月 31 日までは「2018 年版」を参考にする)必要があります。 2017 年まで禁止物質に指定されていなかった物質で、今回新たに禁止物質に指定されたものはないようで すが、禁止物質の例として明記されたものはいくつかあります。代表例として、昨年は「S3.ベータ 2 作用薬」 の「ヒゲナミン」が追記されましたが、今回は「ツロブテロール」が追記されました。「ツロブテロール」は 「ホクナリンテープ」や「ツロブテロールテープ」という商品名で、かぜをひいて咳が出るとか、喘息の症状 に対してしばしば処方されることのある薬です。うっかり使用しないように注意してください。

2.市販のかぜ薬やせき止め、鼻炎用内服薬に要注意

市販のかぜ薬やせき止め、鼻炎用内服薬の中には禁止物質を含んでいるものが非常に多く、注意が必要で す。具体的な禁止物質としては、エフェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン、麻黄、メトキ シフェナミン、トリメトキノールなどがあげられます。これらの成分表記のある薬剤は服用しないようにしま しょう。

3.漢方薬について

漢方薬は生薬からできているので問題ないと思っている人もいるようですが、違います。 漢方薬は、名前が同じでも製造会社や原料の産地、収穫の時期などで成分が違うことがあると言われていま す。その成分はたいへん複雑で、「絶対大丈夫」という確証を得ることはむしろ難しいのです。 漢方薬の中で、成分に麻黄(マオウ)を含むものは競技会前や競技会期間中は服用してはいけません。麻黄 は禁止物質(特定物質)であるエフェドリンやメチルエフェドリンを成分として含むためです。麻黄を含む代 表的な漢方薬を別記しましたので、参考にしてください。代表例ですので、これら以外の漢方薬なら大丈夫と いうわけではありません。麻黄以外にも、ホミカという成分を含むものも禁止物質のストリキニーネを含むた め服用してはいけませんし、海狗腎(カイクジン)や麝香(ジャコウ)などといった滋養強壮薬として用いら れる生薬成分の中には禁止物質の蛋白同化薬が含まれていると考えられるため、使用してはいけません。 また、2017 年から禁止表国際基準における「常に禁止される物質と方法」の中の「S3.ベータ 2 作用薬」の 例として、「ヒゲナミン」が記載されましたが、漢方薬の生薬成分としては「チョウジ」、「ゴシュユ」、「ブシ」、 「サイシン」、「ナンテン」にヒゲナミンが含まれますので、これらの成分表記のある漢方薬も使用を避けなけ ればなりません。 したがって、よほどの理由がない限りは漢方薬や滋養強壮薬は使用を避けたほうがよいでしょう。使用す る場合には、必ずアンチ・ドーピングのことに詳しいスポーツドクターや薬剤師に相談してください。

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- 6 - また、カタカナ表記でも漢方薬のものがあるので注意が必要です。たとえば薬局で市販されている便秘薬の 「コッコアポEX 錠」などは防風通聖散という漢方薬であり、禁止物質のエフェドリンを含有しています。医 療機関において健胃消化剤として処方されることのある「SM 散」や「KM 散」などはチョウジを含むため、 禁止物質のヒゲナミンを含有しています。

4.似たような名前の薬に要注意

特に薬局で市販されている薬に多いのですが、よく似た名前でも、その成分にドーピング禁止物質を含む ものと含まないものとがあるので、注意が必要です。 薬剤名の頭に「新」が、終わりに「錠」や「顆粒」がつくか否かによって、また、製薬会社名が違うだけ でも成分が異なることがあります。たとえば、市販の総合感冒薬の「ストナアイビー」は監視プログラムに掲 げられているカフェインは含みますが、2018 年は使用可能です。しかし、「ストナアイビージェル」には禁止 物質のメチルエフェドリンが含まれています。また、「パブロン鼻炎カプセルZ」は使用可能ですが、「パブロ ン鼻炎カプセルSα」には禁止物質のプソイドエフェドリンが含まれています。 また、医師に処方される薬でも、たとえば「レスタミン」は使用可能ですが、「セレスタミン」は禁止物質 の糖質コルチコイドを含有しています。花粉症等のアレルギー疾患に対して使われる薬で「アレグラ」は使用 可能ですが、「ディレグラ」は禁止物質のプソイドエフェドリンを含有していますので、注意が必要です。

5.利尿薬について

利尿薬は禁止物質です。利尿薬は「尿をたくさん出させる薬」ですが、高血圧に対する薬として使われるこ とがあります。自分では尿の出が悪いわけではないので利尿薬なんか飲んでないと思っていても、「実は血圧 の薬として服用していた!」という可能性も考えられます。 このように、薬にはその効果が単一ではない薬も多く、同じ薬がまったく違う病気に対して使用されること もあるので、注意が必要です。治療上必要ならば、後述するTUE 申請をして許可を得ておく必要があります。 さらに、最近は合剤といって、二種類の薬を合わせて一剤にしたものが「二剤服用するよりも服用錠数が少 なくて済み、しかも多少安価になる」という理由から多用される傾向にあります。高血圧に対する薬もカルシ ウム拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬など、それ自体は禁止物質ではない薬剤に利尿剤を付加した合 剤が多く用いられるようになってきています。実際、これらの利尿剤を含む合剤を服用してドーピング違反に 問われたケースが過去にもありましたので、注意が必要です。 少なくとも、ふだん自分が服用している薬、あるいは臨時的にでも服用する可能性のある薬については、 それがドーピング禁止物質に該当するか否かをきちんと自分で把握しておかなくてはなりません。 また、利尿薬と併用して閾値水準が設定されている物質(ホルモテロール、サルブタモール、カチン、エフ ェドリン、メチルエフェドリン、プソイドエフェドリン)をいかなる量でも使用する場合は、利尿薬の TUE 申請に加え、閾値水準が設定されている物質についてもTUE 申請が必要となるので、注意が必要です。

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6.喘息の薬について

喘息の薬には禁止物質が多く、注意が必要です。使用するにはTUE 申請(次項参照)が必要になる薬が多 いので、喘息の方は必ずアンチ・ドーピングに関して詳しいスポーツドクターに早めに相談してください。 喘息の吸入薬のうち、糖質コルチコイド(吸入ステロイドと言われるもの)と、ベータ2作用薬のうちサ ルブタモール、サルメテロール、ホルモテロールの吸入使用に関しては、2017 年までと同様、2018 年は TUE 申請の必要なく使用可能であり、使用の申告も不要です。ホルモテロールの吸入使用に関して、その使用許 容量は2017 年と同様、24 時間で最大 54 ㎍であれば TUE 申請も使用の申告も不要です。54 ㎍という量は、 日本の医療機関で用いられる喘息治療薬のうち、「シムビコート(タービュヘイラー)」という吸入薬であれば 12 吸入に相当します。サルブタモールの吸入使用に関して、その使用許容量は 24 時間で最大 1600 ㎍(サル タノール・インヘラーで16 吸入に相当)であることはこれまでと同様ですが、2017 年からは「12 時間あた りで800 ㎍まで」という記載も追加されました。2018 年は「いかなる 12 時間枠においても 800 ㎍を超えな い」ことを明確にするためにわかりやすい図が例示されました。サルメテロールの吸入使用に関しては、2016 年までは「製造販売会社によって推奨される治療法」は許可するという書き方でしたが、2017 年からは「24 時間あたりで最大 200 ㎍」と明記されました。ただ、これらの使用許容量は、日本においては一般に投与が 認められている量を守って使用していれば問題ない量です。たとえばサルブタモールの吸入使用に関しては、 「1 日、つまり 24 時間で 800 ㎍まで」と指導されているはずです。 ここで注意しなければならないことは、ホルモテロール、サルブタモール、サルメテロール以外のベータ 2作用薬は、吸入使用であってもこれまで通り使用には制約があるということです。将来的には、他の薬剤 もホルメテロールやサルブタモールのように閾値水準が設定されて使用可能になる可能性もありますが、 2018 年は引き続き使用が禁止されています。ホルモテロール、サルブタモール、サルメテロール以外のベー タ2作用薬(例えばメプチンエアー)を使うとすれば、事前にTUE 申請をして承認を得なくてはなりません が、「これらの薬剤ではコントロールできない(治療困難な)喘息である、あるいは副作用等でこれらの薬剤 が使用できない」ことをアピールできないと認められない可能性があります。また、ホルモテロールとサルブ タモールの吸入使用であっても、前述したような定められた用量を超えて投与が必要な場合には、TUE 申請 が必要になります。喘息の治療に関連してTUE 申請をする場合には、提出が必要となる書類が他の疾患と比 較して少し多くなります。JADA の TUE 委員会あてに提出する場合には、通常の TUE 申請書に加えて「気 管支喘息治療に関するTUE 申請のための情報提供書」の提出も求められます。また、国際レベルの競技者が IAAF に TUE 申請する場合にも、通常の IAAF 用の TUE 申請書式に加えて「IAAF BETA-2-AGONISTS PROTOCOL」(IAAF のホームページから見ることができます)に記載されているような、詳しい内容を記載 した書類の提出も求められます。 いずれにしても、喘息の薬を使用するさいには使用できる薬剤の種類に注意しなくてはなりませんので、喘 息の方は必ずアンチ・ドーピングに関して詳しいスポーツドクターに早めに相談してください。 <TUE 申請せずに使用できる喘息用吸入薬の代表例> (商品名で記載) フルタイド、パルミコート、オルベスコ、キュバール、アズマネックス(以上吸入糖質コルチコイド薬) セレベント、サルタノール・インヘラー、アイロミール、*ベネトリン(以上吸入ベータ2作用薬) アドエア(フルタイドとセレベントの合剤)、シムビコート(パルミコートの成分とホルモテロールの合剤)、 フルティフォーム(フルタイドの成分とホルモテロールの合剤)、スピリーバ(吸入抗コリン薬)

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- 8 - *ベネトリンは錠剤やシロップもありますが、TUE 申請せずに使用できるのは吸入薬のみであることに注意 が必要です。 *同様に注意が必要なものに「アトック」という薬があります。これはホルモテロールなのですが、「シム ビコート」や「フルティフォーム」が吸入薬であるのに対して「アトック」は錠剤またはドライシロップ なので、TUE 申請して許可が得られなければ使用できません。 *「レルベア」という吸入薬は、アドエアやシムビコートなどと似たような糖質コルチコイド薬とベータ2 作用薬の合剤ですが、使われているベータ2作用薬がドーピング禁止物質ですので、原則として使用でき ません。使用するにはTUE 申請して許可を得なければなりませんが、アドエアやシムビコートでは十分 に治療できないことを証明しなければ許可されない可能性が高いので、注意してください。 *ホクナリンテープという貼付剤はベータ2作用薬ですが、吸入使用ではありませんし、そもそも成分(ツ ロブテロール)が許可されていませんので、使用してはいけません。(ツロブテロールは以前から禁止物 質でしたが、2018 年の禁止表では例として追記されました。)

7.治療使用特例(Therapeutic Use Exemptions : TUE)について

TUE は、ドーピング禁止物質・禁止方法を治療目的で使用したい競技者が申請して、認められれば、その 禁止物質・禁止方法が使用できる手続きです。TUE は、世界アンチ・ドーピング規程と TUE 国際基準で手 続きが定められています。 TUE 申請のさいには、臨床経過を記載した文書や医師の診察所見、検査結果などの添付が求められます。 医師に記載してもらわないといけない所もありますが、検査結果がでるまでに数日かかることもありますので、 すぐに記載してもらえるとは限りません。また、TUE を提出すれば承認されるとは限らず、代替可能な治療 薬があると判断されれば承認されずにドーピング違反とされる可能性があります。TUE 申請する場合は、日 程的に余裕をもって、事前に必ずアンチ・ドーピング関係に詳しいスポーツドクターに相談してください。 申請書は JADA のホームページから最新の書式をダウンロードして使用してください。国際レベルの競技 者は、陸上競技連盟(IAAF)のホームページから書式をダウンロードして使用してください。JADA 用の書 式に関しては、記入例も JADA のホームページから見ることができます。原則として競技者本人が直接提出 することになっています。申請先は後述しますが、インカレ出場レベルのほとんどの競技者はJADA の TUE 委員会あてになります。提出期限は原則として大会の30 日前までに JADA に到着するように提出することに なります。国際陸上競技連盟(IAAF)の検査対象者登録リストに登録されている競技者に関しては、IAAF 用の書式(日本陸連のホームページからもIAAF の関連ページにリンクでき、TUE 申請書の書式をダウンロ ードできます)を用いて、原則として大会の30 日前までに IAAF に到着するように提出することになります。 いずれの場合も、原則として英語での記入が求められます。 TUE は、申請書類に不備があったり代替可能な薬剤があると判断されたりすれば承認されません。実際、 TUE 申請しても承認されなかったケースが昨年までも少なからずあったようです。そこで、日本陸連では、 陸上競技者に対して、すべてのTUE 申請書式を日本陸連医事委員会へ送付するよう要請しています。完全な 申請書式かどうかを確認し、その上で、JADA の TUE 委員会あるいは IAAF 等へ日本陸連から送付していま す。ただし、日本陸連でチェックする分、提出期限が早まり、大会の35 日前までに送付することが求められ ています。したがって、陸上競技者の場合は、TUE 申請書類の提出に関して、「申請先(JADA の TUE 委員 会あるいはIAAF 等)に応じた書式を用いて、日本陸上競技連盟の医事委員会あてに、大会の 35 日前までに

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- 9 - 到着するように提出する」ことになります。ただし、日程的に余裕がない緊急の場合などは、JADA の TUE 委員会あるいはIAAF 等へ直接送付してください。 TUE の申請手続きのまとめ (a) 申請の対象競技者 以下の競技者がTUE 申請の対象となります。 (ア) 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の検査対象者登録リスト(RTP)に登録されている 競技者 (イ) ドーピング検査が実施される可能性のある競技会(インカレなど)に参加する競技者 (b) 申請の実際 国際水準の競技者 (IAAF に指定を受けた競技者) 国内水準の競技者 (ほとんどの競技者はこちら) 申請先 IAAF (あるいはIOC など、その国際大会を管 轄する団体) JADA の TUE 委員会 提出先 日本陸上競技連盟医事委員会 提出期限 原則として大会の35 日前までに日本陸連に到着するように提出する。

結果通知 IAAF で審査後、申請者に連絡する JADA の TUE 委員会で審査後、申請者 に連絡する 対象薬物 すべての禁止物質と禁止方法 ただし、吸入ベータ2作用薬のうち、ホルモテロール、サルブタモール、サルメテ ロールと、吸入ステロイド薬をはじめとする糖質コルチコイドの局所使用に関して は、TUE 申請は不要。(使用の申告も不要。) 書式 TUE 申請書(申請先により書式が異なる。) 喘息の治療に関連してTUE 申請をする場合には、提出が求められる申請書の枚数 が若干多い。 病歴や検査結果などの添付が必要となる。 いずれの場合も原則として英語で記入することが求められる。 ・TUE は原則として禁止物質や禁止方法を使用する前に許可を得る手続きです。 ・緊急治療の場合などは、提出期限後の申請や申請前の使用も認められることがあります。 ・IAAF:国際陸上競技連盟 ・IAAF に指定を受けていない競技者の場合でも、国際競技大会に出場する場合は、提出先および 提出期限がそれぞれ指定されることがありますので、大会主催団体に確認してください。 ・IOC:国際オリンピック委員会 <参考>

今後はJADA など各国のアンチ・ドーピング機構で承認した TUE と、各国際競技連盟(IF)等で承認し たTUE とを、相互にできるだけ承認しようということが 2015 年に改定された WADA 規程の中で明文化され ましたが、この相互承認は必ずしも自動承認ではないとのことなので、とりあえずのTUE 申請方法や申請先

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はこれまで通りと考えられます。ただ、国内水準の競技者でTUE を JADA に申請する場合でも、英語で記 入するようにしてください。

JADA に TUE 申請をして承認済みであっても、競技レベルが上がって IAAF の RTP に登録されることに なった場合には、その時点でIAAF にもあらためて IAAF の書式を用いて TUE 申請が必要になります。 TUE 申請を日本陸連を通して行う場合の郵送先 〒163-0717 東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル17階 日本陸上競技連盟 事務局 御中 TUE 申請書在中 TUE 申請書を JADA に直接提出する場合の郵送先 〒115-0056 東京都北区西が丘3-15-1 国立スポーツ科学センター内 公益財団法人 日本アンチ・ドーピング機構 TUE 委員会 御中 TUE 申請書在中 *緊急の場合はまずFAX(03-5963-8031)で送信し、後日原本を郵送するようにします。 くり返しますが、TUE 申請にあたっては、必ずアンチ・ドーピング関係に詳しいスポーツドクターに日程 的に余裕をもって相談してください。スポーツドクター以外の一般の医師では、アンチ・ドーピングに関する 知識に乏しく、治療薬の選択を安易にされてしまってTUE が承認されない可能性が考えられます。特に気管 支喘息の治療においては、前述のように注意が必要です。 スポーツドクターに関しては、日本体育協会のホームページから、都道府県ごとの日本体育協会公認スポー ツドクターが検索できます。喘息に関しては、スポーツドクターの中でも呼吸器内科を専門分野に掲げている ドクターに相談することが望ましいと思います。 薬に関して相談したい場合は、以下が利用できます。 ① 本学生陸上競技連合では、医事委員の蒲原あてに FAX で問い合わせていただければ可能な限り相談に乗 り、FAX で返信したいと思います。ただ、出張等で長期不在にすることもありますので、急ぐ場合には事 前にまず電話で予定をご確認ください。問い合わせ用紙はP. 21 にありますので、A4 サイズに打ち出して ご利用ください。 ② JADA のホームページのアスリートサイトの「薬について問い合わせ」の中にある「お問い合わせフォー ム」を利用してJADA に問い合わせることもできます。 ③ 日本薬剤師会等による「薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック 2017 年版」(インターネットで 見ることができます)の中に、「薬剤師会アンチ・ドーピングホットライン」として都道府県別の薬剤師 会相談窓口の連絡先が書かれてあります。これはJADA のホームページの「薬のお問い合わせ」からも見 ることができます。

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④ また、都道府県別のスポーツファーマシスト(アンチ・ドーピング関係に詳しい薬剤師)が、同様に JADA のホームページから検索できますので、最寄りのスポーツファーマシストに連絡をとって相談するのも良 いでしょう。

⑤ JADA のホームページから「global DRO」をクリックすると、薬剤名等の必要情報を入力することで、そ の薬剤がドーピング禁止物質を含むか否かを自分で検索できます。ただし、新しい薬剤だと検索できない ことがあります。ちなみに前述の「ディレグラ」や「レルベア」は2017 年 12 月 19 日現在まだ検索でき ません。

8.発毛剤やニキビの薬について

2008 年まで禁止物質だったフィナステリドは、2009 年から禁止物質ではなくなりましたので、フィナステ リドを含むために禁止されていた内服薬の発毛剤に関しては、2009 年から服用しても大丈夫になりました。 ただし、発毛剤のぬり薬の中には禁止物質のテストステロンを含むものがあり(例:商品名「ミクロゲン・ パスタ」、啓芳堂製薬)、このようなぬり薬は引き続き使用してはいけません。 また、禁止物質の「利尿薬および隠蔽薬」に指定されている薬が、ニキビに対しての薬(のみ薬、注射、ぬ り薬)や、発毛用の薬として使われることがあるようです。2014 年に日本国内でドーピング違反に問われた 事例のうち、皮膚科でニキビに対して処方されたぬり薬が原因と考えられた事例がありましたので、注意して ください。ぬり薬としての具体的な薬剤名が明らかにされておらず、「使用してはいけないぬり薬」の例とし て薬剤名を挙げることができないのですが、医療機関を受診する際には必ず(受診する科が何科であっても) ① ドーピング検査を受ける可能性があることを伝え、禁止物質を含まない薬の処方をお願いする。 ② 処方された薬に関しては、念のため自分でも服用しても大丈夫か否か、上記の手段等を用いて調べる。 ことを行ってください。

9.サプリメント等について

スポーツ選手の中にはプロテインやアミノ酸、ビタミン類などのサプリメントを摂取している人も結構多い と思います。サプリメントなどのいわゆる健康食品は、製造・販売の規制が医薬品に比べると厳しくないので、 成分表示が信頼できるものばかりではありません。中には評判を上げるために意図的に、実際には表示されて いない禁止物質(ステロイドなど)を添加した商品もあります。製造過程において、同じ工場内で製造してい る他の製品の成分が混入してしまうこともあるとされています。特に外国製のものは信頼できないことが多く、 成分に書かれていなくても禁止物質が入っていることが多いと言われています。国内の製品でも、ドーピング 禁止物質は入っていないことが明記されていた製品でもドーピング禁止物質が検出された事例がありました。 2001 年に発表されたデータでは、世界 13 か国で市販されているサプリメントのうち、成分表記にステロイ ドが記載されていない製品634 品について調査したところ、そのうち実に 94 品、14.8%もの製品に禁止物質 のステロイドが含まれていたと報告されています。ステロイドのみならず、エフェドリンなども含めて考える と、このパーセンテージはもっと高いものになりますので、サプリメントの類は成分表記を見ても「大丈夫」 とは言えないのです。

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- 12 - また、天然物由来の成分などは、かえって含有物質に関する情報が不透明になるため、ドーピング物質に該 当するか否かの判断が困難になります。したがって、個々のサプリメントを摂取しても大丈夫かどうかについ ては、スポーツドクターや薬剤師にきいても確証が得られない場合も多く、摂取する場合にはあくまでも「自 己責任」で摂取するということになります。 ドリンク剤についても同様です。特に滋養強壮作用をうたった怪しげな名称のものは、その成分に禁止物質 の蛋白同化薬(ステロイド)を含む可能性があるので、避けた方が無難だと思います。3.漢方薬についての 項でも書きましたが、海狗腎(カイクジン)や麝香(ジャコウ)といった成分表記があれば使用してはいけま せん。 興奮薬のうち、2011 年から特定物質に変更された「メチルヘキサンアミン」は、「ゼラニウム油」あるいは 「ゼラニウム根エキス」、「ゼラニウム根抽出物」、「ジメチラミン」、「ペンチラミン」、「ゼラナミン」、「ホルタ ン」、「2-アミノ-4-メチルヘキサン」などと表記されてサプリメントに含まれていることがあります。その他 の物質でも、禁止表に表記されている物質名とは異なる名称で製品の成分欄に表記されることがありますので、 要注意です。 日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の認定商品であれば大丈夫ですので、摂取する場合にはそれらを利 用すると間違いはありません。どのような商品が認定されているのかについては、JADA のホームページから 参照できます。ただし、これも1 年ごとに更新されますので、必ず最新の情報をチェックしてから利用する必 要があります。 さらに、アスリートは通常摂取する食事に使われる食材にも注意を払わなくてはいけません。海外では、普 通に食べた食肉にドーピング禁止物質が含まれていて、そのために検査で禁止物質が検出されたと考えられる 例が報告されています。世界アンチ・ドーピング機構(WADA)によれば、食肉の肥育目的で家畜に禁止物 質のクレンブテロールが投与され、その肉を食べた競技者の検体からドーピング検査においてクレンブテロー ルが検出された可能性があるとされています。クレンブテロール以外にも、禁止物質である「ゼラノール」も 海外では特に食肉の肥育目的で家畜に投与されることがあるようです。摂取経路は明らかにされていませんが、 2014 年に韓国・仁川で行われたアジア大会においてゼラノールが検出されたドーピング違反事例が出ていま す。

10.競技会検査においてのみ禁止されている薬物は、いつまでに服用をやめれば大丈夫か

薬物はその種類によって体から排泄されるまでの時間が異なります。エフェドリンやプソイドエフェドリン などは代謝、排泄されるのが比較的早いため、競技会の3~4 日前までに使用を中止すれば一般的には大丈夫 なはずです。しかし、市販の胃腸薬によく含まれているホミカ(ストリキニーネ)は比較的遅く、少なくとも 競技会の1 週間前までには服用を中止したほうがよいと考えられます。 ただ、個人差がかなりあり、薬物の代謝、排泄に時間のかかる人もいます。8 日前に摂取したかぜ薬に含ま れていたエフェドリン類が検出されてドーピング違反に問われた事例が報告されましたので、競技会の14 日 前には使用を中止しておいたほうが無難と思われます。 さらに言えば、禁止物質を含まない薬でも同等の効果を期待できる薬は多いので、競技会検査においてのみ 禁止されている薬物といえども、普段から服用しないようにするのが最善の策です。

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11.静脈注射、点滴について

医療機関を受診したさいに(救急搬送中の処置も含む)、医療従事者が医療上必要と判断した場合には静脈 注射、点滴が認められ、その場合は事後のTUE 申請も必要ないということは 2017 年と変更ありません。た とえば急性胃腸炎で脱水があり、激しい嘔吐で薬や水分を飲めない場合などに点滴を受けることは違反にはな りません。検査で静脈内注入が必要な場合も認められます。ただし、用いられる薬剤に禁止物質が含まれる場 合にはTUE 申請が必要になります。また例えば暑い日にきつい練習をやった後など、誰でも多少は脱水状態 になりますが、自分で水分を飲める場合は点滴が医療上必要とは認められず、もしこのような状況で点滴を受 けると、たとえ点滴の中に禁止物質が含まれていなくても違反に問われると考えられます。 具体的な量と投与間隔については若干の変更がありました。2017 年までは 50ml を超えない量のワンショ ットの静脈注射であれば、その内容に禁止物質を含まなければ禁止されず、その投与間隔については、「6 時 間あたりで50 ml 以内」となっていましたが、2018 年では「12 時間あたりで計 100ml を超える量は禁止さ れる」となりました。

12.糖質コルチコイド(ステロイド)を含有する皮膚外用薬について

この項に関しても、昨年と変更はありません。 発毛剤や滋養強壮薬のように、蛋白同化薬を成分に含むものは禁止ですが、一般の皮膚疾患に対して用いら れるステロイド入りの皮膚外用薬(軟膏など)に関しては、それらに含まれるステロイドは糖質コルチコイド であるため、これに関しては皮膚外用であれば2018 年は使用可能で、TUE 申請も必要ありません。 ただ、注意しなければならないのは痔の薬です。糖質コルチコイド(ステロイド)入りの軟膏も多いのです が、これを肛門周囲にぬることは局所使用とみなされるため大丈夫で、TUE 申請も必要ありません。しかし、 坐薬として肛門内に入れる場合や軟膏を肛門内に注入する場合は「経直腸投与」という全身投与とみなされる ため、事前にTUE 申請をして許可を受けないと使用できません。

13.点眼薬、点鼻薬、口内炎の薬などについて

尿崩症や夜尿症、血友病などの治療薬として用いられる「デスモプレシン」(点鼻薬、スプレー、注射製剤 があります)が 2011 年から禁止物質として追記されました。治療上必要ならば、TUE 申請をして許可を受 ける必要があります。ただし、デスモプレシン類似物質の「フェリプレシン」は、歯科領域で局所麻酔薬とし て用いられることがありますが、この場合の「フェリプレシン」の局所投与は禁止されません。 点眼薬や点鼻薬の中には、血管収縮薬(興奮剤になる)や糖質コルチコイドなどの禁止物質あるいは関連物 質が含まれているものもありますが、これらを点眼、点鼻など局所的に使用することに関して、2018 年は許 可されており、TUE 申請も必要ありません。 また、口内炎の薬の中にはやはり禁止物質の糖質コルチコイドを含むものもありますが、口腔内の局所的使 用についても同様に2018 年は許可されており、TUE 申請も必要ありません。 医療機関で処方される緑内障用の点眼薬、ドルゾラミド(商品名トルソプト)とブリンゾラミド(商品名 エイゾプト)に関しては、昨年同様使用可能で、これらを使用する場合はTUE 申請も必要ありません。

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14.糖質コルチコイド(ステロイド)について

糖質コルチコイドに関して、禁止される使用経路等に関しては昨年と同様です。 糖質コルチコイド(ステロイドの一種)を経口投与(内服薬)、経直腸投与(坐薬)、静脈内投与(静脈注 射)、筋肉内投与(筋肉注射)で使用することは禁止されており、治療上必要な場合はTUE 申請が必要です。 糖質コルチコイドの関節内投与、関節周囲への投与、腱周囲への投与、硬膜外投与、皮内投与および吸入使 用に関しては、TUE 申請は昨年同様不要であり、使用の申告も不要です。 まとめを下表に示します。

糖質コルチコイド(ステロイド)使用にあたって必要な手続き

使用方法、使用経路 必要な手続き 経口投与、静脈内投与、筋肉注射、経直腸投与 TUE 関節内注射、関節周囲注射、腱周囲注射、硬膜外投与、 皮内投与、吸入 手続き必要なし(TUE も使用の申告も不要) 耳疾患、口腔内疾患、皮膚疾患、歯肉疾患、鼻疾患、 目疾患および肛門周囲の疾患に対する局所的使用 手続き必要なし(TUE も使用の申告も不要)

15.花粉症などのアレルギーの薬について

アトピー性皮膚炎などに用いられるぬり薬の中には、糖質コルチコイド(ステロイド)を含むものが多いの ですが、ぬり薬であれば前述のように 2018 年は使用可能で、TUE 申請も必要ありません。花粉症などに対 して用いられる点眼薬や点鼻薬にも、糖質コルチコイドや興奮剤を含むものがありますが、これらに関しても、 前述したように点眼や点鼻などの局所使用であれば2018 年は使用可能で、TUE 申請も必要ありません。 ただし、内服薬(のみ薬)には禁止物質を含むために使用が制限されるものがありますので、注意が必要 です。特に注意が必要なのは市販の鼻炎用内服薬です。これらは成分としてプソイドエフェドリンを含むも のが多いため、競技会前や競技会期間中は禁止されます。また医療機関で処方される内服薬のうち、「セレス タミン」という薬は糖質コルチコイドを含有するため、競技会前や競技会期間中は禁止されます。「ディレグ ラ」もプソイドエフェドリンを含有するため同様に禁止されます。治療上必要な場合は、あらかじめTUE 申 請をして承認を得ることが必要となります。

16.糖尿病の治療薬について

糖尿病の治療薬のうち、「インスリン」は禁止物質です。使用するには TUE 申請が必要です。インスリン と同じように皮下注射等で用いられる薬で、GLP-1 受容体作動薬(商品名:バイエッタ、ビデュリオン、ビ クトーザなど)については、2012 年は禁止物質に該当するという判断でしたが、2013 年に禁止されないこと が明記され、2018 年も同様に使用可能と考えられます。

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(3)使用可能な一般用医薬品(大衆薬)の例

販売名(販売会社名)で記載しています。

1監視プログラムのカフェイン類を含むもの

解熱鎮痛薬

内服薬: バイエルアスピリン(バイエル薬品、佐藤製薬)、バファリンA(ライオン)、*1ノーシン錠(アラクス)、 1イブA 錠(エスエス製薬)、小児用バファリン CⅡ(ライオン)、1ナロンエース(大正製薬) タイレノールA(ジョンソン・エンド・ジョンソン、武田 CH)、ロキソニン S(第一三共ヘルスケア)

総合感冒薬

内服薬: *1ストナアイビー(佐藤製薬)1新エスタック「W」(エスエス製薬) 外用薬: ヴィックス ヴェポラッブ(大正製薬)

鎮咳去痰薬

内服薬: ストナ去たんカプセル(佐藤製薬)、コンタックせき止めST(グラクソ・スミスクライン) *1エスエスブロン液L(エスエス製薬) トローチ: ベンザブロックトローチ(武田薬品)、ペアコールトローチAZ(日新薬品工業)

胃腸薬

内服薬: ガスター10(第一三共ヘルスケア)、サクロン Q(エーザイ)、ブスコパン A 錠(エスエス製薬)、 ブスコパンM カプセル(エスエス製薬)

便秘治療薬

内服薬: コーラック(大正製薬)、ピコラックス(佐藤製薬)

整腸薬、下痢止め

内服薬: ストッパ下痢止めEX(ライオン)、強ミヤリサン(錠)(ミヤリサン製薬)、 新ビオフェルミンS 錠(ビオフェルミン製薬)、強力わかもと(W)(わかもと製薬)、 新ビオフェルミンS 細粒(ビオフェルミン製薬)、

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吐き気止め

内服薬: センパアQT(大正製薬)

アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)

内服薬: ザジテンAL 鼻炎カプセル(グラクソ・スミスクライン)、アレルギール錠(第一三共ヘルスケア)、 パブロン鼻炎カプセルZ(大正製薬)、アレジオン 10(エスエス製薬)、アレジオン 20(エスエス製薬)、 スカイナーAL 錠(エーザイ)、アレグラ FX(久光製薬)

その他の外用薬(うがい薬、軟膏など)

外用薬: イソジンうがい薬(ムンディファーマ)、パブロンうがい薬AZ(大正製薬)、明治うがい薬(明治)、 サロメチール(佐藤製薬)、エアーサロンパスDX(久光製薬)、オロナイン H 軟膏(大塚製薬)、 アンメルツヨコヨコ(小林製薬)、ボルタレンEX ゲル(グラクソ・スミスクライン) サロメチールジクロ(佐藤製薬)

(18)

- 17 -

(4)使用してはいけない一般用医薬品(大衆薬)の例

販売名(販売会社名)で記載しています。

2トリメトキノールを含むため、常時禁止されるもの

総合感冒薬

内服薬: パブロンゴールドA 錠(大正製薬)、パブロンメディカル N(大正製薬)、新ジキニン顆粒(全薬工業)、 パブロンエースAX 錠(大正製薬)、バファリンかぜ EX 錠(ライオン)、 新ルルA 錠 s(第一三共ヘルスケア)、 新ルルA ゴールド DX(第一三共ヘルスケア)、ルルアタック EX(第一三共ヘルスケア)、 エスタックイブファイン(エスエス製薬)、新エスタックゴールド錠(エスエス製薬)、 エスタック総合感冒(エスエス製薬)、エスベナンエースAEC(白石薬品)、 ベンザブロックIP(武田 CH)、ベンザブロック IP 錠(武田 CH)、 ベンザブロックS(武田 CH)、ベンザブロック S 錠(武田 CH)、 ベンザブロックL(武田 CH)、ベンザブロック L 錠(武田 CH)、 コルゲンコーワIB 透明カプセルα(興和)、コルゲンコーワ IB 錠 TXα(興和)、 新コンタックかぜ総合(グラクソ・スミスクライン)、プレコール持続性カプセル(第一三共ヘルスケア)、 ストナアイビージェル(佐藤製薬)、ストナジェルサイナスS(佐藤製薬)、改源(カイゲンファーマ)、 カコナール(第一三共ヘルスケア)、葛根湯エキス錠クラシエ(クラシエ)

鎮咳去痰薬

内服薬: エスエスブロン錠(エスエス製薬)、エフストリン錠剤(大昭製薬)、パブロンS せき止め(大正製薬)、 クールワンせき止めGX(キョーリン製薬)、アネトンせき止め Z 錠(武田 CH)、 ベンザブロックせき止め錠(武田CH)、ベンザブロックせき止め液(武田 CH)、 新コルゲンコーワ咳止め透明カプセル(興和)、ヒストミンせき止め(小林薬品工業)、 ストナデイタイム(佐藤製薬)、ストナプラスジェル2(佐藤製薬)、*2新トニン咳止め液(佐藤製薬) 外用薬: 固形浅田飴クールS(浅田飴)、固形浅田飴ニッキ S(浅田飴)、固形浅田飴パッション S(浅田飴) 浅田飴水飴(浅田飴)、浅田飴せきどめの類(すべて)(浅田飴)

便秘治療薬

内服薬: コッコアポEX 錠(クラシエ)、ナイシトール G(小林製薬)、ナイシトール Z(小林製薬)、 防風通聖散(エキス顆粒)(ツムラ) 注意:これらの薬はダイエット薬としても販売されている可能性があります。

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胃腸薬

内服薬: ガロニン錠(全薬工業)、パンジアス顆粒(白石薬品)

アレルギー用薬(鼻炎用内服薬を含む)

内服薬: パブロン鼻炎カプセルSα(大正製薬)、新コンタック 600 プラス(グラクソ・スミスクライン)、 コルゲンコーワ鼻炎持続カプセル(興和)、スラジンA(佐藤製薬)、小青竜湯(エキス顆粒)(ツムラ) エスタック鼻炎カプセル12(エスエス製薬)、プレコール持続性鼻炎カプセル LX(第一三共ヘルスケア)

発毛薬

外用薬:(この項のものは常時禁止されます。) ミクロゲン・パスタ(啓芳堂製薬)

漢方薬で使用してはいけない代表例

葛根湯、小青竜湯などはすでに記載したので重複しますが、特に注意してほしい薬剤なのでもう一度記載 します。下記の漢方薬は細かい薬剤名や販売会社にかかわらず、服用してはいけない薬です。 内服薬: 葛根湯、小青竜湯、麻黄湯、薏苡仁湯、麻杏甘石湯、防風通聖散、五積散、神秘湯、五虎湯、 麻黄附子細辛湯、越婢加朮湯、八味地黄丸、桂枝加朮附湯、真武湯、女神散、麻杏薏甘湯、 治打撲一方、大防風湯、温経湯、牛車腎気丸、立効散

滋養強壮薬で使用してはいけないもの(皮膚外用の軟膏類を含む)

内服:(この項のものは常時禁止されます。) 強力バロネス(日新製薬)、金蛇精(糖衣錠)(摩耶堂製薬)、 プリズマホルモン錠(原沢製薬工業)、プリズマホルモン精(原沢製薬工業)、 外用:(この項のものは常時禁止されます。) NEW ヘヤーグロン(大東製薬工業)、トノス(大東製薬工業)、オットピン(液)(ヴィタリス製薬)、 オットピン‐S(ヴィタリス製薬)、グローミン(大東製薬工業)、プリズマホルモン軟膏(原沢製薬工業) 注意:上記のほか、生薬として海狗腎(カイクジン)、麝香(ジャコウ)などを含むものも、それらの生薬 の成分として禁止物質の蛋白同化薬が含まれていると考えられるため、これらも常時禁止されます。

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(5)昨年から変更された主な点

新たに指定された禁止物質はないが、禁止物質の例がいくつか追記された

常に禁止される物質のS3.ベータ 2 作用薬の例として、ツロブテロールが追記されました。これは「ホク ナリンテープ」や「ツロブテロールテープ」という商品名で、かぜをひいて咳が出るとか、喘息の症状に対 してしばしば処方されることのある薬です。以前から禁止物質でしたが、今回例として追記されました。 競技会(時)に禁止される物質の S6.興奮薬の例として、1,3-ジメチルブチルアミンが追記されました。 この物質は成分表記されていなくても、いくつかのサプリメントから成分として検出されていますので要注 意です。 糖質コルチコイドの例がいくつか追記されました。

サルブタモールの使用許容量に関して、より明確な表現になった

喘息の吸入治療薬として使用されることのあるサルブタモールの使用許容量に関して、その上限について 「いかなる容量から開始しても12 時間で 800 ㎍を超えないこと」という、より明確な表現になりました。

グリセロールは禁止物質から除外された

常に禁止される物質のS5.利尿薬および隠蔽薬の項から、グリセロールは除外されました。

「静脈内投与」に関する基準が若干変更された

常に禁止される方法のM2.化学的および物理的操作の「静脈内投与」に関する基準が、これまでの「6 時 間あたり50mL を超える場合は禁止」から「12 時間あたり計 100mL を超える場合は禁止」に変更されま した。

監視プログラムに追加されたもの、および除外されたものがある

監視プログラムなので禁止物質ではないのですが、乱用防止のために使用パターンを把握することを目的 として、 ・2-エチルスルファニル-1H-ベンゾイミダゾール(ベミチル) ・ヒドロコドン が追加されました。 逆にミトラギニンとテルミサルタンは監視物質から除外されました。

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(6)注意すべき点(抜粋)

(このページをコピーして競技者に配ってください。)

(特に市販の)かぜ薬やせき止め、鼻炎用内服薬に要注意!

かぜ薬やせき止め、鼻炎用内服薬の中には禁止物質を含むものが多く、注意が必要です。

漢方薬に要注意!

漢方薬の中には禁止物質を含んでいるものも多く、注意が必要です。また、漢方薬はその成分が複雑で、 服用しても大丈夫という確証を得ることはむしろ難しいので、服用を避けたほうが無難です。成分名も独特 の表記になっているので、それが禁止物質と気付かない可能性もあり、要注意です。

似たような名前の薬に要注意!

たとえば薬の名前の最後に「顆粒」とつくか否かでドーピング禁止物質を含んだり含まなかったりするこ ともあるので、注意が必要です。

サプリメントや健康食品に要注意!

使用する場合は自己の責任においてよく成分を調べ、信頼できるメーカーのものにしましょう。 成分に書かれていなくても禁止物質が入っていることがあります(特に外国製のもの)。

発毛剤やニキビの薬に要注意!

ぬり薬の発毛剤の中には禁止物質のテストステロンを含むものがあり、この使用は禁止されます。ニキビ に対して用いられる薬の中には禁止物質の利尿薬の類を含むものがあり、これも使用してはいけません。

喘息の薬に要注意!

喘息の薬には禁止物質が多く、注意が必要です。喘息の方は必ずアンチ・ドーピングに関して詳しいスポ ーツドクターに早めに相談してください。吸入ベータ2作用薬のうちサルブタモール(24 時間で最大 1600 ㎍までかついかなる12 時間でも最大 800 ㎍まで)、サルメテロール(24 時間で最大 200 ㎍まで)、ホルモ テロール(24 時間で最大 54 ㎍まで)と、吸入ステロイド薬については、TUE 申請も使用の申告も不要で 使用できます。

高血圧の薬の中に利尿薬は入っていませんか?

禁止薬剤である利尿薬は「尿をたくさん出させる薬」ですが、高血圧に対する薬としてよく使用されるた め、注意が必要です。「合剤」の成分として含まれていることもあり、要注意です。

競技者が安易に点滴や静脈注射を受けてはいけません!

医学的に必要な場合の点滴は許可されますが、たとえば「きつい練習後の脱水状態」に対して点滴するこ とは禁止されていると考えられます。

(22)

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(7)薬剤に関する質問用紙(日本学生陸上競技連合用)

日付:平成 年 月 日

質問者名

フ リ ガ ナ

: 年齢 歳、 性別:男・女

所属(大学名)

身分: 競技者、指導者(コーチ、トレーナー)

、大会役員、医師、その他( )

連絡先:住所〒

電話番号: - -

FAX 番号: - -

* ***********************************

公益社団法人日本学生陸上競技連合医事委員 蒲 原

かまはら

一 之

かずゆき

宛先:国立スポーツ科学センター メディカルセンター

〒115‐0056 東京都北区西が丘 3‐15‐1

FAX:03‐5963‐0212 TEL:03‐5963‐0211

質問欄

回答欄

回答日:平成 年 月 日 回答者署名:

(23)

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あとがき

本書は、禁止物質をそれとは知らずに服用してしまうなどの、いわゆる「うっかりドーピング」の防止を第 一に考えて2008 年 9 月に初版を作成し、1 年ごとに改訂版を作成しています。 ドーピング検査の手順の実際や、居場所情報に関すること、アンチ・ドーピング規程の詳細などについては 省略してあります。もっと詳しく知りたい方は、「参考資料」を各自入手してご覧ください。JADA のホーム ページにアクセスすると、いろいろ見られるようになっています。 2019 年 1 月 1 日からは、禁止物質に関するリストがまた改定されるはずですので、本書は 2018 年 12 月 31 日まで有効なものと考えてください。2019 年版もまた時期が来たら発行したいと考えています。 最後に、本書の作成、発行にあたりお世話になった方々に深謝いたします。 2018 年 1 月 編集人

{参考資料}

1.世界ドーピング防止規程 2017 年禁止表国際基準、日本語版 (世界アンチ・ドーピング機構、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) 2.世界ドーピング防止規程 治療使用特例に関する国際基準、日本語版(2016 年版) (世界アンチ・ドーピング機構、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) 3.薬剤師のためのドーピング防止ガイドブック 2017 年版 (公益社団法人日本薬剤師会他) 4.医師のための TUE 申請ガイドブック 2017 (公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) 5.世界アンチ・ドーピング規程 2015、日本語翻訳 (世界ドーピング防止機構、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) 6.世界アンチ・ドーピング規程 2018 年禁止表国際基準、日本語版 (世界アンチ・ドーピング機構、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) 7.世界アンチ・ドーピング規程 2018 年禁止表 主要な変更の要約と注釈、日本語版 (世界アンチ・ドーピング機構、公益財団法人日本アンチ・ドーピング機構) (順不同)

タイトル : 知っておきたいアンチ・ドーピングの知識

2018 年版

2018 年1月1日発行 発行人 松本 正之 編集人 永井 純 鎌田 浩史 蒲原 一之 発行所 公益社団法人日本学生陸上競技連合 〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-58-11 中沢ビル2階 TEL:03-5304-5542 FAX:03-5304-5569 http://www.iuau.jp/

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