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dz : dp : q : (AP7.2-2) 2 P (AP7.2-1) P 2 P また後に示すように比湿の誤差による空間平均気温への影響は 1 桁小さいので q には2 高度での平均値を使用した. 台における風向 風速を補足的に使用した. 観測に使用した気圧計は 25msec ごとに計測を行い

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(1)

AP7.

気温の不均質性と空間代表気温

気温の不均質性と空間代表気温

気温の不均質性と空間代表気温

気温の不均質性と空間代表気温

の推定

の推定

の推定

の推定

AP7.1 はじめに

はじめに

はじめに

はじめに

一般にヒートアイランド強度は都市と郊外での気温 差として定義される.その大きさはおよそ数℃のオー ダーである.しかし,気温の測定は比較的小さいスケ ールの外乱に影響を受けるため,測定点を都市内の どこに置くかによってヒートアイランド強度は大きく変 わってしまう.この問題については第1章においてす でに述べた(観測値の空間代表性,場の不均質性の 問題).この気温測定値の空間代表性の問題は都市 域に限らず複雑地表面,すなわち熱的に不均質な環 境において問題となる.このような環境下ではある地 域(都市域あるいは郊外)を代表する気温を測定する ことは困難であり,計測されたヒートアイランド強度は 常に空間代表性の危険性にさらされている. この問題に対する解答として従来の研究がとってき た方法は次の4つである.1)複数の地点での測定値 を平均することで,空間代表値とする,2)地表付近は 気温の不均質性が激しいと考えられるので,ビルキャ ノピー上で計測された,あるいは校庭など比較的開け た場所において計測された値を平均値(代表値)とす る(山添,一ノ瀬,1994).キャノピー上での測定で は”blending height”程度の高度で測定するのが望まし いことが示されている(Mason,1988).3)センサ付近の 熱 的 環 境 を 観 測 点 間 で 統 一 す る . 4 ) ”source area”(Horst and Weil, 1994; Schmid,1994)をチェックし 測定値が代表するエリアを特定する.これらの方法は 解決策ではあるが,その根拠や空間代表性の保証に 乏しい点があった.1番目の方法では統計的有意性を 得るために非常に多数の観測点を必要とし,コストの 面で問題がある.加えて,どの程度の数の観測点を平 均すれば空間代表値として十分なのかが不明である. 2番目の方法では都市キャノピー内の気温を測定する ことはできない.3番目の方法は常時観測点において, 温度計の地上高度や露場の土地被覆を統一するとい った形で行われている.これもコストがかかる点が問 題である.4番目の”source area”は複雑な土地被覆上 でのフラックスやスカラー量の分布を考える際に非常 に価値があり,数多くの研究で利用されている.しかし, source area は重み付けされたセンサの検知エリアで あり,source 自身の強さについては考慮することがで きない. そこで本研究では,空間平均気温を測定する新し い方法を提示する.これは従来の観測とは異なる方法 であり,2高度での気圧測定値を用いて空間平均気温 を算出する.すなわち観測された鉛直方向の気圧差 と静力学平衡の式から空気塊の気温を求める方法で ある.気圧はその特性上,ある広さで平均された量が 計測される.したがって気圧差から求められた気温は 小スケールの気温のばらつきに影響されず,直接測 定よりも広い空間を代表している.本研究では,この 気圧差より算出した気温を空間平均気温と呼ぶことに する.空間平均気温を精度良く測定できれば熱的に 不均質な環境において基準温度として使用することが できる. 本節では東京新宿副都心の高層ビル街において 観測を行い,空間平均気温を求めた.その結果をもと に,都市域で直接測定された気温についてその代表 性を検討した.まず空間平均気温の推定方法と精度 について詳細に検討する.次に推定された空間平均 気温を用いて,直接測定された気温に影響を与える 空間的に不均質なファクター(たとえば移流)につい て定量的に評価する. AP7.2 空間平均気温の算定方法空間平均気温の算定方法空間平均気温の算定方法空間平均気温の算定方法 A) 原理 2高度での気圧差 dP から静力学平衡の式を用いて 算出される空間平均気温 Tavは次のように表せる.

T

av

=

T

v

/(

1

+

0

.

608

q

av

)

, (AP7.2-1)

RdP

gdz

P

T

v

=

av , and (AP7.2-2)

=

Pdz

dz

P

av . (AP7.2-3) ここで,Tv : (静力学的平均)仮温度,Pav : 2 高度間

(2)

での平均気圧,dz : 高度差,dP : 気圧差,qav :平均比 湿である.式(AP7.2-2)において,2 高度間での空気密 度の重みがついた平均気圧 Pavを用いた.したがって 式(AP7.2-1)で求められる気温は気圧がPavである高度 での気温に相当する.実際の解析では2 高度での気圧, 仮温度を内挿したプロファイルから Pavを求めた.ま た後に示すように比湿の誤差による空間平均気温へ の影響は 1 桁小さいので qavには2高度での平均値を 使用した. B)観測 上記の方法で求めた空間平均気温を検証するため, 1999年夏期に高層都内のビル街において観測を行っ た.東京都庁屋上(海抜 277m)および中野本郷小学 校屋上(海抜 49.2m)に気圧計を設置し連続観測を行 った.観測地点を記載した地図を図 AP7.2-1 に示す. 2 地点の高度差は 227.9m,水平距離は約 1.9km であ る.都庁屋上では気温,相対湿度,風速も測定した. 風速は3次元超音波風速計によって測定を行い,風 速計はビル体による乱流を避けるため,屋上面から 19. 9m 上方に設置した.ただし,観測期間中後半は超音 波風速計の不調で欠測となったため,東京管区気象 台における風向・風速を補足的に使用した.観測に使 用した気圧計は 25msec ごとに計測を行い,各記録イ ンターバルで平均された気圧をデジタル出力してい る.都庁屋上ではこれをノートパソコンに 10 秒インタ ーバルで記録し,小学校屋上においては電源の制限 から 1 分インターバルで記録した.観測場所の概要お よび測定器材を表 AP7.2-1 にまとめた. 139.0 139.5 140.0 35.4 35.6 35.8 36.0 139.0 139.5 140.0 139.0 139.5 140.0 35.4 35.6 35.8 36.0 Tokyo bay rain pressure O N Hi F To Ha P2 P1 10km 図 AP7.2-1 観測地点の配置図.P1,P2 はそれぞれ上 下の気圧観測地点.その他のマークは AMeDAS (Ha: 八王子, To: 所沢, N: 練馬, F: 府中, O:大手町, Hi: 日吉).

― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ―

表 AP7.2-1 観測の詳細 Place Height above sea, above gournd

Period Instruments Absolute accuracy Upper site (Building roof of Metropolitan government, P1 in Fig.1) 277.0m ASL 242.5m AGL 29th July to 26th August

Air temperature and relative humidity (Humicap/VAISALA), Air pressure (PTB200A/VAISALA) 3D wind speed (WT395/Kaijo) 0.2℃ 2.0% 0.20hPa 0.4m/s Lower site (Building roof of elementary school, P2 in Fig.1) 49.2m ASL 12.5mAGL 28th July to 25th August Air pressure (VAISALA, PTB220A) 0.40hPa C) 気圧測定における動圧補正 空間平均気温の算出に必要とするのは各高度での 静圧であり,大気の流れによって生じる動圧は誤差要 因である.空間平均気温の算出には気圧差を特に厳 密に測定する必要があるが,一般気象学の分野でも 気圧測定に対する動圧の影響は無視できない(一木, 1999).今回のように建物屋上に気圧計を設置した場 合,大気の流れによる動圧は次の2つのスケールに 分類できる.1)気圧計の外気取り込み口の構造によっ て測定値が高圧または低圧になる.2) 建物上を乗り

(3)

越える流れにより,一般に屋上面では低圧になる(市 街地風研究会,1978; Liu and Darkow,1989).1の問題 に関しては Nishiyama and Bedard (1991)を参考に,水 平に設置した板(50cm×50cm 程度)の中央部に下向 きに吸い込み口を設けることで動圧が生じないように した.なお 2 台の気圧計は野外の同一場所において 比較検定を行った.この検定のデータ数は 8784 個で, 補正後の気圧差の精度は 0.016hPa であった. 2 の問題について,風速と動圧は次の式で表され る. 2

u

P

α

δ =

. (AP7.2-4) ここでδP:風による動圧(kg/m2 ), u:風速(m/s), α:定数で ある.定数αは建物の形状および風速計の設置場所 によって変化する.本研究では観測期間中の風速の 実測値をもとに風圧係数を決定し補正を行った.αの 決定に際しては式(AP7.2-4)が気圧,風速の変動成分 についても成り立つと仮定し,気圧,風速それぞれに ついて 30 分平均値からの偏差をとり,風向別に式 (AP7.2-4)に当てはめた.風向とαの関係を図 AP7.2-2 に示す.αが正負に振れているのは都庁がいわゆるツ インタワー型で,屋上面が複雑な構造になっているた めである.図 AP7.2-2 にはαを決定した際の標準偏差 とデータ数も風向ごとに示した.西から北の風向では 標準偏差が大きくなっているが,これはデータ数が少 ないためであり,実際の補正に際しては大きな問題と はならない.この定数αを決定する際の誤差は後に示 す空間代表気温の誤差に含まれている.小学校屋上 については超音波風速計による風の測定ができなか ったため,約8km離れた東京管区気象台での気圧測 定値を真値とし,東京管区気象台で測定された風速を 用いてαを決定し動圧補正を行った.東京管区気象台 の気圧計は室内に設置されており,動圧の影響は小 さいと思われる. なお,都庁屋上での風速は観測期間前半(7 月 29 日~8 月 4 日)しか測定できなかった.したがって,前 半のデータを用いて,都庁屋上の風速と東京管区気 象台の風速との関係を求め,この関係式を使用して動 圧補正を行った. この風速推定の誤差も後に示す誤 差解析に含めてある. 0 90 180 270 360

wind direction [degreeof N]

-0.008 -0.004 0 0.004 0.008 α [ hPa m -2 s -2 ] 0 2 4 dat a nu m be r ✕10 4 0 0.008 fitti ng er ro r

for P' [hPa] number =>

<= STD

図 AP7.2-2 風向ごとの動圧補正係数.係数決定

時の誤差とデータ数についても示した.

E) 水平気圧傾度 気圧計の設置場所を確保することが困難であった ため,今回測定を行った観測地点は水平方向に 2 km 離れている.この設置状況は観測の目的からすれば 理想的な状態ではなく,水平気圧傾度が空間平均気 温を算出する際の誤差要因となる.そこで気象官署で 測定された気圧データからこの2地点間の水平気圧 傾度を調べた.東京,千葉,横浜,熊谷,甲府,秩父, 館野の気象官署で測定された気圧(海面更正気圧)を 内挿し,都庁―中野本郷小学校間での気圧傾度を求 めた.その結果,強い降水があった日を除いていず れの日も気圧傾度は 1.7✕10-5 hPa 程度であり,気圧 計の器差 0.016hPa よりもかなり小さかった.次節の誤 差解析の結果からみても気温の推定にはほとんど影 響しないことから,今回は水平気圧傾度を無視して解 析する. E) 平均化時間 気圧の測定自体は 1 分または 10 秒で行ったが,解 析の際は静力学平衡が成り立つような時間スケール でデータを平均化する必要がある.なぜなら静力学平 衡はある程度の定常状態において成立するものであ り,各瞬間において成立するのは鉛直方向の運動方 程式である.平均化時間は静力学平衡が成立する程

(4)

度に長ければならないが,長すぎると熱的成層状態 が変化してしまい,求めた温度自体の意味が不明確 になってしまう.そこで,適切な平均化時間を決定す るため,すべての測定日について気圧のスペクトルを 調べた.晴天日,降水日いずれも特に目立ったスペク トルのピークはなく,降水日に数 10 分から数時間の変 動が多少強化されている程度であった.したがって, 時間平均の作業に対して特に注意を払うべき現象も 見られなかったので,他の気象要素との同期をとるた めに平均化時間を 10 分にした. AP7.3 空間平均気温の推定精度空間平均気温の推定精度 空間平均気温の推定精度空間平均気温の推定精度 この方法で見積もった空間平均気温Tavの精度は以 下のようになる. av v v av v v av av

q

T

T

q

q

T

T

T

T

δ

δ

δ

δ

δ

1

10

1

.

6

608

.

0

1

608

.

0

×

+

+

+

=

, ,, , (AP7.3-1)

dP

dP

dz

dz

P

P

T

T

av av v v

δ

δ

δ

δ

=

+

+

(AP7.3-2) 各項の大きさについて系統誤差とランダム誤差にわけ て考える. 第1項 3

10

5

.

3

1000

5

.

3

=

×

=

av av

P

P

δ

( 系 統 誤 差 ) , (AP7.3-3) 3

10

1

.

1

1000

1

.

1

=

×

=

av av

P

P

δ

( ラ ン ダ ム 誤 差 ) , (AP7.3-4) 第2項 3

10

2

.

2

228

5

.

0

=

×

=

dz

dz

δ

( 系 統 誤 差 ) (AP7.3-5)

0

=

dz

dz

δ

(ランダム誤差) (AP7.3-6) 第 3 項 4 3

10

4

.

2

25

10

1

.

6

×

=

×

=

dP

dP

δ

(系統誤差), (AP7.3-7) 3 2

10

2

.

1

25

10

2

.

3

×

=

×

=

dP

dP

δ

(ランダム誤差) (AP7.3-8) また, 3

10

9

.

5

×

=

av

q

δ

(系統誤差) (AP7.3-9) 3

10

3

.

2

×

=

av

q

δ

(ランダム誤差) (AP7.3-10) ただし,ランダム誤差については各測定における標準 誤差(standard deviation of mean)とした.Pavおよび dP

の精度には動圧補正に関する誤差も含めてある.以 上より, 3

10

0

.

6

×

=

av av

T

T

δ

( 系 統 誤 差 ) , (AP7.3-11) 3

10

4

.

2

×

=

av av

T

T

δ

( ラ ン ダ ム 誤 差 ) . (AP7.3-12) Tav=300K とすると,

8

.

1

=

av

T

δ

(系統誤差) , (AP7.3-13)

73

.

0

=

av

T

δ

(ランダム誤差) . (AP7.3-14) この結果から,空間平均気温の絶対値は 1.8℃のバイ アスを持って計算される可能性があり,また相対値とし ては 0.7℃の誤差が存在しうることがわかる.これらの 誤差は通常の温度計による計測よりも大きいため,空 間平均気温を温度計の代わりに使うことにはそれほど

(5)

メリットがない.むしろルーチン観測の空間代表性の 検証するのに使用すべきである.またこれ以上の精度 向上には特に気圧の動圧補正に関する改善が必要 であると思われる. AP7.4 平均領域の大きさ平均領域の大きさ 平均領域の大きさ平均領域の大きさ この空間平均気温は水平方向にどの程度の広さを 平均した気温であろうか?観測時の高度差が大きけ れば大きいほど平均領域は広くなると思われるが,そ の領域の大きさを理論的に求めるのは困難である.そ こで,本研究では次の実験的な方法によって空間平均 気温が代表する領域を推定した.降水が存在する場合, 大気中に存在する雨滴によって空気塊の密度が大き くなるため,空間平均気温は実際の温度より低く見積 もられる.そこで孤立した降水域が観測地点を通過し た様子を解析すれば,その降水域の分布と空間平均気 温の変動から,空間平均気温の平均領域の広がりを推 定することができる.本研究では降水域をレーダエコ ーと雨量計のデータから推定した.図 AP7.4-3 は 1999 年 8 月 24 日の降水の際に測定された空間平均気温と 直接測定された気温,および降水量の時系列である. ただし,気温は両者とも温位に換算してあり,直接測 定は図AP7.2-1 の地点 O において測定されたものであ る.図 AP7.4-2 にはこの時間のレーダエコー分布図と して高度 2km の CAPPI(Constant Altitude Plain Position Indicater) を示す.降水域が北西より観測地 点を通過したあと南東方向へ抜けていったことがわ かる.この降水域の形状と合わせて,アメダス観測地 点のうち北東−南西方向に並んだ地点について平均 した降水量を図 AP7.4-1 に示した.練馬・府中グルー プの降水量と温位差の変動がよく対応していること がわかる.一方,他の2つのグループ(東京・世田谷 と八王子・所沢)の降水量は温位差のピークとは時間 がずれており,これらの地点は空間平均気温の検知領 域から外れていることがわかる.グループ間の距離は 10 km程度である.また図 AP7.4-2 を見ると 19:41 に おいて観測地点の東側および西側に降水域が存在す るが,観測地点上空には存在しない.図 AP7.4-1 の同 時刻では温位差はほぼゼロであり,気圧差には東・西 側の降水が感知されていない.以上のことから空間平 均気温の平均範囲は図 AP7.4-2 の 19:41 に見られる降 水の空白域よりも小さいことがわかる.同様の事例を 計 8 事例解析した結果,平均領域は平均で半径約 10km の領域であった.この平均領域は温度計による 通常の気温測定がもつ代表領域よりもはるかに大き く,また都市域の気温分布のスケールよりも大きいと 考えられる.したがって,空間代表気温は都市域の不 均質性を平均した代表気温ということができる.なお, 今回の観測では上下の観測地点そのものが水平方向 に 2km 離れており,そのために平均化領域が広くな っている可能性もある. 図 AP7.4-2 ではレーダビームに対する地上の障害物 を避けるため高度 2km の CAPPI 画像を使用したが, 気圧の測定高度は地上 49.2 ∼ 277m であり両者は 一致していない.また解析ではレーダエコーを降水域 として扱ったが,高度 2km の地点でのレーダエコー は,その下層で降水が存在したことを必ずしも意味し ない.このため本研究ではレーダエコーによる見積と 同時に,実際の降水量(図 4.4-1)も併用して解析を 行った. 16 18 20 22 JST 0 10 20 30 P o te n tia l T em p er a tu re [ ° C] 0 5 10 15 20 R a in F a ll [m m /1 0 m in ] 99/08/24 Tav TO rain(O,Hi) rain(N,F) rain(Ha,To) 図 AP7.4-1 降水時の温位と降水量の時間変化.1999 年8 月 24 日.Tavは空間平均気温,T0は直接測定され た気温.降水量はそれぞれ 2 地点での平均値.

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図 AP7.4-2 気圧観測地点付近のレーダーエコー分布図.1999 年 8 月 24 日,高度 2km における CAPPI 画像.ハッチはエコー強度(dBZ)を表す.二つのひし形マークが気圧観測地点.

(7)

AP7.5 直接測定された気温の空間代表性の検証直接測定された気温の空間代表性の検証 直接測定された気温の空間代表性の検証直接測定された気温の空間代表性の検証 以上の解析から,今回の観測により得られた空間平 均気温は都市キャノピー上厚さ 227m,平面積約 300km2の領域での平均気温であり,精度は系統誤差 で 1.8℃,ランダム誤差で 0.7℃であることがわかった. 以下では直接測定された気温について,この空間平均 気温と比較することでその空間代表性の検証を行う. 都市キャノピーより上層(屋上レベルより約 230 m 上方),屋上レベル,都市キャノピー内部において温 度計により直接計測された気温を空間代表気温と比 較した.都市キャノピー上の気温は都庁屋上で測定さ れたものであり,屋上レベルの気温は東京都大気汚染 監視網による測定のうち屋上面に設置された観測地 点の平均である.都市キャノピー内部の気温は東京管 区気象台における測定値である.各気温は温位に変換 して図 AP7.5-1 に示した.これによると,日中は各温 度ともほぼ同じ値を示すが,夜間には大きな違いが生 じている.空間平均気温と直接測定気温との差はおお よそ昼は 0.6℃,夜は 1.3℃である.日中は日射によっ て生じる活発な対流によって,都市キャノピー内を含 む大気境界層全体が等温に近い状態になったものと 思われる.ここで,空間平均気温と直接測定気温との 差は空間平均気温のランダム誤差よりも小さい.した がって,空間平均気温の誤差は前述の見積もりよりも 実際は小さく,総合的な誤差は 0.7℃であるといえる. 夜間に見られる気温の不均質性はビルキャノピー によって生じたものと思われる.都市キャノピー内部 の気温が空間平均気温よりも高温なのはビルによる キャニオン構造によって放射冷却が妨げられている ためである.キャノピー上の気温については,測定点 がキャノピー上端よりもはるか上方(約 230m)であ るために地表面の冷却の影響が及ばず,下層よりも気 温は高い.屋上面は放射冷却がもっとも活発に行われ る面であり,屋上レベルの気温は他の気温よりも低く なっている.図 AP7.1-1 に示した屋上レベルの気温は わずか 3 地点の平均値であるため定量的に評価するこ とはできないが,図 AP7.5-1 は空間平均気温が屋上レ ベルの冷気層に大きく影響されていることを示して いる. ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 30 31 1 2 3 24 26 28 30 32 34 [ oC] area-averaged above canopy inside canyon roof level

AP7.5-1

晴天日の気温時系列.空間平均気温および直接測定気温ともに温位で表した.直

接測定は都市キャニオン上,屋根面レベル,キャニオン内で測定されたもの.

(8)

結論として,日中は空間平均気温と直接測定気温 がほぼ同程度の値であり,気温の不均質性は小さい. この場合,直接測定気温は少なくとも周囲約 300km2 の領域を 0.7℃のランダム誤差をもって代表する気温 である.しかし,夜間はビルの屋根が冷却面となるた め,直接測定気温はその測定高度に敏感になる. 次にこの比較によって見られた気温分布の不均質 性について述べる.それは移流である.図 AP7.5-2 は 直接測定気温と空間平均気温との差について風向と の関係を見たものである.無降水日のデータについ てのみ示した.この図から風向が南から南西の場合に 直接測定気温が相対的に低くなっていることがわかる. この方向は東京における夏の海風の風向であり(下山, 1996),加えて,3℃以上の温度差が生じた 28 データ 中,25 事例が午後に発生している.したがって,この 直接測定気温の相対的な低下は海からの冷気移流に よって生じたものである.またこの移流の水平スケー ルは小さく,気温の直接測定地点(この場合は都庁屋 上)付近にのみ影響を与え空間平均気温には影響を 与えない.風向が北よりの場合との差をもって海から の冷気移流の影響とすれば,その大きさはは 2~3℃ である. ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― ― 0 90 180 270 360 -4 -2 0 2 o Tdire ct Tav

図 AP7.5-2 風向ごとにみた気温差(直接測定―空間平均).

このように移流は,空間平均された気温と,ある1地 点で測定された気温との差を用いることで検出できる. 移流は観測値の空間代表性を損なう要因であり,強い 移流が存在する場合は source area (Horst and Weil, 1994 や Schmid, 1994) も空間代表性の検討には有効 でない.source area は測定値の空間代表性を決定す る有効な手段であるが,source area 自体はいわばセン サの weight function であり,source の強さ(たとえば 熱源における発生量)を含んではない.実際にセンサ によって測定される値は weight function と source 強度 の積である.したがって移流のように source の強さに 不均質性がある場合は,source area の検討だけでは 計測値の空間代表性を評価できない.測定値の解析 では source area と同時に移流も検討されるべきであり, 本研究で提案した空間代表気温はその有効な手段で ある. AP7.6 結論結論結論結論 空間的な不均質性が大きい地表面付近において, 空間平均気温を推定する新しい方法を提示した.2 高 度での気圧差を測定することで,その高度間での平 均気温が推定できる.この気温は温度計で直接測定 される値よりも,より広域を代表した気温である.気圧 計の比較検定および風による気圧測定の誤差を補正 することで,温度としては系統誤差 1.8℃,ランダム誤差

(9)

0.7℃の精度で推定することが可能である.また高度 差 227m での気圧差から推定した気温は水平方向に は 300km2程度の領域を平均した気温であった. この空間平均気温と直接測定された気温とを比較し, 直接測定値の空間代表性について検討した.両者は 空間平均気温の誤差内でおおよそ一致しており,ビ ルキャノピー内外で測定された気温は 2℃程度の精 度で 300km2程度の空間代表性があることが確認され た.ただし,夜間はキャノピー上端である屋上が冷却 面となり,温度分布に強い不均質性が現れる.また移 流によっても気温の空間分布に不均質性が生じ,そ の大きさは上記領域の平均気温からの差で 2~4℃で あった.

(10)

引用文献

引用文献

引用文献

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図 AP7.4-2  気圧観測地点付近のレーダーエコー分布図.1999 年 8 月 24 日,高度 2km における CAPPI 画像.ハッチはエコー強度(dBZ)を表す.二つのひし形マークが気圧観測地点.

参照

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