印度學佛 教學 研究 第47巻 第1号 平 成10年12月
『随 眠施 設 』 『
名 色施 設 』
―有部 『施 設 論 』 の未 知 な る構成 要 素―本
庄
良
文
[1]は じ め に 説 一・切 有 部 論蔵 に属 す る 『施 設 論 』 は,法 護 の 漢 訳 で 『因施 設 』 の大 部 分 が,西 蔵 訳 で 世 間 ・因 ・業 の 三 施 設(OtaniNos.5587-5589;TohokuNos.4086―4088)が,伝 え られ て い る.つ とに木 村 泰 賢 は,現 存 三 施 設 以 外 に,煩 悩,智,定 等 に関 す る 品 の 存 在 を推 定 した.1)筆 者 は それ を傍 証 す る記 述 を シ ャ マ タ デ ー ヴ ァの 『倶 舎 論 』註 の 中 に 見 出 した と考 え,簡 単 に紹 介 した こ とが あ る.2)今 回 は それ を若 干 詳 し く述 べ て み た い. も とよ り木 村 泰 賢 の推 測 を確 証 に変 え る た め に は 西 蔵 訳 を全 訳 研 究 せ ね ば な ら な い.そ の た め の 努 力 も この 間,徐 徐 に積 み 重 ね られ て き て い る.3)と ころが 最 近, 戦 前 にす で に全 訳 を果 た した研 究 者 が い た こ と,そ の遺 稿 が近 く発 表 され る予 定 で あ る こ とが 明 らか に な っ た.4)い ま は そ の発 表 を鶴 首 して待 つ こ と とし,木 村 の 推 定 を補 足 す る こ とで 満 足 して お く. [II]木 村 泰 賢 の 問 題 提 起 と暫 定 的 結 論 木 村 泰 賢 は 『阿 毘 達 磨 論 の研 究 』 に未 定 稿 「施 設 足 論 の 考 証 」 を収 録 した.当 時 この 『施 設 論 』 につ い て は学 者 た ち の 間 に 「一 恨 事 」(P.i44)が 存 在 して い た. 有 部 論 蔵,六 足 ・発 智 の 一・つ に数 え られ る重 要 書 で あ る の に,古 来,―漢 訳 の 一 品 し か 伝 わ らず,『大 毘 婆沙 論 』 を は じめ とす る阿 毘 達 磨 諸 論 書 中 の 『施 設 論 』 引 用 が ほ とん ど漢 訳 と合 致 しな い こ とか ら,は た して この漢 訳 を六 足 論 の一 つ と考 えて よ いか 否 か,判 断 に苦 しむ状 態 に あ っ た こ とで あ る.折 し も,ド ・ラ ・ヴ ァレ ・プ サ ンが 『世 親 と称 友 』5)の中 の チ ベ ッ ト訳 「因 施 設 」 「世 間 施 設 」 の 概 要 を掲 載 し た た め,木 村 は これ を有 力 な資 料 として(1)漢 訳 『施 設 論 』 は果 して 六 足 論 の 一 つ で あ るか 否 か,(2)六 足 論 の 一 つ と して の 『施 設 論 』 の面 影 は い か な る もの か,(142) 『随 眠 施 設 』 『名 色 施 設 』(本 庄) を示 そ う と した ので あ る. 木 村 は 『大 毘 婆 沙 論 』 を 中心 と して 『倶 舎 論 』 『順 正 理 論 』 等 にお け る引用,約 706)を 得,こ れ を漢 訳(因 施設)お よび プサ ン の概 要(因 ・世 間施 設)と 対 照 し,独 自 に 「業 施 設 門 に あ る と推 定 し得 べ き もの 」14句 を列 挙 して お よ そ次 の よ うに論 じた(p.161). (1)70旬 の うち 「世 間 ・因施 設 」 に合 致 す る の は僅 か に20句 ば か りで あ る.(2) 残 る50句 の す べ て が,「業 施 設 」 か ら来 た も の とは到 底 考 え られ な いか ら,そ の う ち14句 の み を 「業 施 設 」に該 当 す る もの と仮 定 す る.(3)残 る35,6句 の うち,「世 間 施 設 」 「因施 設 」 の 中 に あ るべ くして 確 か め 得 な い もの が7句 ばか りあ る.(4) 結 局,30句 近 い 引用 文 は所 属 不 明 で あ る.そ れ ら は 「煩 悩 に 関 す る もの 」6句,「 智 慧 と禅 定 とに関 す る もの」18句,「 雑 の部 」6句 に分 類 で き る. 以 上,現 存 資 料 と合 致 す る項 目 と しな い 項 目 の両 者 が あ る こ とに も とつ い て 木 村 は,(1)現 在 の チ ベ ッ ト訳 三 施 設 論,漢 訳 施 設 論 はい ず れ も六 足 論 の 一・つ と して の 『施 設 足 論 』 と見 て よい(P.168).(2)現 存 の施 設 論 は,た と え西 蔵 所 伝 の 三 品 を 以 て して も施 設 足 論 の全 体 で はな い(P.169).全 体 と して の施 設 論 は,三 品 に加 え て 「煩 悩 品,智 品,定 品,雑 品 な どか ら な っ た もの で は な か っ た ろ うか 」(p.170) と推 論 し,「他 日西 蔵 訳 の全 体 が,明 らか に な る暁 が 来 て も」 「吾 人 の見 当 は,大 体 にお い て 的 を逸 して は い ま い とい う 自信 も あ る」(p.170)と 述 べ た. しか しそ の後80年 近 く 「西 蔵 訳 の全 体 が,明 らか に な る 暁 」 は 訪 れ ず,戦 後 最 も詳 細 な 研 究 を した と見 られ る山 口益 ・春 日井 眞也 も,(2)の 問題 につ いて は 「大 論 と して の施 設 論 は,(中 略)世 間 ・因 ・業 の三 部 よ り成 立 して い る とい ふ 事 以上 の もの を示 す 貼 は見 出 し得 な い 」7)とた い そ う冷 淡 で あ る. [m]シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ 『倶 舎 論 註 ウ パ ー イ カ ー 』 の 記 述 いず れ にせ よ,木 村 泰 賢 の 推 論 を確 認 す る作業 は,前 述 の全 訳 の 公 表 に よ っ て従 来 よ りは容 易 な もの とな るで あ ろ う.い ま は シ ャマ タデ ー ヴ ァ の倶 舎 論 註 『ウパ ー イ カ ー』 の記 述 に よっ て木 村 の 推 論 を傍 証 して み た い.そ れ は,こ の 註 の 中 に,『随 眠 施 設(phra-rgyas-btags-pa)』 『名 色 施 設(ming-dang-gzugs-btags-pa)』 の 名 が 見 え る こ と で あ る.と りあ え ず,引 用 順 に,『 ウ パ ー イ カ ー 』 に 見 え る 『施 設 論 』 関 係 の 言 及7 例 を 示 そ う.([2002]は 拙 著r倶 舎 論 所 依 阿 含 全 表1』,1984で の 第 二 章 根 品 の 第 二 の 資 料 との意 味.以 下 これ に準 ず る.第 六 の例 は 特 に重 要 な の で 詳 説 す る.)
(143)
(1) [2002] AKBh 38,17/Upayika Pek. Tu51b3/D. Ju47b3.8
入 胎 時 に ガ ン ダ ル ヴ ァ(有 部 正 統 派 に よ れ ば 「中 有 」)が 父 母 に 愛 と憎 悪 と を 抱 く と述 べ る 倶 舎 論 で の 引 用 文 に つ い て シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ は 『随 眠 施 設 』(anusaya―pr句五. apti,phra-rgyas-btags-pa)の 第 六 納 息(ucchvasaka)の 一 部 な る こ と を 言 い ,『入 胎経 』 中 に 同 じ 意 味 の こ と が 説 か れ て い る と し て 『毘 奈 耶 』 の 一 節(大 正24,253a24-cl)を 引 く.
(2) [3028] AKBh126,21/Upayika Pek. Tu149b4 ; D. Jul30a6 = [2002] 9'
倶 舎 本 論 が 『施 設[論]』(Prajnapti)よ りの 引用 とす る,前 項 と同 じ:引用 文 に つ い て シ ャ マ タ デ ー ヴ ァは 「第 二倶 舎 処(根 品)の 根 の 解 説[に お い て]『 施 設[論]』 が 説 か れ た ご と くで あ る」 とい う.
(3) [3032] AKBh127,25/Upayika Pek. Tu155a8 ; D. Ju135a5.1o'
倶 舎 本 論 が 「四種 の 入 胎 」(AK,iii,16)を い うの に反 して シ ャマ タデ ー ヴ ァは 「三 種 の 入 胎 」 を列 挙 す る経 を引 い た う えで 「この詳 細 は 『随 眠 施 設 』 の第 六 納 息 に お い て見 るべ きで あ る」 とい う.
(4) [3085] AKBh168,15/Upayika Pek. Tu205a7 ; D. Ju179al."'
倶 舎 本 論 の 説 くパ ー リジ ャー タ カ樹 の薫 風 に つ い て シ ャ マ タ デ ー ヴ ァは 「中 阿 含 七 法 品 第 四経 」 『パ ー リジ ャ ー タ カ 樹 経 』 に言 及 した あ と名 指 しの 上,『世 間 施 設 』本 文 若 干 を引 用 す る.北 京 版 に してKhu43a-44aに 該 当 す る.
(5) [3094] AKBhl79,3/Upayika Pek. Tu214b1 ; D. Ju187b3.12)
器 世 間 が 崩 壊 し よ う とす る と き 七 っ の 太 陽 が 出 現 す る と い う倶 舎 本 論 の 説 に つ い て,七p,住(AK,iii,5-6a;AKBhl15,18)に つ い て 経(『 七 日経 』)を す で に 引 用 した
と述 べ た う え に,名 指 し で 『世 間 施 設 』の____.節を 引 用 す る.北 京 版 に し てKhu65b2-66a3 に 該 当 す る.
(6) [40891 AKBh248,14/Upayika Pek. Tu277b 1 ; D. Ju242b7.13)
倶 舎 論 に 説 く邪 見 に よ る 断 善 根(AK,iv,79a)に つ い て の 資 料 で あ る.シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ が 「『随 眠 施 設 』 の 第 八 納 息 に お い て,お よ び(!)『 識 身[論]』 の 第 五 緬 に お い て 誦 さ れ る 」 と い う 引 用 文 は,漢 訳 『識 身 論 』 巻12(大 正26,587c5―588a26) に 極 め て よ く対 応 す る.こ れ は 二 つ の 問 答 か ら な っ て い る.第 ―・の 問 い は 「善 根 は だ れ に よ り,ど の よ う に,ど の よ う な 形 相 を も っ て 断 た れ る か 」 で あ る.そ の 答 え の 末 尾 あ た りか ら の 記 述 は 次 の 通 り. (記述A)か れ は 特 定 の 生 類 を故 意 に殺 し,『悪 ・不 善 の業 の異 熟 は な い 』 と,時 が 移 って も,そ れ を 悔 い る心 を,少 し も生 じ な い.さ ら に,特 定 の 人 を 殺 して,『善 ・不 善 の 業 の 異
(144) 『随 眠 施 設 』 『名 色 施 設 』(本 庄) 熟 は な い』 と,後 悔 の念 を 少 し も生 じ な い.以 上 の こ とに よ っ て,こ の 人 の三 界 の 善 根 は 断 た れ る,と 言 われ るべ き で あ る. (記述B)こ の 人 の 善 根 は,こ の現 世 に お い て 続 生 す る可 能 性 は な い.こ の 人 の 善 根 は,地 獄 よ り死 残 す るか,あ る い は[地 獄 に]生 れ る とき に,必 ず 続 生 す る こ と とな る. (記述C)[問 う.]で は,こ の よ うな[断 善根 の]人 を故 意 に殺 す の と,有 情 で あ る蟻 を殺 す の とで は いず れ が 罪 が 重 い の か.[答 え る.][殺 す人 の]纏 が 等 し けれ ば,そ の 異 熟[も また]等 しい もの とな る.次 の よ う に主 張 す る者 も あ る.「この よ うな[断 善 根 の]人 を殺 す よ りも,有 情 で あ る蟻 を 故 意 に殺 す 方 が 罪 が 重 い.そ れ は なぜ か.有 情 で あ る蟻 の 善 根 は断 た れ て い な いが,そ の人 の 善根 は 断 た れ て い るか らで あ る. 同 じ 内 容 が 『随 眠 施 設 』 お よ び 『識 身 論 』 の 両 者 に 説 か れ て い る と い う シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 言 明 は 俄 に 信 じ難 い 面 が あ る が,『 大 毘 婆 沙 論 』 巻 三 五(雑 蔽 第 一 中 無 漸 悦 納 息 第 五 之 二)14)に 次 の 記 述 を 見 る. (記述a)問.断 何 等 善 根.唯 欲 界 耶.通 三 界 耶.設 ―爾何 失 若 断欲 界 者,『識 身論 』 説,當 云 何 通.如 説.「若 害 蟻 卵,無 少悔 心,磨 説,是 人 断 三 界 善.」 …(大 正27,183a8-11) (記述b)問.断 善 根 已,於 現 法 中,還 能 績 不.答 且 依 『施 設 論 』説,彼 於 現 法 中,不 能 績 善 根 決 定 於 地 獄 中生 時,或 死 時,方 能 績 善.如 彼 『論 』説.「(1)若 害 蟻 卵,無 少 悔 心,慮 説 是 人,断 三 界 善.(2)彼 於 現 法,不 能 績 善 根.定 於 地 獄 中 生 時,或 死 時,方 能 績 善.」(大 正 27,184a1-7) (記述c)問.殺 断善 根 人,與 害 蟻 卵,何 者 罪 重.答.且 依 『施 設 論 』 説,若 住 等 纒,其 罪 正 等.所 受 異 熟,無 差 別 故.若 纒 不 等,罪 随 有 異.有 作 是 説.害 蟻 卵 重.非 断 善 人.所 以者 何. 蟻 卵 成 就 諸 善根 故.復 有 説者.殺 噺 善 人,得 罪 爲 重.所 以者 何.人 是 善 趣 害 之 重 故.(大 正 27,184c10-16) 記 述a下 線 部 『識 身 論 』 の 説 は,害 さ れ る 有 情 を 「若 害 蟻 卵 」 と特 定 す る 点 に 疑 問 が 残 る(漢 訳r識 身 論 』 で も この よ うに は特 定 し な い)が,記 述A下 線 部 に 対 応 す る と見 ら れ る.記 述bの 中 の 下 線 部(1)の 『施 設 論 』 の 説 は,記 述A下 線 部 に 対 応 し,直 後 の 下 線 部(2)は 記 述B下 線 部 に 対 応 す る.記 述c下 線 部 の 『施 設 論 』 に 依 る と さ れ る 説 は,記 述C下 線 部 に よ く対 応 す る.す な わ ち,新 訳 『婆 沙 論 』 は ほ ぼ 同 じ 箇 所 を 『施 設 論 』 よ り の 引 用 と も,『 識 身 論 』 よ りの 引 用 と も認 め て お り, シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 言 明 と呼 応 す る の で あ る.
(7) [7019] AKBh418,9/Upayika Pek. Thul04al ; D. Nyu6l a3.
倶 舎 論 に 説 く四 無 擬 解 に つ い て,シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ は そ れ ら を 列 挙 す る 短 経 を 引 い て か ら 「『施 設[論]』 の 『名 色 施 設 』(ming-dang-gzugs-btags-pa)に こ の 無 磯 解 が 説 か れ て い る 」 と い う.
(145) 以 上 の資 料 の 中 で注 目さ れ る 『随 眠施 設 』 『名 色 施 設 』 の うち,前 者 は ま さ し く 木 村 泰 賢 が そ の存 在 を 推 測 した 「煩 悩 品 」 に あ た るで あ ろ う.(1)(2)(3)の 引 用 に よ り,そ の 第 六 納 息 が 入 胎 を主 題 とす る節 で あ っ た こ とが 想 像 で き る.(6)の 引 用 は,邪 見 と断 善 根 を述 べ る.倶 舎 論 で は第 四 章 業 品 の主 題 で あ るが,邪 見 は五 見 を解 説 す る第 五 章 随 眠 品第 七 頒 に お い て も扱 わ れ る.『随 眠 施 設 』 の第 八 納 息 は見 随 眠 の説 明 を含 ん で い た可 能 性 が 高 い. 『名 色施 設 』 の 具体 的 内 容 は想 像 し難 いが,名 色 が 十 二 縁 起 の 支 分 に も数 え られ る こ とか ら推 して,基 本 的 に は 「有 漏 」 的 な 存 在 を解 説 す る も の で あ ろ う けれ ど も,倶 舎 論 で は第 七 章 智 品 で 解 説 され る,佛 の 「四無 擬 解 」 を述 べ る とされ る の で あ るか ら,そ の 名 称 に も拘 らず,木 村 の い う 「智 品 」 や 「定 品 」 に該 当 す る 内容 を も含 ん で い た とい う こ とに な る.「世 間 品,因 品,業 品 の 三 は要 す る に,い わ ゆ る輪 廻 界 の説 明 の み を主 と した もの で あ るか ら,完 全 な る阿 毘達 磨 として は,こ の外 に (中略)修 行 解 脱 に関 す る方 面 が な け れ ぼ な らぬ は ず で あ る.」(p.169)と い う 『施 設 論 』 全 体 の構 成 に つ い て の木 村 の 言 は誠 に もっ ともで あ るが,内 容 的 に は そ う で あ っ て も,そ の題 名 は 「輪 廻 界 の説 明 」 に こ そ相 応 しい 「世 間 」 「因 」 「業 」 「随 眠 」 「名 色 」 の た ぐ い 以 外 に は な か っ た 可 能 性 も あ る.あ る い は 「施 設(Prajnapti) とい う語 に は,「修 行 解 脱 に関 す る方 面 」 に そ ぐわ ぬ ニ ュ ア ンス が含 まれ て い るの で あ ろ うか.向 後 の課 題 で あ る. 1)『 阿 毘達 磨 論 の 研 究 』(序 文 執 筆 は大 正9年9月20日.拙 稿 は 『木 村 泰 賢 全 集 』第4巻, 大 法 輪 閣 第 三 版,1976,pp.143-176に 基 づ く.)2)「 シ ャマ タ デ ー ヴ ァの 引 く論 書 に就 て 」 『佛 教 論 叢 』 第27号,1983,p.140;拙 著 『倶 舎 論 所 依 阿 含 全 表1』1984,p.vi. 3)次 の よ うな 翻 訳 ・研 究 が あ る.山 口 益 ・春 日井 眞也[1952]「 施 設 論 孜 」 『小 西 ・高 畠 ・ 前 田三 教 授頒 壽 記 念 東 洋 学 論 叢 』pp.401-442./春 日井 眞 也[1953]「 西 藏 文 施 設 論 の 醗 課 な らび に そ の研 究 」 『各 個 ・助 成 研 究報 告 集 録 』(27年 度)/同[1954]「 チ ベ ッ ト文 施 設 論 の和 課 」 『佛 教 学 紀 要 』(佛 教 大 学)/同[1975]「 業施 設 論 に引 用 せ られ た るマ ガ 婆 羅 門 につ い て」 『イ ン ド仏 教 文化 の研 究 』 百 華 苑pp.241-251./山 田 龍 城[1959]『 大 乗 佛 教 成 立 論 序 説 』 平 樂 寺 書 店esp.pp.87-89./荒 井 央[1978]「 業 施 設 論 にお け る無 表 につ いて 」 『印佛 研 』27-1,p.172f/荒 井 行 央[1982]「 業 施 設 論 の翻 訳(1)」 『東 洋 大 学 大 学 院 紀 要 』 18,pp.(1)一(11)./同[1982]「 意 思 と行 動 『業 施 設 論 』 にお け る無 間業 論一 」 『印 佛 研 』31―1,122f/同[1983]「 現 存 『業 施 設 論 』の翻 訳(2)」 『智 山学 報 』46,pp.109-123./ 宮 崎 啓 作[1982]「Karma-prajnapti(『 業 施 設 論 』)解 説 」 『印 佛 研 』30-2,p.146E/松 田 和 信 [1982]「 梵 文 断 片Loka-prajnaptiに っ い て 一 一 高 貴 寺 ・玉 泉 寺 ・四 天 王 寺 ・知 恩 寺 貝 葉 ・イ
(146) 『随 眠 施 設 』 『名 色 施 設 』(本 庄)
ン ド所 伝 写 本 の 分 類 と 同 定 」 『佛 教 学 』14,pp.(1)一(21)./S.Dietz[1989]Remarkson
an Hitherto Unknown Cosmological Text in the Kanjur, in : Acta Orientalia Academiae Scientiarum Hung. Tomus, xliii (2-3), pp. 273-283. / [1989] A Brief Survey on the Sanskrit Fragments of the Lokaprajflaptisastra, Annual Memoirs of the Otani University Shin Buddhist Comprehensive Research Institute, vol. 7, pp. 79-86. / [1996] Four Stanzas from the Lokaprajnapti§astra, in : Indica et Tibetica, 28, Suhrllekhah, Festgabe far Helmut Eimer, Swisttal-Oldendorf, pp. 7-15. / [1997] Remarks on the Karmaprajnaptigastra, Tibetan Studies, vol. 1, pp. 205-211. / Ch. Willemen, B. Dessein, C. Cox [1997] Sarvastivada Buddhist Scholasticism, Leiden, esp. pp. 189-197. 4)同 朋 大 学 福 田琢 氏 の報 告(「 加 藤 清 草 稿 蔵 文 和 訳 『施 設 論 』 ノ ー ト」 『同 朋 学 園大 学 部 附 属 図書 館 報LibraryLe枕ers』No.7,1997p.6.)に よれ ば,同 大 学 の 「龍 山 文 庫 」 の 中 か ら,チ ベ ッ ト訳 『施 設 論 』 北 京 版 ・デ ル ゲ 版 に基 づ い た準 校 訂 テ キ ス ト と全 訳 との ノ ー ト が発 見 され た.見 開 き右 側 頁 の み が 使 用 され,左 側 に は時 折 漢 巴資 料 の パ ラ レル な どが摘 記 さ れ て い る.訳 了 は1934(昭 和9)年10月26日 深 夜.訳 者 の故 加 藤 清 は,昭 和6年3月 大 谷 大 学 卒.チ ベ ッ ト語 に通 じた 有 能 か つ 熱 心 な研 究者 で あ った こ とは,西 本 龍 山 の 『國 課 ―・切 経 』 律 部 二 十 二,二 十 三(大 東 出版 社)序 文 か ら も窺 え る.原 稿 の 公 表 は福 田琢 氏 に よっ て な され る予 定 で あ る. 5) Vasubandhu et Yacomitra, Louis de la Vallee Poussin, 1913.6)渡 邊 楳 雄 は 『國課 一 切 経 』 毘曇 部 三 にお い て漢 課 諸 論 よ り延 べ124を 集 め, その 後 『有 部 阿 毘 達 磨 論 の研 究 』1954,平 凡社p.83で は新 旧婆 沙 に お い て135を 数 え る と して い る.7)山 口 益 ・春 日 井 眞 也[1952]p.427f8)拙 稿 「Samathadevaの 倶 舎 論 註 一 根 品(1)一 」 『印 佛 研 』28-1,1979,p.(67)f9)拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 伝 へ る 阿 含 資 料 一 世 品(4)[25]一[40]」 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』(神 戸 女 子 大 学) 5,1991,p.93参 照.た だ し 訳 文 中 「第 二 倶 舎 処 の 解 説 」 と し た の は 誤 り で あ る.10) 前 註 拙 稿p.98参 照.ll)拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 傳 へ る 阿 含 資 料 世 品(7) [3076]―[3090]」 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』9,1995,p.170f12)拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 傳 へ る 阿 含 資 料--世 品(9)[3094]一[3110]-」 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』 10,1996,p.158fl3)拙 稿 「シ ャ マ タ デ ー ヴ ァ の 傳 へ る 阿 含 資 料 業 品(4)[4084]― [4110]」 『教 育 諸 学 研 究 論 文 集 』8,1994,p.41f(14)対 応 す る 『阿 毘 曇 毘 婆 沙 論 』 (旧 婆 沙)巻 十 九(大 正28,138f)は 典 拠 名 を 出 さ な い. 〈キ ー ワ ー ド〉 施 設 論,随 眠 施 設,名 色 施 設 (神戸女子大学助教授)