富山県東部の低地型ブナ林とササラダニ類
著者 平内 好子, 小川 重徳, 澤田 昭芳, 佐藤 卓
雑誌名 富山市科学文化センター研究報告
号 21
ページ 9‑13
発行年 1998‑03‑30
URL http://repo.tsm.toyama.toyama.jp/?action=repos itory̲uri&item̲id=715
富山県東部の低地型ブナ林とササラダニ類
平 内 好 子 富山県立新川女子高等学校
〒937‑0011富山県魚津市木下新144 小 川 重 徳
富山県立泊高等学校
〒939‑0743富山県朝日町道下60を 津田昭芳
富山県立桜井高等学校
〒938‑0031富山県黒部市三日市l334 佐 藤 卓
富山県立上市高等学校
〒930‑0424富山県上市町斉神新444
LowlandBeechForestsandOribatidMiteFaunainEastemPartot TbyamaPrefecture,Japan
YoshikoHIRAUCHI NnkawaioshiHighSchool
l44Kmoshitashin,Uozu‑shi'Tbyama,937‑0011JABヘN ShigcnoriOGAWA
TbmariHighSchool
603Doge,Asahi‑machi,『Ibyama,939‑0743JAI強N AkiyoshiSAWヘDA
SakuraiHighSchool
l334,Mikkaichi,Kurobc‑shi,Tbyama,938‑0031JABヘN TakashiSATO
KamiichiHighSchool
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forest・
Keywords:Lowlandbecchforest,oribatidmitefauna
平 内 好 子 ・ 小 川 重 徳 ・ 津 田 昭 芳 ・ 佐 藤 卓
富山県呉束地区にある宇奈月町内山と朝日町烏帽子林道のブナ林の構造とササラダニ類の 組成について調査した。これら2つのブナ林分は,山地型ブナ林より低標高域に成立している ことと椎成種にアカガシやウラジロガシ,アオハダを含むことから,低地型ブナ林に分類され た。ササラダニ類の組成を調べた結果,内山林分では54種,烏帽子林道では55種認められた。
このうち内山林分の優占種はツバサクワガタダニ,烏帽子林道の優占種はコンボウイカダニで あった。これら2種は共に暖温帯林ササラダニ・ファウナに一般的な種であることから,2つ のブナ林分のササラダニ・ファウナは照葉樹林タイプの特徴を持つと考えられる。
キーワード:低地型ブナ林,ササラダニ類
は じ め に
富山県内のブナ林は,標高500mから1500mの山地帯 を中心に広く分布している。しかし,標高500m以下の 低'11帯にもブナ林が分布することを山岡(1960)や佐 藤(1989)が指摘し,佐藤(1994)は富山県内のブナ 林の森林構造を比較した結果,低山帯のブナ林が山地 型ブナ林と異なり,低地型ブナ林として区別できるこ とを明らかにした。そこで,今回は富山県東部の標高 500m以下に成立しているブナ林の森林構造とササラ ダニ類について,調べたので報告する。
調 査 地 点 お よ び 調 査 方 法
烏帽子林道のブナ林は,朝日町笹川から烏帽子山へ 伸びる林道沿いに見られ,標高420m前後の尾根に跨る ように,北西側及び南東側に成立している。ブナ林の 周囲はスギの植林地で,烏帽子山まで連続している。
尾 根 上 に は 山 地 型ブナ林の構成 種 で あ る ゴ ヨ ウ マツの混交が見
られた。さらに,
痩せた尾根筋に は亜高山帯要素
のオオコメツツジが生育していることが観察された。
調査区は尾根の南側斜面で,逆谷に向かって林道から 約5m下に設置した(図l)。
内山のブナ林は,宇奈月町内山集落の南側にある八 幡宮の社寺林である。ブナ林の面積は約0.5haで,高岡 市二上山や砺波市市谷の社寺林とほぼ同じ面積であ る。ブナ林はスギ植林とアカマツ・コナラ林に3方が 囲まれ,東側は社殿のある境内に面している。調査区 は境内から約15m上の南東側斜面に設けた(図2)。
森林構造の調査は方形区法毎木調査で,対象は樹高 2m以上の樹木とした。方形区内に出現する対象木の 名前,位置,胸高直径,樹高,樹冠の大きさを記録し 種多様性指数や基底面積,樹冠面積等を算出した。
土壌動物を採集するための土壌資料の採取は拾い取 り法(青木,1978)によった。すなわち,林床に3×
3mの方形区を設定し,その枠内において土壌ととも に落葉・落枝・落果・朽木・コケなどを拾い集めてほ ぼ2リットルとし,これをl資料とした。資料はその日の 内に大型ツルグレン装置に入れ,60W電球を72時間照 射して土壌動物を80%エタノール中に分離・抽出し た。抽出後,ササラダニ類についてのみホイヤー氏液 で集合プレパラートを作成し,成虫のみ種のレベルで 分類・同定し,成体のみ個体数の算定を行った。
図l朝日町烏帽子のブナ林の調査地点図2宇奈月町内山のブナ林の調査地点
調査結果及び考察 1.森林構造
朝日町烏'帽子林道と宇奈月町内 山,および県内の主なブナ林の森林 構造の概略を表lに示した。朝日町 烏帽子林道のブナ林に出現した樹木 は9種で,種多様性指数はα二3.5と 低い値を示した。また,基底面積は 31.1,2/haで,これまで調査したブナ 林の中では最も小さな値であった。
林床の約l/4の面積に新たな土砂の 堆積が認められたことから,林道を 造 成 し た 時 に 影 響 を 受 け た こ と が 基
1侭L 雑
表l富山県に分布するブナ林の森林構造概況
標 高 鯛 査 区 斜 面 方 向 斜 度 密 度 出 現 種 多 様 度 基 底 面 積 樹 冠 面 積 比 出 典
(、)面積(㎡)(・)(N/ha)種数(α)(㎡/ha)(ha/ha)
市 町 村 鯛 査 地 点
<低地型ブナ林>
朝 日 町 烏 帽 子 林 道 宇 奈 月 町 内 山 小 矢 部 市 小 白 山 高 岡 市 二 上 山
今 回 調 査
今回調査,高岡高校生物部1990 高岡高校生物部,1989 佐藤,1989
31.1 79.0 86.0 79.0
旬・目目二・句・皇ハU︵い︺24乙孔
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佐藤・松村,1997 高岡商校生物部,1989 野外教材研究委員会,1989 野外教材研究委員会,1989 佐藤・松村,1997 佐藤・松村,1997 野外教材研究委員会根199o 佐藤・松村,1997 野外教材研究委員会,1989 野外教材研究委員会,1991 野外教材研究委員会,199:
佐藤・平内・松村,1995 佐藤ら,1995
高岡高校生物部,1990
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560 940 1040 1070 1080 1100 1130 1150 1170 1180 1200 1280 1470 1480
底面積の減少につながっていると考えられる。しかし,
樹冠面積はブナ林の平均的な値であるので,林冠に達 する樹木への影響は少なかったと考えられる。樹高 2m以上の出現樹木の基礎データを表2に示した。密 度が最も大きい種はブナ(578/ha)で,全体の28%を 占めた。次いでアカガシ(400/ha)の19%であった。
基底面積ではアカガシが最も多く11.0,2/haで,全体の 35.3%を占めた。第2位のブナは7.1,2/haで,22.9%で あった。このようにブナと共にアカガシやアオハダが 混生することから,低地型ブナ林と認められる。ただ し,種多様度と基底面積が低い値を示している点は,
これまで認められてきた低地型ブナ林とは異なってい る。その原因は林道の開設による影響と考えられる。
宇奈月内山のブナ林に出現した樹木は17種で,種多 様性指数はα二6.3とこれまで調査したブナ林の中では 最も大きな値を示した。基底面積と樹冠面積はそれぞ れ79.0,2/haと4.2ha/haで,富山県内のブナ林の中では 大きい方であった。樹高2m以上の出現樹木の基礎 データを表3に示した。密度が最も大きい種はブナ (667/ha)で全体の23%を占めた。次いでアオハダ (367/ha)の13%であった。基底面積ではアカマツが最 も多く34.5m'/haで,全体の43.4%を占めた。第2位は アカシデでl42nf/ha(18%),ブナは第3位で12.OITf /ha(15%)であった。アカマツの樹冠面積が最も大き
く,0.87ha/haを占めた。これは樹高20〜21mに達する アカマツの巨木が3本も方形区内に入っているためと 考えられる。ブナやアカシデの最大樹高は18mで,ア カマツより低い空間にブナやアカシデは枝葉を広げて い た 。 ブ ナ と ア カ シ デ の 樹 冠 面 積 は , そ れ ぞ れ 表2朝日町烏帽子林道のブナ林の基礎データ
密 度 基 底 面 積 樹 冠 面 積 N / h a m 2 / h a % h a / h a % 種 名 5433フ﹄1 701123444 801123444 1 ﹃/14︐︹と14︐0︵UO■■■■■■■■■︻面#Ⅱ︽に一弓●Ⅱ●哩一︵窪一壱一巷一一2|虚︶一遷一
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208931.1100.02.08100.0
表 3 宇 奈 月 町 内 山 の ブ ナ 林 の 基 礎 デ ー タ
密 度 基 底 面 積 樹 冠 面 積 N / h a m 2 / h a % h a / h a % 種 名
ブナ ア オ ハ ダ マ ン サ ク ア カ シ デ ソヨゴ ア ズ キ ナ シ ネジキ ア カ マ ツ ミズナラ コ ハ ウ チ ワ カ エ テ スギ
ア オ ダ モ コ ナ ラ ウ ラ ジ ロ ガ シ ハ ウ チ ヮ カ エ デ コ シ ア ブ ラ ウワミズザクラ
﹇■■画■画二吋■■ⅡⅢ二﹃画■■■二一■︻睦︶一雫三・一一︵■タグユ︵脂︺一壷︶くい︶|︻三■︼二掲﹃■■︷﹃一夕画一ヘニクニー串岬︶一﹃毎ヶ■﹂|︵■〆垂一︵昨︶一評Ⅱ︾︼■■■■■■■●■■■■■■●■■ラィハ与八U︵U知叶﹃1.11八U︵U勺二八U︹U〆D八U︵U︵UへU1
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2 8 9 9 7 9 . 4 1 0 0 . 0 4 . 1 8 1 0 0
11
平 内 好 子 ・ 小 川 重 徳 ・ 津 田 昭 芳 ・ 佐 藤 卓
表4宇奈月町内山及び朝日町烏帽子林道のブナ林のササラダニ
四調引而諏1号電:翫罰
11
区う ササラダニの学名 電 鍵
Ⅲ
Ⅳ
Ⅵ
Microtritiaminima(BERLESE,1904[1905])カントウチビイレコダニ XenillusheterosetigerAOKl,1967ヤハズサラタマゴダニ Fissicepheusclavatus(AOK1,1959)コンボウイカダニ TegeozetestunlcatusbrevicIavaAOK│,1970ツバサクワガタダニ Arcoppiaviperoa(AOKI,1959)コブヒゲツブダ二 Goyopplasagami(AOKI,1984)サガミツブダニ PergalumnalntermediaAOK1,1963アラゲフリソデダニ AlIodamaeustrunsitusAOKl,1984イゲタスネナカーダニ XeniIIustegeocranus(HERMANN,1804)サ・ラタマゴダニ SuctobeIbellasinguIaris(STRENZKE,1950)コンボウマドダ二 GalumnacuneataAOK1、1961クサビフリソデダニ Oribotritia(H)sp、1
NippohemlannIaparalleIa(AOK'1961) OriPodaPinicolaAOKletOHKUBO,1974 CeratozeteIIaimperatoria(AOKI,1963) Ceratozetida⑥sp,2
AnBchipteria andisAOKl,1961
タテイレコダニ科SF ホソツキノワダ二 マッノキタニ キュウジョウコバネダニ コバネダニ科sp2 カブトダニモトキ Euphthiracan」sfbvoolatusAOKl,1980オキイレコダニ HeminothruslongisetosusWlLLMANN,1926ケナガオニダニ AcanthobelbatoItuosaENAMletAOK1.1993ツリバリジユズダニ SphodrocepheusmltratusAOKI,1967ヤハズマンユウダニ LiacarusorthogoniosAOKI,1959ツヤタマゴダニ Ceratoppiabipilis(HERMANN,1804)リキシダニ
DoIicher6maeuselongatusAOKl,1967 Lauropp旧neer1andica(OUDEMANS、1900)
ヒョウタンイカダニ ョーロッパツブダ Medioxyoppiaactirostrata(AOKI,1983)クチパシツブダニ
XylobQtidae(H)sp、3シダレコソデダニ科(H)sp,3 ChamobatospusilIus(BERLESE,1895)マキバネダニ
Tricho反alurnnanipponica(AOK' 1966)チビゲフリソデダニ HypochthonieIlaminutissima(BERLESE,1904)ヒワダニモトーキ
オオイレコダニ ァラメイレコダニ チビコナダニモドキ カノウニオウダニ エゾヒメジュズダニ ヨツクボダニ ヤマトクモスケダニ ミツバマルタマゴダ ハナビライブシダニ ヨスジッブダニ ヤリオトヒメダニ
1831
Phthirac田ussetosus(BANKS,1895)
AtroPacaruG(Atropacarus)striculus(C、L、KOCH MaiaconothruspygmaeusAOKI,1969 HermanniakanoiAOKl,1959
BBlbBbarbataFUJlTAetFUJlKAWA1986 FosEerBmusquadnpertitUsGRANDJEAN,1965 EremobelbajaponicaAOK''1959
CuItroribuIatndentataAOK1,1965 CarabOdesbeIlusAOKl,1959
QUadroppiaqUadricarinata(MICHAEL,1885)
lscheloribateslanceoIatus.AOK│、1984
)sp・皇 ニセイレコダニ
ヤマトイレコダニ ヒメヘソイレコダニ ヤマサキオニダニ コナダニモドキspP・ ハナビラオニダニ ツキノワダニ ザラメニオウダニ ドビンダニ ワタゲジュズダニ ヨロイジュズダニ セスジシュズダニ エリナシダ二(A)sp.A マルタマゴダニ ヒメリキシダニ ヒビワレイブシダニ カンムリイカダニ ヤマトオオイカダニ カコイクワガタダニ クワガタダニ タモウツブダニ ナミツブダニ ツブダニ(A)sp、11 ツブダニ科spp ナギナタマダニ マドダニ科spP、 フクロフリソデダニ コンボウオトヒメダニ シダレコソデダニ科(}
オケサコバネダニ エンマタ・二 Mesoplophora(Parplophora)japonicaAOKl,1970
PhthiracarusjaponicusAOK│ 1958 Rhysotntiaardua(C,LKOCH,1841)
Platynothrl』syamasakji(AOKI,1958) Malaconothridaespp,
NothruEbiciliatuEC.L,KOCH,1841 NanhermanniaeIegantuIaBERLESE,1913 Hennanniagibba(C,LKOCH1839)
HGnnannieIlapunctuIataBERLESE1908 Epidamaeus什agilisENAMIetFUJIKAWA1989 TectodamaGusarmatusAOK1,1984
TectodamaeusstnatusENAMletAOKl,1988 Defectamerus(A)sp,A
Defectamerus(A)sp、A
CultroribulaIataAOKI,1961
Ceratopplaquadridentata(HALLER,1882)
CarabodGsnmosuBAOKl,1959
FiicepheuscoronariusAOKl,1967 MegalotocepheusjaponicusAOK1.1965 TectocephGuselegansOHKUBO,1981 Tectocepheusvelatus(MICHAEL,1880)
Multioppia(MuItilanceoppia)brevipectinataSUZUKl,197畠 Oppiellanova(OUDEMANSo1902)
Oppia(A)sp、11 OppiidaeEpl
FIa唾osuctobelbanaglnata(AOKI,1961〉 Suctobelbidaespp・
NeoribatGsroubaIi(BERLESE,1910)
ScheloribatesIatipes(C、L,KOCH、1841: XyIobatidae(H)sp、2
OcesobateskumadaiAOKl,1965 EupeIop6acromios(HERMANN,1804)
種 類 数 個体数
贋︺・勺昌二F・正d二二二11
54
441 28弓
: 川
188
285155211
389 宇 奈 月 町 内 山
1997.7.13 No.」
1997.7.13
Ⅲ
0.86ha/ha(21%)と0.74ha/ha(18%)であった。こ のブナ林は照葉樹林要素のアカシデやアオハダ,ウラ ジロガシを含み,種多様度が高く,基底面積も大きい ことから低地型ブナ林と考えられる。
2 . サ サ ラ ダ ニ 類 に つ い て
1997年7月13日,内山および烏帽子林道のブナ林か ら採集したササラダニ類の種類と個体数を表4に示し た。内山ブナ林からは54種,733個体,烏帽子林道ブナ 林からは55種,577個体,計72種,1310個体のササラダ ニ類が得られた。種類数,個体数ともに両ブナ林はよ く似た値を示した。両ブナ林に共通して出現した種は 37種,Jaccardの共通係数二0.51でやはり類似性の高い
ことを示している。
平内(1997)は富山県内6地点の山地ブナ林(有峰 西谷1220m,瀬戸蔵山1280m,カルデラ松尾峠下 1470m,白木峰1550m,僧ケ岳1410m,朝日岳イブリ 山1305m)から計18の土壌資料を採集し,調査した結 果,145種類のササラダニ類を得た。これらの山地ブナ 林と内山・烏帽子林道の低地ブナ林のササラダニ類の 種組成を比較してみると,山地ブナ林には出現せず,
低地ブナ林にのみ出現したのは表4中のI〜Ⅲの17種 類で24%を占めている。中でも,コンボウイカダニ,
ツバサクワガタダニ,コブヒゲツブダニ,イゲタスネ ナガダニは,青木(1983)や原田(1988)が暖温帯,
中部地方低地帯に分布の中心を持つ種としてあげてい るササラダニ類である。個体数から見ても,ツバサク ワガタダニは内山ブナ林の,コンボウイカダニは烏帽 子林道ブナ林のそれぞれ優占種となっている。これら のことは,内山ブナ林や烏帽子林道ブナ林が,植生的 に照葉樹のウラジロガシやアカガシと混生していると いう暖地性の特徴を持っていることに対応しており興 味深い。一方,県内の山地ブナ林と共通する種は表4 のⅣ〜Ⅵの55種であるが,これらがすべてブナ林を特 徴づける種ではなく,むしろヒメヘソイレコダニ,ヒ メリキシダニ,ヒビワレイブシダニ,ナミツブダニ,
コンボウオトヒメダニなど幅広い環境に出現する普遍 的な種が多い。しかし,ヒワダニモドキ,ヤマトイレ コダニ,ツキノワダニ,ドビンダニ,ミツバマルタマ ゴダニ,ツヤタマゴダニ,リキシダニ,ヨーロッパツ ブダニ,オケサコバネダニなどは日本海側のブナ林に 結びつく種ではないかと注目されている。中でも,ヒ ワダニモドキ,ヤマトイレコダニ,ツキノワダニ,ド ビンダニ,ツヤタマゴダニの5種はこれまでの県内の ブナ林からの採集で100%出現している種であり,これ らの出現はブナ林としての特性も示唆していると考え られる。今後,採集地および採集回数をさらに増やし
12
て検討したい。
カントウチビイレコダニ,コブヒゲツブダニ,サガ ミツブダニ,コンボウマドダニ,クサビフリソデダニ,
カブトダニは富山県新記録である。
謝 辞
本研究を行うにあたり,ササラダニ類の未確定種の 同定について,横浜国立大学環境科学研究センターの 青木淳一博士から懇切なご指導を賜った。心から感謝
申し上げる。
引 用 文 献
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