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チタンの放電加工による表面改質

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Academic year: 2021

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チタンの放電加工による表面改質

キーワード:チタン、放電加工、表面改質、耐摩耗性 概要

  チタンは比強度が高く、耐食性が良いなどの優 れた特性を持つため、様々な分野でその使用が増 加しています。しかし、機能性部品として用いる には、耐摩耗性や耐焼付性の点で問題となります。

それらの対策として、各種合金化や表面改質の研 究が進められています。

  放電加工では、油中で加工を行うため、加工液 の熱分解で生じる炭素が、加工表面に侵入するこ とが知られています。したがって、チタンの加工 においては、加工表面に TiC 層の生成が期待され ます。チタン材の放電加工による表面改質につい て、これまで得られた結果を紹介します。

解説

  図1に放電加工の概念図を示します。試験材と しては、純チタン板(純度 99.9%)を使用しまし た。電極材は銅とし、加工液には白灯油を用いま した。過去の研究より、加工層の生成には正極性 加工が有効であることがわかっているため、極性 に関しては正極性としました。また、荒加工条件 で加工を行いますと、放電が激しくなるため、加 工層の厚みの均一性も薄れ、表面あらさも悪化し、

深いクラックも発生しやすくなります。したがっ て、仕上げ加工に準じた放電条件を選ぶ必要があ ります。

  図2、3に加工表面のSEM写真と、断面組織 を示します。SEM写真では加工表面は放電痕の 重なった梨地状の面となります。また、断面組織 から、加工表面上にほぼ一様に、厚さ約5μmの 加工層が形成されていることがわかります。この 加工層の硬さを断面において測定しましたとこ ろ、約 2200HVでした。これは、母材の純チタ ンの値、約 200HVと比べると非常に高い硬さと なっています。

 図4に加工表面から得られたX線回折図形を 示します。図から明らかなように、加工によって、

新たに TiC の回折線が現れています。

  このことは、放電加工により表面に TiC 層が生 成したことを示しています。

  表面あらさに関しては、現在 6A/2μs、 丁

=10%、正極性加工の条件でRz=3μm の面が 得られています。

  得られた改質面の機能を評価するため、摩擦・

摩耗特性、耐食性の試験を行いました。

図5に試験時の摩擦係数の変化を示します。母 材の純チタンの場合は摩擦時間の経過とともに 摩擦係数が増加する傾向が認められ、摩擦係数の

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変動も大きくなっています。ー方、放電加工面の 摩擦係数は試験開始時からほとんど変動せず、常 に安定し、母材より低い値を示しています。

  図6に摩擦試験後の各試料における摩耗痕の 形状を示します。母材の場合は約 30μmと深い 摩耗痕が形成されていましたが、放電加工面では 摩耗痕は測定されませんでした。

  これらのことから、放電加工による表面改質が、

チタンの摩擦係数の低減と、耐摩耗性の改善に有 効であることがわかります。

  また、改質面の耐食性は母材のチタンと比較し て、塩水と硫酸に対し良好でした。

  以上の結果より、放電加工はチタンの表面改質 の一手段として利用できるものと考えられ、それ によって、チタンのより一層の高機能化や、適用 範囲の拡大が期待できます。

用途

  チタン製摺動部品、スポーツおよびレジャー関 連製品

作成者    評価技術部金属分析グループ  塚原秀和 Phone:0725‑51‑2717 発行日    平成 10 年 6 月 29 日

参照

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