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低温プラズマ処理による繊維織物の表面改質

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Academic year: 2022

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低温プラズマ処理による繊維織物の表面改質

著者 奥野 温子

雑誌名 静岡大学大学院電子科学研究科研究報告

巻 19

ページ 257‑259

発行年 1998‑03‑30

出版者 静岡大学大学院電子科学研究科

URL http://hdl.handle.net/10297/1581

(2)

氏名

0(本

)  

  

  

  

(大

阪府

)

学位 の種類

 

 

 (工 学

)

学位記番号

  

工博乙第

  76  

号 学位授与の日付

  

平 成 9年 3月 22日

学位授与の要件

  

学位規程第 5条 第 2項 該当

学位論文題目

  

低温プラズマ処理による繊維織物の表面改質

論 文 審 査 委 員

   (委

員長)

教 授 稲 垣 訓 宏

 

教 授 藤 波 達 雄 教 授 長 村 利 彦 助毅 田 坂

 

論 文 内 容 の 要 旨

繊維内部の性質を変化 させず表面のみを改質 し、新 しい表面特性 を付与する手法 として、プラズマ 処理法が注 目されている。本研究は、繊維織物の表面改質法 としてのプラズマ処理の中から、エッチ ングプロセス と表面フッ素化による撥水加工に焦点をあて、エ ッチ ングによる繊維表面の形態変化の メカニズムの解明、表面 フッ素化 による撥水現象の挙動を検討 した。さらに、これらの基本的知見か らポリエステルの極細化、および絹織物の撥水加工への応用 を検討 した。

本論文は第6章 よりなっている。第1章では、繊維の加工の歴史 と意義が論 じられ、今後の繊維加工 のあるべ き姿が語 られている。 これらの検討から、今後の繊維加工の一つの手法 として、プラズマ処 理 を提案 している。 さらに、プラズマ処理の中か ら、エ ッチ ングプロセスと、表面フッ素化を研究対 象 とする意義が論 じられている。

第2章 では、エ ッチ ングプロセスに及ぼす繊維高分子の化学構造が検討 されている。エ ッチングプロ セスは繊維表面で起 こる高分子鎖の分解反応であることを明らかにし、そのエッチング速度は、放電 電力、プラズマガス流量 などのプラズマ条件 に加え、繊維を構成するポリマーの化学構造によるとこ ろが大 きい。結合エネルギーの大小 とエ ッチ ング速度 との関係が深いことを結論 した。

つづいて第3章では、エ ッチ ングによって引 き起 こされる繊維表面の形態変化について検討 した。プ ラズマ処理 を施す と、繊維軸 と直角にクレーターが生 じ、繊維表面での分解反応が均一に起 こるので はな く、ある一部が強 く起 こる不均一プロセスであることを物語っている。この表面の形態変化は、

エ ッチ ング速度に結晶と非晶領域で多少の差は認められるが、繊維の結晶性は全 く関係がないこと、

繊維表面の形態変化は、高分子鎖の延伸 と関係が深いことを見出 し、次のようなメカニズムを提唱 し た。

‑257‑

(3)

繊維 を延伸すると、非晶部の高分子鎖は延伸方向に配向する。 この延伸 した繊維表面 をプラズマに さらす と、延伸 した高分子鎖の一部が切断 される。 この結果、緊張状態にあつたゴム状態の高分子鎖 は緩和 され、それに伴 って応力集中が起こり、クラックが生成する。このプロセスの繰 り返 しがクレー ター状突起物の形成に到る。

第4章 は、プラズマ処理の他の機能付与 として、表面 フッ素化による撥水加工について検討 した。表 面 フッ素化は、四フッ化 メタンプラズマ処理により可能 となることを認めた後、その表面の疎水性の 環境変化 に伴 う安定性 を検討 した。四フツ化 メタンプラズマ処理により得 られた疎水性表面は、水 に 浸漬するとその疎水性は低下する。その疎水性の減少は、繊維の結品化度 と関係 し、結品化度の低い ものほど減少が速い。これは、繊維表面 に導入 されたフッ素官能基が、表面から内部へ移動 している こと、疎水性環境 に戻す と、再び表面に導入 されたフッ素官能基が、表面に出現することを実験事実 により確かめた。メタンプラズマポリマーを表面 にコー トした後、四フッ化 メタンプラズマによる表 面 フッ素化 を行 うことによって改善で きることを見出 した。

第5章 では、第2章 か ら第4章 までに得 られたプラズマによる繊維の表面改質の基本的知見 を基 にし て、ポリエステル織物の極細化 によるシルクライク化 と、四フツ化メタンプラズマを用いた絹の撥水 性、防汚性 を試みた。空気プラズマによるエ ッチ ングによつて、ポリエステル繊維を短時間に細デニー ル化が可能 とな り、強度低下 もほとんどな く、白度、光沢、 ドレープ性 などに優れ、 さらに表面親水 性の付与 も同時 に可能 となつた。 また、四フツ化 メタンプラズマは、絹の風合いを損ねることな く、

撥水加工が可能であること、光沢、耐洗濯性 も十分 に有用であることを確認 した。

第6章 は、これまでの研究成果 をまとめた。

以上、本研究はプラズマ処理、特 にエ ッチ ングプロセスと表面 フッ素化 による繊維の表面改質につ いて、基本的メカニズムを明らかにするとともに、その応用の可能性 を確かめたものである。繊維の プラズマ処理は工業的に今後大いに期待 される技術である。

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(4)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

バルクの性質を変えず繊維表面のみを改質 し、表面機能を付与する手法 として、プラズマ処理法が 注 目されている。本論文は、繊維織物 に対するプラズマの作用モー ドの中から、エ ッチ ングプロセス と表面 フッ素化反応 に焦点 をあて、エ ッチ ングによる繊維表面の形態変化のメカニズムの解明、表面 フッ素化反応 による撥水現象挙動 を検討 した。 さらに、これらの基本的知見をもとに、ポリエステル の極細化、お よび絹織物の撥水加工への応用 を検討 したものである。論文は6章 よりなっている。

1章では、繊維の加工の歴史 と意義が論 じられ、今後の繊維加工のあるべ き姿が語 られている。こ れ らの検討か ら、今後の繊維加工の一つの手法 として、プラズマ処理 を提案 している。 さらに、プラ ズマ処理の中から、エ ッチ ングプロセスと、表面 フッ素化反応 を研究対象 とする意義が論 じられてい る。第2、 3章 では、エ ッチ ングプロセスに及ぼす繊維高分子の化学構造の影響 とエ ッチ ングによって 引 き起 こされる繊維表面の形態変化について検討 した。エ ッチングは高分子鎖の分解反応であ り、エッ チ ング速度は高分子鎖の化学構造 と関係が深いこと、エ ッチングされた繊維表面には、繊維軸 と直角 にクレーターが生 じ、繊維表面での分解反応 は均一ではなく、ある一部が強 く起 こる不均一プロセス であることを見出 している。 この表面の形態変化は繊維の結晶性は全 く関係がな く、高分子鎖の延伸 と関係が深いことを見出 し、表面形態変化の機構 を明らかにした。第4章 は、プラズマ処理による表面 機能付与 として、表面 フッ素化 による撥水加工 について検討 している。表面フッ素化は、四フッ化メ タンプラズマ処理により可能 となることを確かめた後、その表面撥水性の環境変化に伴 う安定性 を検 討 した。撥水性の不安定性は、繊維表面に導入 されたフッ素官能基が繊維表面から内部への移動に起 因することを実験事実 より確かめた。 さらに、撥水性表面の安定性 を高める手法を提案 している。第 5章では、第2章 から第4章までに得 られたプラズマによる繊維の表面改質の基本的知見 を基に、ポリエ ステル織物の極細化によるシルクライク化 と、四フッ化メタンプラズマを用いた絹の撥水性、防汚性 付与の試みである。ポリエステル繊維の細デニール化が可能

となったこと。 また、この細デニール化ポリエステル繊維は実用面(繊維強度、自度、光沢、 ドレープ

)も優れている。 さらに、四フッ化メタンプラズマによる絹の撥水加工 も可能であることを確かめて いる。tt6章 は、これまでの研究成果をまとめである。

以上、本論文はプラズマ処理、特 にエ ッチ ングプロセスと表面 フッ素化による繊維織物の表面改質 について、基本的メカニズムを明 らかにするとともに、その応用の可能性を確かめている。その成果 も学術的のみならず工学的にも価値が高い と判断す る。 よって博士(工)の学位 を授与するに値する と判定する。

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参照

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