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屋内における電波伝搬経路の推定

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Academic year: 2021

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屋内における電波伝搬経路の推定 00D8104013K  安藤  俊介 中央大学理工学部情報工学科  田口研究室

2004年3月 あらまし:本研究では,無線 LAN のアクセス

ポイントを屋内に配置したとき,アクセスポイ ントから放射される電波が通る経路の推定を行 う.電波を幾何光学的に扱い,レイトレース法 を用いてレイを追跡する.

また,可視化ソフトMicro AVSを用い,推定 したレイの表示を行う.レイが壁面と交差する 度にレイの色を変えることにより,電界強度を 視覚的に表現する. 

キーワード:無線LAN,屋内電波伝搬,レイト レース法

1 はじめに

無線 LAN 等の屋内移動通信の需要は急増し ている.ビル内のオフィスにこれらのシステム を導入する場合,基地局の設置を効率良く行う ためには屋内のサービスエリアを精度良く推定 できるシステムが不可欠である.

2 無線LAN

2.1  LAN ( Local Area Network )

  LANは,ある限定した地域内におけるコンピ ュータ同士を相互接続し,コンピュータ同士で データや画像を相互に伝送することを目的とし たネットワークである.

2.2 無線LAN

無線 LAN とは,有線ケーブルを使わず,電 波や光などの無線で通信を行う LAN である.

無線 LAN 環境でインターネットに接続する場 合は,インフラストラクチャモードを用いる(図 1).インフラストラクチャモードでは,アクセス ポイントとのみ通信を行う.アクセスポイント を経由することで,有線LANと無線LANを統 合することも可能である.

ハブ     アクセス

      ポイント

      プリンタ コンピュータ

図1  インフラストラクチャモード

3 屋内電波伝搬

屋内通信の場合には,建物や部屋の構造など が電波の伝搬特性を決定付ける.屋内通信シス テムにおける伝搬劣化の要因としては,部屋の 構造物や什器等による反射,障害物による伝搬 路の遮蔽などがある.

4 レイトレース法

実験的知見の得られている周波数帯において も,実験結果はあくまで特定の実験環境に対す るものであり,建物や部屋の構造,部屋のレイ アウトの多様性を考えると,特定の条件で得ら れた実験結果の妥当性には限度がある.このよ うな問題点を解決するものとして,レイトレー ス法のように任意の部屋で適用可能な汎用的伝 搬シミュレーション手法がある[2].

4.1  概要

送信点(基地局)から全方位に満遍なく放射 された電波(ray)は,途中の構造物で反射,透 過,回折を繰り返して受信点までに到達する.

レイトレース法では,電波を幾何光学的に扱い,

レイの軌跡(trace)を求める.

送信点から受信点までのレイの軌跡を求める 方法として,ランチング法がある.ランチング 法とは,送信点から一定角度ごとに離散的にレ イを発射させ,その軌跡を逐次追跡する方法で ある.

4.2  レイの反射・透過モデル

各レイの電界強度は,レイが反射,透過する ごとに減衰する.

なお,ノートパソコンを用いて電界強度の実 測を行った結果,壁を1枚隔てた場所における 電波の強度は約80%であった.

・反射モデル

    反射面は鏡面のように滑らかであり,入射 角と反射角が等しくなるように反射すると仮 定する.

・透過モデル

    入射角と透過角が等しくなるように,つま り透過波はそのまま直進すると仮定する.

5  シミュレーション実験

送信点から放射された電波をレイトレースし,

電波伝搬経路を可視化ソフトMicro AVSを用い て表示させる.対象領域は中央大学後楽園キャ ンパス3号館8階フロアとする.送信点(アク セスポイント)と十分離れた点とを結んだ線分 と,壁面を表す線分との2線分の交差判定を行 い,送信点から放射されたレイと壁面との交点 を求める.反射と透過を考慮し,送信点から放 射されたレイが反射・透過する回数は,反射と 透過を合わせて4回までとする.レイの反射に は,送信点の壁面についての対称な点(イメー ジ点)を置き,そのイメージ点からレイと壁面 との交点を通る半直線を引き反射波を求める.2 回目以降の反射については,その前の反射点を 送信点と見立てる.また,送信点からの距離に よる電界強度の減衰は考慮しないものとする.

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5.1  使用するデータ

・対象領域の壁面の頂点座標

・送信点の座標 5.2  アルゴリズム

step1: 送信点,壁面の頂点座標を入力する.

step2: すべての壁面を含むような十分に大き

い長方形を設定する.その長方形上に点 を任意にとる.この点がレイの方向を決 定付ける.

step3: step2 の作業でとった点と送信点を結ぶ.

その線分に対してすべての壁面との線分 交差判定を行う.2 線分が交差するなら ば交点の座標を求め,交点座標を配列に 格納する.交点が複数ある場合には,送 信点から近い順にソートする.

step4: 交点が5個以上ある場合,5番目の交点

と送信点を結び,線分を描く.交点が 4 個以下の場合,送信点から最も遠い交点 と送信点を結び,線分を描く.これが透 過波を表す.

step5: 1〜4 番目の交点について反射波を追跡

していく.1〜3番目の交点での反射波に ついては,レイと壁面との交点について 反射波と透過波を追跡していく.レイと 壁面との交点の数が5つになるまでレイ を追跡していく.

step6: step2 の作業でとった点を,長方形上に

沿って少しだけ移動させる.その点につ いてstep3,step4,step5の作業を行う.

長方形上の点を一定間隔で移動させてい き,始めにとった点に戻るまで繰り返す.

6  シミュレーション実験結果 6.1  レイの表示

送信点から放射されたレイが壁面と交差す る点と,次に交差する点とを線分で結ぶ.レイ が壁面と交差する度に電界強度は弱まる.その ことを視覚的に表現するため,送信点から放射 されるレイの色を赤,そこからレイが壁面と交 差する度に黄,オレンジ,緑,青とレイの色を 変える.

6.2  実験結果

・送信点を2つ配置した場合のシミュレーショ ン結果を図2に示す.

図2  透過波と反射波を考慮した 電波伝搬経路の推定

6.3  考察

送信点(アクセスポイント)を2つ配置させ た場合,すべての部屋に電波が到達しており,

電界強度の強いエリアが広い.送信点を2つ配 置すれば,どの部屋からでも通信が可能である と推測される.

6.4  シミュレーション実験(3次元空間)

  対象領域を3次元空間として扱う.天井,床 との反射回数は1回までとする.また,3 次元 空間をメッシュに分割して,メッシュ内を通る レイの本数により,電界強度を推定する.レイ の本数が多ければ電界強度は強いとする.

・3 次元空間でのシミュレーション結果を図 3 に示す.

図3  電界強度の推定

7  おわりに

  本研究では,無線 LAN を例に挙げ,アクセ スポイントから放射される電波の伝搬経路を推 定した.レイトレース法を用いて電波伝搬経路 を表示した.電界強度が強いエリアと弱いエリ アを視覚的にとらえられるようにした.また,3 次元空間をメッシュに分割して,メッシュ内を 通るレイの本数を調べることにより,電界強度 の推定を行った.

  しかし,電界強度が減衰する条件として,レ イが壁面と交差する,という点しか本研究では 考慮していない.また,電波の反射,透過しか 考慮していない.そこで,推定精度を上げるた めには,送信点からの距離を考慮する,電波の 干渉,回折を考慮する,建物の建材を考慮する,

電界強度を数値化する,という点が挙げられる.

参考文献

[1]木村磐根:新世代工学シリーズ  光・無線通 信システム,オーム社,1998.

[2]細矢良雄:電波伝搬ハンドブック,リアライ ズ社,1999.

[3]譚学厚,平田富夫:計算幾何学入門  幾何ア ルゴリズムとその応用,森北出版,2001.

[4]有澤誠,西村俊介:アルゴリズムとデータ構 造,実教出版,1998.

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