地区計画のための住民参加の位置付けとその効果に関する調査・研究
卒業研究者名 高橋 恭平 指導教員 竹内 光生
1.はじめに
近年、公共事業の見直しが行われている。官主導で行われてきた公共事業に対して、公共事業に住民の意 向が十分反映されているのか、税金の公共事業への投資効果は十分であるのかという住民の声や、公共事業 の企画、立案、施行内容が公開される時代となっている。全国共通の基準に沿った街づくりから、地域に応じ た街づくりを模索する傾向にあるといえよう。基準にある部分と基準にない部分の街づくりが要求されている。
2.地区計画
1 、2 、3)
2.1 地区計画制度 ) )
都市計画法の中で定められた制度であるが、地区住民の統一された意向に添って街づくりの規制緩和や規 制の上乗せをする、街づくりに住民参加を前提とする制度である。
2.2 民の公共性と官の努力
地域に応じた街づくりを模索する反面、従来、住民参加の問題構造の中で、地域エゴや住民のゴネ得が指 摘されている。筆者は、従来からの民の目的は利潤の追求であり、官の目的は公共の福祉であるという視点 は変わらないものの、民と官の目的の共通する部分に地域に応じた街づくりを模索する方向があると考えてい る。民と官の目的を列挙すると次のようである。
民は、①家族の平和と幸福に努める。②衣食住の確保に努める。③職業や家事に努める。
官は、①地域の問題点を把握する。②地域 の将来像を企画立案する。③法的・技術的情 報の収得に努める。共通する部分は、民の公
。 、
共性と官の努力である 官の共通しない部分は 地域住民のための公共事業であるのかという批 判の対象であり、民の共通しない部分は、地域 エゴや住民のゴネ得という批判の対象である。
この関係を図-1に示す。
2.3 民と官の主体性
官は、地方分権と地方自治をきちっとしようという認識と、説得力を持たなければならない。民は、阪神大 震災を教訓として、残念ではあるが官の限界を認識しなければならない。行政の側からも、今まで、市民は 行政のサービスを受ける立場であり、行政は市民にサービスを提供する立場であったけれども、今後は行政 と市民は同等のパートナーであるという認識が必要であるという指摘がされている。
3.アンケート調査4)
「人々の幸福に資することのできる街とはいかなる街であるか 」は、大きなテーマである。筆者は、このテ。 ーマも、現状の街を含む我々の日常生活と密接な関係にあると考えている。今回、現状の生活空間を把握する ことを目的として、高知高専の学生139名と一部の教職員にアンケート調査を行った。アンケートの内容は、高 知高専敷地内の「好きな場所」と「嫌いな場所」と「危険だと思う場所」を、指摘してもらうことである 「好。 き 「嫌い 「危険」という言葉は、日常的に使う言葉であるが、アンケートを受け取った学生は、高知高専」、 」、
敷地内の「好きな場所 「嫌いな場所 「危険だと思う場所」という抽象的な言葉に、最初は戸惑っていたよ」、 」、
うである。
3.1 アンケートの方法
まず、できるだけたくさんの人に、このアンケートの 使用目的を記した協力依頼文を配布した。アンケート の表には 「好きな場所」と「嫌いな場所」と「危険、
」 、 、
だと思う場所 の記入欄と そのコメント記入場所を アンケートの裏には 「好きな場所」は〇印 「嫌いな、 、 場所」は×印 「危険だと思う場所」は△印を付けて、 もらうための高知高専平面図を設けたアンケート用紙 を1枚渡した。そして、クラスごとに集計することによっ て、できるだけ多くの学生に依頼することとした。
3.2 アンケートの結果
アンケートの集計総数は、139名であった。まず 「好、 きな場所」と「嫌いな場所」と「危険だと思う場所」
。 をそれぞれ別々に1枚ずつの平面図上にプロットした 分布は、いくつかの固まりで点在する分布を示した。
そして、学生の活動内容の分類から、高知高専を6つ のゾーンに分割して表した。図 2に示すように、6つ-
のゾーンは 「コミュニティゾーン 「各科棟ゾーン 、、 」、 」 図-2 用途ゾーン
「クラブゾーン 「実験装置ゾーン 「帰宅ゾーン 、」、 」、 」
「寮ゾーン」とした 「好きな場所」と「嫌いな場所」。 表-1 用途ゾーンの特徴 と「危険だと思う場所」のコメントは、この6つのゾー
ンで分類した。そのゾーンごとの分析結果を表-1に示 す。内容は、それぞれの建物へのコメントの傾向を記 している。
4.まとめ
本研究の結果わかったことを下記に示す。
①アンケートによって、1人では意識の奥に隠れてしま う「好きな場所」と「嫌いな場所」と「危険だと思う場 所」が、共通の意識として現れた。
②アンケートによって、筆者だけでは把握することのでき ない場所の分布を得ることができた。
③6つのゾーンそれぞれに、特徴のあるよい評価はあっ ても、改善すべき部分が指摘された。
④民と官の目的を示した。そして民と官の共通する部分 があるということが分かった。
⑤地区計画は現状の街を含む我々の日常生活と密接な 関係があるということが分かった。
5.参考文献
1)新地域および都市計画/岡崎義則・他3名/コロナ社 2)都市計画/新谷洋二・他2名/コロナ社
3)都市計画概論/加藤晃/共立出版株式会社 4)平成十年卒業論文/藤坂昌史・吉岡秀敏