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(1)

基礎数学 I

2011 年前期 , 西岡

http://c-faculty.chuo-u.ac.jp//˜nishioka/

2 号館 11 21131 号室 オフィスアワー : 水曜 4

1 集合論

• 数学では, 多くの場面で集合とその演算を利用すると理解が容易になる.

• とくに, 論理の展開や確率論に集合論を効果的に使うことができる.

1.1 用語と記号

I. 範囲を確定した物の集まり を集合 setと呼ぶ. じつはこの説明は 明確ではなく, 集合ははっきり定義できない. 集合A を構成する物を要素

elementaと呼び, 次のように表記する:

(1) a∈A (aAに属する).

また, (1)の否定を次のように書く:

(2) a"∈A (aA に属さない).

– 1 –

いかなるものも要素として含まない集合(これも集合と考える), 空集合 empty setといい, 次で表す:

∅ (空集合).

II. • 集合 A, Bにたいし,

A=B

とは, Aに属する要素とB に属する要素とがまったく一致することを いう.

• 集合A , 要素a, b,· · ·, c から構成されているとき, A={a, b,· · · , c}

と書く. なお{a}は唯一つの要素aからなる集合である.

– 2 –

• 「集合A の要素がすべて 集合B に属する」とき ( これを論理式で a∈A⇒a∈B と表す ),

A B の 部分集合 A⊂B という.

1.2 集合の演算

• 集合A.B 和集合unionA∪B とは,A またはB に属する要素から

構成された集合のことである. つまり

x∈A∪B ⇔ x∈Aもしくはx∈B.

• 集合A.B 共通部分intersection A∩B とは, A およびB に属する 要素から構成された集合のことである. つまり

x∈A∩B ⇔ x∈Aかつx∈B.

– 3 –

(2)

• 集合A.B 差集合 differenceA−B とは,A には属するがB に属さ ない要素から構成された集合のことである. つまり

x∈A−B ⇔ x∈A かつx"∈B.

• とくに 集合 A全空間 X であるとき,差集合 X−B B る補集合 complement と呼び, Bc と表記する*1.

*1高校数学では,補集合をB と表記するが,大学以降の数学では,この記号には別の意 味があり,今後「補集合を表す記号」としては使わない.

– 4 –

例題1. A={1,2,3,4}, B ={2,4,6}のとき, A∪B, A∩B, A−B, B−A を求めよ. *

[解答]

A∪B ={1,2,3,4,6}, A∩B ={2,4}, A−B={1,3}(= B Aに関する補集合), B−A={6}(= A B に関する補集合).

定理 2. 任意の集合A, B, C にたいし, つぎの等式が成立する: (i) A∪A=A, A∩A=A,

(ii) A∪B=B∪A, A∩B=B∩A, (iii) `

A∪B´

∪C=A∪` B∪C´

, `

A∩B´

∩C=A∩` B∩C´

, (iv) `

A∪B´

∩C=` A∩C´

∪` B∩C´

, `

A∩B´

∪C=` A∪C´

∩` B∪C´

, (v) A∪ ∅=A, A∩ ∅=A, A− ∅=A, A−A=∅.

(vi) (ド・モルガン) `

A∪B´c

=Ac∩Bc, `

A∩B´c

=Ac∪Bc, %

問題 3. 定理2 (iii)を使い, 次の等式を証明せよ.

!"

A∪B#

∪C$

∪D ="

A∪B#

∪"

C∪D#

=A∪! B∪"

C∪D#$

.

!"

A∩B#

∩C$

∩D ="

A∩B#

∩"

C∩D#

=A∩! B∩"

C∩D#$

.

– 6 –

例題 4. あるクラスの50人に,サッカー(=S),野球(=B), テニス(=T) のどれが好きかを調べ,次の結果が得られた:

(i) Sが好きなものは35人, (ii) Bが好きなものは 30人,

(iii) Tが好きなものは15人, (iv) Sと Bが好きなものは20人,

(v) STが好きなものは10, (vi) BTが好きなものは 8,

(vii) どの種目も好きでないものは4 .

3種目とも好きなものの人数を計算せよ. *

(3)

[解答] サッカー好きなものをS, 野球好きをB, テニス好きをT で表 すと,

#(S∩B) = 20, #(S∩T) = 10, #(B∩T) = 8, となる.

S

B T

x

– 8 –

また, #(Sc∩Bc∩Tc) = 4 だから,#(S∪B∪T) = 50−4 = 46であ る. #(S∩B∩T) =x とおくと,

46 = #(S∪B∪T)

= #S+ #B+ #T −#(S∩B)−#(S∩T)

−#(B∩T) + #(S∩B∩T)

= 35 + 30 + 15−20−10−8 +x= 42 +x.

つまり,

x= 46−42 = 4. !

– 9 –

例題 5 (国公一種). 50 人の学生について, 英数国の3科目中で得意な科 目を調べた.

(i) 英語が得意なもの30, (ii) 国語が得意なもの25 ,

(iii) 数学が得意なもの20 , (iv) 3科目とも得意なもの5 ,

(v) 1 科目だけ得意なもの20.

3 科目とも不得意なものは何人か? *

– 10 –

[解答] 英語が得意なものをE, 国語が得意なものをJ, 数学が得意なもの をM で表す. 英語だけが得意なものは,

#E−%

#(E∩J) + #(E∩M)&

+ #(E∩J∩M).

同様に, 国語だけが得意なものは,

#J−%

#(E∩J) + #(J ∩M)&

+ #(E∩J ∩M).

数学だけが得意なものは,

#M−%

#(E∩M) + #(J∩M)&

+ #(E∩J∩M).

つまり1 科目だけが得意なものは, これらを足し併せて

#E+ #J+ #M−2%

#(E∩J) + #(E∩M) +#(J∩M)&

+ 3 #(E∩J ∩M)

– 11 –

(4)

この式に数値を当てはめて

20 = 30 + 25 + 20−2%#(E∩J) + #(E∩M) + #(J ∩M)&

+3×5 = 90−2%

#(E∩J) + #(E∩M) + #(J∩M)&

. これより

%#(E∩J) + #(E∩M) + #(J∩M)&

= 35.

一方

#"

E∪J∪M#

= #E+ #J+ #M

−%

#(E∩J) + #(J∩M) + #(E∩M)&

+ #(E∩J∩M)

= 30 + 25 + 20−35 + 5 = 45 だから

#(Ec∩Jc∩Mc) = 50−#"

E∪J∪M#

= 50−45 = 5. !

– 12 –

1.3 一般化

前節の議論は一般化でき, 大変有用である.

定理6. 集合 A1, A2,· · · に対し,次が成立. #A A に属する要素の数

を表す.

(i) #(A1∪A2) = #A1+ #A2−#(A1∩A2).

(ii) #(A1∪A2∪A3) = #A1+ #A2+ #A3

−%

#(A1∩A2) + #(A2∩A3) + #(A3∩A1)&

+ #(A1∩A2∩A3).

(iii) #(A1∪A2∪A3∪A4) = #A1+ #A2+ #A3+ #A4

−%

#(A1∩A2) + #(A2∩A3) + #(A3∩A4) + #(A4∩A1)&

+%#(A1∩A2∩A3) + #(A2∩A3∩A4) + #(A3∩A4∩A1) +#(A1∩A2∩A4)}−#(A1∩A2∩A3∩A4). *

定理 7. n個の集合A1, A2,· · ·, An に対し次が成立する. ただし#Ak

で 集合 Ak に属する要素の数を表す.

#(A1∪A2∪· · ·∪An) = '

1≤k≤n

#Ak− '

1≤j<k≤n

#(Aj ∩Ak)

+ '

1i<j<kn

#(Ai∩Aj∩Ak) +· · · (つまり−と+が交互に現れる). *

– 14 –

1.4 論理への応用

問題 8. 次の各項目が成立している:

• ジャズが好きな人は自由が好きである.

• 数学が好きな人は英語が好きではない.

• 歴史が好きな人は自由が好きである.

• 地理が好きな人は演歌が好きではない.

• 物理が好きでない人は演歌が好きである.

• 物理が好きな人は自由が好きではない.

• 物理が好きでない人は英語が好きである.

このとき, 以下の項目を「正」「誤」「不明」に分類せよ. 1. 歴史が好きな人は英語が好きではない.

2. 数学が好きでない人は地理が好きである. 3. ジャズが好きな人は地理が好きである. 4. 数学が好きな人は歴史が好きではない. *

(5)

[問題8 解答] ジャズ好き=J,自由人=F, 数学好き=M,英語好き= E, 歴史好き =H, 地理好き=G, 演歌好き=S, 物理好き =P とする. 成立しているのは

J ⊂F, M ⊂Ec, H ⊂F, G⊂Sc, Pc⊂S, P ⊂Fc, Pc⊂E

組み合わせて(定理2 (vi) も使う)

J ⊂F ⊂Pc⊂S ⊂Gc, J ⊂F ⊂Pc⊂E⊂Mc, H ⊂F ⊂Pc⊂S⊂Gc, H ⊂F ⊂Pc⊂E⊂Mc, G⊂Sc⊂P ⊂Fc ⊂Jc, M ⊂Ec⊂P ⊂Fc⊂Jc, G⊂Sc⊂P ⊂Fc ⊂Hc, M ⊂Ec⊂P ⊂Fc⊂Hc. これより, 1=, 2=不明, 3=, 4=. !

– 16 –

2 実数

現代数学では 無限 を日常的に取り扱う. その際, 奇妙なことが生じる. パラドクス?

! "

例題 9. 次の等式を証明せよ.

(3) 0.999· · ·= 1. *

# $

[証明] Step 1 (簡単な方法). 小学校で学ぶ割り算を認める:

(4) 1

3 = 0.333· · ·

この(4)の両辺に3 を掛けて, (4) (3)は同値となる:

1 = 3×1

3 = 3×0.333· · ·= 0.999· · ·.

– 17 –

Step 2. しかし厳密には, 「無限小数0.333· · · に3 を掛ける」演算が可 能かどうかに多少の疑問点が残る. そこで

x≡0.999· · · とおき, 10x−xを計算する:

10x = 9.999· · · +) −x = −0.999· · · 9x = 9.000· · · つまり9x= 9 ⇔ x= 1. !

– 18 –

現代数学の特徴

! "

• 現代数学の特徴は, 無限を頻繁に扱う 点にあるが, 例題 9,??に示 されるように, 無限を扱うには特別の注意が必要である.

• さらに 現代数学では「小さな無限, 大きな無限, より大きな無限,

· · ·」など無限の大小関係を比較することが可能である.

# $

• 基礎数学の目的である ‘微積分’ の根底にあるものは極限. この極限は 実数の上で展開される. そのため,極限=微積分を理解するためには「無 限の厳密な理解」および「実数の理解」が必要.

• 本節の内容は「数III, C」を超えているし, それとの繋がりも無い.

• 誰にとっても ‘初めての話なので, 是非, 理解すること.

– 19 –

(6)

2.1 自然数から有理数へ

まず自然数 Nとは,

N={1,2,3,· · · } のことである. m, n∈Nにたいし

(5) 四則演算: m+n, m−n, m×n, m

n を自由に使いたい.

– 20 –

(i) しかし(5)の 差m−n が一つの集合の中で完結するためには, 自然数の全体Nでは不十分で,

整数 Z={· · ·,−2,−1,0,1,2,3,· · · } まで広げなければならない.

(ii) さらに(5)の 除m/n が一つの集合の中で完結するためには, 数の全体Zでも不十分で,

有理数 Q={m

n :m, n∈Z, n"= 0} まで広げる必要がある.

ところが:

(iii) 一辺の長さ1 の正方形ABCD の対角線AC の長さx , 有理数

Qの範囲に留まらないことが証明できる(有理数の不完全性, 練習問 題 10 ).

A D

C B

(iv) また x2 = 2という方程式を解こうとすると, 有理数 Qの中では解 が見つからないことも証明できる( 練習問題10 ).

– 22 –

(v) また近代数学では, 頻繁に極限操作を行うが, √

2 = 1.41421· · · に 収束する数列

a1 = 1, a2 = 1.4, a3 = 1.41, a4 = 1.414,· · · , を考えると「収束先が見つからない」という不都合がおこる. など多くの不具合が発生する. そのためQをさらに広げる必要がある. 問題 10. 辺の長さが1である正方形ABCD の 対角線AC の長さ x 有理数ではないことを示せ. *

(7)

[解答] まず ピタゴラスの定理 より

(6) x2 = (AB)2+ (BC)2 = 12+ 12 = 2.

A

B C

D

1 x

つぎに, もし xが有理数だとすると, ある 整数k, j があり x= j

k, k"= 0,

j, k は既約(つまり 1以外の公約数を持たないこと) (7)

– 24 –

と表される. ところで(6)より j2

k2 =x2 = 2 ⇒ j2= 2·k2 ⇒ j は偶数

⇒ ある整数 q があり,j = 2·q すると

2·k2 =j2= (2·q)2= 4·q2 ⇒ k2 = 2·q2 ⇒ k は偶数

⇒ ある整数r があり, k= 2·r.

結局 j

k = 2·q 2·r

となり(7)で仮定した 既約 に反する. よって, (7)が間違っており, x は有理数ではない. なお上記の議論により, x2 = 2 の解が有理数でな い ことも示されている. !

– 25 –

2.2 有理数から実数へ

そこで私達は 前述I, (v) の不具合を解消するために,「次に述べる(8) 方法」で, 有理数Qを拡大する.

すると具合の良いこと,前述 I, (iii) – (vi)の難点もすべて解消されること が証明できる*2.

有理数からなる数列 で「基本列」と呼ばれる性質(9) 備えたものの極限全体を考え,それを 実数 Rとよぶ. (8)

直感では理解しにくいが,これが 実数R(数直線上の全ての点の集合) ある.

*2この 拡大の方法 とか, それで不具合が解消される ことなど論 ずることが, 「実数論」である. またどちらも無限個だが, 「実数の 個数>有理数の個数」となることが証明できる.

– 26 –

まず基本列 の定義を述べる.

定義 11. (実数でも有理数でも)数列 {an} が 基本列 とは, 任意のε>0 にたいし, ある自然数N があり,

m, n≥N → |am−an|≤ε (9)

をみたすことである. *

注意 12. 大雑把ににいうと, 基本列{an}とは, nが大きくなるにつれ,

|an−an+1| がいくらでも小さくなる数列のことである.

任意の基本列{an}の極限をすべて付け加えて, 実数 Rを作ったので, 述(v) の不具合は解消された.

– 27 –

(8)

こうやって得られた 実数Rは次のような良い性質を備えている. 命題13 (実数の性質).

(i) (四則演算が閉じている) a, b∈R

⇒a+b, a−b, a×b∈R, b"= 0なら a/b∈R. (ii) a, b∈R ⇒ a < b , a=b, a > b のどれかが成立*3. (iii) a, b∈R, a < b ⇒ a < c < bとなるc∈Rが存在する*4.

(iv) 実数列{an}⊂Rが(9)を満たせば, 必ずlimn→∞an∈Rが存在 する*5. *

*3 この性質を 線形順序性 という.

*4 この性質を 稠密性 という.

*5 この性質を 実数の完備性 という. 有理数全体Qは完備性を備えていない. – 28 –

3 無限の数え方

現代数学の特徴の一つは「無限を頻繁に扱う」ことである. ここでは「無 限」を分類するが, 無限を数えるための準備を行おう.

3.1 数の数え方 ( 基礎数学 I)

(i) 男子学生a, b,· · ·, から数人を選び,集合 X X ≡{a, b, c, d, e,}

と定義する. X の人数は5 と直ぐに数えられるが, ここで 数える は次を意味する:

U を自然数の部分集合 U ≡{1,2,3,4,5} とするとX U とに

1 : 1関係がある=X の要素に番号をつける.

!全単射 "

定義 14. ある集合 A B とに1 : 1関係があるとは, 以下の条件を

みたす関係式h:B →A が存在することである:

x∈B にたいし h(x)∈Aかつ h(B) =A, x, y ∈B かつ x"=y⇒h(x)"=h(y).

(10)

(この(10)をみたす関係式を全単射とよぶ.) *

# $

(ii) Step 1. 女子学生の集合

Y ≡{α,β,γ,δ,&}

がある. いまX Y が同数であることを確認するには, Y U 

={1,2,· · · ,5}とに 1:1の関係がある」ことを確かめるより, もっと簡単

な方法がある.

– 30 –

Step 2. X Y が同数であることを確かめる簡単な方法

=「男女が1:1で互いに手をつなぐ」.

⇒ 全員が手をつなげれば, X Y は同数. つまり h:X ↔Y

という全単射が存在した.

(∗) 以後, この考え方を使う. ⇔X Y の要素の個数が判らなくても,

同数が確かめられる.

(9)

2. 定義14の方法を使えば(数を数えられなくても)「集合A B が同 数」を確かめられる.

同数 の厳密な定義

! "

定義 15. (i) 集合A B の元の個数が同数, (今後は, Card[A] =Card[B] という記号を使う. )

⇔ A B とに1 : 1関係式h が存在することである. (ii) 集合A の元の個数はB より少ないか等しい. (今後は, Card[A]≤Card[B] という記号を使う.)

⇔ B の部分集合 C , Aと元の個数が同数」のものが存在する.

#* $

– 32 –

例題16. 学生の集合X ={a, b, c, d, e}と 椅子の集合 Y ={ア, ,, , , }の元の個数を比較せよ.

[ 解答 ]

X Y の間には, どんな全単射も存在しない.

a b c d e

1:1 対応がない

つまり, 二つの集合A, B の元が同数でなければ, AB の間には全単射 が存在しない. *

– 33 –

3.2 可算無限

自然数の全体

N={1,2,3,· · · }

の個数は無限個だか, この無限を特に可算無限0(アレフ ゼロ) と呼ぶ. 可算無限の例

! "

例題 17. 以下を証明せよ.

(i) 偶数の全体の個数は可算無限 ℵ0. (Card[偶数の全体] =ℵ0.) (ii) 整数の全体Z の個数は可算無限ℵ0. (Card[Z] =ℵ0. )

(iii) 2次元整数の全体 Z2 = {(n, m) : n, m ∈Z} 個数は可算無限

0. ( Card[Z2] =ℵ0.)

(iv) 有理数の全体Qの元の個数は可算無限 ℵ0. ( Card[Q] =ℵ0.)

# $

– 34 –

[解答] (i) 偶数の全体をEとおく. k∈Nにたいし h(k)≡2k とおく.

h(1) = 2, h(2) = 4, h(3) = 6,· · · h:N→Eは全単射だからNとEの元の個数は同じ.

(ii) 関係式h

h(k) =

( −2k+ 1 k≤0

2k k≥1 とおく.

– 35 –

(10)

つまり

h(0) = 1, h(−1) = 3, h(−2) = 5,· · · h(1) = 2, h(2) = 4, h(3) = 6,· · ·

となるので, h:Z→Nは 全単射. これは,下図の方法で整数Zを数え ること:

-2 -1 0 1 2 3

– 36 –

(iii) 2次元整数のZ2 を漏れなく数え上げる方法を言えばよい. 図で示す

と,下図の方法がそれ.

(iv) ある整数m, n(n"= 0) があり,x=m/n と表現できる数の全体が 有理数Qである.

このとき

x= m

n ∈Qにたいし ϕ(x) = (m, n)∈Z2

という対応を考えると,Qの元の個数が Z2 より少ないことが判る. ( 例えば,1/2∈Qに対応する Z2 の元は(1,2),(2,4),· · · と無限個ある. またn"= 0なので(1,0),(2,0),· · ·∈Z2 に対応するQの元は存在しな い.)

一方, Q⊃NなのでQの元の個数はNの元の個数(=可算無限0) より 多い.

つまり(iii) の結果を使うと

0=Card[N]≤Card[Q]≤Card[Z2] =ℵ0

となり, (iv)が証明された. !

– 38 –

3.3 非可算無限

前節では, 可算無限0 の例しか提示しなかった. では0 より 大きな無 限 は有るのか? この疑問に答えるため, 数直線上の 区間

I ≡{x∈R: 0≤x≤1}を考える. 可算無限より大きい無限

! "

定理 18. I の元の個数は可算無限0 より真に大きい. *

# $

非可算無限

! "

定義 19. I の元の個数を 非可算無限c (シー) と呼ぶ( 連続無 限 ともいい, ℵ1 (アレフ ワン)とも記す). *

# $

(11)

定理20 (定理 18の別証). 開区間(0, 1) 上の点の個数は, 自然数Nの 個数より真に多い. つまり, (0, 1) 上の点の個数は非可算c である. * [証明] 背理法で示す. いま, 開区間(0,1)の元の個数を可算無限0 とす る. すると 開区間 (0,1) の元は

{f(1), f(2),· · ·, f(k),· · · } と番号がつけられ, 小数表示を使うと

(11)

f(1) = 0.a11a12a13a14 · · · f(2) = 0.a21a22a23a24 · · ·

...

f(k) = 0.ak1ak2ak3ak4 · · · ...

– 40 –

という表が得られる. ここで, akj 0≤akj ≤9 なる整数である. この表から新しい整数列b11, b22,· · · を以下の方法で定義する:

bjj

) 1 もし ajj "= 1 2 もし ajj = 1

この整数列b11, b22,· · · から 開区間 (0, 1) の点x を次で定義: x≡0.b11b22 · · ·bjj · · ·

b11 "=a11 だから x"=f(1), b22 "=a22 だからx"=f(2),

· · ·, bkk"=akk だから x"=f(k),· · · に注意すると, 次の矛盾が出現する:

x∈(0, 1) だが 表(11)の右側のどの数字とも一致しない⇒ ところが, (0, 1) 上のすべての点は 表(11)の右側に現れるので,x"∈(0, 1) *

– 41 –

(∗) Rの部分集合の点の数を数える. 無限が関わるといろいろ不思議な 事が起きる.

例題 21. 線分X ≡[0,1]Y ≡[0,2]上の点の個数は等しい. [証明] 定義2.9より A X 間に全単射が有ることを言えばよいが, f :X →Y; f(x) = 2x, が条件を満たしている:

2 x

0 x 1

2

f(x)= 2x

!

– 42 –

例題 22. 次を証明せよ:

閉区間X ≡[0,1]と半開区間Y ≡[0,1) 上の点の個数は等しい.

[証明] 定義2.9より X Y 間に全単射が有ることを言えばよい. X の点列B, Y 上の点列C

X ⊃B ≡{bk≡ 1

2k, k= 0,1,· · · }

={1,1

2,· · ·, 1 2k,· · · } Y ⊃C≡{ck= 1

2k+1, k= 0,1,· · · }

={1 2, 1

4,· · ·, 1 2k,· · · } とおく.

f :X →Y; f(x)≡

( x もしx∈X−B

ck もしx=bk – 43 –

(12)

このf , f(1) = 1/2, f(1/2) = 1/4, ,· · · であり,B, C 以外の点は同じ 点に対応している. これは, 下図のように全単射を定義している:

1

1/2

1/4 1

1/2

1/4 1/8

0 0

1/8

!

– 44 –

命題23. 数直線R≡(−∞,∞) と開区間Y ≡(−1,1)上の点の個数は等 しい.

[証明] 下の関数f :Y →R; f(x) = 1

1−x − 1

1 +x を使い, 例題21 同じ議論を繰り返す.

!0.5 0.5

!5 5

!

3.4 まとめ

代表的な無限集合の元の数は以下の通り: 可算無限 ℵ0 自然数N

整数Z k 次元格子点Zk 点列{1, 1/2,1/3, 1/4,· · · }

有理数Q 非可算無限 c 開区間 (0,1) の点の数

(ℵ1) 閉区間[0, 1]の点の数 実数R

k 次元実数Rk

– 46 –

(∗) いくつかの事実.

例題 24. 「実数Rから 有理数 Qを差し引いた集合=無理数」の元の数 を数えよ.

[解答] 無理数の個数=c である. !

例題 25. 可算無限0 と非可算無限c との間には, 別の大きさの無限が有 るのか?

[解答] 「証明が不可能」 ということが証明されている. 「無い」と仮定 するのが, 連続体仮説 で, こう仮定して不都合が無いことも証明されて いる. !

例題 26. 非可算無限c より真に大きい無限が有るのか?

[解答] この証明も易しくないが,「有る」. 実数R上の関数全体 の個 数は, 真にc より大きく,2c と表記できる. !

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出てくる、と思っていた。ところが、恐竜は喉のところに笛みたいな、管みた

る、関与していることに伴う、または関与することとなる重大なリスクがある、と合理的に 判断される者を特定したリストを指します 51 。Entity

 神経内科の臨床医として10年以上あちこちの病院を まわり,次もどこか関連病院に赴任することになるだろ

Sabbah, Equations diff´ ´ erentielles ` a points singuliers irr´ eguliers et ph´ enom` ene de Stokes en dimension 2, Ast´erisque, 263, Soci´et´e Math´ematique de France,

7.自助グループ

だけでなく, 「家賃だけでなくいろいろな面 に気をつけることが大切」など「生活全体を 考えて住居を選ぶ」ということに気づいた生

○金本圭一朗氏