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割出し5軸加工工程設計支援システムの開発

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Academic year: 2021

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割出し5軸加工工程設計支援システムの開発

1.はじめに

 近年,金型製作の分野においてもグ ローバル競争力強化のため,さらなる リードタイムの短縮が求められてい る.その解決手段として 5 軸マシニン グセンタによる割出し 5 軸加工に注目 が集まっている.この加工では,工具 姿勢を傾けることにより工作物との干 渉を避けることができ,工具突出長の 短い高剛性なツーリングが使用可能と なり,加工時間の短縮や高精度化,低 コスト化が期待できる.

 しかし,割出し 5 軸加工では工具姿 勢の自由度が増えるために加工工程設 計が非常に複雑であり,3 軸加工に比 べて設計者にはさらに高いスキルが要 求されるうえ,時間を要する作業と なっている.加工工程設計から加工ま でのトータルリードタイムを考える と,5 軸加工により加工時間のみが短 くなっても,逆に加工工程設計時間が 長くなってはトータルで効果が得られ ない.

 そこで,これまでに開発した 3 軸加 工用の型加工工程設計支援システムの 機能を拡張し,熟練技能者でなくても 短時間で高能率な割出し 5 軸の加工工 程設計が可能となる支援システム

(1)

を開発した.

2.システム構成

 開発した割出し 5 軸加工工程設計支 援システムの全体構成を図 1に示す.

入力は素材モデル,金型モデルおよび 仕上面粗さや被削材等の加工情報であ る.出力は工具姿勢情報やツーリング 情報,切削条件等の NC データ作成に 必要な全情報である.

 システム内部は 6 個の演算モジュー ルと 2 種類のデータベースで構成され ており,それぞれの役割について以下 に述べる.

 (1) 入力された STL 形式の金型形 状データを独自のデータに変換 するモデル変換部

 (2) 集合演算により割出し 5 軸加 工をシミュレーションする割出 加工シミュレーション部  (3) 円すい状のツーリングを自動

生成する代表ツーリング生成部  (4) 工具およびホルダの幾何形状

データからツーリングを自動生 成する実ツーリング生成部  (5) 自動生成したツーリングに対

し切削条件を自動算出する切削 条件演算部

 (6) 非加工時間も含めた総加工時 間が最短となる工具姿勢,ツー リング,加工手順を選定する工 程演算部

 (7) 工具,ホルダ,機械特性など のデータを登録している設備 データベース部

 (8) 切削条件のデータを登録して いる機械加工データベース部

3.計算処理について

 本システムの特長的な計算処理につ いて下記に述べる.

3.1 有効工具姿勢の決定

 加工に有効な工具姿勢群を抽出する ため,図 2に示す除去体積マップ法 を開発した.これは,簡易的に表現し た代表ツーリング,および各工具姿勢 に対し,ワークとの干渉がなく加工で きる除去体積を加工シミュレーション で求めた後にマップ化し,その中から 除去体積が最大となる工具姿勢を「有 効工具姿勢」として選定する.さらに 前姿勢で削り残す部分に対し,同一処 理を繰り返し,形状全体を削り残すこ となく効率的に加工できる工具姿勢群 を抽出する手法である.

3.2 効率的な加工工程決定  図 3に示すように加工ツーリング 種類や加工姿勢などの多数の方案に対 して,総加工時間を比較演算する.こ こで,総加工時間は各工具の加工時間 と工具交換やテーブル割出しに必要な 非加工時間を考慮した値である.この 処理により,仕事量の少ない工程が排 除され,総加工時間が最短となる最適 加工工程の選定が可能となる.

4.効果

 本システムの設備データベースにあ らかじめ工具 130 種,ホルダ 28 種を 登録しておき,自動車部品のアルミダ イカスト金型(360mm × 360mm)に 対し,φ 2 からφ 10 の工具径範囲で 加工工程を演算した.

 加工工程設計時間は,人による思考 作業時間に対し 91%削減でき,加工

工程設計から加工完了までのリードタ イムを 50%削減することができた.

5.まとめ

 本システムにより,簡単なパラメー タ入力のみで金型の加工工程設計が自 動計算でき,金型製作における高効率 化に貢献できれば,幸いである.

〔謝辞〕

 本研究は(株)豊田中央研究所との 共同研究によって得られた成果であ る.ここに深く感謝の意を表する.

(原稿受付 2014 年 3 月 4 日)

〔山田良彦 (株)ジェイテクト〕

●文 献

( 1 )山田良彦,金型製作のリードタイム短縮を 実現する割出し 5 軸加工工程設計支援シス テム,第 14 回 国際工作機械技術者会議論 文集,(2010-10),82.

方案生成 方案の比較

小←

小←

→大

→大

工具剛性 非加工時間

方案 1 方案 2 方案 3 推奨

A

A A

B

B B C

C C

D

D

加工能率 加工時間

【方案 1】

【方案 2】

【方案 3】

金型形状

金型形状

金型形状

・・・・

A

A

D

B

B C

C

図 3 効率的な加工工程決定 図 1 開発システムの構成

入力情報

割出し 5 軸加工工程設計支援システム

①モデル変換部 ③代表ツーリング生成部

④実ツーリング生成部

⑤切削条件演算部

出力情報

・工具姿勢情報 ・ツーリング形状情報 ・切削条件 ・加工手順 ・加工領域表示

⑦設備データベース 工具・ホルダ

機械特性

⑧機械加工データベース 高速切削条件 ユーザ切削条件

②割出し加工シミュレーション部

⑥工程演算部 金型形状

素材モデル

(STL 形式) 金型モデル

(STL 形式) 加工情報 [ 仕上粗さ,材種…]

図 2 有効工具姿勢群の抽出

有効工具姿勢 θ

φ (deg)

θ (deg)

φ

MAX

(mm3

1 500 000

045 90

135 180

225 270

315 15

0

30

45

1 400 000 1 300 000 1 200 000 1 100 000 1 000 000

MIN

除去体積

─ 46 ─

日本機械学会誌 2014. 6 Vol. 117 No.1147 408

参照

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