日機連18高度化−2
平成18年度
簡易型常温域遠赤外線放射エネルギー計測 に係る調査研究報告書
平成19年3月
社団法人 日本機械工業連合会
社団法人 遠 赤 外 線 協 会
この事業は、競輪の補助金を受けて実施したものです。
序
我が国機械工業における技術開発は、戦後、既存技術の改良改善に注力することから始 まり、やがて独自の技術・製品開発へと進化し、近年では、科学分野にも多大な実績をあ げるまでになってきております。
しかしながら世界的なメガコンペティションの進展に伴い、中国を始めとするアジア近 隣諸国の工業化の進展と技術レベルの向上、さらにはロシア、インドなどBRICs諸国 の追い上げがめざましい中で、我が国機械工業は生産拠点の海外移転による空洞化問題が 進み、技術・ものづくり立国を標榜する我が国の産業技術力の弱体化など将来に対する懸 念が台頭してきております。
これらの国内外の動向に起因する諸課題に加え、環境問題、少子高齢化社会対策等、今 後解決を迫られる課題も山積しており、この課題の解決に向けて、従来にも増してますま す技術開発に対する期待は高まっており、機械業界をあげて取り組む必要に迫られており ます。
これからのグローバルな技術開発競争の中で、我が国が勝ち残ってゆくためにはこの力 をさらに発展させて、新しいコンセプトの提唱やブレークスルーにつながる独創的な成果 を挙げ、世界をリードする技術大国を目指してゆく必要があります。幸い機械工業の各企 業における研究開発、技術開発にかける意気込みにかげりはなく、方向を見極め、ねらい を定めた開発により、今後大きな成果につながるものと確信いたしております。
こうした背景に鑑み、当会では機械工業に係わる技術開発動向等の補助事業のテーマの 一つとして社団法人遠赤外線協会に「簡易型常温域遠赤外線放射エネルギー計測に係る調 査研究」を調査委託いたしました。本報告書は、この研究成果であり、関係各位のご参考 に寄与すれば幸甚です。
平成19年3月
社団法人 日本機械工業連合会 会 長
金 井 務
序
京都議定書に基づく温暖化ガス削減目標達成に向け、官民一体になった行動を展開して いますが、1990年に比べ6%削減する目標に対し、2005年度は8%増加している 状況にあります。これを受け、政府は、温暖化対策の対象業種を拡大するとともに、増加 が著しい学校や病院などに数値目標を設定し、温暖化ガスの削減を推し進めることととな りました。
遠赤外線は、省エネ性が高く、制御性に富み、クリーンなことから、学校、病院などの 大規模空間の暖房はもとより、加熱、焼成、乾燥、暖房、調理などの機能を果たす装置・
機器に幅広く使用されています。社団法人遠赤外線協会は、遠赤外線関連製品・技術に関 する調査及び研究、情報の収集及び提供、普及及び啓発などの活動を通じて、我が国の遠 赤外線関連産業の振興と消費者保護を図り、我が国の経済発展と国民生活の向上に寄与す ることを目指して、活動を展開しております。
遠赤外線の利用分野には、インナーウェアや肌着などの繊維製品もあります。遠赤加工 を施した繊維製品は保温効果を高める機能を持つことから、広く利用されていますが、扱 う温度領域が常温域であることから、その遠赤外線放射エネルギーを計測するには、迷走 光による影響を除去し、高感度な検出器を選択するなど計測上の課題も多く存在します。
一方、工場や検査機関では、日常的に手軽に使える移動できる計測器に対する要望も強い ものがあります。
これらの常温域遠赤外線計測器に求められる諸課題の解決に向けて、遠赤外線協会に大 学、検査機関、計測企業、繊維企業の専門家の方々にお集まりいただき、常温域の遠赤外 線放射エネルギーを簡易的に計測できる方法について議論を進めるとともに、計測器を試 作して、その実証に努めました。
本報告書は、社団法人日本機械工業連合会より委託を受けました上記「簡易型常温域遠 赤外線放射エネルギー計測に係る調査研究」について、実施しました成果をまとめたもの であります。関係各位のご参考に供することができれば幸いです。
平成19年3月
社団法人 遠赤外線協会 会 長
大森 英樹
事業運営組織
本調査研究は、次の委員会で実施した。
「常温域赤外線計測委員会」
【委員会委員】
委員長:中島 利誠 お茶の水女子大学 名誉教授
委 員:上田 昌貞 日本バーンズ株式会社 東京営業部 技術課長 委 員:大倉 力 株式会社 相馬光学 取締役技術開発部長 委 員:尾上 正行 神奈川県産業技術センター 工芸技術所 所長
委 員:加藤 三貴 神奈川県産業技術センター 資源・生活技術部 主任研究員 委 員:鎌田 佳伸 実践女子大学 教授
委 員:木村 嘉孝 木村技術事務所 所長
委 員:倉本 幹也 財団法人 日本化学繊維検査協会 技術企画部 室長 委 員:桑原 久 株式会社ファーベスト 技術開発部 課長
委 員:清水 賢 東京農工大学 名誉教授
委 員:竹下 慎一 株式会社クラレ 繊維資材事業部 生産管理部 品質管理グループリーダー代行 委 員:田坂 俊樹 財団法人 日本繊維製品質技術センター 分析センター所長
委 員:中村 勤 西川産業株式会社 日本睡眠科学研究所 所長
【作業部会】
中島 利誠 お茶の水女子大学 名誉教授
上田 昌貞 日本バーンズ株式会社 東京営業部 技術課長 尾上 正行 神奈川県産業技術センター 工芸技術所 所長
加藤 三貴 神奈川県産業技術センター 資源・生活技術部 主任研究員 鎌田 佳伸 実践女子大学 教授
木村 嘉孝 木村技術事務所 所長
【オブザーバー】
石森 則夫 経済産業省 製造産業局 ファインセラミックス室 室長補佐
【事務局】
佐川 守一 社団法人 遠赤外線協会 専務理事 高橋 和夫 社団法人 遠赤外線協会 技術部長 井上 なおみ 社団法人 遠赤外線協会
目 次
緒言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
第1章 調査研究の全体計画および実施計画・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
第2章 遠赤外線放射エネルギー計測法の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 2.1 簡易計測法の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2.1.1 加熱分野における遠赤外域放射パワー計測の実態と問題点・・・・・・・・・・・・・・・4
2.1.2 加熱 分野を対象 とした遠赤 外放射エネ ルギーの簡 易的測定法 の現状調査 ・・・5
2.2 市販赤外線検出器の国内外の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2.2.1 何故、赤外線温度計を用いるのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
2.2.2 赤外線放射温度計・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 2.2.3 赤外線カメラ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
第3章 簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 3.1 常温域での遠赤外線放射計測法の経緯と問題点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 3.2 遠赤外線加工製品の氾濫と簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器の必要性・・21
第4章 簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器の試作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 4.1 基 本 構 想・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
4.1.1 試作の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 4.1.2 検出器の選定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 4.1.3 装置の構造・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 4.2 試作・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 4.3 検 出 器(KT15.83)の基 本 特 性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 4.4 測定手順・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 付記 その他の考案事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
第5章 試作器における実用性の検証・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 5.1 温度差と放射率・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
5.1.1 放射温度計の仕組みと放射率設定の意味・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45
5.1.2 放射率読み取り精度の検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 5.2 放射率の留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
5.2.1 材料の形態による放射率の測定法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
5.2.2 非浸透性固体材料の放射率の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
5.2.3 半透明非散乱性固体材料の放射率の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
5.2.4 半透明散乱性固体材料の放射率の測定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
5.2.5 赤外放射における温度計測・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 5.3 表面温度の留意点・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51 5.3.1 布の構造と表面温度・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
5.3.2 試作器の試料表面温度の推定方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51
5.3.3 試料表面温度の推定(その1.放射率と表面温度)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
5.3.4 試料表面温度の推定(その2.試料厚さと表面温度)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53
5.3.5 試料表面温度に関するまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 5.4 波長帯域別エネルギー比率の温度依存性・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
第6章 試作器による計測例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 6.1 測 定 試 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 6.2 試 験サンプル1(金)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67 6.3 試験サンプル2(アルミニウム)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 6.4 試 験サンプル3(綿)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・69 6.5 試験サンプル4(ウール)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71 6.6 試 験 サンプル5(ポリエステル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73 6.7 試験サンプル6(アクリル)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・75 6.8 試験サンプル計測結果のまとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・77 第 7章 試作計測器器の適用可能性について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79 第 8章 本調査の成果と課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・81 結言・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84
緒言
平成 18 年度の簡易型常温域遠赤外線放射エネルギー計測に係る調査研究報告書刊行の 運びに至ったのは、ひとえに本年度の委員会運営にご協力いただいた委員各位のお蔭であ り、特に作業部会委員各位ならびに事務局の方々には御多忙の中を多大な時間を割いてい ただいたことに感謝している。
常温域における遠赤外放射機構と人体への作用・効果に関する調査研究は、本協会設立 以来の重要課題であり、その成果は、遠赤外線協会の繊維製品認定制度につながり、この 地道な努力により遠赤外線加工製品に対する消費者の理解は深まりつつある。
常温域での遠赤外線効果の有無については、人間の温度感覚の発現を抜きにしては考え られず、熱刺激としては放射に限らず、熱伝導や対流もあり、真空中の宇宙空間の場合は 別としても、大気圏下の日常環境、特に衣服内微空間の中で、放射加熱のみの効果を抽出 できる場合は少ない。しかし、放射加熱は伝導、対流よりも、エネルギー伝播速度が速い ため、人間の動的温度感覚において温度感覚を刺激しやすいのが特長といえる。
したがって、本協会の遠赤外線加工繊維製品の認定に当っては、遠赤外放射がどの程度 放射されているか否かを確認する放射特性と、人体側の皮膚温度上昇が有るか否かを確認 する温度特性を義務付けている。フーリエ変換赤外分光(FTIR)による遠赤外放射特性の 測定にしても、人体側の被験者テストにしても、繰り返しが必要であるため、かなりの費 用が必要である。これが信頼性の欠ける製品が認定を受けずに、市場に出回る一因となっ ている。このような状況を踏まえ、遠赤外放射に関係する物理量、特性値を、利用可能な 装置や計器を用いて、比較的容易に測定できることが重要であると考え、表記の調査研究 を行った次第である。
第1章 調査研究の全体計画および実施計画
調査研究の全体計画
遠赤外線は、対象物に集中してエネルギー供給が可能で省エネ性に優れていること、供 給側で対象物へのエネルギー投入量が制御可能で対象物に適したエネルギー供給が可能な こと、熱輸送媒体が不要なので、攪拌用ファンによるごみの付着がないなどの特長を
有することから、加熱、焼成、乾燥、暖房、調理などの機能を果たす装置・機器に幅広く 使用されている。また、遠赤外線加工を施したインナーウェアや肌着などの繊維製品は、
保温効果を高める機能を持つことから、常温域でも広く利用されている。
これまで、遠赤外線繊維製品の評価には、布の遠赤外分光放射特性と繊維製品のサーモ グラフィによる温度特性から製品評価基準を定め、遠赤外線加工品と未加工品の間に生じ る有意差を判別することで、適正製品の峻別を行ってきた。
しかしながら、この方法では、分光放射率測定のための比較試料(遠赤外線未加工品)
作りや被験者による複数回のサーモグラフィ測定データなどを揃える必要があるので、手 間や時間を要し、簡便さに欠け、測定費用も高額にならざるを得なかった。また、扱う温 度領域が常温域であることから、迷走光による影響を除去し、高感度な検出器を選択する など計測上考慮すべきこと項目も多い。
本事業では、分光特性を測定することなく、放射率が既知の基準となる黒体と放射率が 未知の試料が同一温度であると仮定して、試料の放射率を求めるという方法を利用して、
常温域遠赤外線放射エネルギーの概略値を、基準黒体との比により求める方法について調 査研究を行う。また、携帯ないし移動可能な装置の試作を通じ、本調査研究で提示する方 法について検証を行う。
実施計画
産学官の学識経験者による「常温域赤外線計測委員会」を設置し、以下の項目について調 査研究を行う。
1.常温域遠赤外線放射エネルギー計測方法の調査と簡易型計測方法の構成検討
現在、実用に供されている常温域遠赤外線放射エネルギー計測方法について調
査を行い、簡易型計測方法構築のための検討基礎資料とする。計測方法の調査 結果に基づき、従来の遠赤外線加工の有無ではなく、基準黒体との特性差を検 出できる最適な放射エネルギー計測方法の構成を検討する。
2.簡易型計測方法の調整、補正
簡易型計測方法の精度、再現性などを既存の計測方法と比較検討し、調整、補 正を行う。また、既存の計測方法である遠赤外線加工の有無との相関性を把握 する。
3.簡易型計測方法の適用性評価
布やプラスチックなどをサンプルに既存の計測方法で測定した遠赤外線放射エ ネルギーと本調査研究の簡易型計測方法による測定結果について比較検討し、
簡易型計測方法の評価を行う。
第2章 遠赤外線放射エネルギー計測法の現状
本章では、遠赤外線放射エネルギー計測法の現状および新しい計測器を構築する上で要 となる容易に入手可能な市販の赤外線検出器について述べる。
2.1 簡易計測法の現状
2.1.1 加熱分野における遠赤外域放射パワー計測の実態と問題点
遠赤外放射によるエネルギーを加熱や乾燥に利用しようとする場合、遠赤外ヒータから の放射パワー(単位時間当たりの放射エネルギーの量)を、より厳密に言えば、遠赤外域 における放射パワーを知ることが、装置設計、運転条件の最適化、効果の追求、確認など にとって大変重要である。この放射パワーを、任意の波長帯域別に知ることができれば、
対象物質との関連においても、詳しい解析が可能となりその意義は大きい。
しかし実際には、遠赤外ヒータからの全放射パワーを直接に測定する方法、計器は未だ に用意されてはいない。もちろん波長帯域別の放射パワーを簡便に直接測定することなど、
なおさら難しい。代わりに現在行われているのは、ヒータを構成する放射材料の分光放射 率測定ならびにヒータ表面温度の測定などである。これらのデータを総合して、放射パワ ーに関して大体の推定を行う。
実際の加熱・乾燥プロセスでは、処理物の温度、重量やその他物性などの諸特性値の変 化を観察して、その情報をフィードバックして加熱の推移に応じてヒータ表面温度を制御 するなどが通常行われている。この方法では、間接的に処理物に投入する放射パワーを調 整していることになり、それにより品質的にも、効率的にも極力望ましい加熱過程が実現 されることを目指している。また、対象としている遠赤外加熱プロセスに対し、個別に数 学モデルを構築し、これを用いて計算機実験を行うなどのシミュレーション解析手法も簡 単な系ではよく用いられている。
ヒータ温度による運転制御やシミュレーション解析は、現状において大変有効な手法で あるが、間接的な制御である、あるいはあくまでも計算結果である、などの問題点を抱え ており、本質である(特定波長域の)遠赤外放射パワー自体が把握できている訳ではない。
このような状況のもと、遠赤外域放射パワー、特に特定波長域の放射パワーと処理物にお ける加熱効果との因果関係の追求は、定量的にも定性的にも、これまで曖昧なままで放置 されて来たのである。
2.1.2 加熱分野を対象とした遠赤外放射エネルギーの簡易的測定法の現状調査
(社)遠赤外線協会では、平成 17年度に「遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評 価する方法の調査研究」1)を(社)日本機械工業連合会より受託し、上記問題点を念頭にお いた調査を実施し、簡易的に必要最小限の情報を得るための新たな方法につき、その可能 性を模索した。この調査においては主として放射温度計を利用した方法が詳しく検討され ているが、それ以外にもいくつかの測定方法を見ている。これら放射温度計以外の測定方 法は、それ自体簡易的な方法ではないが、常温域の放射エネルギーの(簡易的な)測定方法 を考える上で参考となる可能性があるので、概観しておくことにする。調査の中心であっ た放射温度計利用の方法については、後の(2)で概要を述べ、そこで得られた知見の本 調査への利用について検討する。
(1)放射温度計以外の測定法
①FTIRによる分光放射エネルギー測定法
この方法は既に遠赤外放射素材含有繊維・生地の分光放射率測定に利用されてきた。
しかし、常温付近の温度域における測定精度不足、測定自体が簡単ではないなどの問題 があり、それらが今回の簡易法の検討の必要性につながっているという背景がある。
②サーモグラフィによる方法
この方法は既に遠赤外放射素材含有衣類の保温効果などの観察に活躍している。これ までこの計器は温度分布測定にのみ用いられてきたが、帯域の異なる機種による測定結 果を比較するということは成されていないと思われる。現在国内で利用できるのは、例
えば帯域 3~5μmの機種と帯域8~14μmの2種程度である。遠赤外ヒータの中には、
特に前者の短波長側帯域で放射率が低いものがあり、この2機種で温度分布パターンを 比較する意味があったが、繊維などの場合でも繊維素材や、それに含有させる放射素材 の種類によっては、異なる分布を示す可能性もなくはない。どのような使い方をするか、
今後の課題になるかも知れない。
③放射照度計による方法
放射照度計は例えば室内における(遠赤外)暖房の効果を測定し、その効果的なシステ ムを設計したり、あるいはそれらにより得られた測定データを人体の温感に関連づけて 解析したりするのに適した測定である。すなわち常温付近の温度域で必要とされる測定 手段である。しかし現時点において、手軽に利用できるような遠赤外域の放射照度計は ない。そこで(社)遠赤外線協会では平成 16 年度に「遠赤外線応用機械のエネルギー 評価方法に関する調査研究」2)を(社)日本機械工業連合会より受託し、将来もっとも利 用の可能性が高く、かつ実用化が比較的容易と思われ、大学などでも研究が進められて
いる焦電素子を用いたタイプを中心に調査を実施した。
この方法は、直接放射率を測定する方法ではないが、上記のように常温分野において有 効と思われるので、今後ともその利用について検討が成されることが望まれる。
(2)放射温度計を用いる方法
平成 17年度「遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究」1)に おいて、簡易的な測定方法の主たる候補として選ばれたのは市販の各種放射温度計である。
この計器は本来、特定の波長帯域(検出帯域)の放射エネルギーを測り、これを温度に換算 して表示するようになっており、対象物体の(平均的な)放射率の影響が考慮できるように なっている。したがって、本来とは逆の使い方になってしまうが、放射エネルギー測定計 器として利用することが原理的に可能である。また、検出波長域、検出素子、測定温度域 その他に関して、様々な種類が用意されているため、簡易法としての利用に適した仕様の ものを選択することができる。将来実際に簡易測定器を製作するニーズが発生した際には、
原型の放射温度計からの改良など、比較的に容易に対応可能と考えられ、低コストの簡易 測定器実現につながると期待される。
常温域(体温+10数度)の遠赤外利用においては、関与する放射エネルギーが加熱分野に 比べてかなり弱いレベルとなるが、その大きさや波長分布を知る重要性は、加熱分野の場 合と全く変わりはない。むしろその測定は、場合によっては微弱なエネルギーを対象とす る必要があるなど、加熱分野とは異質の難しさを含んでいるとも言える。
この分野では、効果を比較する際に、例えば 0.5℃の温度差を問題にすることも考えら れるが、それはその 0.5℃に相当する僅かな放射エネルギーの差を検出し、議論する必要 があるということである。そしてこのような常温分野の測定手段として、加熱分野同様、
放射温度計の活用が、単なる温度測定、放射エネルギー測定に留まらず、考えられよう。
この調査では、近赤外域から遠赤外域までの帯域(0.2~16μm)を有する放射温度計に、
Long-Pass フィルタ(5~16μm)、Short-Passフィルタ(0.2~4μm)をそれぞれ装填した時、
あるいは装填しない時の計3つの条件下で遠赤外ヒータからの出力を測り、これらを互い に比較することによって、大雑把な波長帯域別の放射エネルギー比率の情報が得られるこ とを確かめている。
図 2.1-1に測定システムの概略を、図2.1-2 に両フィルタの透過特性と放射計の感度特性
を、図 2.1-3に放射計とこれにフィルタホィールを装着したときの外観を示す。
このように、フィルタを併用して波長帯域別の情報まで知るという手法は、将来常温域 においても波長帯域別の測定を検討する場合、大変有効であると考えられる。
図2.1-1 測定システムの概略
図2.1-2 遠近両フィルタの透過特性と放射計の感度特性
図 2.1-3 放射計外観(右はフィルタホイール装着時)
参考文献
1)平成17年度「遠赤外ヒータの放射エネルギーを簡易的に評価する方法の調査研究報告 書」(平成18年3月;(社)日本機械工業連合会、(社)遠赤外線協会).
2)平成16年度「遠赤外線応用機械のエネルギー評価方法に関する調査研究報告書」(平成 17年3月;(社)日本機械工業連合会、(社)遠赤外線協会).
2.2 市販赤外線検出器の国内外の現状 2.2.1 何故、赤外線温度計を用いるのか
温度を計測するには、接触型(棒状水銀温度計、熱線対、サーミスタなど)と非接触型
(赤外線放射温度計、赤外線カメラ)がある。接触型は応答が遅く、被測定物の熱を奪う 欠点があるが、安価なため一般的に用いられている。非接触型は応答が速く、被測定物の 熱を奪うことがないので微小な物体も計測できる。このことから、非接触型が工業全般で 広く用いられている。しかし、一般に物体の材料や表面状態で赤外線を放出する効率(放 射率)が異なるので、放射温度計測では被測定物の放射率を知る必要があることは言うま でもない。
また、赤外線を用いた非接触型の温度測定には次の2つの方法がある。
1) 赤外線放射温度計 1ポイントの温度を計測(一次元計測)
2) 赤外線カメラ テレビのように画像として計測(二次元計測)
2.2.2 赤外線放射温度計
低 温 測 定 用 放 射 温 度 計 に 用 い ら れ て い る 検 出 器 は サ ー モ パ イ ル と パ イ ロ エ レ ク ト リ ッ クが主流である。パイロエレクトリックはサーモパイルに比べ感度特性が良いため高精度 型に用いられている。両検出器の検出波長は広く全波長に均一な感度を持っているため、
バンドパスフィルタを用いて計測波長を固定している。
ガラスやフィルム(PE、PP、PVC、PET、他)は可視光で透過するように赤外 域でも透過するが各フィルム固有の特定波長のみ吸収する。この波長に合うバンドバスフ ィルタを用いればそのフィルムの温度が測定できる。同様に、火炎(フレーム)やガラス 越しの温度を測定できる。
(1)高精度型赤外線放射温度計1 )
検出素子としてパイロエレクトリックを用い、計測 したいサンプルに合わせ、既存の17種類の計測波長 が選択できる高精度型の赤外線放射温度計である。
背面パネルに温度表示をする他、アイピースにも温度 を表示するのでターゲットに照準を合わせながら温度 を確認することができる。
(2)携帯型赤外線放射温度計1 ) 充電型バッテリー駆動で 18 時 間使用可能。4種類のモデルで-30
℃ ~ 2,000℃を網羅している。
テレスコープ付のモデルもあるが 計測位置を確認するためのレーザ が付いているので計測しやすい。
また、サーモカップル(熱電対)の入力端子があり、サーモカップルの温度から放射率 を求めることができる。
(3)ライン用赤外線放射温度計1 ) 製造ラインなどに固定して温度を計測 す る モ デ ル 、 検 出 波 長 は 7.5 ~ 16μ m で、-30 ℃ ~ 500℃を計測可能。
(4)サーモパイル型赤外線放射温度計2 ) 製造ライン用として多用されているモデル である。
検出波長は 8 ~ 14μm(波長の選択可)
で、測定範囲を 0 ~ 300℃と0 ~ 600℃を選 択できる。
(5)放射率計測専用器3 )
検出素子はサーモパイルを使用し、0.6 ~ 42 μmの波長帯で計測する、放射率を計測する専 用装置である。
2.2.3 赤外線カメラ
現在、主に使用されているアレー型赤外線検出素子は表 2.2-1 の通りで、これらの検出 素子は固有の波長特性を持ち、測定物や計測温度及び素子数などにより選別される。
QWIP及び InSbは冷却器が内蔵されているので、小型化はできないが、非常に感度が良 く、応答速度が速いので高精度型に使用される。現在生産されている最大素子数は 640x512 である。
非冷却Microbolometerは冷却器がないため小型軽量で消費電力の少ない携帯用のカメラ
が作成されている。素子数が 120x120の量産品から640x480の高精度型まである。
近年、遠赤外線領域ではないが、近赤外線以下の波長の検出素子が開発され、注目を集 めている。
表2.2-1 赤外線カメラの検出素子
検出器の種類 検出波長 Visible Gallium Arsenide (VisGaAs) 0.4 ~ 0.8 μm Indium Gallium Arsenide (InGaAs) 0.9 ~ 1.7 μm Indium Antimonide (InSb) 3 ~ 5 μm
Quantum Well (QWIP) 7.5 ~ 13.5 μm
Microbolometer (uncooled) 7.5 ~ 13.5 μm
(1)超小型赤外線カメラ4 )
従 来 の 赤 外 線 カ メ ラ は 単 素 子 の 検 出 器 の 前 に X-Y を走査するミラー機構を組込み映像化してい たが、現在はアレー素子を用いているので機械的 な走査機構がないため小型化された。しかし、温 度の計測はできない。
車やロボットに搭載し、事故防止、防犯、火災防 止、消火などに用いられている。
検出素子:非冷却マイクロボロメータFPA 素子数:160 x 120 ピクセル
検出波長:7.5 ~ 13.5μm
映像出力:NTSC及び Digital Data
(2)高精度型赤外線カメラ4 )
研究開発用のカメラで、検出素子は InGaAs、
Quantum Well Infrared Photodetector (QWIP)及び InSbを揃え、素子数は320 x 240、640 x 480ピ クセルを選択できる。最高フレームレートは画 面の一部を 900HzでPCに転送できる。
また、外部クロックの同期に合わせフレーム を取り込みが可能なモデルもある。
(3)携帯型高精度赤外線カメラ4 ) 携帯型モデルとしては素子数が
640x480と高品質のカメラである。
検出素子:非冷却マイクロボロメータ 素子数:640 x 480 ピクセル
検出波長:7.5 ~ 13μm
(4)低価格赤外線カメラ4 )
バッテリー内蔵の携帯型で建造物の熱リークや電気 設備の保安に用いられる。
検出素子:非冷却マイクロボロメータFPA 素子数:120 x 120 ピクセル
検出波長:7.5 ~ 13μm
イメージの記録:内蔵 FLASHメモリ(50 枚)
参考資料
国内で赤外線測定機器を製造や販売をしている主な会社は以下の通りである。
赤外線カメラ 赤外線放射温度計 NEC三栄株式会社 ◎
日本アビオニクス株式会社 ◎
日本バーンズ株式会社 ◎ ◎ 株式会社チノー ◎ ◎ 株式会社堀場製作所 ◎
参考文献
1)赤外線放射温度計:Heitronics Infrarot Messtechnik GmbH http://www.heitronics.com/english2/indexe.htm
2)サーモパイル型赤外線放射温度計:株式会社チノー http://www.chino.co.jp/products/thermometers/ir-ba.html
3)放射率計測専用器:有限会社オービスタルエンジニアリング http://www.orbital-e.co.jp/pdf/press051221.html
4)赤外線カメラ:Flir Systems Inc.
http://www.flirthermography.com/
第3章 簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器
本 章 で は 、 常 温 域 で の 遠 赤 外 線 放 射 計 測 法 の 認 定 制 度 発 足 に 至 る 経 緯 と 現 在 で の 問 題 点、ならびに市販遠赤外線繊維製品の現状と簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器開発の 必要性について述べる。
3.1 常温域での遠赤外線放射計測法の経緯と問題点
1990 年に当協会の前身である「遠赤外線産業協会」が発足した当初から、常温遠赤外放 射に関する技術的な課題を解決することは活動目的の一つであった。そこで、協会発足と 同時に編成された「技術委員会」の中に「加熱部会」と「非加熱部会」が編成され、非加 熱部会の中に「非加熱測定」、「非加熱効果」および「非加熱情報」の三つの分科会が設 けられて活動が行われた。非加熱測定分科会では、常温域遠赤外線の「質」(波長特性)
と「量」(放射エネルギー強度)を具体化する手段として、㈱日軽技研と日本電子㈱の共 同開発による「常温域赤外分光放射測定法」をベースにして「常温域遠赤外線測定法」が 確立した。
この活動経過は「非加熱測定分科会活動報告書」1 )(平成5年3月)に詳しく報告され ている。これらの努力により、フーリエ変換赤外分光法(FTIR法)を用いて 33~40℃の常 温付近における各種材料の遠赤外線放射特性を波長 4~20μm 範囲で測定した分光放射率 または分光放射輝度などから把握できるようになった。
さて、放射エネルギーの測定には2つの方法がある。一つは赤外線が照射されたときに 生じる検出器そのものの温度上昇を電気抵抗や電気容量の変化で検出する方法であり、も う一つは赤外照射時の光量子の作用で生じる半導体中の自由電子の移動や正孔を導電率の 変化として測定する方法である。光量子による半導体検出器は、検出感度は高いが検出で きる波長領域は狭い。このように検出方法により、それぞれ長所、短所が異なるのである。
また常温域における遠赤外線放射を測定する場合に留意しなければならない点として、
測定対象物と周囲環境間の放射の区別の難しさと、測定値の微弱な差に対する信頼性があ る。したがって、測定環境を一定にし、環境因子による影響を装置関数として扱い除算す る方法や、MCT 検出器(半導体型検出器)を用いることにより特定波長領域において高感 度に検出するなどの方法が工夫されれば、ある水準での測定は十分に可能である。
財団法人日本化学繊維検査協会に設置されているフーリエ変換型分光放射率測定装置は 日本電子社製(型式番号:JIR-E500Z)であるが、従来までの測定装置と比較して制御プ ログラム部分を独自に変更し Windowsシステムへの対応及び、バックグラウンド放射の影
響を測定バッチ毎に測定し演算させる点を特徴とした装置になっている。図 3.1-1 にその 装置の外観を示す。
主な仕様を以下に示す。
測定方法:二点温度標準による検量方法 性能
スペクトル 波数域 400~8000cm- 1(1.3~25μm)
スペクトル最高分解能 2 cm- 1 スペクトル精度 ±0.01 cm- 1
試料加熱ステージ
試料温度の加熱範囲 40~400℃
許容最大試料寸法 50×50×5mm 試料測定部寸法 直径 約7mm
標準黒体 40℃、160℃の二種の黒体
測定項目 分光放射率、分光放射強度、積分放射率、積分放射強度
図 3.1.1 分光放射率測定装置外観
本装置は、二点温度標準による検量方法を用いているが、この他の方法としては、測定 系を真空にして測定を行ったり、黒体の放射スペクトルを理論より導き出したり、実際の
黒体を用いたりと各検査によりさまざまである。
ここで二点温度標準検量法について述べる。この方法は日本電子㈱が開発したもので、
異なる温度の黒体炉を2つ用意し、それらの放射輝度を測定し、バックグラウンド放射と装 置関数を算出する。こうして、バックグラウンド放射を含む試料の放射輝度からバックグ ラウンド放射と装置関数を差し引き、試料からの正確な放射輝度を算出する。さらに、試 料と同じ温度での理想黒体の放射輝度をプランクの式から求め、この値と試料の正確な放 射輝度の比から、試料の放射率を算出するものである。
分光放射率測定における各検査・研究機関間の差異については平成11年度遠赤外線用セ ラミックス系素材の試験評価方法の標準化調査研究成果報告書2 )に報告されているが、同 じ試料の分光放射率の測定結果であっても装置の仕様、測定方法、データの演算方法など により、必ずしも相互に簡単には比較できないのが現状である。
また、同一試験室内でかつ同一試験装置内、同一オペレータ内での変動要因として、試 料形状による測定結果への影響も無視できない。繊維製品は、大きく分けて織物、編み物、
不織布の形状が考えられる。特に編み物や不織布の場合には、試料をサンプルホルダーに 固定する方法によって、ばらつきが発生する。試料の密度ムラに起因する測定結果のばら つきである。織物の場合にはその影響は十分無視できる程度であるが、編み物や不織布の 場合にはその取り付け方により測定結果に変動を与えてしまう恐れがある。
また、FTIR装置内にセットされた試料の測定データが、実際に使用される場における遠 赤外線の放射特性を必ずしも示すものではないという問題点も指摘された。これは、FTIR 法による測定データが高感度検出器を用いて微弱なエネルギーを精密に測定・解析できる 優れた手段であることを反映して、逆に試料間のわずかな条件差をも有意差としてとらえ てしまう本質を持っているためでもある。また、現場で期待されている遠赤外線特性が、
布表面の放射率のみの影響だけではなく、他の熱特性の要因も含んでいる場合があるから である。
上記の状況を踏まえ非加熱測定分科会では、FTIR分光測定装置以外にも、高度な保守管 理技術を要しない簡便な測定方法として、「45度/90度再放射法」が開発され、認定制度 の評価項目に加えられ、さらに改良型の再放射特性評価装置を生むに至った。
図 3.1-2に45度パラレル再放射法の概略図を示す。45 度の角度は、試料表面で反射され
るヒータからの赤外線が赤外センサに入射される量を最小にするためであり、検討段階の 初期においては試料面の角度を試料毎に変えるよう工夫したこともあった。認定基準の記 述としては 45度に固定することがわかりやすいが、布試料では織り編みの構造によって試 料面での乱反射が大きく、試料面で対流が起き、布試料の上方部の温度が必ず高くなり、
不均一になるため、加工試料と未加工試料の 0.5℃の温度差を再現性よく判定することは 必ずしも容易ではなかった。また、試験室における装置の設置場所や測定器近傍の人間の 存在も無視できず、改良型の再放射特性評価装置の検討が認定制度の開始と時をおかずに 始まった。
図3.1-2 繊維製品の遠赤外線測定方法 ― 45度パラレル再放射法
次に45度/90度再放射法の改良型である再放射特性評価装置について述べる。分光放射 率では微視的な観点に立ったエネルギーの授受に関する布表面特性の評価を行っているが、
それと比較して再放射パラレル法は、巨視的な観点に立ったエネルギーの授受を測定して いる点が異なっている。
巨視的な熱の移動については伝導、対流、放射がある。本装置でもそれらの熱移動によ る定常状態を測定しているが、できる限り放射に起因する特性を評価しようとしている点 で従来にはない評価装置となっている。
蓋板 試料台 試 料
取外し可
蓋板 試料 サーモグラフィカメラ
画鋲 約70cm
S1 S2 15cm
ヒーター
45度 黒塗り測定台
黒布貼り試料台 (10~20mmの角材で枠組み)
45度パラレル再放射法
図3.1-3 および図3.1-4 にその装置の外観写真とその仕様を示す。
図3.1-3 再放射特性評価装置 図3.1-4 再放射特性評価装置の 概略図
測定方法:再放射パラレル法 性能
サーモカメラの測定波長範囲 8μm~13μm 温度分解能 0.1℃
試料ステージ
循環水による水冷ジャケット 20~80℃
試料寸法 100x100mm
測定データ 経時的な温度データおよびその分布
本装置は、平成9年度遠赤外線用セラミックス系素材の試験評価方法の標準化調査研究 成果報告書3 )に報告されている。
この装置がサーモカメラの持つ測定分解能0.1℃を十分に再現できるものであることは、
平成9年~11年度までの遠赤外線用セラミックス系素材試験評価方法の標準化調査研究成
果報告書2) - 4)で報告されている。ここで簡単にその要点を述べると、①従来の45度パラ
レル再放射法と90度パラレル再放射法の測定繰り返し性を向上させ(標準偏差0.77=>0.53 へ減少)②従来の認定結果とも同様な結果を得ている(データの整合性も確認済み)。しか し繰り返し性が向上し、検出力が向上したために、比較対照する試料(加工試料と未加工 試料)の定義が重要であることが更に浮き彫りとなった。例えば、ポリエステルにセラミ ックスを練り込んだ繊維を想定した場合は、密度においてセラミックスが大きく、目付(単 位面積あたりの重量)を同一に調整し試料を作成した場合、加工品はその厚さが減少して
しまう。その結果同一ヒータで加熱した場合には、熱伝導性が大きくなってしまい温まり にくい結果となり、放射率の測定結果とは異なる結果が観測されてもおかしくはないし、
実際に、そのような事例も生じている。
表 3.1-1に遠赤外線繊維評価項目と測定方法を、表3.1-2 に遠赤外線繊維製品評価基準を
示す。当協会では遠赤外線波長領域を 3~1000μm と定めており、さらに常温域の波長領
域を 4~20μmと定め、この認定基準を 1997年10月に発足させた。
この認定基準では、放射特性と温度特性の両方において基準に合致していることが必要 である。放射特性としては分光放射率または再放射特性のどちらかが、また、温度特性と してはサーモグラフィ法またはモニターテストのいずれかで基準に合致していればよい。
表3.1-1 遠赤外線繊維評価項目と測定方法
表 3.1-2 遠赤外線繊維製品評価基準
評価項目 評価基準
分光放射率(ま たは分光放射輝 度)
4~20µmの波長領域において、全放射率が遠赤外線加工を 施していない同一形状の対照試料に比べ(以下各項同じ)、
5%以上上回ること。または、上記波長領域の任意区間での 全放射率が上記対照試料に比べ、10%以上上回ること。
注)区間とは測定分解能以上の幅をもつ波長範囲を指す。
再放射特性 試験試料と対照試料の温度差が、0.5℃以上あること。また は、信頼限界95%でプラスの有意差を示すこと。
放射特性
上記のいずれか1項で基準に合格していること。
サーモグラフィ
試験試料と対照試料で、対象部位の着用前後の平均皮膚温 度差が+0.5℃以上あること。または、温度画像面積比で、
明確な有意な差が認められること。
モニターテスト モニター数の過半数が、温度特性を認めていること、また は、信頼限界95%で有意に優れていること。
温度特性
上記のいずれか1項で基準に合格していること。
図 3.1-5は遠赤外線協会の認定マークである。***-****印は認定番号である。
図3.1-5 遠赤外線協会の認定マーク
この認定基準では、放射特性、温度特性のいずれも加工布・未加工布両試料の比較から 判定してきたが、現在では加工布に対応する未加工布を調達する難しさが生じており、加 工布に対する未加工布の概念を改めて考え直す必要性が生じている。
この認定基準は、加工サンプルの峻別という初期の目的は達成できたが、ある基準物質
(または標準試料)の放射に起因する温まりやすさなどの評価について、更なる調査、研 究が必要であり、今回の調査研究の一因ともなっている。
参考文献
1) 「非加熱部会測定分科会活動報告書」(平成 5年 3月:(社)遠赤外線協会)
2) 平成 11 年度「遠赤外線用セラミックス系素材の試験評価方法の標準化調査研究成果報 告書」(平成 12年3月:(社)遠赤外線協会)
3) 平成9年度「遠赤外線用セラミックス系素材の試験評価方法の標準化調査研究成果報告 書」(平成 10年3月:(社)遠赤外線協会)
4) 平成 10 年度「遠赤外線用セラミックス系素材試験評価方法の標準化調査研究成果報告 書」(平成 11年3月:(社)遠赤外線協会)
3.2 遠赤外線加工製品の氾濫と簡易型遠赤外線放射エネルギー計測器の必要性 1973 年、1979 年に発生した石油危機を経験して、わが国では省エネルギーのための国 家プロジェクトが始まったが、エネルギー危機の回復にともなって、省エネルギーとして の遠赤外線利用から新用途への模索が続く中に、健康指向ブームが起こり、非加熱遠赤外 線効果を謳った市販製品が出現した。この中には効果の信憑性に乏しい製品も出現し出す に及び、本協会で遠赤外線繊維評価項目と測定方法が検討され、分光放射率を中心とする 放射特性とサーモグラフィを中心とする温度特性から遠赤外線繊維製品評価基準が定めら れ、認定制度が 1997年に発足したのは前述の通りである。
市場においては、1980年代後半から合成繊維製造各社がセラミック含有の蓄熱保温繊維 を上市し始めていたが、1988 年のカルガリー冬季オリンピックに炭化ジルコニウムを練り 込んだナイロンを芯にした芯鞘複合繊維である太陽光蓄熱繊維“ソーラα”1 )が使用され、
各社の蓄熱・保温繊維の開発競争に拍車がかかり、急激に開発が進んだ。
図 3.2-1“ソーラα”製トレーニング 図 3.2-2“ソーラα”製トレーニング
ウェア着用試験(衣服内温度) ウェア着用試験(衣服内相対湿度)
表3.2-1“ソーラα”の光波長熱変換特性
図 3.2-3“ソーラα”の繊維断面 図3.2-4“ソーラα”の光蓄熱特性
現在開発されている太陽の光エネルギーなどを効率よく吸収し、一部は遠赤外線に変換 して人体にの保温に寄与素材には次のタイプがある。
(1) 人体から放射される熱線(遠赤外)を反射する保温素材
(2) 外気温の変化に応じて,太陽光の吸収量をコントロールする保温素材
この目的にはセラミックや遷移金属化合物、金属酸化物が注目されてきた。この光エネル ギーを利用した蓄熱保温素材は,軽く運動機能性に優れ,太陽光直射下で暖かく耐久性に 優れているが,光エネルギー量が少なくなる夕方や木陰下では,光吸収熱変換効果つまり 保温効果も少なく、さらに室内や光エネルギー量の少ない夜間照明下では,ほとんど光エ ネルギーによる保温効果が認められない問題があったが、現在ではこの点が改良され、各 種の素材 2~ 4 )が上市されている。
これに、近年の健康指向ブームが加わり、遠赤外線の人体活性化効果に注目が集まり、
セラミック利用が急速に広がったが、効果に疑問のある製品も出現しるに至り、本協会で は遠赤外線繊維評価項目と測定方法が検討され、分光放射率を中心とする放射特性とサー モグラフィを中心とする温度特性から遠赤外線繊維製品評価項目と評価基準が定められ、
認定制度が発足した。
その認定第 1 号製品が“ロンウエーブ”50%、綿 50%の 40 番手紡績糸使いニット生地 の製品であり、この“ロンウエーブ”(クラレ)は多種混合セラミックを練り込んだポリ エステル中空糸で 1988年から、ふとん綿、側地、カーペット、靴下、サポータ中心に販売 され、一時は年間 500トンを越すロングセラーになった2 )。
図 3.2-5 未加工ポリエステル
の遠赤外線放射特性
図 3.2-6“ロンウェーブ”の
遠赤外線放射特性
さて、常温域での遠赤外線の効果の有無についてであるが、この点に関しては人間の温 度感覚の発現という面を抜きにしては考えられない。熱刺激としては放射に限る訳ではな く、熱伝導でも、対流でも良い。ただ、放射加熱は他の場合よりも、エネルギーの伝播速 度が速いため、動的温度感覚を刺激しやすいのが特長といえる。
また、遠赤外線加工布の評価に対しては、遠赤外線領域の放射の有無が重要であるが、
遠赤外領域で放射されていれば、近赤外領域、可視領域も含め、広い領域の放射を含んで もよいと考えている。
表3.2-2に蓄熱・保温を中心とした機能性繊維の 1990年代の特許申請状況2 )を示したが、
この種の繊維特許が各社から出されていることがわかる。セラミックや金属酸化物その他 が混入されている場合が多い。
表3.2-2に蓄熱・保温を中心とした機能性繊維の 1990年代の特許申請状況
方法 特開番号 出願人 名称 内容
セラミック塗布 平 08-188970
ユニチカ 保温性繊維布帛及びその製造方法 酸化アルミ微粒子をプリント 平
06-025980
オ ー ケ ー ト レ イ ディング
保温、脱臭、難燃及び抗菌性繊維製品 超微細アルミナ水和物/抗菌金属吸着粉体 を塗布
平 07-292577
ユニチカ 保温性を有する透湿防水布帛 脂肪酸金属塩処理α型酸化アルミ配合ポリ ウレタン樹脂加工
平 09-256242
循環 器医 療
放射・保温特性と脱臭・抗菌特性を備 えた織物
電気石、シリカ、蛇紋石、角閃石、動物性 蛋白質(シルク繊維)配合
平 08-127961
ユニチカ 保温性を有する布帛 α型酸化アルミ+Ⅳ族金属炭化物、酸化Sb ドーピング酸化錫
平 08-260345
ユニチカ ソフトな風合いを有する保温性繊維布帛 脂肪酸金属塩コーティングα型酸化アルミ含有 樹脂加工
セラミック内部添加 平 10-219502
杉原 トルマリン含有靴下 トルマリン内部添加レーヨン 平
10-292201
杉原 トルマリン含有肌着 トルマリン内部添加レーヨン 平
06-041801
金属を含有した繊維からなる靴下 アルミナ、シリカ、チタニア、プラチナ混入ポリウレタン 混紡
平 06-046802
金属を含有した繊維からなる肌着 アルミナ、シリカ、チタニア、プラチナ混入ポリウレタン 混紡
平 07-331584
ブラザー工 業
防ダニ用遠赤外線放射繊維 遠赤外線放射セラミック含有芯鞘繊維の鞘 に防ダニ剤付与
平 08-013330
ユニチカ 保温性を有する布帛の製造方法 鞘:アルカリ易溶ポリマ/芯:脂肪酸金属塩 被覆アルミナ含有→溶出
発熱・蓄熱剤染 色工程
平 09-291463
日清紡 セルロース系繊維構造物の近赤外線吸収加 工法
近赤外線吸収領域のひろい染料
平 09-255890
日本カーリッ ト
繊維染色用近赤外線吸収色素分散液 近赤外線吸収色素であるアルミニウム化合物 配合染液
発熱・筑熱剤塗 布
平 09-241954
東レ 多層構造編み地 太陽光吸収剤含有フィラメント、スポーツ防寒衣 料
平 08-003870
日本カーリッ ト
赤外線吸収加工繊維製品及びその加 工法
赤外線吸収アミノ化合物付与
平 09-256274
船越 保温性、吸湿性、重金属イオンや臭気ガス 吸着性を有する繊維部材
石炭乾留成分(吸熱性、光波長変換特 性)微粒子を付与
平 08-197659
東レ ウェットスーツ用布帛 電磁波エネルギーを吸収し熱変換機能を有 する太陽光吸収性粒子
平 06-235592
敷島防 蓄熱材及びそれを用いた蓄熱加工法 蓄熱材マイクロカプセル含有PVAを芯のカバー ヤーンを溶出処理
平 06-272166
ユニチカ 透湿性防水布帛 Ⅳ族金属炭化物、酸化SbドープSnO2
添加→多孔質被覆 平
07-048709
クラレ 蓄熱保温性衣料 酸化鉄含有芯鞘糸
平 10-140453
清水他 麦飯石を原料とした不織布製品 麦飯石粉末内部添加 平
09-256279
日本 合成 ゴム
繊維処理剤 多孔質ポリα-アミノ酸粒子含有
遠赤外線加工繊維に用いられるセラミックスなどの物性について触れる。まず、常温時 の放射率であるが、基準となる炭素について記すと、蝋燭の煤;0.95(20)、グラファイト の磨いた面;0.98(20)である。セラミックスの放射率は常温時の測定値がないが、参考 のために記すと、酸化アルミ;0.39(100~2000)、二酸化ケイ素;0.83(800)、酸化チタ ン;0.7(600~1000)、酸化亜鉛 0.55(800)、炭化ケイ素;0.90(800)である。なお、括 弧内の値は測定温度である。
次にセラミックスの色について述べる。なお、括弧《 》内の値は熱容量〔cal/g・℃〕、
熱伝導率〔W/m・℃〕である。黒色のカーボンブラックや灰色の炭化ジルコニウム《0.088
;12》、炭化ケイ素《0.159;270》では、白色や鮮明色の製品が得られにくい。その意味で 白色系のセラミックスが望まれ、二酸化ケイ素《0.175;1~11》、カオリナイト型ケイ酸ア ルミ《0.180;5》、コランダム型酸化アルミ《0.185;36~46》、アナターゼ型酸化チタン《0.165
;7~10》、酸化亜鉛《0.118;-》、酸化スズ《0.083;-》などに関心が集まった。
ちなみに、合成繊維のポリエステル《0.260;0.3》やナイロン《0.460;0.3》は、セラミ ックスに比べて、熱容量が大きく、熱伝導率は小さい。つまり、断熱効果が大きいという ことである。
また、遠赤外線加工処理で、たとえばセラミック加工をして放射率を上げると、布材料 の放熱も起き易くなる。実際にセラミック含有の涼感素材“エスモ”(クラレ)、“アロフト”
(東レ)も上市されている。電磁波吸収効率の高いセラミックは熱容量が小さく、熱伝導 率が大きくなるからである。
したがって、蓄熱・保温繊維では、暖まった布または衣服アンサンブルという他の機構 による保温機能を複合させて保温効果を維持するように工夫されている。たとえば、布内 部での放射熱の複雑反射による熱エネルギーの取り込みとか、極細繊維、中空繊維、嵩高 加工、多層構造布、重ね着などによる保温効果の併用が必要で、この分野のわが国の技術 は世界屈指であり、実際に、それに成功した布ないしは衣料が成功を収めている。
表 3.2-3 に蓄熱剤を内部添加してある蓄熱・保温繊維の例2 )を示す。紡糸前の原料高分 子段階で添加し、紡糸するため、アクリル、ポリエステル、ナイロンに適用されている。
表 3.2-3 蓄熱剤を内部添加してある蓄熱・保温繊維の例
素材 会社 商品名 1992 年
以前
素材 効果
アクリル カネボウ合繊 マソニックA マソニックA A 遠赤外線吸収セラミック練り込みアクリル 三菱レ サーモキャッチ サーモキャッチ A 熱線吸収物質練り込みアクリル
サーモキャッチW A 白色熱線吸収剤練り込みアクリル 東レ トレヒート A 太陽光吸収熱変換剤練り込みアクリル 東邦テキスタイル サンタード A 蓄熱剤練り込みアクリル原綿(毛布用)
東洋紡 セラムA セラムA A 遠赤外線効果のあるセラミック練り込み ポリエステル クラレ カプロサーモ カプロサーモ E 太陽光吸収セラミック練り込みポリエステル
ロンウェーブ ロンウェーブ E 遠赤外線放射セラミック添加ステープル ロンウェーブP E 遠赤外線放射セラミック添加フィラメント ユニチカ サーモトロン サーモトロン E ソーラーα使い布帛
ホワイトサーモトロン E 白色系太陽光発熱素材 マイクロアートサーモ
(ソーラα マイクロ アート)
E 井型中空糸/サーモトロンの複合技術
ライトウォーム ライトウォーム E 遠赤外線放射セラミック配合中空糸 旭化成 エアックサーモ E ポリエステル中空糸“エアック”に蓄熱剤を付与 帝人 ウォーマル ウォーマル E 珪 酸 ジルコニウム系 練 り 込 み 、 外 層 部 に 高 濃 度
オプトセンサ オ フ ゚ ト セ ンサ
E 近 赤 外 線 吸 収 物 質 練 り 込 み ポリエステル& 後 加 工
ナイロン カネボウ合繊 マソニックN マソニックN N 遠赤外線吸収セラミック練り込み芯鞘ナイロン ユニチカ サーモトロン サーモトロン N ソーラーα使い布帛
ソーラα ソーラα N 炭化ジルコニウム/ナイロン芯鞘糸 ホワイトサーモトロン N 白色系太陽光発熱素材
<素材>E:ポリエステル、N:ナイロン、A:アクリル
一方、加工糸や糸加工の場合ならびに布帛構造物になると、混紡やマイクロカプセルな どを利用したプリント技術も含め、後加工段階で蓄熱剤を導入できるので、自由度が増し、
セルロース系さらには天然繊維にも適用できることになる。表 3.2-4 には蓄熱・保温加工 糸と糸加工の例、表 3.2-5に蓄熱保温布帛構造物の例2 )を示す。
表3.2-4 蓄熱・保温加工糸と糸加工の例
会社 商品名 1992年以前 素材 効果
カネボウ合繊 セラミーノ E 遠赤外線吸収機能加工 カネボウ繊維 あっため上手 C,E 太陽光の近赤外線吸収 旭化成 トランスサーモ セラミックス+コラーゲン加工
セラV 炭化ジルコニウムと酸化ジルコニウムコーティング 日清紡 サーモフィールドSW C、C/E 太陽光吸収素材
富士紡 セミサーミック C/E 遠赤外線セラミック加工 敷紡 DPコット C 太陽光吸収蓄熱加工 東邦テキスタイル サニーサンズ A 遠赤外線放射セラミック加工 ダイワボウ セラーボ C、C/E セラミックスと感温変色色素のコーティング
オムサラーボ C、C/E、N 太陽光吸収発熱+中空技術 ミラクルサーモ C 微弱太陽光吸収発熱
小松精練 ダイナラブ 吸熱+蓄熱 日 本 蚕 毛 染
色
ダイジェナイトサーモ E/A 太陽光吸収発熱
トプダイドヤーン A/C サンダーロン入り、電磁波吸収発熱 <素材>E:ポリエステル、N:ナイロン、A:アクリル、C:セルロース系、C/E:混紡