曲線と曲面演習
担当 丹下 基生:研究室(B622) mail([email protected])
第
10
回(’14年1
月27
日:Keywords· · ·
ガウスの驚嘆の定理.ガウスの公式、ワインガル テンの公式から可積分条件へ)[ガウスの驚嘆の定理]・・・ガウス曲率Kは第1基本形式だけで計算できる.
[線織面]・・・直線の集まりとして記述される曲面のこと.一般に、ある点α(t)を通り、ベクトルw(t)に平行な直
線Lt={α(t) +uw(t)|u∈R}の族として
{L(t)|t∈R}
のように書くことができる.
[第1基本形式、第2基本形式]・・・u=u1, v=u2とする.
I =g11du21+g12du1du2+g21du2dv1+g22du2dv2=Edu21+ 2F du1du2+Gdu22
II =h11du21+h12du1du2+h21du2du1+h22du22=Ldu21+ 2M du1du2+N du22
のように書くと、ガウスの公式は
∂2S
∂ui∂uj
=
∑2 k=1
Γkij ∂S
∂uk
+hijn
となる.
ワインガルテンの公式は
nu1 =−{(h11g11+h12g21)S1+ (h11g12+h12g22)S2}
nu2 =−{(h21g11+h22g21)S1+ (h21g12+h22g22)S2}
とかける.ここでついているマイナスは先週説明した訂正にあたるものであり、教科書のW=−HG−1のマイナ スのことである.
[重要なのに]・・・教科書ではP.159-P.173(可積分条件の節)は、飛ばしてもよいとかこの節は読まなくてもよいと か書いているが、実は、教科書の中で唯一”面白く”、”重要で”、”非自明(当り前ではない)”部分であり、飛ば して読んでも曲面論をとうてい学んだことにならない.将来幾何を専攻する人はじっくり読むことをオススメし ます.(ちなみに筑波大で幾何といえば、ほぼ微分幾何を表すといってもよい.メッカともいえる.(しかしgeneral topologyも強い...))というわけで、教科書をただ、漫然と読んでいても全くわからない(学生達はもっとわから ない?)ので、ここでざっくりと説明する.
[可積分条件]・・・曲面があれば、微分をし、さらに式をまとめることでさまざまな曲率が得られる.つまり
曲面S(u, v)微分→ 基本形式I,II式変形→ さまざまな曲率K, H, κ1, κ2, ....
と繋がるが、のぞむ曲率(出力)のデータだけ入れて、そのデータをもつように曲面(入力)が”復活”できるか?
という問題を考える.つまり、次のような逆操作
曲面S(u, v)←基本形式I,II←さまざまな曲率K, H, κ1, κ2, ....
を辿って曲面を見つけることになるが、これは、数学の言葉で言えば微分方程式(微分と式変形などから得られたもの)
を解く(つまり積分する)ことで、曲面を得ることができるか?という問題である.特に、左の(曲面)と(基本形式)を 繋ぐ矢印の方が重要.このように出力から入力を予測する問題は 数学の問題として非常に、(かつ自然に)面白い 問題である.今まで曲面論で微分ばかりしてきたなぁという人はここで積分して元をとりましょう.といっても実 際積分計算をするわけではなく、可積分条件なのに、微分の式で書かれます.
曲面が復活するための条件を可積分条件という.行列(gij)の逆行列を(gij)とおく.つまり、
( E F
F G
)−1
= (
g11 g12
g21 g22 )−1
= (
g11 g12 g21 g22
)
とする.また、f1=Su,f2=Svとし、Φ = (f1,f2,n)とすることで、
(ガウスの公式,ガウスの公式,ワインガルテンの公式) をこの順番で使えば、
∂Φ
∂u1
= Φ
Γ111 Γ112 −(h11g11+h12g21) Γ211 Γ212 −(h11g12+h12g22)
h11 h12 0
=: ΦA1
∂Φ
∂u2 = Φ
Γ121 Γ122 −(h21g11+h22g21) Γ221 Γ222 −(h21g12+h22g22)
h21 h22 0
=: ΦA2
となる.hij, gij,Γkij は基本形式、E, F, G, L, M, N などから求まる.(この式は教科書の付録の定理A.6.2とAと Φが逆になっているが、この式を全体で転置を取ったものを考えているからである.その理由はAを線形代数の 表現行列として扱おうとしているためである.線形代数では表現行列は右から掛けていることに注意.)Γkij の記 号のことを クリストッフェルの記号 という.
微分方程式 ∂Φ
∂u1
= ΦA1, ∂Φ
∂u2
= ΦA2の解Φを解くことができるための必要十分条件は
∂2(ΦA1)
∂u2
=∂2(ΦA2)
∂u1 ⇔ ∂A1
∂u2 −∂A2
∂u1
+A1A2−A2A1= 0 (1)
である.前半の同値条件(矢印の左側)は解析の結果です、後半の同値条件(矢印の右側)Aiの式は単なる式変 形です.(1)を整理していくと、教科書の定理3.7.5の2種類の方程式(ガウスの方程式、コダッチ・マイナルディ の方程式)が以下のように出てくる.
ガウス ガウス コダッチ・マイナルディ
ガウス ガウス コダッチ・マイナルディ
コダッチ・マイナルディ コダッチ・マイナルディ g12=g21
[逆問題]・・・上ように、出力をから入力を推定する問題を通常、逆問題といわれる.
[滑らかな境界付きガウスボンネの定理]・・・閉曲面とは限らない曲面(境界がついた曲面)のガウスボンネの定理 は以下のようになる.ガウス曲率を積分しただけではオイラー数は得られない.境界の測地的曲率の積分の補正
項がつく. ∫ ∫
S
Kdµ+
∫
∂S
κgds= 2πχ(S)
ここで、κg(s)は測地的曲率である.
[有限個角のある境界付きガウスボンネの定理]・・・有限個の角をもつ境界をもつ曲面のガウス積分と測地的曲率の
積分だけでは補正項は埋まらない.角の成す外角に当たる補正項がつく.
∫ ∫
S
Kdµ+
∫
∂S
κgds+
∑m k=1
θk = 2πχ(S)
ここで、θkは境界の角の外角.
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例題
-10-1. [コダッチ・マイナルディの方程式]
A
1, A
2を上記に定めた行列とする.このとき∂A
1∂u
2− ∂A
2∂u
1+ A
1A
2− A
2A
1= 0
の(3, 1)-成
分からコダッチ・マイナルディの方程式が導かれることを示せ.例題
-10-2. [測地的曲率]
グラフ曲面
z = x
2+ xy + y
2上でx = 1
で定義される曲面の測地的曲率を求めよ.例題
-10-3. [可積分条件の式変形]
上の同値条件
(1)
を示せ.—————————————————————————————————————————————–
次の問題のうち2題を選んで解答せよ.
問題
-10-1. [線織面][40pt]
線織面はパラメータ
(u, t) ∈ R
2に対して以下のようにかける.S(u, t) = a(t) + uw(t)
ここで、a(t),
w(t)
は空間上のあるベクトルであり、w(t)の長さを1
としてよい.以下の 問題に答えよ.(1)
この線織面の表示が正則曲面であるための必要十分条件を求めよ.(2)
線織面のガウス曲率K
は至る所K ≤ 0
であることを示せ.(3) K
が0
であるとき、どのような形の曲面が得られるか?(2)の式の形から可能な限り 求めよ.問題
-10-2. [境界付き曲面のガウスボ (ン)
ネの定理][40pt]r, R
を− R ≤ r ≤ R
を満たす実数とする.球面の一部S
をS = { (x, y, z) ∈ R
3| x
2+ y
2+ z
2= R
2, z ≥ r }
とおく.以下の問題に答えよ.
(1) S
の各点でのガウス曲率を求めよ.(2)
境界の曲面C = { (x, y, z) ∈ R
3| x
2+ y
2+ z
2= R
2, z = r }
の測地的曲率を求めよ.(3)
境界付きガウスボネの定理が成り立つことを示せ.問題
-10-3. [ポワンカレ計量とガウスの驚嘆の定理][40pt]
第
1
基本形式があれば、それがどのように埋め込まれているか(S(u, v)の具体的な式が分 からなくても)ガウス曲率は計算できる.この定理は、その事実を発見したガウス自身が 驚いたことで知られている.以下の問題に答えよ.ポワンカレ計量のガウス曲率K
が至る ところ− 1
であることを示せ.ただし、ポワンカレ計量は以下で与えられる第1
基本形式 であり、パラメータづけが違うだけで本質的に同じものである.好きな方を用いてよい.I
1= dx
2+ dy
2y
2( { (x, y) ∈ R
2| y > 0 }
)もしくは、I
2= 4 du
2+ dv
2(1 − u
2− v
2)
2( { (u, v) ∈ R
2| u
2+ v
2< 1 } )
問題
-10-4. [自由な微分幾何的考察][40pt]
曲線もしくは曲面において自分で好きな題材を選び、授業内容を踏まえた微分幾何的な考 察を加え、自由に議論せよ.
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Homepage:(http://www.math.tsukuba.ac.jp/∼tange/jugyo/2013jugyo/kyo.html) Twitter:BasicMathIIB (https://twitter.com/BasicMathIIB)
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