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大学入試センター研究開発部柳井晴夫

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Academic year: 2021

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(1)

多変量解析における潜在変数モデルの理論と応用 99

       因子分析モデルにおけるいくつかの性質

       大学入試センター研究開発部柳井晴夫

 因子分析モデル(母数モデル,変量モデル)における基本性質については,1940年代から今 日までの過去半世紀にわたり多数の文献がある.丘本(1986),柳井他(1990)においていく っかの基本性質が整理されているが,必ずしも十分てたい面がある.本稿では筆者自身の関心

といった点から因子分析の基本性質を5つの観点から整理し,さらに未解決の問題点の所在を 明らかにしたい.なお,本稿では,m個体,力変数,m因子モデルを考察し,次の2つの表記 を前提とする.

 (1) κ=λ∫十ε(κは力価の変数に関する力次元ベクトル)

 (2)κゴ=〃5+ε5(幻は変数プのm個の測定値を成分とするm次元ベクトル)

 1.母数モデルにおける性質  母数モデルの2つの性質を示す.

 性質1.1.(柳井他(1990),性質2.11)母数モデルによって推定される共通性の推定値は母 数λによって計算される共通性の不偏推定値ではない.

 性質1.2.(柳井他(1990),性質2.9)〃5の最小二乗推定量をち,eゴ=均一むとおくと,

 (i)(ん,e。)=0,(ル,e。)=(e{,e。)=0(けノ)

 (五)亙(畑二)=0,亙(κゴe二)=亙(e.e二)=0,亙(e5e二)=ψ5Q。(ψ5は変数プの独自性,Q。=∫η    一P。).

2.変量モデルにおける因子得点デの推定(Ψ>0,Σ>0を仮定しない場合)

 母分散共分散行列Σが正則てたい場合の因子得点∫の推定を行う.

 性質2.1.変量モデルにおける!の最小二乗推定量(回帰推定量)は

       !=Pκ=亙(〃 )(亙(κ〆))■κ=〃Σ一κ で表わされる.

 性質2.2.亙(!)=(〃Σ一λ)!およびγ(!):〃2納,ただし,Σ7は2の反射型一般逆行 列である.

 性質2.3.!の最小分散不偏推定量(バートレット推定量)は,λが。o1umn−fu11rankの場

       九=(〃r1λ)一1〃T−1κ.

ただし,T=λσ〃十Ψ,rank(λ,Ψ)=rank(τ)で与えられる.

3..識別可能性に関するAnderson Rubinの条件とその拡張

 Σが与えられた場合,識別可能た構造(λ,Ψ)を求める問題に関して,AndersonandRubin の条件はよく知られている.

(2)

100 統計数理 第39巻 第1号 1991

性質3.1.(Ahderson andRubin(1956))(力×m)因子負荷量λ行列から任意の1行を取除 いたとき2つの正則行列が存在すれば,構造(λ,Ψ)は識別可能である.

 この条件はλを

λ一 i(ll)

と分解したとき,ム,およびλ。が正則行列にたる,すたわち,階数mの正方行列とたること を意味する.

 ここで,上記の性質を拡張する.次の性質が成立する.

 性質3.2.(Kano(1989))上記のム,λ・は階数mであれば,正方行列である必要はたい.

すなわち,λ。,λ。は。o1umn−fu11rankであればよい1  性質3.3.ム,ノ1。,およびλ。が

      i) rank(ノ』ノし)=rank(ノ』),   ii) λ3∈S(ノ整)

を満たす場合(ただし,S(λ)はλの列ベクトルによる部分生問),λ。に対応する変数の独自性 ψ。が共分散行列Σの要素で表わされる.

証明.補助定理(Yanai(1990)の定理2.1の一部)

      rank(ノピM)=rank(λ)←=⇒ λ(〃 λ) 〃 λ=。4.

 上記の補助定理を用いて,以下のことが証明される.

      〃(刈λ。)一ムλ;=ん⇒λ;(λ1〃)一ムλ。=λ。

         く=⇒〃Σ■Σ1。=λ。=⇒Σ。。坑Σ。。:λ;λ。(左からλ。をかける)

 注意1.しかし,i),ii)の条件をλに仮定し狂い場合,構造(λ,Ψ)は必ずしも識別可能で はたい.Ihara andKano(1986)に従って,Σ=λ〃十Ψ=rr+γ,という分解を仮定する.

rもλと同様にr こ(兀,兀,γ。)と分解する.Ψ,γは対角行列.従って,

       一Σ 12=ノ11/L;=∫1∫㌢,   一Σ 13=ノ[1λ3=∫1γ3,   Σ 23=ノ』λ3=∫12γ3.

従って,

       λ;λ3=■ΣI32ΣI■ΣI13=γ≦r2 (∫11rら )一r1γ3.

ハと几が。olumnイuu rankであれば〃(几〃)一八は単位行列となり,λ;λ。=γ≦γ。となり,

識別可能とたる(性質3.2の別記にたっている).また,ハ,几とλ。がi),ii)を満たせば,同 様に識別可能とたる.性質3.3を考慮して,性質3.2の拡張が可能に思われるが,今後の検討 課題である.

 4.共通I性の下限に関する性質

 性質4.1.(Yanai andIchikawa(1990))力次の相関係数行列Σ(2>0と仮定)のプ番目に 大きい固有値をλ5(Σ)とするとき,(1一ん(Σ))は少なくともひとつの変数に対し,SMCの値 を上回る共通性の下隈を与える.

(3)

多変量解析における潜在変数モデルの理論と応用 101

 注意2.Σが与えられた場合,SMCを上回る共通性の下限が一般的にいくつあるかについ ては今後の研究課題である.

 性質4.2.因子分析モデル(母数モデル)X=F〃十五において,X=(X、,X・),〃=(ム,

ん)と分割する.このとき,m*=m−1とおくと

 i)      λ〃≧(X2) X1(XlX1)一X壬(X2),ただし,λ=(1/m*)F X2

が成立する.X。=(伽)のときは,上記の結果は砺≧SMC(力)を意味する.さらに,

 ii)       λ。λ;≧Σ。、Σ一、2。。

が成立する.

 5.lRank−red皿。ibi1ityの条件

 Σを力次の相関係数行列として,2=λ〃十Ψを満たす構造(λ,Ψ)を探す必要がある.λ,

Ψに条件をいれない場合には,無数の構造(λ,Ψ)が得られる.そこで,一般に   i)(2一辺)が非負定符合行列,または,2≧延

 ii)m=rank(Σ一飯)が最小  iii)t・(Σ一Ψ)が環小

 iv)Ψ≧0

にたるという条件で構造(λ,餌)を求める研究が行われている.iii)の条件で構造(λ,餌)を 求める方法はMTFA(minimum trま。e factor ana1ysis(Bent1er(1972)))と呼ばれる.MTFA はimproper so1utionを生じやすいので,iii)にiv)の条件を含めたものを。onstrained mini−

mumtrace factor ana1ysis(CMTFA)と呼んでいる(Woodhouse andJackson(1977)).さ らに,i)およびiV)の条件を考慮せずに,ii)の条件で構造(λ,Ψ)を求めると,そのとき得ら れる共通因子数の下限はLedermannの境界に一致すると推測されている.

 性質5.1.(Shapiro(1982))A reduced rank of the力x力。ovariance matrix is greater than or equa1to Ledermann s bound a1most sure1y.

 性質5.2.(Bekker and De Leeuw(1987))

 (a) ρ肋ρ〃=ρ〃ρ〃(タ≠ノ,尾,Z, ノ・≠・后,Z, 々・≠・Z),    (b) ρ批一ρ〃ρ{ゴ>0

は,Σ=〃十伊が成立するための心要十分条件である.

 性質5.3.(Bekker and De Leeuw(1987))(Σ一Ψ)の最小階数がm=力一1にたる場合の 必要十分条件は,変数の符号をいれかえるという条件で,2−1のすべての成分が正(StriCt1y positive)にたることである.

 今後,識別可能性の条件,共通性の推定法についての相互の関連を踏まえたがら,もっと整 理した議論をする必要があろう.

       参考文献

Anderson,T.W.and Rubin,H.(1956).Statistica1inference in factor analysis,P肌丁肋〃3励e妙     ∫ヅm力.om Mo肋.∫勉脆たPプ。ろ.,Vo1.5,111−150,Univ.of Ca}ifomia Press,Berke1ey.

(4)

102 統計数理 第39巻 第1号 1991

Bekker,P.A.and De Leeuw,J.(1987).The rank ofreduced dispersion matrices,Psツ。ゐ。me切肋,52,斗25−

    135.

Bent1er,P.M.(1972).A lower−bomd method for the dimension−free measurement of interna1consis−

    tency,SOc加Z Scづemce沢eseαγcん,1,343−357.

Ihara,M.and Kano,Y.(1986).A new estimator ofthe uniqueness in factor ana1ysis,^ツ。ゐ。me切肋,51,

    563−566.

Kano,Y.(1989).A new estimation procedure using身一inverse matrix in factor ana王ysis,Mα肋.力ヵ。m.,

    34,43−52.

丘本 正(1986).『因子分析の基礎』,日科技連,東京.

Shapiro,A.(1982).Rank−reducibi1ity of a symmetric matrix and sampIing theory of minimum trace     factor ana1ysis,^ツ。ん。meC〆尾α,47,187−199.

Woodhouse,B.and Jackson,P.M.(1977).Lower bounds for the reliabi1ity ofthe tota1score on a test     composed of nonhomogeneous items,Rツ。乃。me切肋,42,579−591.

Yanai,H.(1990).Some genera1ized forms of Ieast squares g−inverse,minimum norm g−inverse,and     Moore−P㎝rose inverse matrices,Com力砿∫彦α眺友D吻ληα五,10,251−260.

Yanai,H.and Ichikawa,M.(1990).New1ower and upper bounds for communa1ity in factor ana1ysis,

    j?sツ。ゐ0m{e左7ゴ々。,55,405−409.

柳井晴夫,繁桝算男,前川眞一,市川雅教(1990)昭子分析  その理論と方法  』,朝倉書店,東京

潜在変数または顕在変数に関する尺度不変因子分析モデルのある拡張

      鉄道総合技術研究所 小笠原 春 彦

 1.問題

 独立た集団間での因子構造や因子パターンの不変性または相違の問題は,心理学においては factoria1invariancyの問題として古くから論じられてきた.因子負荷行列を異なる集団問で不 変とするモデルのうち,因子の分散共分散行列の構造化モデルのひとつは,Harshmanの PARAFAC2モデルである.このモデルは,因子回転の不定性から自由であるというユニーク た性質を持っている.ところで,観測個体が属する集団が複数個の集団に離散的に分かれるの ではたく,外的変数(例えば年齢や所得)とともに連続的に変化する事態において,分散共分 散行列が変化するモデルがOgasawara(1989.1990)により提案されている.また,その特殊

ヶ一スとしてPARAFAC2モデルの連続的に変化する多母集団への拡張が小笠原(1989)によ り行われた.ここでは,PARAFAC2モデルを潜在変数である共通因子のレベルでの尺度不変 モデルとしてとらえるとともに,これに対応する顕在変数に関する尺度不変モデルを提案し,適 用例を示す.

 2.モデルとモデルにおけるパラメータの推定

 小笠原(1989)はPARAFAC2モデルのある拡張として次のモデルを提案した.力価の観察 された変量で構成されるベクトルを8であらわし,タ番目のサンプルの値を8{とすると,8{は 次のように記述される.

      8ゴ=μ言十λ^十εゴ

ここで,五は力×后の集団間で不変な因子負荷行列,^は長さ后の共通因子のベクトル,鏡は

長さ力の独自因子のベクトルであり,亙(8ゴ)=μ,亙(デコ)=0,亙(ε{)=0である.^とεiは,タ

=1,...,Mのサンプルについて,互いに独立に次の多変量正規分布に従うとする.

参照

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