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<報 告> 第 24 回癌治療増感研究会

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Academic year: 2021

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<報 告>

第 24 回癌治療増感研究会

東京工業大学 科学技術創成研究院 先導原子力研究所 松本 義久*

国際癌治療増感研究協会では、年2回学術集会が行われている。2 月には「癌治療増感研究シン ポジウム」が奈良で 2 日間にわたって開催される。奈良で毎年開催されてきたのは、昨年 7 月に亡 くなられた大西武雄先生や奈良医大関係の先生方のご尽力によるところが大きい。長年、「奈良シ ンポ」の通称で親しまれてきたが、20 回目を迎えた今回から大西先生、ならびにこの協会を設立さ れた菅原努先生に感謝の意を込めて「菅原・大西記念癌治療増感研究シンポジウム in 奈良」とい う名称になった。このシンポジウムは協会会員外を含め広い分野の先生方の招待講演が多くあり、

色々な分野の最新の情報を得られることが特色と言えよう。

もう一つは 5 月から 7 月頃開催される「癌治療増感研究会」である。最近は 1 日の開催が多く、

場所も 2016 年 6 月沖縄、2017 年 7 月軽井沢など、全国色々な場所で開催され、なかなか行くこと がなく、風光明媚なリゾート地も多い。こちらは、会員による講演、発表が主で、会員間の情報交 換や交流促進の場となっている。私は参加したことがないが、研究会翌日にゴルフが行われること も多いようである。

本年の第 24 回癌治療増感研究会は、長崎県島原病院の小幡史郎先生大会長のもと、平成 30 年 5 月 26 日、長崎県雲仙温泉の東園にて開催された。東園には雲仙の山並みと湖(おしどりの池)を 一望できる展望風呂、露天風呂があった。また、近くには雲仙地獄など見どころもあり、絶好のロ ケーションであった。今回は全国から 40 名程の参加者があった。研究会は 10:30 から 18:00 まで ほぼぎっしり中身が詰まったプログラムで、一般演題 10 題、記念講演 1 題、特別講演 1 題、教育 講演 2 題、提言 1 題、ランチョンセミナー1 題があり、最後まで活発な討論が行われた。

特別講演では、増感放射線療法 KORTUC(Kochi Oxydol Radiation Therapy for Unresectable Carcinomas)の現状について、開発された小川恭弘先生(高知リハビリテーション病院)がお話に なった。免疫組織染色の際、内在性のペルオキシダーゼを失活させるための過酸化水素水処理に着

* 〒152-8550 東京都目黒区大岡山 2-12-1 N1-30 N1-30 2-12-1 Ookayama, Meguro-ku, Tokyo 152-8550 Japan

TEL: +81-3-5374-3703, FAX: +81-3-5734-3703, E-mail: [email protected]

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想を得てから、臨床試験とともにメカニズム解明を進められてきた。高知大学に始まり、国内の大 学、医療機関で臨床試験が行われ、著明な効果が認められ、現在では、英国でも臨床試験が行われ ている。今回お世話頂いた長崎県島原病院でも精力的に KORTUC が行われており、一般演題で進行 膵癌(武田達哉先生)、術後再発乳癌(小幡史郎先生、黒岩瑛先生)の症例に関する 3 題の報告が あった。また、大阪医科大学・新保大樹先生からも膵癌に対する術前化学放射線療法と KORTUC の 併用に関する報告があった。

教育講演の1つは、古川顕先生(首都大学東京)による消化器疾患と腫瘍の画像診断に関する講 演であった。消化器疾患の診断において CT や MRI を用いた colonoscopy、enterography、

enteroclysis などが重要な役割を担っている。近年では、多数の検出器を並列に配し、1 回転で多 くの断層画像を取得することを可能とした MDCT(Multi-detector row CT)が普及し、これまで困 難であった大きな腫瘍についての詳細な 3 次元情報が得られるようになっているということであっ た。画像診断に関しては、一般演題においても、MRI を用いた塵肺患者の肺線維症と肺癌の鑑別

(島原病院・荻原幸宏先生)、超偏極 MRI を利用した新しい生体内レドックス反応イメージング法 の開発(岐阜大学・兵藤文紀先生)の発表があった。

教育講演のもう一つは、原田浩先生(京都大学)による HIF-1 の制御機構とがん悪性化の関する 講演であった。HIF-1 は通常酸素濃度では VHL によるプロリン水酸化とプロテアソームによる分解 を受けているが、低酸素環境下では分解から免れ、蓄積、活性化する。活性化した HIF-1 はゲノム 上の低酸素応答エレメントに結合し、糖代謝の低酸素状態への適応、血管新生、転移、浸潤などに 関わる遺伝子の発現を促す。原田先生のグループでは、遺伝的スクリーニングによって低酸素非依 存的に HIF-1 を活性化する因子を数個同定してきた。今回は最新の成果も交えて、HIF-1 の新たな 制御機構やがん悪性形質獲得との関連について考察され、非常に示唆に富む講演であった。

記念講演では、国際癌治療増感研究協会会長の芝本雄太先生(名古屋市立大学)が、研究協会の 設立や歩みについてお話しされた。設立当初は「日本放射線増感研究協会」であったが、放射線治 療のみならず、化学療法における増感を視野に入れ、また、国内研究者の交流だけでなく、国際的 な交流や貢献を目指して発展してきたことを知ることができた。提言では、松井正典先生(近畿中 央病院)が九州放射線治療システム研究会のこれまでの経緯と今後の展望についてお話しされた。

一般演題では、上記の KORTUC、MRI に関するものに加え、低酸素下における放射線および温熱に よる DNA 二本鎖切断(群馬大学・高橋昭久先生)、Chk1 阻害剤のがん浸潤能への影響(大阪大学・

足立孝則先生)、Wnt シグナルと放射線治療抵抗性・癌幹細胞性(岐阜大学・田中秀和先生)、新規 フェンホルミン誘導体の抗癌作用と作用機序(神戸薬科大学・奥田健介先生)の発表があった。

私は、ランチョンセミナー(日立製作所提供)で「癌治療増感研究への次のインスピレーション

〜シン・ゴジラの放射線感受性から」と題してお話しさせて頂いた。昨年 7 月の軽井沢での研究会

(大会長:唐澤克之先生)で、シン・ゴジラの制作に関わった経験やそれをきっかけに考えたゴジ

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- - 158 ラの放射線感受性に関して発表したところ、小幡 先生から、その続きを雲仙で、と今回の機会を頂 いた。ゴジラは通っただけで周りの放射線量が上 がる。そうであれば、自分の体はそれよりずっと 高い放射線にさらされているはずである。ゴジラ はどのようにして高い放射線に耐えているのかに ついて考察した。こうした架空の生物について想 像を膨らませた発表や討論ができるのも、この研 究会ならではであると思う。単に想像を楽しむに とどまらず、ゴジラの放射線抵抗性についての考 察から癌治療増感研究へのインスピレーションが 得られることを期待したい。

夜の情報交換会も大変趣向が凝らされたもので あった。色紙に参加者一人一人が座右の銘を書い て、その披露があった。ちなみに、私は「真摯な る愚直」と書かせて頂いた。最後に、これまた小 幡先生のご発案で、天国の大西武雄先生に届け と、全員で「上を向いて歩こう」を熱唱した。な お、大西先生とこの歌に関するエピソードについ ては、本誌昨年 12 月号の「大西武雄先生追悼特 集」の拙稿をご覧頂ければ幸いである。

研究会翌日の日曜日は、天気にも恵まれ、雲仙 の山並みの美しさも格別であった。日立製作所の 中島尚紀さんとともに、雲仙地獄めぐりを楽し み、また、仁田峠のロープウェーで妙見岳山頂に 登り、普賢岳、島原半島、さらには天草諸島まで の景色を堪能することができた。

さて、来年の第 26 回癌治療増感研究会は岐阜大 学の松尾政之先生を大会長として 6 月 8 日(土)に 飛騨高山温泉で開催される予定とのことである。

研究会はもちろんのこと、世界遺産の五箇山や、

北アルプスの自然を楽しむのもいかがであろうか。

写真2 情報交換会の最後に全員で「上を

向いて歩こう」を熱唱(大会事務局提供)

写真3 雲仙普賢岳平成新山(松本撮影) 写真 1 ランチョンセミナーでの私の発表 (日立製作所・中島尚紀氏提供)

参照

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