ようこそ、このコーナーへ。新入生の皆さんには
「言語学」という言葉は耳慣れないかも知れません ね。ここでは「言語を科学的に調べよう」というこ の学問を、対談形式で入学先生に出来る限り分かり 易く解説して頂き、併せて参考文献をご紹介してい ます。今回から新しいテーマ、言語の歴史が始まり ます。どうぞ、お付き合い下さい。なお、バックナ ンバーは図書館のHPの「デジタル図書館報」より ご覧頂けます。
Q:前号の続きの話になりますが、今年の₁月₆日に
₂₀₁₆年のWord of the Yearが発表されました ね。
A:はい。dumpster fi reが選ばれました。dumpsterと いうのは「鉄製の大きなゴミ箱」のことで、元々 は商標名です。dumpster fi reの字義通りの意 味は「鉄製の大きなゴミ箱の火災」というこ とですが、そこから転じて「手に負えない状況」
「収拾のつかない事態」のような意味で使われ るようになりました。
Q:dumpster fi reが選ばれた理由は何ですか?
A:今回のアメリカ大統領選挙に関する報道で多用 されたからとのことです。
Q: 納得です。
A:実はこのdumpster fi reはEmoji of the Year という部門にノミネートされていました。
Q:emojiとは「絵文字」ですか?
A:そうです。メールなどで「ゴミ箱」と「炎」の絵文 字を並べることでdumpster fi reという意味に なるということらしいです。
Q:なるほど。しかし、絵文字がそのままemojiと して英語になっていることに驚きました。
A:そうですね。では本題に入りましょう。今回か ら「言語の歴史」についてです。
Q:興味深いですね。
A:当たり前の話ですが、どの言語にも歴史があり ます。そして長い歴史の中で、音や文法、綴 りなど様々な面で変化します。
Q:高等学校で古文に触れたときは、現代の日本語 との違いを実感しました。
A:言語の歴史や変化を研究する分野を歴史言語学 と言いますが、私の専門は英語学・英語史で すので、このシリーズでは英語の歴史につい て話を進めていきたいと思います。
Q:英語はどれくらいの歴史があるのでしょうか?
A:英語の歴史は₅世紀中頃から始まりますから、
およそ₁₅₀₀年以上の歴史があります。
Q: ₅世紀の中頃に突然英語が誕生したというわけ ではないですよね?
A:はい。それ以前の歴史も当然あります。次回 はその辺りから話を始めたいと思います。ま た言語の歴史には内面史と外面史があります。
内面史とは音や意味、文法など言語そのもの の変化に関することで、外面史とは言語変化 に影響を及ぼした社会、文化、政治などに関 わることです。
Q:なるほど。次回から内面史と外面史の両方から 英語の歴史について詳しくお話しいただきた いと思います。では参考文献をお願いします。
A:はい。今回の話とは少し違いますが、人間の言 葉の歴史について考えるとき、そもそも人間 はどのようにして言葉を話すようになったの だろうと疑問に思いませんか?
Q:そうですね。
A:人間の言葉の起源や進化の過程を解明しよう とする研究が日本でも₂₀₀₀年以降活発に進め られています。進化言語学とか生物言語学と 呼ばれる分野です。そこで今回はまず『ひと のことばの起源と進化』、池内正幸著、開拓社
(₂₀₁₀年)を挙げておきたいと思います。
本書はことばについての予備知識が無くても読み 進められるように配慮されています。コラムは本文 の内容を、より深く理解させてくれます。言語学で よく見られる樹形図も出てくるので、今までの学校 文法との違いに気付くはずです。
とは言うものの、冒頭から母国語と母語の違い、
内在的言語と外在的言語の話が出て来ます。これに は少々面食らうかもしれませんが、我慢して読み進 めて下さい。気になる箇所はメモを取り、後から読 み直したり調べたりしても良いでしょう。
読み終わる頃には言語の知識が確実に広がり、今 後の語学学習に役立つこと請け合いです。巻末には 参考文献も載っているので、興味があれば更に読み 進むことも出来ます。
本書の請求記号は₈₀₂||Ike、資料IDは₅₄₇₁₀₉で、
第₁閲覧室に配架されています。学科を問わず、全 ての外大生におススメの₁冊です。
にゅうがく なおや
(福井工業大学准教授・英語学・英語史)
ふじい たつや(司書・課長補佐・アジア関係図書館)
入学直哉、藤井達也
言語学、はじめの一歩 (₃₁)
図書館員の文献紹介と 資料の活用
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