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援 助 関 係 の形 成 が困 難 なケースに対 する相 談 援 助 面 接 技 法 の

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援 助 関 係 の形 成 が困 難 なケースに対 する相 談 援 助 面 接 技 法 の 研 修 プログラムの開 発

長 沼 葉 月

要 約

本 研 究 では、援 助 関 係 が形 成 しづらいクライエントとの相 談 援 助 面 接 技 法 について、困 難 事 例 へ の支 援 アプローチや社 会 構 成 主 義 的 な実 践 アプローチを参 照 して抽 出 し、ソーシャルワーカーに対 して効 果 的 に研 修 する方 法 を開 発 することを目 的 とした。抽 出 した技 法 は基 本 的 な面 接 技 法 に加 え て利 用 者 主 体 、ストレングス視 点 、エンパワメントの価 値 を活 用 した態 度 や問 いかけの技 法 であった。

研 修 方 法 は連 続 開 催 が可 能 な場 合 と、単 一 回 のみの実 施 とでできる工 夫 に違 いがあったが、受 講 者 相 互 の「対 話 型 」の仕 掛 けを組 み込 むことと、実 践 応 用 について様 々な形 で意 識 付 けを行 うことが 有 効 であると考 えられた。

1.はじめに

生 活 課 題 が複 雑 化 し、ソーシャルワーカーは支 援 関 係 の構 築 が困 難 な人 へも相 談 援 助 を提 供 し なければならなくなってきた。例 えば援 助 を求 めてこない人 々への支 援 や、虐 待 の加 害 者 への関 与 と いった領 域 では、従 来 型 の「困 難 な状 態 におかれニーズを自 覚 している方 々へ、ニーズを充 足 する ための支 援 を提 供 する」という対 応 では適 切 な働 きかけができない。むしろ、援 助 職 の働 きかけの仕 方 によっては問 題 が隠 蔽 されたり、悪 化 したりする リスクも生 じてしまう。初 期 の言 葉 のやり取 りがその 後 の支 援 展 開 に大 きく 影 響 しうるため、よ り一 層 、丁 寧 に 援 助 関 係 を構 築 していくための 相 談 援 助 技 術 の充 実 が求 められるようになってきたといえる。 社 会 福 祉 士 の養 成 課 程 においても、相 談 援 助 の 技 術 の習 得 に力 点 が置 かれるようになり、平 成 19 年 11 月 の「社 会 福 祉 士 及 び介 護 福 祉 士 法 等 の 一 部 を 改 正 す る 法 律 」 に お い て は 、 演 習 や 実 習 指 導 の 強 化 が 図 ら れ た 。 養 成 課 程 に お い て は 、 様 々な領 域 の事 例 に触 れて事 例 検 討 を行 うことで、多 様 な場 面 について理 解 を 深 めることや、様 々 なアプローチに基 づくロールプレイ等 を行 い、相 談 援 助 スキルを獲 得 していくことが求 められている。

とはいえ、養 成 課 程 においては「実 際 の利 用 者 を前 にして責 任 ある専 門 職 として対 応 する」という実 践 現 場 で求 められるスキルを十 分 に獲 得 することは困 難 である。現 場 で相 談 援 助 業 務 に従 事 しなが ら、日 々の実 務 の振 り返 りを通 じて、また研 修 を受 けることを通 じて、スキ ルアップを図 っていくこと が 重 要 である。

このような支 援 困 難 とされる状 況 は、どのように理 解 することができるだろうか。 岡 田 (2010)は、先 行 研 究 のレビューから、6 つの「支 援 困 難 要 素 」を抽 出 している。岡 田 によればそれらの要 素 は、①対 象 者 と支 援 者 の課 題 認 識 の面 で生 じる困 難 ,②対 象 者 と支 援 者 の解 決 行 動 の面 で生 じる困 難 ,③課 題 自 体 の困 難 性 ,④サービスにまつわる困 難 性 ,⑤支 援 者 側 の条 件 としての困 難 性 ,⑥支 援 の仕 組 みに関 する困 難 性 である。ここで抽 出 された要 素 のうち③は支 援 関 係 の中 で解 消 していくには難 しいこともある。病 気 や障 害 や疾 病 そのものを取 り除 いたり、軽 くしたりする ことはソーシャルワーク支 援 においては困 難 だからである。また④や⑥については、支 援 者 の個 人 的 な努 力 というよりは、いわ

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ゆるマクロレベルでの、制 度 や政 策 レベルでの改 善 を求 めていかなくてはならない。対 象 者 への相 談 援 助 面 接 の技 術 をもってしてどうこうできる内 容 ではないだろう。しかし①や②の要 因 については、対 象 者 と支 援 者 との関 係 性 において生 じていることであるため、支 援 者 が相 談 場 面 における関 わり方 を 変 えていくことで変 化 させることは可 能 であると考 えられる。

岩 間 (2014)は、支 援 困 難 事 例 の発 生 要 因 を、①個 人 的 要 因 (困 難 の発 生 源 が本 人 の側 にある もの)、②社 会 的 要 因 (困 難 の発 生 源 が社 会 〔環 境 〕や関 係 性 にあるもの)、 ③不 適 切 な対 応 (援 助 者 の不 適 切 な対 応 に起 因 する困 難 )と 分 類 し、実 際 にはこれらが複 雑 に組 み合 わさるこ とで支 援 困 難 な状 況 が生 じていると指 摘 している。その組 み合 わせの中 には、③の不 適 切 な対 応 が占 める割 合 も一 定 含 まれているだろう。支 援 者 が利 用 者 の 状 況 に即 した的 確 な対 応 をとれない ことで 、支 援 困 難 度 が増 していくことが示 唆 される。

岡 田 や岩 間 の指 摘 からは、支 援 困 難 とされる事 例 への対 応 は、支 援 者 が面 接 技 術 を高 めるだけ で解 消 できるとは言 えないことが明 らかである。その解 消 のためには、マクロレベルで適 切 かつ柔 軟 な サービスを提 供 できる制 度 、政 策 、人 員 配 置 体 制 が整 えられることが基 盤 として 必 要 である。加 えて メゾレベルでのネットワーキング活 動 と 連 携 の技 術 により、個 々の事 例 を多 機 関 チームで支 援 できる 体 制 が欠 かせない。とはいえ、支 援 困 難 とされる事 例 に対 して、相 談 援 助 面 接 技 術 を工 夫 すること によって困 難 性 が解 消 できる部 分 もあると示 唆 される。 実 際 、岩 間 (2008)は、支 援 困 難 事 例 へのア プローチにおいては援 助 関 係 を構 築 していくことが重 要 であるとし、まず 「支 援 困 難 を問 い直 す」こと が重 要 であるとし、支 援 困 難 を援 助 者 側 の視 点 ではなくクライエント側 の視 点 からとらえることができ るかどうかが対 応 の鍵 と指 摘 している。そのうえで本 人 の認 識 を知 るためにも援 助 関 係 が重 要 である と論 じ、そこを糸 口 としたミクロレベルからマクロレベルにわたる支 援 技 法 を提 示 するとともに実 践 の根 拠 となる価 値 として「利 用 者 主 体 」の原 則 を強 調 している。

「支 援 困 難 」 を問 い直 し、援 助 関 係 の形 成 から「 支 援 困 難 」 という事 象 を解 きほぐしていこうとする 視 点 は、社 会 構 成 主 義 的 なものの見 方 と重 なりあう部 分 である。社 会 構 成 主 義 とは、「現 実 」は社 会 的 な 過 程 、 す な わ ち 言 葉 を 介 し た 相 互 的 な や り 取 り を 通 じ て 構 成 さ れ て い く と い う 考 え 方 で あ る (Gergen, 1999= 2004)。社 会 構 成 主 義 に基 づけば、「支 援 困 難 」という事 象 が絶 対 的 ・客 観 的 に存 在 するというよりも、利 用 者 や家 族 とのやり取 りの中 で「支 援 が難 しい」と感 じた援 助 職 が、本 人 や家 族 や他 の関 係 者 との間 で「支 援 が難 しい、打 つ手 がない」と確 認 しあうようなやり取 りを繰 り返 すことで、

「支 援 困 難 」という状 況 が現 実 のものとして実 感 されていく、ということになる。逆 説 的 にいえば、社 会 構 成 主 義 的 な立 場 に基 づく実 践 アプローチを活 用 すれば、「支 援 困 難 」とされてきた状 況 を再 構 築 することが可 能 になり、その状 況 を脱 却 するのに役 立 つのではないだろうか。

(荒 井, 2014)は、ソーシャルワーク領 域 において社 会 構 成 主 義 的 な実 践 理 論 の一 つである ナラテ ィ ヴ ・ セ ラ ピー ・ ア プロ ー チ に よ り 、支 援 困 難 事 例 を「 解 き ほぐ す 」 こと が で き る と 提 案 し てい る 。 荒 井

(2014)は支 援 困 難 とされていたサービスを拒 否 する認 知 症 高 齢 者 とその家 族 に関 する事 例 を紹 介 している。荒 井 は、認 知 症 高 齢 者 の「繰 り言 」に丁 寧 に 耳 を傾 け、その中 に含 まれる「ユニーク・アウト カム」に注 目 した。「ユニーク・アウトカム」とは、問 題 のしみ込 んだ日 常 のコンテクストの中 で、問 題 とは 異 なる結 果 、いわばユニークな結 果 が生 じた状 況 のことである。その状 況 について多 様 に問 いを重 ね て話 し合 うことで新 たなものの見 方 が形 成 され、それが現 実 を変 えていくという考 え方 である。荒 井 が 面 談 をした高 齢 者 は、毎 日 のように家 族 や周 囲 に対 するさまざまな不 平 不 満 をこぼしており、周 囲 と の関 係 性 が大 いに悪 化 していた。しかしある時 、荒 井 に対 してある介 護 家 族 に対 する肯 定 的 な思 い を口 にしたというのである。荒 井 はこの話 を介 護 者 である家 族 に伝 えたところ、症 状 や不 平 不 満 の底

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にあるかもしれない想 いに着 いて家 族 と話 し合 うことができた。さらに本 人 のあるいは家 族 の 「ユニー ク・アウトカム」を発 見 できるよう注 目 し続 け、それについて話 し合 いを重 ねていくことを繰 り返 したとい う。やがて介 護 サービス利 用 に対 しても拒 否 がなくなり、関 係 機 関 のなかで支 援 が提 供 できるよ うにな っていったという。こうした経 験 から、荒 井 は「支 援 困 難 」を作 り出 してしまうのは支 援 者 の困 難 感 なの ではないか、本 当 にそれは支 援 困 難 な事 例 なのか、と問 い直 すことの重 要 性 を指 摘 している。

筆 者 は 、解 決 志 向 ア プ ロ ー チ(Berg & De Jong, 2007= 2008)や ナ ラ テ ィ ヴ ・ セ ラピ ー(White &

Epston, 1990=1992)を中 心 に、社 会 構 成 主 義 的 実 践 理 論 を相 談 援 助 の現 場 で実 践 してきており、

その実 践 的 有 用 性 を実 感 してきた。児 童 虐 待 事 例 への対 応 において、意 思 表 示 が難 しい子 どもや 虐 待 を否 認 する親 、支 援 者 に対 して敵 対 的 な態 度 をとったり知 的 な面 で課 題 を抱 えていたりする親 と支 援 関 係 を構 築 する上 で、解 決 志 向 アプロー チ やナラティヴ・セラピーが 有 用 であることは報 告 さ れていた(Turnell & Edwards, 1999; Wheeler & Hogg, 2011; 井 上 & 井 上, 2008; Weld, Parker,

& 井 上, 2015)。これらを参 考 にしながらさらに筆 者 らは解 決 志 向 アプローチを高 齢 者 虐 待 防 止 に応 用 して「安 心 づくり安 全 探 しアプローチ」を開 発 した(副 田, 土 屋, & 長 沼, 2012)。その有 用 性 に関 する研 究 では、これを実 践 することで高 齢 者 虐 待 対 応 に従 事 する行 政 や地 域 包 括 支 援 センター職 員 の対 応 困 難 感 が低 下 することを明 らかにしてきた(副 田, 長 沼, 土 屋, & 坂 本, 2013)。

支 援 者 の相 談 援 助 技 術 の工 夫 によって、 児 童 虐 待 や高 齢 者 虐 待 事 例 以 外 にも支 援 困 難 とされ ている状 況 に対 して対 応 困 難 感 を減 らすことができるのではないだろうか。「支 援 困 難 」を問 い直 しな がら、利 用 者 や家 族 との関 係 性 の構 築 を促 す問 いかけができるのではないだろうか 。社 会 構 成 主 義 的 な実 践 アプローチ、例 えば 解 決 志 向 アプロー チ やナラティヴ・セラピー、リフレクティング・プロセス (Andersen, 1987)、コラボレイティヴ・アプローチ(Anderson, 1997=2001)では、そうした対 話 を生 みだ す た め の 様 々 な 視 野 、 問 い の 在 り 方 に つ い て 多 く の 知 見 を 提 供 し て い る(McNamee & Gergen, 1992= 1997) 。これらのアプローチを使 うことで、問 題 =不 足 =支 援 が必 要 、といった分 析 的 ・客 観 的 な視 点 で支 援 を提 供 するのではなく、援 助 そのものを再 構 築 することができるのではないだろうか。

つまり当 事 者 の視 点 にじっくりと寄 り添 い、改 めて支 援 の位 置 づけや目 標 の設 定 そのものを再 構 築 し 直 すことでパートナーシップを形 成 し、多 少 なりとも支 援 困 難 化 を防 ぐことができるのではないだろうか。

そこで、本 研 究 では社 会 構 成 主 義 的 な実 践 理 論 を応 用 しながら、ソーシャルワーカーに活 用 可 能 な「援 助 関 係 の構 築 が難 しい事 例 への相 談 援 助 面 接 技 法 」 を紹 介 する研 修 を行 い、その効 果 を検 討 することとした。まず相 談 援 助 面 接 技 術 を先 行 研 究 の整 理 から抽 出 した。また、その研 修 プログラ ムをどのように開 発 し、効 果 をどう評 定 したのか、二 つの事 例 について記 述 することを目 的 とする。特 に事 例 についての記 述 では、できる限 り社 会 構 成 主 義 的 な立 場 から、筆 者 がどのような立 場 でその 場 の状 況 に関 わり、どのように解 釈 しどのように対 応 していったのか、という視 点 から記 述 することとす る。

なお、以 下 の記 述 で は窪 田(2013)に 倣 って、本 人 、家 族 、他 の支 援 者 であれ、ソー シャルワー カ ーが行 う面 談 の相 手 をクライエントと表 記 する。つまりクライエントには本 人 以 外 の家 族 や他 の支 援 者 も含 まれている。

2.支 援 困 難 事 例 への相 談 援 助 面 接 技 法 とは

2.1 相 談 援 助 面 接 に関 する理 論 から

支 援 困 難 事 例 に対 する 面 接 であれ、それ以 外 の、事 例 に対 する面 接 であれ、基 礎 となる技 術 は 人 と人 とが向 き 合 って話 し合 う、とい うことになる だろう。 岩 間(2008)は支 援 困 難 とされる事 例 での 援

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助 関 係 の構 築 の技 術 として、①本 人 との接 点 を確 保 する、②ともに存 在 する時 間 と空 間 を大 切 にす ること、③ありのままを受 けとめる、④感 情 にアプローチする、⑤会 話 を活 用 する、⑥協 働 作 業 を大 切 にする、の 6点 を挙 げている。それぞれ例 を挙 げて具 体 的 に論 じられているものの、対 人 援 助 の価 値 を基 盤 としたやや抽 象 性 の高 い表 現 であるため、「時 間 と空 間 を大 切 にする」技 術 はどのようなものか、

「会 話 を活 用 する」ための会 話 はどのように行 えばいいのか、というより具 体 的 な問 いに対 して の手 が かりがふんだんにあるわけではない。岩 間(2008)の指 摘 はすでに実 践 現 場 で働 きある程 度 の技 術 が ある援 助 職 にとっては分 かりやすいだろう が、相 談 援 助 職 になって経 験 の浅 いものや他 部 署 から異 動 してきた行 政 ワーカーにとってはもう少 し具 体 的 なレベルの技 術 の名 称 があるほうが分 かりやすい のではないだろうか。

窪 田 (2013)は基 本 の福 祉 援 助 における面 接 技 術 を整 理 している。窪 田 は援 助 者 を「共 感 する他 者 」として位 置 づけ、まずミクロレベルでのコミュニケーションの重 要 性 を指 摘 した。そして「状 況 設 定 」 の技 術 を二 つ挙 げた。まず共 感 的 受 容 を行 うためにあらかじめ「準 備 的 共 感 」、すなわち関 係 者 等 か ら収 集 した事 前 情 報 からクライエントの状 況 や体 験 について想 像 を巡 らして身 構 えを作 っておくこと、

次 いで個 別 面 接 場 面 での「波 長 合 わせ」、すなわちクライエントと姿 勢 や声 のトーンや表 情 、気 分 な どを合 わせることでお互 いの言 葉 のリズムや話 のペースを合 わせていくことである。そのうえで、クライ エントへの「呼 びかけ」の言 葉 について<支 配 ―被 支 配 >の関 係 にならないように「呼 びかけ 」の言 葉 として配 慮 すべき点 を挙 げたのち、さらなる面 接 技 術 として「相 槌 、間 投 詞 の使 い方 」「相 手 の言 葉 を 繰 り返 すこと・言 い換 えること」について詳 述 したのち「私 の眼 、私 の位 置 、私 の感 情 、私 の言 葉 」との 対 話 を続 けることの重 要 性 を指 摘 した。

また相 談 面 接 技 術 に関 するメタ理 論 である マイクロカウンセリング理 論 も社 会 福 祉 士 養 成 の演 習 テキストなどでも紹 介 されており、福 祉 現 場 で利 用 可 能 であると考 えられる。マイクロカウンセリング理 論 では、心 理 相 談 、法 律 相 談 、キャリアガイダン ス、生 活 相 談 など多 様 な領 域 で行 われている相 談

(=カウンセリング)の技 術 を、その最 小 単 位 (=マイクロ)にまで分 解 して整 理 したものである。この理 論 では、5 つの基 本 の傾 聴 の技 術(関 わり行 動 、質 問 技 法 、最 小 限 の励 ましと明 確 化 技 法 、感 情 の 反 射 技 法 、要 約 技 法)が面 接 技 法 の土 台 として位 置 づけられている(福 原, Ivey, & Ivey, 2004)。

これらの具 体 的 な技 法 論 を参 照 することで、例 えば「ともに存 在 する時 間 と空 間 を大 切 にすること」

(岩 間, 2008)を実 践 する上 では、共 感 的 受 容 の状 況 設 定 の技 術 である「準 備 的 共 感 」や「波 長 合 わ せ」(窪 田, 2013)を活 用 したり、マイクロカウンセリング理 論 における「かかわり行 動 」を意 識 してクライ エントに関 わろうとする姿 勢 や態 度 、表 情 や雰 囲 気 を工 夫 することができるようになるのではないだろ うか。「会 話 を活 用 する」についても、窪 田 (2013)の「相 槌 、間 投 詞 の使 い方 」やマイクロカウンセリン グ理 論 の「最 小 限 の励 ましと明 確 化 の技 法 」が有 用 であろう。

これらの技 術 に加 えて、社 会 構 成 主 義 的 な実 践 アプローチからいくつかの問 いの視 点 を追 加 でき るだろう。すなわち、重 要 なソーシャルワークの価 値 である「 利 用 者 主 体 」をどのように実 践 するかとい う点 で 、利 用 者 や 周 囲 の 関 係 者 に 対 する問 いの 視 点 が重 要 となるからで ある。同 様 に社 会 構 成 主 義 的 な実 践 アプローチは「ストレングス」や「エンパワメント」の価 値 の実 践 とも深 い関 係 がある。

まず「利 用 者 主 体 」の実 践 につなげていくためにも利 用 者 との協 働 作 業(岩 間, 2008)ないしは共 同 作 業(窪 田, 2013)を意 識 した話 し合 いが 必 要 である 。これ らを実 践 するために は、コ ラボ レイティ ヴ・アプローチの、そもそも「何 が問 題 とされてい るのか」という点 について、クライエント独 自 の定 義 づ けについて先 に問 いかけることが有 用 だろう(H Anderson & Goolishian, 1988 = 2013)。クライエント独 自 の定 義 づけを聞 き出 すには、クライエントが問 題 と思 う事 象 の内 容 について訊 くだけではなく、その

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事 象 に対 してクライエントがどのように自 分 を関 係 づけているのかを訊 く必 要 がある。例 えば特 定 の場 面 に焦 点 を当 てながら、そのときどのような思 いや感 情 が湧 き上 がっているのか、といった点 について 訊 くことができる。この「最 初 に問 題 の設 定 について話 し合 う」という手 法 は、社 会 構 成 主 義 の影 響 を 受 けて発 展 した対 話 型 の組 織 マネジメントの 基 本 でもあり(中 原 & 長 岡, 2009)1、問 題 行 動 を抱 え る 子 ど も や そ の 親 、 教 師 ら が 協 働 し て 問 題 の 解 決 に あ た ろ う と す る Collaborative Problem Solution(CPS)2の 3ステップでもプロセスの最 初 に挙 げられているものである(Greene, 2008=2013)。

具 体 的 な「問 題 」について多 少 なりとも話 し合 いができるような関 係 になったのであれば、 解 決 志 向 アプローチでは「セッション前 変 化 に関 する質 問 」、「例 外 探 しの質 問 」、「対 処 についての質 問 」とい った技 法 から利 用 者 や家 族 のこれまでの生 活 におけるリソース(資 源 )を話 し合 う手 法 や、「ミラクルク エスチョン」や「ウェルフォームドゴール」に関 連 する技 法 から、利 用 者 や家 族 の 望 んでいる状 態 につ いて話 し合 う手 法 がある。これらの話 し合 いを通 じて利 用 者 やその家 族 が持 っている資 源 、能 力 、可 能 性 、希 望 など「ストレングス」に関 する情 報 を得 ることができる(Rapp & Goscha, 2011)。また、ホワイ トらによるナラティヴ・アプローチでは、先 述 した「ユニーク・アウトカム」への注 目 やそこから本 人 のアイ デンティ ティや 価 値 を探 索 し 「 再 著 述 する 対 話 」 、「 外 在 化 する会 話 」や それに続 く「 影 響 相 対 化 質 問 」など、様 々なメタファーを活 用 した話 し合 い の枠 組 みが提 示 されている(White, 2007= 2009)。こ れらの枠 組 みを用 いることで本 人 や家 族 をめぐる問 題 を中 心 とした(問 題 に支 配 された)語 りではなく、

問 題 を切 り離 した本 人 自 身 の、あるいは家 族 一 人 一 人 が主 人 公 となるような形 で状 況 が語 られるよう になり、本 人 や家 族 の一 人 一 人 がその後 の行 動 をより主 体 的 に変 化 させていくという点 でエンパワメ ントのプロセスが導 き出 されていくだろう。

2.2 支 援 関 係 の構 築 が困 難 な状 況 での相 談 援 助 面 接 技 術

以 上 の検 討 を経 て、支 援 関 係 の構 築 が困 難 な方 への相 談 援 助 技 術 として以 下 の内 容 を抽 出 し た。

①非 言 語 の姿 勢 ・態 度

クライエントとかかわろうとする振 る舞 い、非 言 語 のコミュニケーション の技 法 である。特 に「困 難 」と される状 況 において援 助 者 は期 せずして緊 張 し硬 くなるので、事 前 情 報 をバランスよく確 認 したり、あ らかじめ体 をほぐしたりイメージを使 って表 情 を和 らげておく工 夫 が有 用 である。

②明 確 化 技 法

相 槌 ・間 投 詞 のタイミングや言 い方 で、「共 感 的 に受 け止 めている」と伝 えること である。相 手 の言

1 ビジネス組 織 において協 調 的 な問 題 解 決 を図 るためには、「設 定 された問 題 に対 しいくつかの 選 択 肢 を設 定 して議 論 により解 決 策 を選 んでいく」という議 論 型 の問 題 解 決 法 だけでは、設 定 され た問 題 が適 切 なのか、他 の選 択 肢 の可 能 性 がないのかといったメタレベルの課 題 から問 題 が解 決 し ないことがあるという。そのためにも、その都 度 に応 じて「問 題 の定 式 化 =何 が問 題 かを合 意 のうえで 設 定 すること」が重 要 であると指 摘 している(中 原 & 長 岡, 2009)。

2 Greene(2008)による CPS では、学 校 内 で暴 れる等 の問 題 行 動 を起 こす子 どもへ支 援 を考 えるう えで、どの問 題 から取 り扱 うのが良 いかという指 針 を示 したほか、実 際 に課 題 に取 り組 むうえではまず 相 手 の言 い分 をしっかり聞 き取 る<共 感 ステップ>、大 人 の懸 念 も伝 えつつ、本 人 とともに何 が問 題 なのかを対 話 していく<問 題 定 義 ステップ>、本 人 のアイディアを中 心 に周 囲 の支 援 も織 り込 み解 決 のための方 法 を想 像 し創 造 していく<解 決 ステップ>の3 段 階 の手 順 を心 がけることが重 要 である と示 唆 されている。この手 法 は、子 ども個 人 に対 してだけではなく、保 護 者 、教 員 、学 級 への対 応 で も応 用 できるものである。

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葉 を繰 り返 すことで、「相 手 の体 験 」を理 解 しながら自 分 の体 を使 って状 況 を受 け止 めようとしていく こと。それが次 の質 問 にもつながる。

③質 問 技 法

問 いかけの技 法 であ り、相 手 に対 して考 えて発 話 することを働 きかける機 能 がある。まずは開 かれ た質 問 と閉 じた質 問 について考 える。質 問 のバリエーションの多 彩 さについても考 え、どのような質 問 がどのように役 に立 つのかを振 り返 る。

支 援 が難 しいという事 例 の場 合 には、いきなり問 題 についての認 識 に入 るのではなく、最 初 は<ス トレングス>に焦 点 を当 てた問 いかけから関 係 性 を作 ることや、<そもそも何 が問 題 >なのか、もし話 していただけるのであれば目 の前 にいる相 手 の言 い分 に耳 を傾 けつつ特 に困 難 と感 じている場 面 に ついて詳 細 に問 いかけを重 ね て相 手 なりの問 題 の <意 味 づけ・ 定 義 づけ>を把 握 していくことも重 要 だろう。

④感 情 を扱 う技 法

基 本 的 には相 手 が感 じていると想 定 される感 情 を、援 助 職 の体 を通 じて感 じ取 り、それをシンプル な感 情 を表 す言 葉 で相 手 に返 すことを伝 える必 要 があるだろう。相 手 が言 語 的 に表 明 した感 情 を繰 り返 すというより、十 分 に言 語 化 されきっていない強 い感 情 に名 付 けを試 みるという側 面 もある。

窪 田(2013)の指 摘 する通 り「私 の感 情 」と相 手 の感 情 とを切 り分 けて自 覚 することは重 要 である。

しばしば援 助 職 は共 感 のために 「大 変 ですね」という言 葉 を安 直 に使 うことがあるが、えてしてそれは

「援 助 職 が大 変 そうだと思 った」という「私 の感 情 の表 明 」であることが多 い。よくよく聴 いていると相 手 は「どうにもできない状 況 」に対 して「怒 り」「悔 しさ」「悲 しみ」「絶 望 感 」を感 じていたりする。そのニュア ンスの違 いに気 づくこともなくすべて「大 変 ですね」で返 してしまうと、共 感 的 他 者 ではなくむしろ相 手 の困 難 を理 解 しよ うとせ ず自 分 の立 場 からしかも のを言 わない 鈍 感 な援 助 職 と な り、結 果 的 に支 援 困 難 感 を増 すことがある。

クライエントが矛 盾 する感 情 の間 で揺 れ動 いているのであれば、 援 助 職 は両 価 的 な感 情 がある」と 受 け止 めればよい。そのうえで、迷 いながらクライエントが望 ましい結 果 につながるような行 動 を選 択 することができるよう支 援 することができる。どちらかの感 情 に肩 入 れしてしまうと、もう片 方 のクライエン トの感 情 に対 して審 判 的 な態 度 で臨 むこととなってしまい3、結 果 的 に支 援 関 係 が<支 配 ―被 支 配

>のパワーゲームに巻 き込 まれてしまうことがあるので要 注 意 である。

⑤要 約 技 法

面 談 の最 後 あるいは次 回 の最 初 に 、援 助 職 が受 け取 った内 容 を相 手 にまとめて返 す技 法 である。

専 門 的 な用 語 で言 い換 えるより、相 手 が使 った言 葉 を活 用 しながらおさらいするのが望 ましい。援 助 職 に対 して警 戒 的 な身 構 えを持 っているクライエントに対 して、そ の言 葉 を使 って「おさらい」すること で、援 助 職 が受 け取 った内 容 をメッセージとして伝 えるこ とになる。クライエントはそれを確 認 すること ができるので、より安 心 感 を持 って話 し合 いを終 えることができる 。話 を簡 単 な枠 組 みに従 ってメモし て4、それを最 後 に一 緒 に振 り返 りながら渡 すという手 法 も用 いることができる。

3 動 機 づけ面 接 法 においては「間 違 い指 摘 反 射 」と呼 ばれる。避 けるべき対 応 のひとつである(原 井, 2012)。

4 児 童 虐 待 事 例 への支 援 で活 用 されているサインズ・オブ・セイフティ・アプローチや「三 つの家 」 ツールでは、家 族 との協 議 をホワイトボードを使 って視 覚 的 にまとめたり、一 定 の枠 組 みに従 って様 式 にまとめて後 日 渡 す等 している。これは発 達 途 上 の子 どもや知 的 な面 で課 題 があったり精 神 的 に 不 安 定 で混 乱 しやすい親 も含 めて、明 確 に情 報 を共 有 し必 要 なプロセスを進 めていくうえで有 効 で

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⑥話 の焦 点 と手 順

話 し合 いの組 み立 てを考 えることがなぜ重 要 なのかについては、研 修 の最 初 に援 助 関 係 の形 成 がその後 の支 援 の困 難 感 にどのように影 響 するかについてメタモデルで提 示 する。そのうえで、それ を脱 していく具 体 的 な手 順 としては、①まず相 手 の言 い分 を聴 き共 感 すること、②次 いで何 を課 題 と するのかを一 緒 に話 し合 うこと、③最 後 にそのために何 ができるかを話 し合 うこと、という話 題 の焦 点 についても確 認 する。①ができていなければ、②や③にまでは進 めない、あるいは利 用 者 主 体 の形 で の実 践 にはならないためである。①の段 階 では利 用 者 主 体 を意 識 しながら「話 し合 う内 容 の再 定 義 づけ」を行 い、②の段 階 では課 題 とストレングスに焦 点 を当 てる。③の段 階 でも目 標 とそれにまつわる ストレングスに焦 点 を当 てる。全 体 を通 じて、まだ語 られていないことに言 葉 を当 てるような姿 勢 で 問 いを重 ねていく。

3.どのように研 修 を構 成 するか

「研 修 の効 果 」についても社 会 構 成 主 義 的 な立 場 で考 えるなら、講 師 が提 示 した情 報 を受 け取 っ た研 修 参 加 者 が「効 果 があった」と感 じ、なおかつ「実 際 に活 用 した」という点 が重 要 になってくるだろ う。こうした知 識 の活 用 に至 るためには、Shotter (2011)のいう「Getting it」という瞬 間 、すなわち講 師 と受 講 者 の関 係 性 においてやり取 りされたものが、受 講 者 の日 常 の関 係 性 におけるものごと や体 験 などと何 らかの形 でつながって腑 に落 ちたと思 える瞬 間 を築 いていくことが重 要 になると考 えられる。

そのためには、研 修 内 容 (=コンテンツ)だけではなく、研 修 を取 り巻 くコン テクスト、特 に講 師 (=

本 研 究 においては筆 者 である)と受 講 者 との関 係 性 にも注 意 を払 って論 じていく必 要 がある だろう。

まず研 修 の設 定 そのものが講 師 と受 講 者 との関 係 性 に影 響 を与 える。例 えば、講 師 自 身 が主 催 する研 修 なのか、何 らかの機 関 が企 画 した研 修 に講 師 として招 聘 いただくのか、という要 素 が考 えら れる。残 念 なが ら筆 者 は自 ら企 画 ・ 主 催 して大 勢 の受 講 者 を集 めることは難 しいため 、本 研 究 では 行 政 や関 連 団 体 が主 催 する研 修 に企 画 段 階 から参 画 させていただく形 をとった。したがって受 講 者 にとって講 師 は「外 部 の大 学 の人 」であるが、筆 者 である講 師 は事 前 企 画 団 体 から受 講 者 がどのよう な人 であ るか主 催 者 から教 わる 機 会 があ った 。い わば、「受 講 者 は講 師 を知 らな いが 、講 師 は受 講 者 について想 像 する手 がかりをいただいた」状 態 であった。

また研 修 の設 定 のうち、1回 当 たりの研 修 の時 間 や、連 続 講 座 形 式 なのか、単 回 講 座 形 式 なのか という時 間 的 要 素 も講 師 と受 講 者 との関 係 に大 きく影 響 する。1 回 当 たりの研 修 の時 間 が短 ければ、

講 師 と受 講 者 との相 互 作 用 を深 める時 間 を確 保 するのが難 しくなるからである。また連 続 講 座 形 式 であれば、初 回 から最 終 回 までの時 間 を活 用 することが可 能 であるため、関 係 性 が変 化 しても修 正 するチャンスがあるなど、より相 互 作 用 を活 用 した研 修 デザインが可 能 になる。

さらに関 係 性 を活 用 した研 修 プログラムとしていくため には、受 講 者 を巻 き込 んだ研 修 内 容 にして いく必 要 があるだろう。(中 原 & 長 岡, 2009)は優 れた企 業 内 研 修 の例 を挙 げ、社 会 構 成 主 義 的 な

「対 話 型 」研 修 として成 功 している背 景 として以 下 の 3 点 を挙 げている:①与 えられた問 題 を解 決 す るのではなく、業 務 上 の課 題 や問 題 を自 ら設 定 ・発 見 することを重 視 した活 動 を展 開 する。 ②外 部 の インストラクターと受 講 者 の間 ではなく、上 司 /先 輩 と部 下 /後 輩 の間 で研 修 を進 める。③アウトプッ トのボリュームを必 要 最 低 限 にとどめる方 式 を採 用 し、制 約 を設 けている。以 上 の 3 点 を可 能 な限 り 組 み込 むのであれば、①「業 務 上 の課 題 や問 題 を自 ら設 定 ・発 見 する機 会 」を何 らかの形 で設 ける

あるとされている(Weld et al., 2015)。

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ことや、②「受 講 者 相 互 の間 で進 める」部 分 を取 り入 れること、③「最 小 限 のアウトプット」を求 めること である。

以 上 の点 を配 慮 すると 、効 果 的 な研 修 プログラム として位 置 付 けていくた めには、①時 間 の制 約 やあらかじめ 把 握 した受 講 者 特 性 にあわせて伝 える情 報 をある程 度 考 え つつ、②講 師 が受 講 者 の

「課 題 の設 定 」について知 る機 会 を設 け、③受 講 者 相 互 による学 び あいの時 間 を工 夫 し、④学 んだ ことを短 くアウトプットする時 間 を設 ける、ということが最 低 限 の要 件 となると考 えられた。

4.事 例

以 下 、筆 者 が実 際 に行 った研 修 の例 を二 つ事 例 として取 り上 げ、それぞれのプログラムの組 み立 てとその成 果 について記 述 する。

4.1 高 齢 者 福 祉 領 域 の援 助 職 を主 対 象 とした連 続 研 修 の取 り組 み

4.1.1.研 修 の構 成 と主 たる内 容

この取 り組 みは、首 都 圏 郊 外 のベッドタウンである A市 の介 護 保 険 所 管 の協 力 の下 で開 催 された。

そもそもの発 端 は X-4 年 に筆 者 が A 市 の介 護 保 険 所 管 の職 員 の招 へいにより、面 接 技 法 の連 続 研 修 を行 ったことにあった。X-1 年 の地 域 の介 護 支 援 専 門 員 連 絡 会 において研 修 企 画 として希 望 する内 容 を尋 ねたところ、筆 者 の名 が挙 がったそうである。そこで前 担 当 者 から筆 者 の連 絡 先 を入 手 した担 当 職 員 B から、X-1 年 にも X-4 年 と同 じ内 容 の研 修 を依 頼 された。X-4 年 および X-1 年 は マイクロカウンセリング理 論 の枠 組 みを用 いて一 つずつ技 法 の研 修 を行 っ ていた。

X 年 にも、市 職 員 B より類 似 の内 容 の研 修 を依 頼 された。ただし基 本 的 には初 めて受 講 する者 が 主 対 象 だが、2 年 連 続 受 講 希 望 者 もいると考 えられるので、基 本 の内 容 に加 えてバイステックの七 原 則 などソーシャルワークの価 値 の視 点 から面 接 技 法 を深 めたい、という要 望 が添 えられた。そこで筆 者 から、「関 わり方 が難 しい方 への対 応 」 に焦 点 を当 てて構 成 しなおす提 案 をし、了 承 いただいた。

なお、その際 に本 研 修 プログラムの企 画 、内 容 及 び受 講 者 のアンケートを研 究 対 象 とて分 析 し、公 表 することについて承 諾 を得 た。

毎 回 の研 修 運 営 は研 修 事 務 局 を担 当 する介 護 支 援 専 門 員 の連 絡 会 の役 員 たちが担 当 した。筆 者 の研 修 は毎 月 1回 基 本 的 に第 1火 曜 日 の1時 半 から4時 までの2時 間 半 で、全 6回 実 施 した。

毎 回 の研 修 終 了 後 には短 い評 価 アンケートを求 めたほか、 筆 者 が退 出 したのち、参 加 者 有 志 による 率 直 な研 修 の振 り返 りを役 員 スタッフによるファシリテーションの下 で約 1 時 間 かけて実 施 した。研 修 受 講 者 は、市 役 所 内 での職 員 向 け広 報 と、介 護 保 険 サービス関 連 の事 業 所 への広 報 により集 めら れた。地 域 包 括 支 援 センター、デイサービス、居 宅 介 護 支 援 事 業 所 の職 員 を中 心 に、計 55 名 が研 修 に参 加 した。なお55 名 のうち初 参 加 は 32 名 であり、23名 は継 続 参 加 であった。全 6 回 すべてに 参 加 したのは 27 名 で、うち初 参 加 者 17 名 (17/32=53.1%)、継 続 参 加 者 10 名 (10/23=43.5%)であ った。

初 回 の研 修 では「関 わり方 が難 しいときはどのようなときか」「面 接 技 術 を磨 くことによってどのような ことができるようになりたいか」を最 初 に 4 人 グループで話 し合 っていただき、いくつかのグループから 出 た意 見 を発 表 してもらった。それを筆 者 が板 書 し、全 員 で共 有 した。 受 講 者 の考 える「関 わり方 が 難 しい」には、「関 わることに拒 否 的 である」「サービスを拒 む」「話 が長 い」「本 人 と家 族 の希 望 が違 う」

「要 望 がしょっちゅう変 わる」といろいろなバリエーションがあることを共 有 したうえで、コミュニケーション

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の仕 組 みを説 明 し、援 助 関 係 の形 成 が困 難 感 とどのように関 連 しているのかをモデル図 で説 明 した 。 そのうえで基 本 的 な表 情 や身 体 が面 接 に与 える影 響 についていくつかのゲーム、ワークを通 じて体 験 していただいた。そのうえで、次 回 までの日 常 業 務 の中 で、研 修 中 に紹 介 した表 情 や身 体 を工 夫 することに取 り組 むことを課 題 として提 案 し、終 了 とした。その後 、アンケート記 入 と振 り返 りのグルー プワークが行 われた。

2 回 目 の研 修 では、冒 頭 に初 回 の振 り返 りと初 回 アンケートに記 載 された疑 問 への回 答 を行 った 後 、小 グループに分 かれて 2 回 目 までの 1 か月 間 に実 践 したことはあるか話 し合 ってもらった。その 場 で、実 践 応 用 してみたものの困 難 な状 況 が変 わらなかったという落 胆 事 例 や、実 際 に声 の調 子 や 呼 吸 のペースを変 えてみることで、本 人 が落 ち着 いて話 をしてくれたという成 功 事 例 などが共 有 され た。筆 者 は実 践 していただいた方 への謝 意 を表 明 したのち、成 功 事 例 を 掘 り下 げ、他 のグループか ら聞 いた話 や筆 者 自 身 の成 功 ・失 敗 談 を対 比 的 に提 示 しながら、受 講 者 の成 功 体 験 をモデルとし て実 践 していただくようにお願 いをした。そのうえで「相 槌 、間 投 詞 」の使 い方 に関 するワークを行 い、

『共 感 的 他 者 』としての基 本 的 な話 の聞 き方 について考 えてもらった。前 回 同 様 に、今 回 の内 容 のう ち何 かを実 践 することを宿 題 として終 了 した。その後 アンケートや振 り返 りグループワークが行 われた。

なお三 回 目 以 降 も冒 頭 に前 回 の振 り返 りと質 問 への回 答 、宿 題 確 認 から同 様 に始 めた。 終 了 時 に は毎 回 次 回 に向 けて研 修 内 容 を実 践 してく ることを宿 題 とし、アンケートと振 り返 りグループワークも 行 った。

3 回 目 では、「感 情 の反 射 」や「要 約 」の技 法 についてその意 義 と注 意 点 を実 感 できるようなワーク を実 施 し、その流 れで「私 の感 情 」に従 ってクライエントに対 して「社 会 的 に望 ましくないことを反 射 的 に指 摘 してしまう」「社 会 的 に望 ましい ことを反 射 的 に押 し付 けやすくなる」という傾 向 があることを説 明 し、『まずい反 射 的 対 応 』を行 うことでクライエント側 に湧 き上 がる感 情 についてワークで体 験 した。

その後 、クライエントの感 情 を受 け止 め、それを反 射 しながら話 し合 うワークを体 験 し、違 いを実 感 し ていただいた。加 えて迷 いのある行 動 について決 断 分 析 表 で整 理 しながら5、矛 盾 する感 情 があるこ とをしっかり受 け止 めた後 で、その後 の展 開 について現 実 的 に話 し合 うことができると説 明 した。

4 回 目 では、「家 族 複 数 が同 席 しているときの話 し合 いのコ ツを知 りたい」という要 望 に応 じて、家 族 支 援 の面 接 ビデオを視 聴 した。その後 、これまで紹 介 した面 接 技 法 がどのように反 映 されているか、

普 段 の実 践 と似 ている部 分 はどこかグループで検 討 した 。

5 回 目 では『面 接 の組 み立 て方 』として、まず<問 題 >を再 定 義 することの意 義 と、ストレングスに 焦 点 を当 てた 生 活 歴 の 訊 き方 、目 標 の 引 き出 し方 を紹 介 し 、それぞれの部 分 ごとに短 い 対 話 の練 習 を行 った。

6 回 目 には模 擬 的 に相 談 を相 互 に行 う時 間 とした。加 えて 「感 情 」を扱 うのが難 しいという追 加 質 問 に応 じて感 情 を「外 在 化 」して話 し合 う 技 法 の 練 習 を行 うなど、受 講 者 の要 望 に合 わせて柔 軟 に 内 容 の調 整 を行 った。

4.1.2.研 修 の効 果 1)データ収 集 方 法

5 動 機 づけ面 接 法 の中 に組 み込 まれている話 し合 いの方 法 のひとつ。クライエントの中 にある矛 盾 を否 定 せず拡 大 し、両 価 性 を認 めたうえでそれを解 消 していく方 法 を選 べるよう支 援 していくもの である(Miller & Rollnick, 2002)。

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研 修 の成 果 は、以 下 の三 つの方 法 で把 握 した。

(1)毎 回 の振 り返 りグループワークのまとめ。小 グループに研 修 事 務 局 スタッフがそれぞれ記 録 者 と して参 加 し、発 言 内 容 をまとめたものの提 供 を受 けた。

(2)毎 回 の終 了 後 アンケート。研 修 内 容 に対 する感 想 、質 問 、次 回 以 降 扱 ってほしいことの要 望 の ほか、「今 日 の研 修 内 容 はあなたの仕 事 にどの程 度 役 立 ちますか」と尋 ね、「1:全 く役 に立 たない」

から「10:大 変 役 に立 つ」の 10 件 法 による評 価 を得 た。全 6 回 のマッチングを行 うため記 名 式6で実 施 したが、マッチング後 はデータベースからは氏 名 を削 除 して分 析 に用 いた。受 講 者 が前 年 度 から 継 続 して受 講 しているかどうかは把 握 したが、それ以 外 の基 本 属 性 (職 場 、職 種 、経 験 年 数 、性 別 、 年 代 )の把 握 は行 わなかった。

(3)全 6 回 を通 じた研 修 評 価 アンケート。研 修 事 務 局 が項 目 を策 定 し、実 施 したものの集 計 結 果 の提 供 を受 けた。

それぞれの方 法 について、筆 者 の所 属 機 関 及 び日 本 社 会 福 祉 学 会 の研 究 倫 理 指 針 を遵 守 して 執 り行 い、個 人 情 報 の取 り扱 いや研 究 に使 用 することについて市 及 び研 修 事 務 局 の承 認 を得 て行 った。また研 修 受 講 者 に研 究 の一 環 でもあり、アンケートへの回 答 個 人 を特 定 しない形 で公 表 するこ とがあることをあらかじめ了 承 を得 た。

2)毎 回 の振 り返 りグループワークでの話 し合 い

毎 回 の振 り返 りの中 では、当 日 の研 修 内 容 だけではなく、その前 の研 修 内 容 をどのよ うに実 践 し たのか改 めて触 れる発 言 もあった。また研 修 中 に体 験 した様 々なワークを、自 分 の現 場 でどのように 使 っていくことができるのかという点 に関 する不 安 や疑 問 も語 られていた。それに対 し、他 の受 講 者 か らは今 まで実 践 していたことが「技 法 」として名 付 けられた、意 識 化 されただけだという体 験 談 を交 え た説 明 などが語 られ、全 体 として「使 える部 分 を拾 って使 っていこう」という趣 旨 の発 言 が多 かった。

例 えば「感 情 の扱 い方 」や「望 んでいる未 来 の状 態 の話 し合 い方 」を扱 った 第 三 回 の振 り返 りでは 以 下 のような発 言 がみられていた。なお記 録 から文 脈 を損 なわない範 囲 で意 味 を伝 えるよう( )内 に 筆 者 が加 筆 している。

 「間 違 いの指 摘 反 射 」「感 情 の反 射 」をやってみて、否 定 される事 と肯 定 されることの(クライ エントの)感 情 の違 いをリアルに感 じることができました。「感 情 の反 映 」で、(クライエントの)迷 いを尊 重 するのというのを聞 き、普 段 から本 人 の意 思 決 定 を心 かけているつもりでも誘 導 して いる部 分 もあったのかなと思 いました。

(地 域 )包 括 (支 援 センター)でも金 銭 的 な面 での関 わりも増 えてきた。生 活 保 護 受 給 者 が 未 受 給 者 より良 い生 活 をしている例 もあり、論 理 的 にどうなのかと考 えることがある。 (自 分 の考 えが)表 情 に出 てしまっているのかと気 付 くことができた。(損 益 )分 析 表 を一 緒 に作 成 するの は、目 に見 えて整 理 がつきやすい方 法 だと感 じた。

 両 価 性 。良 い面 、悪 い面 両 方 を理 解 する事 を実 践 したい。気 持 ちは許 可 できても、実 際 は

6 筆 者 から連 結 可 能 匿 名 化 方 式 のアンケートの提 案 も行 ったが、研 修 事 務 局 からの要 望 により、

例 年 記 名 式 で行 っていることと、アンケートの内 容 に個 人 属 性 に関 する項 目 を設 けないことで、記 名 式 で実 施 することとなった。

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許 可 出 来 ない事 がある。そうなると漠 然 と相 談 を聞 くだけになってしまう。

以 前 の講 義 でうなずきなどの技 法 を学 び、普 段 やっている事 が技 法 だと言 う事 を知 った。自 分 は一 番 よくやっている技 法 だと思 う。反 射 や要 約 は相 手 の事 が分 かっていないと間 違 った 要 約 をしてしまう恐 れがあり気 を付 けないといけない。「反 射 」の練 習 では、「ダメ」を言 われた時 より、受 け入 れられた方 が反 省 できた。

研 修 の中 で学 んだ事 の中 でひとつでも学 べた事 を現 場 に生 かせるように心 掛 けることが大 切 だと思 う。

全 6 回 の研 修 を通 して、ワークの体 験 を普 段 の実 践 と関 連 付 けながら振 り返 っており、自 分 が担 当 しているケースで使 えるか、使 えないかと判 断 している様 子 がうかがわれた。 特 に振 り返 りグループ ワークでは、数 か月 前 に異 動 してきたばかりで相 談 援 助 業 務 は初 めてという受 講 者 も率 直 にその不 安 や疑 問 を呈 しており、それに対 してベテラン職 員 や前 年 の研 修 受 講 経 験 者 が「このように使 ったら 役 立 った」「積 極 的 に使 ってみよう」と他 の参 加 者 を励 ますような発 言 もみられていた。

3)毎 回 のアンケートの評 点 の推 移

研 修 終 了 後 に求 めていた「仕 事 に役 立 つか」どうかの評 点 の変 化 を 表 1 にまとめた。なお最 終 回 の第 6回 のみ、全 回 を通 じての総 合 評 価 である。

表 1 全 受 講 者 による「仕 事 に役 立 つか」評 価 結 果

度 数 最 小 値 最 大 値 平 均 値 標 準 偏 差

第 1回 目 50 5 10 8.3 1.5

第 2回 目 49 2 10 8.4 1.6

第 3回 目 48 4 10 8.6 1.5

第 4回 目 48 5 10 8.6 1.4

第 5回 目 41 3 10 8.2 1.8

第 6回 目 47 5 10 8.3 1.4

第 1 回 目 から第 6 回 目 まで、全 55 名 が参 加 したことはなく、それぞれの業 務 の都 合 でしばしば欠 席 があり、特 に12月 下 旬 に開 催 された第 5回 目 は欠 席 者 が10名 を超 えた。仕 事 への役 立 ち度 は、

毎 回 平 均 8点 を超 えており全 般 的 に高 い評 価 を得 たといえるだろう。

前 年 度 から継 続 している受 講 者 で評 価 が低 くなっている可 能 性 がうかがわれた。そこで対 象 者 を 新 規 受 講 者 と継 続 受 講 者 に分 けて毎 回 の評 定 の推 移 を検 討 することとした。ただしすべての研 修 に 参 加 した「皆 勤 」の人 は新 規 受 講 者 で17名 、継 続 受 講 者 で10名 のみであったため、欠 席 者 を含 め た全 体 の傾 向 を把 握 す るために欠 席 回 についてはその 回 の回 答 者 の 平 均 値 を代 入 することと して 分 析 に用 いた。結 果 を表 2 に示 す。新 規 受 講 者 については、全 6 回 を通 じて比 較 的 高 く評 価 され ており、第 5 回 を除 いて平 均 8.5 点 以 上 となっている。皆 勤 のみの場 合 でも、欠 席 を含 めた人 の場 合 でも同 様 である。

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表 2 新 規 ・継 続 別 にみた「仕 事 に役 立 つか」評 定 平 均 値 の推 移 度

第 1回 第 2回 第 3回 第 4回 第 5回 第 6回

平 均 値 標 準

偏 差 平 均 値 標 準

偏 差 平 均 値 標 準

偏 差 平 均 値 標 準

偏 差 平 均 値 標 準

偏 差 平 均 値 標 準 偏 差 新 規 受 講 者 欠 席 含 む全 体 32 8.7 1.4 8.6 1.6 8.9 1.3 8.8 1.0 8.4 1.7 8.5 1.5

新 規 受 講 者 皆 勤 のみ 17 8.6 1.6 8.5 2.0 8.9 1.4 8.8 1.2 8.3 2.2 8.5 1.8 継 続 受 講 者 欠 席 含 む全 体 23 7.9 1.3 8.0 1.4 8.1 1.5 8.4 1.7 7.9 1.3 8.0 1.2 継 続 受 講 者 皆 勤 のみ 10 7.4 1.3 8.1 1.1 7.6 1.6 8.5 1.8 7.7 1.9 7.5 1.4

一 方 継 続 受 講 者 については、平 均 値 が 8 点 に達 しない日 もありやや低 い評 価 となっていた。特 に 皆 勤 の10 名 にとっては第 1 回 、第 3回 、第 5 回 、最 終 回 全 体 評 価 で平 均 点 が 7点 台 である。最 も 高 得 点 の第4回 では、前 年 度 には使 わなかった日 本 人 の親 子 との面 談 場 面 を扱 った映 像 資 料 を用 いて解 説 した回 であり、第 2回 は実 践 との結 びつきをグループワークで随 時 話 し合 いながら基 本 的 な 技 法 を紹 介 した回 である。その分 予 定 時 間 を超 過 してしまったため、3 回 目 の内 容 が駆 け足 になっ た。継 続 受 講 者 にとっては、2 年 連 続 で受 講 するほど期 待 値 が高 いと思 われ、実 践 現 場 への応 用 が リアリティを持 ってイメージできるほど高 い評 価 になると考 えられた。 なお継 続 受 講 者 の中 にはアンケ ートの自 由 記 述 欄 に「内 容 は良 いが十 分 に活 用 しきれていないので」とコメントを添 えるものも複 数 み られた。つまり継 続 受 講 者 は前 年 度 にある程 度 研 修 内 容 を把 握 しており、その骨 格 を理 解 したうえで 参 加 しているため、「研 修 内 容 は仕 事 に役 に立 つか」どうかではなく「研 修 内 容 を仕 事 に(自 分 が実 際 に)役 立 てているか」どうかという視 点 で評 価 した可 能 性 があるだろう。いずれにせよ継 続 受 講 者 に とっての有 用 性 を高 めるためには、さらなる工 夫 が必 要 であると考 えられた。

4.1.3.まとめ

高 齢 者 福 祉 領 域 でのまとまった実 践 経 験 のない筆 者 であったが、研 修 受 講 者 の相 互 作 用 を活 用 することで、実 践 上 の有 効 性 の高 い研 修 とすることができた。研 修 の効 果 を高 めるのに役 立 ったと 考 えられたのは以 下 の点 である。

(1) 研 修 中 にワークを通 じて体 験 的 に学 び、実 践 応 用 の可 能 性 を話 し合 うこと。

(2) 研 修 後 に、受 講 者 相 互 で実 践 での経 験 と結 びつけて振 り返 る機 会 があ り、実 践 上 の不 安 を安 心 して吐 露 し、実 践 していた人 の体 験 を聞 けること。

(3) 日 常 生 活 の中 で実 際 に 実 践 するよう促 され、 次 回 の冒 頭 で実 践 してき た人 の話 を聞 け ること。

上 記 の 3 点 によって、研 修 内 容 を実 践 に結 び付 けるよう絶 えず促 されるとともに、同 じ地 域 で働 く 他 の受 講 者 との交 流 から、不 安 を軽 減 したりロールモデルを見 つけたりすることで実 践 上 の励 みが得 やすかったと考 えられる。

この取 り組 みでは、介 護 支 援 専 門 員 の連 絡 会 と基 礎 自 治 体 の双 方 からの協 力 を得 ることができた ため、このように充 実 した体 制 となった。特 に(2)で挙 げた研 修 終 了 後 の外 部 講 師 が退 室 した後 の振 り返 りの時 間 では、講 師 がいないからこそ率 直 な意 見 が表 明 できたと思 われる。しかし、こうした充 実 した体 制 が取 れないことも多 いだろう。(1)や(3)の要 素 は部 分 的 には様 々な場 面 で取 り入 れる余 地 があるかもしれない。

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4.2 生 活 保 護 ケースワーカーを主 対 象 とした子 育 て世 帯 支 援 の研 修 の取 り組 み

4.2.1.研 修 の構 成 と主 たる内 容

この取 り組 みは、首 都 圏 内 のA県 の生 活 保 護 主 管 の協 力 によって行 われたものである。Y-3年 度 よりA県 とは生 活 保 護 世 帯 の子 どもを対 象 とする支 援 事 業 (塾 代 助 成 、学 習 支 援 、家 庭 訪 問 、居 場 所 づくり支 援 等 )に関 する調 査 や、子 どもの生 活 実 態 に関 する調 査 を学 公 連 携 事 業 として実 施 して おり、毎 年 その調 査 成 果 報 告 会 の形 式 での研 修 会 講 師 は担 当 していた。

Y 年 には、研 究 成 果 物 として開 発 したガイドブックに基 づく研 修 会 の依 頼 があった。 ガイドブックに は、「導 入 編 :の子 供 を取 り巻 く現 状 の理 論 的 説 明 」「基 礎 編 :基 本 スキル」「基 礎 編 :課 題 別 支 援 ア プロ ー チ 」 「 基 礎 編 : 次 世 代 育 成 支 援 事 業 の 開 発 」 「 応 用 編 : の 面 接 支 援 用 の 記 入 シ ー ト 」 「 応 用 編 :三 つの支 援 事 例 (逐 語 禄 )」がある7。ガイドブックの内 容 のうち、支 援 事 業 の実 例 については生 活 保 護 担 当 主 管 の職 員 が基 礎 自 治 体 の協 力 を得 て行 うこととなり、筆 者 に依 頼 されたのが「経 験 の 浅 いケースワーカーが親 を通 じて支 援 ニーズを把 握 する話 し合 いの進 め方 」に関 する研 修 であった。

A 県 内 では経 験 の浅 い一 般 行 政 職 採 用 のものが生 活 保 護 ケースワーカーを担 当 することも珍 しくな く、未 婚 の新 人 ケースワーカーの場 合 は世 帯 主 のほうから相 談 されないと子 どもの生 活 課 題 に気 づく ことが難 しいという。仮 に世 帯 主 のほうから相 談 されても、「子 育 ての悩 み」と思 うと未 婚 の立 場 では身 構 えてしまい、受 け流 してしまうこともあるという。 そこで、筆 者 よりガイドブックの「導 入 編 」に記 載 した A 県 の生 活 保 護 世 帯 の子 どもの実 態 に関 する調 査 報 告 から支 援 ニーズを示 すとともに、 「基 礎 編 : 基 本 スキル」と「応 用 編 」を活 用 し、 世 帯 主 と子 どもの様 子 について話 し合 う 技 法 をテーマとしたロー ルプレイを組 み込 んだ受 講 者 参 加 型 の研 修 とすることを提 案 し、了 承 を得 た。

研 修 は連 携 研 究 事 業 実 施 主 体 が主 催 しており、A 県 内 の全 ての福 祉 事 務 所 に対 して研 修 案 内 を送 付 して参 加 者 を募 集 した。参 加 費 は無 料 であった。研 修 時 間 は平 日 の午 後 であり、(1)自 治 体 の政 策 と先 駆 的 な取 り組 み例 の紹 介 が 1 時 間 、(2)子 どもの生 活 実 態 の報 告 と支 援 の基 本 的 な考 え方 の講 義 が1時 間 、(3)逐 語 事 例 と対 話 用 シートを活 用 した話 し合 いの練 習 で 1時 間 30分 、(4)

振 り返 りに 30 分 という時 間 配 分 とした。筆 者 は(2)~(4)のプログラムの開 発 と実 施 を担 当 した。

研 修 で提 示 した相 談 援 助 面 接 技 法 は、本 稿 2.2 における分 類 に従 えば、最 初 に困 難 感 を強 化 するまずい関 わりをモデル図 で示 したのち、そこから脱 するために技 法 を紹 介 し、 「非 言 語 の姿 勢 ・態 度 」「(ストレングス視 点 に基 づく)質 問 技 法 」「感 情 を扱 う技 法 (パワーゲームに巻 き込 まれないよう両 価 的 な感 情 を受 容 )」「要 約 技 法 (シートに書 いたものを最 後 に読 む)」「話 し合 いの手 順 (シートの紹 介 の順 番 に従 って、肯 定 的 なことを訊 くこと、問 題 の再 定 義 を行 うこと、その後 解 決 像 について話 し 合 うという順 番 を提 示 )」である。

当 日 の研 修 では、受 講 者 の参 加 動 機 をあらかじめ聞 く時 間 は割 けなかったが、(3)話 し合 いの練

7 この「基 本 スキル」でストレングス視 点 やエンパワメントの視 点 、利 用 者 主 体 の価 値 原 則 を明 記 し、

解 決 志 向 アプローチなどから具 体 的 な問 いかけ例 を家 族 面 談 にアレンジして紹 介 した。また「面 接 用 記 入 シート」では解 決 志 向 アプローチやナラティヴ・セラピー・アプローチに基 づいて開 発 された

「サインズオブセイフティ」(Turnell, Edwards, 白 木, 井 上, & 井 上, 2004)や「三 つの家 」(Weld et al., 2015)を援 用 してシートを作 成 した。「応 用 編 」では生 活 保 護 ケースワーカーの協 力 を得 て子 ども のいる家 族 のモデル事 例 を作 成 いただいた。支 援 経 過 の概 要 や他 機 関 連 携 の実 際 についても情 報 を整 理 したのち、ロールプレイで実 際 の対 応 を再 現 していただいたものを録 音 し、逐 語 化 した。こ の面 接 逐 語 を面 接 用 シートに記 入 し、また面 接 技 法 の枠 組 みに沿 って解 説 を付 したものを、応 用 編 に収 録 した。

(14)

習 の部 分 ではペアワークとし全 体 の雰 囲 気 を見 ながらペアでの振 り返 りの時 間 を多 く持 った。また(4)

の振 り返 りでは 4 人 から 6 人 のグループに分 かれて参 加 動 機 とそれに照 らし合 わせて今 日 の研 修 が どう役 立 ちそうかについて話 し合 ってもらった。全 グループの意 見 を共 有 したところ、「シートに記 入 す るなんて現 実 的 ではない」という意 見 が出 たグループが初 めのほうにあり、筆 者 もあわてたが、その後 のグループからは「新 人 教 育 にも大 変 有 用 である」「知 的 障 がいのある人 への支 援 などでわかりやす く使 えそうである」「職 場 内 研 修 にぜひ取 り入 れたい」といった積 極 的 な意 見 も出 していただき、ありが たかった。

4.2.2.研 修 の効 果 1)調 査 方 法

研 修 の効 果 は、自 己 記 入 式 無 記 名 質 問 紙 法 を用 い、研 修 前 、研 修 後 、研 修 1 ヶ月 後 に調 査 を 行 った。調 査 票 は匿 名 だが、あらかじめ参 加 者 には ID が付 された調 査 票 が手 渡 され、研 修 前 後 に 回 収 された。また研 修 1 ヶ月 後 は同 じく IDが付 された郵 送 法 で調 査 票 の配 布 ・回 収 が行 われた。

調 査 項 目 は以 下 のとおりである。

①職 種 (研 修 前 )

地 区 担 当 員 (ケースワーカー)、面 接 相 談 員 、査 察 指 導 員 、専 門 支 援 員 、その他 の事 務 職 員 、そ の他 の中 から一 つ選 ぶものとした。

②子 ども家 族 支 援 の困 難 感 ・可 能 感 尺 度 (研 修 前 、研 修 後 、1 ヶ月 後 )

これは高 齢 者 虐 待 防 止 に従 事 する援 助 職 の対 処 可 能 感 尺 度(副 田 et al., 2013)を微 修 正 し たものである。元 の項 目 では「高 齢 者 本 人 及 び家 族 」とされていた文 言 を「子 どもや家 族 」と表 記 した。

「こちらの関 わりを変 えることで子 供 や家 族 の良 い面 を引 きだせると思 う 」「協 力 的 でない子 供 や家 族 とも必 要 なコミュニケーションを図 ることはできる」など5項 目 からなる対 処 可 能 感 因 子 「 子 供 や家 族 が 面 談 を拒 否 すると、どのように関 わっていけば良 いかわからない 」「子 供 や家 族 の問 題 が特 殊 なので、

どう関 われば良 いかわからない」など 5 項 目 からなる対 処 困 難 感 因 子 から成 っている。各 項 目 への評 価 は「全 くそう思 わない」から「とてもそう思 う」までの 4 件 法 である。本 研 究 対 象 者 の研 修 前 の回 答 に 基 づく Cronbachα は対 処 可 能 感 因 子 が 0.73、対 処 困 難 感 因 子 が 0.71 と高 い内 的 一 貫 性 を示 した。

③研 修 満 足 度 (研 修 後 )

日 本 語 版 の 信 頼 性 ・ 妥 当 性 が 確 認 さ れ て い る サ ー ビ ス 満 足 度 評 価 尺 度 で あ る Client Satisfaction Questionnaire 8 項 目 版(立 森, 1999)に基 づいて尺 度 を作 成 した。同 じ

本 研 修 プログラムの構 成 に合 わせて研 修 主 催 者 らと項 目 を検 討 し、「 あなたが受 けた研 修 の質 を どのように評 価 されますか」「望 んでいた研 修 が受 けられましたか」「あなたの同 僚 にもこの研 修 を勧 め ますか」などの7項 目 4件 法 の尺 度 を開 発 した。本 研 究 では尺 度 得 点 の合 成 変 数 は用 いていない。

④研 修 当 日 に配 布 したガイドブックの有 用 度 (研 修 1 ヶ月 後 )

ガイドブックのそれぞれのセクションについて実 践 で役 立 ったかを 4 件 法 で尋 ねた。

⑤研 修 受 講 後 の子 供 家 族 支 援 における変 化 (研 修 1ヶ月 後 )

自 由 記 述 において「子 ども家 族 支 援 にお いて何 か変 化 した点 はありましたか。差 し支 えない範 囲 でご記 入 下 さい」という問 いを設 けた。

分 析 は基 本 的 に粗 集 計 のみであるが、対 処 可 能 感 尺 度 得 点 と対 処 困 難 感 尺 度 得 点 については、

ID でマッチングし繰 り返 しのある分 散 分 析 を行 った。分 析 パッケージには PASW statistics 18 を

(15)

用 いた。

調 査 の実 施 と結 果 の公 表 に際 しては筆 者 の所 属 機 関 の研 究 倫 理 指 針 及 び日 本 社 会 福 祉 学 会 の研 究 倫 理 指 針 を遵 守 し、A 県 及 び研 修 事 務 局 の承 認 を得 た。研 修 1 か月 後 調 査 票 の郵 送 は研 修 実 施 事 務 局 が管 理 するID連 結 リストに基 づいて実 施 し、筆 者 は個 人 を同 定 することのできない回 答 データの提 供 を受 けた。調 査 の実 施 に当 たっては、個 人 を同 定 できない形 で結 果 の公 表 を行 うこ とをあらかじめ回 答 者 にも告 知 し、同 意 を得 た。

2)調 査 結 果

調 査 回 答 者 は研 修 前 で 75 名 であり、地 区 担 当 員 (ケースワーカー)が 47 名 (62.7%)であった。

次 いで多 かったのが専 門 支 援 員 15 名 (20.0%)であり生 活 支 援 員 や子 ども支 援 員 、母 子 自 立 支 援 員 などであった。その他 は査 察 指 導 員 5 名 、面 接 相 談 員 2 名 、他 の事 務 職 員 5 名 、その他 特 記 な し 1名 と続 いた。

研 修 直 後 の満 足 度 の回 答 分 布 を図 1 に示 す。おおむね高 い評 価 を得 ており、「研 修 の時 間 や量 」

「研 修 はどの程 度 ニーズを満 たしたか」以 外 の項 目 では 8 割 以 上 から良 い評 価 を得 た。「時 間 や量 」

「ニーズを満 たしたか」と いう点 では、自 由 記 述 欄 に「 基 本 的 面 接 技 法 よ り先 駆 的 事 例 を知 りたかっ た」という意 見 や、 「面 接 技 法 をも っと時 間 をかけて学 びたかった 」という 意 見 がみられたことから、参 加 動 機 とのミスマッチや、時 間 配 分 の点 ですべての受 講 者 のニーズを満 たすことは難 しかったのだと 考 えられた。

図 1 研 修 直 後 の満 足 度 回 答 分 布

図 2には研 修 1 か月 後 調 査 によるガイドブックの有 用 度 に関 する回 答 をまとめた。 ほとんどの項 目 で「ある程 度 役 立 った」「とても役 立 った」との回 答 が得 られており、研 修 を通 じて触 れたガイドブックの 内 容 を活 用 していることがうかがわれる。ただし「面 接 支 援 用 の記 入 シート」は「全 く役 立 たなかった」

も1名 、「あまり役 立 たなかった」も12名 みられた。受 講 者 には事 務 職 員 や査 察 指 導 員 など、直 接 支 援 の現 場 にいないものも含 まれることや、面 談 時 にメモを取 ることに抵 抗 感 があるものもいただろう。し かし、シートを応 用 した支 援 事 例 を掲 載 した「応 用 編 の三 つの事 例 」では「とても役 立 った」と評 価 す るものが 10 名 など、高 い評 価 を得 た。記 入 シートは使 ってはいないものの、その発 想 を生 かした支 援

0 0 0 1 3 0

1

10 11

25 8

22 2

10

43 51

41 54

35 59

48

16 9

5 7 10 10 12

あなたが受けた研修の質をどのように評価されますか 望んでいた研修が受けられましたか 研修はどの程度あなたのニーズを満たしましたか あなたの同僚にもこの研修を勧めますか 研修の時間や量に満足していますか 研修内容はあなたが効果的に問題に対処する上で役立ちそ

うですか

全体として、概ねあなたはこの研修に満足していますか

低評価 やや低評価 やや高評価 高評価

表   2 新 規 ・継 続 別 にみた「仕 事 に役 立 つか」評 定 平 均 値 の推 移 度 数 第 1回 第 2回 第 3回 第 4回 第 5回 第 6回平 均 値標 準 偏 差 平 均 値 標 準偏 差 平 均 値 標 準偏 差 平 均 値 標 準偏 差 平 均 値 標 準偏 差 平 均 値 標 準偏 差 新 規 受 講 者 欠 席 含 む全 体  32  8.7   1.4    8.6   1.6    8.9   1.3    8.8   1.0    8.4   1.7    8.5
図   4 子 どもや家 族 への対 処 困 難 感 項 目 の 3 時 点 での平 均 値 の変 化 対 処 困 難 感 については多 くの項 目 で研 修 後 に低 下 しており、研 修 1 か月 後 にも研 修 開 始 時 より 低 い値 が保 たれていた。  対 処 可 能 感 尺 度 得 点 と対 処 困 難 感 尺 度 得 点 については、3時 点 での平 均 値 の推 移 を繰 り返 し のある分 散 分 析 を用 いて比 較 した。その後 の検 定 では Bonferroni 法 を用 いて

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