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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

自家発熱型高温好気消化プロセスによるし尿の液肥 化における複合微生物の変遷メカニズムに関する研 究

程, 慧君

http://hdl.handle.net/2324/1931976

出版情報:Kyushu University, 2017, 博士(農学), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

氏 名 程 慧君

論 文 名 Study on mechanism of bacterial community changes during autothermal thermophilic aerobic digestion process of human excreta (自家発熱型高温好気消化プロセスによるし尿の液肥化における複合微生物の 変遷メカニズムに関する研究)

論文調査委員 主 査 九州大学大学院 農学研究院 教授 酒井 謙二 副 査 九州大学大学院 農学研究院 教授 凌 祥之 副 査 九州大学大学院 農学研究院 准教授 田代 幸寛

論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨

自家発熱型高温好気消化(Autothermal thermophilic aerobic digestion, ATAD)は、有機物の好気 分解で発生する自家発熱により高温状態を維持し、高濃度有機廃水を短期間で安定な有機液肥に変 換する。福岡県築上町では高速撹拌による自給式通気撹拌装置を装着したバイオリアクターを用い て、市販酵素剤(Enzymatic Powder, EP)を添加したATADプロセスでし尿を処理し循環利用して いる。本プロセスは温度や細菌群集構造で区別される初期(1-2日)、中期(3-5日)および後期(6-22 日)の3段階の消化期を経て進行し、ダイナミック且つユニークな細菌群集構造変化を起こすこと が先行研究で報告されているが、この変化を引き起こすメカニズムについては明らかになっていな い。そこで本研究では、築上町ATADプロセスにおける各種溶菌・加水分解酵素活性の追跡と、高 振とう・曝気条件を模したミクロコズム実験系を構築し解析を行った。

同バイオリアクターを用いた検討では、微弱なリパーゼを除いてグラム陽性細菌に対する溶菌活 性、プロテアーゼ、およびグルカナーゼの活性は 0-22 日間の全プロセスを通じて検出されなかっ た。これに対し、中期および後期試料中にそれぞれの代表温度,pH 条件下で高いグラム陰性細菌 特異的な溶菌活性が出現することが明らかになった。一方、EP 中の各酵素活性は低く、無添加で 行った実機でのATADプロセスはEPを添加した場合とほぼ同様の経過をたどったことから、EPは 本プロセスにはほとんど寄与しないと考えられた。

次に各消化期を模した温度で高速撹拌(140 rpm)するミクロコズム実験を行った。未処理し尿 を 30°C で撹拌した場合、いくつかの主要 Operational Taxonomic Unit(OTU)の減少と共に Acinetobacter indicus および Arcobacter cibarius近縁菌を含むProteobacteria門OTUが劇的に増 加した。3日目試料を45°Cで撹拌した場合、Proteobacteria門およびBacteroidetes 門などグラム 陰性細菌のOTU減少と同時にCaldicellulosiruptor besciiに低い相同性を示すFirmicutes門OTUな どが増加した。一方、6日目試料は 53°Cで撹拌した場合でもC. besciiおよびHeliorestis baculata に低い相同性を示すOTUを主要とし、細菌群集構造は極めて安定であった。

上記結果から、築上町ATADプロセスでは、初期、常温において強い通気撹拌の元でProteobacteria 門の急激な増殖に伴う温度上昇をもたらし、生育条件変化を引き金としたグラム陰性細菌群の溶菌 が起こると考えた。次いでこれらを栄養源とし新たな条件を好むFirmicutes門およびActinobacteria 門の優先的増殖がさらなる温度上昇をもたらし、後期において安定で特異な細菌群集構造が形成さ れる、と推論した。

以上要するに、本研究はATADプロセスにおける特異な細菌群集構造変化の機構について、種々 の酵素活性追跡とミクロコズム実験から検討したものであり、複合微生物系による廃液処理の制御 と改良研究に有用な知見を与え、土壌環境微生物学の発展に寄与する価値ある業績である。よって 本研究者は博士(農学)の学位を得る資格を有するものと認める。

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