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初級レベルでの俳句・短歌・詩の授業

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Academic year: 2021

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実 践 紹 介

35 1.はじめに

 日本語の語彙力・文法力に限りがあっても,その少なさの中で自分が表現でき,相手を 理解しようと努力できればコミュニケーション力は身についていく。日本語を豊かにして いくためには様々な方法があるが,俳句・短歌・詩という型を通し,「自身のことば」を 探すことによって作品として相手に手渡す行為は,お互いを認め合い,受け止め合うコ ミュニケーションになっていく。そのプロセスで日本語のリズム,言葉の広がりを体感し,

「日本語のことば」を一人一人が各々の感じ方で豊かにしていくことができるだろう。「こ とばは文化である」とよく言われるが,本授業は座学としてではなく,学習者一人一人が それを実践の中で感じていけることをねらった授業である。

2.目的

・日本の俳句・短歌・短詩がどんなものかを理解できるようにする

・日本語のことば,表現を増やす

・自己表現のためのことばを発見して使えるようにする

3.授業概要

 本授業の進め方は,

15

回の授業を大きく

4

つの部に分ける。それぞれの部で自分がもっ ていることば(わたしの言葉Ⅰ〜Ⅳ)を確認する。最初は自分の中にある言葉,授業が進 んでいくのに伴い,覚えたことば,好きな/嫌いな言葉,印象的な言葉,表現などプラス 要素が確認できるようにする。各活動を述べると

① 俳句:まず,写真や絵,本などを見て,そのイメージを言葉に表すことから始め,簡 単に俳句の型を抑えて俳句を作る練習をしたのち大隈庭園を散策し,教室に戻って作 句(吟行)。5人くらいずつのグループで披露しあってこれを楽しむ,評価する,一 連の活動を終えた後,俳句に関するエッセイを書いて自身で振り返る,最後に学生の 全句を共有してフィードバックを行う。

② 短歌:俳句と短歌の違いを基本的な部分で抑えてから,背景と言葉,状況を表現する 早稲田日本語教育実践研究 第 7 号

初級レベルでの俳句・短歌・詩の授業

―言葉の豊かさを体感し自身の言葉を掴んで自己表現―

江原 美恵子

  科目名:俳句・短歌・短い詩を楽しむ,作る,感じる   レベル:初級 1・2 /中級 3 ・4・5 /上級 6・7・8   履修者数:35 名

(2)

早稲田日本語教育実践研究 第 7 号/ 2019 / 35―36

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ことを行う。短歌を作る練習をしたのち実際に作る。その後は前述の俳句活動と同じ ような流れで活動。

③ 詩:短い詩の紹介を行う(英語の対訳があるものを選び,両言語でプリント配布),

これを理解,鑑賞したのち実際に短い詩を作る。その後は俳句,短歌の活動と同じ流 れで進めていく。

④ 俳句・短歌・詩のグループを作り,最後にどのような視点でこれを紹介していくのか を話し合って協働活動を行う。教室でグループ発表し,相互評価する。

 以上が各分野での流れであるが,毎回なにがしかの課題を教室で行い,これを持ちよっ てグループ活動を行っていく。自分だけで創っていくのではなく,クラスメイトの作品や 言葉の使い方,言葉のリズムや調子,感性に常に触れていくことができる環境が教室内で 作られていく。ここに,一人ではなく教室に来て日本語を学ぶ大きな意味がある。

4.学生の反応

 日本人でも,ある意味難しいと思われる俳句・短歌・詩をテーマにこのクラスを初級で 設定した。不安はあったが受け身的な授業と違って毎回常になにがしかを生み出す活動を 行うため,また,グループ活動でだれもが必ず一度は主役となって表現するという形態で 行ったこの授業を,学生は楽しんでいた部分が多かった。

 「日本語能力と感じることは別のことだ」というコメントは,一人一人の言葉のセンス,

感性が豊かであることを実感し,臆することなく表現できる楽しさを示した言葉であった。

自分が認められることが言葉を発する自信にも繋がった。「ことばが増えた」「季語の中に とても美しい表現がある」「同じものを見てきたのにぜんぜん作品が違った。面白かった」

 「自分のペースで日本語を学べた」「自分の国の詩を紹介できて嬉しかった」など,一人 一人の感想はバラエティに富んだものであった。

 反面,「何を言っているのかぜんぜん分からない」「理解できない」「文法が分からない から大変だ」という声もあった。現代語の作品を紹介するようにしたが,教科書での学習 とは違う予想もつかない日本語の出逢いに戸惑う様子も中には見られた。

5.課題

 初級としてはかなり挑戦的な活動であり,また学習者のレベルに開きがあるため,お互 いに助け合っていくグループ活動がクラスでは必要になる。この活動で黙りがちになると きが多くなる学生にとっては非常に難しい授業となってしまう。レベル差があることをど のようにプラスとしていけるかが課題である。また紹介できる俳句・短歌・詩も限られて くるため,その選択をどのようにするのか,あるいはすべきではないのかなども考慮する 必要がある。

(えばら みえこ,早稲田大学日本語教育研究センター)

参照

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