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出版者 法政哲学会

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Academic year: 2021

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【図書紹介】『倫理学原理』  G・E・ムア著  泉谷周三郎、寺中平治、星野勉 訳 三和書籍 二

〇一〇年

著者 木島 泰三

出版者 法政哲学会

雑誌名 法政哲学

巻 7

ページ 82‑82

発行年 2011‑06

URL http://doi.org/10.15002/00007935

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現代倫理学の古典の新訳である。底本として、校訂者T・ボールドウィンによる詳細な序文と、関連文献である「内在的価値の概念」、「自由意志R未出版の第二版序文草稿を付録とした改訂版を使用し、そのすべてを訳した完訳版である。第一章「倫理学の主題」は、「善」は定義不可能であり、「直覚」によってしか捉えられないがゆえ、「善」を定義しようとする全ての試みは「自然主義の誤謬」に陥るという、有名な主張を掲げる。第二~四章は、従来の倫理学説の「自然主義の誤謬」を暴く批判的議論である。第二章「自然主義倫理学」の進化論的倫理学批判は、現代でも有用な参照軸を与える。第三章「快楽主義」のミルとシジウィックヘの先鋭な批判は、功利主義へのムアの高い評価を逆に示唆する。第四章「形而上学的倫理学」は、「自然主義の誤謬」が自然主義倫理学のみならず、形而上学的倫理学にも帰されることを示す。ムアの功利主義への親近性を示すのは第五章「倫理学の 【図書紹介】『倫理学原理』G・E・ムア署泉谷周三郎、寺中平治、星野勉訳三和書籍二○一○年木島泰三 行為に対する関係」である。そこでムアは「義務」と「徳」を、「内在的善」を獲得するための「手段的善」として位置づけ、徹底した帰結主義的倫理学を展開する。第六章「理想」でムアは「人格間の愛情」と「美の享受」を、我々が獲得しうる最大の内在的善であると主張する。ボールドウィンによれば、この思想はムアが属していた知識人サークルの現実政治への忌避感が反映しており、その側面が、第一次大戦後に本書が広く読まれた背景にあったという。これはメタ倫理学の基礎を築き、現代倫理学の源流となった本書の、また別の面である。翻訳は星野教授はじめ、日本イギリス哲学会の会長を務めた碩学三名によっている。本書の一部を自分は大学院入試で読んだ記憶があり、つまりは決して読みやすい英文ではないのだが、本訳書はそれを格調高く平易な日本語に移している。それでもなお、ムアの入り組んだ論理構造の中で迷子になる場合、訳書と原書との「三角測量」でムアの思想に迫るのが有効であろう。

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Hosei University Repository

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